JPH1154043A - 画像形成装置の製造方法 - Google Patents

画像形成装置の製造方法

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JPH1154043A
JPH1154043A JP21326897A JP21326897A JPH1154043A JP H1154043 A JPH1154043 A JP H1154043A JP 21326897 A JP21326897 A JP 21326897A JP 21326897 A JP21326897 A JP 21326897A JP H1154043 A JPH1154043 A JP H1154043A
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electron
forming apparatus
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Hisanori Tsuda
尚徳 津田
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示パネル構成部材からのガス分子の脱離に
伴う素子特性の劣化や真空放電を回避できる信頼性の高
い画像形成装置の製造方法を提供する。 【解決手段】 複数の電子放出素子を配列してなる電子
源と、該電子源に対向して配置され、該電子源に対し正
の電位となるようにアノード電圧を印加されて該電子源
からの電子の照射により画像を形成する画像形成部材と
を真空容器に内包してなる画像形成装置の製造方法にお
いて、該装置の駆動時よりも低い電圧を上記画像形成部
材に印加し、電子源から放出された電子を上記画像形成
部材に照射し、この電子照射中を通じて、上記画像形成
部材に略垂直方向の時間的に変動する磁界を、上記画像
形成装置に印加する、エージング工程を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子を用
いた画像形成装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子は、大別して熱電子
放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類のものが知られ
ている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下「F
E型」という。)、金属/絶縁層/金属型(以下「MI
M型」という。)、表面伝導型などの電子放出素子があ
る。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dol
an, "Field emission", Advance inElectron Physics,
8, 89(1956) あるいは C.A.Spindt,"PHYSICAL Properti
esof thin-film field emission cathodes with molybd
enium cones", J. Appl. Phys., 47, 5248(1976),等に
開示されたものが知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A.Mead, "Opera
tion of Tunnel-Emission Devices", J. Apply. Phys.,
32, 646(1961)等に開示されたものが知られている。表
面伝導型電子放出素子型の例としては、M.I.Elinson, R
adio Eng. Electron Pys., 10, 1290,(1965)等に開示さ
れたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子の放出が生ずる現象を利用するものである。
この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン
等によるSnO2薄膜を用いたもの(M.I.Elinson, Radi
o Eng. Electron Phys., 10, 1290,(1965))、Au薄膜
によるもの(G.Dittmer, "Thin Solid Films", 9, 317
(1972))、In23/SnO2薄膜によるもの(M.Hartw
ell and C.G.Fonstad, "IEEE Trans. ED Conf.", 519(1
975))、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他、真空、
第26巻、第1号、22頁(1983))等が報告され
ている。
【0006】上述の表面伝導型放出素子は構造が単純で
製造も容易であることから、大面積にわたり多数の素子
を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を生か
せるようないろいろな応用が研究されている。例えば、
荷電ビーム源、表示装置等が挙げられる。多数の表面伝
導型放出素子を配列形成した例としては、後述するよう
に、並列に表面伝導型電子放出素子を配列し、個々の素
子の両端を配線(「共通配線」ともいう。)で、それぞ
れ結線した行を多数行配列した電子源が挙げられる(例
えば、特開昭64−031332号、特開平1−283
749号、特開平2−257552号公報)。
【0007】また、特に表示装置等の画像形成装置にお
いては、近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRT
に代わって普及してきたが、自発光型でないため、バッ
クライトを持たなければならない等の問題点があり、自
発光型の表示装置の開発が望まれてきた。自発光型表示
