【発明の詳細な説明】
シス−ベンズ[e]インドール化合物のエナンチオマー、これらの製造、
及びドーパミン−D3受容体選択的医薬としての利用
本発明は、治療において活性なシス−ベンズ[e]インドール化合物、これら
を製造する方法、該化合物を含有する薬学的組成物、及び治療、例えば中枢神経
系の病気、より正確には、中枢ドーパミン系の機能不全、即ちパーキンソン病、
精神分裂病を含めた精神病、不安、薬物濫用、痛み、神経退行性疾患、及び食欲
調節に関する疾患の治療におけるこれらの使用に関する。
ドーパミン受容体は、ドーパミンD1及びドーパミン−D2受容体ファミリー
に分類されうる。ドーパミン−D2s及びドーパミン−D3受容体は、ドーパミ
ン−D2受容体ファミリーのサブタイプである。ドーパミン−D3受容体に選択
的に結合しうる化合物は、当分野で周知である(例えば、Sokoloff,Pら、Nature(
1990)347,145-151を参照。)。
WO 91/11435には、選択的5−HT1A薬理学的特性を有することを特許請求
した6,7,8,9−テトラヒドロ−N,N−ジアルキル−3H−ベンズ[e]
インドール−8−アミン化合物が開示されている。
WO 92120655には、カルボキサミド−(1,2N)−カルボサイクル−2−
アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフチレン誘導体が開示されてい
る。これらの化合物は、5−HT1A容体に効果を有することが開示されている。
(+/−)シス−1,2,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−3H−ベンズ[e]
インドール、これらの合成、及びin vitroでのドーパミンD1及びD2受容体で
の結合親和性が、Cruseらにより、J.Pharm.Sci.82,1993,pp334-339に開示さ
れた。
ベンズ[e]インドールの新規なグループのメンバーが、ドーパミンD3受容
体に対して高親和性及び選択性を有することを今回見いだした。本発明は、特異
的ドーパミン−D3受容体リガンド(これは精神薬学的製剤においてこれらを有
用にする。)としてのこれらの化合物に対する有用性を特許請求する。
従って、本発明は、下記一般式(I)のシス−ベンズ[e]インドール化合物
の
エナンチオマー、並びにこれらの薬学的に許容しうる酸付加塩及び水和物に関す
る。
但し、R1は水素、C1-6−アルキル、シクロアルキルメチル、アリル又は
アルケニルであり、R4はヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、O−アシル、トリフ
レート又はカルバモイルであり、R2、R3、R5は同じであるか又は異なっており
、独立に水素、ハロゲン、トリフルオロメチル又はC1-6−アルキルである。
薬学的に許容しうる酸付加塩には、塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び
硝酸塩のような無機塩、並びに、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、及び
酒石酸塩のような有機塩が含まれる。所望であれば、選択された塩は再結晶化に
よってさらなる精製に付すことができる。
式(I)の化合物は、非対称な炭素原子並びにシス及びトランス異性体を有す
る。特に本発明の範囲には、シス−立体異性体の両エナンチオマーが含まれる。
本明細書中で使用する「C1-6−アルキル」の語は、1〜6の炭素原子を有す
る直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素鎖、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イ
ソプロピル、n−ブチル、tert.ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、n−ヘ
キシル、2,2−ジメチルプロピル等をいう。
本明細書中で使用する「シクロアルキルメチル」の語は、3〜7の炭素原子を
有する飽和炭素環で置換されたメチル基、例えばシクロプロピルメチル、シクロ
ブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル又はシクロヘプチ
ルメチル等をいう。
本明細書中で使用する「アルケニル」の語は、少なくとも1つの炭素−炭素二
重結合を有し、2から6の炭素原子を含有する直鎖又は分岐した炭素鎖、例えば
エテニル、1−プロペニル、2−ブテニル等をいう。
本明細書中で使用する「C1-6−アルコキシ」の語は、エーテル酸素を介して
