JPH1142665A - 繊維含有樹脂の軽量化成形方法およびその装置 - Google Patents

繊維含有樹脂の軽量化成形方法およびその装置

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JPH1142665A
JPH1142665A JP9200156A JP20015697A JPH1142665A JP H1142665 A JPH1142665 A JP H1142665A JP 9200156 A JP9200156 A JP 9200156A JP 20015697 A JP20015697 A JP 20015697A JP H1142665 A JPH1142665 A JP H1142665A
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gas
fiber
mold
cavity
resin
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JP9200156A
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Atsushi Sato
佐藤  淳
Manabu Nomura
学 野村
Toru Shima
徹 嶋
Kaoru Wada
薫 和田
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形品の冷却時間を短縮できる繊維含有樹脂の
軽量化成形方法およびその装置を提供すること。 【解決手段】繊維含有熱可塑性樹脂原材料を用い、内部
のキャビティ10Aに対して進退可能となった移動型1
3を備えた金型10に、原材料を可塑化した溶融樹脂を
射出するとともに射出後にキャビティ10Aを拡大する
ことにより、成形品の成形を行うにあたり、キャビティ
10Aに形成された成形品の空隙へ液状冷媒を供給す
る。成型品の内部の空隙に供給された液状冷媒は、ガス
に比べて熱容量が大きいため、少量でも成型品の内部の
熱を奪うことになり、かつ、成型品の内部で液状冷媒が
気化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維含有樹脂の軽
量化成形方法およびその装置に関し、詳しくは、剛性お
よび強度に優れたガラス繊維等の繊維含有樹脂成形品を
軽量化する方法およびその装置に関する。
【0002】
【背景技術】従来より、ガラス繊維等の繊維を含有させ
ることで強化された繊維含有樹脂成形品が知られてい
る。この繊維含有樹脂成形品は、引っ張り強度、剛性お
よび耐熱性等の機械的特性に優れているので、インパネ
コア、バンパービーム、ドアステップ、ルーフ・ラッ
ク、リア・クォターパネル、エアクーナ・ケース、グロ
ーブリッド、各種ピラーおよびシートバック等の自動車
部品、外壁用パネル、間仕切壁用パネルおよびケーブル
・トラフ等の建築・土木用部材ならびに各種椅子等とし
て広く利用されている。このような繊維含有樹脂成形品
を製造するにあたり、金型の内部に繊維を含んだ溶融樹
脂を射出する射出成形方法を利用することができる。こ
の射出成形方法によれば、複雑な形状のものでも成形で
きるうえ、所定の成形サイクルを連続して繰り返すこと
が可能なため、同一形状のものを大量生産することがで
きるというメリットが得られる。
【0003】射出成形で成形された繊維含有樹脂成形品
は、強度や剛性を向上させるために、繊維量を増やす
と、成形品の重量が増大する傾向にあるので、重量軽減
のために、繊維含有樹脂中の繊維によりスプリングバッ
ク現象を発生させ、このスプリングバック現象で成形中
の樹脂を膨張させ、軽量成形品を得る膨張成形方法が提
案されている(特願平8-28841号)。しかし、この膨張
成形方法では、成型品内部に生じる空隙のため、熱伝導
率が小さくなって、冷却時間が長くなるという問題があ
った。特に、表皮材を成型品に一体成形した場合には、
表皮材で樹脂が断熱されて金型での冷却が追いつかず、
表皮材を貼らない場合では200秒で冷却できるのに対
して、表皮材を貼る場合では冷却時間が500秒とな
り、冷却時間が2倍以上必要であった。そこで、この問
題を解決するために、本出願人は膨張成型時に溶融樹脂
の内部へ低圧ガス(例えば、窒素ガス)を注入するガス
注入成形方法を提案した(特願平9-116929号)。この方
法では、注入されたガスが成型品の内部を冷却するの
で、ヒケ等の外観不良がなくなるだけでなく、冷却時間
が短くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特願平
9-116929号で記載されたガス注入成形方法では、成型品
を冷却するために多量の冷却ガスが必要とされる。その
ため、成型品の製造コストが高くなり、経済性に問題が
ある。つまり、一般的に、ガスは液体に比べて熱容量が
小さいため、射出成形によって、高温となった金型内の
成型品を冷却するには、多量のガスが必要とされ、か
つ、ガス自体の冷却温度も低いものでなければならな
い。冷却温度の低いガスを大量に成型品に供給するに
は、ガスを冷却する設備やガスを送るための配管設備等
が大がかりとなり、成型品を冷却するためのコストが高
いものとなる。これに対して、設備を大がかりにしない
で、成型品を冷却するには、冷却温度の低くないガスを
成型品に長時間送ることが必要とされるが、それでは、
冷却時間が長くなってしまう。また、特願平9-116929号
で記載されたガス注入成形方法において、表皮材を成型
品に一体成形した場合には、成型品を内部から冷却する
ことにより、冷却時間を100秒に短縮できるが、その
冷却時間をより短縮することが望まれている。
【0005】本発明の目的は、成形品の冷却時間を短縮
できる繊維含有樹脂の軽量化成形方法およびその装置を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維含有樹脂の
軽量化成形方法は、繊維含有熱可塑性樹脂原材料を用
い、内部のキャビティに対して進退可能となった移動型
を備えた金型に、前記原材料を可塑化した溶融樹脂を射
出するとともに、射出後に前記キャビティを拡大するこ
とにより、成形品の成形を行う繊維含有樹脂の軽量化成
形方法であって、前記キャビティに形成された成形品の
空隙へ液状冷媒を供給することを特徴とする。
【0007】このような本発明では、金型のキャビティ
内に溶融樹脂を射出し、射出後に移動型を移動する。こ
の移動型の移動に伴ってキャビティが拡大され、成型品
が成形されるが、この成型品の内部に生じる空隙に液状
冷媒を供給する。成型品の内部の空隙に液状冷媒が供給
されると、この液状冷媒は、ガスに比べて熱容量が大き
いため、少量でも成型品の内部の熱を奪うことになり、
かつ、成型品の内部で液状冷媒が気化することにより、
この気化熱で成型品が迅速に冷却される。ここで、本発
明では、前記キャビティの拡大は、溶融樹脂が前記キャ
ビティに充満した後に行うことにしてもよい。この構成
では、溶融樹脂を膨張させる前に、溶融樹脂の表面を冷
却して金型の成形面に倣ったスキン層を確実に成形でき
るから、外観品質に優れた成形品が得られるようにな
る。
【0008】また、前記液状冷媒は前記成形品の空隙へ
の供給がガスとともに行われ、かつ、気化されて前記金
型外へ放出される構成でもよい。この構成では、液状冷
媒は、ガスによって確実に成型品の内部空隙へ送られる
ことになり、この内部空隙で気化された後は金型外、つ
まり、成型品から放出されるので、熱が成型品内に蓄え
られることがなく、確実に成型品が冷却される。しか
も、キャビティ内の溶融樹脂は、ガスの圧力により、内
部から金型の成形面に向かって押圧され、表面が金型の
成形面に密着した状態を維持したまま冷却・硬化するの
で、表面にヒケ等の不具合が生じることがない。また、
注入したガスの圧力により、金型の成形面への樹脂の押
圧が持続されるので、冷却が促進され、この点からも冷
却時間が大幅に短縮される。
【0009】さらに、ガスとともに液状冷媒を成型品の
