JPH1161925A - 防水パンおよびその製造方法 - Google Patents

防水パンおよびその製造方法

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JPH1161925A
JPH1161925A JP21761197A JP21761197A JPH1161925A JP H1161925 A JPH1161925 A JP H1161925A JP 21761197 A JP21761197 A JP 21761197A JP 21761197 A JP21761197 A JP 21761197A JP H1161925 A JPH1161925 A JP H1161925A
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JP
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waterproof pan
glass fiber
resin
gas
mold
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JP21761197A
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Inventor
Toru Shima
徹 嶋
Atsushi Sato
佐藤  淳
Manabu Nomura
学 野村
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた強度を確保しつつそりを低減でき、か
つ、軽量でリサイクル可能な防水パンおよび防水パンの
製造方法を提供する。 【解決手段】 ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を可塑化し
た溶融樹脂を金型10の内部のキャビティ10Aに射出
して充満させた後、キャビティ10Aを防水パンに応じ
た容積に拡張して溶融樹脂を膨張させ、防水パンの内部
に連続した複数の空隙を形成することで、成形時に発生
する内部応力を小さくできるので、そりを確実に低減で
きるとともに軽量化を実現できる。また、ガラス繊維に
よる強化およびスキン層の形成により、高い曲げ強度、
剛性および優れた衝撃強度を確保できるうえ、熱可塑性
樹脂をマトリックスとしているのでリサイクル等が可能
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浴室や洗濯機置き
場等に用いられる防水パンおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【背景技術】従来より、ユニットバス等の浴室は、床部
となる防水パンに浴槽等の設備を組み込むことや、防水
パンと浴槽とを一体的に成形すること等により形成され
ている。また、防水性のない床に洗濯機等の水を使う機
器を設置する場合等にも、防水パンが用いられている。
このような防水パンには、水の荷重のみでなく、人や浴
槽の荷重、或いは、機器の荷重等が加わるため、高い曲
げ強度、剛性が必要とされる。また、防水パンには、施
工時や使用時にその上へ人が飛び降りること等により、
衝撃が加えられることも想定されるので、高い衝撃強度
が要求される。このため、防水パンは、通常、熱硬化性
樹脂を繊維で強化したFRP(繊維強化樹脂)により形
成されている。
【0003】しかしながら、熱硬化性樹脂をマトリック
スとしたFRPは、使用後にリサイクルできないため、
廃棄処理の問題が生じることから、近年、熱可塑性樹脂
をガラス繊維によって強化したGFTP(繊維強化熱可
塑性樹脂)により防水パンを成形することが検討されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このGFTPにより防
水パンを成形する場合、従来の方法であっては、要求さ
れる強度としての剛性および衝撃強度を満足するために
は、ガラス繊維を30重量%以上含有させなければなら
ないが、防水パンは比較的大型の成形品であることか
ら、ガラス繊維の配向等によるそりが大きく、施工時の
位置ずれ等の原因になるという不具合がある。この点の
不具合を解消するものとして、防水パンの肉厚を増すこ
とや、リブを追加すること等により、成形品の剛性を高
めてそりを低減することが考えられるが、防水パンの重
量が増加するうえ、材料コストが高くなるので経済的で
ない。
【0005】本発明の目的は、優れた強度を確保しつつ
そりを低減でき、かつ、軽量でリサイクル可能な防水パ
ンおよび防水パンの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガラス繊維含
有熱可塑性樹脂からなる防水パンであって、内部に、前
記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させることにより
形成される連続した空隙を有することを特徴とする。
【0007】成形品のそりやねじれ等の変形は、成形時
に発生した内部応力がからみあってできる。本発明で
は、防水パンの内部の空隙は、ガラス繊維含有熱可塑性
樹脂を膨張させることにより形成されるので、成形時に
発生する内部応力を小さくできるから、そりを確実に低
減できる。また、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張さ
せるので、当該樹脂の使用量を減少させることができる
から、防水パンを軽量化できるうえ、材料コストを低減
できる。さらに、防水パンの内部の空隙は互いに連続し
ているため、充分な軽量化を達成できる。そして、防水
パンは、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂により形成されて
いるため、ガラス繊維によって機械的強さを増すことが
できるから、高い曲げ強度、剛性および優れた衝撃強度
を確保できるうえ、リサイクルや焼却処理が可能となる
ので廃棄処理問題を解消できる。
【0008】ここで、前述したガラス繊維含有熱可塑性
樹脂の膨張は、例えば、成形時に、ガラス繊維によるス
プリングバック現象を発生させ、このガラス繊維の復元
力で前記樹脂を膨張させることによって行うことができ
る。
【0009】さらに、防水パンは、前記ガラス繊維を1
0〜70重量%含有することが好ましい。ガラス繊維の
含有量が10重量%未満では、充分な剛性および衝撃強
度を確保できない場合があるうえ、スプリングバック現
象による充分な膨張効果が得られないおそれがある。ま
た、ガラス繊維の含有量が70重量%を越えると、良好
な成形性や外観が得られないことがある。
【0010】また、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の膨張
倍率は、1.3〜4倍とされていることが望ましい。膨
張倍率が、1.3倍未満では、空隙が独立気泡になりや
すく、防水パンを充分に軽量化できないおそれがあり、
4倍を越えると、空隙が大きな中空部になって衝撃強度
が低下する場合がある。
【0011】前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
プロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、
プロピレン−エチレンランダム共重合体、ポリエチレン
等のポレオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、AB
S樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリ芳香族エーテルまたはチオエーテル
系樹脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹
脂およびアクリレート系樹脂等を採用できる。上記熱可
塑性樹脂は、単独で用いることがもできるが、二種類以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】このような熱可塑性樹脂のうち、ポリプロ
ピレン、プロピレンと他のオレフィンとのブロック共重
合体、ランダム共重合体、あるいは、これらの混合物等
のポリプロピレン系樹脂が好ましく、とくに、不飽和カ
ルボン酸、または、その誘導体で変性された不飽和カル
ボン酸類変成ポリオレフィン含有ポリプロピレン系樹脂
であることが好ましい。このように、不飽和カルボン酸
類変成ポリプロピレン等のポリオレフィンを、ポリプロ
ピレン系樹脂に添加して用いることで、ガラス繊維との
接着性の向上を図ることができるから、優れた強度を確
保できる。なお、不飽和カルボン酸変成ポリオレフィン
の含有量は、例えば、0.01〜50重量%である。
【0013】また、防水パンに含まれた状態でのガラス
繊維の平均繊維長は、好ましくは、2〜30mmの範囲
である。すなわち、平均繊維長が2mm未満では、充分
な曲げ強度、剛性および衝撃強度の向上を図れないおそ
れがあるうえ、スプリングバック現象におけるガラス繊
維の復元力が不足する場合がある。平均繊維長が30m
mを越えると、溶融流動性が低下して、防水パンの細部
やリブ等にガラス繊維が入りにくくなることから、良好
な外観や充分な強度を確保できないおそれが生じる。
【0014】一方、本発明は、ガラス繊維含有熱可塑性
樹脂を可塑化した溶融樹脂を、金型の内部に設けられた
キャビティに射出して防水パンの成形を行う防水パンの
製造方法であって、前記溶融樹脂を前記キャビティに射
出して充満させる充填工程と、この充填工程の後に、前
記キャビティを前記防水パンに応じた容積に拡張して前
記溶融樹脂を膨張させ、前記溶融樹脂の内部に連続した
空隙を形成する膨張工程とを含むことを特徴とする。
【0015】本発明においては、熱可塑性樹脂にガラス
繊維が含まれているため、膨張工程においてキャビティ
を拡張することで、ガラス繊維によるスプリングバック
現象が発生し、溶融樹脂を膨張させることができる。こ
の溶融樹脂の膨張によって、防水パンの内部に連続した
空隙を形成できるので、成形時に発生する内部応力を小
さくできるから、防水パンのそりを確実に低減できる。
また、ガラス繊維熱可塑性樹脂を膨張させて防水パンを
成形するので、当該樹脂の使用量を減少させることがで
きるから、軽量化を実現できるうえ、材料コストを低減
できる。さらに、熱可塑性樹脂にガラス繊維を含有させ
ることで、優れた曲げ強度、剛性および衝撃強度を確保
できるうえ、熱硬化性樹脂とは異なり、リサイクルや焼
却処理が可能になるため、廃棄処理問題を解消できる。
【0016】この場合、膨張工程を開始した後、前記溶
融樹脂にガスを注入するガス注入工程を行うことが望ま
しい。このようなガス注入工程を行うことで、スプリン
グバック現象による溶融樹脂の膨張を補完できるので、
ガラス繊維の量が少ない場合でも、膨張工程において、
溶融樹脂を防水パンに応じた容積まで確実に膨張させる
ことができるうえ、溶融樹脂を金型の成形面に押圧して
密着させることができるから、ヒケの発生を防止でき
る。
【0017】前記ガスの種類は、とくに限定されない
が、溶融樹脂と反応しにくい不活性なガスを用いること
が好ましく、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等を採用
できる。さらに、溶融樹脂の冷却効率を高めるために
は、液化炭酸ガス等の冷却用ガスを用いることが好まし
い。また、ガスの温度は、好ましくは、15℃以下であ
り、冷却効率を高めるためには、0℃以下が好ましい。
【0018】注入するガスの圧力は、成形品の大きさ、
形状および膨張倍率、ならびに、溶融樹脂の流動性、粘
度および含有ガラス繊維量、さらには、金型のゲート形
状等により適宜設定すればよく、例えば、ゲージ圧で、
0.01〜20MPaの範囲である。このガスの圧力
は、比較的低圧にすることで、樹脂内部に大きな中空部
が発生しにくくなって防水パンの強度確保がより確実と
なるうえ、溶融樹脂と金型の成形面との間にガスが漏洩
しにくくなってシルバーマーク等の外観不良の発生を防
止できる。従って、ガスは、比較的低圧、具体的には、
0.1〜2MPaの範囲とすることが好ましい。なお、
ガスの圧力を低圧にしても、スプリングバック現象によ
り、溶融樹脂の内部には相互に連続する多数の空隙が形
成されるので、これらの空隙を通じてガスを溶融樹脂の
内部に確実に注入することができる。
【0019】ここで、原材料としてのガラス繊維含有熱
可塑性樹脂に含まれるガラス繊維には、例えば、長さが
2〜100mmの範囲にされたものを用いることができ
る。すなわち、ガラス繊維の長さが2mm未満では、充
分な強度向上を図れないおそれがあるうえ、スプリング
バック現象による膨張力が不足する場合がある。ガラス
繊維の繊維長が100mmを越えると、可塑化不良の原
因になったり、射出成形により成形を行う場合にはブリ
ッジが発生する可能性があることから、成形が困難にな
る場合がある。
【0020】そして、前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂
としては、ガラス繊維を包含するとともに全長が2〜1
00mmの範囲にされたガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペ
レット単独、或いは、これに他の樹脂ペレットを混合し
たものを用いることができる。
【0021】ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレットとし
ては、当該ペレットの全長と等しい長さのガラス繊維
を、互いに平行に配列させた状態でペレット全体の20
〜80重量%含有させたものを採用できる。このような
ペレットを用いれば、成形にあたって射出装置のスクリ
ュで可塑化・混練しても、ガラス繊維が破断されにくく
なる。この場合、ガラス繊維としては、E−ガラスまた
はS−ガラスのガラス繊維であって、その平均繊維径が
25μm以下のもの、好ましくは3〜20μmの範囲の
ものを採用できる。ガラス繊維の径が3μm未満である
と、ペレット製造時にガラス繊維が樹脂になじまず、樹
脂に含浸するのが困難となる一方、25μmを超える
と、曲げ強度、剛性、衝撃強度が低下するとともに、外
観も悪くなり、また、溶融混練時に切断、欠損が起こり
やすくなる。
【0022】また、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレッ
トを製造するにあたり、ガラス繊維は、カップリング剤
で表面処理した後、収束剤により、100〜10000
本、好ましくは、150〜5000本の範囲で束ねてお
くことが望ましい。カップリング剤としては、いわゆる
シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤とし
て従来からあるものの中から適宜選択することができ
