JPH1157057A - 固定式消火設備の消火用散水ノズル - Google Patents

固定式消火設備の消火用散水ノズル

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JPH1157057A
JPH1157057A JP9217221A JP21722197A JPH1157057A JP H1157057 A JPH1157057 A JP H1157057A JP 9217221 A JP9217221 A JP 9217221A JP 21722197 A JP21722197 A JP 21722197A JP H1157057 A JPH1157057 A JP H1157057A
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利秀 辻
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賢昭 外村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 消火能力を高め、放射量を小さくして水害の
被害を小さくし、ポンプなどの容量を小容量としてコス
トを低減し、更に形状記憶合金を用いて火災時に決めら
れた温度で正確に弁を開放作動して消火用水を散水す
る。 【解決手段】第1感熱作動部124 の形状記憶合金120A,1
20B が所定の記憶回復温度T1に加熱されると、その復元
力でパイロット弁112A,112B を作動しバルブピストン10
0 を開放可能状態とする。第2感熱作動部125 は、可溶
合金47により記憶回復温度T1より高い所定の散水開始温
度T2に達すると熱分解してスプール弁11の閉鎖保持を解
除して消火用水を散水させる。散水は、ノズル部8によ
り所定の防護範囲内の特定部分に集中的に散水する散布
パターンを形成し、散水時の水流で駆動部6を駆動して
減速部7で減速し、ノズル部8を回転させて散布パター
ンを走査して防護範囲全域に散水する。鎮火で記憶回復
温度T1以下に温度が低下すると、復旧スプリング117A,1
17B が形状記憶合金120A,120B を初期形状に変形させ、
弁機構を閉鎖状態に作動して散水を停止させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スプリンクラー消
火設備などの固定式消火設備に使用される固定式消火設
備の消火用散水ノズルに関し、特に、火災による温度上
昇で弁を開放して自動的に散水し、鎮火による温度低下
で弁を閉鎖して自動的に散水を停止する自動開閉型の消
火用散水ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のスプリンクラー消火設備
に使用される消火用散水ノズルとしては、防護範囲全体
に均一に散水させるため、水をデフレクタで分散させて
粒状態に散水しており、例えば図22に示すようなもの
がある(特開平5−69730号)。
【0003】図22はヒュージブルリンク式の消火用散
水ノズルを示し、ノズル本体201に散水口202が形
成され、散水口202に設けた栓203とデフレクタ2
04との間に一対のレバー205a,205bを接触点
206a,206b,206cによって係止し、栓20
3を閉鎖状態に支持している。レバー205aとレバー
205bは感熱体としての可溶合金207で固着された
一対のリンク208a,208bが装着され、栓203
の閉鎖状態を維持している。
【0004】火災の発生による温度上昇で可溶合金20
7が溶けると、一対のリンク208a,208bが矢印
で示すように分解し、レバー205a,205bの係止
が解除され、水圧によってレバー205a,205bが
弾け、散水口202から栓203が脱落して加圧水が散
水口202から噴出し、散水が開始される。このとき散
水口202から噴出した水は、デクレクタ204に当た
って防護範囲全体に均一に散水される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の消火用散水ノズルにあっては、1個のノズル
当り例えば80リットル/分以上という所定流量の連続
放射となっていたため、火災消火能力に対して比較的多
くの消火液あるいは水の量が必要であり、当然消火する
対象物以外の物にも放射されるため、放射した消火液あ
るいは水による二次災害、いわゆる水損が大きくなると
いう問題点があった。また設備的には、水槽、ポンプが
大容量となる上、配管サイズも大きくなり、設備全体の
費用が高くなるという問題点もあった。
【0006】また従来の散水ノズルでは、防護範囲全体
に均一に散水させるため、水をデフレクタで分散させて
粒状にして散水している。そのため、火災の勢いが強い
場合には、分散された水は粒子径が小さいため、火災の
気流に負けて火災の深部に達する前に蒸発し、火災の抑
制に時間がかかり、また全く消火できないこともある。
このため水の量も多くなり、水損による被害も大きくな
る。
【0007】更に、防護範囲内のある一点から見ると、
粒状の水により、一瞬その一点の火災の炎が弱まったと
しても、その地点の付近の炎により一度かかった水が蒸
発し、付近の炎によって再び燃え始める。このため完全
に消火するまでに時間がかかる。また従来のスプリンク
ラーヘッドは、消火配管に対するヘッド接続部の給水口
とヘッド先端の散水口とを結ぶ流路を、可溶合金等の火
災時の熱で解ける感熱材によって封止しておき、所定温
度以上になると感熱材が溶けて流路を開放することによ
り、散水が行われる構成となっている。
【0008】このため、スプリンクラーヘッドが火災に
よる熱気流を受けて作動することによって一度流路が開
放されると、鎮火後も給水源からの消火用水の供給が無
くなるまで、もしくは係員が現場を確認して手動でバル
ブを閉めるまで散水が続けられ、消火用水の散水による
被害が大きかった。そこで、形状記憶合金等を使用し
て、火災による温度上昇で弁を開放して消火用水を自動
的に散水し、鎮火による温度低下で弁を閉鎖して散水を
自動的に停止するスプリンクラーヘッドが提案されてい
る。このような自動開閉型のスプリンクラーヘッドとし
ては例えば図23のものが知られている(特開昭5−1
23419号)。
【0009】図23のスプリンクラーヘッドは、本体3
01の下部にコイルバネ状の形状記憶合金320を設け
ており、火災により規定温度を越えると形状記憶合金3
20が予め記憶したコイルバネを伸ばした形状に復元
し、バネ313に抗して弁軸311に設けたパイロット
弁体312を押し上げてパイロット弁孔310を開く。
このためピストン308の上側の部屋の圧力が低下し、
ピストン308が上昇してゴムパッキン314が弁座か
ら離れ、散水口316から消火用水を放出させる。
【0010】消火用水の放出により火災が鎮火して温度
が低下すると、形状記憶合金320は記憶形状への復元
力は低下し、バネ313に押されてパイロット弁体31
2が押し下げられてパイロット弁孔310が閉じる。こ
のためパイロット導入孔304からの消火用水の圧力導
入でピストン308が押し下げられてゴムパッキン31
4を閉じ、散水を自動的に停止する。
【0011】しかしながら、このような形状記憶合金を
用いた自動開閉型のスプリンクラーヘッドにあっては、
火災時に、予め決められた規定温度で弁を開放させて確
実に作動させることができないという問題があった。図
24は形状記憶合金の温度に対する弾性係数であり、復
元力は弾性係数に比例する関係にある。形状記憶合金
は、低温時はマルテンサイト相の結晶状態にあり、温度
が増加するとオーステナイト相の結晶状態に遷移し、そ
の間に2相領域として知られた形状記憶領域がある。こ
の形状記憶領域は、温度方向で例えば数十度以上といっ
た幅をもっている。
【0012】このような特性の形状記憶合金320を用
いて火災時に弁を開放させるためには、まず火災による
熱気流を受けたときに散水を開始するため規定の作動温
度T1を決め、この作動温度T1に対応したP点の弾性
係数G1を求める。弾性係数G1が求まると、コイルバ
ネ形状をもつ記憶形状合金320の作動温度T1におけ
る復元力が決まり、この復元力でパイロット弁体312
が開くようにバネ313の力を設定する。
【0013】そして、規定の作動温度T1に加熱した状
態で、形状記憶合金320を伸展した記憶形状に変形さ
せ、その後に常温に戻して記憶前の初期形状に縮めて図
23のように組み込む。しかし、形状記憶合金は、図2
4のように、温度上昇に伴って形状記憶領域で弾性係数
が序々に増加し、このため記憶形状への復元力も除々に
増加する。これに対しパイロット弁体312を開放させ
るための力は、バネ313の力以外にピストン室309
に導入された消火用水の圧力や弁軸311の摺動抵抗等
によって変動し、ある程度のバラ付きをもっている。
【0014】このため規定の作動温度T1で形状記憶合
金320に伸展形状を記憶して規定の復元力を設定して
いたとしても、温度上昇に伴って復元力は序々に増加す
るため、パイロット弁312の開放力が低下している場
合は規定の作動温度T1より低めの温度で散水を開始
し、またパイロット弁312の開放力が増加している場
合は、規定の作動温度T1より高い温度で散水を開始す
ることになる。
【0015】この結果、火災時に受ける熱気流による規
定の作動温度T1への到達で確実に散水を開始する保証
はなく、散水を開始する作動温度が安定しないという問
題があり、信頼性に欠けることから量産することが極め
て困難であった。また、火災時にピストン308が上昇
して放水口316から消火用水を放出するとスプリンク
