JPH115271A - 耐候性樹脂被覆金属板 - Google Patents

耐候性樹脂被覆金属板

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JPH115271A
JPH115271A JP10052697A JP5269798A JPH115271A JP H115271 A JPH115271 A JP H115271A JP 10052697 A JP10052697 A JP 10052697A JP 5269798 A JP5269798 A JP 5269798A JP H115271 A JPH115271 A JP H115271A
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JP
Japan
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metal plate
vinyl chloride
resin film
coated metal
resin
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JP10052697A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Ebiya
俊昭 蛯谷
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Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化ビニル系樹脂被覆金属板の紫外線による
劣化を充分かつ長期に亘って抑制できる耐候性樹脂被覆
金属板を提供する。 【解決手段】 金属板1上に、塩化ビニル系樹脂層3を
設け、更にその上に透明樹脂フィルム4を積層する。透
明樹脂フィルム4中に低分子型の紫外線吸収剤と高分子
型の紫外線吸収剤の両方を添加する。透明樹脂フィルム
4の実際の被覆厚みの1/2の厚みで測定した波長28
0nm〜400nmの範囲での紫外線遮蔽性の測定値を
70%以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は屋外用途に用いられ
る耐候性樹脂被覆金属板に関し、さらに詳しくは透明樹
脂フィルムを表面に積層した塩化ビニル系樹脂被覆金属
板において、透明樹脂フィルム中に添加する紫外線吸収
剤を特定して、高い紫外線遮蔽効果を長期に亘って発現
することが可能な耐候性樹脂被覆金属板に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
塩化ビニル系樹脂被覆金属板の耐候性を改善する手法と
して、安定剤配合を工夫することが行われているが、特
に紫外線による劣化を抑止する手法として、塩化ビニル
系樹脂フィルム中に各種、無機顔料や紫外線吸収剤を添
加することは一般的に用いられている。特に酸化チタン
等の無機顔料の添加により紫外線の透過を防止する方法
は無機顔料の安定性の良さから効果の持続性に優れ、塩
化ビニル系樹脂フィルムと金属板との間に存在する接着
剤層を長期に亘って紫外線から保護できるため、耐剥離
性の向上に顕著な効果が認められる。無機顔料の種類・
粒径・添加量等と耐候性向上効果に関しても各種の特許
出願が見受けられる。
【0003】しかしながら、この方法においても紫外線
は、塩化ビニル系樹脂フィルム、例えば塩化ビニル樹脂
フィルムの表面からある深さ迄は侵入するために、表面
付近では塩化ビニル樹脂の紫外線劣化が発生し、劣化し
た表面の脱落や可塑剤の散逸による肉痩せ等により、劣
化部分は次第に金属板との接着界面へと接近して行くこ
ととなる。塩化ビニル樹脂は、この劣化する際に脱塩酸
反応を伴うものであり、劣化深さがある程度接着界面に
近付いた所で、金属板表面は、この脱離塩酸の影響に曝
されることとなり、その結果表面腐食により接着剤層と
金属板との界面で、剥離を生起するものである。
【0004】また意匠性付与の目的から、顔料を添加し
た塩化ビニル樹脂フィルムの表面に各種印刷手法により
石目調・木目調・抽象柄等の模様印刷を施す場合がある
が、その場合印刷層は紫外線に対して何らの保護も受け
ておらず、短かい日時の内に劣化変色を受けることとな
る。このため、特に模様印刷を施した塩化ビニル樹脂被
覆金属板においては、印刷層の上に紫外線吸収剤を添加
した透明でかつ柔軟性を有するアクリル系フィルムを積
層し、印刷層及び塩化ビニル樹脂層の紫外線による劣化
を抑制する手法がとられている。
【0005】しかし、アクリル系保護フィルムは一般的
に25〜70μ程度の厚みのもので、その紫外線遮蔽能
力は必ずしも充分なものではなく、また、一般的な低分
子量の紫外線吸収剤を添加している場合、比較的早期に
アクリル系保護フィルム中から塩化ビニル樹脂フィルム
中へ紫外線吸収剤の移行が発生し、期待した程の保護効
果が得られていないのが現状である。
【0006】そこで、反応性不飽和エチレン基を有する
紫外線吸収剤とアクリル酸アルキルエステル等のモノマ
ーとを共重合した、所謂高分子型の紫外線吸収剤をアク
リル系保護フィルムに添加することが検討されている。
この高分子型の紫外線吸収剤は、一般的な低分子量の紫
外線吸収剤に比べて塩化ビニル樹脂への移行の問題は無
いものの、分子内に紫外線吸収に関与しない部分が多い
ことから紫外線の吸収効率が悪く、厚み30〜50μク
ラスの保護フィルムに充分な紫外線遮蔽性を与えるには
相当量の添加が必要となり、コストの上昇とともに、フ
ィルム物性の低下に伴う取扱性の悪化や加工性の低下を
招来する等の問題がある。
【0007】本発明はこれらの問題点に鑑み、塩化ビニ
ル系樹脂被覆金属板の紫外線による劣化を充分かつ長期
