JPH1151855A - 円二色性蛍光励起スペクトル測定装置 - Google Patents

円二色性蛍光励起スペクトル測定装置

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JPH1151855A
JPH1151855A JP22018597A JP22018597A JPH1151855A JP H1151855 A JPH1151855 A JP H1151855A JP 22018597 A JP22018597 A JP 22018597A JP 22018597 A JP22018597 A JP 22018597A JP H1151855 A JPH1151855 A JP H1151855A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、検出感度の向上を図るこ
とができると共に、試料の利用効率の改善を図ることが
できる円二色性蛍光励起スペクトル測定装置を提供する
ことにある。 【解決手段】 光源12と、励起光波長選択手段14
と、円偏光変調器16と、サンプルセル18と、蛍光波
長選択手段19と、蛍光測定手段20と、該蛍光強度を
検出した電気信号s2のうち、該変調周波数s1に同期
して交流成分s4を取り出して円二色性蛍光励起スペク
トルとする信号処理手段28と、を備え、該サンプルセ
ル18と蛍光測定手段20の間に集光系を介さず、か
つ、該サンプルセル18と蛍光測定手段20を近接させ
たことを特徴とする円二色性蛍光励起スペクトル測定装
置10。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は円二色性蛍光励起ス
ペクトル測定装置、特にその蛍光の集光効率と試料の利
用効率の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多くの化学物質において、その絶対構
造、立体構造に関する知見は、極めて基本的かつ重要不
可欠な情報となっている。特に薬物、毒物、生体物質な
どの生理活性物質においては、その生理活性が直接にそ
のキラリティ、すなわち絶対構造、立体構造に依存する
ことから、重要な研究課題とされている。しかしなが
ら、キラリティのみ異なる光学異性体は、化学的性質は
実質的に同一であり、各種物理的特性も極めて近似して
いるため、これら薬物、毒物、生体物質などの生理活性
物質のキラリティを解析する手段としては、X線結晶構
造解析、円二色性スペクトルくらいに限られてくる。特
に円二色性スペクトルは、取り扱いが比較的平易である
ことから、この研究には重要不可欠な手段として広く用
いられている。
【0003】ところが、例えば生理活性物質などのよう
に試料によっては、この円二色性スペクトル測定のため
に十分な量を確保することが容易ではない場合も多く、
この円二色性スペクトル測定検出感度の向上、あるいは
より感度の高い代替の測定手段の実現が強く望まれてい
た。その代替となり得る手段として、蛍光検出円二色性
測定装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の蛍光
検出円二色性スペクトル測定装置は、もっぱら蛍光検出
による選択性の向上にのみ着目されていて、その潜在的
な感度向上の可能性については全く考慮されておらず、
大きな改善の余地が残されていた。すなわち、蛍光を検
出する場合の検出感度は、試料から放射される蛍光の集
光効率に依存するため、可能な限りその集光効率を高め
る設計がなされることが望ましいが、従来の蛍光検出円
二色性スペクトル測定装置ではそれがなされておらず、
大きな改善の余地が残されていた。
【0005】本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされ
たものであり、その目的は検出感度の向上を図ることが
できると共に、試料の利用効率の改善を図ることができ
る円二色性蛍光励起スペクトル測定装置を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明にかかる円二色性蛍光励起スペクトル測定装
置は、光源と、該光源から出た光束のうち、所定波長の
励起光束のみを通過させる励起光波長選択手段と、該励
起光波長選択手段からの光束を所定の変調周波数で交互
に左右の円偏光とする円偏光変調器と、試料が入れら
れ、該円偏光変調器を通過した左右の円偏光が交互に照
射されるサンプルセルと、該サンプルセル内の試料から
放射された蛍光のうち、所定波長の蛍光のみを通過させ
る蛍光波長選択手段と、該蛍光波長選択手段からの蛍光
を蛍光強度信号とする蛍光測定手段と、該蛍光強度を検
出した電気信号のうち、該変調周波数に同期して交流成
分を取り出して円二色性蛍光励起スペクトルとする信号
処理手段と、を備え、サンプルセルと蛍光測定手段の間
に集光系を介さず、かつ、該サンプルセルと蛍光測定手
段を近接させたことを特徴とする。
【0007】なお、前記装置において、前記蛍光波長選
択手段はカットオフフィルタであり、該カットオフフィ
ルタにより励起光の散乱光の波長域の光を選択的に吸収
して除去することが好適である。また、前記装置におい
て、前記サンプルセルを透過した光の通過コース上に設
けられ、該透過光を除去する光トラップを備えることが
好適である。
【0008】また、前記装置において、前記サンプルセ
ルを間に挟み蛍光測定手段の反対側に、その鏡面をサン
プルセルに向けて設けられ、該サンプルセル内の試料か
ら放射された蛍光のうち、蛍光測定手段の反対方向に放
射された蛍光を入反射して蛍光測定手段へ導く凹面鏡を