結合されたC1-6−アルキル基を含有する置換基をいう。このようなC1-6−アル
コキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ等で
ある。
本明細書中で使用する「O−アシル」の語は、R8−C(=O)−基(但し、
R8はC1-6−アルキルである。)をいう。このようなO−アシル基の例は、アセ
トキシ、プロピオニルオキシ、ブチルオキシ等である。
本明細書中で使用するハロゲンの語は、フッ素又は塩素をいう。
本発明の好ましい態様では、R1はプロピル又はアリルを表し、R4はヒドロキ
シを表し、R2、R3、R5は水素又はハロゲンを表す。
本発明の好ましい化合物は、
シス−(+)−8−ヒドロキシ−3−(n−プロピル)−1,2,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール、
シス−(−)−8−ヒドロキシ−3−(n−プロピル)−1,2,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール、
シス−(+)−8−ヒドロキシ−3−(アリル)−1,2,3a,4,5,9
b−ヘキサヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール、
シス−(−)−8−ヒドロキシ−3−(アリル)−1,2,3a,4,5,9
b−ヘキサヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール、
及びこれらの塩である。化学的方法
式(I)のラセミ化合物の調製は、Cruse,S.F.ら、J.Pharmcol.Sci.(199
0)347,146-151;Lin,C.-H.ら、J.Med.Chem.(1993)36,1053-1068;及びSong
,X.ら、J.Amer.Chem.Soc.-Ann.Meeting Abstracts(1995)210,Medi135に
開示されているような、公知の手順を用いて行うことができる。これらの方法は
、以下の手順を具備する。
(a)式(II)の化合物を、
但し、R2、R3及びR5は先に定義したとおりであり、R4はメトキシであ
る。アミンNH2R1(但し、R1は先に定義したとおりである。)と反応し、式
(III)の化合物を形成すること、
但し、R1は先に定義したとおりであり、R2、R3及びR5は先に定義した
とおりであり、R4はメトキシである。
反応を、一般に、非プロトン性溶媒中、モレキュラーシーブのような脱水剤、
又は塩化チタン(IV)のようなルイス酸存在下で行い、更に、式(III)の化合
物を水素化ナトリウム又は塩化イソプロピルマグネシウムのような塩基と反応し
、引き続いて1,2−ジハロエタンと反応して式(IV)の化合物を形成する。
但し、R1、R2、R3、R4及びR5は式(III)と同じである。
引き続き、式(IV)の化合物を還元し、式(I)の化合物を形成する。式(I
)の置換基R4がメトキシである場合、引き続きこれを塩酸のような酸、又は三
臭化ホウ素のようなルイス酸によりヒドロキシ基に変換することができる。更に
、式(I)の化合物で、R4がヒドロキシ基である場合、これを公知の方法でC1 -6
−アルコキシ、O−アシル、トリフレート又はカルバモイル基に変換すること
ができる。
b)式(II)の化合物を、
但し、R2、R3及びR5は先に定義したとおりであり、R4はメトキシであ
る。方法a)で説明したのと同様の方法でピロリジンのような三級アミンと反応
し、化合物(V)を形成すること。
但し、R2、R3及びR5は先に定義したとおりであり、R4はメトキシであ
る。
引き続き、式(V)の化合物をブロモ酢酸アルキル及び酸と反応し、式(VI)
のケトエステルを形成する。
但し、R2からR5は式(V)で定義したとおりである。
引き続き、Borch,R.F.ら、J.Amer.Chem.Soc.(1971)93,2897-2904に開
示されているように式(VI)の化合物を還元的アミノ化にかけ、式(VII)の化
合物を得る。
但し、R1、R2、R3及びR5は先に定義したとおりであり、R4はメトキシ
である。
式(VII)の化合物を水素化アルミニウムリチウムのような還元剤と反応し、
式(I)の化合物(但し、R2、R3及びR5は先に定義したとおりであり、R4は
メトキシである。)を形成することができる。置換基R4を方法a)で説明した
ように更に修飾することができる。
上記合成経路a)及びb)の出発物質である式(II)の化合物は、商業的に利
用可能であるか、又は当業者に公知の方法、例えばCraig,J.C.ら、J.Med.