に亘って抑制できる耐候性樹脂被覆金属板を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明〕本発明は、上記課題を解決する
ために発明されたものであって、金属板上に、塩化ビニ
ル系樹脂層を設け、更にその上に透明樹脂フィルムを積
層した構成の樹脂被覆金属板において、該透明樹脂フィ
ルム中に低分子型の紫外線吸収剤と高分子型の紫外線吸
収剤の両方を添加したことを特徴とする耐候性樹脂被覆
金属板である。
【0009】〔請求項2に係る発明〕金属板上に塩化ビ
ニル系樹脂層を設け、更にその上に透明樹脂フィルムを
積層した構成の樹脂被覆金属板において、該透明樹脂フ
ィルムの実際の被覆厚みの1/2の厚みで測定した波長
280nm〜400nmの範囲での紫外線遮蔽性の測定
値が70%以上であり、かつ該透明樹脂フィルム中に低
分子型の紫外線吸収剤と高分子型の紫外線吸収剤の両方
が添加されていることを特徴とする耐候性樹脂被覆金属
板である。
【0010】〔請求項3に係る発明〕金属板上に塩化ビ
ニル系樹脂層を設け、更にその上に透明樹脂フィルムを
積層した構成の樹脂被覆金属板において、該透明樹脂フ
ィルムの厚みは、波長280nm〜400nmの範囲で
の紫外線遮蔽性の測定値が少なくとも70%となる測定
厚みの2倍以上であり、かつ該透明樹脂フィルム中に低
分子型の紫外線吸収剤と高分子型の紫外線吸収剤の両方
が添加されていることを特徴とする耐候性樹脂被覆金属
板である。
【0011】〔請求項2及び3に係る発明に関する技術
的背景及び説明〕上記従来の技術及び発明が解決しよう
とする課題の項に記載したとおり、塩化ビニル系樹脂被
覆金属板の耐候性を改善する目的で、紫外線吸収剤を添
加した透明樹脂フィルムを塩化ビニル系樹脂層の上に積
層する手段は既に知られている。しかし、この透明樹脂
フィルムを積層した構成の塩化ビニル系樹脂被覆金属板
を実際の屋外曝露や促進曝露試験に供した場合、初期に
おいては透明樹脂フィルムを積層しないものより塩化ビ
ニル系樹脂層の劣化は抑制されているものの、やがて著
しい変色を生じ、また、透明樹脂フィルムと塩化ビニル
系樹脂層との界面で剥離が発生する等、その効果は充分
とはいえないものであった。
【0012】しかして、これらの透明樹脂フィルムの紫
外線遮蔽性の初期値については、透過率の最大感度が
0.01%の分光光度計によって測定した結果、いずれ
も遮蔽性が充分であると判断されたものに関して、同一
の組成・構成を有する塩化ビニル系樹脂を被覆した金属
板に積層一体化して曝露試験に供した場合、塩化ビニル
系樹脂の劣化の程度に差異が現れることが判明した。こ
の原因を調査したところ、所謂低分子型の紫外線吸収剤
は、透明フィルム中に多量にこれを添加しても比較的早
期に塩化ビニル系樹脂層へと移行してしまうこと、そし
て、その移行速度は紫外線吸収剤の分子量とその添加量
に大きく依存することがわかった。すなわち、分子量の
異なる各種の紫外線吸収剤を夫々同一部数添加した透明
樹脂フィルムを被覆した場合、分子量の小さいもの程移
行速度が早く、同一分子量の紫外線吸収剤の場合、添加
量が多い程移行速度は早くなるということである。
【0013】その結果として、前述の如き曝露試験にお
ける塩化ビニル系樹脂層の劣化の程度に差異が現れた
り、また紫外線遮蔽性の初期値を高める目的で、低分子
型の紫外線吸収剤のみを多量に添加しても期待した程の
効果が得られないという問題が発生することがわかっ
た。
【0014】この移行の問題を解決するため、前記のと
おり、反応性不飽和エチレン基を有する紫外線吸収剤と
アクリル酸アルキルエステル等のモノマーとを共重合し
た、所謂高分子型の紫外線吸収剤をアクリル系保護フィ
ルムに添加することが検討されている。この高分子型の
紫外線吸収剤は、一般的な低分子量の紫外線吸収剤に比
べて塩化ビニル樹脂層への移行の問題は無いものの、分
子内に紫外線吸収に関与しない部分が多いことから紫外
線の吸収効率が悪く、これのみを用いて一般的にこの種
用途に用いられる厚み30〜50μクラスの透明樹脂フ
ィルムに充分な紫外線遮蔽性を与えるには相当量の添加
が必要となり、コストの上昇とともに、フィルム物性の
低下に伴う取扱性の悪化や加工性の低下を招く結果とな
る。
【0015】また、紫外線吸収剤の分解・移行の問題を
根本的に解決すべく、微粒子無機物質を添加し、可視域
での透明性を維持しつつ紫外線の透過を防止する方法が
提案されており、一部用途では実用に供されているもの
の、これに関しても本発明の目的の如く長期に亘り塩化
ビニル系樹脂層の劣化を防止するには紫外線遮蔽性の初
期値からして不充分であり、また充分な遮蔽性と実用上
支障のない透明性を両立することは現在の混練・分散技
術でも困難とされている。
【0016】そこで、塩化ビニル系樹脂層への移行性を
抑えつつ、高い紫外線遮蔽性の初期値を得ることのでき
る方法として、本出願人は、請求項1に係る発明を提案
したが、さらに、実際の透明樹脂フィルムの被覆厚みで
測定した分光光度計における紫外線遮蔽性の測定値に差
異がなくても、測定器の検出感度限界以下の微弱な紫外
線の透過量の差異等が長期間の曝露の間に塩化ビニル系
樹脂層の劣化の程度に影響を及ぼすことが考えられる。
【0017】請求項2,3に係る発明は、かかる視点か
ら塩化ビニル系樹脂被覆金属板の紫外線による劣化を充
分かつ長期に亘って抑制できる耐候性樹脂被覆金属板を
提供することを目的としてなされたものである。
【0018】請求項2,3に係る発明は、透明樹脂フィ
ルム中に所謂低分子型と高分子型両方の紫外線吸収剤を
添加し、かつ特定の方法により測定した該透明樹脂フィ
ルムの紫外線遮蔽性を特定の値以上とするものである
が、本発明における「紫外線遮蔽性」は以下の方法(及
び表3参照)により測定するものである。分光光度計は
光線透過率が対数目盛りで表示されるもので、最大感度
