JPH1156518A - 椅子およびその製造方法 - Google Patents

椅子およびその製造方法

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JPH1156518A
JPH1156518A JP9217612A JP21761297A JPH1156518A JP H1156518 A JPH1156518 A JP H1156518A JP 9217612 A JP9217612 A JP 9217612A JP 21761297 A JP21761297 A JP 21761297A JP H1156518 A JPH1156518 A JP H1156518A
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JP
Japan
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chair
resin
glass fiber
chair body
mold
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Application number
JP9217612A
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English (en)
Inventor
Toru Shima
徹 嶋
Atsushi Sato
佐藤  淳
Manabu Nomura
学 野村
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量化を達成できるとともに優れた強度を確
保でき、かつ、リサイクル可能で腰の冷えにくい椅子お
よび椅子の製造方法を提供する。 【解決手段】 ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を表皮面材
63を装着した金型10の内部に射出して充満させた
後、キャビティ10Aを拡張して樹脂を膨張させ、内部
に連続した空隙を形成するとともに表皮面材63を一体
化する。この空隙により椅子本体の温度低下を抑制でき
るので腰が冷えにくくなるうえ軽量化を実現できる。ま
た、空隙を通じてガス注入できるので、保圧による外観
性の向上および冷却の効率化を達成できる。さらに、ガ
ラス繊維により高い剛性および優れた衝撃強度を確保で
きるうえ、熱可塑性樹脂をマトリックスとしているので
リサイクル等が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、椅子および椅子の
製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】従来より、椅子の座り心地や外観等を向上
するために、椅子本体の表面である腰掛け部分や背もた
れ部分等には、布等の表皮面材が貼着されている。ま
た、椅子には、人の荷重を支えるための剛性が要求され
るうえ、転倒等により衝撃が与えられても破損しないよ
うに高い衝撃強度が必要とされることから、椅子本体の
材料には、合成樹脂、木材、金属等が用いられている。
このうち、熱硬化性樹脂を繊維で強化したFRP(繊維
強化樹脂)により形成された椅子本体は、剛性および衝
撃強度が高く、耐久性に優れていることから、屋外施設
用の椅子や作業用の椅子等に用いられることが多い。す
なわち、屋外施設用の椅子等は、大きな衝撃を受けるこ
とが考えられるうえ、破損するとその破損部分が鋭利な
場合には怪我の原因になりうることから、椅子本体をF
RP製とすることで、通常の椅子よりも優れた衝撃強度
および耐久性を確保するようにしている。
【0003】しかしながら、FRPは、熱硬化性樹脂を
マトリックスとしたものであるため、使用後にリサイク
ルできず、廃棄処理の問題が生じることから、近年、熱
可塑性樹脂をガラス繊維によって強化したGFTP(繊
維強化熱可塑性樹脂)を用いて椅子本体を成形すること
が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のFRP製の椅子
本体は、熱伝導率の高いガラス繊維を含有しているた
め、周辺の温度が低い場合等には、木材等からなる椅子
と比較して低温になりやすく、腰等が冷えやすく、座り
心地が悪いという問題がある。
【0005】また、前述したGFTP製の椅子本体で
は、ガラス繊維を所定量以上含有させることで、強度と
しての剛性および衝撃強度をある程度高めることはでき
るが、FRPと同程度の強度は得られない。これに対し
て、肉厚を増すことや、リブを追加すること等により、
成形品(椅子本体)の強度を高めることが考えられる
が、重量が増加するうえ、材料コストが高くなるので経
済的でない。
【0006】なお、GFTPをシート状に加工し、これ
を大型の圧縮成形機等を用いて加圧・加熱することによ
って椅子本体を成形したところ、FRP製の椅子と同程
度の強度を確保できたが、バリが過剰でその処理が煩雑
であることから実用化できなかった。
【0007】本発明の目的は、軽量化を達成できるとと
もに優れた強度を確保でき、かつ、リサイクル可能で、
座り心地および外観に優れ、腰の冷えにくい椅子および
椅子の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガラス繊維含
有熱可塑性樹脂からなる椅子本体を備えた椅子であっ
て、前記椅子本体の表面には、表皮面材が一体化され、
前記椅子本体は、その内部に、前記ガラス繊維含有熱可
塑性樹脂を膨張させることにより形成される連続した空
隙を有することを特徴とする。
【0009】本発明では、椅子本体内部の空隙は、ガラ
ス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させることにより形成さ
れるので、当該樹脂の使用量を減少させることができる
から、強度を高めるために椅子本体の厚肉化やリブ補強
等を行った場合でも、確実に軽量化できるうえ、材料コ
ストを低減できる。さらに、椅子本体の内部の空隙は連
続しているため、充分な軽量化を達成できる。
【0010】また、椅子本体内部の空隙により、椅子本
体の熱伝導率を低下させることができるうえ、椅子本体
の表面には表皮面材が一体化されているため、外観に優
れるとともに、椅子本体全体が周辺の温度等の影響で低
温になるのを抑制できるから、座ったときの腰の冷えを
防止でき、良好な座り心地が得られる。そして、椅子本
体は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂により形成されてい
るため、ガラス繊維によって機械的強さを増すことがで
きるから、高い曲げ強度、剛性および優れた衝撃強度を
確保できる。また、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂は、熱
可塑性樹脂をマトリックスとしているので、リサイクル
や焼却処理が可能となり、廃棄処理問題を解消できる。
【0011】ここで、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の膨
張は、例えば、成形時に、ガラス繊維によるスプリング
バック現象を発生させ、このガラス繊維の復元力で前記
樹脂を膨張させることにより行うことができる。
【0012】さらに、前記椅子本体は、前記ガラス繊維
を10〜70重量%含有することが好ましい。ガラス繊
維の含有量が10重量%未満では、充分な曲げ強度、剛
性および衝撃強度を確保できない場合があるうえ、スプ
リングバック現象による充分な膨張効果が得られないお
それがある。また、ガラス繊維の含有量が70重量%を
越えると、良好な外観が得られないことがある。
【0013】また、前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の
膨張倍率は、1.3〜5倍とされていることが望まし
い。この膨張倍率が、1.3倍未満では、空隙が独立気
泡になりやすく、椅子本体を充分に軽量化できないおそ
れがあり、5倍を越えると、空隙が大きな中空部になっ
て衝撃強度が低下する場合がある。
