JPH1161208A - 磁気記録媒体用金属磁性粉末およびその製造方法ならびに該磁性粉末を含有した磁気記録媒体用塗膜 - Google Patents

磁気記録媒体用金属磁性粉末およびその製造方法ならびに該磁性粉末を含有した磁気記録媒体用塗膜

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JPH1161208A
JPH1161208A JP9213764A JP21376497A JPH1161208A JP H1161208 A JPH1161208 A JP H1161208A JP 9213764 A JP9213764 A JP 9213764A JP 21376497 A JP21376497 A JP 21376497A JP H1161208 A JPH1161208 A JP H1161208A
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reducing gas
magnetic powder
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Michihito Igaki
通人 井垣
Shigeo Fujii
滋夫 藤井
Hirotsugu Ichikawa
裕嗣 市川
Kenichi Suzuki
憲一 鈴木
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高飽和磁化を有し、耐食性、分散性、角型比及
びSFDに優れた磁性塗膜の製造に使用しうる金属磁性
粉末及びその製法、並びに該金属磁性粉末を含有した磁
気記録媒体用塗膜を提供すること。 【解決手段】長軸径が0.05〜0.25μm、軸比が
4〜12の針状含水酸化鉄又は針状酸化鉄粒子の造粒径
が0.5〜20mmである造粒物を還元性ガス中で40
0〜600℃で加熱還元させ、金属磁性粉末を製造する
際に、反応率が40%迄の反応過程で反応速度を5〜3
0%/時間に調整する金属磁性粉末の製法、及び反応率
が40%以上の反応過程で還元性ガスの流量を反応率が
40%迄の反応過程における還元性ガスの流量の1.3
〜50倍に上げる金属磁性粉末の製法、前記製法によっ
て得られた金属磁性粉末、並びに該金属磁性粉末を含有
した磁気記録媒体用塗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体用金
属磁性粉体およびその製造方法ならびに該磁性粉体を含
有した磁気記録媒体用塗膜に関する。さらに詳しくは、
高い飽和磁化を有し、耐食性および分散性に優れ、角型
比やSFD〔Switching field distribution〕に優れた
磁性塗膜を製造する際に好適に使用しうる磁気記録媒体
用金属磁性粉体およびその製造方法ならびに該磁性粉体
を含有した磁気記録媒体用塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の記録方式の発展には著しい
ものがあるが、なかでも磁気記録再生装置の小型軽量化
の進歩は顕著である。それにつれて、磁気テープ、磁気
ディスクなどの磁気記録媒体に対する高性能化の要求が
大きくなってきている。
【0003】磁気記録に対するこのような要求を満足さ
せるためには、高い保磁力と高い飽和磁化とを有する磁
性粉末が必要である。
【0004】従来、磁気記録用の磁性粉末には、一般
に、針状のマグネタイト、マグヘマイトまたはそれらの
磁性酸化鉄粉末をコバルトで変性させた、いわゆるコバ
ルト含有酸化鉄が用いられているが、より高出力の媒体
を得るために、近年、より高い保磁力および飽和磁化を
有する強磁性金属粉末である、いわゆる金属磁性粉が用
いられてきている。
【0005】このような金属磁性粉末の製造方法として
は、種々の方法が提案されているが、経済的な優位性か
ら、一般に、針状の含水酸化鉄またはこれを加熱脱水さ
せて得られる酸化鉄粒子を水素ガスなどの還元性ガス中