=透過率0・01%のもの(一例として(株)日立製作
所「U−3200」型)を用い、これによって測定した
吸収波形の内、波長280〜400nmの紫外域に相当
する部分によって形成される面積を求め、該波長域の全
域で透過率が0・01%以下である場合の面積との比を
百分率表示した値を「紫外線遮蔽性(%)」とする。し
たがって、該波長全域で透過率が1%であった場合は、
紫外線遮蔽性=50%となり、該波長全域で透過率が
0.1%であれば、紫外線遮蔽性=75%となる。
【0019】請求項2に係る発明において、この紫外線
遮蔽性の測定を実際に被覆する透明樹脂フィルムの厚み
の1/2の厚みで行うのは、技術的背景について記した
如く、正規の厚みでの遮蔽性の測定値では、その優劣が
明確でない複数の透明樹脂フィルムについて、その1/
2の厚みでの測定値では、明確な遮蔽性の差異が現れる
ものが存在し、かつ、その差異と曝露試験における塩化
ビニル系樹脂層の劣化状況が対応していることが判明し
たことによる。この原因としては、曝露試験は非常に長
期間に及ぶため、正規の厚みで測定したのでは測定器の
検出感度限界を下回り検出できない、あるいは差異を明
確にできない程度の微量の紫外線の透過量が長期的には
塩化ビニル系樹脂層の劣化状況に影響を与えていること
が考えられる。
【0020】この1/2の厚みでの遮蔽性の初期値を7
0%以上とし、かつ該紫外線遮蔽性が該透明樹脂フィル
ム中で、低分子型の紫外線吸収剤と高分子型の紫外線吸
収剤の両方を添加して得られたものであることと規定す
ることにより、塩化ビニル系樹脂被覆金属板の紫外線に
よる劣化を充分かつ長期に亘って抑制することができ
る。
【0021】本発明のもう一つの方法である、透明樹脂
フィルムをその紫外線遮蔽性が少なくとも70%となる
厚みの倍以上の厚みで被覆する方法は、紫外線吸収剤
の種類・添加量及び透明樹脂フィルムの材質を固定し、
透明樹脂フィルムの厚みのみを変更した測定用フィルム
を少なくとも2枚以上作成し、該紫外線遮蔽性が70%
となる厚みを求め、その2倍以上の厚みで透明樹脂フィ
ルムを被覆する等の方法により行うもので、これについ
ても、その理由及び作用機構は、前記した請求項2に係
る発明の場合と同じである。勿論、この場合も低分子型
の紫外線吸収剤と高分子型の紫外線吸収剤の両方が添加
されていなければ効果の持続性は期待できない。
【0022】なお、一般的に光の遮蔽性に関しては、L
ambert−Beer則(A=E*C*L,A:吸光
度,E:比例定数,C:充填剤濃度,L:試料厚み)が
成り立つことから、アクリル系樹脂やフッ素樹脂のよう
に樹脂材料自体が280nm〜400nmの紫外線域に
殆ど吸収をもたない場合は、上記のように実際に厚みが
1/2のフィルムを用いて紫外線遮蔽性を測定する代わ
りに、紫外線吸収剤の種類を同一にして添加量のみ1/
2にしたフィルムにより遮蔽性を測定し遮蔽性の判定を
行ってもよく、また、紫外線遮蔽性が70%となる厚み
の倍以上の厚みで被覆する方法の代わりに、紫外線吸収
剤の添加量を倍増してもよいが、後者に関しては紫外線
吸収剤の好ましい添加量範囲を超える可能性があるた
め、厚みを増やす方向がより好ましい。
【0023】〔請求項4に係る発明〕上記の各耐候性樹
脂被覆金属板において、低分子型の紫外線吸収剤の分子
量が400〜800の範囲であり、かつ高分子型の紫外
線吸収剤の分子量が5000〜200000の範囲であ
るものである。
【0024】〔請求項5に係る発明〕上記の各耐候性樹
脂被覆金属板において、透明樹脂フィルムが、架橋弾性
体成分を核として(メタ)アクリル系樹脂をグラフト重
合した柔軟性(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を主成
分とするものである。
【0025】〔請求項6に係る発明〕上記の各耐候性樹
脂被覆金属板において、金属板と塩化ビニル系樹脂フィ
ルムとの間に、接着剤層を介したことを特徴とする耐候
性樹脂被覆金属板である。
【0026】上記の請求項1〜6の各耐候性樹脂被覆金
属板は、透明樹脂フィルムと塩化ビニル系樹脂フィルム
の間に必要に応じて模様印刷層が配設されていてもよ
く、また、透明樹脂フィルムの表面に更にフッ素系の樹
脂等よりなる層が設けられていてもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
基いて説明する。
【0028】図1は、本発明の耐候性樹脂被覆金属板の
実施の形態を示す概略断面図であり、図2及び図3は、
本発明の耐候性樹脂被覆金属板の他の実施の形態を示す
概略断面図である。本発明は、図1に示すように金属板
1に接着剤2を介して塩化ビニル系樹脂層3と透明樹脂
フィルム4とを積層して一体化したもので、透明樹脂フ
ィルム4中に低分子型の紫外線吸収剤と高分子型の紫外
線吸収剤の両方を添加した構成を採っている。
【0029】本発明の耐候性樹脂被覆金属板に用いられ
る金属板1としては、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メ
ッキ鋼板、アルミ・亜鉛複合メッキ鋼板、アルミメッキ
鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム系合金板等一般的
に塩化ビニル樹脂被覆金属板の基材金属として用いられ
ているものについて特に制限なく使用できる。板厚や熱
処理種別、メッキ厚み等に関しても一般的な範囲内で特
に制限はない。また、表面処理に関しても、リン酸処
理、クロメート処理等通常の処理を通常の目付量で行え
ばよい。
【0030】これら金属板1と塩化ビニル系樹脂層3と
の接着に用いられる接着剤に関しては、ウレタン系、ア
クリル系、エポキシ系、その他通常よく使用されるもの
を、1μm〜10μmのこれも通常の厚みに塗布すれば