Chem.(1989)32,961-968に開示されている方法に従って合成しうる。
本発明は更に、上記化合物を特許請求されたエナンチオマー構造体に分離する
方法に関する。これらの分離は、キラルクロマトグラフィー樹脂で、アイソクラ
チック高速液体クロマトグラフィーにより行われうる。
使用される溶媒混合物は、70〜95%n−ヘプタン、5〜28%2−プロパ
ノール及び0.1から2%ジエチルアミンよりなりうる。
他の側面では、本発明は、治療に適した物質として有用な、好ましくは中枢神
経系の病気の治療において治療に適した物質として有用な、一般式(I)の化合
物又はこれらの薬学的に許容しうる酸付加塩に関する。
本発明はまた、式Iの化合物又はこれらの薬学的に許容しうる塩を含有する薬
学的組成物に関する。通常このような組成物は、薬学的担体又は希釈剤も含有す
る。
更に本発明はまた、中枢神経系の病気の治療に有用な医薬を調製するための、
本発明の式(I)の化合物の使用に関する。特に、中枢ドーパミン系の機能不全
、即ちパーキンソン病、精神分裂症、不安、薬物濫用、痛み、神経退行性疾患及
び食欲調節に関する。生物学的方法
本発明の化合物の薬理学的特性は、ドーパミン−D3及び−D2s受容体で結
合するこれらの能力を決定することによって表すことができる。ドーパミン−D3受容体結合のin vitroでのアッセイの詳細な説明を以下に説明 する。
脳膜に結合する放射性リガンドを測定することによって、Levesque,D.ら(
Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)(1992)89.8155-8159)は、齧歯類の線条に
おけるドーパミン−D3受容体の濃度が多くの他の脳の領域でのその発現に比較
して高いことを示した。更に、ドーパミン作用性リガンド7−OH−DPAT及
びその活性なエナンチオマ−R(+)7−OH−DPATがドーパミン−D3受
容体に対して高い親和性及び選択制を有することが示された(Levesque,D.ら、
Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)(1992)89.8155-8159;Timmerman,W.ら、E
ur.J.Pharmacol.(1991)199,145-151)。これらのリガンドが放射性標識された
形態で商業的に利用可能であるので、この組織に存在するドーパミン−D3受容
体は[3H]R(+)7−OH−DPATの特異的結合を測定することによって
同定できる。次に、ドーパミン−D3受容体に対する試験化合物の親和性を、特
異的[3H]R(+)7−OH−DPAT結合に競争するその能力を測定するこ
とで決定することができる。
すべての膜調製ステップは、0〜4℃で行った。新たに切開したラット線条を
Utra-Torexホモジナイザーを用いて、再懸濁バッファー(Resuspension buff
er)(0.32M蔗糖及び5mMEDTAを含有する25mMトリス/HCl、p
H7.4)中でホモジナイズし、Utra-Turrax ホモジナイザーでホモジナイズ
し、10分間3000rpmで遠心した(ベックマンJA-20)。上清を貯蔵し、ペ
レットを再懸濁バッファー中で2回目のホモジナイズをし、3000rpmで遠心
した(ベックマン、JA-20)。この手順を3回繰り返し、各回で上清を貯蔵し
た。次に、この3つの低速上清を集め、高速16,000rpmで10分間遠心し
た(ベックマン、JA-20)。最終ペレットを、再懸濁バッファー中、テフロン
製Dounceホモジナイザーでホモジナイズし、1mlのアリコート中で、−80℃
において凍結した。
アッセイの当日に、膜を室温で解凍し、アッセイバッファー中で1:10(v
/v)希釈し、10分間16,000rpm(ベックマン、JA-20)で遠心して洗
浄した。次に、このペレットをアッセイバッファ(2mMMgCl2を含有する2
0mMヘペス(Hepes)、pH7.4)中で、テフロン製Dounceホモジナイザー
を用いて再度ホモジナイズした。
アッセイを開始するために、組織及び試験物質を混合し、[3H]R(+)−
7−OH−DPAT(アマーシャム)を加えた。次に、この混合物を25℃で4
5分インキュベートした。次に、サンプルを、減圧下でワットマンGF/Bフィ
ルターを通し、氷冷した0.1MNaClを含有するアッセイバッファーで迅速
に洗浄した。濾過物を計数バイアルに置き、4mlのウルチマゴールド(Utima
Gold)(パッカード)を加え、全dpmをシンチレーションカウントによって評価
した。
非特異的結合を、試験物質に代えてアッセイでキンピロール(quinpirole)(
5mM)を含めることで評価した。データを競争曲線に適合させ、非線形最小二
乗法適合処理を用いて分析した。結果をKi値として記録した。
本発明の化合物は、ヒトドーパミン−D3受容体で0.1mM以下のKi値を有
する。ドーパミン−D2s受容体結合のin vitroでのアッセイに対する詳細な条件を以 下に示す。
ヒトドーパミン−D2s受容体に対する構造遺伝子は、Bunzow,J.R.ら(Na