で加熱して金属鉄にまで還元させる製造方法が採られて
いる。
【0006】このようにして得られた金属磁性粉末に
は、大きな問題が存在する。すなわち、金属磁性粉末
は、化学的に不安定であり、高い飽和磁化を有しなかっ
たり、時間の経過とともに飽和磁化が減少するという欠
点を有する。
【0007】前記欠点を解決するために、近年、種々の
提案がなされており、例えば、特開平4−120208
号公報および特開平2−58809号公報に記載されて
いるように、還元方法を用いることにより、高い飽和磁
化を得ようとする試みがなされている。すなわち、前者
は、340〜380℃で還元し、保磁力が飽和した後、
かかる温度よりもさらに10〜100℃高い温度に加熱
することを特徴とする製造方法であり、また後者は、還
元初期過程で還元後期過程と比べて低い還元温度で還元
させることを特徴とする製造方法である。
【0008】しかしながら、これらの方法は、いずれも
高い飽和磁化を得ることができる点で効果的であるが、
高耐酸化性に対しては十分な効果がない。
【0009】また、耐酸化性を向上させる金属磁性粉末
の製造方法として、粒子表面にコバルト化合物などの2
価の遷移金属を含有する混合物層を被覆する方法が提案
されている(特開平5−144620号公報)。
【0010】前記方法によれば、確かに耐酸化性が向上
するという利点があるが、高価な遷移金属を必要とする
ため、経済的に不利である。また、最近では、さらに高
い耐酸化性が必要になってきており、コバルトなどの遷
移金属の含有量の増大を余儀なくされているが、その添
加量を多くすると良好な形状および分散性を有する金属
磁性粉末の原料である針状含水酸化鉄や針状酸化鉄が得
られにくく、また還元時に融着しやすいなどの問題が発
生するという欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、高い飽和磁化を有し、
耐食性および分散性に優れ、角型比やSFDにも優れた
磁性塗膜を製造するのに好適に使用しうる金属磁性粉末
を製造する方法、ならびにかかる方法によって製造され
た金属磁性粉末を含有した磁気記録媒体用塗膜を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
(1) 長軸径が0.05〜0.25μm、軸比が4〜
12である針状含水酸化鉄または針状酸化鉄粒子の造粒
径が0.5〜20mmである造粒物を還元性ガス中で4
00〜600℃の温度範囲で加熱還元させ、金属磁性粉
末を製造するにあたり、反応率が40%までの反応過程
で、反応速度を5〜30%/時間に調整することを特徴
とする磁気記録媒体用金属磁性粉末の製造方法、(2)
反応率が40%以上の反応過程で、還元性ガスの流量
を反応率が40%までの反応過程における還元性ガスの
流量の1.3〜50倍に上げる請求項1記載の磁気記録
媒体用金属磁性粉末の製造方法、(3) 長軸径が0.
05〜0.25μm、軸比が4〜12である針状含水酸
化鉄または針状酸化鉄粒子の造粒径が0.5〜20mm
である造粒物を還元性ガス中で400〜600℃の温度
範囲で加熱還元させ、金属磁性粉末を製造するにあた
り、反応率が40%以上の反応過程で、還元性ガスの流
量を反応率が40%までの反応過程における還元性ガス
の流量の1.3〜50倍に上げることを特徴とする磁気
記録媒体用金属磁性粉末の製造方法、(4) 前記
(1)〜(3)のいずれか記載の製造方法によって得ら
れた磁気記録媒体用金属磁性粉末、ならびに(5) 前
記(4)に記載の磁気記録媒体用金属磁性粉末を含有し
てなる磁気記録媒体用塗膜に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる針状含水酸化
鉄または針状酸化鉄粒子の長軸径は、得られる金属磁性
粉末の磁性塗料における分散性を向上させる観点から、
0.05μm以上、好ましくは0.06μm以上、さら
に好ましくは0.08μm以上であり、また磁気テープ
などの磁気記録媒体のS/N比を高める観点から、0.