る。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン等のアミノシランやエポキシシラ
ンが採用できる。特に、前記アミノ系シラン化合物を採
用するのが好ましい。
【0023】このようなカップリング剤を用いてガラス
繊維の表面処理を行うにあたり、前述のカップリング剤
を有機溶媒に混ぜた有機溶媒液あるいは混濁液を、いわ
ゆるサイジング剤としてガラス繊維に塗布するサイジン
グ処理の他、乾式混合およびスプレー法等が採用でき
る。また、表面処理を行うにあたり、前述のカップリン
グ剤とともに、ガラス用フィルム形成物質を併用するこ
とができる。このフィルム形成物質としては、例えば、
ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル
系、酢酸ビニル系およびイソシアネート系等の重合体を
採用できる。
【0024】収束剤としては、例えば、ウレタン系、オ
レフィン系、アクリル系、ブタジエン系およびエポキシ
系等が採用でき、これらのうち、ウレタン系およびオレ
フィ系が採用できる。これらのうち、ウレタン系収束剤
は、通常、ジイソシアネート化合物と多価アルコールと
の重付加反応により得られるポリイソシアネートを50
重量%以上の割合に含有するものであれば、油変性型、
湿気硬化型およびブロック型等の一液タイプ、および、
触媒硬化型およびポリオール硬化型等の二液タイプのい
ずれもが採用できる。一方、オレフィン系収束剤として
は、不飽和カルボン酸、または、その誘導体で変性され
た変性ポリオレフィン系樹脂が採用できる。
【0025】ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレットは、
このようなガラス繊維および前述した熱可塑性樹脂を用
いて、引き抜き成形法、或いは、溶液含浸法等により製
造できる。すなわち、上述のような収束剤で収束したガ
ラス繊維に、熱可塑性樹脂を付着・含浸させることによ
り、ガラス繊維を含有する樹脂ペレットを製造できる。
ガラス繊維に熱可塑性樹脂を付着・含浸させる方法とし
ては、例えば、容器等に入れた溶融樹脂の中にガラス繊
維束を通して樹脂を含浸させる方法、サスペンジョン、
エマルジョンによりガラス繊維束に樹脂を含浸させた
後、コーティング用ダイにガラス繊維束を通す方法、あ
るいは、ダイでガラス繊維の周りに付着した溶融樹脂を
押し広げてガラス繊維束に含浸させる方法等が採用でき
る。ここで、ガラス繊維束と熱可塑性樹脂とをよくなじ
ませる、すなわち濡れ性を向上するために、内周に凹凸
部が設けられたダイの内部に、張力が加えられたガラス
繊維束を通して引き抜くことで、溶融樹脂をガラス繊維
束に含浸させた後、さらに、このガラス繊維束を加圧ロ
ーラでプレスする工程が組み込まれた引抜成形法も採用
できる。なお、ガラス繊維と溶融樹脂とが互いによくな
じむ、濡れ性のよいものであれば、溶融樹脂がガラス繊
維に容易に含浸され、ペレットの製造が容易となるの
で、前述の収束剤でガラス繊維を収束する工程は、省略
できる場合がある。ここで、互いによくなじませる方法
としては、樹脂に極性を付与したり、ガラス繊維の表面
にカップリング剤と反応する官能基をグラフトしたりす
る方法が有効である。
【0026】以上のような方法で、樹脂が含浸された長
尺ガラス繊維束(ストランド等)を、繊維の長手方向に
沿って切断していけば、ペレットの全長と同じ長さの長
ガラス繊維を含んだ樹脂ペレットを得ることができる。
この際、樹脂ペレットとしては、ガラス繊維束がストラ
ンドにされ、その断面形状が略円形となった樹脂含有長
尺ガラス繊維束を切断したものに限らず、ガラス繊維を
平たく配列することにより、シート状、テープ状または
バンド状になった樹脂含有長尺繊維束を所定の長さに切
断したものでもよい。
【0027】また、樹脂ペレットには、必要に応じて、
安定剤、帯電防止剤、耐候剤、着色剤、短繊維、タルク
等の充填剤(フィラー)、各種エラストマ、各種難燃剤
(難燃助剤)、酸化防止剤、界面改質剤等を加えること
もできる。
【0028】そして、前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂
には、スプリングバック現象におけるガラス繊維の復元
力を補完するために、発泡剤を添加してもよい。この発
泡剤の含有量は、必要最低限に留めることが好ましく、
具体的には、発泡剤は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂1
00重量部に対して3重量部以下とすることが好まし
い。すなわち、発泡剤の含有量が3重量部を越えると、
シルバーマークが発生する場合があり、外観品質上の不
具合が生じるおそれがあるうえ、防水パン内部の空隙が
大きな中空部になって強度が低下する場合がある。
【0029】この発泡剤の種類は、熱により分解してガ
スを発生するものであれば、とくに限定されず、例え
ば、シュウ酸誘導体、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、
セミカルバジド、アジド化合物、ニトロソ化合物、トリ
アゾール、尿素およびその関連化合物、亜硝酸塩、水素
化物、炭酸塩ならびに重炭酸塩等が採用できる。さらに
具体的に例示すれば、アゾジカルボンアミド(ADC
A)、ベンゼンスルホヒドラジド、N,N−ジニトロペ
ンタメチレンテトラミン、テレフタルアジド等を採用で
きる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の各形態を図
面に基づいて説明する。 〈第一実施形態〉 〔射出成形機の構造〕図1には、本発明の第一実施形態
に係る射出成形機1が示されている。この射出成形機1
は、金型10の内部に溶融樹脂を充填して成形を行うも
のである。本実施形態の金型10は、固定金型11およ
び可動金型12に分割されたものであり、これらの固定
金型11および可動金型12の間にキャビティ10Aが
形成されている。射出成形機1は、金型10のキャビテ
ィ10Aに溶融樹脂を射出する射出装置1Aと、固定金
型11が取り付けられた固定盤3と、可動金型12が取
り付けられた移動盤4と、この移動盤4を固定盤3へ向
かって前進させるための型締装置5と、可動金型12を
固定金型11に対して進退させるための金型移動装置2
0とを備えている。
【0031】射出装置1Aは、図示しない射出シリンダ
の内部に供給された樹脂ペレットを、スクリュで混練し
ながら可塑化し、樹脂ペレットを可塑化した溶融樹脂
を、先端に設けられたノズル19から射出するものであ
る。移動盤4の固定盤3と反対側には、固定プレート7
が対向配置されている。この固定プレート7と固定盤3
との間には、タイバー8が架け渡され、前記移動盤4
は、このタイバー8に沿って摺動自在に設けられてい
る。
【0032】型締装置5は、固定プレート7に取り付け
られた油圧シリンダ装置6と、この油圧シリンダ装置6
のピストンロッド6Aが連結されたトグル機構9とを有
して構成されている。本実施形態の型締装置5は、油圧
シリンダ装置6の押圧力をトグル機構9で増力して移動
盤4を固定盤3に向かって前進させ、これにより、可動
金型12を固定金型11に密着させ、金型10の閉鎖を
行うものである。
【0033】移動盤4および固定盤3の間には、移動盤
4の移動方向に沿って型締め圧受けブロック3A,3B
が並設され、それぞれ固定盤3および移動盤4に固定さ
れている。これにより、移動盤4を前進させたときに、
固定盤3側の型締め圧受けブロック3Aに移動盤4側の