ture
(1988)336,783-787)に開示されているように、先にクローニングされており、
哺乳動物Ltk-細胞系で安定に発現されている。ドーパミン−D2s受容体は
、ドーパミン−D2リガンド[3H]スピペロンに対する単一結合部位として高
レベルまで安定に発現される。更に、発現された受容体は、アデニルイルシクラ
ーゼに否定的に結合する。
Ltk-細胞を安定にトランスフェクションするために、Neve,K.A.ら(M
ol.Pharmacol.(1989)36,446-451)により開示されているように、ドーパミン−
D2s構造遺伝子をpZEM3プラスミドにクローニングし、プラスミドpRSVn
eoと共にLtk-細胞に共同トランスフェクションした。抗生物質G−418を
使用し、pRSVneoプラスミドに位置するネオマイシン耐性遺伝子に対する選別
を持続させた。そして、該抗生物質は、通常細胞成長培地(10%胎児ウシ血清
(v/v)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(w/v)を含有するダル
ベッコの修飾イーグル培地)中に含まれる(0.5mg/ml)。
特異的[3H]スピペロン結合の測定に使用される細胞膜は、Scheideler,M
.A.及びR.S.Zukin(J.Biol.Chem.(1990)265,15176-15182)によって先に
開示されているように、0〜4℃で、低張性リーシスにより細胞の集塊プレート
から調製した。細胞を生理的食塩水中で削り落とすことによって収穫し、低速で
遠心する(600〜800×gで5分間)ことにより集めた。細胞のペレットを
低イオン強度のバッファー(10mMK−ホスフェート、pH7.5)に穏やか
に再懸濁することによって洗浄し、高速遠心(30,000×gで10分間)で
集め、次いで30容量の低イオン強度のバッファーに20分間再懸濁し、低浸透
性膨張及び損傷を開始した。損傷しない細胞を低速の遠心で除去し、細胞膜を高
速遠心で集めた。得られた細胞ペレットを再懸濁バッファー(0.32M蔗糖及
び5mMEDTAを含有する25mMK−ホスフェート、pH7.5)中でホモジ
ナイズし、−80℃で保存した。
アッセイの当日、膜を室温で解凍し、アッセイバッファーで1:10(v/v
)希釈し、10分間16,000rpmで遠心して(ベックマンJA-20)洗浄した
。次に、ペレットをテフロン製Dounceホモジナイザーを用いて、アッセイバッ
ファー(2mMMgCl2を含有する20mMヘペス、pH7.4)中で再度ホモ
ジナイ
ズした。
ドーパミン−D2s受容体に対する試験物質の親和性を、特異的[3H]スピ
ペロン結合に競争するその能力を測定することによって決定した。アッセイを開
始するために、組織及び試験物質を混合し、[3H]スピペロン(ニューイング
ランドニュークレア(New England Nuclear))を加えた。次に、この混合物
を25℃で40分インキュベートした。次に、サンプルを減圧下でワットマンG
F/Bフィルターを通し、氷冷した0.1MNaClを含有するアッセイバッフ
ァーで迅速に洗浄した。濾過物を計数バイアルに置き、4mlのウルチマゴールド
(パッカード)を加え、全dpmをシンチレーションカウントで評価した。
非特異的結合を、試験物質の代わりにアッセイでD−ブタクラモール(D-Bu
taclamol)を含めることで評価した。データを競争曲線に適合させ、非線形最小
二乗法適合処理を用いて分析した。結果をKi値として記録した。
本発明の化合物は、ドーパミン−D2sアッセイで、ドーパミン−D3受容体
への結合に対して評価された値よりも少なくとも10倍高いKi値を有していた
。薬学的製剤
従来のアジュバント、担体又は希釈剤と共に、本発明の化合物及び所望であれ
ば薬学的に許容しうるこれらの酸付加塩を、薬学的組成物、及びその単位投与量
の形態にすることができ、このような形態では、錠剤又は充填したカプセルのよ
うな固体、又は溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシール、又はこれらを詰め
たカプセルのような液体、経口で使用するすべてのもの、直腸投与用の座薬の形
態、又は非経口(皮下を含む)での使用のための無菌注射溶液の形態として使用
しうる。このような薬学的組成物及びこれらの単位投与量形態は、従来の技術で
調製でき、追加の活性化合物又は要素を用いて、又は用いずに従来の割合で従来
の成分を含有しうる。更に、このような単位投与量形態は、何れかの適した効果
的な中枢神経系の病気を軽減する量の活性成分を、使用される意図した日用量に
見合った範囲で含有しうる。従って、0.05〜100mgの活性成分、より詳細
には0.1〜50mgを含有する錠剤が、適切な代表的単位投与量形態である。
従来の賦形剤は、活性化合物と有害な反応を起こさない、非経口又は経口での
適
用に適したこのような薬学的に許容しうる有機又は無機担体物質である。
このような担体の例は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、
