JPH1159235A - 偏心型銅被覆鋼トロリ線の製造方法 - Google Patents
偏心型銅被覆鋼トロリ線の製造方法Info
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Abstract
硬鋼線を芯線として使用でき、トロリ線を更に一層高強
度化及び高速化することができると共に、工程が簡素な
偏心型銅被覆鋼トロリ線の製造方法を提供する。 【解決手段】 トロリ線のイヤ部溝相当位置に突起を有
する断面形状のダイスを使用して銅又は銅合金を押し出
し、この押し出し断面におけるトロリ線断面形状の大弧
面側に偏心した位置に鋼線7を通す。これにより、鋼線
7の周囲に銅又は銅合金を被覆して偏心銅被覆鋼線12
を得る。次いで、この偏心銅被覆複合線を伸線加工又は
圧延加工により、所定のトロリ線断面形状に成形する。
炭素含有量が0.35重量%を超える硬鋼線を芯線とし
て使用することができ、トロリ線を高強度化及び長寿命
化することができると共に、より一層の高速運行が可能
となる。
Description
設され、パンタグラフ等を介して電車に給電する銅被覆
鋼トロリ線の製造方法に関し、特に、鋼線芯線が偏心し
た偏心型銅被覆トロリ線をコンフォームにより製造する
偏心型銅被覆鋼トロリ線の製造方法に関する。なお、本
明細書において、銅又は銅合金を単に銅をいう場合があ
る。
ていたが、近時、電車の高速運行の要請が強く、このた
めトロリ線の強度を一層強めることが要求され、この要
望のもとに、鋼線を芯材としてこの芯材の周りを銅又は
銅合金で被覆した銅被覆鋼トロリ線が提案されている
(特公平2−11460号)。
種の形状のダイスを使用して、複数回の伸線加工を順次
繰り返すことにより、鋼芯をトロリ線の大弧面側に偏心
させた偏心型銅被覆鋼トロリ線(特願平6−11243
号)が提案されている。この偏心型銅被覆鋼トロリ線
は、パンタグラフによりトロリ線が摩耗した場合に、偏
心した鋼線芯線が同心円型のものよりも比較的早く出現
するので、トロリ線摩耗による導体抵抗の増加を、鋼芯
の耐摩耗性により抑制でき、長寿命化を図ることができ
る。このため、この偏心型銅被覆鋼トロリ線は、新幹線
を代表する高速運行電車用として実用されている。
ィップフォーミングにより製造されている。即ち、先ず
鋼線を銅の溶湯中に連続的に浸漬させ、鋼線の周囲に銅
を凝固させて付着させた後、一定の温度範囲にて熱間圧
延することにより、鋼芯の周囲に同心円状に銅を被覆し
た銅被覆鋼線素線をつくり、更にその後に数種の形状の
ダイス伸線を行い、同心円状に被覆している銅を移動さ
せ、鋼芯を所定のトロリ線形状の大弧面側に偏心させ
る。このようにして、従来、偏心型銅被覆鋼トロリ線が
製造されている。
来方法は、銅被覆鋼線素線を製造する工程、及びその後
のダイス伸線工程の夫々に、以下に述べるような欠点が
あった。
においては、鋼線を銅の溶湯中に浸漬させて鋼線表面に
銅を付着させる際、鋼線表面は、銅との濡れ性を良くす
るために、極めて平滑且つ活性な状態になくてはならな
い。このため、鋼線を銅溶湯中に浸漬させる際には、鋼
線を特殊な加工を施した工具ダイス(以下、皮剥ダイス
と称す)により連続的に皮剥した後、銅の溶湯容器内に
導入されている。
に、芯材として使用できる鋼線は、炭素含有量が0.3
5重量%以下の低強度の鋼線しか使用できないという重
大な欠点があった。これは、鋼線の炭素含有量が0.3
5重量%を超えるような所謂硬鋼線を使用すると、鋼線
の強度が高くなりすぎるために皮剥ダイスの寿命が極め
て短くなり、トロリ線の製造が安定しないためである。
材となる鋼線の炭素含有量は0.35重量%以下に制限
せざるを得ず、従って最終的に得られる偏心型銅被覆鋼
トロリ線の強度も、高々、国内で標準的に使用されてい
るトロリ線材の横断面積110mm2サイズのもので引
張強度67kgf/mm2、170mm2サイズのもので
引張強度66kgf/mm2程度である。このため、こ
の従来方法では、トロリ線の高強度化及び高速化には限
界がある。
状のダイスを使用した伸線によって同心円状に被覆して
いる銅を移動させ、鋼芯を所定のトロリ線形状の大弧面