装置としては、表面伝導型放出素子を多数配置した電子
源と、電子源から放出された電子により可視光を発光す
る蛍光体とを組み合わせた表示装置である画像形成装置
が挙げられる(例えばUSP5066883)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の平板型画像形成
装置は、複数の電子放出素子を配列した電子源基板と蛍
光体等が配された画像形成部材とが、真空部を介して、
対向して配置されて構成される。この画像形成装置は、
走査信号および変調信号を電子源基板に印加することに
より各電子放出素子から電子を放出させ、画像形成部材
に印加した数kV以上のアノード電圧Vaによりその電
子を加速し、蛍光体に衝突させて発光させることで画像
を表示する。
【0009】ところが、このような平板型表示装置にお
いては、動作の初期に、著しい輝度の低下や、表示に点
欠陥やライン欠陥を生じることがあった。これらの輝度
の低下や欠陥の発生の原因の一つは、動作に伴い、画像
形成部材に配される蛍光体やメタルバック、及び電子源
基板に配される配線や電極、電子放出素子などの表示パ
ネル構成部材からのガス分子の脱離が生じ、この真空悪
化に起因した真空放電や電子放出素子の特性劣化が生じ
ることにある。
【0010】このような真空悪化の対策として、「真空
排気能力を上げること」や、「各表示パネル構部材から
の脱ガス量を低減すること」が考えられる。
【0011】前者に対しては、十分な量のゲッターを配
置することが挙げられる。従来のCRT等のような表示
装置内部を真空にする表示装置においては、ゲッターに
より十分な真空維持を行うことができた。ところが、上
記平板型表示装置の場合には、表示装置内の真空部容積
が小さいため、ゲッターからの排気コンダクタンスが不
十分となり、特に表示装置内の局所的な脱ガスに対して
十分な排気が行えないという問題があった。
【0012】後者に対しては、従来、高温の真空排気ベ
ークプロセスを行うことにより、パネル構成部材からの
脱ガス量の低減が図られてきた。ところが、通常の百数
十℃ベークでは不十分であり、上記課題に対して本質的
な解決策とならない。また、さらに高温のベークにおい
ては、表示装置に用いる部材として、高温の真空ベーク
に耐えられない部材、つまり化学反応や合金化、薄膜の
凝集等が生じる部材およびそれらの組み合わせを用いる
ことができなくなるため、表示装置の構成上の制約が大
きくなり、望ましくない。
【0013】上記を鑑み、本発明の目的は、表示パネル
構成部材からのガス分子の脱離に伴う素子特性の劣化や
真空放電を回避できる信頼性の高い画像形成装置の製造
方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めになされた本発明は、複数の電子放出素子を配列して
なる電子源と、該電子源に対向して配置され、該電子源
に対し正の電位となるようにアノード電圧を印加されて
該電子源からの電子の照射により画像を形成する画像形
成部材とを真空容器に内包してなる画像形成装置の製造
方法において、該装置の駆動時よりも低い電圧を上記画
像形成部材に印加し、電子源から放出された電子を上記
画像形成部材に照射し、この電子照射中を通じて、上記
画像形成部材に略垂直方向の時間的に変動する磁界を、
上記画像形成装置に印加する、エージング工程を有する
ことを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0015】本発明の画像形成装置の製造方法は、図1
5に示すように、電子源基板および画像形成部材を作製
後、組み立て・封着工程、真空排気、ベーキングの後
に、引き続き、「エージング工程」と称する脱ガス工程
を行うことに特徴がある。なお、封止およびゲッターフ
ラッシュは、ベーキング工程とエージング工程の間に行
ってもよいし、エージング工程の後に行ってもよい。こ
こで、電子源基板に配置される電子放出素子として表面
伝導型電子放出素子を用いる際には、図16のようにフ
ォーミング工程、活性化工程、安定化工程等が適宜行わ
れる。また、図15及び図16では封止工程の後に、エ
ージング工程を記してあるが、逆にエージング工程の後
に封止工程を行ってもよい。
【0016】さて、先に述べたように、画像形成装置を
動作すると、電子線照射や熱にともないパネル構成部材
から相当量の脱ガスが発生する。過度の脱ガスが生じ、
著しい真空度が悪化した場合には、真空放電による素子
の損傷や、電子放出素子の特性の劣化にともない、輝度
の低下や、表示に点欠陥やライン欠陥を生じるという問
題があった。
【0017】本発明のエージング(脱ガス)手法を用い
れば、各部材から十分な脱ガスを促しつつ、電子放出素
子の特性の劣化や真空放電を起こすような真空度の著し
い悪化を抑制・回避して、定常動作に到達することが可
能になる。さらに、このエージング工程により最終的な
定常動作まで可能となった画像形成装置は、その後の定
常駆動に置いても安定した画像を表示することができ
る。また、本エージング工程の手法は、表面伝導型をは
じめ、FE型およびMIM型電子放出素子を搭載した画
像形成装置に適用可能である。
【0018】上記エージング工程において、アノード電
圧を通常の駆動時よりも低くする理由は次の通りであ
る。電子線の照射により画像形成部材からガスが放出さ
れ、そのため局所的にガス圧が高くなる部分が生ずる。
このとき、アノード電圧が通常の駆動の際と同様に数k
V程度となっていると、放電が生じやすく、これにより
電子放出素子の劣化や破壊を招きやすくなる。一方、画
像形成部材に入射する電子線のエネルギーは、当然アノ
ード電圧に比例する。しかし、電子線のエネルギーが高
いほど画像形成部材からの脱ガスの効率が良くなるので
はない。たとえばM.Nishijima and F.M. Propst:Phys.