ラーヘッドより下方に散水されるため、消火用水が蓋3
15にかかってしまい、消火用水自体で形状記憶合金3
20を冷却して、火災がまだ鎮火していないにもかかわ
らず、スプリンクラーヘッドが放水を停止してしまう。
【0016】更に、スプリンクラーヘッドに物がぶつか
って蓋315などが損壊した場合には、消火用水が散水
され、水損が発生する。もしくは火災時にスプリンクラ
ーヘッドが作動しないこともある。もしくは、物がぶつ
かって損壊したことにより消火用水が散水され、水損が
発生する場合がある。本発明は、このような問題点に鑑
みてなされたものであって、火災消火能力を確保しなが
ら、消火用散水ノズル1個あたりの放射量を低減するこ
とで水損を少なくし、水槽、ポンプなどの容量を小容量
とし設置費用を低減することができ、更に、形状記憶合
金を用いて火災時に決められた温度で正確に弁を開放作
動して消火用水を散水することができ、信頼性と量産性
に優れた自動開閉型を採用した固定消火設備の消火用散
水ノズルを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は次のように構成する。本発明は、加圧消火
用水が充填された消火配管に接続され火災時に加圧供給
された消火用水を散水する固定式消火設備の消火用散水
ノズルを対象とする。このような消火用散水ノズルとし
ては、本発明にあっては、所定の防護範囲内の特定部分
に集中的に散水する散布パターンを形成する旋回自在な
ノズル部と、ノズル部から消火液又は消火用水を散水す
る際の水流を駆動源として駆動軸を回転させる駆動部
と、駆動部の回転を入力し所定の減速比に従って減速し
てノズル部を回転させ散布パターンを所定の防護範囲内
を走査して所定の防護範囲内全域に散水させる減速部と
を備える。
【0018】更に、形状記憶合金と復旧付勢部材を備
え、所定の記憶回復温度より低い温度の時は復旧付勢部
材により形状記憶合金を初期形状に変形させて弁機構を
散水停止位置に保持し、記憶回復温度に達した時は形状
状記憶合金の記憶形状への復元力で弁機構を散水位置へ
作動可能な状態とする第1感熱作動部と、記憶回復温度
より高い所定の散水開始温度を設定し、散水開始温度よ
り低い温度の時は、第1感熱作動部の作動状態に関わら
ず弁機構を閉鎖状態に保持し、散水開始温度に達した時
は、熱により分解して第1感熱作動機構の閉鎖保持を解
除して消火用水を散水させる第2感熱作動部とを設け
る。
【0019】この第1感熱作動部は、第2感熱作動部の
作動による散水中に、記憶回復温度より低い温度に低下
した時は、復旧付勢部材により形状記憶合金を初期形状
に変形させることにより弁機構を閉鎖状態に作動して散
水を停止させる。このような構成を備えた本発明の消火
用散水ノズルによれば、防護範囲内にある部分を集中的
に散水するように散布パターンを形成し、防護範囲内を
走査するようにしたので、火災に対して瞬間的には従来
の散水ノズルより大量の消火液が放射されるため、従来
の80リットル/分の防護範囲全域放射の散水ノズルと
例えば40リットル/分の回転走査で1rpm程度の場
合と比較すると、防護範囲内全体でみて少ない水量にも
かかわらず、より高い消火能力が得られる。
【0020】また、本発明は、瞬時的には散水量が増え
ると同時に、消火対象物にあたる水の打力及び粒子径も
増すので、消火能力が増加する。即ち、本発明において
は、水は分散された粒状ではなく、特定の部分に集中的
に散水される打力の強い水の塊として消火対象物に散水
されるため、火災気流に負けることなく火災の深部まで
到達して消火能力が高くなり、火災抑制までの時間が短
くて済み、従って鎮火までの水量も少なくて済む。また
塊状態の水で消火するため、一度消火した部分が再び燃
え上がることを抑制し、一度消火された場所を継続して
鎮火状態にできる。
【0021】また、少ない放射量で消火できるため、い
わゆる水損の被害を小さくすることができる。更に、放
射水の水槽が小さくなり、ポンプが小容量となり、自家
発電設備等バックアップ設備も小容量となり、配管サイ
ズも小さくなるため、低コストとなる。また、防護範囲
を従来の散水ノズルと比較して大きくした場合でも、走
査時間を調整することにより、火災に対しては瞬間的に
は大量の水を放射することができ、同等以上の消火性能
が得られることから、従来の散水ノズルと比較して、ノ
ズルの設置個数を減らすことができる。
【0022】また本発明の消火用散水ノズルにあって
は、火災による熱気流を受けると、まず低めに設定して
いる記憶回復温度に達した時に、形状記憶合金が記憶形
状に変形する復元力を生じ、第1感熱作動部を作動して
弁機構を散水可能状態とする。この状態で更に熱気流に
よる温度が上昇して規定の散水開始温度に達すると、可
溶合金やグラスバルブ等を使用した第2感熱作動部が熱
により分解し、散水可能状態に既に動作している第1感
熱作動部の保持を解除して散水を開始できる。
【0023】このため形状記憶合金の記憶回復温度に幅
があっても、散水開始温度を第2感熱作動部に感熱材と
して設けている可溶金属やグラスバルブにより規定温度
に設定して保証することができ、形状記憶合金を用いた
自動開閉型の消火用散水ノズルの信頼性を確保して量産
を可能とする。また第1感熱作動部と第2感熱作動部の
両方が働いて初めて散水が開始される構造としているた
め、監視時に例えば物をぶつけて破損したような場合に
も、両方を破損により作動状態としてしまうことはほと
んどありえず、破損による散水を確実に防止できる。ま
た、いずれか一方が壊れても、他方の機能により火災時
には必ず作動することができる。
【0024】また散水による火災が鎮火して温度が低下
すると、形状記憶合金が復旧付勢部材によって初期形状
に変形されることで第1感熱作動部の弁機構が閉鎖状態
となって自動的に散水を停止し、火災消火後の水損を最
小限に抑えることができる。また散水を停止するための
温度は、第2感熱作動機構に設定している散水開始温度
に対し低めに設定した形状回復温度となり、この散水停
止温度を十分に低くすることで、消火後の再発火の可能
性を大幅に低減できる。
【0025】第1感熱作動部は、散水による温度低下で
形状記憶合金を初期形状に変形させて散水を停止させた
後に再び記憶回復温度に達した時は、形状記憶合金の記
憶形状への復元力で弁機構を散水位置へ作動して再散水
させる。このため散水停止後に万が一、再度燃え上がっ
たような場合にも、再散水が自動的に行われ、確実に消
火できる。
【0026】第1感熱作動部は、形状記憶合金を第2感
熱作動部の周囲に複数配置し、複数の形状記憶合金の少
なくとも1つが記憶回復温度への到達で作動した時の復
元力で弁機構を散水位置へ作動可能な状態とする。この
ように形状記憶合金を複数配置したことで、火災時の熱
気流の方向による温度差をなくし、確実に散水作動でき
る。
【0027】また複数の形状記憶合金の全てが初期形状
に復旧した時に弁機構を閉鎖状態に作動して散水を停止
させる。このため周囲のいずれかの方向から熱気流を受
けている限り散水は停止されず、確実に消火できる。ま
た、形状記憶合金は、第2感知部が作動して下方に露出
するノズル部の位置よりも上方に配置することにより、
消火用水自体で形状記憶合金が冷却して鎮火前の放水停
止を防ぐことができると共に、形状記憶合金に向かう熱
気流を消火用水で遮って誤動作することを防ぐことがで
きる。
【0028】第1感熱作動部に使用する形状記憶合金
は、初期形状として軸方向に縮んだコイルバネ形状を有
し、記憶回復温度への到達で軸方向に伸展したコイルバ
ネ形状に変形する。更に、第2感熱作動部は、散水開始
温度に到達した時の熱で分解して離脱させる可溶合金又
はグラスバルブを備え、これによって散水開始温度を正
確に設定できる。
【0029】これ以外にも、例えばNiTi合金を用い
た形状記憶合金は、その材質的な特徴として耐腐食性が
高く、更に、散水の開始と停止につき、火災感知器によ
る火災検出信号に頼らないため、火災感知器の誤作動に
よる散水の問題がなく、信頼性が高い。更に、本発明に
あっては、ノズル部をスリット穴の配列部分を通る面で
複数の部材に分割し、各分割部材の組合せ面にスリット
穴を形成する複数の溝を形成して組み合わせたことで、
ノズル部の外周面に任意の放射方向をもって配列される
複数のスリット穴の加工形成が容易にでき、防護区域に
対するノズルからの散布パターンを必要に応じて任意の
形状、幅、位置とすることが自由にできる。
【0030】ここで、ノズル部は、先端を円錐形状に絞
り込んだ円筒体であり、円筒体を複数部材に分割し、各
分割部材の組合せ面のいずれか一方にスリット穴を形成
する直線溝を内部の流入路から外周面に向けて固有の放
射角度を設定して連通させる。更に、第1及び第2感熱
作動部で弁体を自動開閉する消火用散水ノズルとした場
合、ノズル本体に対し流入路側から駆動部、減速部、ノ
ズル部を順に配置し、駆動部に対しノズル部を軸方向に
摺動自在で軸回りに一体回転するスライド連結部を介し
て連結し、感熱作動機構の分解時にノズル部をスライド
させた状態で駆動部の回転を減速部を介してノズル部に
伝達する。
【0031】
【発明の実施の形態】図1は本発明による固定式消火設
備の消火用散水ノズルの実施形態の断面図であり、図2
に下側から見た半分の端面図を示している。図1におい
て本発明の消火用散水ノズル1は、ノズル本体2の上部
に消火液または消火用水を加圧供給する給水管に接続す
る接続ネジ部3を有する。ノズル本体2は、上部よりケ
ース2a,2b,2c及び2dを順次ねじ込み固定した
円筒状の部材で構成される。
【0032】ノズル本体2には、先端側のケース2cの