備えることが好適である。または、実質的に前記サンプ
ルセルの外周面のほぼ全周に亘り、その鏡面をサンプル
セルに向けて設けられ、該サンプルセル内の試料から放
射された蛍光を入反射して蛍光測定手段へ導く内面反射
型の反射鏡を備えることも好適である。また、前記装置
において、前記サンプルセル内の試料の高さは、前記励
起光束のビーム径とほぼ同一の高さであり、
【0009】また底部が高さ調節自在で、該高さ調節が
自在の底部上に前記サンプルセルが設けられたセルホル
ダと、前記セルホルダ底部の高さを調節可能な高低調節
手段と、を備え、前記サンプルセル内の試料の高さと励
起光波長選択手段からの励起光束のビーム径とがほぼ一
致するように、前記高低調節手段によりサンプルセルの
高さを調節することが好適である。さらに、前記装置に
おいて、前記サンプルセルは円筒形よりなることが好適
である。
【0010】
【発明の実施形態】以下、図面に基づき本発明の好適な
実施形態を説明する。図1には本発明の一実施形態にか
かる円二色性蛍光励起スペクトル測定装置が示されてい
る。
【0011】同図に示す円二色性蛍光励起スペクトル測
定装置10は、光源12と、励起光波長選択手段である
分光器14と、ピエゾエラスティックモジュレータ(P
EM)よりなる円偏光変調器16と、サンプルセル18
と、蛍光波長選択手段であるカットオフフィルタ19
と、蛍光測定手段であり、光増倍管(PMT)よりなる
検出器20と、プリアンプ22と、直流アンプ24と、
交流アンプ26と、ロック・インアンプ28と、直流ア
ンプ30と、A/D変換器32と、I/O装置34と、
分光器ドライバ36と、PEMドライバ38と、PMT
印加電圧制御回路40と、制御手段であるCPU42
と、記憶手段44を備える。
【0012】そして、光源12の発光方向前方には分光
器14が設置され、この分光器14により波長走査され
順次所定波長の単色光となり、さらに所定の振動方向の
直線偏光となった光束は、分光器14の前方に設置され
た円偏光変調器16を通過する。この円偏光変調器16
では、左右円偏光が所定の変調周波数信号s1(本実施
形態においては図2(a)に示すように50kHz)で
交互につくられて、サンプルセル18内の試料に照射さ
れる。
【0013】ここで、サンプルセル18内の試料に励起
光束L1である左右円偏光の不等吸収が起こると、円偏
光変調器16の変調周波数信号s1に対応して蛍光L2
にも強弱の波が生じ検出器20に到達するが、試料から
放射された蛍光L2は、カットオフフィルタ19により
励起光束L1の散乱光が取り除かれ、目的の蛍光波長域
の光のみが検出器20に入射する。以上のようにして本
実施形態にかかる円二色性蛍光励起スペクトル測定装置
10を構成することにより、試料から放射された蛍光を
測定することができる。
【0014】なお、本実施形態では円偏光変調器16を
用いているため、検出器20の出力信号には、直流成分
信号s3にわずかの交流成分信号s4が含まれており
(図2(b)参照)、この交流成分信号s4には、左右
の円偏光で励起したときの蛍光強度の差(励起スペクト
ルの差)が反映している(同図(c)参照)。このた
め、本実施形態においては、例えばこの励起スペクトル
の差を求めることにより、円二色性蛍光励起スペクトル
(図3参照)を得ることができる。
【0015】また、分光器14、円偏光変調器16の動
作は、それぞれ分光器ドライバ36、PEMドライバ3
8により管理されている。このような円二色性蛍光励起
スペクトル測定装置10においては、もともと微弱な蛍
光のさらに差を解析しなければならないため、通常の蛍
光測定装置と比較しても一層の蛍光検出効率の向上が要
求される。以下、本実施形態の特徴的事項について詳細
に説明するが、まず本実施形態における蛍光の集光効率
の改善方法について説明する。
【0016】サンプルセルと検出器の配置 従来においては、サンプルセル18の設置場所に空間を
確保してその扱いを容易にするため、図4(a)に示す
ように、検出器20をサンプルセル18より離し、この
サンプルセル18と検出器20との間の光路中に、集光
系である集光レンズ46,48を設置していた。
【0017】しかしながら、従来のように検出器20を
サンプルセル18より離すと、集光レンズ46,48の
開口角は限られていて十分大でなく、その分、集光効率
も限られていた。また、集光系は最低2枚のレンズ4
6,48を設けていたため、この集光レンズ46,48
の表面での反射によっても、試料から放射された蛍光L
2の約20%程度をロスしていた。
【0018】そこで、本実施形態においては、同図
(b)に示すように、前記集光系である集光レンズ4
6,48を介さず、カットオフフィルタ19を介して検
出器20をサンプルセル18に近接させている。この結
果、試料から放射された蛍光L2の大部分を検出器20
に入射させることができる。これにより、蛍光L2の集
光効率を最大とすることができるので、検出感度の向上
を図ることができる。
【0019】カットオフフィルタ 従来より、一般的な蛍光分光光度計などの円二色性蛍光
励起スペクトル測定装置では、検出する蛍光L2の波長
を選択するために回折格子を用いた分光器を組み込むの
が普通である。しかしながら、このような分光器を組み
込むことにより、検出する蛍光L2の波長を可変するこ
とができる、蛍光の波長純度をコントロールすることが
できる、などの利点があるものの、光学素子の効率のた
めに光のロスが避けられず、その分、機構が複雑となり
コストがかかるなどのマイナス面もあった。
【0020】そこで、本実施形態においては、励起光L