【0014】前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
プロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、
プロピレン−エチレンランダム共重合体、ポリエチレン
等のポレオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、AB
S樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリ芳香族エーテルまたはチオエーテル
系樹脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹
脂およびアクリレート系樹脂等を採用できる。上記熱可
塑性樹脂は、単独で用いることがもできるが、二種類以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】このような熱可塑性樹脂のうち、ポリプロ
ピレン、プロピレンと他のオレフィンとのブロック共重
合体、ランダム共重合体、あるいは、これらの混合物等
のポリプロピレン系樹脂が好ましく、とくに、不飽和カ
ルボン酸、または、その誘導体で変性された不飽和カル
ボン酸類変成ポリオレフィン含有ポリプロピレン系樹脂
であることが好ましい。このように、不飽和カルボン酸
類変成ポリプロピレン等のポリオレフィンを、ポリプロ
ピレン系樹脂に添加して用いることで、ガラス繊維との
接着性の向上を図ることができるから、優れた強度を確
保できる。なお、変成ポリオレフィンの含有量として
は、0.01〜50重量%である。
【0016】また、椅子本体におけるガラス繊維の平均
繊維長は、とくに制限はないが、例えば、2〜30mm
の範囲である。すなわち、平均繊維長が2mm未満で
は、充分な剛性および衝撃強度の向上を図れないおそれ
があるうえ、スプリングバック現象におけるガラス繊維
の復元力が不足する場合がある。平均繊維長が30mm
を越えると、溶融流動性が低下して、椅子本体の細部や
リブ等にガラス繊維が入りにくくなって、充分な強度を
確保できないおそれが生じるうえ、椅子本体の表面のう
ち表皮面材が一体化されていない部分の外観が不良にな
る場合がある。
【0017】ここで、椅子本体の表面に一体化される表
皮面材としては、特に制限はなく、公知の各種表皮面材
を採用できる。例えば、織布や不織布等の布、熱可塑性
樹脂シートやフィルム、熱可塑性樹脂等からなる発泡シ
ート、植毛されたシート、エラストマからなるシート等
を用いることができる。また、これらの布、シート、フ
ィルム等は、着色や模様等の印刷が施されたものも好適
に用いられる。このような表皮面材のうち、とくに、発
泡シート、エラストマシート、植毛シート単独、或い
は、これらのシートの他の素材との複合材が好ましい。
なお、椅子本体の表面において表皮面材を一体化する部
分は、その機能等に応じて適宜設定すればよく、椅子本
体の表面のうち必要部分のみ、つまり、部分的に表皮面
材を一体化してもよく、或いは、椅子本体の表面全体に
表皮面材を一体化してもよい。
【0018】一方、本発明は、ガラス繊維含有熱可塑性
樹脂を可塑化した溶融樹脂を、金型の内部に設けられた
キャビティに射出して、表面に表皮面材が一体化された
椅子本体の成形を行う椅子の製造方法であって、前記表
皮面材が装着された前記金型のキャビティに前記溶融樹
脂を射出して充満させる充填工程と、この充填工程の後
に、前記キャビティを前記椅子本体に応じた容積に拡張
して前記溶融樹脂を膨張させ、前記溶融樹脂の内部に連
続した空隙を形成する膨張工程とを行うことを特徴とす
る。
【0019】本発明においては、熱可塑性樹脂にガラス
繊維が含まれているため、膨張工程においてキャビティ
を拡張することで、ガラス繊維によるスプリングバック
現象が発生し、溶融樹脂を膨張させることができる。こ
の溶融樹脂の膨張によって、椅子本体の内部に連続した
空隙が形成されるので、椅子本体を構成するガラス繊維
含有熱可塑性樹脂の量を減少させることができるから、
椅子本体の厚さを増したりリブを設けたりしても、軽量
化を実現できるうえ、材料コストを低減できる。また、
前記空隙により椅子本体の熱伝導率を低減できるうえ
に、椅子本体には表皮面材が一体化されるので、雰囲気
温度等による椅子本体の温度低下を抑制できるから、座
ったときの腰の冷えを防止でき、良好な座り心地が得ら
れる。さらに、熱可塑性樹脂にガラス繊維を含有させる
ことで、優れた曲げ強度、剛性および衝撃強度を確保で
きるうえ、熱硬化性樹脂とは異なり、リサイクルや焼却
処理が可能になるため、廃棄処理問題を解消できる。そ
して、表皮面材を装着した金型のキャビティに溶融樹脂
を射出するので、椅子本体の成形と同時に、この椅子本
体に表皮面材を積層できるから、椅子本体および表皮面
材を簡単かつ確実に一体化できる。
【0020】以上において、前記膨張工程を開始した
後、前記溶融樹脂にガスを注入するガス注入工程を行う
ことが望ましい。このようなガス注入工程を行うこと
で、スプリングバック現象による溶融樹脂の膨張を補完
できるので、ガラス繊維の量が少ない場合でも、膨張工
程において、溶融樹脂を椅子本体に応じた容積まで確実
に膨張させることができる。
【0021】前記ガスの種類は、とくに限定されない
が、溶融樹脂と反応しにくい不活性なガスを用いること
が好ましく、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等を採用
できる。さらに、溶融樹脂の冷却効率を高めるために
は、液化炭酸ガス等の冷却用ガスを用いることが好まし
い。また、ガスの温度は、好ましくは、15℃以下であ
り、冷却効率を高めるためには、0℃以下が好ましい。
【0022】注入するガスの圧力は、成形品の大きさ、
形状および膨張倍率、ならびに、溶融樹脂の流動性、粘
度および含有ガラス繊維量、さらには、金型のゲート形
状等により適宜設定すればよく、例えば、ゲージ圧で、
0.01〜20MPaの範囲である。このガスの圧力
は、比較的低圧にすることで、樹脂内部に大きな中空部
が発生しにくくなって椅子本体の強度確保がより確実と
なるうえ、溶融樹脂と金型の成形面との間にガスが漏洩
しにくくなってシルバーマーク等の外観不良の発生を防
止できる。従って、ガスは、比較的低圧、具体的には、
0.1〜2MPaの範囲とすることが好ましい。このよ
うにガスの圧力を低圧にしても、スプリングバック現象
によって溶融樹脂の内部には相互に連続する多数の空隙
が形成されるので、これらの空隙を通じて溶融樹脂の内
部にガスを確実に注入することができる。
【0023】ここで、原材料としてのガラス繊維含有熱
可塑性樹脂に含まれるガラス繊維には、例えば、長さが
2〜100mmの範囲にされたものを用いることができ
る。すなわち、ガラス繊維の長さが2mm未満では、充
分な強度向上を図れないおそれがあるうえ、スプリング
バック現象による膨張力が不足する場合がある。ガラス
繊維の繊維長が100mmを越えると、可塑化不良の原
因になったり、射出成形により成形を行う場合にはブリ
ッジが発生する可能性があることから、成形が困難にな
る場合がある。
【0024】そして、前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂
としては、ガラス繊維を包含するとともに全長が2〜1
00mmの範囲にされたガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペ
レット単独、或いは、これに他の樹脂ペレットを混合し
たものを用いることができる。
【0025】例えば、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレ
ットとしては、当該ペレットの全長と等しい長さのガラ
ス繊維を、互いに平行に配列させた状態でペレット全体
の20〜80重量%含有させたものを採用できる。この
ようなペレットを用いれば、成形にあたって射出装置の
スクリュで可塑化・混練しても、ガラス繊維が破断され
にくくなる。この場合、ガラス繊維としては、E−ガラ