周囲に配置している形状記憶合金120A,120Bが
所定の記憶回復温度T1に達したときの復元力によりバ
ルブピストン100を開放可能状態とするための第1感
熱作動部124が設けられる。またノズル本体2の先端
側には、形状記憶合金120A,120Bの記憶回復感
度T1より高目に設定した散水開始温度T2による可溶
合金47の溶解で弁機構であるスプール弁11の閉鎖を
解除して散水させる第2感熱作動部125が設けられて
いる。
【0033】ノズル本体2の上部の接続ネジ部3内には
加圧された消火液または消火用水を流入する流入路5が
形成されており、流入路5の奥のスプール穴5aに軸1
2の先端に一体に形成したスプール弁11を定常監視状
態で配置し、流入路5を閉じている。スプール弁11に
装着されたOリングはフッ素ゴム製のものである。スプ
ール弁11で閉鎖した流入路5に続いては駆動部6が設
けられている。駆動部6の流入側には、消火用水に混入
しているゴミを除去するストレーナ21が配置される。
駆動部6は、ケース2aの内部にねじ込み固定したハウ
ジング16に装着したベアリング17の外側に回転自在
に支持したケーシング6bと一体に複数枚のインペラ6
aを形成しており、スプール弁11を開くことで流入路
5から流入した水流をインペラ6aで受けてケーシング
6bを回転駆動できるようにしている。
【0034】駆動部6の内部には減速部7が設けられて
いる。減速部7としてこの実施形態にあっては、ダブル
遊星歯車機構が設けられている。即ち、ケース2bのハ
ウジング16に対しねじ込み固定した中心にスプール弁
11の軸12を通したハウジング15にサンギア18a
を固定し、サンギア18aの外側にプラネタリギア19
を噛み合わせ、プラネタリギア19に駆動部6のケーシ
ング6bに固定したインターナルギア21を噛み合わせ
ている。プラネタリギア19はネジシャフトによりキャ
リアケース20に回転自在に装着されている。
【0035】続いてハウジング15の外側にサンギア1
8aと同様、サンギア18bが固定され、サンギア18
bにはプラネタリギア22が噛み合っており、プラネタ
リギア22にはキャリアケース20に固定したインター
ナルギア23が噛み合っている。プラネタリギア22は
ネジシャフトによりキャリアケース24に連結されてお
り、キャリアケース24がダブル遊星歯車機構の減速し
た出力回転を取り出す出力部となる。減速回転の出力部
となるキャリアケース24の下端は、破線のようにノズ
ル本体2の下方に延在されて固定ガイド25を一体に形
成している。
【0036】図3は図1の減速部7に設けているダブル
遊星歯車機構を取り出している。このダブル遊星歯車機
構にあっては、サンギア18aが固定されており、サン
ギア18aに噛み合わせたプラネタリギア19を介して
駆動部6の回転をインターナルギア21で入力してい
る。プラネタリギア19はキャリアケース20に回転自
在に装着され、キャリアケース20は2段目のインター
ナルギア23に回転を伝える。
【0037】インターナルギア23の内側にはプラネタ
リギア22が設けられ、サンギア18aと同様に、固定
されたサンギア18bに噛み合っている。プラネタリギ
ア22はキャリアケース24に回転自在に装着され、キ
ャリアケース24が駆動部6の入力回転を減速した出力
回転を外部に取り出す。再び図1を参照するに、上部に
スプール弁11を備えた軸12の下端は、減速部7を装
着しているハウジング15を貫通して下方に取り出さ
れ、先端に止めネジ35によりリテーナ34を装着し、
キャリアケース24側のストッパ部材29との間にスプ
リング30を組み込んでいる。スプリング30は図示の
状態で圧縮され、ストッパ部材29に対しリテーナ34
側を下方に付勢している。
【0038】駆動部6の内側に設けた減速部7に続いて
は、ノズル部8が設けられている。ノズル部8は先端を
台形円錐に絞り込んだ円筒体であり、この実施形態にあ
っては、第1部材8A、第2部材8B及び第3部材8C
を組み合わせた分割構造を持っている。ノズル部8の上
部側にフランジ部を形成している第1部材8Aは、上部
外周面に形成した溝に四フッ化エチレンシート32(以
下「シート32」という)を装着しており、シート32
の装着面と反対側の面をストッパ面36としている。シ
ート32は第2感熱作動部125が熱分解により脱落し
てノズル部8が下降した時、下部のケース2dの上部内
縁のシート圧着段部33に接触してノズル部8の周囲の
空間から下側に水流が漏れ出すのを防ぐ。
【0039】またシート圧着段部33に続いてはストッ
パボール37が組み込まれており、ノズル部8が下降し
た時、上部の鍔部の下側に位置するストッパ面36がス
トッパボール37に当接して抜け止めされる。ノズル部
8は減速部7の減速回転が出力されるキャリアケース2
4から延在した固定ガイド部25を破線のように軸方向
に貫通してガイド部を備えており、第2感熱作動部12
5が作動するとスプリング30の押圧と自重で固定ガイ
ド25に沿って下降し、ノズル本体2の下部のケース2
dの下端より外部にノズル部8が突出される。
【0040】第1部材8A,第2部材8B及び第3部材
8Cを組み合わせた構造のノズル部8は、軸方向に沿っ
た各部材の組合せ面に複数のスリット穴10を開口して
いる。第2感熱作動部125は、ノズル部8を図示の収
納位置に保持する支持プレート42をロックボール38
を介して下側に組み付けたプッシャプレート43で支持
しており、プッシャプレート43は中心部を断熱材40
を介して集熱板44に支持されており、更に集熱板44
は所定の散水開始温度T2で溶ける可溶合金47によっ
てネジ穴付きの取付フランジ48に固定している。
【0041】取付フランジ48はプッシャプレート43
に中央下部より延在したネジ部49にねじ込み固定され
ている。更に集熱板44の上部には2枚の集熱板45,
46が組み付けられている。この第2感熱作動部125
にあっては、火災による熱を受けて所定の散水開始温度
T2に上昇すると可溶合金47が溶け、ロックボール3
8を支持しているプッシャプレート43が緩んでロック
ボール38の係止を解除し、プレッシャプレート43と
共に支持プレート42も脱落し、ノズル部8の保持が解
除され、図1の左半断面のように下方に突出するように
なる。
【0042】即ち、第2感熱作動部125が熱分解によ
り作動すると、スプリング30の力及びノズル部8の自
重によりノズル部8が図示のようにノズル本体2の下部
に突出し、同時に軸12も下降してスプール弁11がス
プール穴5aから離れて、それまで閉じていた流入路5
を開く。このため、接続ネジ部3側に接続している図示
しない給水配管からの加圧された消火用水は流入路5を
通って駆動部6の周囲に流れ込み、インペラ6aを水流
が通ることで回転力を発生してハウジング6bが回転す
る。
【0043】駆動部6の回転は内側に設けた減速部7に
より減速され、減速回転がキャリアケース24より延在
した固定ガイド部25に伝えられる。このときノズル部
8は固定ガイド25に沿って下側に下降した左半断面の
位置にあり、減速部7のキャリアケース24の減速回転
を固定ガイド25を介して受けることで、例えば水量が
40リットル/分だとすると1rpm程度で減速回転さ
れる。
【0044】駆動部6を通った水流は固定ガイド25の
部分からノズル部8の内部に流れ込み、中心から外側方
向に直線溝の形成で開口しているスリット穴10より外
部に散水される。図4は図1に示した本発明の消火用散
水ノズル1に設けているノズル部8の組立分解図であ
る。本発明のノズル部8は、中央に位置するノズル部本
体となる第1部材8A、第1部材8Aの下側の空洞部に
両側から組み付けられる一対の第2部材8B、第2部材
8Bのそれぞれの外側に組み付けられる一対の第3部材
8Cで構成され、ボルト72のナット73により固定さ
れる。
【0045】図5は図4の第1部材8Aの説明図であ
り、図5(A)が平面図、図5(B)が正面半断面図、
図5(C)が側面半断面図、図5(D)が底面図であ
る。なお図5(A)(D)については、対称構造となる
ことから中心線の片側を表している。この第1部材8A
は例えば図5(B)から明らかなように、上部に円板状
の鍔部50を形成しており、鍔部50の上面外側にシー
ト嵌合溝56を形成している。このシート嵌合溝56に
は、図1のようにシート32が装着される。鍔部50の
下側には円筒部57を介して略U字型の支持アーム51
が一体に形成される。
【0046】円筒部57の内部には図1に示した減速部
7のキャリアケース24より延在した固定ガイド25が
収納されるスライド溝52が形成され、その内側が流入
路53となっている。下部に設けた支持アーム51は先
端に位置決め突起54を形成しており、その下側に受け
穴55が形成され、受け穴55には図1の感熱作動機構
4に設けている支持プレート42の中心部の突起が嵌合
される。
【0047】円筒部57の内側に形成したスライド溝5
2は、図5(A)の平面図から明らかなように扇形に開
口されており、この部分に図1のキャリアケース24よ
り延在した断面円弧状の固定ガイド部材25が位置す
る。図6は図5に示した第1部材8Aの支持アーム51
の両側に組み付けられる第2部材8Bと第3部材8Cの
組立アッセンブリィである。この組立アッセンブリィか
ら明らかなように、本発明にあっては、ノズル部8に形
成するスリット穴の配列方向に沿って第1部材8A、第
2部材8B及び第3部材8Cに分割することを基本とし
ている。このためスリット穴10は、各分割部材の組み
合せ面に内側の流入路から外側に向かって溝加工するこ
とにより形成できる。
【0048】図7は図6の組立アッセンブリィにおける
第2部材8Bの説明図である。ここで図7(A)は内側