Rew., B2(1970)2368等に、電子線の入射エネルギーが4
00eVを超えると、ガスの脱離の確率はそれ以上ほと
んど上昇しなくなることが開示されている。
【0019】本発明者は、画像形成装置の製造方法のエ
ージング工程において、この工程中の放電による損傷が
生じず、効率よく脱ガスのできる条件として、アノード
電圧を400V〜1kVとするのが好ましいことを見い
出した。
【0020】また、画像形成部材に略垂直方向の磁界を
印加することにより、電子源から放出された電子線は、
ローレンツ力によりその軌道を回転させる力を受ける。
このため、磁場が印加されない場合の通常電子線の当た
らない部分にも電子線を照射することができ、より完全
な脱ガスを行うことができる。磁場を時間的に変化させ
ることによって、さらに満遍なく電子線を照射すること
ができる。このようにすることにより、画像表示装置を
実際に動作させた際、アノード電圧や素子電圧が突発的
に変動するなど様々な原因により、電子ビームが通常と
は異なる位置に照射された場合でも、その部分が十分に
脱ガスされているため、大量のガスが放出されるという
事態が避けられ、放電による電子放出素子の劣化や損傷
などにより、画像形成装置に欠陥が生じたり破損したり
することが避けられる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、まず本発明の画像形成装置
の製造方法の特徴的な工程である「エージング工程」に
ついて詳述した後、本発明の画像形成装置に適用可能な
表面伝導型電子放出素子の構成、製法および特性につい
て述べ、さらに、本発明の画像形成装置の構成および製
法について説明する。
【0022】<エージング工程>本発明におけるエージ
ング工程は、図15及び図16に示すように、電子源
(電子源基板)及び画像形成部材の作製工程、組み立て
・封着工程、真空排気、ベーキング等を施した後、画像
形成装置の定常動作(すなわち、画像形成装置を実際に
使用するときの動作であり、使用目的により異なるが、
例えばアノード電圧Vaとして5kV程度における60
HzのTV動作や全面点灯などの動作)に先立って行う
工程である。なお、前述したように、封止工程とゲッタ
ーフラッシュは、エージング工程の前または後のどちら
で行ってもよい。
【0023】本発明のエージング手法およびエージング
装置について図12を用いて説明する。図12はエージ
ング装置の一例の説明図である。製造工程下の画像形成
装置308は、複数の電子放出素子を配列した電子源基
板309と、この電子源基板と真空部を介し対向して設
けられた画像形成部材310とから構成される。また、
電子源基板309には電子源駆動装置302が、画像形
成部材310には電子線の加速のための高圧電源(アノ
ード電源)305がそれぞれ接続されている。電子源駆
動装置302は、電子源基板上に配列された電子放出素
子に所望の素子電圧を印加する装置であり、駆動電圧V
fや、駆動Duty、駆動走査周波数、駆動素子数等を
任意に設定可能である。後に説明するTV駆動装置と同
様な構成とすることができ、千鳥表示、単色表示などの
任意の画像テストパターンでも駆動できる。ここで、駆
動走査周波数とは、駆動ラインを順次切り替えて駆動す
る際の一周期周波数である。高圧電源(アノード電源)
305は、画像形成部材にアノード電圧を印加する装置
である。他にも、電子源の駆動に伴い電子源基板を流れ
る電流(主に素子電流)を測定する電子源駆動電流測定
器303、電子源基板と画像形成部材の間を流れる電流
(主に放出電流)を測定する発光表示電流測定器30
6、画像形成部材310の上方には、電子源から放出さ
れる電子線の軌道を変更するための電磁石311が配置
してある。電磁石311は、磁石位置制御装置312に
より画像形成装置308上を移動できるようになってい
る。磁力制御装置313は電磁石311のパワー制御を
行なう装置である。
【0024】<表面伝導型電子放出素子の構成、製法お
よび特性>本発明を適用し得る表面伝導型電子放出素子
の基本的構成の一例について説明する。図1は、本発明
を適用可能な平面型表面伝導型電子放出素子の構成の説
明図であり、図1(a)は平面図、図2(b)は断面図
である。図1において、1は基板、2と3は素子電極、
4は導電性薄膜、5は電子放出部である。素子電極間隔
L、素子電極長さW、導電性薄膜の長さWa等の形状
は、応用される形態等を考慮して設計される。素子電極
間隔Lは、好ましくは数百nmから数百μmの範囲とす
ることができ、より好ましくは数μmから数十μmの範
囲とすることができる。素子電極長さWは、電極の抵抗
値および電子放出特性を考慮して、数μmから数百μm
の範囲とすることが好ましい。素子電極2、3の膜厚d
は、数十nmから数μmの範囲とすることが好ましい。
なお、図1に示した構成だけでなく、基板1上に、導電
性薄膜4、対向する素子電極2、3の順に積層した構成
とすることもできる。
【0025】導電性薄膜4には、良好な電子放出特性を
得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが
好ましい。その膜厚は、素子電極2、3へのステップカ
バレージ、素子電極2、3間の抵抗値、および後述する
フォーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常
は、0.1nmの数倍から数百nmの範囲とするのが好
ましく、1〜50nmの範囲とするのがより好ましい。
その抵抗値は、Rsが102〜107Ω/□の値である。
なおRsは、厚さがt、幅がwで長さがlの薄膜の長さ
方向に測定した抵抗Rを、R=Rs(l/w)とおいた
ときに示される量である。フォーミング処理について
は、通電処理を例に挙げて説明するが、フォーミング処
理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂を生じさせ
て高抵抗状態を形成する処理を包含するものである。
【0026】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の
膜厚、膜質、材料、および後述する通電フォーミング等
の手法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部に
は、0.1nmの数倍から数十nmの範囲の粒径の導電
性微粒子が存在する場合もある。この導電性微粒子は、
導電性薄膜4を構成する材料の元素の一部あるいは全て
の元素を含有するものとなる。電子放出部5及びその近
傍の導電性薄膜4には、炭素および炭素化合物を有する
こともできる。
【0027】以下、図1及び図2を参照しながら、表面
伝導型電子放出素子の製造方法の一例について説明す
る。図2においても、図1に示した部位と同じ部位には
図1に付した符号と同一の符号を付している。
【0028】基板1を洗剤、純水および有機溶剤等を用
いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により素
子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術
を用いて基板1上に素子電極2、3を形成する(図2
(a))。
【0029】素子電極2、3を設けた基板1上に、有機
金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機金
属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素と
する有機金属化合物の溶液を用いることができる。有機
金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等
によりパターニングし、導電性薄膜4を形成する(図2
(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説
明したが、導電性薄膜4の形成法はこれに限られるもの
でなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、
分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いる
こともできる。
【0030】次いで、フォーミング工程を施す。このフ
ォーミング工程の方法の一例として通電処理による方法
を説明する。素子電極2、3間に不図示の電源を用いて
通電を行うと、導電性薄膜4に、構造の変化した電子放
出部5が形成される(図2(c))。このような通電フ
ォーミングによれば、導電性薄膜4に局所的に破壊、変
形もしくは変質等の構造の変化した部位が形成される。
この部位が電子放出部5を構成する。
【0031】上記通電フォーミングの電圧波形の例を図
3に示す。電圧波形はパルス波形が好ましい。これには
パルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する
図3(a)に示す手法と、パルス波高値を増加させなが
ら電圧パルスを印加する図3(b)に示す手法がある。
図3(a)におけるT1及びT2はそれぞれ電圧波形のパ
ルス幅およびパルス間隔である。通常、T1は1μsec.