内部空隙に供給するにあたり、まず、前記ガスのみが前
記成形品の空隙へ供給され、その後、前記ガスとともに
前記液状冷媒が前記成型品に供給される構成としてもよ
い。この構成では、ガス注入により、スプリングバック
現象による溶融樹脂の膨張が補完されるので、内部空隙
が均一に形成され、この内部空隙に液状冷媒がガスによ
って確実に送り込まれるので、成型品の熱をガスが気化
することにより十分に奪うことができ、成型品の均一冷
却が促進される。
【0010】また、前記金型には、前記成形品の表面を
被覆するための表皮材が、成形前に予め装着されている
構成でもよい。なお、表皮材は成型品の全面被覆でも部
分被覆でもよい。このように、予め成形前に表皮材が装
着された金型を用いれば、表面が表皮材で被覆された積
層成形品が得られるようになる。ここで、表皮材として
は、織布や不織布等の布、熱可塑性樹脂面材、熱可塑性
樹脂の発泡面材、および、模様等が印刷されたフィルム
等の単層面材、ならびに、熱可塑性エラストマや塩化ビ
ニル樹脂等の表皮材に、熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂の
発泡体等からまる裏地材を裏打ちした多層面材が採用で
きる。
【0011】前記原材料は、全長が2〜100mmの範囲
にされるとともに、前記全長と等しい長さの繊維が、互
いに平行に配列された状態となって全体の20〜80重
量%含有された前記繊維含有熱可塑性樹脂ペレットを少
なくとも含み、前記繊維が当該原材料全体の5〜70重
量%とされた原材料であってもよい。繊維が互いに平行
に配列された状態となって全体の20〜80重量%含有
されたペレットを用いれば、射出装置のスクリュで可塑
化・混練を行っても、繊維の破断が起こりにくくなる。
繊維の長さが2mm未満では、ガスを注入しても、溶融樹
脂の膨張を補完できない場合がある一方、長さが100
mmを超えると、射出成形時にブリッジを起こしたり、可
塑化不良の原因となったりするため、成形が困難となる
場合がある。そして、繊維の含有率が全体の5重量%に
満たないと、スプリングバック現象による膨張が期待で
きないうえ、ガス注入により大きな中空部が溶融樹脂内
に発生するおそれがあり、成型品全体にわたってガスが
流通する連続した空隙の成形が困難になる場合があり、
また、成形品の軽量化および繊維による強化が図れなく
なる場合がある。一方、繊維の含有率が70重量%を超
えると、ガスを注入すべき溶融樹脂の量が少なくなり過
ぎ、成形性が低下し、溶融樹脂の表面と金型の成形面と
の間にガスが漏れ、シルバーマーク等の不具合が発生す
るおそれがあり、外観品質が損なわれる場合がある。
【0012】また、樹脂ペレットの主原料となる熱可塑
性樹脂としては、特に、制限はないが、例えば、ポリプ
ロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プ
ロピレン−エチレンランダム共重合体、ポリエチレン等
のポレオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS
樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂、ポリ芳香族エーテルまたはチオエーテル系
樹脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂
およびアクリレート系樹脂等が採用できる。ここで、上
記熱可塑性樹脂は、単独で用いることがもできるが、二
種類以上を組み合わせて用いてもよい。このような熱可
塑性樹脂のうち、ポリプロピレン、プロピレンと他のオ
レフィンとのブロック共重合体、ランダム共重合体、あ
るいは、これらの混合物などのポリプロピレン系樹脂が
好ましく、特に、不飽和カルボン酸、または、その誘導
体で変性された酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有する
ポリプロピレン系樹脂が好適である。
【0013】また、樹脂ペレットに含有される繊維とし
ては、以下の〜が採用でき、特に、ガラス繊維、炭
素繊維等を採用することが望ましい。 セラミック繊維:ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、アル
ミナ繊維、チッ化ケイ素繊維、ジルコニア繊維 無機繊維:ガラス繊維、炭素繊維 金属繊維:銅繊維、黄銅繊維、鋼繊維、ステンレス繊
維、アルミニウム繊維、アルミニウム合金繊維 有機繊維:超高分子量ポリエチレン繊維、ポリプロピ
レン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエ
ステル繊維、ポリアミド繊維
【0014】ここで、樹脂ペレットに含有されるガラス
繊維としては、E−ガラスまたはS−ガラスのガラス繊
維であって、その平均繊維径が25μm以下のもの、好
ましくは3〜20μmの範囲のものが採用できる。ガラ
ス繊維の径が3μm未満であると、ペレット製造時にガ
ラス繊維が樹脂になじまず、樹脂に含浸するのが困難と
なる一方、20μmを超えると、溶融混練時に切断、欠
損が起こりやすくなる。
【0015】これらの熱可塑性樹脂およびガラス繊維を
用い、引き抜き成形法等でペレットを製造するにあた
り、ガラス繊維は、カップリング剤で表面処理した後、
収束剤により、100〜10000本、好ましくは、1
50〜5000本の範囲で束ねておくことが望ましい。
カップリング剤としては、いわゆるシラン系カップリン
グ剤、チタン系カップリング剤として従来からあるもの
の中から適宜選択することができる。例えば、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
等のアミノシランやエポキシシランが採用できる。特
に、前記アミノ系シラン化合物を採用するのが好まし
い。このようなカップリング剤を用いてガラス繊維の表
面処理を行うにあたり、前述のカップリング剤を有機溶
媒に混ぜた有機溶媒液あるいは混濁液を、いわゆるサイ
ジング剤としてガラス繊維に塗布するサイジング処理の
他、乾式混合およびスプレー法等が採用できる。また、
表面処理を行うにあたり、前述のカップリング剤ととも
に、ガラス用フィルム形成物質を併用することができ
る。このフィルム形成物質としては、例えば、ポリエス
テル系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、酢酸ビ
ニル系およびイソシアネート系等の重合体が採用でき
る。収束剤としては、例えば、ウレタン系、オレフィン
系、アクリル系、ブタジエン系およびエポキシ系等が採
用でき、これらのうち、ウレタン系およびオレフィ系が
採用できる。これらのうち、ウレタン系収束剤は、通
常、ジイソシアネート化合物と多価アルコールとの重付
加反応により得られるポリイソシアネート50重量%以
上の割合に含有するものであれば、油変性型、湿気硬化
型およびブロック型等の一液タイプ、および、触媒硬化
型およびポリオール硬化型等の二液タイプのいずれもが
採用できる。一方、オレフィン系収束剤としては、不飽
和カルボン酸、または、その誘導体で変性された変性ポ
リオレフィン系樹脂が採用できる。
【0016】上述のような収束剤で収束したガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させることにより、ガラス
繊維を含有する樹脂ペレットが製造される。ガラス繊維
に熱可塑性樹脂を付着・含浸させる方法としては、例え
ば、容器等に入れた溶融樹脂の中に繊維束を通し、繊維
に樹脂を含浸させる方法、コーティング用ダイに繊維束
を通して含浸させる方法、あるいは、ダイで繊維の周り
に付着した溶融樹脂を押し広げて繊維束に含浸させる方
法等が採用できる。ここで、繊維束と樹脂とをよくなじ
ませる、すなわち濡れ性を向上するために、内周に凹凸
部が設けられたダイの内部に、張力が加えられた繊維束
を通して引き抜くことで、溶融樹脂を繊維束に含浸させ
た後、さらに、この繊維束を加圧ローラでプレスする工
程が組み込まれた引抜成形法も採用できる。なお、ガラ