側に偏心させるとともに、所定のトロリ線形状に仕上げ
るものであるため、極めて多数のパス回数が必要である
ため、工程が複雑となるなどの欠点があった。
のであって、炭素含有量が0.35重量%を超えるよう
な硬鋼線を芯線として使用でき、トロリ線を更に一層高
強度化及び高速化することができると共に、工程が簡素
な偏心型銅被覆鋼トロリ線の製造方法を提供することを
目的とする。
覆鋼トロリ線の製造方法は、トロリ線のイヤ部溝相当位
置に突起を有する断面形状のダイスを使用して銅又は銅
合金を押し出し、この押し出し断面におけるトロリ線断
面形状の大弧面側に偏心した位置に鋼線を通し、前記鋼
線の周囲に銅又は銅合金を被覆する工程と、得られた偏
心複合線を伸線加工又は圧延加工により、所定のトロリ
線断面形状に成形する工程とを有することを特徴とす
る。
おいて、前記鋼線の炭素含有量は0.35重量%を超え
るものとすることができる。
により銅又は銅合金素材を被覆するので、皮剥ダイスが
不要であり、請求項2に記載のように、芯線として炭素
含有量が0.35重量%を超える硬鋼線を使用すること
ができ、より一層高強度で高速化が可能なトロリ線を安
定して製造することができる。また、本発明は、鋼線が
偏心するように銅又は銅合金を鋼線の周囲に被覆するこ
とにより、銅被覆鋼線を製造するから、従来のように、
複数回成形加工を繰り返す必要がなく、工程は簡素であ
る。
るため、鋭意実験研究を重ねた結果、従来の銅溶湯中へ
の鋼線浸漬による製造方法に代わり、コンフォームによ
り鋼線の周囲に銅を押出して被覆する方法により、鋼線
芯線と銅被覆層との接合性が高い複合線を製造でき、炭
素含有量が0.35重量%を超えるような硬鋼線材を使
用した偏心型高強度銅被覆鋼トロリ線を安定して得るこ
とができることを見いだした。
リ線形状のイヤ部相当位置に溝を付けた形状とするとと
もに、鋼芯を大弧面側に偏心させた状態で、コンフォー
ムにより鋼線の周囲に銅又は鉛合金を押出し被覆する。
その後、この得られた銅被覆鋼複合線を、1回又は複数
回、伸線加工又は圧延加工することにより、所定のトロ
リ線形状に成形する。
図面を参照して具体的に説明する。図1は本実施例方法
にて使用するコンフォームによる偏心型高強度銅被覆鋼
トロリ線の製造装置を示す断面図、図2はその押出装置
のダイチャンバを示す断面図である。
周面に銅素材1が嵌合される溝が周方向に沿って形成さ
れており、一定方向に回転駆動されるようになってい
る。このホイール2の上端には、シューブロック3がホ
イール2の周面に一部沿うように設けられている。この
シューブロック3には、ホイール2の中心軸の直上域の
位置にダイチャンバ6が設けられている。このダイチャ
ンバ6は鋼線7が挿通する中心孔が形成されたニップル
10と、押出形状を規定するダイス13と、ホイール2
の溝内に挿入されたアパットメント5とを有する。これ
らのニップル10,ダイス13及びアパットメント5
は、ダイチャンバ6内に嵌合され、ニップル10及びダ
イス13はその孔位置が整合するように配置され、アパ
ットメント5はホイール2の溝内に位置するように配置
されている。また、ダイチャンバ6には、軟化した押出
素材11をニップル10とダイス13との間に導く流路
6aが形成されている。更に、シューブロック3とホイ
ール2との間の銅素材1の入り口には、導入路4が設け
られており、この導入路4にて銅素材1が導入路4とホ
イール2との間の摩擦熱により加熱され、可塑流動化す
る。
過するが、この鋼線7の通過域の上流側には鋼線7の前
処理装置8が設置されており、鋼線の表面の酸化皮膜及
び油分等が除去されるようになっている。この前処理装
置8と、ダイチャンバ6との間には、鋼線7を誘導加熱
する誘導加熱装置9が配置されている。一方、鋼線7の
進行方向におけるダイチャンバ6の下流側には、ダイチ
ャンバ6にて鋼線の周囲に銅が被覆された銅被覆鋼線1
2を冷却するための冷却槽14が配置されている。そし
て、冷却槽14の下流側には、銅被覆鋼線12の引き取
り機15が配置されており、この引き取り機15の下流
側には銅被覆鋼線12の巻き取り機16が配置されてい
る。
ス13はトロリ線の断面形状に相当する形状の孔13a