1の散乱光さえ取り除くことができれば、それより長い
波長の光の全部を用いても何等問題なく、むしろ光の量
が増えて感度を向上させるためには好都合であることか
ら、検出器20側の分光器として前記図4(b)に示す
ようにカットオフフィルタ19を用いることが好適であ
る。このカットオフフィルタ19は、入射した光のう
ち、励起光L1の散乱光の波長成分のみを吸収して、そ
れより長波長の蛍光のみを検出器20に入射させるの
で、検出器20に入射される蛍光L2の量を増やすこと
ができ、検出感度の向上を図ることができる。
【0021】また、このカットオフフィルタ19の厚さ
は数mm程度と薄いため、その後段に設置される検出器
20をサンプルセル18にできる限り近接させて、その
開口比を大きく確保することにも役立つ。これにより、
集光効率の向上を図ることができるので、検出感度の向
上を図ることもできる。
【0022】光トラップ 試料を透過した光束は迷光となり、測定の妨害となるお
それがあった。また、本実施形態のように励起光として
円偏光を用いた場合には、試料を透過した円偏光に反射
が生じると偏光状態が変わり、最悪、逆方向の円偏光と
なって再度サンプルセル18に戻るおそれがあった。そ
して、このような逆方向の円偏光がサンプルセル18に
入射すると、試料の励起に関わり、左右の円偏光励起に
よる蛍光強度の差を小さくし、折角の信号を小さくして
しまう。
【0023】そこで、本実施形態においては、これらの
影響を取り除くため、前記図4(b)に示すように、サ
ンプルセル18からの透過光L3を除去することが可能
な光トラップ50を設けている。これにより、前述のよ
うなノイズを大幅に低減することができると共に、最大
信号の確保を行うことができる。
【0024】凹面鏡 前記図4(b)に示すように、試料からの蛍光L2は、
励起光L1の照射方向に関わらず、全包囲に放射される
が、検出に用いられるのは、そのうちの1方向である検
出器20方向でしかなく、その他は無駄となる。そこ
で、本実施形態においては、サンプルセル18を間に挟
み検出器20の反対側に凹面鏡52を設置して、その焦
点をサンプルセル18のほぼ中央部に位置させる。これ
により、検出器20の反対側に放射された蛍光L2も、
この凹面鏡52で入反射されてサンプルセル18に戻
り、そのまま検出器20に入射することができる。
【0025】この結果、検出器20に入射する蛍光L2
の量を増やすことができるので、検出感度の向上を図る
ことができる。
【0026】内面反射型の筒形反射鏡 本実施形態においては、前記図4(b)に示す凹面鏡5
2に代わり、図5に示すように、サンプルセル18とし
て円筒形セルを用い、該円筒形セルの周囲を一部除いた
内面反射型の筒形反射鏡で囲み込み、光の利用効率を上
げることも好適である。
【0027】すなわち、サンプルセル18として円筒形
セルを用いたときの光利用効率をさらに上げるために
は、図5に示すように、円筒形セルの周りに内面反射型
の筒形反射鏡を設置することが好適であり、その1つ
は、同図(a)に示すように内面反射型の円筒形鏡54
の一部(例えば検出器20の口径とほぼ同様)を切り欠
いたものを用いて、試料から実質的に全方位へ放射され
た蛍光を、この円筒形鏡54にて入反射させて、前記図
1に示す検出器20に入射させることができる。
【0028】もう1つは、同図(b)に示すような、内
面反射型の楕円筒形鏡48を用いることができる。そし
て、この楕円筒形鏡56の切り抜き部分(例えば検出器
20の口径とほぼ同様)から遠い方の焦点が、サンプル
セル18である円筒形セルの中心に一致するように設け
る。これにより、サンプルセル18である円筒形セルか
ら放射された蛍光を、もう1つの焦点に集光した後、効
率的に前記図1に示す検出器20に導くことができる。
【0029】この結果、試料から放射された蛍光のう
ち、検出器20方向だけでなく、実質的に全方向に放射
された蛍光を検出器20に入射させることができる。こ
れにより、検出器20に入射する蛍光の量を増やすこと
ができるので、検出感度の向上を図ることができる。な
お、前記円筒形鏡54、楕円筒形鏡56などの内面反射
型の筒形反射鏡としては、金属製の筒体の内面を研磨し
たものを用いることができる。
【0030】また、サンプルセルとして無蛍光ガラス製
の円筒形セルを用い、その外周面に、前記筒形反射鏡と
してアルミなど反射率の高い金属を蒸着、メッキするこ
とでも前記円筒形鏡54、楕円筒形鏡56と同様の効果
を得ることもできる。しかも、このようにサンプルセル
18の外周面に鏡面を設けることにより、サンプルセル
をキズや劣化などから有効に保護することもできる。
【0031】導光パイプ 本実施形態においては、試料から放射された蛍光L2
を、できる限り効率的に検出器20に集光させるために
は、前記図4に示すように、サンプルセル18、カット
オフフィルタ19および検出器20を直接近接させるこ
とも好適であるが、このほか、図6に示すように、サン
プルセル18とカットオフフィルタ19との間の光路中
に、その内面が鏡面研磨された導光パイプ58を設ける
ことも好適である。
【0032】この結果、サンプルセル18から図中右方
向に放射された蛍光L2の一部は、該導光パイプ58の
内面にて反射せずに直接カットオフフィルタ19を介し
て検出器20に入射するものもあるが、また導光パイプ
58の内面に入射した蛍光L2も、その内面にて1回な
いし複数回入反射して、カットオフフィルタ19を介し
て検出器20に入射することができる。これにより、前
記図4に示すサンプルセル18、カットオフフィルタ1
9および検出器20を直接近接させる構成と同様に、試