ス繊維と溶融樹脂とが互いによくなじむ、濡れ性のよい
ものであれば、溶融樹脂がガラス繊維に容易に含浸さ
れ、ペレットの製造が容易となるので、前述の収束剤で
繊維を収束する工程は、省略できる場合がある。ここ
で、互いによくなじませる方法としては、樹脂に極性を
付与したり、ガラス繊維の表面にカップリング剤と反応
する官能基をグラフトしたりする方法が有効である。
【0017】以上のような方法で、樹脂が含浸された長
尺繊維束(ストランド等)を、繊維の長手方向に沿って
切断していけば、ペレットの全長と同じ長さの長繊維を
含んだ樹脂ペレットを得ることができる。この際、樹脂
ペレットとしては、繊維束がストランドにされ、その断
面形状が略円形となった樹脂含有長尺繊維束を切断した
ものに限らず、繊維を平たく配列することにより、シー
ト状、テープ状またはバンド状になった樹脂含有長尺繊
維束を所定の長さに切断したものでもよい。本発明成形
方法にあっては、前述のように原材料100重量部に対
して3重量部以下、具体的には、0.01〜3重量部の
発泡剤を含ませることができる。ここで、発泡剤の種類
は、熱により分解してガスを発生するものであれば、限
定されない。例えば、シュウ酸誘導体、アゾ化合物、ヒ
ドラジン誘導体、セミカルバジド、アジド化合物、ニト
ロソ化合物、トリアゾール、尿素およびその関連化合
物、亜硝酸塩、水素化物、炭酸塩ならびに重炭酸塩等が
採用できる。さらに具体的に例示すれば、アゾジカルボ
ンアミド(ADCA)、ベンゼンスルホヒドラジド、
N,N−ジニトロペンタメチレンテトラミン、テレフタ
ルアジド等が採用できる。また、必要により、安定剤、
帯電防止剤、耐候剤、着色剤、短繊維、タルク等の充填
剤を加えることもできる。
【0018】また、前述の繊維含有樹脂の軽量化成形方
法を実施するため、本発明の繊維含有樹脂の軽量化成形
装置は、繊維含有熱可塑性樹脂原材料を可塑化して溶融
樹脂を射出する射出装置と、この射出装置で射出された
溶融樹脂が収納されるキャビティが形成されこのキャビ
ティに対して進退可能となった移動型を備えた金型と、
前記キャビティ内の成型品の空隙へガスを注入するガス
注入装置と、前記成形品の空隙へ液状冷媒を供給する冷
媒供給装置とを備えた構成とする。ここで、この構成の
軽量化成形装置において、前記冷媒供給装置は前記ガス
注入装置と接続されるとともに、液状冷媒がガスで吸引
される構成とされ、前記冷媒供給装置の前記ガス注入装
置への液状冷媒の供給を許容または阻止するバルブが設
けられている構造でもよい。この構造では、バルブを操
作することにより、成型品の空隙にガスのみ、あるい
は、ガスおよび液状冷媒を簡単な構成で確実に供給する
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の各形態を図
面に基づいて説明する。ここで、各実施形態中、同一構
成要素は同一符号を付して説明を省略もしくは簡略にす
る。図1から図7は第1実施形態が示されている。図1
には、射出成形機1が示されている。この射出成形機1
は、溶融樹脂を射出装置2のノズル2Aから金型10の
内部に射出して成形を行うものである。射出装置2は、
図示しない射出シリンダの内部に供給された樹脂ペレッ
トをスクリュ(図示省略)で混練しながら可塑化し、こ
の可塑化した溶融樹脂を先端のノズル2Aから射出する
ものである。第1実施形態の射出成形機1は、射出装置
2側に固定された固定盤3と、この固定盤3の射出装置
2とは反対側に固定された固定プレート7と、これらの
固定盤3および固定プレート7の間に設けられかつ固定
盤3に対して近接・離隔可能とされた可動盤4と、この
可動盤4を固定盤3に対して移動させるための型締装置
5とを備えている。
【0020】対向配置された固定盤3および固定プレー
ト7の間には、タイバー8が架け渡され、このタイバー
8に沿って可動盤4が摺動自在に設けられている。型締
装置5は、可動盤4および固定プレート7の間に設けら
れたトグル機構9と、固定プレート7に取り付けられた
型締め用の油圧シリンダ装置6とを有して構成されてい
る。トグル機構9には、油圧シリンダ装置6のピストン
ロッド6Aが連結され、油圧シリンダ装置6の押圧力を
トグル機構9で増力して可動盤4を駆動し、これによ
り、金型10の閉鎖および型締めを行うようになってい
る。また、固定盤3および可動盤4の間には、型締め圧
受けブロック3A,3Bが型締め・型開き方向に沿って
設けられている。可動盤4側に設けられた型締め圧受け
ブロック3Bは、可動盤4を固定盤3に対して前進させ
たときに、固定盤3側に設けられた型締め圧受けブロッ
ク3Aと当接して、トグル機構9の高圧型締め力を受け
るようになっている。これらの型締め圧受けブロック3
A,3Bにより、固定盤3および可動盤4の平行度が確
保されている。
【0021】金型10は、固定盤3側に取り付けられる
固定金型11と、可動盤4側に取り付けられる可動金型
12と、可動金型12の一部分として設けられた移動型
13とを備えたものである。移動型13は、可動金型1
2の中央部分に固定金型11側に開口して設けられた凹
部12Aに嵌入され、金型10のキャビティ10Aに対
して進退可能とされている。この移動型13は、凹部1
2A内に設置された金型移動装置40により、キャビテ
ィ10Aに対して摺動進退するようになっている。
【0022】この金型移動装置40は、移動型13の移
動方向に対して傾斜した傾斜面41A, 42Aをそれぞ
れ有する一対の傾斜部材41,42を備えている。これ
らの傾斜部材41,42は、互いの傾斜面41A,42
Aを互いに当接させた状態で移動型13の移動方向に並
設されている。このうち、傾斜部材41には、油圧シリ
ンダ装置43が接続され、移動型13の移動方向に対し
て直交する方向に駆動されるようになっている。なお、
この傾斜部材41の移動は、空気圧式の駆動装置、或い
は、電動式の駆動装置により行うようにしてもよい。
【0023】この傾斜部材41の傾斜面41Aの両端縁
には、当該傾斜部材41の傾斜部材42側に突出する立
上部41Bが設けられ、これらの一対の立上部41Bの
間に、傾斜部材42の傾斜面42A側の端部がはめ込ま
れている。各立上部41Bの内側面にはそれぞれ溝41
Cが形成され、傾斜部材42の傾斜面42A側の端部に
は、これらの溝41Cと嵌合する突条42Bが設けられ
ている。このような金型移動装置40においては、油圧
シリンダ装置43のピストンロッド43Aを前進させる
と、傾斜部材41が傾斜部材42を押圧し、移動型13
がキャビティ10Aに対して前進し、一方、ピストンロ
ッド43Aを後退させると、傾斜部材41が傾斜部材4
2を引き寄せ、移動型13が後退するようになってい
る。
【0024】なお、油圧シリンダ装置43には、油圧を
供給するための油圧ユニット44が接続され、この油圧
ユニット44には、供給する油圧を制御して金型移動装
置40に所望の動作を行わせるための制御装置45が接
続されている。この制御装置45は、デジタルシーケン
サ等のシーケンス制御回路を有するものであり、移動型
13をキャビティ10Aに対して段階的に前進後退さ
せ、所定の位置に一時停止させた後に、後退させる等、
任意の異なる動作を連続的に行わせるように設定するこ
とが可能となっている。一方、固定金型11の中央部分
には、スプル11Aが形成されている。このスプル11
Aには、固定盤3を貫通して射出装置2のノズル2Aが
接続され、ノズル2Aからスプル11Aを通じて溶融樹
脂をキャビティ10Aに射出するようになっている。
【0025】固定金型11には、キャビティ10Aに充
填された溶融樹脂からなる成型品の内部空隙にガスを充
填するためのガス注入装置50が接続されている。ガス
注入装置50は、固定金型11に埋設された二つのガス
ピン20と、このガスピン20と接続されたガス注入管
51と、このガス注入管51に図示しないガス供給源か
らガスの供給を許容または阻止するガスバルブ52とを
備え、ガス注入管51は、その途中に管内のガスを大気
に放出するための開放バルブ51Aを備えて構成されて
