JPH1151920A - ガスクロマトグラフ装置 - Google Patents

ガスクロマトグラフ装置

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JPH1151920A
JPH1151920A JP22440797A JP22440797A JPH1151920A JP H1151920 A JPH1151920 A JP H1151920A JP 22440797 A JP22440797 A JP 22440797A JP 22440797 A JP22440797 A JP 22440797A JP H1151920 A JPH1151920 A JP H1151920A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大量試料注入可能なGCにおいて、カラム切
除やガラスインサート交換の手間を軽減する。 【解決手段】 充填剤を詰めていないインサート14と
プレカラム16とを併用し、試料注入時に気化室10を
溶媒の沸点以上に保つ。注入された試料中の溶媒はすぐ
に気化しその全量がプレカラム16に送り込まれ、他
方、目的成分は一旦インサート14の内壁に付着する。
気化溶媒はキャリアガス流に乗って排出路18より外部
に排出される。気化溶媒の多くが排出された後にバルブ
19を閉鎖し気化室10とプレカラム16とを昇温する
と、気化した目的成分はキャピラリカラム20に送り込
まれる。難揮発性成分はインサート14に残るのでカラ
ムの汚染を防止でき、またインサートに充填剤を用いな
いので充填物の汚染による吸着特性の変化等も起こら
ず、インサートの交換の頻度も低くてすむ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスクロマトグラフ
装置(以下「GC」と称す)に関し、更に詳しくは、G
Cにおいて試料気化室を介して目的成分を含む試料をカ
ラムに導入するための試料導入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスクロマトグラフ装置ではカラム入口
に試料気化室を備え、試料気化室内で気化させた試料を
キャリアガスに乗せてカラム内へ送り込む構成を有して
いる。液体試料に含まれる目的成分が微量である場合、
できる限り大量の試料をカラム内に送り込む必要があ
る。このような大量の試料導入に適した手法として、従
来より、オンカラム法やPTV(Programmed Temperatu
re Vaporizer)法が用いられている。
【0003】図3は、従来利用されているオンカラム法
を利用したGCの流路構成図である。頭部にセプタム1
3を備えた気化室10(但し、オンカラム法では実際に
は気化室のみで気化されるのではない)にはキャリアガ
ス流路11が接続されており、セプタム13直下まで深
く嵌挿されているプレカラム16に所定流量のキャリア
ガスが流されている。プレカラム16出口には三方ジョ
イント17を介して分離用のキャピラリカラム20が連
結されており、キャピラリカラム20出口には検出器2
2が設けられている。三方ジョイント17の残りの開口
には、バルブ19を設けた排出路18が連結されてい
る。通常、プレカラム16はキャピラリカラム20より
も径が太く(例えばプレカラムは内径が0.5mm程
度、キャピラリカラムは内径が0.2〜0.3mm程
度)、プレカラム16及びキャピラリカラム20はカラ
ムオーブン21に収納されている。
【0004】試料注入時には、カラムオーブン21の温
度は液体試料の溶媒の沸点近傍の温度に設定され、バル
ブ19は開放されている。シリンジ23先端のニードル
はセプタム13に貫通されて、液体試料はプレカラム1
6内に直接導入される。大量に注入された液体試料は一
旦広い範囲に広がってプレカラム16内壁に付着する。
この液体試料中の溶媒は徐々に気化し、キャリアガス流
に乗って排出路18を通って外部に排出される。目的成
分の沸点は溶媒の沸点よりも高いので、溶媒が気化する
に伴い濃縮されてプレカラム16の内壁に残留する。所
定量の液体試料を注入し気化溶媒の大部分を排出した後
にバルブ19を閉鎖する。そして、カラムオーブン21
の温度を所定のプロファイルに従って昇温すると、プレ
カラム16内壁に付着している試料中の低沸点成分から
順次気化し、キャリアガス流に乗ってキャピラリカラム
