JPH1157483A - ε−カプロラクタム製造用触媒およびこれをもちいてなるε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents
ε−カプロラクタム製造用触媒およびこれをもちいてなるε−カプロラクタムの製造方法Info
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Abstract
をベックマン転位することによりε−カプロラクタムを
製造する際に用いる触媒として、シクロヘキサノンオキ
シムの転化率とε−カプロラクタムの選択率に優れた触
媒を提供する。 【解決手段】 結晶が多数の突起を有する連晶であるペ
ンタシル型ゼオライトを触媒として適用する。
Description
の製造用触媒およびこれを用いてなるε−カプロラクタ
ムの製造方法に係わり、さらに詳しくはシクロヘキサノ
ンオキシムの気相ベックマン転位反応によってε−カプ
ロラクタムを製造するに有用な、結晶が連晶であるペン
タシル型ゼオライトよりなる触媒の提供、およびこれを
用いてなるε−カプロラクタムの製造方法に関する。
として用いられる重要な化学原料であり、その製造方法
としては従来より硫酸を触媒として液相反応条件下にシ
クロヘキサノンオキシムをベックマン転位する方法が工
業的に採用されている。
件下にシクロヘキサノンオキシムをベックマン転位させ
ることによってε−カプロラクタムを製造する方法も種
々提案されている。例えば硼酸系触媒(特開昭53−3
7686号公報、同46−12125号公報)、シリカ
・アルミナ系触媒(英国特許第881927号)、固体
リン酸触媒(英国特許第881956号)、Y型ゼオラ
イト触媒(Journal ofCatalysis 6 247(1966))、結晶
性アルミノシリケート触媒(特開昭57−139062
号公報)および結晶骨格中のケイ素/ケイ素以外の金属
原子比が500以上である結晶性メタロシリケート触媒
(特公平4−40342号公報)等を用いる方法が知ら
れている。
として用いる方法では、多量の発煙硫酸を必要とするだ
けでなく、ベックマン転位反応生成物からε−カプロラ
クタムを回収する為には硫酸をアンモニアにより中和す
る必要があり、この工程でε−カプロラクタム1トンあ
たり約1.5トンもの多量の硫酸アンモニウムが副生す
るという問題がある。一方、このような問題点を解決す
る方法として、前記のような様々な触媒を用いる気相ベ
ックマン転位が提案されているが、触媒の性能面で十分
とは言えず、シクロヘキサノンオキシムの転化率とε−
カプロラクタムの選択率の更なる改良が望まれている。
ロヘキサノンオキシムの気相ベックマン転位反応に用い
る触媒として、シクロヘキサノンオキシムの転化率とε
−カプロラクタムの選択率に優れた触媒を見いだすこと
を目的として鋭意検討を重ねた結果、特定の結晶形態を
持ったペンタシル型ゼオライトが上記目的を全て満足す
る優れた触媒作用を発揮することを見出し本発明に至っ
た。
が多数の突起を有する連晶であるペンタシル型ゼオライ
トよりなるε−カプロラクタム製造用触媒を提供するに
ある。
を触媒として気相反応条件下にシクロヘキサノンオキシ
ムをベックマン転位することによりε−カプロラクタム
を製造する方法において、結晶が多数の突起を有する連
晶であるペンタシル型ゼオライトを触媒として使用する
ことを特徴とするε−カプロラクタムの製造方法を提供
するものである。
る。本発明に於いて使用するペンタシル型ゼオライトと
しては、図1の走査電子顕微鏡写真で示すようにゼオラ
イトの個々の結晶がカリフラワー状に発達した多数の突
起(結晶)を有する連晶であるペンタシル型ゼオライト
の使用を必須とする。ペンタシル型ゼオライトの結晶形
態が図2の走査電子顕微鏡写真で示すように、母結晶に
対し突起(結晶)を1個〜数個有する連晶では優れた触
媒能を発揮し得ない。