スまたはS−ガラスのガラス繊維であって、その平均繊
維径が25μm以下のもの、好ましくは3〜20μmの
範囲のものを採用できる。ガラス繊維の径が3μm未満
であると、ペレット製造時にガラス繊維が樹脂になじま
ず、樹脂に含浸するのが困難となる一方、25μmを超
えると、曲げ強度、剛性、衝撃強度が低下するととも
に、外観が不良になるおそれがあり、溶融混練時に切
断、欠損が起こりやすくなる。
【0026】また、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレッ
トを製造するにあたり、ガラス繊維は、カップリング剤
で表面処理した後、収束剤により、100〜10000
本、好ましくは、150〜5000本の範囲で束ねてお
くことが望ましい。カップリング剤としては、いわゆる
シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤とし
て従来からあるものの中から適宜選択することができ
る。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン等のアミノシランやエポキシシラ
ンが採用できる。特に、前記アミノ系シラン化合物を採
用するのが好ましい。
【0027】このようなカップリング剤を用いてガラス
繊維の表面処理を行うにあたり、前述のカップリング剤
を有機溶媒に混ぜた有機溶媒液あるいは混濁液を、いわ
ゆるサイジング剤としてガラス繊維に塗布するサイジン
グ処理の他、乾式混合およびスプレー法等が採用でき
る。また、表面処理を行うにあたり、前述のカップリン
グ剤とともに、ガラス用フィルム形成物質を併用するこ
とができる。このフィルム形成物質としては、例えば、
ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル
系、酢酸ビニル系およびイソシアネート系等の重合体が
採用できる。
【0028】収束剤としては、例えば、ウレタン系、オ
レフィン系、アクリル系、ブタジエン系およびエポキシ
系等が採用でき、これらのうち、ウレタン系およびオレ
フィ系が採用できる。これらのうち、ウレタン系収束剤
は、通常、ジイソシアネート化合物と多価アルコールと
の重付加反応により得られるポリイソシアネート50重
量%以上の割合に含有するものであれば、油変性型、湿
気硬化型およびブロック型等の一液タイプ、および、触
媒硬化型およびポリオール硬化型等の二液タイプのいず
れもが採用できる。一方、オレフィン系収束剤として
は、不飽和カルボン酸、または、その誘導体で変性され
た変性ポリオレフィン系樹脂が採用できる。
【0029】ガラス繊維含有熱可塑性樹脂ペレットは、
このようなガラス繊維および前述した熱可塑性樹脂を用
いて、引き抜き成形法、或いは、溶液含浸法等により製
造できる。すなわち、上述のような収束剤で収束したガ
ラス繊維に、熱可塑性樹脂を付着・含浸させることによ
り、ガラス繊維を含有する樹脂ペレットを製造できる。
ガラス繊維に熱可塑性樹脂を付着・含浸させる方法とし
ては、例えば、容器等に入れた溶融樹脂の中にガラス繊
維束を通して樹脂を含浸させる方法、サスペンジョン、
エマルジョンによりガラス繊維束に樹脂を含浸させた
後、コーティング用ダイにガラス繊維束を通す方法、あ
るいは、ダイでガラス繊維の周りに付着した溶融樹脂を
押し広げてガラス繊維束に含浸させる方法等が採用でき
る。ここで、ガラス繊維束と熱可塑性樹脂とをよくなじ
ませる、すなわち濡れ性を向上するために、内周に凹凸
部が設けられたダイの内部に、張力が加えられたガラス
繊維束を通して引き抜くことで、溶融樹脂をガラス繊維
束に含浸させた後、さらに、このガラス繊維束を加圧ロ
ーラでプレスする工程が組み込まれた引抜成形法も採用
できる。なお、ガラス繊維と溶融樹脂とが互いによくな
じむ、濡れ性のよいものであれば、溶融樹脂がガラス繊
維に容易に含浸され、ペレットの製造が容易となるの
で、前述の収束剤でガラス繊維を収束する工程は、省略
できる場合がある。ここで、互いによくなじませる方法
としては、樹脂に極性を付与したり、ガラス繊維の表面
にカップリング剤と反応する官能基をグラフトしたりす
る方法が有効である。
【0030】以上のような方法で、樹脂が含浸された長
尺ガラス繊維束(ストランド等)を、繊維の長手方向に
沿って切断していけば、ペレットの全長と同じ長さの長
ガラス繊維を含んだ樹脂ペレットを得ることができる。
この際、樹脂ペレットとしては、ガラス繊維束がストラ
ンドにされ、その断面形状が略円形となった樹脂含有長
尺ガラス繊維束を切断したものに限らず、ガラス繊維を
平たく配列することにより、シート状、テープ状または
バンド状になった樹脂含有長尺繊維束を所定の長さに切
断したものでもよい。
【0031】また、樹脂ペレットには、必要に応じて、
安定剤、帯電防止剤、耐候剤、着色剤、短繊維、タルク
等の充填剤(フィラー)、各種エラストマ、各種難燃剤
(難燃助剤)、酸化防止剤、界面改質剤等を加えること
もできる。
【0032】そして、前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂
には、スプリングバック現象におけるガラス繊維の復元
力を補完するために、発泡剤を添加してもよい。この発
泡剤の含有量は、必要最低限に留めることが好ましく、
具体的には、発泡剤は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂1
00重量部に対して3重量部以下とすることが好まし
い。すなわち、発泡剤の含有量が3重量部を越えると、
シルバーマークが発生する場合があり、外観品質上の不
具合が生じるおそれがあるうえ、椅子本体内部の空隙が
大きな中空部になって強度が低下する場合がある。
【0033】この発泡剤の種類は、熱により分解してガ
スを発生するものであれば、とくに限定されず、例え
ば、シュウ酸誘導体、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、
セミカルバジド、アジド化合物、ニトロソ化合物、トリ
アゾール、尿素およびその関連化合物、亜硝酸塩、水素
化物、炭酸塩ならびに重炭酸塩等が採用できる。さらに
具体的に例示すれば、アゾジカルボンアミド(ADC
A)、ベンゼンスルホヒドラジド、N,N−ジニトロペ
ンタメチレンテトラミン、テレフタルアジド等を採用で
きる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づいて説明する。 〔射出成形機の構造〕図1には、本実施形態に係る椅子
60の椅子本体61(図5参照)を成形するための射出
成形機1が示されている。この射出成形機1は、金型1
0の内部に溶融樹脂を充填して成形を行うものである。
本実施形態の金型10は、固定金型11および可動金型
12に分割されたものであり、これらの固定金型11お
よび可動金型12の間にキャビティ10Aが形成されて
いる。射出成形機1は、金型10のキャビティ10Aに
溶融樹脂を射出する射出装置1Aと、固定金型11が取
り付けられた固定盤3と、可動金型12が取り付けられ
た移動盤4と、この移動盤4を固定盤3へ向かって前進
させるための型締装置5と、可動金型12を固定金型1
1に対して進退させるための金型移動装置20とを備え
ている。
【0035】射出装置1Aは、図示しない射出シリンダ
の内部に供給された樹脂ペレットを、スクリュで混練し
ながら可塑化し、樹脂ペレットを可塑化した溶融樹脂
を、先端に設けられたノズル19から射出するものであ
る。移動盤4の固定盤3と反対側には、固定プレート7
が対向配置されている。この固定プレート7と固定盤3
との間には、タイバー8が架け渡され、前記移動盤4
は、このタイバー8に沿って摺動自在に設けられてい
る。
【0036】型締装置5は、固定プレート7に取り付け
られた油圧シリンダ装置6と、この油圧シリンダ装置6
のピストンロッド6Aが連結されたトグル機構9とを有
して構成されている。本実施形態の型締装置5は、油圧
シリンダ装置6の押圧力をトグル機構9で増力して移動
盤4を固定盤3に向かって前進させ、これにより、可動
金型12を固定金型11に密着させ、金型10の閉鎖を