いる。ガス供給源から成型品の空隙に供給されるガス
は、窒素ガス、アルゴンガス、液化炭酸ガス、その他の
ガスであるが、成型品となる樹脂と反応しにくい点では
窒素ガス等の不活性ガスを採用することが好ましく、冷
却効率を上げる点では液化炭酸ガスを採用することが好
ましい。また、ガスの温度は、15℃以下が良いが、冷
却効率を上げるには0℃以下が好ましい。ガスの圧力
は、0.01〜20MPaの範囲が良いが、成型品内部
に大きな中空部の発生、ガスの漏洩による外観不良等の
発生を考慮した場合、0.01〜2MPaの範囲が好ま
しい。
【0026】ガスピン20は、その取付位置が成型品の
意匠面と反対側であり、図2に示すように、固定金型1
1の成形面から若干突出するように設けられている。具
体的には、ガスピン20の全長を30〜50mm程度と
した場合、ガスピン20の成形面からの突出長さは、2
mm程度である。このガスピン20には、固定金型11
に螺入されたガスタップ53が接続され、このガスタッ
プ53には、ガス注入管51と連通するガス導入路54
が接続されている。これにより、このガス注入装置50
から供給されるガスを、ガス導入路54およびガスタッ
プ53を介して、ガスピン20からキャビティ10Aに
導入できるようになっている。
【0027】ガスピン20は、円筒状の外筒部21と、
この外筒部21に挿入された中子部22と、これらの外
筒部21および中子部22の間に形成されて当該ガスピ
ン20の軸方向に沿ってガスを流通可能にされたガス流
路23とを備えている。外筒部21は、ガス入口23A
側(ガスタップ53側)の端部にリング状の鍔部31を
備え、この鍔部31により、固定金型11から脱落しな
いようになっている。中子部22は、図3および図4に
も示すように、外筒部21に略緊結した状態で挿入され
た略円柱状の中子部本体32と、この中子部本体32の
ガス入口23A側の端部に設けられた係止部33とを有
して略T字状に形成されている。この係止部33は、外
筒部21のガス入口23A側の開口21Aを覆う円盤状
に形成され、外筒部21の鍔部31にねじ等の止着手段
(図示省略)により固定されている。係止部33の周囲
には、ガスの漏洩を防止するためのシール材24が設け
られている。
【0028】中子部本体32の周面には、切削加工等に
より、その軸心と平行な平面部34,35が等間隔に形
成され、これらの平面部34,35により、中子部22
と外筒部21との間には、平面部34,35および外筒
部21の内周面により囲まれた四つのガス流路23が形
成されている。互いに対向する平面部35は、寸法Dだ
け離れている。各平面部34,35は、ガス入口23A
側の入口側平面部34およびガス出口23B側の出口側
平面部35からなり、出口側平面部35は、入口側平面
部34よりも幅狭、つまり、中子部本体32の出口側平
面部35を通る径寸法は、入口側平面部34を通る径寸
法よりも大きくなるように形成されている。これによ
り、ガス流路23のガス出口23B側の部分tは、ガス
入口23A側の部分よりも狭くなっている。このような
ガス流路23の各ガス入口23Aは、係止部33に形成
されたスリット33Aにより構成されている。
【0029】また、中子部本体32のガス出口23B側
の先端は、その軸方向と略直交する平面状の先端面32
Bとされている。外筒部21の端部は、この先端面32
Bよりもガス出口23B側に突出し、これにより、ガス
ピン20の先端には、外筒部21の端部および先端面3
2Bに囲まれた先端空間20Aが形成されている。外筒
部21の端部の中子部22の先端面32Bからの突出長
さLは、例えば、0.1mm〜10mmであるが、ガス
ピン20と成型品との離型性を考慮すると、0.1mm
〜3mmが好ましい。
【0030】図1において、ガス注入装置50のガス注
入管51には成形品の空隙へ液状冷媒を供給する冷媒供
給装置55が接続されている。この冷媒供給装置55
は、図5に示される通り、液状冷媒が貯蔵される冷媒貯
蔵タンク56と、この冷媒貯蔵タンク56から供給され
る液体冷媒をガス注入管51に送るための冷媒供給配管
57とを備え、液状冷媒がガス注入管51から送られる
ガスで吸引される構成とされている。
【0031】つまり、ガス注入管51は冷媒供給装置5
5と接続される部分において、上流側に位置する内管5
1Bと、下流側において内管51Bを覆うように同心上
に位置する外管51Cとを備え、この外管51Cの内部
に冷媒供給配管57が開口される。内管51Bは先細り
状に形成されており、外管51Cの端部は内管51Bと
の間で閉塞されているため、内管51Bから吹き出され
る高速のガスによって内管51Bと外管51Cとの間の
空間に負圧が生じて、冷媒供給配管57の液状冷媒は外
管51C内に吸引されるとともに、ガスとともに下流側
に送られる。
【0032】冷媒供給装置55の冷媒供給配管57には
ガス注入管51への液状冷媒の供給を許容または阻止す
るバルブ58が設けられている。ここで、第1実施形態
で使用される液状冷媒は、水、塩化カルシウム液、塩化
マグネシウム液、一価アルコール、二価アルコール、三
価アルコール等常温で液体であれば、その種類は限定さ
れないが、金属の腐食、使用温度における冷媒の状態等
を考慮した場合には、水、液化炭酸ガス、一価アルコー
ル、二価アルコールが好ましい。
【0033】次に、第1実施形態の成形手順を図6およ
び図7に基づいて説明する。まず、射出成形機1に金型
10を装着するとともに、射出装置1Aの射出シリンダ
11内に樹脂ペレットを供給した後、射出成形機1を起
動し、射出シリンダ11内の樹脂ペレットの可塑化およ
び混練を開始する。ここで、採用される樹脂ペレット
は、ポリプロピレンを主原料とした全長が2〜100mm
の範囲にされたものである。この樹脂ペレットには、そ
の全長と等しい長さの補強用ガラス繊維が、互いに平行
に配列された状態となって、20〜80重量%含まれ、
当該樹脂ペレットと、補強用ガラス繊維を含まない他の
ペレットとを混合した混合物の場合には、全体の5〜7
0重量%、好ましくは、5〜60重量%の範囲で含有さ
れている。また、射出シリンダ11内では、樹脂ペレッ
トの可塑化および混練を充分行うことにより、溶融樹脂
内の無数のガラス繊維を、均一に分散させ、かつ、互い
に充分絡み合った状態にし、スプリングバック現象が発
生しやすい状態にする。そして、型締装置5を作動さ
せ、可動盤4を固定盤3に向かって移動させ、固定盤3
側の型締め圧受けブロック3Aに可動盤4側の型締め圧
受けブロック3Bを当接させる。
【0034】次いで、金型移動装置40を作動させ、図
6(A)に示されるように、金型10のキャビティ10
Aが成形品に応じた容積よりも縮小される位置Sに、移
動型13を移動し、当該キャビティ10Aの厚さ寸法を
t1にする。この際、位置Sは、当該位置Sに静止した移
動型13が形成するキャビティの厚さt1と、成形品に応
じた容積を確保したキャビティの厚さt2との関係におい
て、t2/t1が0.1〜5.0の範囲となるように設定す
ることができる。この状態で、射出装置1Aから金型1
0に溶融樹脂を射出して、成形品に応じた容積よりも縮
小されたキャビティに充満させ、射出圧力で溶融樹脂が
金型10の成形面に向かって押圧されて密着している状
態にし、ここで、溶融樹脂の射出を完了する。
【0035】溶融樹脂の射出完了直前、直後、あるい
は、射出完了から所定時間が経過したら、金型移動装置
40を作動させ、図6(B)に示されるように、金型1
0のキャビティが成形品に応じた容積となる位置Tまで
移動型13 を後退させ、当該キャビティ10Aの厚さ
寸法をt2にする。これにより、射出完了から移動型13
が位置Tに到達するまでの間に、溶融樹脂の表面を冷却
し、溶融樹脂(成形品)の表面にスキン層が形成され
る。射出完了後に移動型13を後退させる場合には、金
型温度により多少異なるが、射出完了から移動型13の
後退開始までの時間を、0〜10秒の範囲で設定するこ
とができる。また、移動型13の後退速度Vrは、0.0
5〜100mm/秒の範囲、好ましくは、0.05〜50
mm/秒の範囲で設定することができる。移動型13を後