であるペンタシル型ゼオライトがいかなる生成工程を経
て行われるのか明確ではないが、図2に見られる如く、
ペンタシル型ゼオライトの生成に於いては、最初に成長
を始めた結晶(母結晶)上の(010)面に、該結晶と
はC軸を共有して互いに90°回転した状態で突起(結
晶)が発生する。突起が生成しやすい条件下であれば、
生成した突起の(010)面に更に突起が生成し、これ
が繰り返へされることにより図1に示すように母結晶上
に数百以上の多数の結晶が生成した、外観がカリフラワ
ー状の結晶を得ることができる。
晶寸法が約5μm以下、通常約2μm以下で、その結晶
骨格が主にケイ素と酸素から構成されかつケイ素以外の
金属成分の含有量(原子比)がケイ素の1/500以下
である結晶性ゼオライトである。結晶中に含まれてよい
ケイ素以外の金属元素としてはAl, B, Fe, Ti, Zr 等が
挙げられる。かかる結晶性ゼオライトには種々の結晶型
が知られているが、本発明に於いてはペンタシル型構造
に属するものであり、就中、MFI構造の高シリカゼオ
ライトが好ましい。
オライトの製造方法は特に制限されるものではないが、
例えば、ケイ素化合物、水、水酸化テトラプロピルアン
モニウム、さらに必要に応じてAl、B、Fe、Ti、
Zrの化合物、アルカリ金属水酸化物、アンモニア、エ
タノールなどの溶媒を混合して、80℃〜200℃の温
度条件で自圧下に攪拌しながら、あるいは静置条件で2
時間以上反応させることによって合成される。これらの
反応条件、共存する成分の有無等によりペンタシル型ゼ
オライトの結晶形態(結晶の大きさ、連晶の突起の数)
は変化する。特に水熱合成時のテトラエチルシリケー
ト、水、水酸化テトラプロピルアンモニウムの濃度、就
中Siとのモル比及び水熱合成温度はペンタシル型ゼオ
ライトの結晶(連晶)の突起の数に大きな影響を与える
要因であり、水/Siモル比を低く、或いは水熱合成温
度を高くすることによって、連晶の突起の数が多くなる
傾向にある。しかし突起の数は水/Siモル比、水熱合
成温度だけで一義的に決められるものではなく共存する
成分(Al、B、Fe、Ti、Zrの化合物、アルカリ
金属水酸化物、アンモニア、エタノールなど)の有無あ
るいはそれらの濃度によって大きく変化するので、簡易
実験により生成するゼオライトの形態を走査電子顕微鏡
等で確認しつつ水熱合成条件を設定すればよい。
を有する連晶であるペンタシル型ゼオライトは、気相反
応条件下にシクロヘキサノンオキシムよりラクタムを製
造する触媒として適用される。反応は通常の固定床また
は流動層方式の気相接触反応で実施する。原料のシクロ
ヘキサノンオキシムは原料気化器を通して気化させ、気
体状態で触媒と接触させるが、その際シクロヘキサノン
オキシム単独で供給してもよいがメタノール、エタノー
ルなどの低級アルコールの蒸気とともに供給するのが好
ましい。反応系内には窒素、二酸化炭素などの不活性ガ
スを共存させるのも好ましい。
好ましくは約300℃〜約420℃の範囲である。原料
の供給速度WHSVは約0.1〜約30h-1、好ましく
は約0.5〜約10h-1の範囲から選ばれる。ここにW
HSVは触媒単位重量当たりに供給されるシクロヘキサ
ノンオキシムの1時間当たりの重量で定義される。
ルコールを反応系に共存させる場合には、シクロヘキサ
ノンオキシムに対してモル比で約0.1〜約20倍が好
ましい。シクロヘキサノンオキシムと共に水を共存させ
ることも出来る。水の量はシクロヘキサノンオキシムに
対してモル比で約0.06以上であるのが好ましい。さ
らには、反応系にアンモニアあるいはメチルアミンのよ
うな低級アミンを共存させることも効果がある。
は、酸素含有ガスによって400℃〜600℃で焼成す
ることによって容易に元の活性に回復させることが出来
るので、触媒は繰り返し使用することが出来る。
製は、反応混合ガスを冷却して凝縮せしめ、ついで蒸