〜10msec.、T2は10μsec.〜10msec.の範囲で設
定される。三角波の波高値(通電フォーミング時のピー
ク電圧)は、表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適
宜選択される。このような条件のもと、例えば、数秒か
ら数十分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に限定
されるものではなく、矩形波など所望の波形を採用する
ことができる。図3(b)におけるT1及びT2は図3
(a)に示すものと同様とすることができる。三角波の
波高値は、例えば0.1Vステップ程度づつ増加させる
ことができる。
【0032】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性薄膜2を局所的に破壊、変形しない
程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することがで
きる。例えば、0.1V程度の電圧印加により流れる素
子電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を
示した時、通電フォーミングを終了させる。
【0033】フォーミングを終えた素子には活性化工程
と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程によ
り、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化する。活性
化工程は、例えば、有機物質のガスを含有する雰囲気下
で、通電フォーミングと同様にパルスの印加を繰り返す
ことで行うことができる。この雰囲気は、例えば油拡散
ポンプやロータリーポンプ等を用いて真空容器内を排気
した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成
することができる他、イオンポンプ等により一旦十分に
排気した真空中に適当な有機物質のガスを導入すること
によっても得られる。このときの好ましい有機物質のガ
ス圧は、前述の応用の形態や、真空容器の形状、有機物
質の種類などにより異なるため、場合に応じて適宜設定
される。適当な有機物質としては、アルカン、アルケ
ン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、
アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フ
ェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げ
ることができ、具体的には、メタン、エタン、プロパン
等のCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プ
ロピレン等のCn2n等の組成式で表される不飽和炭化
水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノ
ール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等あるいはこれらの混
合物が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在す
る有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆
積し、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化するよう
になる。活性化工程の終了の判定は、素子電流Ifと放
出電流Ieを測定しながら適宜行う。なお、パルス幅、
パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0034】このような工程を経て得られた電子放出素
子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、
真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空容器
を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが
素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しな
いものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープショ
ンポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げること
ができる。前記活性化工程で、排気装置として油拡散ポ
ンプやロータリーポンプを用い、これから発生するオイ
ル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この成分の
分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の有機成
分の分圧は、上記の炭素および炭素化合物がほぼ新たに
堆積しない分圧で1.3×10-6Pa以下が好ましく、
特に1.3×10-8Pa以下が好ましい。さらに、真空
容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、
真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子
を排気しやすくするのが好ましい。このときの加熱条件
は、80〜250℃、好ましくは150℃以上で、でき
るだけ長時間処理するのが望ましい。真空容器内の圧力
は極力低くすることが必要で、1×10-5Pa以下が好
ましく、特に1.3×10-6Pa以下が好ましい。
【0035】このような安定化工程を行った後の、駆動
時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持す
るのが好ましい。このような真空雰囲気を採用すること
により、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制で
き、また真空容器や基板などに吸着したH2OやO2など
も除去でき、結果として素子電流If及び放出電流Ieが
安定する。
【0036】<画像形成装置の構成>本発明を適用可能
な、電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につ
いて図5を用いて説明する。図5において、51は電子
源基板、52はX方向配線、53はY方向配線である。
54は表面伝導型電子放出素子、55は結線である。
【0037】X方向配線52は、Dx1,Dх2,・・
・,Dхmのm本の配線からなり、真空蒸着法、印刷
法,スパッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構
成することができる。配線の材料、膜厚、巾は適宜設計
される。Y方向配線53は、Dy1,Dy2,・・・,Dyn
のn本の配線よりなり、X方向配線52と同様に形成さ
れる。これらm本のX方向配線52とn本のY方向配線
53との間には、不図示の層間絶縁層が設けられてお
り、両者を電気的に分離している(m,nは共に正の整
数)。不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷法、ス
パッタ法等を用いて形成されたSiO2等で構成され
る。例えば、X方向配線52を形成した基板51の全面
あるは一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線
52とY方向配線53の交差部の電位差に耐え得るよう