退させると、スプリングバック現象により、溶融樹脂内
で押し潰されていたガラス繊維の弾性的な復元力で溶融
樹脂が膨張し、溶融樹脂の内部に無数の空隙が発生し、
原材料よりも容積が大きく軽量化された成形品が成形さ
れる。
【0036】そして、移動型13が位置Tに到達すると
同時に、ガス注入装置50を作動してガスをガスピン2
0から溶融樹脂の内部に注入する。この時点でガス注入
を行うことにより、金型10内の溶融樹脂が完全に冷却
・硬化する前に、溶融樹脂の内部にガスが注入される。
即ち、図7(A)に示される通り(図2も参照)、開放
バルブ51Aを閉塞した状態でガスバルブ52を開放操
作すると、ガスは、図示しないガス供給源からガス注入
管51およびガスピン20を通って成型品となる溶融樹
脂の内部に発生した無数の空隙の各々に分散して導入さ
れ、溶融樹脂の内部に大きな中空部を発生させない。ガ
ス注入装置50から供給されたガスは、ガス導入路54
およびガスタップ53をを通って、ガスピン20の中子
部22のスリット33A、つまり、ガス入口23Aから
ガス流路23に導入され、ガス出口23Bから先端空間
20Aに流出して、先端空間20Aに一旦集合して充満
される。これにより、先端空間20Aにおけるガスの圧
力が上昇し、この圧力が、溶融樹脂の最表面層を突き破
れる程度の圧力になると、ガスは、直ちに先端空間20
Aから溶融樹脂の内部、つまり、最表面層に向かって押
し出される。押し出されたガスは、溶融樹脂の最表面層
を突き破って、外筒部21のガス出口23A側の開口と
略同じ大きさ、つまり、ガス流路23よりも断面積の大
きなガス導入孔を形成し、このガス導入孔を通じて溶融
樹脂の内部にガスが注入される。このようにして、溶融
樹脂の内部にガスが注入されると、溶融樹脂は、その内
部から金型10の成形面に押し付けられ、溶融樹脂に
は、金型10の成形面が一層強く転写されて、スキン層
が形成される。
【0037】その後、図7(B)に示される通り、開放
バルブ51Aを開放操作し、ガス注入管51を開放す
る。さらに、図7(C)に示される通り、バルブ58を
開放操作して冷媒供給装置55の冷媒貯蔵タンク56か
ら冷媒供給配管57を通って液状冷媒をガス注入管51
へ送り、この液状冷媒はガスとともに成型品となる溶融
樹脂の内部空隙に送り込まれる。すると、成型品の内部
空隙に送られた液状冷媒は、成型品の内部の蓄熱を奪う
とともに、蒸気化することにより、成型品の蓄熱をさら
に奪うことになる。さらに、図7(D)に示されるとお
り、バルブ58を閉塞操作する。成型品の内部で発生し
た蒸気は、前記ガスとともに開放バルブ51Aを通って
大気へ放出される。これにより、成型品となる溶融樹脂
は冷却固化されるが、その後、型締装置5を作動させ、
可動盤4を後退させて金型10を開き、金型10の内部
から、使用した原材料の量よりも容積が大きく成形され
た成形品を取り出す。以降、必要に応じて、以上のよう
な成形作業を繰り返す。
【0038】前述のような第1実施形態によれば、次の
ような効果が得られる。すなわち、繊維含有熱可塑性樹
脂原材料を用い、内部のキャビティ10Aに対して進退
可能となった移動型13を備えた金型10に、原材料を
可塑化した溶融樹脂を射出するとともに射出後にキャビ
ティ10Aを拡大することにより、成形品の成形を行う
にあたり、キャビティ10Aに形成された成形品の空隙
へ液状冷媒を供給したから、成型品の内部の空隙に供給
された液状冷媒は、ガスに比べて熱容量が大きいため、
少量でも成型品の内部の熱を奪うことになり、かつ、成
型品の内部で液状冷媒が気化することにより、この気化
熱で成型品が迅速に冷却される。
【0039】さらに、金型10のキャビティ10Aが成
形品に応じた容積よりも縮小される位置Sに移動型13
を移動した状態で、金型10の内部に溶融樹脂を射出し
てキャビティ10Aに充満し、射出圧力で溶融樹脂が金
型10の成形面に向かって押圧されて密着している状態
にした後、移動型13を後退させてキャビティ10Aを
拡大させ、射出完了から移動型13が位置Tに到達する
までの間に、溶融樹脂の表面を冷却し、溶融樹脂(成形
品)の表面にスキン層が形成されるようにしたので、溶
融樹脂の表面のスキン層が金型10の成形面に倣ったも
のとなり、この点からも、外観品質に優れた成形品を得
ることができる。また、液状冷媒は成形品の空隙への供
給がガスとともに行われ、かつ、気化されて金型10外
へ放出される構成であるから、液状冷媒は、ガスによっ
て確実に成型品の内部空隙へ送られることになり、この
内部空隙で気化された後は金型10外、つまり、成型品
から放出されるので、熱が成型品内に蓄えられることが
なく、確実に成型品が冷却される。
【0040】また、ガス注入により、スプリングバック
現象による溶融樹脂の膨張が補完されるので、所定の寸
法まで膨張するのには、含まれる補強用繊維の量が若干
少ない場合でも、金型10内に射出された溶融樹脂は、
移動型13 の後退動作により、成形品の容積にまで確
実に膨張するようになり、所期の軽量化を確実に達成す
ることができる。さらに、遅くとも金型10内の溶融樹
脂が冷却・硬化する前に、溶融樹脂の内部にガスを注入
するようにし、注入したガスの圧力で溶融樹脂を内部か
ら金型10の成形面に向かって押圧し、溶融樹脂の表面
を金型10の成形面に密着した状態を維持したまま、溶
融樹脂の冷却・硬化を行うようにしたので、表面にヒケ
等の不具合が生じることがなく、成形品の表面を滑らか
なものとすることができ、外観品質に優れた成形品を得
ることができる。
【0041】さらに、溶融樹脂中に含まれる補強用繊維
の長さを2〜100mmの範囲とするとともに、補強用繊
維の含有量を樹脂全体の5〜70重量%の範囲とし、か
つ、繊維含有熱可塑性樹脂ペレットに含まれている状態
では、補強用繊維を互いに平行に配列しておいたので、
金型10や射出装置1Aが通常のものであっても、混練
時および射出時において、補強用繊維が破断されにくく
なる。このため、スプリングバック現象を発生させるの
に充分な長さが維持され、かつ、スプリングバック現象
発生に充分な量の補強用繊維が含まれていることから、
移動型13の後退により、溶融樹脂が充分膨張するよう
になり、充分に軽量化された成形品を得ることができ
る。
【0042】さらに、補強用繊維の長さを2mm以上とし
たので、ガスの注入により、溶融樹脂の膨張が確実に補
完されるようになり、補強用繊維の長さを100mm以下
としたので、射出成形時にブリッジや可塑不良が起き
ず、成形における不具合や支障が何ら生じることがなく
なり、成形動作を円滑に行うことができる。また、補強
用繊維の含有率を5重量%以上にしたので、ガス注入に
より大きな中空部が溶融樹脂内に発生することがなく、
成形品の軽量化および繊維による強化の両方を図ること
ができるうえ、補強用繊維の含有率を70重量%以下と
したので、成形性よく成型品に表面層が形成でき、溶融
樹脂の表面と金型の成形面との間にガスが漏れることが
なく、シルバーマーク等の不具合の発生を未然に防止す
ることができる。
【0043】また、キャビティ10A が成形品に応じ
た容積となる位置まで移動型10Cを後退させた後に、
キャビティ10Aに供給された溶融樹脂の内部にガスを
注入し、膨張した後の溶融樹脂に対してガスの注入を行
うようにしたので、ガスを注入するにあたり、ガスの圧
力を低くすることが可能となるうえ、低圧ガスでも溶融
樹脂の内部全体にわたってガスが進行するようになり、
溶融樹脂の一部分にのみガスが溜まることがなくなる。
このため、溶融樹脂の内部へ注入するガスの圧力の低圧
化が可能となるうえ、溶融樹脂の内部全体にガスが広が
るため、溶融樹脂の表面と金型10の成形面との間にガ
スが漏れることがなく、シルバーマーク等の不具合の発
生を未然に防止できる。
【0044】また、成形品について、剛性や強度等の機
械的特性の向上および軽量化の両方が達成できることか
ら、当該成形品を自動車等の輸送機械の部品として利用
すれば、その機械的効率等を向上できるうえ、ケーブル
トラフ等の建築土木部材として利用すれば、その軽量性