から見た正面図、図7(B)はそのX−X断面図、図7
(C)は外側から見た背面図、図7(D)は平面図、図
7(E)は底面図である。このような第2部材8Bは、
内側の組み合わせ面60にスリット穴10を形成する複
数の直線溝を所定方向に形成している。このような組み
合せ面60に対する直線溝の形成によりスリット穴10
が形成できるため、スリット穴10の開口及び方向につ
いても簡単な直線溝加工で自由に形成することができ
る。
【0049】第2部材8Bの上部には、図7(B)のX
−X断面から明らかなように鍔部63が延在しており、
鍔部63の下側を切り欠いて図8に示す第3部材の組み
合せ面62を形成している。また第2部材8Bの内側は
流入路65を形成しており、流入路65の下部に、図5
に示した第1部材8Aの支持アーム51側の位置決め突
起54に嵌合する位置決め凹部61を形成している。更
に図7(C)のように、外周側に図8の第3部材8Cを
組み付けるための取み合せ面62を加工したことで、内
側の流入路65に開放する開口部64が形成されてい
る。
【0050】図8は図6の第3部材8Cの説明図であ
る。ここで図8(A)は内側から見た正面図、図8
(B)はY−Y断面図、図8(C)は外側から見た背面
図、図8(D)は図8(A)の左側の組合せ面70bを
正面に見た図、図8(E)は組合せ面70b側の図8
(A)の側面図、図8(F)は平面図、図8(E)は底
面図である。
【0051】この第3部材8Cは平面的に見ると扇形形
状を持ち、内側の組合せ面70a,70bのそれぞれに
図8(A)のように所定の散水方向に向けて直線溝を形
成することで、複数のスリット穴10を形成している。
このスリット穴10についても、図8(E)の組合せ面
70bの側面図から明らかなように、中心から外側に向
かって任意の放射角度による直線溝の加工で任意の大き
さと方向を持つスリット穴10を容易に形成することが
できる。
【0052】また第3部材8Cにはボルト通し穴71が
外側より2箇所に形成されており、図4のように、両側
に位置する第3部材8Cに対しボルト72とナット73
により、間に第1部材8Aを中心に両側に第2部材8B
を配置して組み付けることで、図1のようなノズル部8
の組立構造を得ることができる。このような第1部材8
A、第2部材8B及び第3部材8Cの組立体でなるノズ
ル部8によれば、平面から見て周囲の6箇所に向けて軸
方向に並んだスリット穴10の配列が形成される。
【0053】次に図1のノズル本体2に設けた第1感熱
作動部124を説明する。第1感熱作動部124は、バ
ルブピストン100(弁機構)、パイロット弁112
A,112B、復旧スプリング(復旧付勢部材)117
A,117B及び形状記憶合金120A,120Bで構
成される。まずバルブピストン100は、スプール穴5
aに設けたスプール弁11の二次側に配置される。即
ち、円筒状の弁体101の上側内周にダイヤフラム10
2aの外周を嵌合し、ダイヤフラム102bの内側をス
プール穴5aの外側にホルダ106のネジ込みで固定し
ている。また弁体101の下部外周にダイヤフラム10
2bの内周を嵌合し、ダイヤフラム102bの外周をケ
ース2b側に固定している。
【0054】弁体101の下端部にはバルブシート10
3がネジ止め固定され、ノズル本体2のケース2b内に
装着したハウジング16の軸方向に形成した連通穴10
4の流入口を閉鎖している。また弁体101は、スプリ
ング105を備え、バルブシート103の閉鎖方向に付
勢している。スプリング105が収納されたバルブピス
トン100のダイヤフラム室に対しては、ノズル本体2
の周囲壁の下部に内蔵した2つのパイロット弁112
A,112Bが設けられる。パイロット弁112A,1
12Bは、パイロット弁室112bにパイロット弁体1
12aを収納しており、パイロット弁体112aの下部
より弁軸115aを下方に取り出している。
【0055】スプリング105が収納されたバルブピス
トン100のダイヤフラム室は、第2感熱部124の作
動でスプール弁11が開いた時、スプール穴5aを通っ
た加圧消火用水によるパイロット圧を、左側のパイロッ
ト弁112Aから右側のパイロット弁112Bを経由し
て受け、弁体101を左半断面のようにスプリング10
5に抗して上方にバルブシート103を移動し、ハウジ
ング16の連通穴104を開放している。
【0056】このパイロット圧を供給するための流路
は、ケース2bの内側のケース2dとの間にスペーサ1
08を配置し、スペーサ108の外周側と内周側の隙間
で形成される。まず左側のパイロット弁112Aの上部
には、スペーサ108の内周側のパイロット流路110
aがスペーサリング113のパイロット溝110b及び
そのパイロット穴110cを介してバルブリング114
に形成したパイロット弁112Aのパイロット弁室11
2bに連通している。ここでパイロット流路110a
は、ハウジング16の軸方向に形成したパイロット穴1
07を介してバルブピストン100の二次側に連通して
いる。
【0057】パイロット弁112Aのパイロット弁室1
12bは、図9(A)に取出したスペーサリング113
とバルブリング114から明らかなように、バルブリン
グ114の下端面のパイロット溝11dから軸方向のス
ルーホール110eを通って上部に位置するスペーサリ
ング113の下端面のパイロット溝110fに至り、そ
して右側のパイロット弁112Bのパイロット弁室11
2bにパイロット穴110gで連通する。
【0058】右側のパイロット弁112Bのパイロット
弁室112bは、側面のパイロット穴110hから図1
のスペーサ108の外周部のパイロット溝110iを通
り、ケース2aのパイロット穴110jによりスプリン
グ105を収納したバルブビストン100のダイヤフラ
ム室に連通している。パイロット弁112A,112B
のパイロット弁体112aの下部にはバルブ支持部材1
15が配置され、カバー118を装着したバルブ支持部
材115の収納部から内部に向けてパイロット排出路1
16を形成している。
【0059】ここで、パイロット排出路116をヘッド
内側に開口している理由は、パイロット弁112A,1
12Bの作動によるパイロット圧の排出でパイロット排
出路116から排出された消火用水がヘッド下部外周に
配置している形状記憶合金120A,120Bにかか
り、熱気流による加熱温度を消火用水で直接冷却してし
まうことを防止するためである。
【0060】パイロット弁112A,112Bに対して
は、その下側に復旧スプリング(復旧付勢部材)117
A,117Bと形状記憶合金120A,120Bが、間
にリテーナ119を介して互いに押し合うように配置さ
れ、下端はリテーナ121の装着で支持される。形状記
憶合金120A,120Bは、この実施形態にあっては
コイルスプリング状に巻き回された形状をもち、ヘッド
本体2の下部のケース2cの周囲の2ケ所に組み込まれ
ている。形状記憶合金120A,120Bとしては、例
えばNiTi合金等を用いた耐腐蝕性の高い一方向性の
ものを使用している。ここで形状記憶合金の一方向性と
は、所定の記憶回復温度で一定の形状を記憶させた後に
低温で初期形状に変形させ、その後に変態点以上の記憶
回復温度に加熱すると記憶した形状に戻るが、その後に
再び低温にしても、低温で変形した初期形状にはならな
いことを意味する。
【0061】このような一方向性の形状記憶合金120
A,120Bには、所定の記憶回復温度T1でコイルバ
ネを軸方向に引き伸ばした復元形状が記憶され、低温に
戻した状態で右半断面の形状記憶合金120Bのよう
に、初期形状に縮めてリテーナ119,121の間に組
み込んでいる。この形状記憶合金120A,120Bの
低温状態での初期形状による復元力F1は、パイロット
弁112A,112B側に組み込んでいる復旧スプリン
グ117A,117Bの復元力F2より十分に低く、復
旧スプリング117A,117Bの復元力F2による押
圧を受けて右半断面の形状記憶合金120Bのように初
期形状に保っている。低温時にあっては形状記憶合金1
20Bのように初期形状となっているため、復旧スプリ
ング117Bの復元力F2でパイロット弁体112a
は、図示のようにパイロット排出路116を閉鎖する位
置に保持されている。しかし、スプール弁11は閉じて
いるため、パイロット弁112A,112Bを経由した
バルブピストン100へのパイロット圧の供給は行われ
ず、スプリング105の力で弁体101は右半断面のよ
うにバルブシート103で連通穴104を閉鎖してい
る。
【0062】これに対し、火災による熱気流をスプリン
クラーヘッド1が受けてヘッド散水部1cの周囲に組み
込んでいる形状記憶合金112A,112Bが加熱され
ると、記憶形状に戻ろうとする復元力F1が増加し、復
旧スプリング117A,117Bの復元力F2を超えた
時に弁軸115aにより左半断面のようにパイロット弁
体112aを上側に押し上げ、パイロット弁室112b
に対するパイロット排出路116を開き、同時に上部の
パイロット穴110gを閉じる。
【0063】このためバルブピストン100のダイヤフ
ラム室がパイロット排出路116を通って大気に開放さ
れる。この状態で第2感熱作動部125の可溶合金47
が火災による熱で溶け、分離脱落により弁軸12の保持
が解除された時、加圧消火用水でスプール弁11がスプ
ール穴5aから抜けて流路を開放し、それより低い形状
記憶温度で第1感熱作動部6のバルブピストン100の
弁体101は既に開放可能な状態にあることから、流入
路5からの加圧消火用水はダイヤフラム102a,10
2bにあたり、弁体101を押し上げバルブシート10
