JPH1167204A - 非水電解液二次電池の正極活物質の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池の正極活物質の製造方法

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JPH1167204A
JPH1167204A JP9227112A JP22711297A JPH1167204A JP H1167204 A JPH1167204 A JP H1167204A JP 9227112 A JP9227112 A JP 9227112A JP 22711297 A JP22711297 A JP 22711297A JP H1167204 A JPH1167204 A JP H1167204A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非水電解液を用いた二次電池の正極の活物質
材料に用いるために有効な、微細なリチウムマンガン酸
化物の合成方法を提供する。 【解決手段】 リチウム前駆体とマンガン前駆体を溶媒
に溶解させ配位子置換することにより調製した、安定な
前駆体溶液を用いて合成したリチウムマンガン化合物
を、酸素雰囲気中150〜750℃で焼成することによ
る非水電解液二次電池の正極活物質の製造方法。 【効果】 化学的に均質で微細な物質であり、正極とし
た場合には放電容量が大きいリチウムマンガン酸化物が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解液二次電
池の正極活物質の製造方法に関するものであり、さらに
詳しくは、組成が均一であり、微細で非表面積の高い正
極材料として有用なリチウムマンガナイトを製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ラップトップ型コンピューターや
携帯電話、カムコーダ等に代表されるポータブル機器の
需要の増加に伴い、電源となる二次電池の開発が進んで
いる。リチウム二次電池は、これまでの二次電池に比べ
て高電圧、高エネルギー密度を得ることができるため小
型軽量化が期待されている。この二次電池の正極に用い
る材料として、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMn
2 4 等の層状構造あるいはトンネル構造を有する材料
が研究されている。これらの正極材料においては、リチ
ウムイオンが結晶格子中の空サイトヘインターカレート
とデインターカレートすることにより、電気化学反応が
進行する。この中で、LiMn2 4 については、いく
つかの合成法が知られており、Mn硝酸塩や酢酸塩など
を出発物質として水溶液中で析出させる方法(P.Ba
rboux,J.M.Tarascon,and F.
K.Shokoohi,J.Soid State C
hem.,94,185−196,1991)、あるい
は炭酸リチウムと二酸化マンガンを混合して固相法によ
り合成する方法(J.M.Tarascon,W.R.
McKinnon,F.Coowar,T.N.Bow
mer,G.Amatucci,and D.Guym
ard,J.Electrochem.Soc.14
1,1421−1431)等が用いられている。しか
し、従来の方法では、低温において、微細な非表面積の
高い正極材料を得ることは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、微細で非表面積の高い正極材料を簡
便な操作で作製する方法を開発することを目標として鋭
意研究を積み重ねた結果、安定な前駆体溶液を用いて合
成したリチウムマンガン化合物を、酸素雰囲気中で20
0〜750℃で加熱処理することにより所期の目的を達
成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は、非水電解液を用いた二次電池の正極の活
物質材料に用いるのに有用な、微細で歪みの少ない粒子
からなるリチウムマンガン酸化物を製造する方法を提供
することを目的とする。また、本発明は、低温において
微細な非表面積の高い正極材料を提供することを目的と
する。さらに、本発明は、上記正極材料を用いて、放電
容量が大きく、サイクル特性に優れた二次電池を提供す
ることをも目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成する本発
明は、一般式Li1-x Mn2-y 4 (0≦x<1.0、
0≦y<0.5)で示されるスピネル型構造の複合酸化