から設置作業等を容易に行えるようにできる。さらに、
繊維含有樹脂の軽量化成形装置を、繊維含有熱可塑性樹
脂原材料を可塑化して溶融樹脂を射出する射出装置1
と、この射出装置1で射出された溶融樹脂が収納される
キャビティ10Aが形成されこのキャビティ10Aに対
して進退可能となった移動型13を備えた金型10と、
キャビティ10A内の成型品の空隙へガスを注入するガ
ス注入装置50と、成形品の空隙へ液状冷媒を供給する
冷媒供給装置55とを備え、冷媒供給装置55を、ガス
注入装置50と接続されるとともに、液状冷媒がガスで
吸引される構成とされ、かつ、冷媒供給装置55のガス
注入装置50への液状冷媒の供給を許容または阻止する
バルブ58を設けたため、このバルブ58を操作するこ
とにより、成型品の空隙にガスのみ、あるいは、ガスお
よび液状冷媒を簡単な構成で確実に供給することができ
る。
【0045】さらに、ガスピン20の外筒部21の端部
が中子部22の先端よりもガス出口23B側に突出して
いるため、ガス流路23に導入するガスの圧力が低くて
も、先端空間20Aにおいてガス圧力を高めることがで
きるので、溶融樹脂の最表面層を突き破ってガスを溶融
樹脂の内部に確実に導入できるうえ、ガス流路23より
も断面積の大きなガス導入孔を形成できるため、充分な
量のガスを溶融樹脂の内部に導入できる。従って、注入
したガスにより、溶融樹脂を金型10の成形面に押圧し
た状態で冷却できるため、成形品の表面層に金型10の
成形面に倣ったスキン層を形成でき、ヒケ等の外観上の
不具合を確実に防止できる。
【0046】さらに、先端空間20Aに集合したガス
は、その圧力が溶融樹脂の最表面層を突き破れる程度ま
で上昇したら、直ちに、溶融樹脂の最表面層に向かって
押し出されるので、ガスが必要以上に高圧になるのを抑
制できる。従って、溶融樹脂の内部に導入されるときの
ガス圧力を、溶融樹脂の最表面層を突き破るのに最低限
必要な圧力にできるので、ガスによって成形品の内部に
大きな中空部が形成されるのを回避できるから、優れた
強度を確保できる。また、中子部22のガス出口23B
側の先端を、その軸方向と略直交する平面状の先端面3
2Bとしたため、中子部22の形状を単純化できるか
ら、簡単に加工・製造できるうえ、溶融樹脂の内部に充
分な量のガスを確実に注入できるので、ヒケ等の発生を
一層確実に防止できる。
【0047】そして、中子部22は、外筒部21の開口
21Aを覆う係止部33を有して略T字状に形成されて
いるので、ガスを係止部33のスリット33Aからガス
流路23に導入して流通させたときに、係止部33は、
ガスにより外筒部21の鍔部31に押し付けられるか
ら、ガスの流通によって中子部22が外筒部21から抜
け出すのを確実に防止できる。また、外筒部21の端部
の中子部の先端からの突出長さを、0.1mm〜3mm
の範囲にすることで、先端空間20Aを充分に確保でき
るから、ガスを樹脂内部へ充分に注入できるうえ、成形
品のガスピン20からの離型性を向上できる。
【0048】次に、本発明の第2実施形態を図8に基づ
いて説明する。第2実施形態は第1実施形態と成型品の
成形手順が相違するもので、装置の構造は第1実施形態
と同じである。図8には、第2実施形態に係る成形手順
が示されている。第2実施形態では、前記第1実施形態
において成形品に応じた容積よりも縮小したキャビティ
内に溶融樹脂を充満させ、射出圧力で溶融樹脂を金型の
成形面に密着させていたのを、移動型13の前進によ
り、溶融樹脂に圧縮力を加えることで、溶融樹脂を金型
の成形面に密着させるようにしたものである。以下に、
第2実施形態の成形手順を具体的に説明する。なお、第
2実施形態の成形手順は、前記第1実施形態と同様の射
出成形機1を採用するものであるため、射出成形機1の
説明は省略する。
【0049】まず、樹脂ペレットを射出装置2に供給す
るとともに、射出成形機1を起動し、樹脂ペレットの可
塑化および混練を行って溶融させる。これにより、溶融
樹脂内の補強用繊維が均一化されるとともに、互いに充
分絡み合うようになり、スプリングバック現象が発生し
やすい状態になる。そして、型締装置5を作動させ、可
動盤4を固定盤3に向かって移動させて、金型10を閉
鎖する。この状態において、図8(A)に示される通
り、金型移動装置40を作動させ、金型10のキャビテ
ィ10Aの厚さがt3となる位置Uに、移動型13を移動
して静止させる。ここで、キャビティ10Aの厚さt3
は、射出される樹脂量分の厚さと、金型10内部の溶融
樹脂を圧縮する圧縮ストローク分の厚さとを加えた厚さ
に設定する。この圧縮ストロークは、樹脂射出時の圧力
を低くして樹脂充填時の補強用繊維の折損を低減するた
めに、0.1〜50mmとすることが好ましく、より好
ましくは、1〜10mmである。圧縮ストロークを1〜
10mmの範囲にすることで、補強用繊維の折損を一層
低減できるうえ、フローマーク等による外観不良の発生
を防止できる。
【0050】この状態で、射出装置2のノズル2Aから
溶融樹脂をキャビティ10Aに射出する。溶融樹脂の射
出開始後、適宜なタイミング、例えば、射出完了直前、
或いは、射出完了と同時に、金型移動装置40を作動さ
せて移動型13を前進させ、図8(B)に示される通
り、キャビティ10Aの厚さがt4となる位置Vまで移動
型13を前進させて静止させる。ここで、キャビティ1
0Aの厚さt4は、キャビティ10Aが、射出される樹脂
量程度の容積となる厚さに設定する。この移動型13の
前進により、キャビティ10Aに射出された溶融樹脂を
圧縮し、溶融樹脂をキャビティ10Aに充満させるとと
もに、その圧縮力で溶融樹脂を金型10の成形面に密着
させる。すると、金型10の成形面に密着された溶融樹
脂の最表面層は、内部よりも早く冷却されるようにな
る。
【0051】溶融樹脂の最表面層がある程度冷却した
ら、金型移動装置40を作動させ、図8(C)に示すよ
うに、キャビティ10Aの厚さがt5となる位置Wまで移
動型13を後退させて静止させる。ここで、キャビティ
10Aの厚さt5は、キャビティ10Aが、成形品の容積
となる厚さに設定する。また、移動型13の後退速度
は、成形条件や樹脂の種類等により適宜設定すればよ
く、例えば、0.05〜100mm/秒であり、溶融樹
脂に成形面を確実に転写するためには、0.05〜50
mm/秒とすることが好ましい。このように移動型13
を後退させてキャビティ10Aを拡大すると、スプリン
グバック現象により、溶融樹脂内で押し潰されていた補
強用繊維の弾性的な復元力で、溶融樹脂が膨張する。
【0052】そして、移動型13が位置Wに到達した
後、第1実施形態と同じ手順でガス注入装置50を作動
させ、ガスピン20からキャビティ10Aの溶融樹脂に
ガスおよび液状冷媒を注入する。このときのガスの圧力
は、例えば、0.01〜20MPaの範囲とする。とく
に、ガスの圧力を、比較的低圧な0.01〜1MPaの
範囲とすることで、成形品内部における大きな中空部の
発生、および、溶融樹脂外部へのガスの漏洩による外観
不良等の発生をより確実に防止できるうえ、高圧ガス設
備が必要なくなるので設備コストを低減できる。
【0053】従って、第2実施形態によれば、第1実施
形態と同じ作用効果を奏する他に、移動型13の移動に
より、溶融樹脂を圧縮するとともにキャビティ10A全
体に充満させるので、射出圧ではキャビティ全体に溶融
樹脂を充満できない薄い成形品でも成形することができ
るうえ、注入ガスが樹脂の膨張を助けるので、重量との
関係で膨張に必要な量のガラス繊維を含有させることが
できない場合でも、所望の膨張率を達成することができ
るという効果を付加できる。
【0054】次に、本発明の第3実施形態について図9
に基づいて説明する。第3実施形態は第2実施形態に比
べて、成型品の成型時に表皮材を一体化した点が異なる
もので、他の構成は第2実施形態と同じである。図9に
は、第3実施形態に係る成形手順が示されている。以下
に、第3実施形態の成形手順を具体的に説明する。な
お、本第3実施形態においても、前記第1、2実施形態
と同様の射出成形機1を採用するものである。ただし、