型締め圧受けブロック3Bが当接して、トグル機構9の
高圧型締め力を受けるとともに、固定盤3および移動盤
4の平行度を確保するようになっている。
【0034】金型移動装置20は、移動盤4および可動
金型12の間に介装され、移動盤4に取り付けられた固
定基板21と、この固定基板21と対向して可動金型1
2に取り付けられた移動基板22とを有して構成されて
いる。固定基板21には、可動金型12の移動方向に沿
って延びるガイドバー23が植設され、移動基板22
は、このガイドバー23に沿って摺動自在に設けられて
いる。これらの固定基板21および移動基板22の間に
は、テンションスプリング24が架け渡され、移動基板
22は、固定基板21に向かって常時付勢されている。
【0035】また、固定基板21および移動基板22の
間には、一対の傾斜部材31,32が設けられている。
これらの傾斜部材31,32は、それぞれ、可動金型1
2の移動方向に対して傾斜した傾斜面31A, 32Aを
それぞれ有し、これらの傾斜面31A, 32Aを互いに
面接触させた状態で、可動金型12の移動方向に沿って
配列されている。移動基板22側の傾斜部材32は、当
該移動基板22に固定され、固定基板21側の傾斜部材
31は、当該固定基板21の表面に沿って摺動可能に設
けられている。この傾斜部材31には、油圧シリンダ装
置34のピストンロッド34Aが連結され、傾斜部材3
1を可動金型12の移動方向と直交する方向に駆動する
ようになっている。これにより、傾斜部材31を進退さ
せることにより、傾斜部材32が可動金型12の移動方
向に沿って進退するようになっている。
【0036】本実施形態の金型移動装置20において
は、傾斜部材31を傾斜部材32に対して前進させるこ
とにより、傾斜部材32を可動金型12とともに固定盤
3に向かって前進させ、キャビティ10Aの溶融樹脂に
圧縮力を加えるようになっている。これと逆に、傾斜部
材31を傾斜部材32に対して後退させることにより、
傾斜部材32を可動金型12とともに移動盤4に向かっ
て後退させ、これにより、キャビティ10Aを拡張する
ようになっている。また、傾斜部材31を静止させるこ
とにより、可動金型12を所望の位置に静止させ、固定
金型11の成形面と可動金型12の成形面とのクリアラ
ンス、つまり、キャビティ10Aの厚さを所定の厚さに
維持するようになっている。
【0037】このような金型移動装置20に油圧を供給
するために、油圧シリンダ装置34には、油圧ユニット
30が接続されている。この油圧ユニット30には、当
該油圧ユニット30を制御して、金型移動装置20に所
望の動作を行わせるための制御装置33が接続されてい
る。この制御装置33は、デジタルシーケンサ等のシー
ケンス制御回路を有するものであり、可動金型12をキ
ャビティ10Aに対して段階的に前進後退させ、所定の
位置に一時停止させた後に、後退させる等、任意の異な
る動作を連続的に行わせることが可能となっている。な
お、金型移動装置20は、油圧式のものに限定されず、
例えば、空気圧式、或いは、電動式としてもよい。
【0038】〔金型およびガスピンの構造〕金型10の
可動金型12の成形面は、成形品の意匠面を成形する成
形面とされ、固定金型11の成形面は、成形品の裏面を
成形する成形面11Aを含んで構成されている。
【0039】この固定金型11には、キャビティ10A
の溶融樹脂の内部にガスを注入するための一対のガスピ
ン13が設けられている。これらのガスピン13は、前
記成形面11Aに開口し、成形品の意匠面とは反対側の
裏面側からガスを注入するようになっている。これによ
り、ガスの注入によって成形品の外観が損なわれること
はない。なお、ガスピン13の数は、二つに限定され
ず、例えば、一つであってもよく、或いは、三つ以上と
してもよいが、ガスを成形品の内部に均一に注入するた
めには、複数のガスピンを設けることが好ましい。
【0040】これらのガスピン13のうち少なくとも一
つのガスピン13Aは、必要に応じて、ガスの一部を溶
融樹脂の内部から金型10の外部へ排出するための排出
路としても使用できるように構成されている。また、金
型10には、排出路となるガスピン13Aを開閉して溶
融樹脂の内部のガス圧力を所定の圧力に制御する圧力調
整弁(図示省略)が設けられている。これにより、溶融
樹脂内部のガス圧力が高くなった場合に、このガスピン
13Aを通じてガスを排出することで、溶融樹脂内部の
ガスの圧力を一定に保持できるとともに、溶融樹脂の冷
却速度を大幅に向上できる。
【0041】このようなガスピン13は、図2に示すよ
うに、固定金型11の成形面11Aから若干突出するよ
うに設けられている。具体的には、ガスピン13の全長
を30〜50mm程度とした場合、ガスピン13の成形
面11Aからの突出長さは、2mm程度である。本実施
形態のガスピン13は、その軸方向に沿ってガスを流通
可能にされたガス流路41を備えている。このガス流路
41には、ガス導入路52を介してガス注入装置(図示
省略)が接続され、ガス注入装置から供給されるガス
を、ガス導入路52およびガス流路41を介して、キャ
ビティ10Aに導入できるようになっている。なお、ガ
ス導入路52は、固定金型11に螺入されたガスタップ
51を含んで構成されている。
【0042】ガスピン13は、円筒状の外筒部42と、
この外筒部42に挿入された中子部43とを備え、これ
らの外筒部42および中子部43の間に前記ガス流路4
1が形成されている。外筒部42は、ガス流路41の入
口側(ガス導入路52側)の端部にリング状の鍔部42
1を備え、この鍔部421により、固定金型11から脱
落しないようになっている。中子部43は、図3および
図4にも示すように、外筒部42に略緊結した状態で挿
入された略円柱状の中子部本体431と、この中子部本
体431のうちガス流路41の入口側の端部に設けられ
た係止部432とを有して略T字状に形成されている。
この係止部432は、外筒部42の開口を覆う円盤状に
形成され、外筒部42の鍔部421にねじ等の止着手段
(図示省略)により固定されている。また、係止部43
2には、四つのスリット45が形成され、ガス流路41
の入口を構成している。このような係止部432の周囲
には、ガスの漏洩を防止するためのシール材44が設け
られている。
【0043】中子部本体431の周面には、切削加工等
により、その軸心と平行な平面部46A,46Bが等間
隔に形成され、それぞれ係止部432の各スリット45
に対応した位置に設けられている。これにより、中子部
43と外筒部42との間には、平面部46A,46Bと
外筒部42の内周面とに囲まれた四つのガス流路41が
形成されている。各平面部46A,46Bは、それぞれ
二つに区画され、具体的には、ガス流路41の入口側の
入口側平面部46Aおよび出口側の出口側平面部46B
により構成されている。出口側平面部46Bは、入口側
平面部46Aよりも幅狭、つまり浅く切削され、これに
より、ガス流路41の出口側の部分は、入口側の部分よ
りも狭くなっている。
【0044】また、中子部本体431のガス流路41出
口側の先端は、その軸方向と略直交する平面状の先端面
43Bとされている。外筒部42は、この先端面43B
よりもガス出口側に突出し、これにより、ガスピン13
のガス注入方向先端には、外筒部42の端部および先端
面43Bに囲まれた先端空間40が形成されている。な
お、先端面43Bからの外筒部42の突出長さは、例え
ば、0.1〜10mmとすることができるが、成形品の
ガスピン13からの離型性を良好にするためには、0.