物の製造方法において、出発物質であるリチウム前駆体
とマンガン前駆体を溶媒に溶解させ配位子置換すること
により安定な前駆体溶液を調製し、この溶媒を留去ある
いは濃縮することにより得られる前駆体を加熱処理させ
正極材料を製造することを特徴とする二次電池の正極活
物質の製造方法、である。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明についてさらに詳述
する。非水電解液二次電池において大きな放電容量を得
るための課題は、組成が均一であり、微細で非表面積の
高いリチウムマンガナイトを得ることにある。上記目的
を達成するために、本発明の非水電解液二次電池の正極
活物質の製造方法では、一般式Li1-x Mn2-y
4 (0≦x<1.0、0≦y<0.5)で表されるスピ
ネル型構造の複合酸化物の製造方法において、出発物質
であるリチウム前駆体とマンガン前駆体を溶媒に溶解さ
せ配位子置換することにより安定な前駆体溶液を調製
し、この溶媒を留去あるいは濃縮することにより得られ
る前駆体を加熱処理させ、正極材料を製造する方法が採
られる。本発明は、前駆体としてLi(O−A)、Mn
(O−B)z(z=2,3)とLi、Mnの配位子を変
化させた原料を用いることを特徴とし、リチウムアルコ
キシドおよびリチウム塩、マンガンアルコキシドおよび
マンガン錯塩などLi(O−A)、Mn(O−B)zと
Li、Mnの配位子を変化させた原料を用いて適正な溶
媒を用いることにより配位子を置換させ、安定な前駆体
を形成させ正極材料を製造する方法を提供する。この方
法によれば、固体混合法、水溶液からの沈澱法等、通常
の正極材料の製造に使用される方法によるよりも、さら
に低温において微細な非表面積の高い正極材料の提供が
可能となる。
【0006】本発明は、非水二次電池の正極材料チリウ
ムマンガナイトの特殊な製造方法として前駆体法を提起
しているが、この前駆体法の場合のリチウムマンガナイ
トの原料については、リチウム源としては、リチウムア
ルコキシドおよびリチウム塩が好ましい。望ましくはリ
チウムメトキサイド、リチウムエトキサイド、リチウム
プロポキサイド、酢酸リチウムなどが好ましい。また、
マンガン源としては、マンガンアルコキシドおよびマン
ガン錯塩が好ましい。アルコキシドとしては、メトキシ
ド、エトキシド、およびイソプロポキシド等の炭素数1
〜3のアルコキシド類が、また、マンガン錯塩として
は、マンガンアセチルアセトナート(Mn=2価、3
価)が好ましい。それぞれの原料を溶解する溶媒につい
ては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノメチルエーテルなどが好ましい。
【0007】アルゴン雰囲気下、例えば、上記のリチウ
ムアルコキシドあるいはリチウム塩とマンガンアルコキ
シドあるいはマンガン錯塩をリチウムとマンガンの原子
比がLi/Mn(モル比)=0.5となるよう不活性ガ
ス雰囲気中で秤量した後、それぞれ溶媒に溶解し、約1
25℃から140℃の温度で、3時間以上窒素あるいは
酸素雰囲気中で還流し配位子置換を行う。得られた2溶
液の溶媒を濃縮あるいは留去後さらに溶媒を加える。こ
のリチウムおよびマンガン前駆体溶液を混合し常温で1
時間以上攪拌しても良いし、さらに還流を3時間以上続
けても良い。次いで、例えば、この前駆体溶液を80℃
で減圧乾燥し、溶媒を留去し前駆体粉末を得る。合成し
た前駆体は150℃〜200℃で酸素雰囲気中3時間加
熱することが好ましい。加熱処理の温度は出発原料によ
り適宜設定されるが温度は200〜750℃が好まし
い。加熱処理の温度が100℃未満では結晶化は進行し
ない。100℃以上200℃以下でも結晶化は進行する
が長時間を要するので好ましくない。焼成雰囲気につい
ては、空気雰囲気または空気よりも高濃度の酸素を含む
雰囲気で合成を行う方が好ましい。さらに好ましくは、
純酸素雰囲気中で加熱処理を行うことが好ましい。
【0008】
【作用】本発明の非水電解液二次電池の正極材料の製造
方法により、均質で、微細なLiMn2 4 粉末の合成
ができるのは、安定な前駆体溶液を調製できた効果によ
る。即ち、本発明の出発物質であるリチウム前駆体とマ
ンガン前駆体を溶媒に溶解させ配位子置換することによ
り、沈澱しない安定な前駆体溶液を調製できる。この溶
媒を混合し攪拌あるいは還流することにより得られた前
駆体溶液の溶媒を留去することにより得られる前駆体粉
末を加熱処理することにより、配位子置換リチウムと配
位子置換マンガンからほぼ同時に配位子の離脱が開始さ
れ、これに伴う前駆体由来のリチウムマンガナイトの結