キャビティ11Cを構成する固定金型11と可動金型1
2の移動型13との幅方向寸法は同じである。まず、射
出成形機1に金型10を装着し、装着した金型10の移
動型13に、図9(A)に示される通り、表皮材14を
装着し、射出装置1Aの射出シリンダ11内に樹脂ペレ
ットを供給した後、射出成形機1を起動し、射出シリン
ダ11内の樹脂ペレットの可塑化および混練を開始す
る。この混練により、溶融樹脂内の無数のガラス繊維
を、均一に分布させ、かつ、互いに充分絡み合った状態
にし、スプリングバック現象が発生しやすい状態にす
る。
【0055】ここで、移動型13に表皮材14を装着す
るにあたり、予め移動型13には、表皮材14を装着す
るためのピンや真空吸引孔等の装着手段を設けておけ
ば、表皮材14の装着の自動化が可能となる。なお、表
皮材14の装着は、移動型13だけでなく、固定型10
A側に行うこともできる。さらに、表皮材14として
は、織布や不織布等の布、熱可塑性樹脂面材、熱可塑性
樹脂の発泡面材、および、模様等が印刷されたフィルム
等の単層面材、ならびに、熱可塑性エラストマや塩化ビ
ニル樹脂等の表皮材に、熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂の
発泡体等から裏地材を裏打ちした多層面材が採用でき
る。
【0056】そして、型締装置5を作動させ、可動盤4
を固定盤3に向かって移動させ、固定盤3側の型締め圧
受けブロック3Aに、移動盤4側の型締め圧受けブロッ
ク3Bを当接させる。次いで、金型移動装置40を作動
させ、金型10のキャビティ10Aが、その内部に射出
される溶融樹脂の全射出量に相当する容積よりも拡大さ
れる位置Xまで、移動型13を移動し、金型10のキャ
ビティ10Aの厚さ寸法をt6にする(図9(A)参
照)。この状態で、射出装置1Aから金型10内に溶融
樹脂を射出し、溶融樹脂の全射出量がキャビティ10A
内に射出されたら、溶融樹脂の射出を完了する。溶融
樹脂の射出完了前、直後、あるいは、射出完了から所定
時間が経過したら、金型移動装置40を作動させ、図9
(B)に示されるように、金型10のキャビティ10A
が成形品に応じた容積よりも縮小される位置Yまで移動
型13を前進させ、当該キャビティ10Aの厚さ寸法を
t7にする。
【0057】この移動型13の前進により、キャビティ
10A内の溶融樹脂を圧縮し、溶融樹脂に加わる圧縮力
により充満させ、当該溶融樹脂を表皮材14に向かって
押圧し、これにより、溶融樹脂を表皮材14に付着させ
る。移動型13が位置Yに到達したら、直ちに、金型1
0のキャビティ10Aが成形品に応じた容積となる位置
Zまで移動型13を後退させ、当該キャビティ10Aの
厚さ寸法をt8にする(図9(C)参照)。ここで、移動
型13の後退速度Vrは、0.05〜100mm/秒の範
囲、好ましくは、0.05〜50mm/秒の範囲で設定す
ることができる。移動型13を後退させると、スプリン
グバック現象により、溶融樹脂内で押し潰されていたガ
ラス繊維の弾性的な復元力で溶融樹脂が膨張し、溶融樹
脂の内部に無数の空隙が発生し、原材料よりも容積が大
きく軽量化された成形品が成形される。
【0058】そして、移動型13が位置Zに到達する
と、第1および第2実施形態と同様に、ガス注入装置5
0でガスおよび液状冷媒を溶融樹脂の内部に注入する。
成形品を充分冷却するのに必要な所定時間が経過した
ら、型締装置5を作動させて移動盤4を後退させ、金型
10を開く。そして、金型10の内部から成形品を取出
し、成形を完了する。以降、必要に応じて、以上のよう
な成形作業を繰り返す。このような本実施形態において
も、前記第1、2実施形態と同様の作用、効果を得るこ
とができる他、一回の成形で表面を覆う表皮材14が一
体化された積層成形品を得ることができるという効果を
付加できる。
【0059】
【実施例】次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づ
いて説明する。 [実施例1]本発明に基づき、以下に述べるような射出
成形機、金型および成形手順を用いて成形品の成形を行
う。実施例1は、前記第3実施形態に基づいた原材料、
金型および射出成形機を採用し、成形品を成形する。以
下に、その原材料、金型および射出成形機の詳細を示
す。
【0060】(1)原材料:ガラス繊維強化ポリプロピ
レンペレット(出光石油化学株式会社製,商品名;モス
トロンL L−4000P) ペレットの直径 ; 2mm ペレットの長さ ; 12mm ペレットのガラス繊維含有量 ; 40重量% ガラス繊維の長さ ; 12mm(ペレッ
トの長さと同じ) (2)成形品:矩形平板 成形品の縦寸法 ; 600mm 成形品の横寸法 ; 300mm 成形品の厚さ ; 12mm (3)金型:前述した成形品を成形するためのキャビテ
ィを有する金型(移動型により、成形品の厚さ方向のキ
ャビティの寸法は可変)
【0061】(4)ガスピン:図2〜図4に示す形状の
もの ガスピンの全長 ; 120mm 中子部の平面部間寸法D ; 3mm ガス流路のクリアランスt ;0.05mm 外筒部の中子部からの突出長さL ; 2mm (5)成形機:横型射出成形機(三菱重工業株式会社製
850MGW−160,型締力850t)に、移動型を
進退させるために、出光IPMユニット(商品名,出光
石油化学株式会社製)を装着したもの (6)成形条件:前記実施形態における射出成形法に基づいて成形を行った。 成形温度 ; 250℃(射出シリンダ温度) 金型温度 ; 60℃ 樹脂の射出圧力 ; 60% (定格最大射出圧力に対する設定値) 射出速度 ; 70% (定格最大射出速度に対する設定値) 充填時間 ; 3.8秒 キャビティの厚さ寸法 樹脂射出時の寸法t6 ; 12mm 樹脂圧縮時の寸法t7 ; 3mm 樹脂膨張時の寸法t8 ; 9mm(膨張倍率3倍) 移動型前進開始のタイミング ; 3.0秒後(射出開始から) 後退開始のタイミング ; 5.0秒後(射出開始から) 後退完了のタイミング ; 6.0秒後(射出開始から) ガス注入のタイミング ; 6.5秒後(射出開始から) ガスの圧力 ; 0.5MPa ガスの流量 ; 3リットル/分 液状冷媒 ; 水 表皮材 ; 厚さ3mm (15倍発泡ポリプロピレン層/ポリ塩化ビニルレザー) 以上の条件の下、表皮材一体成形を行い、その時の冷却
温度を測定した。なお、冷却時間が10秒間隔で異なる
成型品を成形し、熱膨張や熱収縮を生じていない成型品
を合格品とし、合格品を得るのに最も短い冷却時間をこ
の実験の冷却時間とした。その結果を表1に示す。
【0062】[比較例1]水(液状冷媒)を注入しない
点以外は実施例1と同じ条件で成形を行った。その結果
を表1に示す。 [比較例2]水(液状冷媒)を注入しないとともに、ガ
スを開放しない点以外は実施例1と同じ条件で成形を行
った。その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1によれば、実施例1の冷却時間が20
秒であり、比較例1,2に比べて短いことがわかる。さ
らに、実施例1では、成型品を成形する際に、ガスを放
出しているにもかからわず、ガス使用量はガスを放出し
ない比較例2と同様に少ない。
【0065】以上、本発明について好適な実施形態およ
び実施例を挙げて説明したが、本発明は、これらの実施
形態および実施例に限られるものではなく、本発明の要
旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変
更が可能である。例えば、前記実施の形態では、液状冷
媒は成形品の空隙への供給がガスとともに行われたが、
本発明では、液状冷媒のみ成型品の空隙へ供給するもの
でもよい。仮に、液状冷媒をガスとともに成形品の空隙
へ供給する場合であっても、ガスの供給を先行させるこ
となく、液状冷媒およびガスを同時に成型品の空隙へ供
給してもよい。さらに、ガスを成型品に供給する管と液
状冷媒を成型品に供給する管とを別々に設けるものであ
ってもよい。
【0066】また、樹脂ペレットの主剤となる熱可塑性
