JPH1158070A - 裏当て材を用いない片面溶接方法 - Google Patents
裏当て材を用いない片面溶接方法Info
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Abstract
ビードを形成することができる片面溶接方法を実現する
こと。 【解決手段】 ルートギャップを有する被溶接物を片面
溶接するに際し、消耗電極として、フラックス中にAl又
はMgの少なくとも1種を含有し、ワイヤによる溶接金属
の酸素含有量が250 ppm以下となるガスシールドアー
ク溶接用フラックス入りワイヤを用い、該ワイヤを負極
とし被溶接物を正極とする直流正極性のガスシールドア
ーク溶接で施工し、裏当て材を用いることなく裏ビード
を形成し被溶接物の片面溶接を行うことを特徴とする。
Description
の溶接に適用されるもので、フラックス入りワイヤを使
用してガスシールドアーク溶接により被溶接物を片面溶
接する方法に関し、全姿勢の溶接で裏当て材を用いずに
裏ビードを形成し片面溶接が行えるようにした、裏当て
材を用いない片面溶接方法に関するものである。
イヤを使用し、ガスシールドアーク溶接により、ルート
ギャップを有する開先が形成された突合せ継手(被溶接
物)を片面溶接する際には、図2(a)に示すように、
開先裏面に開先長手方向へ延びるルートギャップを塞ぐ
ように主に耐火物からなる裏当て材1を取り付け、開先
の表面側から、裏当て材1で溶融金属を支えながら初層
溶接を行って裏ビード(初層ビード)2を形成し、次い
で2層目以後の溶接を行って突合せ継手の片面溶接を完
了させるようにしている(図2(b))。この消耗電極
としてフラックス入りワイヤを使用し、ガスシールドア
ーク溶接で施工する片面溶接方法では、全姿勢(下向
き,立向き,横向き,上向き)の溶接に適用でき、フラ
ックス入りワイヤを使用するためティグ(TIG)溶接
で施工するものや、被覆溶接棒を使用するものに比べて
溶着速度が大で能率がよいという利点があるものの、裏
当て材が高価であり、また、裏当て材の取り付け・取り
外しに手間がかかるという欠点があった。
耗電極としてフラックス入りワイヤを使用し、ガスシー
ルドアーク溶接で施工する片面溶接方法において、全姿
勢の溶接で裏当て材を用いることなく裏ビードを形成す
ることができ、裏当て材の取り付け・取り外しに要する
手間がいらず、高能率な片面溶接を行うことができる、
裏当て材を用いない片面溶接方法を提供することをその
課題とする。
トギャップを有する被溶接物を片面溶接するに際し、消
耗電極として、フラックス中にAl又はMgの少なくとも1
種を含有し、ワイヤによる溶接金属の酸素含有量が250
ppm以下となるガスシールドアーク溶接用フラックス
入りワイヤを用い、該ワイヤを負極とし被溶接物を正極
とする直流正極性のガスシールドアーク溶接で施工し、
裏当て材を用いることなく裏ビードを形成し被溶接物の
片面溶接を行うことを特徴とする、裏当て材を用いない
片面溶接方法である。
当て材を用いない片面溶接方法において、前記ガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤによる溶接金属
の窒素含有量が150 ppm以下であることを特徴とす
る。請求項3の発明は、前記請求項1又は2に記載の裏
当て材を用いない片面溶接方法において、前記ガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤが、ワイヤ全重
量に対して重量%で、Al+ 3Mg:1 〜5 重量%を満足す
るものであることを特徴とする。また、請求項4の発明
は、前記請求項1、2又は3に記載の裏当て材を用いな
い片面溶接方法において、前記ガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤが、BaF2:0.5 〜10重量%を含
有するものであることを特徴とする。
は、全姿勢の溶接で裏当て材を用いずに裏ビードを形成
できるようにして片面溶接を行うために、溶融金属の
粘性を高めること、裏ビードのシールド性を確保する
こと、低溶接電流域(100 〜200 A程度)でのアーク
の安定化を図ること、について下記の手段を講じてい
る。
当て材を用いずに裏ビードを溶融金属の垂れ落ちなく安
定に形成できるようにするために、Al又はMgの少なくと
も1種をフラックス中に含有させたガスシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤを使用し、Al,Mgという強