1mm〜3mmとすることが好ましい。
【0045】〔防水パンの構造〕次に、図5を参照し
て、以上に述べた金型10および射出成形機1を用いて
成形される本実施形態の防水パン60について説明す
る。防水パン60は、ユニットバス等の浴室に用いられ
るものであり、矩形平板状の床部61と、この床部61
の周縁から立ち上がる段付きになった立上部62とを一
体的に成形したものである。この床部61の中央部分に
は、高床部61Aが形成され、この高床部61Aの上に
浴槽(図示省略)を設置するようになっている。また、
床部61には、排水孔61Bが形成されている。この防
水パン60の意匠面、つまり、床部61側の面は、金型
10の可動金型12の成形面により成形され、防水パン
60の裏面は、固定金型11の成形面11Aにより成形
される。
【0046】このような本実施形態の防水パン60は、
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂からなり、具体的には、熱
可塑性樹脂である不飽和カルボン酸類変成ポリオレフィ
ン含有ポリプロピレン系樹脂を、ガラス繊維で強化した
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂により形成され、ガラス繊
維を10〜70重量%含有している。また、防水パン6
0は、その内部に連続した空隙(図示省略)を備えてい
る。この空隙は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を成形時
に膨張させることによって形成されたものであり、当該
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の膨張倍率は、1.3〜4
倍とされている。また、その表面は、空隙のない層で形
成されており、外観も良好である。
【0047】〔防水パンの成形手順〕本実施形態では、
前述した射出成形機1および金型10を用い、射出圧縮
成形法により、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させ
て、前記防水パン60を成形する。すなわち、原材料の
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂として、ガラス繊維含有熱
可塑性樹脂ペレットを用いる。このガラス繊維含有熱可
塑性樹脂ペレットは、ポリプロピレンを主原料とし、全
長が2〜100mmの範囲にされたペレットであり、そ
の全長に等しい長さの補強用ガラス繊維が、互いに平行
に配列された状態となって全体の10〜70重量%含ま
れている。なお、原材料として、前述のガラス繊維含有
熱可塑性樹脂ペレットと、ガラス繊維を含まない他の樹
脂ペレットとを混合した混合物を採用する場合には、ガ
ラス繊維が当該原材料全体の10〜70重量%の範囲で
含有されているものを採用できる。
【0048】また、原材料には、必要に応じて、当該原
材料100重量部に対して3重量部以下の発泡剤を含有
させることができ、この発泡剤の添加は、発泡剤を含有
するマスターバッチペレットを、前述の樹脂ペレットに
混入することで行う。
【0049】このような原材料としての樹脂ペレット
を、射出装置1Aの射出シリンダ(図示省略)に供給し
た後、射出成形機1を起動して、射出シリンダ内の樹脂
ペレットの可塑化および混練を開始する。この際、射出
シリンダ内で、樹脂ペレットの可塑化および混練を充分
行うことにより、成形品を成形するのに必要な量の溶融
樹脂を得るとともに、溶融樹脂内のガラス繊維を、均一
に分散させ、かつ、互いに充分絡み合った状態にし、ス
プリングバック現象が発生しやすい状態にする。
【0050】そして、型締装置5を作動させ、移動盤4
を固定盤3に向かって移動させ、図1の如く、移動盤4
側の型締め圧受けブロック3Bを、固定盤3側の型締め
圧受けブロック3Aに当接させるとともに、可動金型1
2を固定金型11に当接させて、これにより、金型10
を閉鎖する。
【0051】次いで、金型移動装置20を作動させ、図
6(A)に示されるように、可動金型12を位置Uに移
動し、キャビティ10Aの厚さ寸法をt1にする。ここ
で、位置Uに静止した可動金型12が形成するキャビテ
ィ10Aの厚さt1は、厚さt1となったキャビティ10A
が、溶融樹脂の全射出量に相当する容積よりも拡大され
るように設定し、具体的には、充填する樹脂量分と後の
圧縮工程における圧縮ストローク分とを合わせた厚さと
する。
【0052】この状態で、射出装置1Aから溶融樹脂を
金型10内に射出し、溶融樹脂の全充填量がキャビティ
10Aに射出されたら、溶融樹脂の射出を完了する。こ
のように、充填する溶融樹脂に応じた容積よりも拡大さ
れたキャビティ10Aに溶融樹脂を射出することで、キ
ャビティ10Aの容積を溶融樹脂の量に対応させた場合
よりも、低い樹脂圧で射出できるとともに、ガラス繊維
の折損を低減できる。
【0053】そして、溶融樹脂の射出完了前、或いは、
射出完了と同時に、金型移動装置20を作動させ、図6
(B)に示されるように、可動金型12を位置Vまで前
進させ、キャビティ10Aの厚さ寸法をt2とする。ここ
で、位置Vに静止した可動金型12が形成するキャビテ
ィ10Aの厚さt2は、厚さt2となったキャビティ10A
が、溶融樹脂の充填量に相当する容積となるように設定
する。このように、可動金型12をキャビティ10Aに
対して前進させることで、溶融樹脂を圧縮してキャビテ
ィ10Aに完全に充満させる。すると、溶融樹脂に加わ
る圧縮力により、当該溶融樹脂が金型10の成形面に押
圧されて密着し、成形面に倣ったスキン層が溶融樹脂の
表面に形成される。なお、溶融樹脂の圧縮における圧縮
ストローク(t1−t2)は、射出樹脂圧力を低くするとと
もにガラス繊維の折損を低減するためには、0.1〜5
0mmとすることが好ましく、フローマーク等の外観不
良やガラス繊維の折損を確実に防止するためには、1〜
10mmとすることが好ましい。
【0054】可動金型12が位置Vに到達し、溶融樹脂
の表面に所定の固化層が形成されたら、図6(C)に示
すように、キャビティ10Aが防水パン60に応じた容
積となる位置Wまで可動金型12を後退させ、当該キャ
ビティ10Aの厚さ寸法をt3にして、溶融樹脂を膨張さ
せる。ここで、位置Wに静止した可動金型12が形成す
るキャビティ10Aの厚さt3は、膨張倍率が1.3〜4
倍の範囲となるように、当該厚さt3と溶融樹脂の充填量
分の厚さt2との関係において、t3/t2が1.3〜4の範
囲となるように設定する。また、可動金型12の後退速
度は、例えば、0.05〜100mm/秒の範囲とする
ことができるが、成形面に忠実な表面形状を備えた成形
品を得るためには、0.05〜50mm/秒の範囲とす
ることが好ましい。
【0055】このように、可動金型12をキャビティ1
0Aに対して後退させることで、ガラス繊維によるスプ
リングバック現象が発生し、溶融樹脂内で押し潰されて
いたガラス繊維の弾性的な復元力で溶融樹脂が膨張し
て、溶融樹脂の内部に無数の空隙が発生し、これらの空
隙は互いに連続したものとなる。これにより、使用した
原材料の量よりも容積が大きく軽量化された防水パン6
0が得られる。
【0056】可動金型12が位置Wに到達したら、ガス
導入路52を通じてガスピン13から溶融樹脂の内部に
ガスを注入する。ここで、ガスとして、温度が15℃以
下のもの、とくに、0℃以下のものを用いることで、冷