行うものである。
【0037】移動盤4および固定盤3の間には、移動盤
4の移動方向に沿って型締め圧受けブロック3A,3B
が並設され、それぞれ固定盤3および移動盤4に固定さ
れている。これにより、移動盤4を前進させたときに、
固定盤3側の型締め圧受けブロック3Aに移動盤4側の
型締め圧受けブロック3Bが当接して、トグル機構9の
高圧型締め力を受けるとともに、固定盤3および移動盤
4の平行度を確保するようになっている。
【0038】金型移動装置20は、移動盤4および可動
金型12の間に介装され、移動盤4に取り付けられた固
定基板21と、この固定基板21と対向して可動金型1
2に取り付けられた移動基板22とを有して構成されて
いる。固定基板21には、可動金型12の移動方向に沿
って延びるガイドバー23が植設され、移動基板22
は、このガイドバー23に沿って摺動自在に設けられて
いる。これらの固定基板21および移動基板22の間に
は、テンションスプリング24が架け渡され、移動基板
22は、固定基板21に向かって常時付勢されている。
【0039】また、固定基板21および移動基板22の
間には、一対の傾斜部材31,32が設けられている。
これらの傾斜部材31,32は、それぞれ、可動金型1
2の移動方向に対して傾斜した傾斜面31A, 32Aを
それぞれ有し、これらの傾斜面31A, 32Aを互いに
面接触させた状態で、可動金型12の移動方向に沿って
配列されている。移動基板22側の傾斜部材32は、当
該移動基板22に固定され、固定基板21側の傾斜部材
31は、当該固定基板21の表面に沿って摺動可能に設
けられている。この傾斜部材31には、油圧シリンダ装
置34のピストンロッド34Aが連結され、傾斜部材3
1を可動金型12の移動方向と直交する方向に駆動する
ようになっている。これにより、傾斜部材31を進退さ
せることにより、傾斜部材32が可動金型12の移動方
向に沿って進退するようになっている。
【0040】本実施形態の金型移動装置20において
は、傾斜部材31を傾斜部材32に対して前進させるこ
とにより、傾斜部材32を可動金型12とともに固定盤
3に向かって前進させ、キャビティ10Aの溶融樹脂に
圧縮力を加えるようになっている。これと逆に、傾斜部
材31を傾斜部材32に対して後退させることにより、
傾斜部材32を可動金型12とともに移動盤4に向かっ
て後退させ、これにより、キャビティ10Aを拡張する
ようになっている。また、傾斜部材31を静止させるこ
とにより、可動金型12を所望の位置に静止させ、固定
金型11の成形面と可動金型12の成形面とのクリアラ
ンス、つまり、キャビティ10Aの厚さを所定の厚さに
維持するようになっている。
【0041】このような金型移動装置20に油圧を供給
するために、油圧シリンダ装置34には、油圧ユニット
30が接続されている。この油圧ユニット30には、当
該油圧ユニット30を制御して、金型移動装置20に所
望の動作を行わせるための制御装置33が接続されてい
る。この制御装置33は、デジタルシーケンサ等のシー
ケンス制御回路を有するものであり、可動金型12をキ
ャビティ10Aに対して段階的に前進後退させ、所定の
位置に一時停止させた後に、後退させる等、任意の異な
る動作を連続的に行わせることが可能となっている。な
お、金型移動装置20は、油圧式のものに限定されず、
例えば、空気圧式、或いは、電動式としてもよい。
【0042】〔金型およびガスピンの構造〕金型10の
可動金型12の成形面は、成形品の意匠面を成形する成
形面とされ、固定金型11の成形面は、成形品の裏面を
成形する成形面11Aを含んで構成されている。可動金
型12の成形面には、成形品の表面を被覆する表皮面材
63(図5参照)を装着するための装着手段(図示省
略)が設けられている。この装着手段としては、例え
ば、表皮面材63(図5参照)を係止するためのピン
や、表皮面材63を吸引して保持する真空吸引孔等、既
存の各種装着手段を適宜採用すればよい。
【0043】固定金型11には、キャビティ10Aの溶
融樹脂の内部にガスを注入するための一対のガスピン1
3が設けられている。これらのガスピン13は、前記成
形面11Aに開口し、成形品の意匠面とは反対側の裏面
側からガスを注入するようになっている。これにより、
ガスの注入によって成形品の外観が損なわれることはな
い。なお、ガスピン13の数は、二つに限定されず、例
えば、一つであってもよく、或いは、三つ以上としても
よいが、ガスを成形品の内部に均一に注入するために
は、複数のガスピンを設けることが好ましい。
【0044】これらのガスピン13のうち少なくとも一
つのガスピン13Aは、必要に応じて、ガスの一部を溶
融樹脂の内部から金型10の外部へ排出するための排出
路としても使用できるように構成されている。また、金
型10には、排出路となるガスピン13Aを開閉して溶
融樹脂の内部のガス圧力を所定の圧力に制御する圧力調
整弁(図示省略)が設けられている。これにより、溶融
樹脂内部のガス圧力が高くなった場合に、このガスピン
13Aを通じてガスを排出することで、溶融樹脂内部の
ガスの圧力を一定に保持できるとともに、溶融樹脂の冷
却速度を大幅に向上できる。
【0045】このようなガスピン13は、図2に示すよ
うに、固定金型11の成形面11Aから若干突出するよ
うに設けられている。具体的には、ガスピン13の全長
を30〜50mm程度とした場合、ガスピン13の成形
面11Aからの突出長さは、2mm程度である。本実施
形態のガスピン13は、その軸方向に沿ってガスを流通
可能にされたガス流路41を備えている。このガス流路
41には、ガス導入路52を介してガス注入装置(図示
省略)が接続され、ガス注入装置から供給されるガス
を、ガス導入路52およびガス流路41を介して、キャ
ビティ10Aに導入できるようになっている。なお、ガ
ス導入路52は、固定金型11に螺入されたガスタップ
51を含んで構成されている。
【0046】ガスピン13は、円筒状の外筒部42と、
この外筒部42に挿入された中子部43とを備え、これ
らの外筒部42および中子部43の間に前記ガス流路4
1が形成されている。外筒部42は、ガス流路41の入
口側(ガス導入路52側)の端部にリング状の鍔部42
1を備え、この鍔部421により、固定金型11から脱
落しないようになっている。中子部43は、図3および
図4にも示すように、外筒部42に略緊結した状態で挿
入された略円柱状の中子部本体431と、この中子部本
体431のうちガス流路41の入口側の端部に設けられ
た係止部432とを有して略T字状に形成されている。
この係止部432は、外筒部42の開口を覆う円盤状に
形成され、外筒部42の鍔部421にねじ等の止着手段
(図示省略)により固定されている。また、係止部43
2には、四つのスリット45が形成され、ガス流路41
の入口を構成している。このような係止部432の周囲
には、ガスの漏洩を防止するためのシール材44が設け
られている。
【0047】中子部本体431の周面には、切削加工等
により、その軸心と平行な平面部46A,46Bが等間
隔に形成され、それぞれ係止部432の各スリット45
に対応した位置に設けられている。これにより、中子部
43と外筒部42との間には、平面部46A,46Bと
外筒部42の内周面とに囲まれた四つのガス流路41が
形成されている。各平面部46A,46Bは、それぞれ
二つに区画され、具体的には、ガス流路41の入口側の
入口側平面部46Aおよび出口側の出口側平面部46B
により構成されている。出口側平面部46Bは、入口側
平面部46Aよりも幅狭、つまり浅く切削され、これに
より、ガス流路41の出口側の部分は、入口側の部分よ
りも狭くなっている。
【0048】また、中子部本体431のガス流路41出
口側の先端は、その軸方向と略直交する平面状の先端面
43Bとされている。外筒部42は、この先端面43B
よりもガス出口側に突出し、これにより、ガスピン13
のガス注入方向先端には、外筒部42の端部および先端
面43Bに囲まれた先端空間40が形成されている。な
お、先端面43Bからの外筒部42の突出長さは、例え
ば、0.1〜10mmとすることができるが、成形品の
ガスピン13からの離型性を良好にするためには、0.