25μm以下とされる。また、前記針状含水酸化鉄また
は針状酸化鉄粒子の軸比は、充分なHcを得るために、
4以上とされ、また充分な耐酸化性を得るために、12
以下とされる。
【0014】前記針状としては、例えば、一般に苛性ア
ルカリ系で製造された際の針状、炭酸アルカリ系で製造
された際の紡錘状、また水熱合成によって製造された種
々の形状を呈する針状などがあげられるが、本発明にお
いては、いずれの形状であってもよい。
【0015】前記含水酸化鉄および酸化鉄としては、例
えば、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOO
H、α−Fe2 3 、γ−Fe2 3 、Fe3 4 など
があげられる。
【0016】また、本発明においては、保磁力、融着防
止、耐酸化性向上、分散性向上などの特性を改善させる
ために、針状含水酸化鉄または針状酸化鉄粒子に、S
i、Al、Co、Zn、Ca、Laなどの遷移金属、ア
ルカリ土類金属元素、希土類元素などを添加し、その粒
子表面に被着させたり、含有させてもよい。
【0017】針状含水酸化鉄または針状酸化鉄粒子から
造粒物を製造する方法としては、例えば、前記針状含水
酸化鉄または針状酸化鉄粒子のケークを圧縮成形法、押
出し成形法などによって成形したのち、得られた成形体
を乾燥させる方法などがあげられる。
【0018】前記針状含水酸化鉄または針状酸化鉄粒子
の造粒物の造粒径は、反応中に飛散しがたくし、またガ
ス流通を向上させるために、0.5mm以上、好ましく
は2mm以上とされ、また造粒物内にガスが拡散しやす
くするために20mm以下、好ましくは10mm以下と
される。
【0019】次に、前記造粒物を還元性ガス中で加熱還
元させるが、かかる還元方法としては、例えば、前記造
粒物を加熱処理したのちに、還元性ガス中で加熱還元さ
せる方法、加熱処理することなく還元性ガス中で加熱還
元する方法などがあげられる。
【0020】前記加熱処理は、行なっても行なわなくて
もよいが、かかる加熱処理を行なった場合には、脱水孔
が少なくなり、保磁力の分布状態が良好な金属磁性粉末
が得られやすいという利点がある。
【0021】加熱処理は、通常用いられている流動床
型、回転炉型、固定床型、移動床型などの反応容器内に
仕込み、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス、空気など
の還元性を呈さないガス中で加熱することによって行な
うことができる。
【0022】加熱温度は、通常、350〜700℃程
度、加熱時間は、0.5〜3時間程度であればよい。
【0023】前記加熱還元は、あらかじめ加熱処理を施
さない場合には、造粒物に直接行なえばよい。また、あ
らかじめ造粒物に加熱処理を施した場合には、加熱処理
後に、該造粒物にそのままの状態で、または一旦、取り
出して粉砕もしくは成形造粒しなおしたのちに、加熱還
元を行なってもよい。
【0024】前記加熱還元を行なう際の反応容器として
は、加熱処理を行なう際と同様に、通常用いられている
流動床型、回転炉型、固定床型、移動床型などの反応容
器を用いることができる。
【0025】前記加熱還元は、還元性ガス中で行なわれ
る。
【0026】前記還元性ガスとしては、通常、還元の際
に用いられているものであればよく、その代表例として
は、水素ガスがあげられる。前記還元性ガスは、例え
ば、COガスを含有していてもよく、また窒素ガス、ア
ルゴンガスなどの不活性ガスに代表される不活性希釈ガ
スで適宜希釈されたものであってもよい。
【0027】前記不活性希釈ガスを用いる場合、例え
ば、還元性ガスが水素ガスであるときには、前記希釈性
ガスに含まれる水素ガス濃度が1容量%以上であること
が、反応速度、使用温度範囲などの観点から好ましい。
【0028】前記還元性ガスの圧力は、1〜1.5気圧
程度の常圧であればよい。
【0029】前記還元性ガスの通気量は、還元原料であ
る造粒物1kgあたり、反応速度の観点から、5Nm3
/時間以上、好ましくは10Nm3 /時間以上とするこ
とが望ましく、また反応物の飛散を抑制し、経済性を高
める観点から、100Nm3/時間以下、好ましくは9