却効率を高めることができる。さらに、注入するガスの
圧力は、例えば、ゲージ圧で、0.01〜20MPaの
範囲とすることができるが、0.1〜2MPaの範囲と
することで、樹脂内部に大きな中空部が発生することが
なくなって優れた強度を確保できるうえ、溶融樹脂と金
型10の成形面との間にガスが漏洩しにくくなるので、
シルバーマーク等の外観不良の発生を防止できる。
【0057】このガス注入工程では、外筒部42が中子
部43よりもガス出口側に突出したガスピン13を用い
るため、ガス流路41から流出したガスは、外筒部42
および中子部43の先端面43Bに囲まれた先端空間4
0に滞留し、先端空間40における圧力が高くなって溶
融樹脂の内部に押し出される。従って、ガスは、溶融樹
脂の最表面層を突き破って溶融樹脂の内部に確実に導入
されるので、金型10の成形面と溶融樹脂との間に逃げ
ることがなくなり、ヒケ等の外観上の不具合を確実に防
止できる。
【0058】また、ガス注入の際には、前述した圧力調
整弁によって保持する溶融樹脂内部のガス圧力を、注入
するガスの圧力よりも低く設定する。すると、ガスピン
13Aが排出路となり、溶融樹脂の内部からガスの一部
が金型10の外部に排出され、このガス排出によって、
溶融樹脂の内部にガスが流通して当該溶融樹脂が冷却さ
れるので、冷却時間を短縮できる。
【0059】このようにして、溶融樹脂が完全に冷却・
硬化する前にガスを注入すると、ガスは、溶融樹脂内部
の連続した無数の空隙の各々に分散して導入されるの
で、大きな中空部が形成されることはない。また、溶融
樹脂は、ガスの圧力によってその内部から金型10の成
形面に向かって押圧されて密着し、その状態を維持した
まま冷却・硬化するため、防水パン60の表面にヒケ等
の不具合が生じることはない。
【0060】成形品である防水パン60を充分冷却する
のに必要な所定時間が経過したら、型締装置5を作動さ
せて移動盤4を後退させ、金型10を開く。そして、金
型10の内部から防水パン60を取り出し、成形を完了
する。以降、必要に応じて、以上のような成形作業を繰
り返す。
【0061】このような成形手順により、膨張倍率1.
3〜4倍の防水パン60が得られ、その内部には、相互
に連続する多数の空隙が確実に形成される。また、防水
パン60に含まれるガラス繊維の平均繊維長は、2〜3
0mmの範囲となり、充分な剛性および衝撃強度の向上
を図ることができる。
【0062】〔第一実施形態の効果〕このような本実施
形態によれば、以下のような効果がある。すなわち、防
水パン60の内部の空隙は、ガラス繊維含有熱可塑性樹
脂を膨張させることにより形成されるので、成形時に発
生する内部応力を小さくできるから、防水パン60のそ
りを確実に低減できる。また、ガラス繊維含有熱可塑性
樹脂を膨張させて防水パン60を成形するので、原材料
の使用量を減少させることができるから、防水パン60
を軽量化できるうえ、材料コストを低減できる。さら
に、防水パン60の内部の空隙は互いに連続しているた
め、充分な軽量化を達成できる。そして、防水パン60
は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂により形成され、ま
た、スキン層が形成されているため、ガラス繊維によっ
て機械的強さを増すことができるから、高い曲げ強度、
剛性および優れた衝撃強度を確保できるうえ、リサイク
ルや焼却処理できるので廃棄処理問題を解消できる。
【0063】さらに、防水パン60は、ガラス繊維を1
0〜70重量%含有するものであるため、充分な剛性お
よび衝撃強度を確保できるとともに、スプリングバック
現象による充分な膨張効果が得られるうえ、良好な外観
を確保できる
【0064】また、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の膨張
倍率は、1.3〜4倍とされているので、空隙を確実に
連続させることができるから、防水パン60を充分に軽
量化できるうえ、空隙が大きな中空部になることを防止
できるから、衝撃強度を確実に向上できる。
【0065】また、熱可塑性樹脂にガラス繊維を含有さ
せた原材料を用いて防水パン60を成形するので、膨張
工程において、可動金型12を後退させてキャビティ1
0Aを拡張することで、ガラス繊維によるスプリングバ
ック現象が発生し、溶融樹脂を膨張させることができ
る。従って、この溶融樹脂の膨張によって、防水パン6
0の内部に連続した空隙を形成することができるので、
成形時に発生する内部応力を小さくでき、防水パン60
のそりを確実に低減できる。
【0066】さらに、溶融樹脂を膨張させた後に、当該
溶融樹脂の内部にガスを注入するので、スプリングバッ
ク現象による溶融樹脂の膨張を補完できるから、溶融樹
脂を防水パン60に応じた容積まで確実に膨張させるこ
とができるうえ、溶融樹脂を金型10の成形面に押圧し
て密着させることができるから、ヒケの発生を防止でき
る。
【0067】そして、溶融樹脂をその充填量よりも拡大
されたキャビティ10Aに射出してから、当該キャビテ
ィ10Aを前記溶融樹脂の充填量に相当する容積まで縮
小することで溶融樹脂を圧縮するため、溶融樹脂をキャ
ビティ10Aの細部にまで充分に行き渡らせることがで
きる。従って、防水パン60の肉厚が薄い場合や、大型
の防水パン60を成形する場合でも、金型10の成形面
に忠実な防水パン60を確実に成形できる。
【0068】〈第二実施形態〉本第二施形態は、前記第
一実施形態において、防水パン60の成形を射出成形法
により行うものであり、成形手順が異なるのみであるた
め、同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略
し、以下には異なる部分のみを詳述する。図7には、本
第二実施形態の防水パンの成形手順が示されている。本
実施形態では、キャビティ10Aを溶融樹脂の充填量に
相当する容積とした状態で溶融樹脂の射出・充填を行
い、前記第一実施形態における樹脂の圧縮を省略する。
【0069】すなわち、金型10を閉鎖した後、金型移
動装置20を作動させ、図7(A)に示されるように、
可動金型12を位置Vに移動し、キャビティ10Aの厚
さ寸法をt2にする。ここで、位置Vに静止した可動金型
12が形成するキャビティ10Aの厚さt2は、前記第一
実施形態と同様に、厚さt2となったキャビティ10A
が、溶融樹脂の充填量に相当する容積となるように設定
する。この状態で、前記第一実施形態と同様に、射出装
置1Aから溶融樹脂を金型10内に射出し、溶融樹脂の
全充填量がキャビティ10Aに射出されたら、溶融樹脂
の射出を完了する。このように、充填する溶融樹脂に対
応する容積としたキャビティ10Aに溶融樹脂を射出す
ることで、当該溶融樹脂が金型10の成形面に押圧され
て密着し、成形面に倣ったスキン層が溶融樹脂の表面に
形成される。
【0070】溶融樹脂の表面に所定の固化層が形成され
たら、前記第一実施形態と同様にし、図7(B)に示す
ように、キャビティ10Aが防水パン60に応じた容積
となる位置Wまで可動金型12を後退させ、当該キャビ
ティ10Aの厚さ寸法をt3にして、溶融樹脂を膨張させ
る。このように、可動金型12をキャビティ10Aに対
して後退させることで、ガラス繊維によるスプリングバ
ック現象が起こり、溶融樹脂の内部に互いに連続した無
数の空隙が発生する。これにより、使用した原材料の量
よりも容積が大きく軽量化された防水パン60が得られ
る。
【0071】そして、可動金型12が位置Wに到達した