よい。塗布・焼き付け方法も常法でよく、一例としては
溶剤に溶解した接着剤をロールコーターで連続塗布後、
インラインで設置された乾燥炉、次いで焼き付け炉に導
入する等が考えられる。
【0031】金属板1と塩化ビニル系樹脂層3及び透明
樹脂フィルム4の積層の手順に関しては、先ず透明樹脂
フィルム4と塩化ビニル系樹脂層(フィルム)3とを積
層一体化して後金属板4と接着してもよく、また、金属
板1に塩化ビニル系樹脂フィルム3のみを接着しあるい
はゾルコートにより塩化ビニル系樹脂層を施した後透明
樹脂フィルム4を積層一体化してもよい。
【0032】塩化ビニル系樹脂層は、基本的に塩化ビニ
ル系樹脂を主たる構成成分とし、通常使用され得る可塑
剤、安定剤、着色顔料、体質顔料、光安定剤その他の添
加剤が含まれる。塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル単
独重合体及び塩化ビニルと共重合可能な他のモノマー成
分との共重合体を含み、これらはいずれも使用できる。
塩化ビニル系樹脂被覆金属板用途に用いられる一般的な
ものでよく、重合度は700〜2000の一般的な範囲
でよい。耐候性の観点からは、塩化ビニル系樹脂の重厚
度は1500程度以上あることが望ましい。重合方法に
関しても特に制限はない。また、第二の成分として塩化
ビニルを含まない樹脂が配合されていてもよい。
【0033】塩化ビニル系樹脂例えば塩化ビニル樹脂に
添加される可塑剤も通常のものが使用できるが、表面印
刷性に悪影響を与えないポリエステル系可塑剤の使用が
好ましく、エポキシ化大豆油やトリクレシジルホスフェ
ート等の塩化ビニル樹脂の安定化作用を有する可塑剤を
少量併用することも好ましい。可塑剤としては低揮散性
でかつ透明樹脂フイルムとしてアクリル系樹脂を用いた
場合、該アクリル系樹脂フイルムへの移行性が低いアジ
ピン酸ポリエステル系の可塑剤が好ましい。
【0034】安定剤成分としても、Pb系、Sn系、B
a−Zn系その他及びこれらの併用等通常の配合でよ
く、さらに酸化防止剤、光安定剤等やハイドロタルサイ
ト類のような一般的に耐候性改良の目的で添加される成
分を含んでもよい。
【0035】塩化ビニル樹脂に着色を施す場合は必要な
発色をさせるための顔料を適宜添加するが、顔料種によ
っては塩化ビニル樹脂の光・熱劣化を促進する作用を有
するものがあり、これらの顔料種は添加を避けることが
好ましい。本発明においては基本的には塩化ビニル系樹
脂層の上に積層する透明樹脂フィルム中に添加された紫
外線吸収剤により紫外線の透過を抑止するものである
が、それでも極めて長期間が経過した後には、アクリル
層の紫外線遮蔽性が低下することは不可避と考えられ、
その場合の塩化ビニル系樹脂層の光劣化を最小限に抑え
るためである。一般的に無機顔料の中で酸化鉄黄・酸化
鉄赤(弁柄)・コバルトブルー等は塩化ビニル樹脂の光
・熱劣化を促進するとされる。
【0036】また、酸化チタン顔料が、フィルムを形成
する樹脂100重量部に対する添加量をx(重量部)、
塩化ビニル系樹脂フイルムの厚みをy(μm)とした場
合、x×yが1600より大きくなるように(例えば厚
み200μmの場合、200×x≧1600の関係から
添加量は8重量部以上)添加されていることが望まし
い。この添加量を規定することで、長期間の曝露の後透
明樹脂フイルムの紫外線遮蔽性が完全に失われた場合で
も、紫外線が接着剤層2に直接到達し接着剤層を劣化さ
せることを防止でき、耐剥離性の向上を期待できる。た
だし、本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂層は、これ
らの内容に限定されるものではない。
【0037】また、図2に示すように透明樹脂フィルム
4と塩化ビニル系樹脂層3との間に、石目、木目、抽象
柄等の模様印刷層5を付与してもよい。この場合も一般
的に用いられている印刷手法を利用でき、使用する印刷
インクの種類も一般的なものでよい。一例として、グラ
ビアコーターを用い、塩ビ・酢ビ共重合体とアクリル樹
脂の混合バインダーを用いた無機顔料系の印刷インクに
より多色印刷を行う方法が挙げられる。印刷層の厚みも
1〜10μmの一般的な範囲でよく、全面印刷であって
も、部分印刷であってもよい。顔料に無機系のものを用
いる場合は塩化ビニル系樹脂層に添加する場合同様、塩
化ビニル系樹脂の光・熱劣化を促進しないものを選ぶの
が好ましい。
【0038】印刷層が塩化ビニル系樹脂層例えば塩化ビ
ニル樹脂フィルムを全面的に覆う場合、あるいは部分的
に印刷層が付与されている場合、いずれの場合も塩化ビ
ニル樹脂層に酸化チタン顔料を添加することが、印刷イ
ンクの発色をよくする点からも好ましい。また、前記の
とおり、着色のための顔料添加の場合同様長期間経過の
後透明アクリルフィルムの紫外線遮蔽性が低下した場合
でも塩化ビニル層の紫外線劣化を抑制できる点から好ま
しい。使用する酸化チタンは一般的な粒径のものでよい
が、光触媒作用を封じるために表面をアルミナ等で完全
にコートしたものを用いるとよい。
【0039】透明樹脂フィルム4には、それ自体耐候性
が良好であること、塩化ビニル系樹脂被覆金属板に積層
しても、必要な加工ができること、高分子型の紫外線吸
収剤を添加しても顕著な白濁が生じないこと、等が要求
され、これらの点からポリフッ化ビニリデン(PVd
F)系樹脂フィルムやアクリル系樹脂フィルムが好まし
く用いられる。さらに、塩化ビニル系樹脂層に熱融着で
積層一体化できる点や紫外線吸収剤との相溶性に優れる
点から、アクリル系樹脂フィルムが特に好ましい。
【0040】透明アクリル系樹脂フィルムは、一般に柔
軟性アクリルあるいはソフトアクリル等と呼ばれている
もので、架橋アクリルゴム弾性体成分を核にして(メ
タ)アクリル酸エステル樹脂をグラフト重合して得られ