0Nm3 /時間以下であることが望ましい。
【0030】なお、反応率40%までの反応速度は、実
質的に生産性を向上させる観点から、5%/時間以上と
され、また反応速度が高くなりすぎないようにし、適度
な結晶子サイズを有する金属磁性粉末を製造し、耐酸化
性を向上させる観点から、30%/時間以下、好ましく
は25%/時間以下、さらに好ましくは18%/時間以
下とされる。
【0031】なお、前記反応率および反応速度は、以下
のように定義される。
【0032】すなわち、反応率は、酸化鉄である場合を
反応率0%とし、還元終了を100%としたときの反応
量で示され、生成ガスの定量、例えば還元性ガスとして
水素ガスが用いられている場合は、ある時点までの水の
生成量を還元反応終了までの全水生成量と比較すること
によって調べることができる。
【0033】なお、還元反応過程で、マグネタイト、フ
ェライト化合物を経由する場合には、これを反応率0%
とする。
【0034】反応速度は、単位時間あたりの反応率の変
化(進んだ反応)で定義され、例えば、還元性ガスとし
て水素ガスを用いた場合には、水の生成速度によって測
定することができる。また、この生成速度は、生成ガス
中の水蒸気濃度として、すなわち反応場外に排出される
生成ガスに含まれる水蒸気濃度によって測定することが
できる。
【0035】なお、前記反応速度は、還元温度、還元性
ガス量などを適宜調整することによって調節することが
できる。
【0036】還元温度は、反応速度を下げても十分に結
晶が成長するようにして十分な耐酸化性を付与するため
に、400℃以上、好ましくは450℃以上とされ、ま
た結晶同士が融着しないようにして分散性を向上させる
ために、600℃以下、好ましくは550℃以下とされ
る。
【0037】また、反応速度を5〜30%/時間に制御
した過程を反応前期とし、それ以降の過程を反応後期と
したとき、反応後期においては、反応前期と同様の条件
で継続してもよいが、反応速度は、200%/時間以
下、なかんづく100%/時間以下の範囲内であれば、
耐酸化性を損なうことがない。したがって、反応後期に
おいては、前記範囲内で反応速度を調整した場合には、
高温に保持される時間が短くなり、分散性を向上させ、
また生産性を高めることができる。
【0038】反応後期の反応速度を高める方法として
は、例えば、前記した種々の条件下で、還元温度を上げ
る方法、還元性ガスの量を増加させる方法、還元性ガス
中の還元物質、例えば水素ガス中の濃度を高める方法な
どがあげられる。これらの方法のなかでは、還元性ガス
の量を増加させる方法および還元性ガス中の還元物質の
濃度を高める方法は、本発明において好適に使用しうる
方法である。
【0039】なお、これらの方法では、反応後期の還元
性ガス量を反応前期の還元性ガス量の1.3〜50倍、
好ましくは2〜30倍とすることが望ましい。
【0040】加熱還元の終了後には、常法により、得ら
れた還元終了物の表面に酸化被膜を形成させて安定化さ
せることにより、金属磁性粉末を得ることができる。
【0041】酸化被膜を形成させる方法としては、例え
ば、トルエンなどの有機溶媒中に浸漬させた後、大気中
で風乾させる方法に代表される液相徐酸化法、気相徐酸
化法などの公知の方法があげられる。これらの方法のな
かでは、気相徐酸化方法は、本発明において好適に使用
しうる方法である。
【0042】気相酸化法を採用する場合、例えば、窒素
ガス中に200〜10000ppmの空気を含んだ混合
ガスを用いて、通気量を還元終了物1kgあたり1〜2
0Nm3 /時間となるように調整し、また加熱温度を4
0〜150℃となるように調整することにより、処理を
行なうことができる。処理時間は、窒素ガス中の空気濃
度、加熱温度などに依存するため、一概には決定するこ
とができないが、通常、1〜50時間程度であることが
好ましい。
【0043】かくして得られる金属磁性粉末は、結晶子
サイズが大きく、高い飽和磁化を有し、しかも耐食性お
よび分散性に優れたものであるので、角型比やSFDに
優れた磁性塗膜の製造に好適に使用しうるものである。
【0044】前記金属磁性粉末を用いて磁気記録媒体用
塗膜を製造する際には、一般に用いられている製造方法