力な脱酸剤の効果により、溶融金属中の酸素含有量を低
減させて溶融金属の粘性を高めるようにしている。
量を250 ppm以下にすることにより、溶融金属の粘性
が顕著に高くなり、代表的な値(標準的な値)である5
mmのルートギャップ(ルート間隔)を有する突合せ継
手(被溶接物)において、全姿勢の溶接で裏当て材を用
いずに裏ビードを垂れ落ちなく安定に形成することがで
きた。このワイヤによる溶接金属中の酸素含有量は、ビ
ードの形状(裏ビード及び2層目以後のビード)を悪化
させない点より、150 ppm以下の範囲がより好まし
い。
イヤのフラックス成分との関係については、Al,Mgなど
の強力な脱酸剤の量に比例して酸素量が減る傾向がある
ほかに、酸素量を決定するその他の要因として、これら
脱酸剤とフッ化物とのバランス、脱酸剤と酸化物とのバ
ランス、及び、スラグの塩基度などがあるため、一義的
には定められないものの、Al+ 3Mgの量が溶接金属の酸
素含有量と最も強い相関がある。すなわち、Al,Mgはと
もに、溶融金属中の酸素量を低減させて粘性を高めると
ともに、直流正極性(ワイヤを負極、被溶接物を正極と
して行う直流のアーク溶接)でのアークを安定にする効
果がある。しかし、ワイヤ全重量に対して重量%で、Al
+ 3Mgの量が1 重量%未満ではそれらの効果が十分でな
く、溶接金属の酸素含有量が前記のより好ましい範囲で
ある150 ppmを超え、裏ビードが垂れ下がり易くな
り、一方、5 重量%を超えると溶融金属の粘性が高すぎ
凸ビードとなってビード形状が悪化する。したがって、
Al+ 3Mgの量は1 〜5 重量%の範囲を満足するのがよ
い。
では、裏ビードを大気からシールドし、ブローホール、
ピットのない健全な溶接金属を得るために、フッ化物で
あるBaF2をフラックス中に含有させた前記ガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤを使用し、BaF2のス
ラグ剤としての効果により、裏ビードを被包して大気か
らシールドし、シールド不良によるブローホール等のな
い健全な溶接金属を得るようにしている。
量を150 ppm以下にすることにより、標準値である5
mmのルートギャップを有する突合せ継手において、裏
ビードのシールド性が確保でき、ブローホール等のない
溶接金属を得ることができた。この溶接金属の窒素含有
量のより好ましい範囲は80ppm以下である。
くするとともに、直流正極性でアークを安定にしてスパ
ッタ発生量を減らす効果がある。しかし、ワイヤ全重量
に対して重量%で、BaF2量が0.5 重量%未満ではそのよ
うな効果が十分に発揮されず、シールド効果が十分でな
く溶接金属の窒素含有量が前記の150 ppmを超え、ブ
ローホール発生数が多くなり、一方、10重量%を超える
とワイヤ先端の溶滴が大粒化してスムーズな移行を行わ
ずスパッタが大粒化し逆に発生量が増加する。したがっ
て、BaF2量は0.5 〜10重量%の範囲とするのがよい。
勢,上向き姿勢などの難姿勢の溶接は、低溶接電流域
(100 〜200 A程度)で施工される。本発明による方法
では、低溶接電流域でのアークの安定化を図るために、
フラックス中に前記BaF2を添加した前記ガスシールドア
ーク溶接用フラックス入りワイヤを直流正極性で使用す
るようにしている。すなわち、このBaF2系のフラックス
入りワイヤを直流正極性で使用すると、ワイヤ先端の溶
滴には陽イオンによる衝撃力に加えて、高蒸気圧のBaF2
等の蒸発による大きな反作用力が働くため、ワイヤ先端
の溶滴がこれらの合力により衝撃を受け、小さな溶滴粒
に変化して被溶接物へとスムーズに移行し、これにより
低溶接電流域でのアークの安定化、スパッタ発生量の低
減を図ることができる。
ガスとして、炭酸ガス、アルゴンを主体とする混合ガス
(Ar−CO2 混合ガス、Ar−O2混合ガス)、ヘリウムを主
体とする混合ガスが使用でき、溶接金属の酸素含有量の
低減、及びシールドガスのコストの点などから、80%Ar
−20%CO2 などのアルゴンを主体とするAr−CO2 混合ガ
スがよい。
されるものではなく、例えば図1(a)〜(d)に例示
する種々の形状ものに適用できる。図1(d)の形状
(継目無し)の場合にはワイヤ表面にCuメッキを施して
もよい。
SPCC-SD相当)を用いて、表3に示すガスシールドアー
ク溶接用フラックス入りワイヤを製作した。各ワイヤい
ずれも、ワイヤ径:φ1.6 mm、フラックス充填率:10
%(但し、No.13 の本発明例のみ20%)であり、ワイヤ
断面形状は図1(b)である。
し、表1に示す溶接条件で、ルートギャップを有するV