20に送り込まれる。キャピラリカラム20を通過する
際に各成分は明瞭に分離されて検出器22に到達する。
【0005】図4は、PTV法を利用したGCの流路構
成図である。キャピラリカラム20の入口に設けた気化
室10内に充填剤31を充填した略円筒形状のガラスイ
ンサート30を配設する。気化室10には、キャリアガ
ス流路11のほかにスプリットバルブ32を設けたスプ
リット流路33が接続されている。気化室10にはヒー
タ15が周設されており、カラムオーブン21とは独立
に温度が制御できるようになっている。
【0006】試料注入時には、気化室10は溶媒の沸点
近傍に設定しておき、スプリットバルブ32は開放して
おく。液体試料をシリンジ23から気化室10に注入す
ると、液体試料は充填剤31に一旦担持される。充填剤
31に担持された液体試料中の溶媒は徐々に気化し、キ
ャリアガス流に乗ってスプリット流路33を通って外部
に排出される。液体試料中の目的成分はその沸点がより
高いため、或いは充填剤の保持力により、気化せずに充
填剤31に残る。その後、スプリットバルブ32を閉鎖
して気化室10を昇温すると、充填剤31に担持されて
いる低沸点成分から順に気化し、キャリアガス流に乗っ
てキャピラリカラム20内に送られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
オンカラム法では、液体試料を直接プレカラム16に導
入するため、難揮発性成分が含まれていると該成分がプ
レカラム16、特にその入口付近を汚染する。このた
め、頻繁にプレカラム16の汚染部分を切除したりプレ
カラム16自体を交換したりしなければならない。この
ような作業は大変面倒であり、分析効率の向上を阻む一
因になっていた。
【0008】一方、後者のPTV法では、難揮発性成分
は充填剤31に残留するのでカラムの切除や交換等は不
要であるが、付着した難揮発性成分により充填剤31の
保持特性が変化することがあり、目的成分が充填剤31
に吸着又は分解される恐れがある。このため、安定した
分析を行なうためには、ガラスインサート30(又は充
填剤31)の交換を頻繁に行なわなければならず、オン
カラム法と同様に分析効率の向上が困難であった。
【0009】本発明は上記課題を解決するために成され
たものであり、その目的とするところは、カラムの切除
や交換、或いはガラスインサートの頻繁な交換等の面倒
な作業を軽減することができるガスクロマトグラフ装置
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明に係るガスクロマトグラフ装置は、 a)キャリアガス導入口を有する気化室と、 b)該気化室内に配設された、充填剤を有さないインサー
トと、 c)前記気化室に連結されたプレカラムと、 d)該プレカラムの出口に接続されたキャピラリカラム
と、 e)プレカラムとキャピラリカラムとの連結部に接続さ
れ、開閉自在のバブルを具備した排出路と、 f)前記気化室の温度を制御する気化室温度制御手段と、 g)前記プレカラム及びキャピラリカラムの温度を制御す
るカラム温度制御手段と、を備え、気化室に液体試料を
注入する際に、前記気化室温度制御手段は溶媒の沸点以
上の所定温度に気化室を加熱すると共に、前記カラム温
度制御手段は溶媒の沸点近傍にプレカラムを加熱してお
き、インサート内で気化した溶媒を前記排出路を通して
排出した後に前記バルブを閉鎖して気化試料をキャピラ
リカラムに導入することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】試料注入時に気化室の温度は溶媒
の沸点よりも高い温度に維持されているので、気化室に
注入された試料中の溶媒(及び低沸点の目的成分)は気
化し、一方高沸点の目的成分及び難揮発性成分はインサ
ートの内壁に付着する。気化した溶媒がキャリアガス流
に乗ってプレカラムを通過する間に、低沸点の目的成分
はプレカラムの内壁に付着し、気化溶媒のみが排気管を
通って外部へ排出される。液体試料の大部分は溶媒であ
り、この溶媒が迅速に気化室内から運び去られるので、
気化室に大量の試料を注入することが可能である。気化
溶媒の多くがプレカラムから抜けた後にバルブが閉鎖さ
れ、インサート及びプレカラムが昇温されると、インサ
ート内壁及びプレカラム内壁に広く付着している目的成