留、抽出、晶析などにより実施することが出来る。
オライトが何故優れた触媒活性及び選択性を発現するの
かその理由は詳らかではないが、以下の如く推測され
る。
1個〜数個存在する粒子について解析した結果、走査電
子顕微鏡写真、図2b、図2cから明確なように突起の
接合部は4角錐状であり、同様にして突起の数が図2a
よりも多い粒子(図3a )についても解析した結果、写
真(図3b、図3c)に示すように接合部は全て相似形
である。このように突起と母結晶の接合部は各々の結晶
の異なる結晶面で接合しているために、Si-O-Si 結合が
母結晶と突起との間で完全な状態にある訳ではなく部分
的に結合が切れている。図2、図3に示した連晶の場
合、母結晶と突起は互いに90°回転した方位関係を有
しているため切断された結合には規則性が発現してい
る。この結果ゼオライトの結晶内部にランダムではない
一列に配向したある秩序を持ったネストシラノールが生
成する。結合の切断されたところでは、模式的に表すと
下記に示すようにネストシラノールが配列していると推
測される。
いる場合には、連晶に起因して生成したネストシラノー
ルがゼオライト結晶の外表面だけでなく、外表面から数
層の結晶内に、突起と母結晶との接合面に沿って秩序を
持って存在しており、これが触媒能に寄与していると考
える。
明するが、本発明はこれら実施例により制限されるもの
ではない。
ケート416g、水酸化テトラプロピルアンモニウム4
4.7g、水360g、水酸化カリウム5.4gからな
る混合液を仕込み、105℃の温度条件下に96時間水
熱合成してゼオライト結晶を得た。結晶を濾過、乾燥
後、窒素ガス流通下に530℃にて3時間焼成し続いて
530℃で酸素2%、窒素98%からなる混合ガス流通
下に3時間焼成した。焼成されたゼオライトはさらに1
00℃で沸騰する水の中で3時間処理し、ついで7.5
重量%の硝酸アンモニウム水溶液5容量部と28重量%
のアンモニア水溶液8容量部の混合液で90℃で1時間
処理して濾過した。濾過残渣を再び7.5重量%硝酸ア
ンモニウム水溶液と28重量%アンモニア水溶液の混合
液で90℃1時間処理して濾過した。さらに濾過残渣を
7.5重量%硝酸アンモニウム水溶液と28重量%アン
モニア水溶液の混合液で処理して濾過し乾燥して触媒を
得た。この触媒はX線回折を(図4)、走査電子顕微鏡
像を(図5)および電子線回折パターンを(図6)に示
す。これらから明らかなようにこの触媒は多数の突起を
有する結晶性の良好なペンタシル型ゼオライトであるこ
とがわかる。 このようにして調製された触媒0.37
5gを、内径1cmの石英製反応管に充填し、窒素ガス
流通下に350℃で1時間予熱処理した。ついでメタノ
ール/シクロヘキサノンオキシムの重量比が1.8にな
るよう反応管に供給し反応させた。この時のシクロヘキ
サノンオキシムの空間速度(WHSV)は8h-1であ
り、反応炉の温度は325℃であった。反応生成物は水
冷下に捕集し、ガスクロマトグラフで分析したところ、
シクロヘキサノンオキシムの反応率は99.7%であ
り、εカプロラクタムの選択率は95.1%であった。
ルソシリケート104g、水酸化テトラプロピルアンモ
ニウム23.3g、水972g、水酸化カリウム1.3
gからなる以外は実施例1と同様にして水熱合成した。
ついで実施例1と同様にして濾過、乾燥、焼成し沸騰水
での処理、硝酸アンモニウム水溶液とアンモニア水との
混合液での処理を行い、触媒を得た。この触媒のX線回
折を(図7)に走査電子顕微鏡像を(図8)および電子
線回折パターンを(図9)に示す。 これらから明らか
なようにこの触媒は突起が僅かな結晶性の良好なペンタ
シル型ゼオライトである。このようにして得た触媒を用
いた他は実施例1と同様にしてシクロヘキサノンオキシ
ムの転位反応を行った結果、シクロヘキサノンオキシム
の反応率は58.5%であり、εカプロラクタムの選択
率は88.3%であった。
