JPH1161315A - 粒内分散強化wc含有超硬合金およびその製法 - Google Patents
粒内分散強化wc含有超硬合金およびその製法Info
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- JPH1161315A JPH1161315A JP9246148A JP24614897A JPH1161315A JP H1161315 A JPH1161315 A JP H1161315A JP 9246148 A JP9246148 A JP 9246148A JP 24614897 A JP24614897 A JP 24614897A JP H1161315 A JPH1161315 A JP H1161315A
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Abstract
合金は、硬さおよび靭性の両方が向上したものであるも
のの、本発明者らは、これらの板状晶WC含有超硬合金
に満足できなく、さらなる超硬合金の特性の向上を課題
としていたものである。また、ナノコンポジット材料と
してのセラミックス焼結体は、セラミックス焼結体とし
ては硬さおよび靭性の両方を向上する方向にあるもも
の、超硬合金の領域に応用することができないという課
題がある。 【解決手段】 鉄族金属を主成分とする結合相を3〜3
0体積%と、周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化
物,炭窒化物,炭酸化物,炭窒酸化物およびこれらの相
互固溶体の中の1種以上からなる立方晶系化合物相を6
0体積%以下(0を含む)と、残りが炭化タングステン
と不可避不純物からなる超硬合金であって、該炭化タン
グステンは、該炭化タングステンの粒内に該炭化タング
ステンとは異質の無機物質からなる粒内分散物が分散さ
れた粒内分散強化炭化タングステンを含有していること
を特徴とする粒内分散強化WC含有超硬合金。
Description
の結晶粒内に異質の無機物質でなる微粒子を分散させた
粒内分散強化炭化タングステンを含有した粒内分散強化
WC超硬合金およびその製法に関し、具体的には、炭化
タングステンの結晶粒内に炭化タングステンより微細
で、かつ異質の無機物質を均一に分散させることによ
り、炭化タングステン結晶粒内に残留応力を付加させ
て、得られる超硬合金の硬さ、靱性、耐摩耗性、耐欠損
性、耐塑性変形性、耐熱亀裂性などをさらに改善させ
て、フライスや旋削用のチップ,ドリル,エンドミルに
代表される切削工具、ダイス,パンチなどの型工具,ス
リッターなどの裁断工具,切断工具,ノズル,メカニカ
ルシールに代表される耐摩耗工具・部品、または穿孔,
破砕などに用いる各種ビットに代表される土木建設用工
具として最適な粒内分散強化WC含有超硬合金およびそ
の製法に関するものである。
れる材料特性は、一方を向上させると他方が低下すると
いう二律背反的傾向にある。硬さと靭性の両特性を同時
に改善するものとして板状晶WCを含有させた超硬合金
およびその製造方法が多数提案されている。この板状晶
WCを含有させた超硬合金に関する代表的な先行技術と
して、本願発明者らによる特開平7−258785号公
報,特開平7ー292426号公報および特開平7ー3
16688号公報がある。また、液相焼結である超硬合
金とは異なるが、材料特性を同時に改善することにより
性能を向上させるものとして、マトリックス粒子内に他
成分の超微粒子を分散させたナノコンポジット材料と呼
ばれるセラミックス焼結体が多数提案されている。この
セラミックス焼結体に関するナノコンポジット材料の代
表的な先行技術として、特開平2−229756号公
報,特開平2−229757号公報,特開平6−116
038号公報および特開平6−116072号公報があ
る。
時に改善した代表的な超硬合金に関する先行技術のう
ち、特開平7−258785号公報には、超硬合金中に
含有する六方晶炭化タングステンのX線回折における
(101)結晶面に対する(001)結晶面の比が0.