を有する。即ち、この孔13aは、トロリ線のイヤ部溝
に相当する位置に突起13bを有する。そして、このダ
イス13における鋼線7が通過する鋼線位置17は、イ
ヤ部溝により規定されるトロリ線周面の大弧面側に偏心
した位置である。
実施例方法について説明する。先ず、押し出される銅素
材1は、その表面の酸化皮膜及び油分等の汚れが完全に
除去された状態で、駆動するホイール2と固定されたシ
ューブロック3とにより形成された導入路4に連続的に
引き込まれ、アバットメント5で方向を変えた後、ダイ
チャンバ6の室内に供給される。このとき、導入路4内
及びダイチャンバー6室内の銅素材1は、導入路4とシ
ューブロック3との間で発生する摩擦熱及び高圧力によ
り可塑流動体となる。
よって表面に酸化皮膜及び油分等が除去されて清浄化さ
れ、次工程の誘導加熱装置9により表面を高温に加熱さ
れた状態で、ニップル10を介してダイチャンバ6の室
内に誘導される。
内に誘導された鋼線7は、上述の高温及び高圧となって
流路6aを介して同室内に侵入してきた可塑流動体の銅
素材11とダイチャンバ室内で一体となり、銅被覆鋼線
12となってダイス13から押し出される。この銅被覆
鋼線12は、その後、冷却槽14及び引き取り機15を
通って巻き取り機16により連続的に巻き取られる。
間の相対位置及びダイス13の形状は、図2に示すよう
に、鋼線位置17がダイス13の孔13aの中心から偏
心しており、押し出される銅被覆鋼線素線の形状は、所
定のトロリ線形状のイヤ部相当位置に溝を付けた形状と
なっていると共に、大弧面側に鋼芯が偏心した状態とな
るように調節される。
12は、その後、伸線加工又は圧延加工により、成形加
工されて、トロリ線が製造される。
線の周囲に銅を高圧で圧接させ、押し出し被覆させるこ
とにより使用上十分な接合性を得ることができることか
ら、鋼線の前処理は従来の皮剥と異なり、通常の酸洗
い、ショットブラスト又はブラシ研磨等を1台又は複数
台を組み合わせて使用することで十分である。
鋼種に限定する必要はなく、よって炭素含有量が0.3
5重量%を超えるような硬鋼線材を使用して、従来より
も、高強度で、パンタグラフによる摩減、それによる導
体抵抗の増加を抑制した長寿命な銅被覆鋼トロリ線を製
造することができる。また、押出し後の伸線工程を簡略
化することも可能となる。
度銅被覆鋼トロリ線を実際に製造した結果について、そ
の比較例と比較して具体的に説明する。
JISC1020の無酸素銅線を使用し、芯材となる鋼
線には、JISG3506に示されるSWRH62A硬
鋼線(炭素含有量:0.63重量%)、SWRH82A
硬鋼線(炭素含有量:0.80重量%)を使用した。こ
の芯線鋼線は、両者共、直径が5.4mm及び4.34
mmの2種類を使用した。
を十分に除去した後、駆動するホイールと固定されたシ
ューブロックとにより形成された導入路に連続的に供給
した。一方、芯材となる鋼線はショットブラストによっ
て表面の酸化皮膜及び油分等を除去した後、誘導加熱装
置によって表面を高温に加熱させた状態でダイチャンバ
の室内に誘導し、ダイチャンバ室内において銅を被覆し
て夫々トロリ線のイヤ部相当位置に溝を付けた形状とし
て押し出した。
はダイスにより、直径5.4mmの鋼線を用いたもので
は212.5mm2、直径4.34mmの鋼線を用いた
ものでは137.5mm2とし、両者ともに銅被覆面積
率が57%(導電率で60〜62%IACS)となるよ
うにした。また、鋼芯の偏心程度は、従来の工程で製造
されたものと同じ程度とした。
を、20%の減面率で1回、ダイスにより伸線加工を行
って、最終的に110mm2、170mm2の各サイズの
偏心型銅被覆鋼トロリ線に仕上げた。
と、従来方法によって製造された同サイズの比較例の偏
心型銅被覆鋼トロリ線について、その引張強さと導電率
を調査し、比較した。これらの製造条件及び評価結果を
表1に示す。
芯材である鋼線中の炭素含有量が比較例5,6の従来品
に比べて多いことから、鋼線自体の強度が高く、その結
果、得られた偏心型銅被覆鋼トロリ線の強度も高いもの
となった。なお、トロリ線の導電率は、実施例1乃至4
及び比較例5及び6はいずれも同等であった。