る共重合体樹脂より成っており、各種市販の原料を利用
することができる。架橋弾性体成分はブチルアクリレー
トを主成分とし、マトリクスにはメチルメタアクリレー
トを主成分とするのが一般的で、その重合方法や構成に
関し、特開昭48−36947号公報、特開昭53−6
4228号公報、特開昭57−146652号公報等を
見出すことができる。上記のような良好な耐候性を備
え、塩化ビニル系樹脂層と熱融着により積層できること
に加え、折り曲げ白化しないことや、引張り破断に至る
迄にある程度の伸びを有するため、積層後も加工性に悪
影響を与えない等の特徴を有しているものである。この
ようなアクリル系樹脂フィルムを積層した塩化ビニル系
樹脂被覆金属板という構成それ自体は公知のものであ
る。
【0041】透明アクリル系樹脂フィルムの厚みは25
〜100μm程度の範囲が好ましく、これより薄いと充
分な紫外線遮蔽性が得られない可能性があるばかりでな
く、取扱性が悪く、塩化ビニル樹脂フィルムとの積層の
際に切れ易く、また、シワ入りが発生し易い等の問題が
生じる。逆にこれより厚いと紫外線遮蔽性は得やすい
が、加工性やコストの点から実用的とはいえなくなる。
【0042】透明樹脂フィルムは、上記要求性能を損な
わない範囲で、アクリル系以外の樹脂成分を含んでもよ
い。さらに、樹脂積層金属板の透明樹脂フィルム側表面
の耐汚染性や耐傷入り性を向上させる目的で、例えば、
図3に示すように透明樹脂フィルム4の表面に更にフッ
素系の樹脂層6を設ける等、塩化ビニル系樹脂(あるい
はその上に施された印刷層)を積層する側を柔軟性アク
リル主体の層とし、外表面側をさらに耐候性の優れる樹
脂を主体としてなる層とする構成を採り得る。外表面と
なる側の樹脂層の一例としてPVdF系樹脂を挙げるこ
とができ、アクリル系樹脂フィルムとダイ内積層・共押
出しする方法やブレンド・共重合等により接着性を付与
したPVdF系樹脂を使用する方法等を挙げることがで
きる。
【0043】また、常温硬化型のフッ素コーティング剤
であるフルオロエチレン−ビニルエーテル共重合体〔商
品名「ルミフロンLF−200」旭ガラス(株)〕等の
層を外表面側に設けることも耐汚染性や耐傷入り性を向
上させる点からも好ましい。これらアクリル系樹脂フィ
ルムの外表面側に設けられるフッ素樹脂からなる層の厚
みは2〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0044】透明樹脂フィルム4中には、本発明の実施
に必要な低分子型の紫外線吸収剤と高分子型の紫外線吸
収剤の両方の添加に加えて、無機微粒子系の紫外線遮蔽
剤やヒンダードピペリジン系のラジカル捕捉剤(HAL
S)等を含んでいてもよい。無機微粒子系の紫外線遮蔽
剤は、移行せず、それ自体の耐候性も良好であるという
点から、耐候性樹脂被覆金属板の塩化ビニル系樹脂層の
紫外線からの保護という用途に望ましい性能を有してい
ると思われるものの、樹脂中への均一分散が非常に困難
であり、これのみでの添加で、しかも着色や肉眼で確認
できる2次凝集粒子の発生を伴わずに充分な紫外線遮蔽
性を得ることは困難であると考えられる。
【0045】HALSそれ自体は、塩化ビニル系樹脂層
に対する保護効果を有するものではないが、透明樹脂フ
ィルムの材質によっては、それ自体の耐候性を更に向上
させる効果を期待できる。HALSに関しては低分子量
のものを用いてもよく、また、反応性HALSを樹脂原
料モノマーと共重合した高分子型HALSを添加しても
よい。
【0046】本発明は、透明樹脂フィルム4中に所謂低
分子型と高分子型両方の紫外線吸収剤を添加するもので
あるが、低分子型の紫外線吸収剤としては、分子量が4
00〜800の範囲にある比較的分子量が大きいものを
選ぶことが好ましい。分子量がこれより小さいと、塩化
ビニル樹脂層への移行が極めて早くなり、効果の持続性
に乏しい。分子量がこれより大きいと、1分子中に存在
する紫外線吸収に関与する原子団が1組の一般的な低分
子型の紫外線吸収剤では、添加量あたりの吸収効率が低
くなり好ましくない。
【0047】上記分子量範囲の低分子型の紫外線吸収剤
の中でも1分子内に紫外線吸収に関与する原子団を2組
有する所謂ダイマー型の紫外線吸収剤を用いることが添
加量あたりの紫外線吸収効率の点から特に好ましい。こ
の型の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール型の
商品名「LA−31」(分子量659)及びベンゾフェ
ノン型の商品名「LA−51」(分子量456)がとも
に旭電化工業(株)より市販されている。また分子量が
上記範囲にあり、添加量に対する紫外線吸収効率がよい
ものとしてトリアジン型の紫外線吸収剤である商品名
「チヌビン1577FF」〔分子量425,日本チバ・
ガイギー(株)〕を挙げることができる。分子量はやや
低めであるが紫外線吸収効率がよい点から、少ない添加
量で高い遮蔽性が得られ添加量の倍加に伴う移行量の増
大を抑えることができ、これもまた特に好ましく用いる
ことができるが、使用できる低分子型の紫外線吸収剤は
これらに限定されるものではない。
【0048】低分子型の紫外線吸収剤の添加量は、フィ
ルムを形成する樹脂100重量部に対して1重量部〜4
重量部の範囲が好ましく、この添加量範囲において高分
子型の紫外線吸収剤との併用により、特許請求の範囲に
記載した条件を満たす紫外線遮蔽性を透明樹脂フィルム
に付与することができる。これより小さいと透明樹脂フ
ィルムの実用的な厚みにおいては、高分子型の紫外線吸
収剤と併用した場合でも充分な紫外線遮蔽性は得られに
くく、これより多量に添加しても塩化ビニル樹脂層への
移行が顕著となり量を増やした分の効果は得られにくい
傾向がある。
【0049】透明樹脂フィルムに添加するもう一方の紫
外線吸収剤である高分子型の紫外線吸収剤は、分子内に