3を連通穴104から離して開放状態とし、連通穴10
4を通り、駆動部6のインペラ6aの通過で回転力を付
与し、最終的にヘッド部8に供給され、ヘッド部8の旋
回に伴って散水される。
【0064】ここで、第1感熱作動部124に設けたパ
イロット弁112A,112Bの作動でバルブピストン
100の開放可能状態を作り出す形状記憶合金120
A,120Bの復元温度をT1、第2感熱作動部125
が作動する可溶合金47の溶融温度で決まる散水開始温
度をT2とすると、散水開始温度T2に対し形状記憶合
金120A,120Bの記憶回復温度T1を低めに設定
している。
【0065】このため火災による熱気流を受けたとき
に、まず形状記憶合金120A,120Bが記憶回復温
度T1に上昇して、パイロット弁112A,112Bの
作動によりバルブピストン100を開放可能状態とし、
次に火災による熱気流で散水開始温度T2に達したとき
の可溶合金47の溶解で、第2感熱作動部124により
弁軸12を介してスプール弁11の保持が解除されて散
水が開始される。
【0066】この散水が開始される可溶合金47の散水
開始温度T2は、可溶合金47の材質等によって正確に
決まっており、形状記憶合金120A,120Bの記憶
回復温度T1は散水開始の前段階の作動であることか
ら、形状記憶合金120A,120Bの復元力が温度上
昇に対し幅をもっていても、この影響を受けることな
く、可溶合金47の材質で決まる所定の散水開始温度T
2で確実に散水を行うことができる。
【0067】図10は図1の消火用散水ノズル1に設け
たコイルバネ形状をもった形状記憶合金120A,12
0Bの温度Tに対するその弾性係数Gの実測特性であ
る。例えば第2感熱作動部125の可溶合金47で決ま
る散水開始温度T2をT2=74℃とすると、形状記憶
合金の復元力によるパイロット弁112A,112Bの
作動温度範囲を例えばT1=30〜60℃の範囲、例え
ばT1=50℃に設定する。
【0068】具体的に説明すると、図10の温度T1=
50℃のときの弾性係数G50に基づく形状記憶合金12
0A,120Bの復元力F1にバランスしてパイロット
弁体112aがパイロット排出路116の流路を閉鎖す
る位置となるように、復旧スプリング117A,117
Bの復元力F2を決める。即ち、形状記憶合金120
A,120Bの復元力F1に対し復旧スプリング117
A,117Bの復元力F2が等しいか若干大きめに設定
する。
【0069】これにより形状記憶合金120A,120
Bの温度がT1=50℃に達すると、その復元力F1が
復旧スプリング117の復元力F2に打ち勝ってパイロ
ット弁体112aを押し上げ、同時にパイロット穴11
0c,110gを閉鎖して、バルブピストン100のダ
イヤフラム室からのパイロット圧を排出状態とする。な
お、ケース2cの外周に設けた複数の形状記憶合金12
0のうち、一つでも形状回復温度T1に達すれば、パイ
ロット弁体112aを上昇させて放水可能状態とする。
これにより、気流の影響による温度検知の遅れを防ぎ、
熱気流の方向に関係なく確実に火災温度を検知して放水
が行われる。
【0070】また、第2感熱作動部125の周囲に配置
した複数の形状記憶合金120は、第2感熱作動部12
5の作動時に所定位置まで下降して、周囲に消火用水を
散水するノズル部8の露出位置よりも上方に位置してい
る。よって、放水する消火用水で形状記憶合金120を
冷却することなく、更に天井面とノズル部8との間に形
状記憶合金120に向かう熱気流の通路を設けてあるこ
とから、周囲の熱を正確に検出でき、鎮火前に放水停止
するような誤作動を防いでいる。
【0071】次に図1の実施形態の火災による熱気流を
受けたときの感熱動作を図11を参照しながら説明す
る。図11は消火用散水ノズル1の周囲の温度における
各部の動作を示したグラフである。なお、曲線aは火源
直上における温度曲線を示し、曲線bは火源直上から離
れて配置された消火用散水ノズル1における周囲の温度
曲線を示している。
【0072】定常監視状態となる低温時にあっては、第
1感熱作動部124に設けた形状記憶合金120A,1
20Bの定常温度での復元力F1に対し復旧スプリング
117A,117Bの復元力F2が大きく、図1の右半
断面の形状記憶合金120Aのように、初期形状に縮め
られている。このためパイロット弁112A,112B
はパイロット弁体112aによりパイロット排出路11
6への連通を閉鎖した弁位置に保持されている。
【0073】図12は定常監視状態でのパイロット弁1
12A,112Bの作動状態の概略図であり、給水側の
パイロット穴110cをバルブピストン100のダイヤ
フラム室に達するパイロット穴110hに連通している
が、スプール弁11が閉じているので、加圧消火用水の
流入によるパイロット圧の供給は行われていない。この
状態で火災による熱気流を受けると、形状記憶合金12
0A,120Bは形状記憶を行った所定の記憶回復温度
T1に達したときにその復元力F1が復旧スプリング1
17A,117Bの復元力F2に打ち勝ち、弁軸115
aによりパイロット弁体112aを押し上げ、図13の
ように、給水側のパイロット流路を閉鎖すると同時にバ
ルブピストン100の弁室をパイロット排出路116に
開放する。しかしながら、このとき第2感熱作動部12
5は作動しておらず、弁軸12がスプール弁体11をス
プール穴5aに位置する閉鎖状態に保持しているため加
圧消火用水の供給は行われていない。
【0074】このように第1感熱作動部124が作動し
た状態で火災による熱気流による温度が更に上昇し、第
2感熱作動部125の可溶合金47が溶ける散水開始温
度T2に上昇すると、可溶合金47が溶けてロックボー
ル27によるロックが解除され、感熱作動機構の部材が
分解して脱落する。このため弁軸12及びヘッド部8の
閉鎖状態での保持が解除され、弁軸12及びヘッド部8
は流入路5からの消火用水の圧力を受けて下降し、スプ
ール穴5aを開放する。このため流入路5からの消火用
水は、スプール穴5aから流入し、ダイヤフラム102
a及び連通穴130を通ってダイヤフラム102bを下
から加圧し、弁体101を押し上げて連通穴104を開
放する。そして消火用水は、連通穴104を通り駆動部
6のインペラ6aによりケーシング6bを回した後、ヘ
ッド部8内に入って、そのノズル穴10から散水され
る。駆動部6の回転は減速部7で減速された後、下部に
下降したヘッド部8に伝達され、ヘッド部8を旋回させ
ながら消火用水を散水する。
【0075】このときパイロット弁112A,112B
は、図13のように給水側を閉じており、スプール弁1
1の開放で加圧消火用水からパイロット穴107、パイ
ロット流路110a、パイロット溝110bを通ってパ
イロット穴110cにパイロット圧の供給を受けても、
バルブピストン100の弁室に対するパイロット圧の供
給は行わない。またバルブピストン100の弁体101
は、加圧消火用水に押されて図1の左判断面のようにス
プリング105に抗して上昇し、バルブシート103に
よる連通穴104の開放状態を維持し、ノズル部8から
の散水が継続される。
【0076】このようなヘッド部8の旋回に伴う消火用
水の散水によって火災が鎮火すると、熱気流を受けなく
なることで温度が低下する。この温度低下により形状記
憶合金112A,112Bが記憶回復温度T1以下に下
がると、形状記憶合金120A,120Bの復元力F1
が復旧スプリング117A,117Bの復元力F2より
小さくなり、復旧スプリング117A,117Bに押さ
れて形状記憶合金120A,120Bは初期形状に変形
される。
【0077】図14は、最初に形状記憶合金120Aの
温度が記憶回復温度T1以下に低下して初期形状に復旧
した場合であり、パイロット弁112Aの復旧で形状記
憶合金120A側のパイロット排出路116を閉鎖して
パイロット圧がパイロット弁112Bの給水側に加わる
が、形状記憶合金120Bは記憶回復温度T1を越えて
パイロット弁体112aによるパイロット穴110gの
閉鎖でパイロット穴110への流路を閉じているため、
バルブピストン100のダイヤフラム室に対するパイロ
ット圧の供給は行われない。
【0078】続いて、図15のように、形状記憶合金1
20Bの温度も記憶回復温度T1以下に低下して初期形
状に復旧すると、パイロット弁112Bの復旧でパイロ
ット排出路116が閉鎖されパイロット穴110gと1
10hが連通し、パイロット圧がパイロット穴110
h、パイロット溝110e、パイロット穴110jを通
ってバルブピストン100の弁室に加えられる。このた
めバルブピストン100の弁体101が押し下げられ、
バルブシート103を連通穴104に押圧して流路を閉
鎖する。これによって消火用水の散水が自動的に停止さ
れる。
【0079】消火用水の散水が自動停止した後に、万が
一、再度燃え上がって熱気流を受けて図11の破線曲線
で示したように形状記憶合金120A,120Bの両方
又はいずれか一方が記憶回復温度T1に上昇すると、パ
イロット弁112A,112Bが再び作動してパイロッ
ト排出路116を開放することによりバルブピストン1
00内のパイロット圧が低下する。図16は一方の形状
記憶合金120Aが記憶回復温度T1に上昇してパイロ
ット弁112Aを再び作動した場合であり、バルブピス
トン100のダイヤフラム室はパイロット排出路116
と連通する。
【0080】このとき第2感熱作動部125は既に作動
していることから、ダイヤフラム室内のパイロット圧の
低下に伴って弁体101はダイヤフラム102a,10
2bを押し上げる加圧消火用水の圧力で図1左半断面の
ように上昇し、バルブシート103で閉鎖していた連通