1mm〜3mmとすることが好ましい。
【0049】〔椅子の構造〕図5には、本実施形態の椅
子60が示されている。この椅子60は、一人掛け用の
椅子であり、前述した金型10および射出成形機1を用
いて成形された椅子本体61に、脚62を取り付けた構
造を有している。椅子本体61は、座部61A、背もた
れ部61Bおよび立上部61Cを一体成形したものであ
り、座部61Aおよび背もたれ部61Bの表面には、表
皮面材63が一体化されている。この椅子60の意匠面
となる表皮面材63側の面は、金型10の可動金型12
の成形面により成形され、椅子60の裏面、つまり、表
皮面材63側と反対側の面は、固定金型11の成形面1
1Aにより成形される。
【0050】ここで、具体的な表皮面材63としては、
単層面材、複数の面材を積層した多層面材、面材に植毛
したもの等を採用できる。この単層面材とは、例えば、
織布や不織布等の布、熱可塑性樹脂面材、熱可塑性樹脂
の発泡面材、および模様等が印刷されたフィルム等があ
る。また、多層面材としては、熱可塑性エラストマや塩
化ビニル樹脂等の表皮材に、熱可塑性樹脂や熱可塑性樹
脂の発泡体からなる裏地材を裏打ちしたもの等が挙げら
れる。
【0051】本実施形態の椅子本体61は、ガラス繊維
含有熱可塑性樹脂からなり、具体的には、熱可塑性樹脂
である不飽和カルボン酸類変成ポリオレフィン含有ポリ
プロピレン系樹脂をガラス繊維で強化したガラス繊維含
有熱可塑性樹脂により形成され、ガラス繊維を10〜7
0重量%含有している。また、椅子本体61は、その内
部に連続した空隙(図示省略)を備えている。これらの
空隙は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を成形時に膨張さ
せることによって形成されたものであり、このガラス繊
維含有熱可塑性樹脂の膨張倍率は、1.3〜5倍とされ
ている。
【0052】〔椅子本体の成形手順〕本実施形態では、
前述した射出成形機1および金型10を用い、射出圧縮
成形法により、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させ
て、前記椅子本体61を成形する。すなわち、原材料の
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂として、ガラス繊維含有熱
可塑性樹脂ペレットを用いる。このガラス繊維含有熱可
塑性樹脂ペレットは、ポリプロピレンを主原料とし、全
長が2〜100mmの範囲にされたペレットであり、そ
の全長に等しい長さの補強用ガラス繊維が、互いに平行
に配列された状態となって全体の10〜70重量%含ま
れている。なお、原材料として、前述のガラス繊維含有
熱可塑性樹脂ペレットと、ガラス繊維を含まない他の樹
脂ペレットとを混合した混合物を採用する場合には、ガ
ラス繊維が原材料全体の10〜70重量%の範囲で含ま
れるように配合する。
【0053】また、原材料には、必要に応じて、当該原
材料100重量部に対して3重量部以下の発泡剤を含有
させることができ、この発泡剤の添加は、発泡剤を含有
するマスターバッチペレットを、前述の樹脂ペレットに
混入することで行う。
【0054】このような原材料としての樹脂ペレット
を、射出装置1Aの射出シリンダ(図示省略)に供給し
た後、射出成形機1を起動して、射出シリンダ内の樹脂
ペレットの可塑化および混練を開始する。この際、射出
シリンダ内で、樹脂ペレットの可塑化および混練を充分
行うことにより、成形品を成形するのに必要な量の溶融
樹脂を得るとともに、溶融樹脂内の無数のガラス繊維
を、均一に分散させ、かつ、互いに充分絡み合った状態
にし、スプリングバック現象が発生しやすい状態にす
る。
【0055】そして、表皮面材63を図示しない装着手
段によって可動金型12の成形面に装着し、この後、型
締装置5を作動させて、移動盤4を固定盤3に向かって
移動させ、図1の如く、移動盤4側の型締め圧受けブロ
ック3Bを、固定盤3側の型締め圧受けブロック3Aに
当接させるとともに、可動金型12を固定金型11に当
接させて、これにより、金型10を閉鎖する。
【0056】次いで、金型移動装置20を作動させ、図
6(A)に示されるように、可動金型12を位置Uに移
動させる。ここで、位置Uに静止した可動金型12が形
成するキャビティ10Aの厚さは、溶融樹脂の全射出量
および表皮面材63を合わせた体積に相当する容積より
も拡大されるように設定し、具体的には、充填する樹脂
量分に表皮面材63の厚さを合わせた厚さと、後の圧縮
工程における圧縮ストローク分とを合わせた厚さとす
る。すなわち、キャビティ10Aのうち溶融樹脂に対応
した部分の厚さt1を、溶融樹脂の全射出量に相当する厚
さよりも大幅に大きくなるように設定する。
【0057】この状態で、射出装置1Aから溶融樹脂を
金型10内に射出し、溶融樹脂の全充填量がキャビティ
10Aに射出されたら、溶融樹脂の射出を完了する。こ
のように、充填する溶融樹脂に応じた容積よりも拡大さ
れたキャビティ10Aに溶融樹脂を射出することで、キ
ャビティ10Aの容積を、溶融樹脂および表皮面材63
を合わせた体積に対応させた場合よりも、金型10への
衝突によるガラス繊維の折損を低減できるうえ、表皮面
材63に加わる溶融樹脂の圧力を低くできるので、射出
による表皮面材63の損傷を防止できる。
【0058】そして、溶融樹脂の射出完了前、或いは、
射出完了と同時に、金型移動装置20を作動させ、図6
(B)に示されるように、可動金型12を位置Vまで前
進させる。ここで、位置Vに静止した可動金型12が形
成するキャビティ10Aの厚さは、溶融樹脂の充填量に
相当する容積となる厚さt2と、表皮面材63が圧縮され
たときの厚さとを合わせた厚さになるように設定する。
このように、可動金型12をキャビティ10Aに対して
前進させることで、溶融樹脂を圧縮してキャビティ10
Aに完全に充満させる。すると、溶融樹脂に加わる圧縮
力により、当該溶融樹脂が、金型10の成形面および表
皮面材63に押圧されて密着し、成形面に倣ったスキン
層が溶融樹脂の表面に形成されるとともに、溶融樹脂が
表皮面材63と一体化される。なお、圧縮ストローク
は、射出樹脂圧力を低くしてガラス繊維の折損を低減す
るためには、0.1〜50mmとすることが好ましく、
フローマーク等の外観不良やガラス繊維の折損を確実に
防止するためには、1〜10mmとすることが好まし
い。また、表皮面材63を保護するためには、可動金型
12が位置Vに到達した後に、その圧縮力を1/2〜1
/10に低下させることが好ましい。
【0059】可動金型12が位置Vに到達し、溶融樹脂
の表面に所定の固化層が形成されたら、図6(C)に示
すように、キャビティ10Aが椅子本体61に応じた容
積となる位置Wまで可動金型12を後退させて、溶融樹
脂を膨張させる。ここで、位置Wに静止した可動金型1
2が形成するキャビティ10Aの厚さは、表皮面材63
を含めた成形品の厚さに応じて設定し、具体的には、膨