反応性の不飽和エチレン基を有するベンゾフェノン系や
ベンゾトリアゾール系等の反応性紫外線吸収モノマーを
ラジカル重合性の合成樹脂原料モノマーと共重合したも
のであり、合成樹脂原料モノマーは単独成分であって
も、複数成分であってもよく、また、反応性HALS
(ラジカルトラップ剤)等他の機能性を有する反応性モ
ノマーを共重合したものであってもよい。透明樹脂フィ
ルムとしてアクリル系樹脂フィルムを用いる場合は、該
高分子型の紫外線吸収剤を構成する合成樹脂原料モノマ
ーとしては、透明アクリル系樹脂フィルムに添加するこ
とからメチル・メタアクリレート等(メタ)アクリル系
のモノマーが好ましく、ベンゾトリアゾール型の商品名
「PUVA−50M」〔大塚化学(株)〕やベンゾフェ
ノン型の商品名「UVA−635L」〔一方社油脂工業
(株)〕を挙げることができるが、これらに限定される
ものではない。
【0050】高分子型の紫外線吸収剤の分子量としては
5000〜200000の範囲が好ましく、これより分
子量が小さいと多少なりとも塩化ビニル樹脂層への移行
が問題となり、これより大きいと相溶性の不足による分
散不良、透明樹脂フィルムの成膜性・物性への悪影響が
問題となるおそれがある。メチル・メタアクリレート共
重合型の場合、反応性紫外線吸収モノマーとメチル・メ
タアクリレートモノマーとの共重合比率は、3:7〜
5:5 の範囲にあることが相溶性と添加量に対する紫外
線吸収効率の点から好ましい。
【0051】高分子型の紫外線吸収剤の添加量は、フィ
ルムを形成する樹脂100重量部に対して1重量部〜8
重量部の範囲が好ましく、この添加量範囲において低分
子型の紫外線吸収剤との併用により、特許請求の範囲に
記載した条件を満たす紫外線遮蔽性を透明樹脂フィルム
に付与する。これより少ないと透明アクリル系保護フィ
ルムの実用的な厚みにおいては、低分子型の紫外線吸収
剤と併用した場合でも充分な紫外線遮蔽性は得られにく
く、これより多量に添加すると透明樹脂フィルムが本来
有する柔軟性等の特徴を損ないやすい傾向がある。
【0052】また、透明樹脂フィルムを構成する樹脂の
重合過程において、反応性紫外線吸収モノマーと直接該
樹脂の原料モノマーと共重合した場合についても高分子
型の紫外線吸収剤の範疇に入るものと考えることができ
る。反応性紫外線吸収モノマーの一例としては、商品名
「RUVA−93」〔大塚化学(株)〕を挙げることが
でき、アクリル系樹脂フィルムの原料製造工程において
は、架橋アクリルゴム弾性体成分の核に(メタ)アクリ
ル酸エステル樹脂をグラフト重合する際に、該樹脂の原
料モノマーに上記の反応性紫外線吸収モノマーの適量を
添加する方法等が考えられる。
【0053】これら好ましい分子量範囲にある低分子型
及び高分子型両方の紫外線吸収剤を添加した透明樹脂フ
ィルムを製作する方法については、公知の各種方法によ
ることができるが、一例として、2基の定量供給フィー
ダーから紫外線吸収剤及びアクリル系原料をスクリュー
式混練器に供給し、ストランドダイから押出しペレタイ
ザーにより切断し紫外線吸収剤添加マスターペレットと
成し、該マスターペレットを通常のフィルム製膜に使用
するTダイ付きの押出機に供給する等の方法を挙げるこ
とができる。
【0054】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて説明する。 〔実施例1,2及び比較例1〜5〕本発明の実施例1,
2と比較例1〜5は、次の手順で作成した。市販の柔軟
性アクリルのペレットと、表1記載の種類及び添加量の
紫外線吸収剤とを2台の定量フィーダーを用いて夫々2
軸混練押出機に供給しストランドダイから押し出した
後、ペレタイザーを用いて紫外線吸収剤入りの柔軟性ア
クリルペレットにし、これを単軸スクリュー押出機に投
入しTダイより押し出すことにより、厚み50μmの塩
化ビニル系樹脂層被覆用の透明樹脂フィルムを得ると同
時に、1/2の厚みでの紫外線遮蔽性を測定するため
の、厚み25μmの同一内容の透明アクリル系樹脂フィ
ルムを得た。表1に本発明の実施例1,2と比較例1〜
5における紫外線吸収剤の種類とその添加量を示す。ま
た、表2には、各紫外線吸収剤の一般構造式等を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】前記各種紫外線吸収剤を添加した透明アク
リル系樹脂フィルムの、実際に被覆する厚みの1/2
(この場合被覆厚み50μm,測定厚み25μm)の厚
みで、紫外線遮蔽性の初期値及び塩化ビニル系樹脂フィ
ルムへの移行に伴う遮蔽性の経時変化を測定した。
【0058】紫外線遮蔽性:光線透過率が対数目盛で示
される分光光度計(表3参照:最大感度=透過率0.0
1%)によって測定した吸収波形のうち280nm〜4
00nmの紫外域に相当する部分によって形成される面
積を求め、該波長域の全域で透過率が0.01%以下で
ある場合の面積との比を百分率表示した値を「紫外線遮
蔽性(%)」とする。紫外線遮蔽性の初期値は表4のと
おりであった。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】比較例2及び比較例5では、50μmでの
測定値は比較的高いように見受けられるが、25μmで
の測定値では実施例1及び実施例2に比べて紫外線遮蔽
性の初期値が低いことがわかる。比較例1及び比較例2
に見るように、高分子型の紫外線吸収剤(1)単独の添
加では紫外線吸収剤(3)の4倍の量を添加して漸く同
等の遮蔽性が得られおり、高分子型の紫外線吸収剤の単
独使用は効率的に問題がある。実施例1及び実施例2で
は、高分子型と低分子型の紫外線吸収剤を併用すること
により比較的高い紫外線遮蔽性の初期値を得ている。
【0062】塩化ビニル系樹脂フィルムへの移行に伴う
遮蔽性の経時変化:紫外線遮蔽性の初期値の測定に用い
