JPH1161464A - 鉄製ワークの防錆方法 - Google Patents

鉄製ワークの防錆方法

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JPH1161464A
JPH1161464A JP22270797A JP22270797A JPH1161464A JP H1161464 A JPH1161464 A JP H1161464A JP 22270797 A JP22270797 A JP 22270797A JP 22270797 A JP22270797 A JP 22270797A JP H1161464 A JPH1161464 A JP H1161464A
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JP
Japan
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iron
oxide
silicon
scale
fayalite
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Application number
JP22270797A
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English (en)
Inventor
Sumitaka Sakamoto
純孝 坂本
Hiroshi Ito
担 伊東
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Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Daihatsu Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄製ワークを塗装なしで防錆力を持たせるこ
と。 【解決手段】 けい素(Si)を含有する鉄製ワーク
を、空気中で700〜800℃で焼なまし処理する。こ
れにより鉄製ワークの表面に酸化スケールを20〜70
μm厚で形成する。この際、鉄製ワークの表面の鉄基地
に含有されたけい素(Si)を、鉄基地と接する酸化ス
ケール側界面に移動せしめ、けい素(Si)をして界面
の酸化スケール中に濃化させ、周囲の酸化鉄(FeO)
と結合させて緻密なファヤライト系酸化物(FeSi
O)を形成させる。このファヤライト系酸化物(FeS
iO)を介して酸化スケールを鉄基地に強く接合させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化スケール(以
下、単にスケールという。)の防錆力を向上させて塗装
を不要にする鉄製ワークの防錆方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄製ワークは空気中に放置しておくと酸
化して錆が発生するため、一般に塗装による防錆対策が
施される。例えばFCD(球状黒鉛鋳鉄)を使用した自
動車懸架装置のナックル、トレーリングアームおよびコ
ントロールアームなどの鋳物部品は、一例として、鋳造
→焼なまし→ショットブラスト→塗装→加工の工程を経
て製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、自動車の各種
部品コストの徹底的削減要請の中で、このような防錆塗
装についても省略の可能性について検討課題となってい
る。
【0004】本発明の目的は、鉄製ワークを塗装なしで
実用上十分な防錆力を持たせることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明は、けい素(Si)を含有する鉄製ワークを、空
気中で700〜800℃で焼なまし処理することによ
り、鉄製ワークの表面に酸化スケールを20〜70μm
厚で形成すると共に、鉄製ワークの表面の鉄基地に含有
されたけい素(Si)を、鉄基地と接する前記酸化スケ
ール側界面に移動せしめ、けい素(Si)をして前記界
面の酸化スケール中に濃化させ、周囲の酸化鉄(Fe
O)と結合させてファヤライト系酸化物(FeSiO)
を形成させ、前記ファヤライト系酸化物(FeSiO)
を介して前記酸化スケールを鉄基地に接合させた。
【0006】本発明は特にFCD400材等で構成した
自動車懸架装置のナックル、トレーリングアームおよび
コントロールアームなどの鋳物部品に好適に適用可能
で、この際、けい素(Si)の含有量は1.8%以上が
望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態を図に
基づいて説明する。本発明はけい素(Si)を含有する
鉄製ワークに適用可能であって、例えば鋳鉄と鋼に適用
可能である。鋳鉄の場合は鋳造→ショットブラスト→焼
なましの少なくとも3工程となり、鋼の場合は成形→焼
なましの少なくとも2工程となる。いずれも塗装なしで
実用上十分な防錆力を有するので、塗装コストの100
%削減が可能である。