張させた溶融樹脂の容積に相当する厚さt3と、その時点
における表皮面材63の厚さとを合わせた厚さとする。
この場合、キャビティ10Aの溶融樹脂分の厚さt3は、
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の膨張倍率が1.3〜5倍
の範囲となるように設定する。また、可動金型12の後
退速度は、例えば、0.05〜100mm/秒の範囲と
することができるが、成形面に忠実な表面形状を備えた
成形品を得るためには、0.05〜50mm/秒の範囲
とすることが好ましい。
【0060】このように、可動金型12をキャビティ1
0Aに対して後退させることで、ガラス繊維によるスプ
リングバック現象が発生し、溶融樹脂内で押し潰されて
いたガラス繊維の弾性的な復元力で溶融樹脂が膨張し
て、溶融樹脂の内部に無数の空隙が発生し、これらの空
隙は互いに連続したものとなる。これにより、使用した
原材料の量よりも容積が大きく軽量化された椅子本体6
1が得られる。
【0061】可動金型12が位置Wに到達したら、ガス
導入路52を通じてガスピン13から溶融樹脂の内部に
ガスを注入する。ここで、ガスとして、温度が15℃以
下のもの、とくに、0℃以下のものを用いることで、冷
却効率を高めることができる。さらに、注入するガスの
圧力は、例えば、ゲージ圧で、0.01〜20MPaの
範囲とすることができるが、0.1〜2MPaの範囲と
することで、樹脂内部に大きな中空部が発生することが
なくなって優れた強度を確保できるうえ、溶融樹脂と金
型10の成形面との間にガスが漏洩しにくくなるので、
シルバーマーク等の外観不良の発生を防止できる。
【0062】このガス注入工程では、外筒部42が中子
部43よりもガス出口側に突出したガスピン13を用い
るため、ガス流路41から流出したガスは、外筒部42
および中子部43の先端面43Bに囲まれた先端空間4
0に滞留し、先端空間40における圧力が高くなって溶
融樹脂の内部に押し出される。従って、ガスは、溶融樹
脂の最表面層を突き破って溶融樹脂の内部に確実に導入
されるので、金型10の成形面と溶融樹脂との間に逃げ
ることがなくなり、ヒケ等の外観上の不具合を確実に防
止できる。
【0063】また、ガス注入の際には、前述した圧力調
整弁によって保持する溶融樹脂内部のガス圧力を、注入
するガスの圧力よりも低く設定する。すると、ガスピン
13Aが排出路となり、溶融樹脂の内部からガスの一部
が金型10の外部に排出され、このガス排出によって、
溶融樹脂の内部にガスが流通して当該溶融樹脂が冷却さ
れるので、冷却時間を短縮できる。
【0064】このようにして、溶融樹脂が完全に冷却・
硬化する前にガスを注入すると、ガスは、溶融樹脂内部
の連続した無数の空隙の各々に分散して導入されるの
で、大きな中空部が形成されることはない。また、溶融
樹脂は、ガスの圧力によってその内部から金型10の成
形面に向かって押圧されて密着し、その状態を維持した
まま冷却・硬化するため、椅子本体61の表面にヒケ等
の不具合が生じることはない。
【0065】成形品である椅子本体61を充分冷却する
のに必要な所定時間が経過したら、型締装置5を作動さ
せて移動盤4を後退させ、金型10を開く。そして、金
型10の内部から椅子本体61を取り出し、成形を完了
する。以降、必要に応じて、以上のような成形作業を繰
り返す。
【0066】このような成形手順により、表皮面材63
が一体化された膨張倍率1.3〜5倍の椅子本体61が
得られる。また、その椅子本体61の内部には、相互に
連続する多数の空隙が確実に形成されるとともに、表面
にはスキン層が形成される。また、椅子本体61に含ま
れるガラス繊維の平均繊維長は、2〜30mmの範囲と
なり、充分な剛性および衝撃強度の向上を図ることがで
きる。
【0067】〔実施形態の効果〕このような本実施形態
によれば、以下のような効果がある。すなわち、椅子本
体61の内部の空隙は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を
膨張させることにより形成されるので、当該樹脂の使用
量を減少させることができるから、強度を高めるため
に、椅子本体61の厚肉化やリブ補強等を行っても、確
実に軽量化できるうえ、材料コストを低減できる。さら
に、椅子本体61の内部の空隙は互いに連続しているた
め、充分な軽量化および材料コストの低減を達成でき
る。
【0068】また、椅子本体61内部の空隙により、椅
子本体61の熱伝導率を低下させることができるうえ、
座部61Aおよび背もたれ部61Bには表皮面材63が
一体化されているため、椅子本体61全体が周辺の温度
等の影響で低温になるのを抑制できるから、座ったとき
の腰の冷えを防止でき、良好な座り心地が得られる。そ
して、椅子本体61は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂に
より形成され、また、スキン層が形成されているため、
ガラス繊維によって機械的強さを増すことができるか
ら、高い曲げ強度、剛性および優れた衝撃強度を確保で
きるうえ、熱可塑性樹脂をマトリックスとしているので
リサイクルや焼却処理が可能となり、廃棄処理問題を解
消できる。
【0069】さらに、椅子本体61は、ガラス繊維を1
0〜70重量%含有しているため、充分な剛性および衝
撃強度を確保できるとともに、スプリングバック現象に
よる充分な膨張効果が得られ、さらには、良好な外観を
確保できる
【0070】また、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の膨張
倍率は、1.3〜5倍とされているので、空隙を確実に
連続させることができるから、椅子本体61を充分に軽
量化できるうえ、過剰な膨張により空隙が大きな中空部
になることを防止できるから、衝撃強度を確実に向上で
きる。
【0071】また、熱可塑性樹脂にガラス繊維を含有さ
せた原材料を用いて椅子本体61を成形するので、膨張
工程において、可動金型12を後退させてキャビティ1
0Aを拡張することで、ガラス繊維によるスプリングバ
ック現象が発生し、溶融樹脂を膨張させることができ
る。従って、この溶融樹脂の膨張によって、椅子本体6
1の内部に互いに連続した空隙を形成することができる
ので、原材料としてのガラス繊維含有熱可塑性樹脂の使
用量を減少させることができるから、椅子本体61の厚
肉化やリブ補強等を行っても、軽量化を実現できるう
え、材料コストを低減できる。
【0072】そして、表皮面材63を装着した金型10
のキャビティ10Aに溶融樹脂を射出するので、椅子本
体61の成形と同時に、この椅子本体61に表皮面材6
3を積層できるから、椅子本体61および表皮面材63
を簡単かつ確実に一体化できる。
【0073】さらに、溶融樹脂を膨張させた後に、当該
溶融樹脂の内部にガスを注入するので、スプリングバッ
ク現象による溶融樹脂の膨張を補完できるから、溶融樹
脂を椅子本体61に応じた容積まで確実に膨張させるこ