穴104を開放し、消火用水の散水が再開される。もち
ろん、散水を再開した後に火災が鎮火して全ての形状記
憶合金120A,120Bの温度が記憶回復温度T1以
下に下がれば、復旧スプリング117A,117Bの復
元力F2を受けて形状記憶合金120A,120Bは初
期形状に変形し、パイロット弁112A,112Bがバ
ルブピストン100のダイヤフラム室に対するパイロッ
ト圧の供給状態に切り替わり、これによって弁体101
がバルブシート103を連通穴104に押し付けて閉鎖
することで、散水停止となる。
【0081】図17は図1に示した本発明の消火用散水
ノズル1の作動状態におけるノズル部8から散水される
消火用水の散水パターンの説明図である。天井面に設置
された本発明の消火用散水ノズルが火災による熱を受け
て作動すると、図示のようにノズル部8が突出した状態
で周囲6箇所に配列しているスリット穴10より供給さ
れた消火液または消火用水の散水による放水パターン8
0が得られる。
【0082】このノズル部8からの放水パターン80に
よって、所定の防護範囲82に6方向に向いた棒状の散
布パターン81a,81bが得られ、このときノズル部
8は散水による水流を受けて駆動部6の回転により矢印
方向に回転し、その結果、各散布パターン81は防護範
囲82内を1rpm程度の低速度で回転走査することに
なり、結果的に防護範囲全域に散水することになる。
【0083】ノズル部8のスリット穴10が縦方向に配
列しているので、実際にはノズル部8からの散水はスポ
ット状の散水パターンが連続的に並んだ散布パターンと
なるが、各スポット状の散水パターンが消火対象面に当
った際に飛散、および消火対象面を流れることにより、
スポット状の散水パターンが広がって隣同志が繋った帯
状の散布パターン81となる。
【0084】このように帯状の散布パターン81にする
ために、第2部材8B、第3部材8Cに形成するスリッ
ト穴10の溝の方向をそれぞれ設定している。つまり、
図7、図8に示すように、第2部材、第3部材に形成す
るスリット穴10につき、遠くに散水するヘッド部8の
上側のスリット穴10は横方向に溝を形成し、近くに散
水するヘッド部8の下側のスリット穴10は下方向に形
成する。そして、スポット状の散水パターンが消火対象
面に散水される際に繋って帯状の散布パターン81にな
るように、それぞれスリット穴10の溝の方向を設定す
る。
【0085】尚、スリット穴10の大きさを変えること
で、一つのスリット穴10から散水される消火液の量を
変えることができる。ノズル部8の上側のスリット穴1
0は、消火用散水ノズル1の位置から離れた防護範囲に
散水するため、スリット穴10を近距離に散水する下側
のスリット穴10よりも大きくして、水量を多くして遠
くに散水する。
【0086】通常、ノズル部8は直径2cm程度の小さ
なものであるから、それぞれが方向、穴の大きさが相違
する複数のスポット穴を1個の円柱部材に形成しようと
しても、技術上困難である。ところが、本発明のような
溝を形成した分割部材を組立てることにより、容易に複
数の穴の開いた小さいノズル部8を形成することができ
る。
【0087】ここで図4の組立アッセンブリィから明ら
かなように、第2部材8Bの組合せ面のスリット穴10
は、その間に入る図5の第1部材8Aの支持アーム51
との組合せで軸方向に2列のスリット穴10を形成する
こととなり、この2列のスリット穴は近接していること
から、図17の散布パターンにあっては、1つの棒状の
散布パターン81aとなり、一列のスリット穴10の散
布パターン81bに比べるとその幅が広くなる。
【0088】このように、防護範囲の特定部分に集中的
に散水することで、熱気流が消火用水を散水している各
放水パターン80同志の間から、消火用水で遮られ冷却
されることなく直接消火用散水ノズル1に向かうため、
温度検出を正確に行え、放水停止動作のタイミングを鎮
火時に合わせることができる。尚、減速部7を設けた理
由は、ノズル部8を駆動部6のケーシング6bの回転力
のみで回転させると、かなりの高速でノズル部8が回転
してしまい、ノズル部8から散水された消火用水は塊状
から粒状に分散し、防護範囲内の特定部分に集中的に散
水する散布パターンが形成できなくなり、防護範囲のあ
る一点から見ると一回の走査で到達する消火用水の水量
が少なくなり、粒子径も小さくなり、また消火用水の打
力も低減して消火能力が低下してしまうからである。
【0089】これを防止し、集中的に散水する散布パタ
ーンを形成するため散布パターンの走査の速度を散布パ
ターンの走査の形状が維持できる程度の比較的低速度に
する必要があるために減速部7を設けている。図18は
図17の防護範囲82内のある一箇所から見た散水量の
時間的変化であり、図18(A)は従来の消火用散水ノ
ズルの散水量であり、図18(B)が本発明の消火用散
水ノズルの散水量である。
【0090】図18(A)の従来の消火用散水ノズルに
あっては、防護範囲82のある一箇所から見ても常に一
定の水量の水が散水されている。これに対し図18
(B)の本発明の消火用散水ノズルにあっては、散布パ
ターン81a,81bの回転走査速度に依存した一定の
周期で間欠的に大量の水が散水されることになる。この
ように本発明の消火用散水ノズルを用いると、防護範囲
82のある一部分から見た場合に、火災に対して瞬間的
には従来の散水ノズルよりも大量の消火用水または消火
液が散水され、一定水量を継続して散水するよりも瞬間
的に集中して大量の水を散水した方が高い消火能力が得
られる。このため、例えば従来の80リットル/分の防
護範囲82の全域放射の散水ノズルと例えば本発明によ
る消火ノズルで散水量を40リットル/分、走査速度を
1rpm程度とした場合と比較すると、防護範囲82の
全体的に見て少ない水量にも関わらず、より高い消火能
力が得られる。
【0091】また本発明の消火用散水ノズルにあって
は、少ない散水量で消火できるため、いわゆる水損の被
害を小さくすることができる。このことから、消火用水
の水槽も小さくでき、更に従来の消火能力と同等とした
場合には、従来よりも配管内の水圧を抑えることができ
るため、消火ポンプが小容量で済み、更には自家発電設
備などのバックアップ設備も小容量とでき、配管サイズ
も小さくなるために、設備コストを大幅に低減できる。
【0092】また防護範囲82内のある一箇所から見れ
ば、従来のように防護範囲82内全体に散水するのと比
べ、本発明にあっては、瞬間的には散水量が増えると同
時に消火対象物に到達する水の打力及び粒子径も増すの
で、消火能力が増大する。即ち本発明においては、水は
分散された粒状ではなく特定の部分に集中的に散水され
る打力の強い水の塊として消火対象物に散水されるた
め、火災気流に負けることなく火災深部まで到達して消
火能力が高くなる。
【0093】このため、火災抑制までの時間が短くて済
み、したがって鎮火までの水量も少なくて済む。更に塊
状態の水で消火するため、一度消火した部分が再び燃え
上がることがなくなり、一度消火された場所を継続して
鎮火状態にできる。図19は本発明の散水による消火の
様子を従来と対比して示している。図19(C)は従来
の散水パターンであり、従来の散水能力では防護範囲8
2全体に均一に散水させるため、消火用水をデフレクタ
で分散させて粒状にして散水しており、防護範囲82内
に比較的粒子径の小さな様々な大きさをもった粒状の水
によるスポット状散布パターン84が得られる。
【0094】そのため火災の勢いが強い場合には、分散
された水は粒子径が小さいため火災の気流に負け、炎8
3の深部に達する前に蒸発し火災の抑制に時間が掛か
り、また全く消火できないこともある。このため消火用
水の量も多くなり、水損による被害も大きくなる。更に
防護範囲82内のある一点から見ると、粒状の水により
一瞬、その一点の火災の炎83が弱まったとしても、そ
の時点の付近の炎83により一度掛かった水が蒸発し、
付近の炎によって再び燃え始める。このため、完全に消
火するまでには時間が掛かる。
【0095】図19(A)(B)は本発明による帯状の
散布パターンの散水であり、防護範囲82内のある部分
に集中的に大量の消火用水を散水する散布パターン81
を形成している。このため、瞬間的には散水量が増える
と同時に、消火対象物に当たる消火用水の打力及び粒子
径も増すので、消火能力が増大する。即ち、本発明の散
布パターン81においては、消火用水は図19(C)の
ように分散された粒状ではなく、特定の部分に集中的に
散水される打力の強い水の塊として消火対象物に散水さ
れる。このため、火災気流に負けることなく炎83の深
部まで到達して消火能力が高くなり、火災抑制までの時
間が短くて済み、したがって鎮火までの水量も少なくて
済む。
【0096】また図19(B)のように、散布パターン
81で防護範囲82の全域を走査して塊状の水で消火す
るため、一度消火した鎮火部分85が再び燃え上がるこ
とを抑え、一度消火された場所を継続して鎮火状態に維
持できる。更に防護範囲82内のある部分に大量の水を
散水するようにノズル部8を形成したため、防護範囲8
2を従来の散水ノズルと比べて大きくした場合でも、走
査時間を調整することにより火災に対しては瞬間的には
大量の水を散水することができ、従来と同等以上の消火
性能が得られることから、従来の散水ノズルに比べノズ
ルの設置個数を減らすことができる。
【0097】例えば取付ピッチ2.3メートルで所定の
防護範囲82に8個の散水ノズルを従来設置していた場
合に対し、本発明によれば、取付ピッチを2.6メート
ルとすることができ、その結果、設置する散水ノズルの
個数を4個に減らすことができる。図20は本発明の消