ら、前記第一実施形態と同様にして、ガス導入路52を
通じてガスピン13から溶融樹脂の内部にガスを注入
し、ヒケ等の不具合の発生を防止する。ガスの注入が完
了し、防水パン60が冷却されたら、金型10を開いて
防水パン60を取り出し、成形を完了する。以降、必要
に応じて、以上のような成形作業を繰り返す。
【0072】このような本実施形態によれば、前記第一
実施形態と同様な作用、効果を奏することができる他、
射出圧縮成形法により防水パン60を成形するよりも、
成形工程を単純化できる。
【0073】なお、本発明は前記各実施形態に限定され
るものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等
を含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれ
る。すなわち、前記各実施形態の防水パン60は、浴槽
を別途組み込むように構成されていたが、例えば、浴槽
と一体的に成形されたものであってもよく、或いは、浴
室の洗い場のみを構成するものであってもよい。さら
に、防水パンは、浴室用のものに限定されず、洗濯機等
の水を使う機器の設置用のものであってもよい。要する
に、本発明の防水パンは、内部に、ガラス繊維含有熱可
塑性樹脂を膨張させることにより形成された互いに連続
する空隙を有するものであれば、その形状や用途は、任
意である。
【0074】そして、前記各実施形態では、可動金型を
固定金型に対して進退させることでキャビティの容積を
変化させたが、可動金型および固定金型のいずれか一方
に、単独で進退可能な部分移動型を設け、型締め後にこ
の部分移動型のみ進退させることにより、キャビティの
容積を変化させてもよい。この場合、部分移動型の進退
は、前記各実施形態の金型移動装置を用いて行ってもよ
く、或いは、部分移動型を進退させる機構を金型内部に
設けてもよい。
【0075】
【実施例】次に、本発明の効果を、具体的な実施例に基
づいて説明する。 〔実施例1〕本実施例1は、前記第一実施形態に基づい
て防水パンの成形を行う実験であり、以下の具体的な原
材料、金型および成形条件等を採用した。 (1)原材料 引き抜き成形して所定長さに切断したガラス繊維強化ポ
リプロピレンペレットと、ポリプロピレンペレットと
を、ガラス繊維が原材料全体の40重量%となるように
ドライブレンドしたもの。 ガラス繊維強化ポリプロピレンペレット:無水マレイン酸類変成ポリプロピレ ンを2重量%含有するポリプロピレンを用いて製造したもの ・ペレットの長さ ; 8mm ・ペレットのガラス繊維含有量 ; 65重量% ・ガラス繊維の長さ ; 8mm(ペレットの長さと同じ) ポリプロピレンペレット(ブロックポリマー) ・メルトインデックス(MI) : 60g/10分〔230 ℃,2.16kgf〕
【0076】(2)防水パン ・縦寸法 : 1600mm ・横寸法 : 1200mm ・高さ寸法 : 240mm ・高床部の高さ寸法 : 30mm ・高床部の縦寸法 : 1200mm ・高床部の横寸法 : 800mm ・床部の肉厚 : 6mm
【0077】(3)金型 ・前述した防水パンを成形するためのキャビティを有す
る金型。 ・可動金型の進退により、防水パンの厚さ方向のキャビ
ティの寸法が可変とされたもの。 (4)成形機:横型射出成形機に、金型移動装置である
出光石油化学株式会社製の出光IPMユニット(商品
名)を装着したもの ・型締装置の型締め力 : 4200t
【0078】(5)成形条件:前記第一実施形態におけ
る射出圧縮成形法に基づいて成形を行った。 成形温度 ; 250℃(射出シリンダ温度) 金型温度 ; 60℃ キャビティの厚さ寸法(図6参照) ・樹脂射出時の寸法t1 ; 7mm ・樹脂圧縮時の寸法t2 ; 3mm ・樹脂膨張時の寸法t3 ; 6mm(膨張倍率2倍) 可動金型進退開始のタイミング ・前進開始 ; 2秒後(射出開始から) ・後退開始 ; 2秒後(圧縮完了から) ガス注入のタイミング ; 1秒後(後退開始から) ガスの圧力 ; 0.8MPa ガスの種類 ; 窒素ガス
【0079】〔実施例2〕本実施例2では、前記実施例
1における条件を以下のように変更したうえで、前記実
施例1と同様にして防水パンを得た。
【0080】(1)原材料 ガラス繊維強化ポリプロピレンペレットおよびポリプロ
ピレンペレットを、ガラス繊維含有量が20重量%とな
るようにドライブレンドした混合物100重量部に、発
泡剤を0.3重量部添加したもの。なお、発泡剤の添加
は、発泡剤を30重量%含有するマスターバッチペレッ
トを1重量部添加することにより行った。 ガラス繊維強化ポリプロピレンペレット:無水マレイン酸類変成ポリプロピレ ンを2重量%含有するポリプロピレンを用いて製造したもの ・ペレットの長さ : 12mm ・ペレットのガラス繊維含有量 : 60重量% ・ガラス繊維の長さ : 12mm(ペレットの長さと同じ) ポリプロピレンペレット: 前記実施例1と同じもの マスターバッチペレット: ポリスレンEV−306G(商品名), 永和化成工業株式会社製
【0081】(2)防水パン ・床部の肉厚 : 7.5mm (3)成形条件 キャビティの厚さ寸法(図6参照) ・樹脂射出時の寸法t1 ; 7mm ・樹脂圧縮時の寸法t2 ; 3mm ・樹脂膨張時の寸法t3 ; 7.5mm(膨張倍率2.5倍) 可動金型進退開始のタイミング ・前進開始 ; 2秒後(射出開始から) ・後退開始 ; 2秒後(圧縮開始から) ガス注入のタイミング ; 1秒後(後退開始から) ガスの圧力 ; 0.5MPa
【0082】〔実施例3〕本実施例3は、前記第二実施
形態に基づいて防水パンの成形を行う実験であり、以下
の成形条件を採用した。なお、原材料、防水パン、金型
および成形機については、前記実施例2と同様である。 (1)成形条件:前記第二実施形態における射出成形法
に基づいて成形を行った。 成形温度 ; 250℃(射出シリンダ温度) 金型温度 ; 60℃ キャビティの厚さ寸法(図7参照) ・樹脂射出時の寸法t2 ; 5mm ・樹脂膨張時の寸法t3 ; 10mm(膨張倍率2.0倍) 可動金型の進退のタイミング ・後退開始のタイミング ; 2秒後(射出完了から) ガス注入のタイミング ; 1秒後(後退開始から) ガスの圧力 ; 0.8MPa ガスの種類 ; 窒素ガス
【0083】〔比較例1〕本比較例1では、前記実施例
1において、膨張工程およびガス注入工程を省略して、
防水パンを成形した。すなわち、キャビティの厚さ寸法
を3mmに保持したまま、可動金型を進退させないで成
形を行った。
【0084】〔比較例2〕前記実施例2における条件を
以下のように変更したうえで、前記実施例2と同様にし
て、本比較例2の防水パンを得た。 (1)原材料:短繊維GFPP(繊維強化ポリプロピレ
ン)100重量部に、発泡剤を1.5重量部添加したも
の。 なお、発泡剤の添加は、発泡剤を30重量%含有するマ
スターバッチペレットを5重量部混入させることにより
行った。 短繊維GFPP ・ペレットの長さ : 3mm ・ペレットのガラス繊維含有量 : 30重量% ・ガラス繊維の長さ : 0.42mm マスターバッチペレット : 前記実施例2と同じもの
【0085】(2)成形条件:ガス注入工程を省略し、
樹脂膨張時のキャビティの厚さ寸法t3を5mmとした以
外は、実施例2と同様
【0086】〔比較例3〕本比較例3では、前記実施例
3において、膨張工程およびガス注入工程を省略して、