とができるうえ、溶融樹脂を金型10の成形面に押圧し
て密着させることができるから、ヒケの発生を防止でき
る。
【0074】そして、溶融樹脂をその充填量よりも拡大
されたキャビティ10Aに射出してから、当該キャビテ
ィ10Aを前記溶融樹脂の充填量に相当する容積まで縮
小することで溶融樹脂を圧縮するため、溶融樹脂をキャ
ビティ10Aの細部にまで充分に行き渡らせることがで
きる。従って、椅子本体61の肉厚が薄い場合や、大型
の椅子本体61を成形する場合でも、金型10の成形面
に忠実な椅子本体61を確実に成形できる。
【0075】なお、本発明は前記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を
含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。
すなわち、前記実施形態では、椅子本体61の座部61
Aおよび背もたれ部61Bに表皮面材63が一体化され
ていたが、例えば、座部のみ、或いは、背もたれ部のみ
に表皮面材が一体化されていてもよい。前記実施形態の
椅子は、一人掛け用の比較的小さなものであったが、複
数の人が腰掛け可能な長椅子等であってもよい。また、
椅子は、脚を有するものに限定されず、例えば、座椅子
や乗り物用の椅子等の椅子本体のみで構成される椅子で
あってもよい。要するに、本発明の椅子は、椅子本体の
内部に、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させること
により形成される互いに連続した空隙を有し、当該椅子
本体に表皮面材が一体化されたものであれば、その形状
や用途は任意である。
【0076】そして、前記実施形態では、可動金型を固
定金型に対して進退させることでキャビティの容積を変
化させたが、可動金型および固定金型のいずれか一方
に、単独で進退可能な部分移動型を設け、型締め後にこ
の部分移動型のみ進退させることにより、キャビティの
容積を変化させてもよい。この場合、部分移動型の進退
は、前記実施形態の金型移動装置を用いて行ってもよ
く、或いは、部分移動型を進退させる機構を金型内部に
設けてもよい。
【0077】さらに、前記実施形態では、射出した溶融
樹脂を圧縮することで、溶融樹脂をキャビティに充満さ
せたが、この圧縮工程は省略してもよい。すなわち、図
6において、可動金型12をVの位置にした状態、つま
り、キャビティを溶融樹脂の充填量および表皮面材を合
わせた体積に対応した容積とした状態で、溶融樹脂を射
出して充満させてもよい。
【0078】
【実施例】次に、本発明の効果を、具体的な実施例に基
づいて説明する。 〔実施例1〕本実施例1は、前記実施形態に基づいて椅
子本体の成形を行う実験であり、以下の具体的な原材
料、金型および成形条件等を採用した。 (1)原材料 引き抜き成形して所定長さに切断したガラス繊維強化ポ
リプロピレンペレットと、ポリプロピレンペレットと
を、ガラス繊維が原材料全体の20重量%となるように
ドライブレンドしたもの。 ガラス繊維強化ポリプロピレンペレット:無水マレイン酸類変成ポリプロピレ ンを2重量%含有 ・ペレットの長さ ; 12mm ・ペレットのガラス繊維含有量 ; 65重量% ・ガラス繊維の長さ ; 12mm(ペレットの長さと同じ) ポリプロピレンペレット(ブロックポリマー) ・メルトインデックス(MI) : 60g/10分( 230℃,2.16kgf)
【0079】(2)椅子本体 ・肉厚 :10mm(表皮面材の厚さを含まず)(3)
表皮面材 図7に示すように、シート状のバッキング材71に無数
の柔毛72が植えられたもの(厚さ2.5mm)
【0080】(4)金型 ・前記椅子本体を成形するためのキャビティを有する金
型・可動金型の進退により、椅子本体の厚さ方向のキャ
ビティの寸法が可変とされたもの (5)成形機:横型射出成形機に、金型移動装置である
出光石油化学株式会社製の出光IPMユニット(商品
名)を装着したもの ・型締装置の型締め力 : 850t
【0081】(6)成形条件:前記第一実施形態におけ
る射出圧縮成形法に基づいて成形を行った。このとき、
キャビティの拡張・収縮は、可動金型を進退させる油圧
を制御することにより行った。なお、表皮面材は圧縮性
であるため、キャビティの各寸法は、成形品のうち表皮
面材を除いた樹脂部分について示した。 成形温度 ; 250℃(射出シリンダ温度) 金型温度 ; 60℃ キャビティの溶融樹脂分の厚さ寸法(表皮面材の厚さ分を除く) ・樹脂射出時の寸法t1 ; 17mm ・樹脂圧縮時の寸法t2 ; 3mm ・樹脂膨張時の寸法t3 ; 7.5mm 可動金型の進退のタイミング ・前進開始のタイミング ; 射出完了前 ・後退開始のタイミング ; 射出完了後 ガス注入のタイミング ; 金型後退開始後 ガスの圧力 ; 0.8MPa ガスの種類 ; 窒素ガス
【0082】〔実施例2〕本実施例2では、表皮面材と
して、図8に示すように、約15倍に発泡させたポリプ
ロピレン発泡体73に塩化ビニル樹脂製のレザー74を
貼着したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にし
て椅子本体を成形した。
【0083】〔比較例1〕本比較例1では、前記実施例
1における条件を以下のように変更したうえで、前記実
施例1と同様にして椅子本体を得た。 (1)原材料:短繊維GFPP(繊維強化ポリプロピレ
ン)100重量部に、発泡剤を1.5重量部添加したも
の。なお、発泡剤の添加は、発泡剤を30重量%含有す
るマスターバッチペレットを5重量部混入させることに
より行った。 短繊維GFPP ・ペレットの長さ : 3mm ・ペレットのガラス繊維含有量 : 30重量% ・ガラス繊維の長さ : 0.42mm マスターバッチペレット : ポリスレンEV−306G(商品名) 永和化成工業株式会社製 (2)成形条件:膨張工程およびガス注入工程を省略
し、キャビティをその樹脂分の厚さ寸法t2が3mmにな
るように保持したまま、可動金型を進退させないで射出
および成形を行い、本比較例1の椅子本体を得た。
【0084】〔比較例2〕本比較例2では、前記比較例
1における条件を以下のように変更したうえで、前記実
施例1と同様にして椅子本体を得た。(1)原材料:前
記比較例1と同じもの (2)椅子本体 ・肉厚 :6mm(表皮面材の厚さを含まず) (3)成形条件 キャビティの溶融樹脂分の厚さ寸法(表皮面材の厚さ
分を除く) ・樹脂射出時の寸法t1 ; 17mm ・樹脂圧縮時の寸法t2 ; 3mm ・樹脂膨張時の寸法t3 ; 6mm
【0085】〔椅子本体の評価〕以上の実施例1,2お
よび比較例1,2で得た各成形品(椅子本体)につい
て、座部の樹脂部分の肉厚、座部の樹脂部分の膨張倍
率、落球衝撃試験における破壊高さ、製品圧縮試験にお
ける破壊荷重、成形品中のガラス繊維長(GF繊維
長)、成形品の外観、座り心地、成形品の膨張状況をそ
れぞれ評価した。その結果を表1,2に示す。各項目の