を採用することができる。
【0045】かかる製造方法の一例として、例えば、前
記金属磁性粉末を結合剤樹脂、有機溶剤およびその他の
成分を分散混合して磁性塗料を調製し、得られた磁性塗
料をポリエステルフィルムなどの基体上に、ドクターブ
レード法、グラビア法、リバース法、ロールコーティン
グ法などの方法で塗布し、必要により、磁場配向させた
後、乾燥させる方法などがあげられる。
【0046】前記結合剤樹脂としては、例えば、ポリ塩
化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、
繊維素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、エポキシ系樹脂、ポリエ−テル系樹脂などの従来か
ら汎用されている結合剤樹脂があげられる。
【0047】また、有機溶剤としては、例えば、シクロ
ヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなど
のエステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなど
の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルスルホキシドなどの
スルホキシド系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン
などのエ−テル系溶剤などの結合剤樹脂を溶解させるの
に適した溶剤があげられる。これらの有機溶剤は、単独
でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0048】なお、磁性塗料中には通常使用されている
各種添加剤、例えば、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤など
を適量添加してもよい。
【0049】前記磁性塗料を塗布、乾燥させて形成され
た磁気記録媒体用塗膜は、通常、膜厚が0.1〜3μm
程度となるように調整され、用途に応じてテ−プ状また
はディスク状にカットし、組み上げることにより、信頼
性の高い高性能磁気記録媒体として使用される。
【0050】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
【0051】実施例1 Fe100重量部に対してAl(アルミニウム)4重量
部、La2重量部およびCo19重量部を含む紡錘形状
を有する針状α―FeOOH〔ゲーサイト〕(長軸径:
0.15μm、軸比:9)を攪拌付き反応槽中で、水2
000重量部に分散させたのち、得られたスラリーを加
圧フィルタープレス(栗田機械(株)製)を用いて固液
分離し、得られたケーキを横押し出し式成形機(スクリ
ーン孔径:3mm)を用いて成形し、次いでこの成形物
を通気式箱形乾燥器(不二パウダル(株)製)で乾燥
し、整粒後、平均粒子径2.5mmの造粒物を得た。
【0052】得られた造粒物を固定床型反応器に充填
し、造粒物1kgあたり窒素ガス4.2Nm3 /時間の
割合で通気し、550℃の温度で、1時間加熱処理を行
なった。
【0053】次に、造粒物1kgあたり窒素ガス4.2
Nm3 /時間の割合で通気し、30分間で450℃にま
で冷却し、その後、造粒物1kgあたり還元性ガス10
Nm 3 /時間(水素ガス:2.5Nm3 /時間、窒素ガ
ス:7.5Nm3 /時間)の割合で450℃の温度で4
時間還元した。
【0054】なお、反応率が40%までの反応速度は1
6%/時間であった。さらに、水素ガスの流量を18.
5Nm3 /時間に、また窒素ガスの流量を6.5Nm3
/時間に変更し、2時間で還元を終了させた。
【0055】次に、造粒物1kgあたり窒素ガス4.2
Nm3 /時間の割合で通気し、70℃に冷却した後、7
0℃で24時間、窒素ガス中に2500ppmの空気を
含んだ混合ガスを造粒物1kgあたり4.2Nm3 /時
間の割合で通気し、表面に薄い安定な酸化被膜を形成さ
せる安定化処理を施して金属磁性粉末を得た。
【0056】得られた金属磁性粉末の一次粒子は、長軸
径が0.11μm、軸比が8、結晶子サイズは、17.