に、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線5
2とY方向配線53は、それぞれ外部端子として引き出
されている。表面伝導型電子放出素子54を構成する一
対の電極(不図示)は、m本のX方向配線52とn本の
Y方向配線53と導電性金属等からなる結線55によっ
て電気的に接続されている。X方向配線52とY方向配
線53を構成する材料、結線55を構成する材料、及び
一対の素子電極を構成する材料は、その構成元素の一部
あるいは全部が同一であっても、またそれぞれ異なって
もよい。これら材料は、例えば前述の素子電極の材料か
ら適宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料
が同一である場合には、素子電極に接続した配線は素子
電極ということもできる。X方向配線52には、X方向
に配列した表面伝導型電子放出素子54の各行を選択す
るための走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段
が接続される。一方、Y方向配線53には、Y方向に配
列した表面伝導型電子放出素子54の各列を入力信号に
応じて変調するための不図示の変調信号発生手段が接続
される。各電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該
素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供
給される。
【0038】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。このような単純マトリクス配置の電子
源を用いて構成した画像形成装置について、図6、図7
及び図8を用いて説明する。図6は、画像形成装置の表
示パネルの一例を示す模式図であり、図7は、図6の画
像形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図8
は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行なうた
めの駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0039】図6において、51は電子放出素子を複数
配した電子源基板、61は電子源基板51を固定したリ
アプレート、66はガラス基板63の内面に蛍光膜64
とメタルバック65等が形成されたフェースプレートで
ある。62は支持枠であり、この支持枠には、リアプレ
ート61及びフェースプレート66が低融点のフリット
ガラス等を用いて接合される。54は、図1の電子放出
素子に相当する。52及び53はそれぞれ、表面伝導型
電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線
およびY方向配線である。
【0040】外囲器68は、上述の如く、フェースプレ
ート66、支持枠62、リアプレート61で構成され
る。リアプレート61は、主に電子源基板51の強度を
補強する目的で設けられるため、電子源基板51自体で
十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート61は不要
とすることができる。すなわち、電子源基板51に直接
支持枠62を封着し、フェースプレート66、支持枠6
2及び電子源基板51で外囲器68を構成してもよい。
一方、フェースプレート66とリアプレート61との間
に、スペーサーとよばれる不図示の支持体を設置するこ
とにより、大気圧に対して十分な強度をもつ外囲器68
を構成することもできる。
【0041】図7は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成するこ
とができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列に
よりブラックストライプ或いはブラックマトリクス等と
呼ばれる黒色導電材71と蛍光体72とから構成するこ
とができる。ブラックストライプやブラックマトリクス
等の黒色導電材を設ける目的は、カラー表示の場合、必
要となる三原色蛍光体の各蛍光体72間の塗り分け部を
黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜
64における外光反射によるコントラストの低下を抑制
することにある。ブラックストライプの材料としては、
通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電
性があって光の透過および反射が少ない材料を用いるこ
とができる。
【0042】蛍光膜64の内面側には、通常メタルバッ
ク65が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍
光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート66
側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用さ
せること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダ
メージから蛍光体を保護すること等である。メタルバッ
クは、蛍光膜の作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処
理(通常「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後、Alを真空蒸着等により堆積させることで作製でき
る。
【0043】フェ―スプレート66には、さらに蛍光膜
64の導電性を高めるため、蛍光膜64の外面側に透明
電極(不図示)を設けてもよい。
【0044】<画像形成装置の製造方法>上述の画像形
成装置の製造方法としては様々な方法があるが、その一
例を以下に示す。
【0045】1)電子源基板の形成 電子源基板の製造方法としては様々な方法があるが、そ
の一例を図9及び図10を用いて説明する。電子源基板
の一部の平面図を図9に示す。また、図中のA−A’線
断面図を図10に示す。但し、図9及び図10で同じ記
号で示したものは同じものを示す。ここで、51は電子
源基板、52は図5のDxnに対応するX方向配線(「下
配線」とも呼ぶ。)、53は図5のDynに対応するY方
向配線(「上配線」とも呼ぶ。)、1は基板、4は導電
性薄膜、2、3は素子電極、151は層間絶縁層、15
2は素子電極2と下配線72と電気的接続のためのコン
タクトホールである。
【0046】まず、基板1を洗剤、純水および有機溶剤
等を用いて十分に洗浄した後、下配線52、層間絶縁層
151、上配線53、及び素子電極2、3を形成する。
これらの配線および電極の形成には、真空蒸着法、スパ
ッタ法、印刷、フォトリソグラフィー技術等を用いるこ
とができる。
【0047】次に、配線および素子電極2、3を設けた
基板1に有機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成
する。有機金属溶液には、前述の導電性薄膜4の材料の
金属を主元素とする有機金属化合物の溶液を用いること
ができる。有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオ
フ、エッチング等によりパターニングし、導電性薄膜4
を形成する。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて
説明したが、導電性薄膜4の形成法はこれに限られるも
のでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積