晶化が進行し、微細な結晶核が形成されたと考えられ
る。
【0009】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は、当該実施例によって何ら限定さ
れるものではない。 実施例1 窒素雰囲気下、市販のリチウムエトキサイドとマンガン
イソプロポキサイドをリチウムとマンガンの原子比がL
i/Mn(モル比)=0.5となるよう秤量した後、そ
れぞれエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解
し、135℃で3時間還流し配位子置換を行った。得ら
れた2溶液の溶媒を濃縮後エチレングリコールモノエチ
ルエーテルを加えた。この2溶液を混合し常温で1時間
攪拌した後、得られた溶液を80℃で減圧乾燥し、前駆
体粉末を得た。合成した前駆体粉末を200℃で酸素雰
囲気中3時間加熱後250℃で酸素中3時間熱処理しリ
チウムマンガナイトを得た。得られたリチウムマンガナ
イトを粉末X線回折による分析(CuKα)を行った。
その結果を図1に示す。図1から明らかなようにLiM
2 4 に対応するピークが同定され250℃という低
温でLiMn2 4 が生成されたことが確認できた。電
子顕微鏡観察結果より、得られた粉末の平均一次粒子径
は20nmであった。
【0010】実施例2 実施例1と同様に合成した前駆体粉末を、200℃で酸
素雰囲気中3時間仮焼後500℃で酸素中3時間焼成し
てリチウムマンガナイトを得た。得られたリチウムマン
ガナイトを粉末X線回折による分析(CuKα)を行っ
た。その結果を図1に示す。図1から明らかなように5
00℃での焼成においてもLiMn2 4 の生成が確認
された。電子顕微鏡観察結果より、得られた粉末の平均
一次粒子径は20nmであった。
【0011】実施例3 実施例1と同様に合成した前駆体粉末を、200℃で酸
素雰囲気中3時間仮焼後700℃で酸素中3時間焼成し
てリチウムマンガナイトを得た。得られたリチウムマン
ガナイトを粉末X線回折による分析(CuKα)を行っ
た。その結果を図1に示す。図1から明らかなように7
00℃の焼成によりLiMn2 4 に対応するピークが
同定されLiMn2 4 の生成が確認された。電子顕微
鏡観察結果より、得られた粉末の平均一次粒子径は22
nmであった。
【0012】比較例1 窒素雰囲気下、リチウムエトキサイドとマンガンイソプ
ロポキサイドをリチウムとマンガンの原子比がLi/M
n(モル比)=0.5となるよう秤量した後、それぞれ
エチレングリコールモノエチルエーテルに溶解し、13
5℃で3時間還流し配位子置換を行った。得られた2溶
液を溶媒留去後エチレングリコールモノエチルエーテル
を加えた。この2溶液を混合し常温で1時間攪拌した
後、得られた溶液を80℃で減圧乾燥し、前駆体粉末を
得た。粉末X線回折(CuKα)の結果より、得られた
粉末はアモルファス相であった。
【0013】実施例4 実施例1から実施例3で合成した前駆体の熱分解挙動を
TG−DTAにより調べた結果を図2に示す。測定に供
した前駆体粉末は5.6gであり、昇温速度は5℃/m
inで酸素雰囲気中で評価した。200℃には燃焼によ
るLi/Mnの配位子の結合の開裂に伴う発熱ピークが
見られた。発熱ピークが一つであることからリチウムア
ルコキシドとマンガンアルコキシドがほぼ同時に配位子
の離脱が開始され、これに伴う前駆体由来のリチウムマ
ンガナイトの結晶化が進行し、LiMn2 4 単相が得
られたことが分かる。
【0014】実施例5 酢酸リチウムを溶解させたエチレングリコールモノメチ
ルエーテルに等量のアセチルアセトンを加え、これを混
合し酸素気流中で3時間還流した。また、マンガンとア
セチルアセトナートを溶解させたエチレングリコールモ
ノメチルエーテルに等量の2−アミノエタノールを加
え、これを混合し酸素気流中で3時間還流した。ここで
Li/Mnは0.5とした。得られた溶液をそれぞれ溶
媒留去し、これにエチレングリコールモノメチルエーテ
ルを加え、窒素中で還流を行った後に溶液を溶媒留去
し、前駆体粉末を得た。得られた粉末を酸素中200℃
で加熱し配位子部分を解裂させたのち、700℃で3時
間焼成を行った。得られたリチウムマンガナイトについ
て粉末X線回折(CuKα)を行った。その結果を図3
に示す。図3にみられるようにLiMn2 4 に対応す
るピークが得られLiMn2 4 単相の粉末であること
が確認できた。電子顕微鏡観察結果より、得られた粉末
の平均一次粒子径は30nmであった。本実施例により
配位子を制御することで安定な前駆体が得られ、これを
