JPH1155897A - 動圧軸受型モータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、簡単な構造で動圧発生オイルがモ
ータ外部へ漏出することのない、高寿命且つ信頼性の優
れた動圧軸受型モータを提供する。 【解決手段】 回転軸（１）を回転自在に支承するスリ
ーブ（２）を固定保持するハウジング（３）の内周側に
回転軸に沿った、少なくとも軸受クリアランスよりも断
面積を大とする溝（３ａ）を形成し、オイル溜り及びオ
イルの流通路とするとともに、回転軸の端部のスラスト
受け部もハウジングと一体とし、ハウジング（３）の出
力側には、圧入等によりキャップ（５）を形成したこと
により、オイル溜りのオイルを軸受内に毛細管現象によ
り呼び込むようにし、良好なオイルの循環経路を構成す
るとともに、簡単な構造により動圧発生オイルの漏れを
防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、動圧軸受型モータ
に係り、より具体的には動圧軸受部に介在する動圧発生
用のオイルの漏出の防止に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ＣＤ−ＲＯＭ等のスピンドル
モータの軸受構造として動圧軸受構造を用いたものがあ
るが、その中で、動圧発生用の潤滑流体の漏出防止方法
等、種々提案されており、例えば、特開平８−６５９４
９号公報などに記載されたものがあった。

【０００３】上記のものは、磁性流体を潤滑流体として
用いることによって、磁気力と毛細管力とを併用するシ
ール部によって流体保持機能を得るように構成したもの
であったり、スリーブ端面との間にオイル保持空間を形
成することにより軸受部のオイル流出を防止するもので
あった。

【０００４】しかしながら、上記のような動圧流体軸受
構造であると、動圧発生流体として特殊なオイルを使用
しなければならず、また、内部気圧の変化による軸受内
のオイルの膨張を吸収できないという問題も有してい
た。そのため、コスト的にも高くなり、低コスト化への
実現が難しいものであった。

【０００５】そこで、本発明の目的は上記したような問
題を解決して、簡単な構造により動圧軸受における動圧
発生オイルの漏出等を防止し、長期にわたって前記オイ
ルを保持可能とすることにより高寿命で尚且つ信頼性の
優れた動圧軸受型モータを提供しようというものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、回転軸を回転
自在に支承するスリーブを固定保持するハウジング内周
面に回転軸に沿った、少なくとも軸受クリアランスより
も断面積を大とする溝を形成し、オイル溜り及びオイル
の流通路とするとともに、回転軸の端部のスラスト受け
部もハウジングと一体としたことにより、オイル溜りの
オイルを軸受内に毛細管現象により呼び込むようにした
もので、簡単な構造により動圧発生オイルの漏れを防止
することができるようになり、高寿命で信頼性の優れた
動圧軸受型モータの実現が可能となる。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の動圧軸受型モータは、回
転軸と、前記回転軸を回転自在に支承するスリーブと、
前記スリーブを固定保持するハウジングとを備え、前記
回転軸の軸受部外周面あるいは前記スリーブの内周面の
いずれか一方に形成された動圧発生溝と、前記回転軸と
前記スリーブ間に保持された動圧発生用オイルによる動
圧軸受手段を備えた動圧軸受型モータにおいて、前記ス
リーブを固定保持するハウジング内周側に回転軸方向に
沿って、少なくとも軸受部のクリアランス以上の断面積
を持った溝を形成することで溝内部に溜ったオイルが毛
細管力による、軸受内部へのオイルの供給がなされ、尚
且つ回転軸の端部のスラスト受け部も一体にしたことで
スラスト受け部からのオイルの漏出を完全に防止したも
のである。また、ハウジングの出力側端面に、回転軸と
摺動することなく貫通する孔を有したキャップを圧入等
により固定することで、動圧発生用オイルの軸受外部へ
の漏出をより完全に防止できる。

【０００８】

【実施例】図１は、本発明の第１の実施例としてコアー
ド型スピンドルモータの要部断面図である。図１におい
て、１は回転軸であり、２は動圧溝２ａが形成されたス
リーブであって回転軸のスラスト受け部が一体化された
ハウジング３によって保持されており、そのハウジング
３には図に示すように、回転軸方向に沿って溝３ａが設
けられ、その出力端側にはキャップ５が圧入等により固
定されている。

【０００９】また、回転軸１には圧入等によりカップ状
のロータヨーク７が固定されており、このロータヨーク
７の内周面にはステータコア６と所定の空隙を介してリ
ング状の界磁マグネット８が配されている。そして、ス
リーブ２と回転軸１との間には動圧発生用のオイル９が
介在することにより回転軸１は回転自在に支承され、ハ
ウジング３に固定されたステータコア６と界磁マグネッ
ト８との磁気的作用によって回転駆動させる。

【００１０】ここで、図２に示すように、ハウジング３
の溝３ａはオイル９の流通路になると同時にオイル溜り
となり、回転駆動による温度上昇等による軸受内部圧力
増加により、溢れたオイル９はここでプールされ、軸受
出力側からでて還元されるため、動圧発生用オイル９の
良好な循環が可能となり高寿命化を計ることが可能とな
る。

【００１１】さらには、出力端側に圧入等により固定さ
れたキャップ５により、動圧発生用オイル９の外部への
漏出を完全に防止できる。

【００１２】また、動圧発生用オイル９の流通路として
は、上述したようにハウジング３の内周面に溝３ａを形
成する他に、図３（ａ）、（ｂ）に示すように、スリー
ブ２の外周面にＤカットあるいは溝を形成しても差し支
えない。

【００１３】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、回転
軸とスリーブに溜った動圧発生用オイルは、オイル溜ま
り及びオイルの流通路となる溝により、良好な動圧発生
用オイルの循環が可能となり、また回転軸端部のスラス
ト受け部もハウジングと一体としたことにより、スラス
ト受け側からのオイルの漏出を完全に防ぐことができ、
高寿命で尚且つ信頼性の優れた動圧軸受型モータの実現
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例におけるスピンドルモータ
の要部断面図である。

【図２】本発明のオイルの循環経路を示した図である。

【図３】本発明の軸受スリーブ側に溝を形成した場合
の、軸方向からみた上面図である。

【符号の説明】

１ ：回転軸 ２ ：スリーブ ２ａ：動圧発生溝 ３ ：ハウジング ３ａ：溝 ５ ：キャップ ６ ：コア ７ ：ロータ ８ ：マグネット ９ ：動圧発生オイル

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸と、前記回転軸を回転自在に支承
   するスリーブと、前記スリーブを固定保持するハウジン
   グとを備え、前記回転軸の軸受部外周面あるいは前記ス
   リーブの内周面のいずれか一方に形成された動圧発生溝
   と、前記回転軸と前記スリーブ間に保持された動圧発生
   用オイルによる動圧軸受手段を備えた動圧軸受型モータ
   において、前記スリーブが圧入固定されるハウジングの
   内周側には軸方向に沿ってオイルの流通路が設けられ、
   前記回転軸のスラスト受け部分を一体で構成することに
   より、ハウジング内部が閉鎖された袋状になっているこ
   とを特徴とする動圧軸受型モータ。
2. 【請求項２】 前記ハウジングの開放側には前記回転軸
   が貫通する孔を有したキャップが固定されていることを
   特徴とする動圧軸受型モータ。
3. 【請求項３】 前記スリーブの側面に溝またはＤカット
   を施し、前記ハウジングとの隙間をオイルの流通路とす
   ることを特徴とする動圧軸受型モータ。