料から放射された蛍光L2の集光効率の向上を図ること
ができるので、検出感度の向上を図ることができる。
【0033】サンプルセルの形状の違いによる蛍光の集
光効率の改善 試料と空気の屈折率の違いにより、サンプルセル18と
して角形セルを用いた場合、サンプルセル18から外部
に蛍光が出るとき、図7(a)に示すように、蛍光L2
が開くように屈折する。このため、検出器20に入射さ
れる蛍光L2は、その検出器20の口径とサンプルセル
18からの距離とで幾何学的に決まる開口立体角と比較
して少なくなる。そこで、本実施形態のように、同図
(b)に示すようにサンプルセル18として円筒形セル
を用いることにより、その回転軸方向の事情は変わらな
いが、径方向では屈折がないため、その分だけ、高い光
の利用効率を確保することができるので、検出感度の向
上を図ることができる。
【0034】以上のようにしてサンプルセル18、カッ
トオフフィルタ19、検出器20、光トラップ50、凹
面鏡52、内面反射型の筒形反射鏡54,56、導光パ
イプ58などを適宜構成して蛍光の集光効率の向上を図
ることにより、蛍光のように微弱な光を検出する場合で
も検出感度の向上を図ることができる。つぎに、本実施
形態における試料の利用効率の改善について説明する。
【0035】サンプルセルの形状の違いによる試料の利
用効率の改善 図8(a)に示すように、サンプルセル18の励起光束
L1の通らない部分(図中黒い部分)は、測定に関与し
ない部分であり、限られた試料の量から、より濃い試料
溶液を調整するためには無駄な部分となる。そこで、本
実施形態においては、サンプルセル18として円筒形セ
ルを用い、同図(b)に示すように、励起光束L1とほ
ぼ同じ形状の円形に形成された端部であるセル窓板より
励起光束L1を入射させることにより、同図(a)に示
すようにサンプルセル18として角形セルを用い、側方
のセル窓板より励起光束L1を入射させた場合に比較
し、その無駄な部分(図中黒い部分)を低減することが
できるので、試料の利用効率の改善を図ることができ
る。また、それ以外にもサンプルセル18として円筒形
セルを用いると、つぎのような利点が得られる。
【0036】すなわち、円筒形セルの方が角形のものに
比較し、前記励起光束L1の入射するセル窓板の歪みを
少なく作成することができる。この歪みは、本実施形態
において励起円偏光の偏光状態を乱し、ベースラインの
曲がりの原因となるものであるため、サンプルセル18
としてこの歪みの少ない円筒形セルを用いることによ
り、得られるスペクトルの質的な向上を図ることもでき
る。
【0037】サンプルセルの高低調節手段 生体成分のような試料では、その絶対量を確保すること
が困難であることが多く、測定には限られた微少量しか
用いられないことが一般的である。一方、測定で得られ
る信号強度は濃度に依存する。したがって、感度を確保
するためには、利用できる試料をできるだけ少量の溶媒
に溶解してできる限り濃い試料溶液60とし、測定に供
するのが好ましい。より具体的には、測定において励起
光に照射されない試料部分を最小にするようにし、それ
に必要なギリギリの量の試料溶液60を調整するのが好
ましい。
【0038】そこで、本実施形態においては、図9に示
すように、その底部62aが高さ調節自在で、該底部6
2aにサンプルセル18が設けられたセルホルダ62
と、セルホルダ底部62aを図中上下させてサンプルセ
ル18の高さを調節可能な高低調節手段64を備えるこ
とが好適である。そして、高低調節手段64を駆動させ
て、励起光束L1をカバーすることができるギリギリの
高さまでサンプルセル18を持ち上げることにより、サ
ンプルセル18として円筒形セルを用いた場合は勿論、
たとえこれに角形のものを用いた場合でも、試料溶液6
0を該励起光束L1をカバーすることができる最低限の
量で済ませることができる。
【0039】以上のようにしてサンプルセル18、セル
ホルダ62、高低調節手段64などを構成することによ
り、励起光束L1をカバーすることができる必要最低限
の試料量で蛍光測定を行うことができるので、試料の利
用効率の改善を図ることができる。
【0040】なお、本発明の円二色性蛍光励起スペクト
ル測定装置としては、上記実施形態のものに限られるも
のでなく、種々の態様の変更が可能であり、例えば前記
図1に示すI/O装置34に、可搬型コンピュータのイ
ンターフェースをケーブル接続し、同図に示すCPU4
2の制御機能、記憶手段44の記憶機能などの各機能
を、可搬型コンピュータ内蔵のCPU、リムーバブルデ
ィスク、ハードディスクなどの記憶手段で代用すること
も可能である。これにより、測定終了後にはその可搬型
コンピュータのみを外部へ持ち出して上記データ処理を
行うことができるので、作業性の向上などを図ることも
できる。つぎに、本実施形態において可能な種々の信号
処理方法について説明する。
【0041】円二色性蛍光励起スペクトル 図10に一般的な(吸収)円二色性スペクトルの1例を
示す。これは2R,3R−ビスナフトイルブタンジオー
ルの1.78ppmのアセトニトリル溶液について測定
されたものである。この試料については極めて明瞭な円
二色性スペクトルが得られているが、この試料を100
倍希釈した17.8ppbの溶液については、図11に
示すように、最早ノイズの大きさと同じ程度の信号レベ
ルとなって、このスペクトルの測定の主たる目的である
構造解析に用いることはできない。
【0042】本実施形態の1つである円二色性蛍光励起
スペクトル測定装置は、このような希薄な試料につい
て、なお解析に利用できる高感度な円二色性蛍光励起ス
ペクトルに利用できる。図12に示すのは、先の17.