焼成して微細なLiMn2 4 を生成することが可能と
なった。
【0015】試験例1 図1のX線回折結果から得られた回折ピークの回折角度
と、半価幅をHallの式に代入すると結晶子径と歪み
の関係が得られる。250℃から700℃の全域にわた
って、結晶子径はほぼ20nmであった。また700℃
で焼成した試料の歪みは0.02%であった。この70
0℃で製造した正極活物質の初期容量を評価するために
試料電極を作製した。試料電極の構成は、正極活物質と
アセチレンブラックとふっ素樹脂系結着剤が重量比で
5:4:1となるように混合した正極合剤とし、対極L
i、参照極を別のLi、電解液をプロピレンカーボネー
ト、ジメトキシエタンの混合溶液にLiClO4 を溶か
した液を用いて電池を組み立て、電池性能を評価したと
ころ初期容量は126mAh/gが得られ、放電容量の
大きく、かつサイクル特性の優れた電池となることが分
かった。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、前駆体法を用いて、従
来技術では達成されなかった微細な、歪みの少ない粒子
からなる正極材料が得られる。即ち、本発明の範囲外で
ある比較例においては、結晶化していないアモルファス
相、あるいは第二相の不純物が存在している。これに対
し、本発明の範囲内である実施例においては、20〜3
5nmの微細なリチウムマンガナイト単相からなる粉末
を得ることができる。したがって、本発明の正極活物質
製造方法によれば、非表面積の高いリチウムマンガナイ
トが得られる。さらには、放電容量が大きく、サイクル
特性に優れた電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、2、3において得られたL
iMn2 4 の粉末X線回折図である。
【図2】本発明の実施例4において得られた材料のTG
−DTA曲線である。
【図3】本発明の実施例5において得られたLiMn2
4 の粉末X線回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平野 眞一 愛知県名古屋市千種区不老町1 名古屋大 学工学部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式Li1-x Mn2-y 4 (0≦x<
    1.0、0≦y<0.5)で示されるスピネル型構造の
    複合酸化物の製造方法において、出発物質であるリチウ
    ム前駆体とマンガン前駆体を溶媒に溶解させ配位子置換
    することにより安定な前駆体溶液を調製し、この溶媒を
    濃縮あるいは留去することにより得られる前駆体を加熱
    処理させ正極材料を製造することを特徴とする二次電池
    の正極活物質の製造方法。
  2. 【請求項2】 制御された配位子置換は有機溶媒におい
    て行われることを特徴とする請求項1に記載の正極活物
    質の製造方法。
  3. 【請求項3】 出発前駆体はLi(O−A)、Mn(O
    −B)z(z=2,3)とLi、Mnの配位子を変化さ
    せた原料を用いることを特徴とする請求項1に記載の正
    極活物質の製造方法。
  4. 【請求項4】 Aはメチル基、エチル基、イソプロピル
    基、アセチル基などから選ばれることを特徴とする請求
    項3に記載の正極活物質の製造方法。
  5. 【請求項5】 Bは、エチル基、イソプロピル基、また
    はアセチルアセトン基であることを特徴とする請求項3
    に記載の正極活物質の製造方法。
  6. 【請求項6】 配位子置換は約125℃から150℃の
    温度で、酸素あるいは窒素雰囲気中でエチレングリコー
    ルモノエチルエーテルまたはエチレングリコールモノメ
    チルエーテル溶媒中で還流することにより行われること
    を特徴とする請求項1または2に記載の正極活物質の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 配位子置換により制御された溶液を溶媒
    留去することにより得られた粉末を酸素雰囲気中で15
    0℃〜200℃で3時間以上加熱し、さらに、200〜
    750℃の範囲で酸素および空気雰囲気中で2時間以上
    熱処理を行うことで20〜35nmの均一で微細なLi
    Mn2 4 の粒子を得ることを特徴とする請求項1に記
    載の二次電池の正極活物質の製造方法。
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