火用散水ノズルの第2実施形態であり、軸方向の中心線
の右側に低温時の放水停止状態の断面を左側に火災によ
る熱気流を受けて放水動作を行った状態の断面を示して
いる。なお、左断面におけるスプール弁11、軸12、
駆動部6、ヘッド部8は外観正面図を示す。また、この
図20において図1と共通するものには同一の符号を付
してその説明を省略する。
【0098】図20において、消火用散水ノズル1は、
上部よりケース2a,2c,2d,2eがねじ込み固定
され、ケース2bがケース2c,2eの外周を囲んでい
る。ケース2eの内部にシリンダ131を組み込んでい
る。シリンダ131内には弁軸12に形成されたアクチ
ュエータピストン12aが摺動自在に組み込んでいる。
【0099】シリンダ131はアクチュエータピストン
12aによって下部のシリンダ室131aと上部のシリ
ンダ室131bに仕切られている。アクチュエータピス
トン12aはパイロット弁112A,112Bにより作
動される。ケース2a,2eにはスプール穴5aからパ
イロット弁112にパイロット圧を供給するパイロット
流入路132,133が形成されている。Oリング13
4はパイロット供給路132と133が連通する箇所に
おいて中央部に穴が開いている。
【0100】シリンダ131のシリンダ室131aに対
してはパイロット流入路135が形成されており、パイ
ロット穴110hを通る加圧消火用水がシリンダ室13
1aに供給される。シリンダ131のアクチュエータピ
ストン12aの上側となるシリンダ室131bに対して
は大気連通路136,137が開口している。また、ケ
ース2eより下方の駆動部6、減速部7、パイロット弁
112、形状記憶合金120の構造は図1の実施形態と
同じである。
【0101】次に図20の実施形態の火災の熱気流を受
けたときの感熱動作を説明する。通常監視状態となる低
温時にあっては、形状記憶合金120A,120Bは定
温状態により復旧スプリング117の復元力により初期
形状に縮められている。このため、パイロット弁112
A,112Bはパイロット弁体112aによりパイロッ
ト排出路116への連通を閉鎖した弁位置に保持されて
いる。
【0102】この状態で火災による熱気流を受けると、
形状記憶合金120A,120Bが記憶回復温度T1に
達したときにパイロット弁体112aを押し上げ、給水
側のパイロット穴110gを閉鎖すると同時に、シリン
ダ131のシリンダ室131aをパイロット穴135を
介してパイロット流路116に開放する。しかしなが
ら、このとき第2感熱作動部125は作動しておらず、
弁軸12及びスプール弁体11をスプール穴5aに位置
する閉鎖状態に保持している。
【0103】このように第1感熱作動部124が作動し
た状態で、更に散水開始温度T2に上昇すると、可溶合
金47が溶けて感熱作動機構の部材が分解して脱落す
る。このため弁軸12及びヘッド部8が消火用水の圧力
を受けて下降しスプール穴5aを開放する。このため流
入路5からの消火用水はスプール穴5aから連通穴10
4を通り駆動部6のケーシング6bを回した後、ヘッド
部8に散水される。
【0104】このとき、パイロット弁112A,112
Bは給水側のパイロット穴110gを閉じており、スプ
ール弁11の開放でパイロット流入路132,133を
通ってパイロット穴110cにパイロット圧の供給を受
けても、シリンダ室131aに対するパイロット圧の供
給は行わない。ヘッド部8からの消火用水の散水によっ
て火災が鎮火すると、熱気流を受けなくなることで温度
が低下する。この温度低下により形状記憶合金120
A,120Bが記憶回復温度T1以下に下がると、形状
記憶合金120の復元力が減少し、復旧スプリング11
7に押されて形状記憶合金は初期形状に変形される。
【0105】このときパイロット弁112のパイロット
弁体112aは、パイロット排出路116を閉じると同
時にパイロット流入路110gを開き、流入口5に対す
る加圧消火用水の圧力がパイロット圧力としてシリンダ
131のシリンダ室131aに供給される。このためア
クチュエータピストン12aによってスプール弁体11
が押し上げられ、スプール穴5aに嵌まり込んで流路を
閉鎖する。これによって消火用水の放水が自動的に停止
される。
【0106】消火用水の放水が自動停止した後に、万が
一、再度燃え上がって熱気流を受けて形状記憶合金12
0が記憶回復温度T1に上昇すると、パイロット弁11
2が再び作動してシリンダ室131aのパイロット圧を
排出させる。このとき第2感熱作動部125は既に作動
していることから、シリンダ室131aからのパイロッ
ト圧の排出に伴って消火用水の圧力によってスプール弁
体11はスプール穴5aから下方に引き出されて流路を
開放し、消火用水の放水が再開される。このように放水
開始、放水停止の動作をスプール弁11によるスプール
穴5aの開閉で行うようにしても良い。
【0107】図21はノズル部8から散水される散布パ
ターン81の別の形態を示す。図21(A)はノズル部
8の周方向に90°の間隔をおいて4個の半径部となる
スリットを形成した場合であり、防護範囲82に対し帯
状の散布パターン81をクロスさせた十字形状の散布パ
ターンが得られる。図21(B)はノズル部8に180
°の間隔をおいて2つの半径部となるスリットを形成し
た場合であり、防護範囲82において直径方向に帯状の
散布パターン81が得られる。更に図21(C)はノズ
ル部8の周方向に10°程度の短い角度間隔をおいて3
つの半径部となるスリットを形成した場合であり、この
場合には防護範囲82において半径方向に放射状に広が
った3つの散布パターン81を得ることができる。
【0108】尚、本発明の実施形態は、図4のようにノ
ズル部8を1つの第1部材8A、2つの第2部材8B、
及び2つの第3部材8Cに分割する場合を例にとってい
るが、ノズル部8の外周軸方向に配列するスリット穴に
沿った位置を分割して組合せ面とすることで、任意の散
布パターンに対応した分割構造とできる。また図4の分
割構造を維持したまま各部材の組合せ面に直線溝を形成
するか否か選択することで、スリット穴の配列位置を変
化させて散布パターンの数を適宜に決めることもでき
る。
【0109】更に、スリット穴10の形状は、四角に溝
を形成するに限らず、半円や三角形状などでも良い。更
に、第2感熱作動部125で散水開始を行わせる感熱部
材として可溶合金を使用しているが、可溶拘禁の代わり
にグラスバルブを用いて散水開始温度T2でのグラスバ
ルブの破壊で感熱作動させる構造であってもよい。
【0110】更にまた、本発明は上記の実施形態に限定
されず、第1感熱作動部124を感熱作動するための復
元力を発生する形状記憶合金の記憶回復温度T1を、第
2感熱作動部125で散水開始を行わせる可溶合金やグ
ラスバルブ等により散水開始温度T2より低めに設定す
る構造であれば、適宜の構造をとることができ、実施形
態による限定は受けない。
【0111】また、本発明の実施形態においては、形状
記憶合金120はコイルスプリング状に巻き回された形
状であったが、例えばバネ板形状のものを使用し、初期
状態では中央部で円弧状に屈曲し、記憶回復温度T1に
達すると屈曲部が伸展する等の構造のものでもよい。さ
らに本発明の実施形態のヘッド部8においては、複数部
材を組合せ、複数のスリット穴を並べた構造のものであ
ったが、これに限定されず、防護範囲内の特定の箇所に
集中的に散水する散布パターンを形成する構造のヘッド
部であればよい。例えば、円球状のヘッドにスリットを
設けて図17、図21に示すような散水パターンを形成
してもよい。
【0112】また、形状記憶合金120と復旧付勢部材
は、必ずしも互いに押し合う構成でなくとも良く、形状
記憶合金120が記憶回復温度T1より低い場合に、初
期形状に戻すように復旧付勢部材が作用する対向した関
係であればよい。
【0113】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、防護範囲内にある部分を集中的に散布するように散
布パターンを形成し、防護範囲内を走査するようにした
ので、火災に対して瞬時的には大量の消火液または消火
用水が散布されるため、より高い消火能力が得られ、水
損の被害も小さくなる。
【0114】また従来と同程度の消火能力とした場合に
は、配管内の水圧を低くでき、水槽、ポンプなどの容量
も少なくて済み、更に配管サイズも小さくなり、更に防
護範囲内のある部分に集中的に散水するようにノズル部
を形成しているために、防護範囲を従来より広くしても
従来と同程度の消火能力が維持でき、このためノズルの
設置個数も低減でき、その結果、設備コストを低減する
ことができる。
【0115】更にノズル部をスリット穴の配列部分を通
る面で複数の部材に分割し、各分割部材の組合せ面にス
リット穴を形成する複数の直線溝を加工形成して組み合
わせたことで、ノズル部の外周面に任意の散布方向を持
って配列される複数のスリット穴の加工形成が容易にで
き、防護区域に対するノズル部からの散布パターンを必
要に応じて任意の方向、位置、形状とすることが自由に
できる。
【0116】更に本発明は、火災による熱気流を受ける
と、まず低めに設定している形状記憶合金の記憶回復温
度に達したときの復元力によって第1感熱作動部を作動
して弁機構を散水可能状態とし、この状態で更に熱気流
による温度が上昇して規定の散水開始温度に達すると、
可溶合金やグラスバルブ等を使用した第2感熱作動部が
熱分解して、第1感熱作動部によって既に散水可能状態
となっている弁機構の保持を解除して散水を開始でき、
この結果、形状記憶合金の記憶回復温度に幅があって
も、散水開始温度を可溶合金やグラスバルブ等により規