分は徐々に気化しキャリアガス流に乗ってキャピラリカ
ラムに送り込まれる。そして、最終的に、難揮発性成分
のみがインサートの内壁に残留する。
【0012】なお、インサートはその内壁面が凹凸を有
していることが好ましい。これによれば、試料注入時に
インサートの内壁に付着した液体試料が流下しにくく溶
媒の気化が促進されると共に、内壁の面積が広いので難
揮発性成分をより多く捉えることができる。
【0013】
【発明の効果】このように、本発明に係るガスクロマト
グラフ装置によれば、液体試料の多くを占める溶媒は気
化してプレカラムを通って排気され、目的成分はインサ
ートやプレカラム内に残るので、液体試料を大量に注入
することができる。また、液体試料に含まれる難揮発性
成分はガラスインサートの内壁に残留するので、プレカ
ラム自体を汚染する可能性は殆どない。このため、従来
のオンカラム法のようにプレカラムの切除や交換を行な
う必要がなく、大幅な省力化が図れると共にランニング
コストも安価で済む。また、インサート内には充填剤を
もたないので、残留した難揮発性成分の影響により保持
特性が変化することもない。このため、目的成分が変性
することなく確実にプレカラムからキャピラリカラムに
送り込まれるので、正確なクロマトグラムを得ることが
できる。また、ガラスインサートを頻繁に交換する必要
はなく、汚れが酷くなった適当な時期に洗浄又は交換す
ればよい。
【0014】
【実施例】以下、本発明に係るガスクロマトグラフ装置
の一実施例を図1及び図2を参照して説明する。図1は
本実施例のGCの流路を中心とする構成図、図2はこの
GCに用いられるガラスインサートの一例の概略断面図
である。
【0015】本実施例のGCでは、プレカラム16とガ
ラスインサート14とを併用し、気化室10は昇温制御
する。すなわち、キャリアガス流路11が接続された気
化室10内には略円筒形状のガラスインサート14が配
設されており、ガラスインサート14の下端面より上方
に突出するようにプレカラム16が挿入されている。ま
た、気化室10には加熱用のヒータ15が周設されてい
る。プレカラム16以降の流路構成は従来のオンカラム
法によるGCと同一になっている。試料導入制御部26
は、シリンジ23から気化室10への液体試料の注入、
キャリアガス流路11に設けた流量制御バルブ12の開
度、排出路18上のバルブ19の開閉と、気化室温度制
御部24、オーブン温度制御部25とを連動して制御す
る。なお、セプタム13から発生される不所望のガスを
気化室10から排出するために、気化室10のセプタム
13近傍にセプタムパージ流路を接続してもよい。
【0016】上述のPTV法とは異なり、ガラスインサ
ート14には充填物を詰めずに、図2に示すような構造
のものを使用する。すなわち、後記の理由により、ガラ
スインサート14の内壁面には、対向して交互に突出す
る凹凸141が形成されている。
【0017】上記構成の本実施例のGCにおける試料導
入時の動作を説明する。試料注入前に、試料導入制御部
26は、流量制御バルブ12を制御することにより一定
流量のキャリアガスをキャリアガス流路11から気化室
10に流しておき、またバルブ19は開放しておく。ま
た、気化室温度制御部24により、気化室10の温度を
溶媒の沸点よりも所定温度だけ高い温度(例えば溶媒沸
点+50℃)に設定しておく。また、オーブン温度制御
部25により、カラムオーブン21の温度を溶媒の沸点
近傍で該沸点よりもやや高い温度(例えば溶媒沸点+1
0℃)に設定しておく。
【0018】試料導入制御部26の指令により、シリン
ジ23が降下しその先端のニードルがセプタム13を貫
通して液体試料が気化室10内に注入されると、液体試
料は微細液滴となってガラスインサート14内に入る。
噴霧された液体試料はガラスインサート14の内壁面に
付着し、集まって比較的大きな液滴を形成するが、内壁
面は図2に示したように凹凸になっているので、その液
滴は直下に滴り落ちずにゆっくりと流下する。もし、ガ
ラスインサート14の内壁面に凹凸がないと、大量の液
体試料が注入された場合、液滴中の溶媒が蒸発しない内
に液滴はインサートから滴り落ちて気化室10の底部に
溜まってしまう。これに対し、本実施例のGCでは、ガ
ラスインサート14の内壁面が凹凸になっているので、
液滴の流下速度が遅く内壁面に長く接しているので、溶
媒の気化が促進され、ガラスインサート14の下端に達