50以上からなる板状晶WC含有超硬合金について開示
されている。また、特開平7−292426号公報に
は、Co,Ni粉末と、炭素源と、W,またはWとWC
との混合粉末を加熱・焼結する際、Co,Ni−W−C
系の複合炭化物が生成する第一過程と、該複合炭化物と
残留炭素との反応により板状晶WCが生成する第二過程
とを含む板状晶WC含有超硬合金の製法が記載されてい
る。さらに、特開平7ー316638号公報には、C
o,Ni粉末と、炭素源と、WCと、4a,5a,6a
族金属の酸素含有化合物との混合粉末を加熱・焼結する
際、Co,Ni−W−C系の複合炭化物が生成する第一
過程と、該複合炭化物と残留炭素との反応により板状晶
WCが生成する第二過程とを含む板状晶WC含有超硬合
金の製法が記載されている。これら3件の公報に開示さ
れている板状晶WC含有超硬合金は、従来の超硬合金に
対比して硬さおよび靭性が向上したものである。しか
し、本発明者らは、これらの板状晶WC含有超硬合金に
満足できなく、さらなる超硬合金の特性の向上を課題と
していたものである。
ち、特開平2−229756号公報および特開平2−2
29757号公報には、アルミナの結晶粒内に窒化チタ
ンや炭化チタンのナノ粒子を分散させてアルミナ系セラ
ミックス焼結体の特性を向上させることが開示されてい
る。また、特開平6−116038号公報および特開平
6−116072号公報には、窒化珪素の結晶粒内に炭
化珪素のナノ粒子を分散させて窒化珪素−炭化珪素系セ
ラミックス焼結体の特性を向上させることが開示されて
いる。これらの公報に開示のセラミックス焼結体は、従
来のセラミックス焼結体と対比すると特性が向上してい
るが、超硬合金と対比すると靭性が劣り、超硬合金の使
用領域では実用できないという課題がある。
ので、具体的には、上記先行技術として詳述した本発明
者らの板状晶WC含有超硬合金およびその製法により得
られる超硬合金を、さらなる改良を加えること、主とし
て出発原料物質の選定および焼結工程における加熱途中
での炭化タングステンの析出時に、炭化タングステン結
晶中に微細な異質の無機物質を分散させることにより、
硬さ,靱性,耐摩耗性,耐欠損性、耐衝撃性などの特性
を向上させた粒内分散強化超硬合金およびその製法の提
供を目的とするものである
焼結して得られる超硬合金では、WC結晶内に他成分の
微粒子を分散させることが困難であること、特に、Ti
CなどはWC結晶中に固溶せず、焼結過程を経てもWC
結晶に取込まれないために、WC粒子内にTiCが分散
した炭化タングステン含有の超硬合金を製造すること
は、非常に困難なことであった。このような状況に対
し、本発明者らは、超硬合金の硬さと靱性を同時に向上
させる方法について、長年に亘り検討していたことか
ら、さらにWと炭素とCoの混合粉末に微細なTiC粉
末を添加して焼結すると、焼結過程で生成・成長するW
C結晶内に微細なTiC粒子が取込まれて分散するこ
と、あるいはTi−W系合金もしくはTi−W−Co系
の合金,化合物などWとTiが均一に固溶した原料粉末
にCoと炭素粉末を添加して加熱焼結すると、焼結過程
で生成・成長するWC結晶内に、同時に生成する微細な
TiC粒子が取込まれて分散すること、このTiC粒子
分散WCは結晶自身の硬さと靱性が高いこと、そしてT
iC分散強化WCを含有する超硬合金は、硬さ,靱性,
耐摩耗性,耐欠損性、耐衝撃性などに優れるという知見
を得て、本発明を完成するに至ったものである。
は、鉄族金属を主成分とする結合相を3〜30体積%
と、周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化物,炭窒
化物,炭酸化物,炭窒酸化物およびこれらの相互固溶体
の中の1種以上からなる立方晶系化合物相を60体積%
以下(0を含む)と、残りが炭化タングステンと不可避
不純物からなる超硬合金であって、該炭化タングステン