8ppbの試料について得られた円二色性蛍光励起スペ
クトルで、S/N比で比べて(吸収)円二色性スペクト
ルの20倍の感度が得られている。因みに本実施形態に
よらない図4に示したような従来の円二色性蛍光励起ス
ペクトル測定で測定した円二色性蛍光励起スペクトルに
比べて、S/N比で6倍の感度が得られている。
【0043】ところで、この図12に示した円二色性蛍
光励起スペクトルでは、その縦軸が規格化されておら
ず、試料間の直接比較ができない。これを補うために、
本実施形態では以下に述べる方法によって円二色性蛍光
励起スペクトルの大きさの規格化を行うことが可能であ
る。すなわち、前述のように直流アンプ24で分離され
た直流成分信号s3も、そのままA/D変換器32、I
/O装置34を介してCPU42に入力されるが、CP
U42に入力された直流成分信号s3は、そのまま全蛍
光励起スペクトル(同図(b)参照)として記憶手段4
4に入力され記憶される。
【0044】全蛍光励起スペクトルを取得後、CPU4
2は記憶手段44に適宜アクセスして全蛍光励起スペク
トルを読み出す。また、CPU42は読み出された全蛍
光励起スペクトルを所定の波長区間(本実施形態におい
ては220nm〜260nm)で積分して0でない積分
値Iを得る。積分値Iを取得後、CPU42は、記憶手
段44に適宜アクセスして円二色性蛍光励起スペクトル
を読み出す。また、CPU42は読み出された円二色性
蛍光励起スペクトルを前記積分値Iで割り算することに
より、この円二色性蛍光励起スペクトルの大きさを規格
化する。
【0045】全蛍光励起スペクトルを所定の波長区間で
積分して得られた積分値Iは、0でない1つの値である
から、ノイズとは無縁である。この積分値Iで円二色性
蛍光励起スペクトルを割り算することにより、ノイズを
増やさずに、その大きさを規格化することができる。こ
れにより、種々の試料間で円二色性蛍光励起スペクトル
を適正に比較することもできる。
【0046】円二色性蛍光励起スペクトルの利点 円二色性蛍光励起スペクトルの縦軸を規格化する方法と
して、従来、左右の円偏光励起による蛍光強度の差を、
蛍光強度の和で割った量を蛍光検出円二色性スペクトル
として測定していた。本実施形態でも、この蛍光検出円
二色性スペクトルを、先の円二色性蛍光励起スペクトル
を全蛍光励起スペクトルで割ることにより、得ることが
できる。この間の関係は下記数1で表される。
【0047】
【数1】 ただし、ΔAは吸収円二色性スペクトル、Sは蛍光検出
円二色性スペクトル、ΔFは円二色性蛍光励起スペクト
ル、Aは左右の円偏光に対する試料物質の吸収係数の平
均値である。また、通常の円二色性分散計において(吸
収)円二色性スペクトルΔAは、試料を透過した左右円
偏光の強度差ΔIと、その平均値Iより下記数2で表さ
れる。
【0048】
【数2】 いずれのスペクトルでも(吸収)円二色性スペクトルと
比較して1桁ないし2桁高い感度を得ることができる。
これは、例えば通常の紫外可視分光光度計と分光蛍光光
度計で期待される感度の違い、あるいは、HPLCにお
いて紫外可視検出器と蛍光検出器で期待される感度の違
い(至適な試料についてはいずれも蛍光のほうが1桁な
いし3桁高い感度が得られる)に匹敵するものであり、
微少量しか用意することができないような試料の測定
に、莫大な恩恵をもたらすものである。
【0049】さらに、これら2者を比較すると、円二色
性蛍光励起スペクトルはΔF、蛍光検出円二色性スペク
トルはSを測定することになる。この蛍光検出円二色性
スペクトルは、前記数1のように後で係数を演算してΔ
Aに直すことができ、その解釈方法も確立しているとい
う利点がある。一方、Sは全蛍光強度(直流成分信号s
3)で割り算している分だけノイズが大きくなり、さら
に蛍光のない波長領域では分母が0(もちろん分子も
0)となるので、0/0を演算する結果、ノイズがより
拡大してスペクトルの質が著しく低下するという宿命を
もっている。
【0050】これに対し、円二色性蛍光励起スペクトル
は、ΔFは割り算しない分だけノイズが極めて少なく、
蛍光のない波長領域でもノイズが拡大することなく、ス
ペクトルの質が確保され、試料の量に対する感度の点で
は、顕著な利点を有する。また、蛍光性夾雑物や、キラ
リティに関与しない蛍光性官能基の影響を受けないの
で、その分、選択性の点でも有利である。また、蛍光で
検出することで選択性も向上し、化合物の特定の部位に
特異的な解析が可能となる。さらに、生のままでは蛍光
をもっていない物質についても、蛍光の官能基を化学的
に導入することにより、高感度に測定解析する道が開け
たこととなり、その効果は極めて大きい。
【0051】図13には本発明にかかる円二色性蛍光励
起スペクトルを用いた場合と、従来の蛍光検出励起スペ
クトルを用いた場合との検出感度の比較結果が示されて
いる。同図に示すように、本実施形態にかかる円二色性
蛍光励起スペクトルを示す同図(a)は、従来例の蛍光
検出励起スペクトルを示す同図(b)と比較して、蛍光
のない波長域ではノイズが1桁以上低減され、蛍光のあ