評価方法は、次に示す通りである。
【0086】(1)落球衝撃試験 3.6kgの鋼球を椅子本体の座部に落とし、座部が破
壊したときの高さを求めた。 (2)製品圧縮試験 5T圧縮試験器により、椅子本体を、その表皮面材側を
下側にして、23℃、圧縮速度10mm/分の条件で圧
縮し、椅子本体が破損する荷重を測定した。(3)成形
品中のGF繊維長 成形品である椅子本体を切断して灰化し、ガラス繊維を
写真撮影して万能投影機で拡大投射し、デジタイザーを
用いて重量平均ガラス繊維長を求めた。 (4)製品の外観 成形品である椅子本体の外観を目視により観察して評価
した。 (5)座り心地 椅子本体に腰掛けたときの感触を評価した。 (6)成形品の膨張状況 成形品である椅子本体をその厚さ方向に切断し、その切
断面を目視により観察して、大きな中空部の有無および
その内部の膨張状況を評価した。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】〔評価結果〕実施例1,2では、成形時
に、原材料の溶融樹脂が充分に膨張して、椅子本体の内
部に連続した無数の空隙が形成されるため、充分な軽量
化を達成できるとともに、腰の冷えにくい温もりのある
優れた座り心地の椅子本体が得られることがわかる。ま
た、ガラス繊維を含有させたことで、優れた剛性および
衝撃強度を確保でき、さらに、成形時にガスを注入した
ため、シルバーマーク等の不具合のない良好な外観を有
する椅子本体が得られることがわかる。
【0090】一方、比較例1では、GF繊維長が短いう
えに、キャビティを拡張しないで成形を行ったので、椅
子本体の内部に連続した空隙を形成できなかったため、
軽量化を図れないうえに、座り心地が不良になることが
わかる。また、肉厚の薄さから充分な剛性および衝撃強
度が得られないことがわかる。また、比較例2において
も、ガラス繊維の繊維長が短いため、スプリングバック
現象による膨張が不充分になり、椅子本体の内部に大中
空部が形成されて、座り心地および強度の向上を図れな
いうえ、良好な外観が得られないことがわかる。
【0091】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を膨張させることにより、
椅子本体の内部に連続した空隙を形成することで、当該
樹脂の使用量を減少させることができるから、強度を高
めるために椅子本体の厚肉化やリブ補強等を行った場合
でも、確実に軽量化できるとともに材料コストを低減で
きる。また、空隙によって椅子本体の熱伝導率を低下さ
せることができるうえに、椅子本体の表面には表皮面材
が一体化されているため、周辺の温度等による椅子本体
の温度低下を抑制できるから、座ったときの腰の冷えを
防止でき、良好な座り心地が得られる。そして、椅子本
体は、ガラス繊維含有熱可塑性樹脂により形成されてい
るため、ガラス繊維によって機械的強さを増すことがで
きるから、高い剛性および優れた衝撃強度を確保できる
うえ、熱可塑性樹脂をマトリックスとしているので、リ
サイクルや焼却処理が可能となり、廃棄処理問題を解消
できる。さらに、射出圧縮成形の採用およびガス注入の
採用により、表皮面材への悪影響を低減できるとともに
スキン層の形成を促進できるので、椅子本体全体の外
観、つまり、表皮面材が一体化されていない部分をも含
む外観が良好になる。また、ガス注入により冷却効率を
高められるので、生産性を大幅に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態で用いる射出成形機を示す
図。
【図2】前記実施形態のガスピンの装着状態を示す断面
図。
【図3】前記実施形態のガスピンの中子部を示す斜視
図。
【図4】前記実施形態のガスピンの中子部を示す図。
【図5】前記実施形態の椅子を示す斜視図。
【図6】前記実施形態の椅子本体の成形手順を示す工程
図。
【図7】前記実施例1および比較例1,2で用いる表皮
面材を示す断面図。
【図8】前記実施例2で用いる表皮面材を示す断面図。
【符号の説明】
1 射出成形機 10 金型 10A キャビティ 11 固定金型 12 可動金型 13,13A ガスピン 60 椅子 61 椅子本体 63 表皮面材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス繊維含有熱可塑性樹脂からなる椅
    子本体を備えた椅子であって、 前記椅子本体の表面には、表皮面材が一体化され、 前記椅子本体は、その内部に、前記ガラス繊維含有熱可
    塑性樹脂を膨張させることにより形成される連続した空
    隙を有することを特徴とする椅子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した椅子において、 前記椅子本体は、前記ガラス繊維を10〜70重量%含
    有することを特徴とする椅子。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載した椅子
    において、 前記ガラス繊維含有熱可塑性樹脂の膨張倍率は、1.3
    〜5倍とされていることを特徴とする椅子。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれかに
    記載した椅子において、 前記熱可塑性樹脂は、不飽和カルボン酸類変成ポリオレ
    フィン含有ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とす
    る椅子。
  5. 【請求項5】 ガラス繊維含有熱可塑性樹脂を可塑化し
    た溶融樹脂を、金型の内部に設けられたキャビティに射
    出して、表面に表皮面材が一体化された椅子本体の成形
    を行う椅子の製造方法であって、 前記表皮面材が装着された前記金型のキャビティに前記
    溶融樹脂を射出して充満させる充填工程と、 この充填工程の後に、前記キャビティを前記椅子本体に
    応じた容積に拡張して前記溶融樹脂を膨張させ、前記溶
    融樹脂の内部に連続した空隙を形成する膨張工程とを行
    うことを特徴とする椅子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載した椅子の製造方法にお
    いて、 前記膨張工程を開始した後、前記溶融樹脂にガスを注入
    するガス注入工程を行うことを特徴とする椅子の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107322844A (zh) * 2016-04-28 2017-11-07 全球能源互联网研究院 一种热塑性复合芯棒拉挤成型模具
WO2018225630A1 (ja) * 2017-06-07 2018-12-13 榎本機工株式会社 成形装置および成形方法

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