法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用
いることもできる。
【0048】2)画像形成部材(フェースプレート)形
成 ガラス基板63に蛍光体を塗布する方法はスラリー法等
を用いることができる。また、蛍光膜64の内面側には
通常メタルバック65が設けられるが、メタルバック
は、蛍光膜の作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後、Alを真空蒸着することで作製できる。フェースプ
レート66には、さらに蛍光膜64の導伝性を高めるた
めに、蛍光膜64の外面側に透明電極(不図示)が設け
られる場合もある。
【0049】3)組立・封着工程 次に、封着技術を用いて図6に示すような外囲器を作製
する。前述した電子源基板51、リアプレート61及び
画像形成部材(フェーズプレート)66を支持枠62及
びスペーサを介して配置する。フェースプレート66、
支持枠62及びリアプレート61の接合部にフリットガ
ラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で焼成する
ことで封着する。封着を行う際、カラーの場合は各色蛍
光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行う。
【0050】4)排気工程 以上のようにして完成したガラス容器内の雰囲気を排気
管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気する。
【0051】5)フォーミング工程 つづいて、フォーミング工程を施す。このフォーミング
工程の方法の一例として通電処理による方法を説明す
る。配線を介して、素子電極2、3間に不図示の電源を
用いて通電を行うと、導電性薄膜4に、構造の変化した
電子放出部5が形成される。この通電フォーミングによ
れば、導電性薄膜4に局所的に破壊、変形もしくは変質
等の構造の変化した部位が形成される。この部位が電子
放出部5を構成する。
【0052】上記通電フォーミングの電圧波形の例を図
3に示す。電圧波形はパルス波形が好ましい。これには
パルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する
図3(a)に示す手法と、パルス波高値を増加させなが
ら電圧パルスを印加する図3(b)に示す手法がある。
図3(a)におけるT1及びT2はそれぞれ電圧波形のパ
ルス幅およびパルス間隔である。通常、T1は1マイク
ロ秒〜10ミリ秒、T2は10マイクロ秒〜100ミリ
秒の範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォーミ
ング時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子の形
態に応じて適宜選択される。このような条件のもと、例
えば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は
三角波に限定されるものではなく、矩形波など所望の波
形を採用することができる。図3(b)におけるT1及
びT2は図3(a)に示すものと同様とすることができ
る。三角波の波高値は、例えば0.1Vステップ程度づ
つ増加させることができる。
【0053】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性薄膜2を局所的に破壊、変形しない
程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することがで
きる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子
電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示
した時、通電フォーミングを終了させる。
【0054】このように作製された電子放出部3は、パ
ラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状
態となり、その微粒子の平均粒径は30オングストロー
ムとなる。
【0055】6)活性化工程 フォーミングを終えた素子に活性化処理を施し、電子放
出部およびその近傍に炭素および炭素化合物を堆積す
る。活性化工程は、例えば、有機物質のガスを外囲器内
に導入し、パルスの印加を繰り返すことで行うことがで
きる。この有機物質のガスは、例えば油拡散ポンプやロ
ータリーポンプ等を用いて排気した場合に雰囲気内に残
留する有機ガスを利用することができる他、イオンポン
プ等により一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質
のガスを導入してもよい。このときの好ましい有機物質
のガス圧は、真空容器の形状や、有機物質の種類などに
より異なるため場合に応じて適宜設定される。適当な有
機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪
族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アル
デヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボ
ン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることができ、具
体的には、メタン、エタン、プロパン等のCn2 n+2
表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレン等のCn
2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、
ベンゾニトリル、トリニトリル、トルエン、メタノー
ル、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エ
チルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等
が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在する有
機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積
し、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化するように
なる。活性化処理に用いられる電圧パルス波型は任意の
ものが可能であり、方形波、三角波、サイン波、台形波
等が挙げられる。また、図11(a)に示すように、常
にある片方の極性のパルスを印加する手法や、図11
(b)に示すのように代わる代わる逆の極性のパルスを
印加する手法などがある。電圧パルスの波高値(活性化
電圧Vact)は、固定電圧で行う手法や、時間とともに
徐々に電圧を増加させて行う手法などがある。上記活性
化処理を施した表面伝導型電子放出素子は、素子電圧を
印加し、素子表面に電流を流すことにより、上述電子放
出部3から十分な量の電子を放出する。
【0056】7)安定化工程 活性化工程の後には、以下の安定化工程を行うのが望ま
しい。この工程は、真空容器内の有機物質を排気する工
程である。外囲器内の真空部の圧力は1×10 -6Pa以
下が好ましく、特に1×10-11Pa以下が好ましい。
外囲器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオ
イルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使
用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソー
プションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げ
ることができる。さらに真空容器内を排気するときに
は、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放
出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが
好ましい。このときの加熱条件は、100〜300℃で
より長い時間行うことが望ましいが、特にこの条件に限
るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素
子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行
う。このような安定化工程を行った後は、真空部の有機
物質が十分除去され、新たな炭素あるいは炭素化合物の
堆積を抑制でき、結果として素子電流If及び放出電流
Ieが安定する。
【0057】8)封止/ゲッター工程 安定化工程の後、不図示の排気管をガスバーナーで熱す
ることで溶着し、外囲器の封止を行う。外囲器68の封
止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なう
こともできる。これは、外囲器68の封止を行う直前あ
るいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用い
た加熱により、外囲器68内の所定の位置(不図示)に
配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理で
ある。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、この蒸着
膜の吸着作用により、たとえば1×10-4〜1×10
-11Paの真空度を維持することができる。
【0058】9)エージング 封止工程、ゲッター処理(ゲッターフラッシュ)の後、
先に詳述したエージング工程を施す。また、ここでは、
封止工程後にエージングを施したが、封止工程前すなわ
ち安定化後に行ってもよい。
【0059】以上のようにして完成した本発明の画像表
示装置において、各電子放出素子には、容器外端子Dx1
〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、走査信号および変調信号を
不図示の信号発生手段よりそれぞれ印加することによ
り、電子を放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバッ
ク65あるいは透明電極(不図示)に数kV以上の高圧
(アノード電圧Va)を印加し、電子ビームを加速し、
蛍光膜64に衝突させ、励起・発光させることで画像を
表示する。Vaは、通常駆動時より低く設定する。エー
ジングの進行にともない徐々に上昇させてもよい。
【0060】電子ビームが蛍光膜等にあたると、蛍光膜
あるいはメタルバック等の表面に吸着していたガスが放
出される。この放出されたガスはゲッターに吸収される
が一部は周辺部材に再吸着されてしまう。そこで電子ビ
ームの軌道を変化させて蛍光面の広い面積を電子ビーム
照射すれば、効率よくエージングでき、電子源基板の電
子放出部5の安定性も向上する。このように本発明で
は、磁力によって、電子ビームの軌道を変更・制御する
ことが特徴である。磁石により発生する磁界は、装置に
対し、略垂直方向となるようにする。
【0061】図12の電磁石311に磁力制御装置から
電力を供給することにより、磁力の調整を行なう。電子
ビームの軌道を大きく振らせたい場合は電流量を大きく
すればよいが、好ましくは0.1〜5A流せる電磁石を
用いることが望ましい。また、電磁石に印可する電圧波
形は直流でも交流でもかまわない。磁石位置制御装置3
12は、XYステージをステッピングモータで駆動して
画像形成装置308上を稼働できるようになっている。
また磁石位置制御と磁力制御はコンピュータにより連動
しで行なうことが好ましい。
【0062】画像形成部材(フェースプレート)の外表
面と磁石までの距離はできるだけ近づけた方がよく、接
触していてもよい。好ましくは1mmから5cmぐらい
離して磁石をスキャンさせるのがよい。
【0063】図12では、磁力が制御できる電磁石の例
を示したが、電子線の軌道を変えることができるように
永久磁石を配置しても同様の効果が得られる。すなわち
電子線の軌道に磁束を交差させるように磁石を配置すれ
ばよい。使用可能な磁石としては、焼結または鋳造アル
ニコ、希土類コバルト磁石などを用いることができる。
【0064】磁石を複数個用いて電子線を放出させなが
ら画像形成部材310上を動かす(走査する)ことによ
り、エージングの効果が著しく改善される。もちろん、
画像形成装置の方を動かしてもよい。
【0065】以上のようにして完成した本発明の画像表
示装置において、各電子放出素子には容器外端子Dx1〜
Dxm、Dy1〜Dynを通じ、走査信号および変調信号を不
図示の信号発生手段よりそれぞれ印加することにより、
電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバック65
あるいは透明電極(不図示)に数kV以上の高圧を印加
し、電子ビームを加速し、蛍光膜64に衝突させ、励起
・発光させることで画像を表示する。
【0066】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要
素の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0067】実施例1 本実施例は、電子源基板に多数の表面伝導型電子放出素
子を単純マトリクス配置した画像形成装置の例である。
素子の数は、x方向、y方向共に100個とした。
【0068】本実施例はエージング工程において、外部
から磁場を与えることにより、電子線の照射方向を変更
させる手法を用いた。具体的には、前述した安定化工程
後、真空容器全体を200℃で10時間加熱した後、封
止前に表示パネルの画像形成部材上約2mmの場所に電
磁石をセットし、画像形成部材に500Vのアノード電
圧を印加しながら電子源基板を駆動した。この時に電磁
石を用いて交流電界を印加したところ、磁界を加えなか
った時に比べて2倍のガス放出が見られた。これは磁界
により電子ビームの軌道が乱されて、広い範囲の画像形
成部材に電子ビームが当ったため、画像形成部材の表面
に吸着していたガスが放出されたためである。
【0069】このようにして作製された本実施例の画像
形成装置は、高品位な(バラツキの小さい)表示画像を
長期にわたって安定して得られる画像形成装置であっ
た。さらに、本実施例の画像形成装置の製造方法は、画
像形成装置への放電によるダメージが生ずる可能性を大
幅に低減でき、信頼性が向上した。
【0070】実施例2 本実施例においては、実施例1の電磁石を、ステッピン
グモーターのついたステージで動かせるようにして、図
12に示す磁石位置制御装置を用いて図13に示すよう
に、画像形成部材上を全面にわたりスキャンさせた。磁
石と画像形成部材との距離は約2mmに設定して、5m
m/secのスピードでスキャンさせた以外は実施例1
と同様に画像形成装置を作製した。なお、電磁石へは5
0Hz、5Aの電流を流した。
【0071】その結果、画像形成装置の寿命(実駆動時
のアノード電流が半分に落ちるまでの時間)が実施例1
の1.2倍に改善できた。
【0072】実施例3 本実施例においては、実施例1の電磁石を図14に示す
ように複数個配置した。本実施例では、9個の電磁石
を、50Hz、5Aの電流を流しながら、画像形成部材
上を全面にわたりスキャンさせた。このとき、磁石と画
像形成部材との距離は約2mmに設定して、5mm/s
ecのスピードでスキャンさせた。エージング時間を1