る波長域ではノイズが約50%低減されていることが理
解される。
【0052】このように本実施形態にかかる円二色性蛍
光励起スペクトル装置を用い、蛍光検出円二色性スペク
トルを得ることも可能であるが、前述した理由からノイ
ズの少ない円二色性蛍光励起スペクトルを得ることによ
り、該スペクトルを用い、試料の適正な分析を行うこと
もできる。このほか、本実施形態においては、下記透過
光モニタ手段を用いることにより、別の信号処理を行う
ことも可能である。
【0053】透過光モニタ手段 本実施形態においては、図14(a)に示すように、サ
ンプルセル18を透過した光L3の通過コース上に、該
透過光L3を光電変換して透過光強度信号s5とする透
過光側検出器66を備えることも可能である。透過光側
検出器66は、例えば光増殖管(PMT)よりなり、該
透過光側検出器66から出力された透過光強度信号s5
は、まず増幅器68で増幅される。さらに、同図(b)
に示されるように、サンプルセル18と透過光側検出器
66との間の光路中に、透過光側検出器66から出力さ
れる透過光強度信号s5と、蛍光側検出器20から出力
信号される蛍光強度信号s2とがほぼ同一の強度信号と
なるように、サンプルセル18からの透過光L3を減光
して透過光側検出器66に入射させる減光フィルタ70
を設けることが可能である。
【0054】そして、前述のようにして減光フィルタ7
0を設けることにより、透過光強度信号s5と蛍光強度
信号s2とがほぼ同一の強度信号となるように調節した
うえで、透過光側検出器66から出力される透過光強度
信号s5が常に一定となるように、検出器印加電圧アン
プ72で透過光側検出器66の印加電圧を調節し、か
つ、この印加電圧と同じ電圧を蛍光側検出器20にも印
加して上記測定を行うことにより、例えば光源12を交
換した場合などのように、前述のようにして得られた円
二色性蛍光励起スペクトルに、光源エネルギの波長依存
性や分光器の波長特性が重畳してしまうのを防ぐことが
できる。
【0055】このほか、同図(b)において、透過光側
検出器66と蛍光側検出器20の印加電圧を、検出器印
加電圧アンプ72によりそれぞれ一定に固定したうえで
(それぞれの電圧は当然異なる)、透過光側検出器66
から出力される透過光強度信号s5と、蛍光側検出器2
0から出力される蛍光強度信号s2を同時に得るが、こ
れらの信号は、例えば前記図1に示すCPU42に入力
され、CPU42は入力された信号より、前述のように
して円二色性蛍光励起スペクトルと、透過光強度スペク
トルを得る。得られたこれらのスペクトルは記憶手段4
4に別々に入力され記憶される。
【0056】そして、CPU42は記憶手段44に適宜
アクセスして各スペクトルを読み出し、読み出された円
二色性蛍光励起スペクトルを透過光強度スペクトルで割
り算することによっても、やはり光源エネルギの波長依
存性や分光器の波長特性が重畳しない円二色性蛍光励起
スペクトルを得ることができる。このように透過光強度
には試料の光吸収は影響を及ぼすが、本実施形態による
測定で一般に測定対象となる試料の濃度は極めて薄く、
そのような試料の光吸収は極わずかであり、実質的に透
過光側検出器66から出力される透過光強度信号は、光
源エネルギの波長依存性や分光器の波長特性のみを反映
していると見なすことができる。
【0057】したがって、前述のようにして透過光側検
出器66から出力される透過光強度信号が一定となるよ
うに、検出ゲインを設定することにより、これらの影響
を確実にスペクトルから除くことができる。このほか、
本実施形態においては、同図に示す装置において、蛍光
検出円二色性スペクトルを求め、この蛍光検出円二色性
スペクトルより、さらに円二色性スペクトルを得ること
も可能である。すなわち、蛍光側検出器20の印加電圧
を一定にしておいて直流成分信号s3と交流成分信号s
4を別々に得、CPU42が前記交流成分信号s4を直
流成分信号s3で割り算することにより、蛍光検出円二
色性スペクトルを得ることが可能である。
【0058】同様にして透過光側検出器66から出力さ
れる透過光強度信号s5(透過光強度信号s5の直流成
分信号s5DC,交流成分信号s5AC)も前記蛍光強度信
号s2と同時に得、これと試料のない溶媒だけのときの
透過光強度のスペクトルとの比の逆数の対数をとり吸光
度スペクトルとし、前記蛍光円二色性スペクトルを該吸
光度スペクトルで割り算することにより、円二色性スペ
クトルを得ることも可能である。さらに、本実施形態に
おいては、下記異常光モニタ手段を用いることにより、
別の信号処理を行うことも可能である。
【0059】異常光モニタ手段 本実施形態においては、図15に示すように、励起側の
分光器14の中から異常光を取り出し、その強度を異常
光側検出器74でモニタし、モニタされた異常光強度デ
ータで、前記交流成分信号s4を割り算することによ
り、光源エネルギの波長依存性を補正し、かつ、その時
間変動を補正することが可能である。すなわち、本実施
形態のように検出感度の向上を図るため、直流成分信号