は、該炭化タングステンの粒内に該炭化タングステンと
は異質の無機物質からなる粒内分散物が分散されている
ことを特徴とするものである。
は、具体的には、Co,Ni,Co−Ni合金,Fe−
Ni合金および20重量%以下のW,Cr,Moを固溶
したCo−W合金,Co−Cr合金,Co−Cr−W合
金,Ni−Cr合金,Co−Ni−W−Cr合金,Fe
−Ni−Co−W−Cr−Mo合金などを代表例とし、
これらから選ばれた少なくとも1種からなるものであ
る。この結合相は、超硬合金全体に対する含有量が5体
積%未満では、超硬合金内に巣孔が残留して強度,靱
性,耐欠損性の低下が顕著となり、逆に30体積%を超
えて多くなると、硬さ,耐摩耗性の低下が顕著となるた
めに、結合相量を5〜30体積%と定めた。
相は、具体的には、TiC,TiN,ZrC,HfC,
TaC,NbC,VC,HfN,Ti(CN),Zr
(CN),(WTi)C,(WZr)C,(WTiT
a)C,(WTiNbTa)C,(WTiTa)(C
N),(WZr)(C0),(WHf)Cなどを代表例
とし、これらから選ばれた少なくとも1種からなるもの
である。この立方晶系化合物相は、超硬合金全体に対す
る含有量が60体積%を超えて多くなると、残部の炭化
タングステンの含有量も相対的に減少し、かつ超硬合金
全体に占める粒内分散強化炭化タングステンの含有率も
相対的に少なくなるために、硬さと靱性の改善効果が発
現され難くなる。
結合相と粒内分散強化炭化タングステンと従来の炭化タ
ングステンからなる場合、またはこれらに、さらに上述
の立方晶系化合物相が均一分散されている場合がある。
これらのうち、粒内分散強化炭化タングステンは、従来
の炭化タングステンの粒内に炭化タングステンとは異質
な無機物質からなる粒内分散物が均一に分散されている
ものである。
i,Fe,Ti,Zr,V,Hf,Nb,Ta,V,C
r,Mo,W,B,Si,Re,Os,Ir,Pt,P
d,Rh,Ruに代表される金属、これらの合金、Ti
Al,Ti3Al,TiAl3,NiAl,Ni3Al,
NiAl3,(TiNi)Al,(TiNi)3Al,
(TiNi)Al3に代表される金属間化合物、周期律
表の4a,5a,6a族金属,Al,Si,Bの炭化
物,窒化物,酸化物およびこれらの相互固溶体に代表さ
れる金属化合物などを挙げることができ、これらの金
属,合金,金属間化合物,金属化合物の中から選ばれた
少なくとも1種からなるものである。
a,5a,6a族金属の炭化物,炭窒化物,炭酸化物,
炭窒酸化物およびこれれらの相互固溶体の中から選ばれ
た1種以上の立方晶系化合物でなる場合、上述の立方晶
系化合物相とほぼ同一組成でなる場合には、粒内分散強
化炭化タングステンの製造が割合に簡易であること、お
よびその調整も容易であることから好ましいことであ
る。また、周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化
物,炭窒化物,炭酸化物,炭窒酸化物およびこれらの相
互固溶体の中から選ばれた1種以上の立方晶系化合物
と、鉄族金属の中から選ばれた1種以上の金属とからな
る粒内分散物の場合には、上述の効果と、さらに靭性を
高める効果が顕著となることから好ましいことである。
タングステンの粒径よりも小さい粒子からなっており、
その平均粒径が1.0μmを超えて大きくなると、WC
結晶中に取込まれ難くなることから1.0μm以下の平
均粒径が好ましく、分散強化による硬さと靱性の向上効
果を一層高めるために0.2μm以下の平均粒径である
ことが好ましいことである。この粒内分散物の粒径と粒
内分散強化炭化タングステンの粒径との関係は、粒内分
散強化炭化タングステンの平均粒径が粒内分散物の平均
径の3倍以上でなることが好ましく、特に3〜300倍
からなるとより一層その効果を高めることがことができ
ることから好ましいことである。また、粒内分散物の含