たのと同じ25μmの透明アクリル系樹脂フィルムを2
枚の塩化ビニル樹脂シート(下記)の間に挟み、これを
更にプレス用メッキ板の間に挟んだものに2kgの錘を
載せて、70℃の熱風オーブン中に静置し、250時間
毎に3000時間までアクリル系樹脂フィルムの紫外線
遮蔽性の変化を測定した結果を図4及び表5に示す。紫
外線遮蔽性の定義及び測定方法は初期値の場合に同じで
ある。
【0063】〔塩化ビニル系樹脂フィルム〕 重合度:1050 可塑剤:35重量部 安定剤:Pb系・Ba−Zn系併用 厚 み:上下各600μm サイズ:100mm×100mm 〔アクリル系樹脂フィルム(測定サンプル)〕 厚 み:25μm サイズ:40mm×60mm
【0064】
【表5】
【0065】比較例4に見るように、低分子型の紫外線
吸収剤(4)のみを多量に添加して遮蔽性の初期値を高
めても、塩化ビニル樹脂フィルムへの移行が急速であり
効果の持続性に乏しい。低分子型の中でも本発明の好ま
しい分子量範囲に属する紫外線吸収剤(3)では、2重
量部程度の添加では移行性はさほどでもない(比較例
2)が、4重量部の添加で初期値を高めようとすると
(比較例3)移行による遮蔽性の低下が急になる。高分
子型の紫外線吸収剤(1)のみ添加した比較例1では移
行による遮蔽性の低下は見られないが、測定の時間範囲
内では比較例2に対してさほど優れているとはいえず、
添加量を考えた場合あまりよい方法とはいえない。これ
らに対し、低分子型の紫外線吸収剤と高分子型の紫外線
吸収剤を併用した、実施例1,2及び比較例5では、移
行に伴う遮蔽性の低下が低く抑えられており、中でも実
施例1と実施例2では、高い遮蔽性の初期値と低い移行
性の両立を実現している。
【0066】〔実施例3,4及び比較例6〜10〕 樹脂被覆金属板の耐候性:前記実施例1,2と比較例1
〜5の透明アクリル系樹脂フィルム(厚み50μm)を
着色塩化ビニル樹脂フィルム(下記)に熱接着で積層一
体化した後、該積層フィルムの塩化ビニル樹脂フィルム
側をウレタン系接着剤を用いて溶融亜鉛メッキ鋼板上に
接着し樹脂被覆金属板としたものを夫々実施例3,4及
び比較例6〜10とした。
【0067】これら樹脂被覆金属板にサンシャイン・ウ
ェザーメーター〔スガ試験機(株)〕による促進曝露試
験(B.P.温度63℃)を3000時間、4000時
間、5000時間の各時間に行い、透明アクリル系樹脂
フィルムの劣化状態と色差変化(△E値:主に塩化ビニ
ル樹脂フィルムの劣化に伴う変色)を観察した結果を表
6に示す。
【0068】〔塩化ビニル樹脂フィルム〕 重合度:1050 可塑剤:35重量部 安定剤:Pb系・Ba−Zn系併用 厚 み:200μm 顔 料:TiO2 (8重量部) 〔アクリル系樹脂フィルム(測定サンプル)〕 厚 み:50μm 紫外線吸収剤:表1に同じ 〔溶融亜鉛メッキ鋼板〕 厚 み:450μm 表面燐酸処理 〔ウレタン系接着剤〕 乾燥厚み:5μm 塗布後235℃にて焼付けその直後に積層フィルムをラ
ミネート
【0069】
【表6】
【0070】積層されたアクリル系樹脂フィルム(アク
リル層)の光沢の消失は、電子顕微鏡による断面観察の
結果外気側表面から微小なクラックが入ることにより生
じていことが判った。これがさらに成長し、アクリル層
の全厚みに達すると目視で確認できるクラックとなる。
本来的に耐候性の良好なアクリル層にこのようなクラッ
クが入るのは、塩化ビニル樹脂フィルム層(塩化ビニル
樹脂層)の劣化生成物の作用によると考えられ、アクリ
ル層の紫外線遮蔽性(初期値及び経時値)の違いとクラ
ックの発生状況に逆相関が認められることは、本構成の
樹脂被覆金属板の塩化ビニル層の劣化には、アクリル層
を透過した紫外線の影響が支配的であると考えることが
できる。
【0071】曝露6000時間迄に接着力の低下により
樹脂層が基材金属から脱落するものはなかったが、比較
例7と比較例9の曝露時間の長いものでは、試験片の角
部の樹脂を爪でめくるようにすると樹脂層の一部が脱落
した。脱落面積は比較例9において大きかった。
【0072】比較例9では、曝露3000時間で既にア
クリル層にクラックが入り、5000時間では、△E値
が極めて大きな値となるとともに、試験片端部の剥離が
観察された。紫外線遮蔽性の初期値が高いにもかかわら
ず、紫外線吸収剤の分子量が小さく、また添加量も多い
ことから、紫外線吸収剤が早期に塩化ビニル樹脂層へと
移行し、保護効果を喪失することによると考えられる。
剥離の有無も塩化ビニル層の劣化程度に相関するものと
考えられる。
【0073】比較例8は、比較例7に対して同種の紫外
線吸収剤で添加量を倍増しているにもかかわらず、50
00時間の時点で△E値では大差なく、見合った効果は
得られておらず、アクリル層の外観では、比較例8の方
が悪い結果となっている。高分子型の紫外線吸収剤のみ
を用いた比較例6に関して、変色は比較例7よりよい
が、アクリル層の劣化の程度は比較例7と同水準と思わ
れる。
【0074】これらに対して、低分子型の紫外線吸収剤
と高分子型の紫外線吸収剤を併用した実施例3、実施例
4及び比較例10では、比較的劣化が少なく抑えられて
おり、中でも遮蔽性の初期値(被覆厚みの1/2の厚み
での測定値)を70%以上とした実施例3及び実施例4
において、その効果が顕著である。すなわち、曝露60
00時間後においても変色が小さく抑えられているとと
もに、アクリル層の電子顕微鏡による断面観察でも劣化
による微小クラックの発生は認められず、また剥離も発
生していない。紫外線遮蔽性の初期値が高いことと、塩
化ビニル樹脂層への移行性が低いことにより、効果の持
続性に優れていることが、実証された。
【0075】〔実施例5及び比較例11〕低分子型の紫
外線吸収剤として、表1の紫外線吸収剤(3)を1.5
重量部、高分子型の紫外線吸収剤としてPUVA−50