s3による割り算を除いた結果、例えば光源12を交換
した場合など、蛍光強度信号s2には、光源エネルギの
波長分布、光源エネルギの時間ドリフトという好ましか
らぬ要素が含まれるおそれがある。そこで、実施形態に
おいては、これらの影響を避けるため、励起側の分光器
14で直線偏光をつくり出すときに不要となる異常光
(常光と同じ強度がある)を異常光側検出器74でモニ
ターする。
【0060】異常光側検出器74から出力された異常光
強度信号は、まず増幅器76で増幅され、さらに例えば
前記図1に示すA/D変換器32、I/O装置34を介
して、CPU32に入力される。そして、CPU42
は、波長走査速度を考慮したうえで、入力されたデータ
に十分な時定数τを掛けて平滑化し、この平滑化された
データで、前記交流成分信号s4を割り算することによ
り、光源エネルギの波長分布、光源エネルギの時間ドリ
フトを補正することができる。
【0061】また、前述のようにデータのレベルで割り
算する代わりに、異常光側検出器74から出力される異
常光の検出レベルが一定となるように異常光側検出器7
4のゲインをコントロールし、さらにそのコントロール
レベルを蛍光側検出器20の印加電圧にもフィードバッ
クさせることにより(ダイノードフィードバック)、同
様の効果を得ることもできる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかる円二
色性蛍光励起スペクトル測定装置によれば、サンプルセ
ルと蛍光測定手段の間に集光系を介さず、かつ、該サン
プルセルと蛍光測定手段を近接させたので、試料から放
射された蛍光の大部分を蛍光測定手段に入射させること
ができる。これにより蛍光の集光効率の向上を図ること
ができるので、検出感度の向上を図ることもできる。な
お、前記装置において蛍光波長選択手段として励起光の
散乱光の波長域の光を選択的に吸収して除去することが
可能なカットオフフィルタを用いることにより、回折格
子を用いた分光器の場合に比較し光のロスが少なくなる
ので、検出感度の向上を図ることができる。また、前記
装置においてサンプルセルを透過した光の通過コース上
に設けられ、該透過光を除去する光トラップを備えるこ
とにより、励起光の散乱光が蛍光測定手段に入射してし
まうのを防ぐことができるので、該励起光の散乱光によ
る測定妨害を大幅に低減することができる。さらに、透
過光が反射して逆の円偏光となって再び試料の励起に関
わり、正当な円二色性蛍光励起スペクトルの取得を妨害
することを防ぐことができる。また、前記装置において
サンプルセルを間に挟み蛍光測定手段の反対側に、その
鏡面をサンプルセルに向けて設けられ、該サンプルセル
内の試料から放射された蛍光のうち、蛍光測定手段の反
対方向に放射された蛍光を入反射して蛍光測定手段へ導
く凹面鏡を備えることにより、あるいは、該凹面鏡に代
わり、実質的に前記サンプルセル外周面のほぼ全周に亘
り、その鏡面をサンプルセルに向けて設けられ、該サン
プルセル内の試料から放射された蛍光を入反射して、サ
ンプルセルと蛍光測定手段の間の光路中へ導く内面反射
型の反射鏡を備えることにより、蛍光測定手段方向とは
異なる方向へ放射された蛍光でも集光して蛍光測定手段
へ入射させることができるので、検出感度の向上を図る
ことができる。また、前記装置において、サンプルセル
内の試料の高さと励起光波長選択手段からの励起光束の
ビーム径とがほぼ一致するように、高低調節手段により
サンプルセルの高さを調節することにより、サンプルセ
ル内に入れる試料量を励起光束のビーム径とほぼ同一の
高さの必要最低限の量で蛍光測定を行うことができるの
で、試料の利用効率の改善を図ることができる。さら
に、前記装置においてサンプルセルは円筒形よりなるも
のを用い、例えば励起光束のビームの形状ととほぼ同様
の円形である円筒形セルの端部より励起光束を入射させ
ることにより、角形よりなるものを用いた場合に比較
し、励起光束の照射されない試料部分を大幅に低減する
ことができるので、必要最低限の試料量で蛍光測定を行
い、試料を利用効率の向上を図ることができると共に、
角形のものに比較し励起光束が入射されるセル窓板の歪
みが少ないので、得られるスペクトルの質的な向上を図
ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる円二色性蛍光励起
スペクトル測定装置の概略構成の説明図である。
【図2】図2(a)は円偏光変調器の周波数信号の1
例、図2(b)は検出器の出力信号の1例、図2(c)
は左右の円偏光で励起したときの励起スペクトルの1例
である。
【図3】円二色性蛍光励起スペクトルの1例である。
【図4】図4(a)は従来のサンプルセルと検出器の配
置状態の説明図、図4(b)は図1に示す装置において
好適なサンプルセルと検出器の配置状態の説明図であ
る。
【図5】図1に示す装置において好適な内面反射型の筒
形鏡の説明図である。
【図6】図1に示す装置において好適な導光パイプの説
明図である。
【図7】サンプルセルの形状の違いによる集光効率の違