【0008】図1は自動車懸架装置のナックル、トレー
リングアームおよびコントロールアームなどの製造を想
定した本発明の一実施形態を工程順に示したものであっ
て、鋳造工程1でけい素(Si)の含有量が2.0%以
上の溶湯を用いてFCD400等のナックル等を鋳造
し、この鋳造品をショットブラスト工程2で砂落しを
し、焼なまし工程3でナックル等の表面にスケールを形
成し、最後に加工工程4で軸孔加工等を行なう。なお、
焼なまし工程3の後で従来のように塗装工程5で塗装し
てから加工工程4に移行してもよい。
【0009】前記鋳造工程1とショットブラスト工程2
は常法に従い行なう。焼なまし工程3は、ナックル等を
加熱炉に入れて700〜800℃に加熱し(通常1〜3
時間程度の加熱)、その後加熱炉内でゆるやかに常温ま
で冷やす。この焼なまし処理によってナックル等の表面
にスケールが20〜70μm厚で形成され、しかもこの
スケールは次に述べるファヤライト系酸化物(FeSi
O)によって鉄基地に強固に接合しスケールの剥離を防
止する。この焼なまし温度を800℃以上にするとスケ
ールが厚くなり過ぎると共に、酸化が進行していわゆる
Fe3 4 リッチとなり却って剥離しやすくなる。一
方、焼なまし温度を700℃以下にするとショットブラ
ストで生じた加工硬化層の除去が不十分となって伸び限
度が低下する。なお、ファヤライト系酸化物は低融点
(1200℃程度)であるために、母材とスケールおよ
びスケール内のFeOとFe3 4 との間などに隙間を
形成させず、薄くて剥離しにくいスケール形成に役立
つ。
【0010】焼なましによるファヤライト系酸化物(F
eSiO)の生成メカニズムを図2に示す。図中左側が
空気、右側が鉄基地である。中央の縦帯部分がスケール
である。スケールの外側から順にFe2 3 とFeOが
生成される。また鉄基地中に含有されているけい素(S
i)は、焼なましによる熱で活発化し、移動性および酸
化性が増大する。そして、このけい素(Si)がFe2
3 とFeOを上回る速度で酸化され、スケール中に濃
化されていく。けい素(Si)のスケール中濃化現象自
体は、例えば高けい素FCD材(FCDA1)でよく知
られていることではあるが、本発明はスケールを20〜
70μm厚で形成した場合に前記濃化現象と相俟ってス
ケールが剥離しにくくなることを見出したことに技術的
な意義がある。
【0011】図3はスケール中のけい素(Si)の濃度
分布を示したもので、(A)はけい素(Si)を0.2
%含有する鋼(SPH270)、(B)はけい素(S
i)を2.5%含有するFCD700の濃度分布を示
す。図3(A)(B)の白地部分がけい素(Si)の酸
化物であるが、(A)では殆どSiの濃化部が認められ
ないのに対し、(B)ではかなりの範囲でSiの濃化部
が認められる。このSi酸化物は周囲のFeOと結合し
てファヤライト系酸化物(FeSiO)を生成する。こ
のファヤライト系酸化物(FeSiO)は鉄基地とスケ
ールの界面に対して安定かつ強固なバインダーの役割を
果たす。従ってスケールが剥離しにくくなる。
【0012】Siの濃化部は、別の実験件によると、け
い素(Si)を1.8%以上含有するFCD材で相当の
範囲で確認されたが、けい素(Si)が1.8%未満の
場合はSiの濃化部範囲が非常に少なくなり、スケール
の剥離防止力が不十分になることが確認された。また、
けい素(Si)が1.8%未満では鋳造性も悪くなる。
一方、けい素(Si)が2.8%以上になると高靭性
(低温)が失われるので、好ましくはけい素(Si)は
2.8%未満とするのがよい。
【0013】図4はスケールの断面組織の顕微鏡写真を
示したもので、(A)は図3(A)と同様のけい素(S
i)を0.2%含有する鋼(SPH270)、(B)は
けい素(Si)を2.0%含有する鋼(SUP7)、
(C)はけい素(Si)を2.5%含有する鋳鉄(FC
D400)の顕微鏡写真を示す。(A)はスケールがや
や厚く全体に緻密さが見られず、また界面の接合力が弱
いために剥離し易い。(B)と(C)はスケールが界面
近くで緻密であり、これにより防錆性が向上することが
期待される。またスケールの表面側は多孔質であって、
アンカー効果による塗装の密着性も期待できる。
【0014】図5は防錆性を確認するために塩水噴霧時
間(日)を横軸にとり、面積比錆発生率(%)を縦軸に
とって、従来例(焼なまし無、塗装有)、本発明1(焼
なまし有、塗装無)、本発明2(焼なまし有、塗装有)
の3例について試験した結果を示す。同図より明らかな
ように、従来例では5日目で100%の錆発生率となっ
た。これに対して本発明では、塗装無の場合でも10日
を過ぎても錆発生率は50%に止まり、15日目でよう
やく80%に近付いている。また、塗装有の場合では何
日経過しても錆発生率は0%または数%に止まっている
ことが分かる。これは単に塗装を付加した効果というよ
りも、スケール表面側の多孔質によるアンカー効果にて
塗装の密着性が向上したことが大きな要因であると推測
される。
【0015】次に、図6にスケールの剥離の有無につい
ての試験結果を示す。左から順にけい素(Si)を0.