M(表1の紫外線吸収剤(2)と同一組成でm:nの比
を5:5としたもの〔大塚化学(株)〕)を2重量部添
加した透明アクリル樹脂フィルムを実施例1と同様な製
法により、厚み12μm及び25μmで作成した。これ
らの紫外線遮蔽性を測定したところ、夫々12μmで2
6%、25μmで55%であった。
【0076】透明樹脂フィルムの材質及び紫外線吸収剤
の種類・添加量を固定し、フィルムの厚みのみを変更し
た場合、その厚みと紫外線遮蔽性にほぼ比例関係が成り
立つと仮定し、遮蔽性70%を得るのに必要な厚みは約
32μmと推定される。そこで、同一材質・同一配合で
厚み65μm(遮蔽性70%を得られる厚みの倍以上の
厚み)のアクリル系樹脂フィルムを作成し、これを実施
例5とした。同様に厚み40μmのアクリル系樹脂フィ
ルムを作成し、これを比較例11とした。
【0077】これらのアクリル系樹脂フィルムを実施例
3と同様に塩化ビニル樹脂フィルムに熱接着積層した
後、溶融亜鉛メッキ鋼板上にウレタン系接着剤を用いて
ラミネートし樹脂被覆金属板とした。塩化ビニル層の組
成・金属板種類・ラミネート条件等は、実施例3の場合
と同様である。
【0078】これら樹脂被覆金属板にサンシャイン・ウ
ェザーメーター〔スガ試験機(株)〕による促進曝露試
験(B.P.温度63℃)を3000時間〜6000時
間までの間1000時間毎に試験片を取り出し、透明樹
脂フィルムの劣化状態・色差変化(△E値:主に塩化ビ
ニル樹脂フィルムの劣化に伴う変色)及び樹脂層と金属
との界面の剥離の有無を観察した結果を表7に示す。
【0079】
【表7】
【0080】実施例5と比較例11では、紫外線吸収剤
の種類及び添加量は同一であるが、比較例11の厚み4
0μmでは紫外線遮蔽性がやや不充分であり、塩化ビニ
ル層の劣化に伴う変色及びアクリル層の微小クラックに
基づく光沢の消失が認められる。これに対し実施例5で
は、曝露6000時間後においてもこれらの劣化が観察
されない。
【0081】
【発明の効果】以上詳述したごとく、本発明は塩化ビニ
ル樹脂被覆金属板の紫外線による劣化を充分にかつ長期
に亘って抑制でき、しかも極端なコストの上昇あるいは
フィルム物性の低下に伴う取扱性の悪化や加工性の低下
を招来することのない、特に模様印刷層を有する場合に
適する耐候性樹脂被覆金属板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐候性樹脂被覆金属板の基本構成を示
す断面概略図である。
【図2】本発明の耐候性樹脂被覆金属板の他の例を示す
断面概略図である。
【図3】本発明の耐候性樹脂被覆金属板の他の例を示す
断面概略図である。
【符号の説明】
1 基材金属板 2 接着剤層 3 塩化ビニル系樹脂層 4 透明樹脂フィルム 5 模様印刷層 6 透明フッ素系樹脂の層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板上に、塩化ビニル系樹脂層を設
    け、更にその上に透明樹脂フィルムを積層した構成の樹
    脂被覆金属板において、該透明樹脂フィルム中に低分子
    型の紫外線吸収剤と高分子型の紫外線吸収剤の両方を添
    加したことを特徴とする耐候性樹脂被覆金属板。
  2. 【請求項2】 金属板上に、塩化ビニル系樹脂層を設
    け、更にその上に透明樹脂フィルムを積層した構成の樹
    脂被覆金属板において、該透明樹脂フィルムの実際の被
    覆厚みの1/2の厚みで測定した波長280nm〜40
    0nmの範囲での紫外線遮蔽性の測定値が70%以上で
    あり、かつ該透明樹脂フィルム中に低分子型の紫外線吸
    収剤と高分子型の紫外線吸収剤の両方が添加されている
    ことを特徴とする耐候性樹脂被覆金属板。
  3. 【請求項3】 金属板上に、塩化ビニル系樹脂層を設
    け、更にその上に透明樹脂フィルムを積層した構成の樹
    脂被覆金属板において、該透明樹脂フィルムの厚みは、
    波長280nm〜400nmの範囲での紫外線遮蔽性の
    測定値が少なくとも70%となる測定厚みの2倍以上で
    あり、かつ該透明樹脂フィルム中に低分子型の紫外線吸
    収剤と高分子型の紫外線吸収剤の両方が添加されている
    ことを特徴とする耐候性樹脂被覆金属板。
  4. 【請求項4】 低分子型の紫外線吸収剤の分子量が40
    0〜800の範囲であり、かつ高分子型の紫外線吸収剤
    の分子量が5000〜200000の範囲である請求項
    1,2又は3記載の耐候性樹脂被覆金属板。
  5. 【請求項5】 透明樹脂フィルムが、架橋弾性体成分を
    核として(メタ)アクリル系樹脂をグラフト重合した柔
    軟性(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を主成分とする
    請求項1,2,3又は4記載の耐候性樹脂被覆金属板。
  6. 【請求項6】 金属板と塩化ビニル系樹脂層との間に、
    接着剤層を介したことを特徴とする請求項1,2,3,
    4又は5記載の耐候性樹脂被覆金属板。
JP10052697A 1997-04-24 1998-02-19 耐候性樹脂被覆金属板 Pending JPH115271A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016107498A (ja) * 2014-12-05 2016-06-20 大日本印刷株式会社 表面保護フィルム
KR20190038670A (ko) * 2011-03-25 2019-04-08 레놀리트 크램링튼 리미티드 유연성 적층 필름

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