定温度に正確に設定して散水開始温度を保証し、形状記
憶合金を用いた自動開閉型のスプリンクラーヘッドの信
頼性を確保して、同時に量産を可能とする。
【0117】また形状記憶合金を用いた第1感熱作動部
と可溶合金やグラスバルブを用いた第2感熱作動部の両
方が働いて初めて散水が開始される構造としているた
め、監視時にスプリンクラーヘッドに例えば物をぶつけ
て破損したような場合にも、同時に両方が破損により作
動することはほとんどないことから、破損による散水を
確実に防止できる。
【0118】また散水により火災が鎮火して温度が下が
ると、形状記憶合金の復元力が低下して、復旧スプリン
グによって初期形状に変形され、これによって第1感熱
作動部の弁機構が閉鎖状態となって自動的に散水を停止
し、火災消火後の水損を最小限に抑えることができる。
また散水を停止するための温度は可溶合金やグラスバル
ブで決まる散水開始温度に対し十分に低めに設定した形
状記憶合金の記憶回復温度であり、このように散水停止
のための温度が十分に低くできることで、消火後の再発
火の可能性を大幅に低減できる。
【0119】もちろん、消火後の再発火による熱気流を
受けると所定の記憶回復温度で再度第1感熱作動部の弁
機構が作動して再散水でき、万が一最初の消火が不十分
であったような場合にも、再散水で確実に消火できる。
更に形状記憶合金は、その材質的な特徴として耐腐食性
が高く、長期間に亘る設置監視にあっても、確実に火災
による熱気流を受けたときに動作して高い信頼性が保証
できる。更にまた、散水の停止と開始について火災感知
器などによる火災検出信号に全く頼る必要がないため、
火災感知器の誤作動による散水の問題がなく、固定式消
火設備に設置した際の信頼性を保証できる。
【0120】また、防護範囲内の特定部分に集中的の散
布パターンを形成して散水を行うため、散布パターン以
外の散水していない箇所からは、熱気流が消火用水で遮
られることがなく消火用散水ノズルに致達でき、正確な
温度検知が可能であり、鎮火前に散水停止するようなこ
とを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消火用散水ノズルの実施形態を監視状
態と散水状態の各々につき半断面で示した断面図
【図2】図1の底部側の端面図
【図3】図1の減速に使用したダブル遊星歯車機構の説
明図
【図4】図1のノズル部の組立分解図
【図5】図4の第1部材の説明図
【図6】図4の第2及び第3部材の組立アッセンブリの
説明図
【図7】図4の第2部材の説明図
【図8】図4の第3部材の説明図
【図9】図1の形状記憶合金の温度に対する弾性係数を
実測した特性図
【図10】図1のパイロット弁を設けているスペーサリ
ングとバルブリングを取出して示した説明図
【図11】本発明の実施形態の動作を説明する図
【図12】図1のパイロット弁の定常監視状態での作動
説明図
【図13】図1のパイロット弁の火災時の散水状態にお
ける作動説明図
【図14】散水中に片側のパイロット弁が復旧した場合
の作動説明図
【図15】散水中に両方のパイロット弁が復旧しして散
水停止した場合の作動説明図
【図16】散水停止後に片方のパイロット弁が作動して
散水を再開した場合の作動説明図
【図17】図1の作動状態における散水動作の説明図
【図18】防護範囲の一箇所から見た本発明の散水量を
従来と対比して示したタイムチャート
【図19】本発明の散布パターンによる消火の様子を従
来と対比して示した説明図
【図20】本発明の他の実施形態を監視状態と放水状態
の各々につき半断面で示した断面図
【図21】本発明による散布パターンの他の形態を示し
た説明図
【図22】従来例を示した説明図
【図23】従来の自動開閉型のスプリンクラーヘッドの
断面図
【図24】形状記憶金属の温度に対する弾性係数の特性
【符号の説明】 【符号の説明】
1:消火用散水ノズル 2:ノズル本体 3:接続ネジ部 5:流入路 5a:スプール穴 6:駆動部 6a:インペラ 6b:ケーシング 7:減速部(ダブル遊星歯車機構) 8:ノズル部 8A:第1部材 8B:第2部材 8C:第3部材 10:スリット穴 11:スプール弁 47:可溶合金(散水開始温度T2) 80:散水パターン 81:散布パターン 82:防護範囲 100:バルブピストン 101:弁体 102a,102b:タイヤフラム 103:バルブシート 104:連通穴 105:スプリング 108:スペーサ 112A,112B:パイロット弁 116:パイロット排出路 117A,117B:復旧スプリング(復旧付勢部材) 120A,120B:形状記憶合金(記憶回復温度T
1) 124:第1感熱作動部 125:第2感熱作動部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加圧消火用水が充填された消火配管に接続
    され火災時に加圧供給された消火用水を散水する固定式
    消火設備の消火用散水ノズルに於いて、 所定の防護範囲内の特定部分に集中的に散水する散布パ
    ターンを形成する旋回自在なノズル部と、 前記ノズル部から消火用水を散水する際の水流を駆動源
    として駆動軸を回転させる駆動部と、 前記駆動部の駆動軸の回転を入力し所定の減速比に従っ
    て減速して前記ノズル部を回転させ、前記散布パターン
    を前記所定の防護範囲内を走査して前記所定の防護範囲
    内全域に散水させる減速部と、 形状記憶合金と復旧付勢部材を備え、所定の記憶回復温
    度より低い温度の時は前記復旧付勢部材により前記形状
    記憶合金を初期形状に変形させて弁機構を散水停止位置
    に保持し、前記記憶回復温度に達した時は前記形状記憶
    合金の記憶形状への復元力で前記弁機構を散水位置へ作
    動可能な状態とする第1感熱作動部と、 前記記憶回復温度より高い所定の散水開始温度を設定
    し、該散水開始温度より低い温度の時は、前記第1感熱
    作動部の作動状態に関わらず前記弁機構を閉鎖状態に保
    持し、前記散水開始温度に達した時は、熱により分解し
    て前記第1感熱作動機構の閉鎖保持を解除して消火用水
    を散水させる第2感熱作動部と、を備えたことを特徴と
    する固定式消火設備の消火用散水ノズル。
  2. 【請求項2】請求項1記載の固定式消火設備の消火用散
    水ノズルに於いて、前記第1感熱作動部は、前記第2感
    熱作動部の作動による散水中に、前記記憶回復温度より
    低い温度に低下した時は、前記復旧付勢部材により形状
    記憶合金を初期形状に変形させることにより前記弁機構
    を閉鎖状態に作動して散水を停止させることを特徴とす
    る固定式消火設備の消火用散水ノズル。
  3. 【請求項3】請求項2記載の固定式消火設備の消火用散
    水ノズルに於いて、前記第1感熱作動部は、前記復旧付
    勢部材により前記形状記憶合金を初期形状に変形させて
    散水を停止させた後に、前記記憶回復温度に達した時は
    前記形状記憶合金の記憶形状への復元力で前記弁機構を
    散水位置へ作動して再散水させることを特徴とする固定
    式消火設備の消火用散水ノズル。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の固定式
    消火設備の消火用散水ノズルに於いて、 前記第1感熱作動部は、前記形状記憶合金を前記第2感
    熱作動部の周囲に複数配置し、複数の形状記憶合金の少
    くとも1つが前記記憶回復温度への到達で作動した時の
    復元力で前記弁機構を散水位置へ作動可能な状態とし、
    散水中に複数の形状記憶合金の全てが初期形状に復旧し
    た時に前記弁機構を閉鎖状態に作動して散水を停止させ
    ることを特徴とする固定式消火設備の消火用散水ノズ
    ル。
  5. 【請求項5】請求項4記載の固定式消火設備の消火用散
    水ノズルに於いて、前記複数の形状記憶合金は前記第2
    の感熱作動部が作動した際に下方に露出する散水部の位
    置よりも上方に配置することを特徴とする固定式消火設
    備の消火用散水ノズル。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載の固定式
    消火設備の消火用散水ノズルに於いて、前記形状記憶合
    金は、前記初期形状として軸方向に縮んだコイルバネ形
    状を有し、前記記憶回復温度への到達で軸方向に伸展し
    たコイルバネ形状に変形することを特徴とする固定式消
    火設備の消火用散水ノズル。
  7. 【請求項7】請求項1記載の消火用散水ノズルに於い
    て、前記ノズル部は、先端を円錐形状に絞り込んだ円筒
    体であり、該円筒体を複数部材に分割し、各分割部材の
    組合せ面のいずれか一方にスリット穴を形成する直線溝
    を内部の流入路から外周面に向けて固有の放射角度を設
    定して連通させたことを特徴とする消火用散水ノズル。
  8. 【請求項8】請求項1記載の消火用散水ノズルに於い
    て、ノズル本体に対し前記流入路側から前記駆動部、前
    記減速部、及びノズル部を順に配置し、前記駆動部に対
    し前記ノズル部を軸方向に摺動自在で軸回りに一体回転
    するスライド連結部を介して連結し、前記第2感熱作動
    部の熱分解時に前記ノズル部をスライドさせた状態で前
    記駆動部の回転を前記減速部を介して前記ノズル部に伝
    達することを特徴とする消火用散水ノズル。
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