樹脂としては、ポリプロピレンに限らず、プロピレン−
エチレンブロック共重合体、ポリエチレン等のポレオレ
フィン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポ
リカーボネート系樹脂、ポリ芳香族エーテルまたはチオ
エーテル系樹脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、ポリスル
ホン系樹脂およびアクリレート系樹脂でもよく、ガラス
繊維強化成形品が形成できる熱可塑性樹脂であれば、具
体的な組成は適宜選択できる。また、樹脂ペレットに含
有される補強繊維としては、ガラス繊維に限らず、セラ
ミック繊維、無機繊維、金属繊維および有機繊維等でも
よく、繊維の具体的な選定は、実施にあたり適宜行えば
よい。
【0067】さらに、前記実施形態および実施例の一部
では、原材料に発泡剤を含ませていなかったが、原材料
には、当該原材料100重量部に対して3重量部以下の
発泡剤を含ませてもよい。このように、発泡剤を含有さ
せれば、スプリングバック現象における繊維の復元力が
不足する場合においても、発泡剤の発泡力が繊維の復元
力を補完するので、得られるガスの圧力が低く、ガス注
入圧力が不足しても、移動型が後退するのに応じて、所
望の容積にまで溶融樹脂を確実に膨張させることができ
る。ここで、発泡剤の含有量が3重量部を超えると、シ
ルバーマークが生じる場合が多くなり、外観品質上の不
具合が生じるおそれがあるうえ、成形品の内部に大きな
中空分が発生し、強度や剛性が著しく低下する場合があ
る。また、ガスの注入口としては、金型キャビティに設
けられたガスピン(ガスノズル)に限らず、金型の内部
に設けられたスプルおよびランナ、ならびに、射出シリ
ンダのノズルのいずれかに開口されるガスノズル(ガス
ピン)でもよい。なお、溶融樹脂内に注入するガスとし
ては、窒素ガスに限らず、他のガスでもよいが、成形品
となる樹脂と反応しにくい、アルゴンガス等の不活性な
ガスを採用するのが好ましい。また、注入するガスを冷
却用ガスとしても利用する場合には、15℃以下に冷却
されたガス、液化炭酸ガス等を採用するのが好ましい。
【0068】
【発明の効果】前述のように本発明によれば、成形品の
冷却時間を短縮できるというという効果を奏することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る射出成形機の全体
を示した側面図である。
【図2】前記第1実施形態のガスピンの取付構造を示す
断面図である。
【図3】前記第1実施形態のガスピンの中子部を示す斜
視図である。
【図4】前記第1実施形態のガスピンの中子部を示す
図。
【図5】前記第1実施形態の冷媒供給装置とガス注入装
置との接続部分を示す断面図である。
【図6】前記第1実施形態の成形手順を説明するための
図である。
【図7】前記第1実施形態の液状冷媒およびガスを供給
する手順を説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態の成形手順を説明するた
めの図である。
【図9】本発明の第3実施形態の成形手順を説明するた
めの図である。
【符号の説明】 1 射出成形機 3 固定盤 4 可動盤 5 型締装置 10 金型 10A キャビティ 13 移動型 20 ガスピン 50 ガス注入装置 55 冷媒供給装置 58 バルブ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維含有熱可塑性樹脂原材料を用い、内部
    のキャビティに対して進退可能となった移動型を備えた
    金型に、前記原材料を可塑化した溶融樹脂を射出すると
    ともに、射出後に前記キャビティを拡大することによ
    り、成形品の成形を行う繊維含有樹脂の軽量化成形方法
    であって、 前記キャビティに形成された成形品の空隙へ液状冷媒を
    供給することを特徴とする繊維含有樹脂の軽量化成形方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の繊維含有樹脂の軽量化成
    形方法において、前記キャビティの拡大は、溶融樹脂が
    前記キャビティに充満した後に行うことを特徴とする繊
    維含有樹脂の軽量化成形方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の繊維含有樹脂の
    軽量化成形方法において、前記液状冷媒は前記成形品の
    空隙への供給がガスとともに行われ、かつ、気化されて
    前記金型外へ放出されることを特徴とする繊維含有樹脂
    の軽量化成形方法。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の繊維含有樹脂の軽量化成
    形方法において、まず、前記ガスのみが前記成形品の空
    隙へ供給され、その後、前記ガスとともに前記液状冷媒
    が前記成型品に供給されることを特徴とする繊維含有樹
    脂の軽量化成形方法。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれかに記載
    の繊維含有樹脂の軽量化成形方法において、前記金型に
    は、前記成形品の表面を被覆するための表皮材が、成形
    前に予め装着されていることを特徴とする繊維含有樹脂
    の軽量化成形方法。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれかに記載
    の繊維含有樹脂の軽量化成形方法において、前記原材料
    は、全長が2〜100mmの範囲にされるとともに、前記
    全長と等しい長さの繊維が、互いに平行に配列された状
    態となって全体の20〜80重量%含有された前記繊維
    含有熱可塑性樹脂ペレットを少なくとも含み、前記繊維
    が当該原材料全体の5〜70重量%とされた原材料であ
    ることを特徴とする繊維含有樹脂の軽量化成形方法。
  7. 【請求項7】繊維含有熱可塑性樹脂原材料を可塑化して
    溶融樹脂を射出する射出装置と、この射出装置で射出さ
    れた溶融樹脂が収納されるキャビティが形成されこのキ
    ャビティに対して進退可能となった移動型を備えた金型
    と、前記キャビティ内の成型品の空隙へガスを注入する
    ガス注入装置と、前記成形品の空隙へ液状冷媒を供給す
    る冷媒供給装置とを備えたことを特徴とする繊維含有樹
    脂の軽量化成形装置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の繊維含有樹脂の軽量化成
    形装置において、前記冷媒供給装置は前記ガス注入装置
    と接続されるとともに、液状冷媒がガスで吸引される構
    成とされ、前記冷媒供給装置の前記ガス注入装置への液
    状冷媒の供給を許容または阻止するバルブが設けられて
    いることを特徴とする繊維含有樹脂の軽量化成形装置。
JP9200156A 1997-05-07 1997-07-25 繊維含有樹脂の軽量化成形方法およびその装置 Withdrawn JPH1142665A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000003859A1 (fr) * 1998-07-16 2000-01-27 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Produit en resine moulee, de faible poids, et son procede de fabrication
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CN115157565A (zh) * 2022-07-22 2022-10-11 宁波建林模具有限公司 一种可局部发泡的注塑模具

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