2%含有する熱延鋼板(SPH270)、2.0%含有
するばね鋼(SUP7)、2.5%含有する鋳鉄(FC
D400)についての剥離の有無を○×で示している。
【0016】
【発明の効果】本発明は前述した如く、焼なましによっ
てスケールの緻密性と接合力を増大させたものであるか
ら、スケールの防錆性の向上と耐剥離性の向上を図るこ
とができ、鉄製ワークの防錆を塗装無しで実現すること
が可能となり、例えば自動車用懸架装置のナックル、ト
レーリングアームおよびコントロールアームなど鋳物部
品の塗装を省略できて塗装コストを節減することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を工程順に示した工程図。
【図2】ファヤライト系酸化物(FeSiO)の生成メ
カニズムを示す図。
【図3】(A)および(B)はスケール中のけい素(S
i)の濃度分布図。
【図4】(A)、(B)および(C)は、スケールの断
面組織の顕微鏡による図面代用写真。
【図5】錆発生率を示すグラフ図。
【図6】焼なまし温度と剥離の有無の関係を示すグラフ
図。
【符号の説明】
1 鋳造工程 2 ショットブラスト工程 3 焼なまし工程 4 加工工程 5 塗装工程

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 けい素(Si)を含有する鉄製ワーク
    を、空気中で700〜800℃で焼なまし処理すること
    により、鉄製ワークの表面に酸化スケールを20〜70
    μm厚で形成すると共に、鉄製ワークの表面の鉄基地に
    含有されたけい素(Si)を、鉄基地と接する前記酸化
    スケール側界面に移動せしめ、けい素(Si)をして前
    記界面の酸化スケール中に濃化させ、周囲の酸化鉄(F
    eO)と結合させてファヤライト系酸化物(FeSi
    O)を形成させ、前記ファヤライト系酸化物(FeSi
    O)を介して前記酸化スケールを鉄基地に接合させたこ
    とを特徴とする鉄製ワークの防錆方法。
  2. 【請求項2】 1.8%以上のけい素(Si)を含有す
    るFCD400材で構成した自動車懸架装置の鋳物部品
    を、ショットブラストにて清浄化した後、空気中で70
    0〜800℃で焼なまし処理することにより、前記鋳物
    部品の表面に酸化スケールを20〜70μm厚で形成す
    ると共に、前記鋳物部品の表面の鉄基地に含有されたけ
    い素(Si)を、鉄基地と接する前記酸化スケール側界
    面に移動せしめ、けい素(Si)をして前記界面の酸化
    スケール中に濃化させ、周囲の酸化鉄(FeO)と結合
    させてファヤライト系酸化物(FeSiO)を形成さ
    せ、前記ファヤライト系酸化物(FeSiO)を介して
    前記酸化スケールを鉄基地に接合させたことを特徴とす
    る自動車懸架装置の鋳物部品の防錆方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の方法により防錆処理
    したことを特徴とする鉄製ワークまたは自動車懸架装置
    の鋳物部品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100518757B1 (ko) * 1999-12-11 2005-10-06 주식회사 포스코 고내식성을 갖는 열연강관 제조 방법
US11577291B2 (en) * 2016-10-18 2023-02-14 Jfe Steel Corporation Hot-rolled steel sheet for electrical steel sheet production and method of producing same

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KR100518757B1 (ko) * 1999-12-11 2005-10-06 주식회사 포스코 고내식성을 갖는 열연강관 제조 방법
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Effective date: 20020819