従来工程で製造されたものよりも大弧面側により偏心さ
せたものを押し出し製造した。
1回、ダイスにより伸線加工を行って、最終的に110
mm2、170mm2の各サイズの偏心型銅被覆鋼トロリ
線に仕上げた。図4は本発明実施例の場合及び比較例の
場合について、伸線加工後の偏心型銅被覆鋼トロリ線
(断面積110mm2)の横断面を模式的に示す。
性について、集電摺動耐摩耗減量試験によって評価し
た。集電摺動耐摩耗減量試験は、各トロリ線を大弧面を
外側にした外径1mのリング状に加工し、そのリングを
回転させながら、銅系焼結合金を取り付けたすり板に通
電し、一定荷重で押しつける方法にて行った。このとき
のリングの回転速度は40km/時、押し付け荷重は2
kg、通電電流100Aであり、摺動は10万パンダま
で無潤滑状態で行った。
は、芯材である鋼線中の炭素含有量が比較例5及び6の
従来品に比べて高く硬いのに加え、従来方法により製造
された比較例5及び6よりも偏心化が容易で鋼線7を比
較例よりもより偏心化させているため、早期に鋼線芯線
が露出し、パンタグラフによる摩耗量は極めて低くなっ
た。これに比べ、従来品の比較例5,6では、鋼芯位置
が高いために鋼芯の露出が遅く、その間の摩耗量は多く
なった。
ことは勿論である。特に、上記実施例は芯材として最も
安価で強度が高い硬鋼線を使用したが、軽量化及び更に
一層の高強度化を図るために、ステンレス鋼などの合金
鋼を用いることもできる。即ち、芯材が靱性及び伸線性
に影響を受けない程度に、例えば、C,N,S,Si,
Ni,Zr,Cr,Co,Ti,Mg,Mo,Mn,S
n及びAl等を含有する鋼線を使用することができる。
状は、例えば円、楕円、長方形又は矩形とすることもで
きる。
コンフォームによって鋼線の周囲に銅又は銅合金素材を
高圧力で押出し被覆するとともに、鋼線芯線をトロリ線
の大弧面側に偏心させることから、芯材となる鋼線の硬
度には制限がなく、よって炭素含有量が0.35重量%
を超えるような硬鋼線材を使用した偏心型高強度銅被覆
鋼トロリ線を製造することができる。このため、高強度
で更に一層の高速化が可能な銅被覆鋼トロリ線を製造す
ることができる。
置を示す断面図である。
示す断面図である。
心型銅被覆鋼トロリ線の形状を示す模式図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 トロリ線のイヤ部溝相当位置に突起を有
する断面形状のダイスを使用して銅又は銅合金を押し出
し、この押し出し断面におけるトロリ線断面形状の大弧
面側に偏心した位置に鋼線を通し、前記鋼線の周囲に銅
又は銅合金を被覆する工程と、得られた偏心複合線を伸
線加工又は圧延加工により、所定のトロリ線断面形状に
成形する工程とを有することを特徴とする偏心型銅被覆
鋼トロリ線の製造方法。 - 【請求項2】 前記鋼線の炭素含有量が0.35重量%
を超えるものであることを特徴とする請求項1に記載の
偏心型銅被覆鋼トロリ線の製造方法。
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JP22984697A JP3618202B2 (ja) | 1997-08-26 | 1997-08-26 | 偏心型銅被覆鋼トロリ線の製造方法 |
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CN102941238A (zh) * | 2012-11-01 | 2013-02-27 | 上海智溢金属材料有限公司 | 一种铜质h型滑触线的制造模具及其方法 |
CN109175695A (zh) * | 2018-10-23 | 2019-01-11 | 江苏亨通海洋光网系统有限公司 | 光缆用馈电导体的激光焊接方法 |
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1997
- 1997-08-26 JP JP22984697A patent/JP3618202B2/ja not_active Expired - Fee Related
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