触媒を用いた場合には従来技術に比較し、シクロヘキサ
ノンオキシムの転化率が向上するのみならずε−カプロ
ラクタムへの選択率も改善される。選択率が改善される
結果、副生成物としての高沸点化合物の生成が減少する
為に触媒上への炭素析出も改善され触媒寿命が改善され
る。また本触媒は高いWHSVを採用でき、触媒あたり
の生産性が極めて高く、長期間の反応によって触媒上に
炭素析出が起こり活性が低下した場合には、触媒を酸素
含有ガスによって高められた温度で処理することによっ
て容易に活性を元の状態に回復させることが出来る等、
その工業的価値は頗る大である。
シル型ゼオライトの粒子構造を示す走査電子顕微鏡写真
である。
cは突起が少ないゼオライトの結晶の構造を示す走査電
子顕微鏡写真である。
造、b、cはゼオライトの結晶の構造を示す走査電子顕
微鏡写真である。
電子顕微鏡写真である。
子線回折パターンである。
電子顕微鏡写真である。
子線回折パターンである。
Claims (4)
- 【請求項1】 結晶が多数の突起を有する連晶であるペ
ンタシル型ゼオライトよりなるε−カプロラクタム製造
用触媒。 - 【請求項2】 ペンタシル型ゼオライトを構成する金属
元素が主にケイ素(Si)であり、SiとSi以外の金
属元素(Meで表わす)との原子比がSi/Me≧50
0であることを特徴とする請求項1記載のε−カプロラ
クタム製造用触媒。 - 【請求項3】 ペンタシル型ゼオライトを触媒として気
相反応条件下にシクロヘキサノンオキシムをベックマン
転位することによりε−カプロラクタムを製造する方法
において、結晶が多数の突起を有する連晶であるペンタ
シル型ゼオライトを触媒として使用することを特徴とす
るε−カプロラクタムの製造方法。 - 【請求項4】 ペンタシル型ゼオライトを構成する金属
元素が主にケイ素(Si)であり、SiとSi以外の金
属元素(Meで表わす)との原子比がSi/Me≧50
0であることを特徴とする請求項3記載のε−カプロラ
クタム製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22639897A JP3677958B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | ε−カプロラクタム製造用触媒およびこれをもちいてなるε−カプロラクタムの製造方法 |
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Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000202296A (ja) * | 1998-11-06 | 2000-07-25 | Enichem Spa | Mfi型ゼオライトをベ―スとする触媒の製造方法 |
WO2022196043A1 (ja) * | 2021-03-17 | 2022-09-22 | 住友化学株式会社 | ゼオライトの製造方法 |
CN115957811A (zh) * | 2023-01-12 | 2023-04-14 | 中国天辰工程有限公司 | 一种液相贝克曼重排反应催化剂的原位再生方法 |
-
1997
- 1997-08-22 JP JP22639897A patent/JP3677958B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2022196043A1 (ja) * | 2021-03-17 | 2022-09-22 | 住友化学株式会社 | ゼオライトの製造方法 |
CN115957811A (zh) * | 2023-01-12 | 2023-04-14 | 中国天辰工程有限公司 | 一种液相贝克曼重排反应催化剂的原位再生方法 |
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