5nmであった。
【0057】なお、反応後期に、還元性ガスの条件を変
更せずに、さらに同条件で還元を進めたところ、還元終
了時までにさらに16時間必要であった。
【0058】次に、得られた金属磁性粉末100重量
部、カーボンブラック3重量部、γ−アルミナ5重量
部、スルホン酸基含有塩化ビニル系共重合体樹脂(日本
ゼオン(株)製、商品名:MR104)15重量部、ス
ルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製、
商品名:UR8300)10重量部、メチルエチルケト
ン150重量部、トルエン50重量部およびシクロヘキ
サノン75重量部を混合して塗料配合物を得た。
【0059】得られた塗料配合物をバッチ式サンドミル
で6時間混練し、混練物にイソシアネート系硬化剤(日
本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL)
2.5重量部を添加し、さらに15分間混練を行なった
後、濾過してビーズを分離し、磁性塗料を得た。
【0060】得られた磁性塗料を厚さ10μmのPET
(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に乾燥後の
膜厚が3μmとなるように塗布し、磁場配向処理後、乾
燥させてPETフィルム上に磁性層を形成させた。
【0061】次に、PETフィルム上に形成された磁性
層をカレンダー処理により鏡面加工して塗膜を得た。
【0062】得られた金属磁性粉末および塗膜の特性を
以下の方法にしたがって測定した。その結果を表1に示
す。
【0063】(A)金属磁性粉末の長軸径および軸比 透過型電子顕微鏡で撮影した金属磁性粉末の写真中か
ら、任意に300個の粉末を抽出し、それぞれの長軸径
および軸比を測定し、それらの平均値を長軸径および軸
比とする。
【0064】(B)金属磁性粉末の結晶子サイズ X線回折装置で得られるFe(110)の回折ピークの
半価幅、2θ値から式: D(110)=Kλ/βcos θ 〔式中、Kはシェラー定数(0.9)、λ:照射X線波
長、β:回折ピークの半価幅(真値に補正して用い
る)、θ:回折角〕にしたがって求める。
【0065】(C)金属磁性粉末の保磁力、飽和磁化、
飽和磁束密度および角型比 試料振動型磁力計(VSM)により、最大印加磁場10
kOeで測定する。なお、金属磁性粉末は、試料ホルダ
ーに入れて測定する。また、塗膜は、6mm角に切った
ものを使用する。
【0066】(D)飽和磁化の減衰率Δσs 強磁性金属磁性粉末を温度60℃、相対湿度90%の環
境下に7日間放置した後の飽和磁化σs' を前記飽和磁
化の測定法にしたがって測定し、放置前の前記強磁性金
属粉末の飽和磁化σs(初期値)との値から、 減衰率(Δσs)=(1−σs' /σs)×100 を求める。
【0067】なお、塗膜については、同環境下、30日
放置後をΔBsとして測定する。
【0068】実施例2 実施例1で用いた原料のかわりに、Fe100重量部に
対して、Al(アルミニウム)3重量部、La3重量部
およびCo10重量部を含む紡錘状α―FeOOH〔ゲ
ーサイト〕(長軸径:0.17μm、軸比:9)を用い
た。また、造粒物1kgあたり還元性ガス10Nm3
時間(水素ガス:2.5Nm3 /時間、窒素ガス:7.
5Nm3 /時間)の割合で通気し、500℃の温度で3
時間還元させた。
【0069】反応率が40%までの反応速度は18%/
時間であった。
【0070】次に、水素ガス流量を18.5Nm3 /時
間、窒素ガス流量を6.5Nm3 /時間に変え、2時間
で還元を終了させた以外は、実施例1と同様の操作によ
り金属磁性粉末を作製した。
【0071】また、反応後期に還元性ガス条件を変更せ
ずに、さらに同条件で還元を進めたところ、還元終了ま
でに13時間が必要であった。
【0072】次に、得られた金属磁性粉末を用いて実施
例1と同様にして磁気記録媒体用塗膜を得た。
【0073】得られた金属磁性粉末および塗膜の特性を
実施例1と同様の方法にしたがって測定した。その結果
を表1に示す。
【0074】実施例3 実施例1で用いた原料のかわりに、Fe100重量部に
対してAl(アルミニウム)4重量部、La6重量部、
Co30重量部を含む紡錘状α―FeOOH〔ゲーサイ
ト〕(長軸径:0.11μm、軸比:7)を用いた。ま
た、造粒物1kgあたり還元性ガス10Nm3 /時間
(水素ガス:2Nm3 /時間、窒素ガス:8Nm3 /時
間)の割合で通気し、450℃の温度で3時間還元させ
た。
【0075】反応率が40%までの反応速度は16%/
時間であった。
【0076】次に、水素ガス流量を18.5Nm3 /時
間、窒素ガス流量を6.5Nm3 /時間に変え、2時間
で還元を終了させた以外は、実施例1と同様の操作によ
り金属磁性粉末を作製した。
【0077】また、反応後期に還元性ガス条件を変更せ
ずに、さらに同条件で還元を進めたところ、還元終了ま
でにさらに19時間が必要であった。
【0078】次に、得られた金属磁性粉末を用いて実施