/5にしたにもかかわらず実施例2と同等の効果が得ら
れ、画像形成装置の寿命が実施例1の1.2倍に改善で
きた。なお、 実施例4 本実施例においては、実施例3において電磁石のかわり
に鋳造アルニコ5の永久磁石を、画像形成部材上の全面
にわたり10mm/secでスキャンさせた。その結
果、画像形成装置の寿命が実施例1と同等に改善され
た。
【0073】実施例5 本実施例においては、封止、ゲッターフラッシュを行
い、画像形成装置としての実装が終了した後、エージン
グを行なった。その際、電磁石を、図12に示す磁石位
置制御装置を用いて画像形成装置上を約5mm/sec
で走査させた。
【0074】その結果、本実施例の画像形成装置は、高
品位な(バラツキの小さい)表示画像を長期にわたって
安定して得られる画像形成装置であった。さらに、本実
施例の画像形成装置の製造方法は信頼性が高かった。
【0075】
【発明の効果】本発明の画像形成装置は、磁場によって
電子線の起動を変更させるエージング工程を施すことに
より、表示パネル構成部材からのガス分子の脱離に伴う
素子特性劣化や真空放電を抑制することが可能となり、
その結果、表示に点欠陥やライン欠陥等が無くなり、歩
止りを低減することができる。また、動作初期の劣化を
抑制することができるため、表示が高輝度で安定な画像
形成装置を実現できる。さらに本発明は、高温の真空ベ
ークプロセスを行なわずとも、上記効果を達成できる利
点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により作製される画像形成装置の表面伝
導型電子放出素子の説明図である。
【図2】本発明により作製される画像形成装置の表面伝
導型電子放出素子の製造方法の説明図である。
【図3】表面伝導型電子放出素子の製造における通電フ
ォーミングの電圧波形を示す図である。
【図4】表面伝導型電子放出素子の駆動イメージ図であ
る。
【図5】本発明により作製される画像形成装置の電子源
基板の説明図である。
【図6】本発明により作製される画像形成装置の表示パ
ネルの説明図である。
【図7】本発明により作製される画像形成装置の蛍光膜
の説明図である。
【図8】NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行な
うための駆動回路のブロック図である。
【図9】本発明により作製される画像形成装置の電子源
基板の部分平面図である。
【図10】図9のA−A’線断面図である。
【図11】本発明の製造方法における活性化工程の電圧
波形を示す図である。
【図12】本発明の製造方法に用いるエージング装置の
説明図である。
【図13】本発明のエージング手法の説明図である。
【図14】本発明のエージング手法の説明図である。
【図15】本発明の製造方法の工程図である。
【図16】本発明の製造方法の工程図である。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 40 素子電極側電流計 41 電源 42 アノード電極側電流計 43 高圧電源 44 アノード電極 45 真空装置 46 排気ポンプ 51 電子源基板 52 X方向配線 53 Y方向配線 54 表面伝導型電子放出素子 55 結線 61 リアプレート 62 支持枠 63 ガラス基板 64 蛍光膜 65 メタルバック 66 フェースプレート 68 外囲器 71 黒色導電材 72 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 151 層間絶縁層 152 コンタクトホール 301 コンピュータ 302 電子源駆動装置 303 電子源駆動電流測定器 305 アノード電源 306 発光表示電流測定器 308 画像形成装置 309 電子源基板 310 画像形成部材 311 電磁石 312 磁石位置制御装置 313 磁力制御装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電子放出素子を配列してなる電子
    源と、該電子源に対向して配置され、該電子源に対し正
    の電位となるようにアノード電圧を印加されて該電子源
    からの電子の照射により画像を形成する画像形成部材と
    を真空容器に内包してなる画像形成装置の製造方法にお
    いて、 該装置の駆動時よりも低い電圧を上記画像形成部材に印
    加し、電子源から放出された電子を上記画像形成部材に
    照射し、この電子照射中を通じて、 上記画像形成部材に略垂直方向の時間的に変動する磁界
    を、上記画像形成装置に印加する、エージング工程を有
    することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記電子放出素子が、基体上に対向する
    一対の素子電極と、該素子電極と接続されその一部に電
    子放出部を有する導電性薄膜とを有する表面伝導型電子
    放出素子である請求項1記載の画像形成装置の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 上記エージング工程において、画像形成
    部材に印加されるアノード電圧が400V〜1kVの範
    囲である請求項1又は2記載の画像形成装置の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 画像形成装置に印加される上記磁界は、
    上記エージング工程中に画像形成装置近傍に配置される
    電磁石により発生させられることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の画像形成装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 磁界を時間的に変化させる方法が、上記
    電磁石に供給する電流を時間的に変化させる方法である
    ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 磁界を時間的に変化させる方法が、上記
    電磁石と画像形成装置の位置を相対的に移動させる方法
    であることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 画像形成装置に印加される上記磁界は、
    上記エージング工程中に画像形成装置近傍に配置される
    永久磁石により発生させられ、該永久磁石と画像形成装
    置の位置を相対的に変化させることにより、磁界を時間
    的に変化させることを特徴とする請求項1、2又は3記
    載の画像形成装置の製造方法。
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JP21326897A Pending JPH1154043A (ja) 1997-08-07 1997-08-07 画像形成装置の製造方法

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JP (1) JPH1154043A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001009870A1 (en) * 1999-08-02 2001-02-08 Motorola Inc. Method for improving life of a field emission display
JP2003007213A (ja) * 2001-06-25 2003-01-10 Sony Corp ガス放電表示パネルの初期エージング処理方法および初期エージング処理装置

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