有量は、粒内分散物の効果を発現させるために炭化タン
グステン全体に対して0.01体積%以上含有させるこ
とが好ましく、より一層その効果を高めるために0.0
5体積%以上含有していることが好ましいことである。
ンは、六方晶系のWC結晶であり、その中でも粒内分散
強化炭化タングステンの形状が板状結晶でなることが好
ましいことである。板状結晶でなる粒内分散強化炭化タ
ングステンは、通常は三角柱状の外観を呈するが、(0
01)面の発達した三角あるいは六角板状の結晶にする
と、さらに硬さと靱性が同時に向上するので好ましいこ
とである。この粒内分散強化炭化タングステンは、粒内
分散物の効果を高めるために超硬合金全体に対して20
体積%以上含有していることが好ましいことである。
従来からの被覆超硬合金と同様に、その一部または全部
の表面に、従来からの被膜を被覆して被覆超硬合金とし
て使用することができる。具体的には、被膜は、周期律
表の4a,5a,6a族金属,Al,Siの炭化物,窒
化物,酸化物,およびこれらの相互固溶体、ダイヤモン
ド,ダイヤモンド状カーボン,立方晶窒化硼素,硬質窒
化硼素,炭素と窒素との化合物,炭素と窒素と硼素との
化合物の中の1種の単層または2種以上の積層でなる場
合を代表例として挙げることができる。
タングステンまたは炭化タングステンに、粒内分散物と
なる無機物質をドープまたはイオン注入し、ドープまた
はイオン注入された出発原料物質を用いて従来の粉末冶
金の製造方法を応用して作製するなども考えられる。し
かし、このような方法では、粒内分散物の選定が制限さ
れること、製造工程が付加されることなどから以下の本
発明の製造方法が好ましいことである。
製するための出発原料物質を混合・粉砕して混合粉末と
する第1工程、該混合粉末を成形して粉末成形体とする
第2工程、該粉末成形体を非酸化性雰囲気または真空中
で1200〜1600℃に加熱焼結する第3工程を含む
超硬合金の製造方法であって、該出発原料物質は、鉄族
金属を主成分とする結合相形成粉末と、W粉末と、カー
ボンおよび/または黒鉛の炭素源粉末と、粒内分散物を
形成するための無機物質の粉末とを含有することを特徴
とする方法である。
工程および第3工程は、従来の超硬合金の製造方法およ
び従来の粉末冶金の製造方法による各工程を応用するこ
とにより行うことができる。この製法における出発原料
物質のうち、結合相形成粉末は、前述した結合相でなる
粉末または焼結後に結合相となる結合相前駆体物質、例
えば酸化コバルト,酸化ニッケルなどを用いることがで
きる。また、無機物質の粉末は、前述した粒内分散物か
らなる粉末を用いることができる。これらのうち、無機
物質の粉末が周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物,酸化物,炭窒化物,炭酸化物,窒酸化物,
炭窒酸化物およびこれらの相互固溶体の中の1種以上の
金属化合物粉末からなる場合には、焼結後に粒内分散物
が形成されると共に、立方晶系化合物相も形成すること
もできることから好ましいことである。
て立方晶系化合物相の形成粉末を用いる場合には、具体
的には、TiC,ZrC,HfC,TiN,ZrN,H
fN,VC,NbN,TaC,,TiO2,Zr02,H
f(CN),Zr(CO),(WTi)C,(WZr)
(CO),(WTiTa)C,(WTiTa)CNなど
を代表例として挙げることができる。これらのうち、T
iN,ZrN,HfNなどの窒化物は、焼結時の侵炭作
用によりTi(CN),Zr(CN),Hf(CN)な
どの炭窒化物を形成し、また、TiO2,Zr02などの
酸化物は、還元・炭化とWC固溶により、(WTi)
C,(WZr)(CO)などを形成する。これらの立方
晶系化合物相の形成粉末は微粒子になるほどWC結晶中
に取込まれ易くなるため、平均粒径で0.5μm以下で
なる粉末を用いることが好ましい。