例1と同様にして磁気記録媒体用塗膜を得た。
【0079】得られた金属磁性粉末および塗膜の特性を
実施例1と同様の方法にしたがって測定した。その結果
を表1に示す。
【0080】比較例1 実施例1において、造粒物1kgあたり還元性ガス25
Nm3 /時間(水素ガス:18.5Nm3 /時間、窒素
ガス:6.5Nm3 /時間)の割合で通気し、450℃
の温度で3時間還元を終了させた以外は、実施例1と同
様の操作により、金属磁性粉末を得た。
【0081】なお、反応率40%までの反応速度は16
0%/時間であった。
【0082】次に、得られた金属磁性粉末を用いて実施
例1と同様にして磁気記録媒体用塗膜を得た。
【0083】得られた金属磁性粉末および塗膜の特性を
実施例1と同様の方法にしたがって測定した。その結果
を表1に示す。
【0084】比較例2 実施例1において、造粒物1kgあたり還元性ガス25
Nm3 /時間(水素ガス:18.5Nm3 /時間、窒素
ガス:6.5Nm3 /時間)の割合で通気し、380℃
の温度で2時間還元させ、その後、温度を30分間で4
50℃にまで上げ、450℃でさらに還元を2時間続け
て還元を終了させた以外は、実施例1と同様の操作によ
り金属磁性粉末を得た。
【0085】なお、380℃で反応率40%までの反応
速度は35%/時間であった。
【0086】次に、得られた金属磁性粉末を用いて実施
例1と同様にして磁気記録媒体用塗膜を得た。
【0087】得られた金属磁性粉末および塗膜の特性を
実施例1と同様の方法にしたがって測定した。その結果
を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】表1に示した結果から、実施例1〜3で得
られた強磁性金属磁性粉末は、良好な保磁力および飽和
磁化を有し、優れた耐食性(Δσs)を有するものであ
ることがわかる。
【0090】また、実施例1〜3で得られた塗膜の磁性
層は、良好な保磁力、飽和磁束密度および分散性(角型
比)を有し、優れた耐食性(ΔBs)を有するものであ
ることがわかる。
【0091】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体用金属磁性粉末の
製造方法によれば、高い飽和磁化を有し、耐食性および
分散性に優れ、角型比やSFDにも優れた磁性塗膜を製
造するのに好適に使用しうる金属磁性粉末を得ることが
できる。また、前記金属磁性粉末を含有した磁気記録媒
体用塗膜は、高い飽和磁化を有し、耐食性および分散性
に優れ、角型比やSFDにも優れた磁性塗膜である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 憲一 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長軸径が0.05〜0.25μm、軸比
    が4〜12である針状含水酸化鉄または針状酸化鉄粒子
    の造粒径が0.5〜20mmである造粒物を還元性ガス
    中で400〜600℃の温度範囲で加熱還元させ、金属
    磁性粉末を製造するにあたり、反応率が40%までの反
    応過程で、反応速度を5〜30%/時間に調整すること
    を特徴とする磁気記録媒体用金属磁性粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応率が40%以上の反応過程で、還元
    性ガスの流量を反応率が40%までの反応過程における
    還元性ガスの流量の1.3〜50倍に上げる請求項1記
    載の磁気記録媒体用金属磁性粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 長軸径が0.05〜0.25μm、軸比
    が4〜12である針状含水酸化鉄または針状酸化鉄粒子
    の造粒径が0.5〜20mmである造粒物を還元性ガス
    中で400〜600℃の温度範囲で加熱還元させ、金属
    磁性粉末を製造するにあたり、反応率が40%以上の反
    応過程で、還元性ガスの流量を反応率が40%までの反
    応過程における還元性ガスの流量の1.3〜50倍に上
    げることを特徴とする磁気記録媒体用金属磁性粉末の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の製造方法
    によって得られた磁気記録媒体用金属磁性粉末。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の磁気記録媒体用金属磁性
    粉末を含有してなる磁気記録媒体用塗膜。
JP9213764A 1997-08-08 1997-08-08 磁気記録媒体用金属磁性粉末およびその製造方法ならびに該磁性粉末を含有した磁気記録媒体用塗膜 Pending JPH1161208A (ja)

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