する迄に溶媒が気化する。
【0019】溶媒のほかに、比較的沸点の低い目的成分
も同時に気化し、キャリアガス流に乗ってプレカラム1
6に送り込まれる。一方、比較的沸点の高い目的成分や
難揮発性成分はガラスインサート14の内壁面に付着し
て残留する。実際には、液体試料の大部分は溶媒が占め
ているので、ガラスインサート14に残る成分はごく僅
かである。
【0020】プレカラム16に送り込まれた気化溶媒と
一部の低沸点成分はキャリアガス流に乗って進むが、プ
レカラム16の温度はその低沸点成分の沸点よりも低く
なっているので、プレカラム16を通過する間に液化し
てプレカラム16の内壁に付着して保持される。一方、
気化溶媒は、プレカラム16、三方ジョイント17、排
出路18、バルブ19を通って外部に排出される。な
お、キャリアガスの一部はキャピラリカラム20にも流
れ込んでいるので気化溶媒はキャピラリカラム20にも
送り込まれるが、排出路18側の流路抵抗のほうが遙か
に小さいので、気化溶媒の殆どは排出路18から抜け
る。
【0021】所定量の液体試料が気化室10内に注入さ
れた後、所定時間が経過してプレカラム16中から気化
溶媒の大部分を排出したならば、試料導入制御部26は
バルブ19を閉鎖する。そして、気化室温度制御部24
及びオーブン温度制御部25はそれぞれ所定の昇温プロ
ファイルに従って昇温を開始する。すると、ガラスイン
サート14の内壁及びプレカラム16の内壁に広く付着
していた目的成分のうち、低沸点のものから順次気化し
てキャリアガスに乗って運ばれる。そして、プレカラム
16、三方ジョイント17を通ってキャピラリカラム2
0に送り込まれる。キャピラリカラム20を通過する間
に、各目的成分は沸点に応じて明確に分離されて検出器
22に到達する。
【0022】元の液体試料に含まれていた難揮発性成分
は昇温によっても気化しにくいので、最後までガラスイ
ンサート14の内壁に残留する。従って、プレカラム1
6を汚染することはなく、必要に応じてガラスインサー
ト14を洗浄又は交換すればよい。
【0023】なお、気化室温度制御部24及びオーブン
温度制御部25により昇温プロファイルは、目的成分の
種類等に応じて適宜変更することができる。
【0024】また、上記実施例は一例であって、本発明
の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行なうことができるこ
とは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるガスクロマトグラフ
装置の構成図。
【図2】 本実施例に使用されるインサートの一例の概
略断面図。
【図3】 従来のオンカラム法によるガスクロマトグラ
フ装置の構成図。
【図4】 従来のPTV法によるガスクロマトグラフ装
置の構成図。
【符号の説明】
10…気化室 11…キャリアガス
流路 14…ガラスインサート 15…ヒータ 16…プレカラム 17…三方ジョイン
ト 18…排出路 19…バルブ 20…キャピラリカラム 21…カラムオーブ
ン 23…シリンジ 24…気化室温度制
御部 25…オーブン温度制御部 26…試料導入制御

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)キャリアガス導入口を有する気化室
    と、 b)該気化室内に配設された、充填剤を有さないインサー
    トと、 c)前記気化室に連結されたプレカラムと、 d)該プレカラムの出口に接続されたキャピラリカラム
    と、 e)プレカラムとキャピラリカラムとの連結部に接続さ
    れ、開閉自在のバブルを具備した排出路と、 f)前記気化室の温度を制御する気化室温度制御手段と、 g)前記プレカラム及びキャピラリカラムの温度を制御す
    るカラム温度制御手段と、 を備え、気化室に液体試料を注入する際に、前記気化室
    温度制御手段は溶媒の沸点以上の所定温度に気化室を加
    熱すると共に、前記カラム温度制御手段は溶媒の沸点近
    傍にプレカラムを加熱しておき、インサート内で気化し
    た溶媒を前記排出路を通して排出した後に前記バルブを
    閉鎖して気化試料をキャピラリカラムに導入することを
    特徴とするガスクロトグラフ装置。
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