原料物質は、Wと周期律表の4a,5a族金属,鉄族金
属の中の少なくとも1種とからなるW含有物質の粉末
と、鉄族金属粉末と、カーボンおよび/または黒鉛の炭
素源粉末と、周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物,酸化物,炭窒化物,炭酸化物,窒酸化物,
炭窒酸化物およびこれらの相互固溶体の中の1種以上の
金属化合物粉末とを含有していることも好ましいことで
ある。この出発原料物質におけるW含有物質の粉末は、
具体的には、W−Ti,W−Zr,W−Hf,W−N
b,W−Ta,W−Ti−Co,W−Zr−Ni,W−
Ta−Feなどの合金またはZrW2,HfW2などの化
合物の1種以上からなる場合を代表例として挙げること
ができる。これらのW含有物質の粉末は、W中に4a,
5a族金属が均一に固溶していることが好ましい。ま
た、出発原料物質は、4a,5a族の金属または水素化
物として用いると活性化にすぐれており、反応性を高め
る効果があることから好ましいことである。
機物質からなる粒内分散物が炭化タングステンの粒内に
均一に分散されることにより炭化タングステン粒内に残
留応力を付与する作用をし、かつ焼結時に再結晶化され
る炭化タングステンの欠陥を減少させる作用および炭化
タングステンの粒内の強化作用をしており、この粒内分
散強化炭化タングステンが超硬合金内で均一に分散され
ることにより超硬合金の硬さ,強度および靭性を高める
作用をしているものである。また、本発明の粒内分散強
化WC含有超硬合金の製法は、Wと炭素とCoの混合粉
末に添加された微細な粒内分散物の粒子が焼結過程で生
成・成長するWC結晶内に取込まれて分散すること、ま
たはW−Ti系,W−Ti−Co系の合金,化合物など
と炭素との加熱反応により生成・成長するWC結晶内
に、同時に生成する微細な粒内分散物、例えばTiCの
粒子が取込まれて分散する作用をし、分散した粒内分散
物粒子がWC結晶の硬さと靱性を同時に改善する作用を
し、TiC分散強化WCが超硬合金の硬さ,靱性,耐摩
耗性,耐欠損性、耐衝撃性などを向上させる作用をして
いるものである。
5μmのW,2.5μmのTiH2,ZrH2,Hf
H2,1.2μmのCo,1.7μmのNi,0.5μ
mのFeの各粉末を用い、表1に示した配合組成に秤量
し、ステンレス製ポットにアセトン溶媒と超硬合金製ボ
ールと共に挿入して48時間混合粉砕後、乾燥して得た
混合粉末を黒鉛製ルツボに挿入し、雰囲気圧力0.1P
aの真空中で1400℃×1時間の加熱処理を施して、
出発原料物質としての合金粉末を得た。得られた合金粉
末A1〜A6のX線回折結果と平均粒径を表1に併記し
た。
5μmのZrN,1.5μmの(WTiTa)Cの複合
炭化物(重量比でWC/TiC/TaC=50/20/
30)の各粉末を用い、ステンレス製ポットにアセトン
溶媒と超硬合金製ボールと共に挿入して72時間粉砕
し、0.2重量%のパラフィンワックスを添加した後、
乾燥して出発原料物質としての予備粉砕粉末を得た。得
られた予備粉砕粉末の平均粒径は、ZrNが0.32μ
m、(WTiTa)Cが0.28μmであった。
H2,HfH2,合金粉末A1〜A6,予備粉砕したZrN
と(WTiTa)C、および市販されている平均粒径が
2.0μmのW,2.3μmのWC,0.02μmのカ
ーボン(表中では「C」と記す),4.5μmの黒鉛
(表中では「G」と記す),0.06μmのTiO2,
1.0μmのTaC,1.7μmのCr3C2,1.0μ
mのTiC,1.0μmの(WTi)Cの複合炭化物
(重量比でWC/TiC=70/30),1.7μmの
NbCの各出発原料物質の粉末を用いて、表2に示す配
合組成に秤量し、ステンレス製ポットにアセトン溶媒と
超硬合金製ボールと共に挿入し、48時間混合粉砕後、
乾燥して混合粉末を得た。これらの混合粉末を金型に充
填し、2ton/cm2の圧力でもって約5.5×9.