防水パンを成形した。すなわち、キャビティの厚さ寸法
を5mmに保持したまま、可動金型を進退させないで成
形を行った。
【0087】〔防水パンの評価〕以上の実施例1〜3お
よび比較例1〜3で得た各成形品(防水パン)につい
て、床部の肉厚、床部の膨張倍率、落球衝撃試験におけ
る50%破壊高さ、製品たわみ試験における変形量、そ
り量、製品の外観、製品の膨張状況をそれぞれ評価し
た。その結果を表1,2に示す。各項目の評価方法は、
次に示す通りである。
【0088】(1)落球衝撃試験 3.6kgの鋼球を高さ2mから防水パンの床部(平面
部)に落とし、破壊しないものを○(合格)、破壊した
ものを×(不合格)とした。 (2)製品たわみ試験 防水パンに浴槽を載せて、この浴槽に水を80%満たす
とともに、防水パンの中央部に100kgの荷重を加え
た。この状態で1時間放置した後、防水パンの変形量を
測定した。この試験においては、防水パンの変形量が3
mm以下のものを合格とした。 (3)そり量 各成形品を平板上に載置してそり量を測定した。この測
定において、そり量が3mm以下のものを合格とした。 (4)製品の外観 成形品(防水パン)の外観を目視により観察して評価し
た。 (5)製品の膨張状況 成形品(防水パン)の床部をその厚さ方向に切断し、そ
の切断面を目視により観察して、大きな中空部の有無お
よびその内部の膨張状況を評価した。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】〔評価結果〕実施例1,2,3では、成形
時に、原材料の溶融樹脂が充分に膨張して、防水パンの
内部に連続した無数の空隙が形成されるため、そり量を
少なくできるとともに充分な軽量化を達成できるうえ、
ガラス繊維による優れた剛性および衝撃強度を確保でき
ることがわかる。また、成形時にガスを注入したため、
シルバーマークやヒケ等の不具合のない良好な外観を有
する防水パンが得られることがわかる。
【0092】一方、比較例1,3では、キャビティを拡
張しないで成形を行ったので、原材料の溶融樹脂を充分
に膨張させることができず、防水パンの内部に連続した
空隙を形成できなかったため、そりを低減できないうえ
に、防水パンの軽量化を図れず、さらには、充分な剛性
および衝撃強度が得られないことがわかる。また、比較
例2では、ガラス繊維の繊維長が短いため、スプリング
バック現象による膨張が不充分になり、防水パンの内部
に大中空部が形成されて、そりの低減および強度の向上
を図れないことがわかる。
【0093】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させることによって
防水パンの内部に空隙を形成することで、成形時に発生
する内部応力を小さくできるから、そりを確実に低減で
きる。また、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させる
ので、当該樹脂の使用量を減少させることができるか
ら、防水パンを軽量化できるうえ、材料コストを低減で
きる。さらに、防水パンの内部の空隙は互いに連続して
いるため、充分な軽量化を達成できる。また、成形時に
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の内部にガスを注入するこ
とで、樹脂の冷却を促進できるので、良好な外観を確保
できるうえ、冷却効率効率の向上により生産性を高めら
れる。そして、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を用いるこ
とで、機械的強さを増すことができるから、高い剛性お
よび優れた衝撃強度を確保できるうえ、リサイクルや焼
却処理できるので廃棄処理問題を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態で用いる射出成形機を示
す図。
【図2】前記第一実施形態のガスピンの装着状態を示す
断面図。
【図3】前記第一実施形態のガスピンの中子部を示す斜
視図。
【図4】前記第一実施形態のガスピンの中子部を示す
図。
【図5】前記第一実施形態の防水パンを示す斜視図。
【図6】前記第一実施形態の防水パンの成形手順を示す
工程図。
【図7】本発明の第二実施形態の防水パンの成形手順を
示す工程図。
【符号の説明】
1 射出成形機 10 金型 10A キャビティ 11 固定金型 12 可動金型 13,13A ガスピン 60 防水パン

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス繊維含有熱可塑性樹脂からなる防
    水パンであって、 内部に、前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させる
    ことにより形成される連続した空隙を有することを特徴
    とする防水パン。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した防水パンにおいて、 前記ガラス繊維を10〜70重量%含有することを特徴
    とする防水パン。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載した防水
    パンにおいて、 前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の膨張倍率は、1.3
    〜4倍とされていることを特徴とする防水パン。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれかに
    記載した防水パンにおいて、 前記熱可塑性樹脂は、不飽和カルボン酸類変成ポリオレ
    フィン含有ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とす
    る防水パン。
  5. 【請求項5】 ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を可塑化し
    た溶融樹脂を、金型の内部に設けられたキャビティに射
    出して防水パンの成形を行う防水パンの製造方法であっ
    て、 前記溶融樹脂を前記キャビティに射出して充満させる充
    填工程と、 この充填工程の後に、前記キャビティを前記防水パンに
    応じた容積に拡張して前記溶融樹脂を膨張させ、前記溶
    融樹脂の内部に連続した空隙を形成する膨張工程とを含
    むことを特徴とする防水パンの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載した防水パンの製造方法
    において、 前記膨張工程を開始した後、前記溶融樹脂にガスを注入
    するガス注入工程を行うことを特徴とする防水パンの製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007007931A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Toyota Boshoku Corp 成形装置
US8096039B2 (en) 2003-08-11 2012-01-17 Cobra Golf Incorporated Golf club head with alignment system

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