形突合せ継手の片面溶接を裏当て材を用いずに実施し、
アークの安定性、良好な裏ビード(初層ビード)の得ら
れ易さ(片面溶接性)、裏ビードのシールド性(耐ブロ
ーホール性)について評価した。なお、2層目以後の溶
接は、初層溶接条件のうち主に溶接速度を変えて行っ
た。
良、△:可(普通)、×:不可(不良)、とした。
て溶接金属の酸素含有量が250 ppmを超え、粘性が低
く溶融金属が垂れ落ちて裏ビードを形成することができ
なかった。No.15 の比較例は、BaF2を添加したフラック
ス入りワイヤを直流正極性でなく直流逆極性(ワイヤ:
正極、被溶接物:負極)で施工したため、アークが不安
なため溶融池が荒れ、裏ビードを形成することができな
かった。このように比較例では裏当て材を用いることな
く裏ビードを形成することができなかった。
では、全姿勢の溶接で裏当て材を用いることなく裏ビー
ドを形成することができた。
溶接方法によると、全姿勢の溶接で裏当て材を用いるこ
となく裏ビードを形成することができ、裏当て材の取り
付け・取り外しに要する手間がいらず、高能率な片面溶
接を行うことができる。また、裏当て材が要らないので
溶接材料費を下げることができる。
状の例を模式的に示す図である。
である。
SPCC-SD相当)を用いて、表2に示すガスシールドアー
ク溶接用フラックス入りワイヤを製作した。各ワイヤい
ずれも、ワイヤ径:φ1.6 mm、フラックス充填率:10
%(但し、No.13 の本発明例のみ20%)であり、ワイヤ
断面形状は図1(b)である。
Claims (4)
- 【請求項1】 被溶接物の片面溶接を行うに際し、消耗
電極として、フラックス中にAl又はMgの少なくとも1種
を含有し、ワイヤによる溶接金属の酸素含有量が250 p
pm以下となるガスシールドアーク溶接用フラックス入
りワイヤを用い、該ワイヤを負極とし被溶接物を正極と
する直流正極性のガスシールドアーク溶接で施工し、裏
当て材を用いることなく裏ビードを形成し被溶接物の片
面溶接を行うことを特徴とする、裏当て材を用いない片
面溶接方法。 - 【請求項2】 前記ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤによる溶接金属の窒素含有量が150 ppm
以下であることを特徴とする請求項1記載の裏当て材を
用いない片面溶接方法。 - 【請求項3】 前記ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤが、フラックス中にワイヤ全重量に対して
重量%で、Al+ 3Mg:1 〜5 重量%を満足するものであ
ることを特徴とする請求項1又は2に記載の裏当て材を
用いない片面溶接方法。 - 【請求項4】 前記ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤが、フラックス中にワイヤ全重量に対して
重量%で、BaF2:0.5 〜10重量%を含有するものである
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の裏当て材
を用いない片面溶接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22650397A JP3877843B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | 裏当て材を用いない片面溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1158070A true JPH1158070A (ja) | 1999-03-02 |
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JP22650397A Expired - Lifetime JP3877843B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | 裏当て材を用いない片面溶接方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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- 1997-08-22 JP JP22650397A patent/JP3877843B2/ja not_active Expired - Lifetime
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