いの説明図である。
【図8】サンプルセルの形状の違いによる試料の利用効
率の違いの説明図である。
【図9】図1に示す装置において好適なサンプルセルの
高低調節手段の説明図である。
【図10】一般的な円二色性スペクトルの1例である。
【図11】一般的な希薄試料の円二色性スペクトルの1
例である。
【図12】前記図12に示す希薄試料と同様の希薄試料
の円二色性蛍光励起スペクトルの1例である。
【図13】前記図12に示す円二色性蛍光励起スペクト
ルを用いた場合と、蛍光検出円二色性スペクトルを用い
た場合の検出感度の比較説明図である。
【図14】図1に示す装置に透過光モニタ手段を用いた
データ処理方法の説明図である。
【図15】図1に示す装置に異常光モニタ手段を用いた
データ処理方法の説明図である。
【符号の説明】
10 円二色性蛍光励起スペクトル測定装置 12 光源 14 分光器(励起光波長選択手段) 16 円偏光変調器 18 サンプルセル 19 カットオフフィルタ(蛍光波長選択手段) 20 検出器(蛍光測定手段) s1 変調周波数信号 s2 蛍光強度信号 s3 直流成分信号 s4 交流成分信号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源と、 前記光源から出た光束のうち、所定波長の励起光束のみ
    を通過させる励起光波長選択手段と、 前記励起光波長選択手段からの光束を所定の変調周波数
    で交互に左右の円偏光とする円偏光変調器と、 試料が入れられ、前記円偏光変調器を通過した左右の円
    偏光が交互に照射されるサンプルセルと、 前記サンプルセル内の試料から放射された蛍光のうち、
    所定波長の蛍光のみを通過させる蛍光波長選択手段と、 前記蛍光波長選択手段からの蛍光を蛍光強度信号とする
    蛍光測定手段と、該蛍光強度を検出した電気信号のう
    ち、該変調周波数に同期して交流成分を取り出して円二
    色性蛍光励起スペクトルとする信号処理手段と、 を備え、前記サンプルセルと蛍光測定手段の間に集光系
    を介さず、かつ、該サンプルセルと蛍光測定手段を近接
    させたことを特徴とする円二色性蛍光励起スペクトル測
    定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、前記蛍光
    波長選択手段はカットオフフィルタであり、該カットオ
    フフィルタにより励起光の散乱光の波長域の光を選択的
    に吸収して除去することを特徴とする円二色性蛍光励起
    スペクトル測定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の装置において、
    前記サンプルセルを透過した光の通過コース上に設けら
    れ、該透過光を除去する光トラップを備えたことを特徴
    とする円二色性蛍光励起スペクトル測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3の何れかに記載の装置
    において、前記サンプルセルを間に挟み蛍光測定手段の
    反対側に、その鏡面をサンプルセルに向けて設けられ、
    該サンプルセル内の試料から放射された蛍光のうち、蛍
    光測定手段の反対方向に放射された蛍光を入反射して蛍
    光測定手段へ導く凹面鏡を備えたことを特徴とする円二
    色性蛍光励起スペクトル測定装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3の何れかに記載の装置
    において、実質的に前記サンプルセル外周面のほぼ全周
    に亘り、その鏡面をサンプルセルに向けて設けられ、該
    サンプルセル内の試料から放射された蛍光を入反射し
    て、蛍光測定手段へ導く内面反射型の反射鏡を備えたこ
    とを特徴とする円二色性蛍光励起スペクトル測定装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5の何れかに記載の装置
    において、前記サンプルセル内の試料の高さは、前記励
    起光束のビーム径とほぼ同一の高さであり、 また底部が高さ調節自在で、該高さ調節が自在の底部上
    に前記サンプルセルが設けられたセルホルダと、 前記セルホルダ底部の高さを調節可能な高低調節手段
    と、 を備え、前記サンプルセル内の試料の高さと励起光波長
    選択手段からの励起光束のビーム径とがほぼ一致するよ
    うに、前記高低調節手段によりサンプルセルの高さを調
    節することを特徴とする円二色性蛍光励起スペクトル測
    定装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6の何れかに記載の装置
    において、前記サンプルセルは円筒形よりなることを特
    徴とする円二色性蛍光励起スペクトル測定装置。
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