5×29mmの粉末成形体を作製し、アルミナとカーボ
ン繊維からなるシート上に設置し、雰囲気圧力10Pa
の真空中で、表2に併記した温度でもって1時間加熱保
持して、本発明品1〜10および比較品1〜10を得
た。
品1〜10の超硬合金を#230のダイヤモンド砥石で
湿式研削加工し、4.0×8.0×25.0mmの形状
に作製し、JIS法による抗折力を測定して、その結果
を表3に示した。また、同試料の1面を0.3μmのダ
イヤモンドペーストでラップ加工した後、ビッカース圧
子を用いた荷重:196Nでの硬さおよび破壊靱性値K
1c(IM法)を測定し、その結果を表3に併記した。
微鏡にて組織写真を撮り、画像処理装置にて、結合相,
立方晶系化合物相,全WCの体積割合およびWCの平均
粒径を求め、その結果を表3に併記した。また、WC結
晶内に分散している粒内分散物である炭化物粒子と金属
粒子の大きさ、全WCに対する各粒内分散物の体積割
合、および全WCに対する粒内分散強化炭化タングステ
ンである板状WC結晶(最長径/最短径が3以上)の体
積割合を測定し、それらの結果を表4に示した。
較品1について、それぞれの混合粉末を用いて、JIS
−B4120に記載のSNGN120408形状用の金
型でもって、実施試験1と同様の方法および条件でプレ
ス成形、加熱焼結、湿式研削加工により、SNGN12
0408形状の切削工具用チップを得た。
ルドロール(HRC=60),切削速度:15m/mi
n,切込み:1.5mm,送り:0.3mm/revの
条件で乾式旋削試験を行い、欠損時までの切削時間また
は平均逃げ面摩耗幅が0.45mm時までの切削時間を
寿命時間として求めた。その結果、本発明品1の寿命時
間は23minであったのに対し、比較品1の寿命時間
は15minであった。
比較品3,6について、それぞれの混合粉末を用いて、
JIS−B4210に記載のSPGN120302形状
用の金型でもって2ton/cm2の圧力プレス成形し
た後、実施試験1と同様の方法および条件で焼結した。
得られた超硬合金製チップ素材を230#のダイヤモン
ド砥石を用いて研削加工し、SPGN120308の切
削用チップを製作した。
440,切削速度:100m/min,切込み:2.0
mm,送り:0.40mm/刃,切削距離:2mの条件
で乾式フライス切削試験を行い、刃先が欠損,チッピン
グの発生または逃げ面摩耗量が0.25に達するまでの
平均切削距離を求めた。その結果、本発明品3,6の平
均切削距離がそれぞれ10.2mと9.6mであったの
に対し、比較品3,6の平均切削距離はそれぞれ5.9
mと7.4mであった。
同一組成成分でなる従来の超硬合金からなる比較品に対
比して、抗折力,硬さおよび破壊靭性値が全て顕著にす
ぐれているという効果、硬質ロールの切削およびフライ
ス用切削に代表される切削工具として実用した場合に、
工具寿命が顕著に向上するという効果を発揮するもので
ある。
Claims (10)
- 【請求項1】 鉄族金属を主成分とする結合相を3〜3
0体積%と、周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化
物,炭窒化物,炭酸化物,炭窒酸化物およびこれらの相
互固溶体の中の1種以上からなる立方晶系化合物相を6
0体積%以下(0を含む)と、残りが炭化タングステン
と不可避不純物からなる超硬合金であって、該炭化タン
グステンは、該炭化タングステンの粒内に該炭化タング
ステンとは異質の無機物質からなる粒内分散物が分散さ
れた粒内分散強化炭化タングステンを含有していること
を特徴とする粒内分散強化WC含有超硬合金。 - 【請求項2】 上記粒内分散物は、周期律表の4a,5
a,6a族金属の炭化物,炭窒化物,炭酸化物,炭窒酸
化物およびこれれらの相互固溶体の中から選ばれた1種
以上の立方晶系化合物であることを特徴とする請求項1
記載の粒内分散強化WC含有超硬合金。 - 【請求項3】 上記粒内分散物は、周期律表の4a,5
a,6a族金属の炭化物,炭窒化物,炭酸化物,炭窒酸
化物およびこれれらの相互固溶体の中から選ばれた1種
以上の立方晶系化合物と、鉄族金属の中から選ばれた1
種以上の金属とからなることを特徴とする請求項1記載
の粒内分散強化WC含有超硬合金。 - 【請求項4】 上記粒内分散物は、平均径が1.0μm
以下であることを特徴とする請求項1,2または3記載
の粒内分散強化WC含有超硬合金。 - 【請求項5】 上記粒内分散物は、上記炭化タングステ
ン全体に対して0.01体積%以上含有されていること
を特徴とする請求項1,2,3または4記載の粒内分散
強化WC含有超硬合金。 - 【請求項6】 上記粒内分散強化炭化タングステンは、
板状結晶の炭化タングステンからなることを特徴とする
請求項1,2,3,4または5記載の粒内分散強化WC
含有超硬合金。 - 【請求項7】 上記粒内分散強化炭化タングステンは、
平均粒径が上記粒内分散物の平均粒径の3〜300倍か
らなることを特徴とする請求項1,2,3,4,5また
は6記載の粒内分散強化WC含有超硬合金。 - 【請求項8】 上記粒内分散強化炭化タングステンは、
炭化タングステン全体に対し20体積%以上含有してい
ることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6
記載の粒内分散強化WC含有超硬合金。 - 【請求項9】 超硬合金を作製するための出発原料物質
を混合・粉砕して混合粉末とする第1工程、該混合粉末
を成形して粉末成形体とする第2工程、該粉末成形体を
非酸化性雰囲気または真空中で1200〜1600℃に
加熱焼結する第3工程とを含む超硬合金の製造方法であ
って、該出発原料物質は、鉄族金属を主成分とする結合
相形成粉末と、W粉末と、カーボンおよび/または黒鉛
の炭素源粉末と、周期律表の4a,5a,6a族金属の
炭化物,窒化物,酸化物,炭窒化物,炭酸化物,窒酸化
物,炭窒酸化物およびこれらの相互固溶体の中の1種以
上でなる金属化合物粉末とを含有することを特徴とする
粒内分散強化WC含有超硬合金の製法。 - 【請求項10】 超硬合金を作製するための出発原料物
質を混合・粉砕して混合粉末とする第1工程、該混合粉
末を成形して粉末成形体とする第2工程、該粉末成形体
を非酸化性雰囲気または真空中で1200〜1600℃
に加熱焼結する第3工程とを含む超硬合金の製造方法で
あって、該出発原料物質は、Wと周期律表の4a,5a
族金属,鉄族金属の中の少なくとも1種とからなるW含
有物質の粉末と、鉄族金属粉末と、カーボンおよび/ま
たは黒鉛の炭素源粉末と、周期律表の4a,5a,6a
族金属の炭化物,窒化物,酸化物,炭窒化物,炭酸化
物,窒酸化物,炭窒酸化物およびこれらの相互固溶体の
中の1種以上でなる金属化合物粉末とを含有することを
特徴とする粒内分散強化WC含有超硬合金の製法。
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