ポリヒドロキシエトキシル化ひまし油、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ス
テアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリ
ド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース及びポ
リビニルピロリドンである。
薬学的組成物は無菌化され、所望であれば、活性化合物と有害な反応を起こさ
ない、潤滑剤、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、
バッファー及び/又は着色物質等のような補助剤と混合されうる。
非経口での適用に対しては、注射可能な溶液又は懸濁液、好ましくはポリヒド
ロキシル化ひまし油に溶解された活性化合物を含む水溶液が、特に適切である。
アンプルは従来の単位投与量形態である。
経口での適用に対しては、タルク及び/又は炭水化物担体又は結合剤(担体は
、好ましくはラクトース及び/又はコーンスターチ及び/又はジャガイモ澱粉で
ある。)等を有する錠剤、糖衣錠、又はカプセルが特に適切である。甘みを加え
たビヒクルを使用する場合、シロップ、エリキシール等を使用する。一般には、
大まかな範囲であるが、本発明の化合物は、単位投与量あたりの薬学的に許容し
うる担体中、0.05〜100mgを含有する単位投与量形態で調剤される。
従来の錠剤形成技術によって調製され得る典型的な錠剤には、以下のものが含
まれる。
投与経路は、経口又は非経口、例えば直腸、経皮、皮下、鼻腔内、筋肉内、局
所、静脈内、尿道内、眼用溶液又は軟膏のような、適切な又は所望の作用部位に
活性物質を効果的に輸送する何れの経路であってもよいが、経口経路が好ましい
。
これらの高程度の活性により、本発明の化合物は、パーキンソン病、精神分裂
症
を含む精神病、不安、薬物濫用、痛み、神経退行性疾患、及び食欲調節のような
症状のこのような治療、除去、緩和、又は改善の必要性のある対象、例えば生き
た動物の身体に、薬学的に許容しうる担体又は希釈剤と同時に、これらと同時に
存在させて、又はこれらと共に、特にそして好ましくはこれらの薬学的組成物の
形態で、経口、直腸又は非経口(皮下を含む)経路であるかに関わらず、効果的
な量で投与される。
適切な投与量の範囲は、通常、投与の厳密な方法、投与の形態、投与が望まれ
る症状、対象の患者、対象の患者の体重、及び担当の医師又は獣医師の選択及び
経験に依存して上記のように変化する。実験例
ところで、本発明は、以下の例を参照して更に詳細に説明されるが、これは制
限を意味するものではない。
例1
式(I)の化合物のエナンチオマーの分離
シス−8−ヒドロキシ−3−(n−プロピル)−1,2,3a,4,5,9b
−ヘキサヒドロ−3H−ベンズ[e]インドールについて、キラルクロマトグラ
フィー樹脂で、アイソクラチック高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を介
して行った。
手短に説明すると、98mg(0.37mmol)のこの化合物のHCl塩を14ml
のn−ヘプタン:2−プロパノール:ジエチルアミン(57:43:0.5)に
溶解し、20×250mmキラルセルODカラム(ダイセル化学工業Inc.)を用
いてHPLC(13回操作を実施)により分別した。カラムを、n−ヘプタン:
2−プロパノール:ジエチルアミン(85:15:0.1)を用い、5ml/分の
流速でアイソクラチックに溶出し、画分を1分/画分に対応して集めた。溶出し
たエナンチオマーを225nmの波長での吸光度を測定することで分光器により検
出した。画分18〜21(サンプル1)及び23〜26(サンプル2)に対応す
る2つの溶出ピークが観測された。別に実施した操作からのこれらに対応する画
分を別々に貯蔵
し、43mgのサンプル1(100%ee:n−ヘプタン:2−プロパノール:ジエ
チルアミン(90:10:0.1)で溶出する4.6×250mmキラルセルOD
カラムを用いるHPLCで決定した。流速は0.5ml/分であり、溶出したサン
プルは、225及び280nmで分光器によりモニターした。ピークの保持時間は
9.2分であった。)、及び43mgのサンプル2(99.6%ee:サンプル1で
説明したのと同様の条件。ピーク保持時間は10.6分であった。)を得た。
パーキンエルマー偏光計(モデル241)を用いて各サンプルの遊離塩基の旋
光度を測定し、サンプル1に対して[α]20 D=+101.4°(c=0.5、
MeOH)の値、及びサンプル2に対して[α]20 D=−97.7°(c=0.
5、MeOH)の値を得た。
サンプル1及びサンプル2の両方の遊離塩基の形態に対する1NMRスペクト
ル(300MHz、CDCl3)は、以下の通りである。ppmで、δ0.95(3H,t,
プロピルCH3),1.55-1.88(5H,m),2.29(1H,m),2.40-2.62(3H,m),2.66-2.83(2
H,m),2.98(1H,m),3.13(1H,t),3.31(1H,q),6.58(2H,m),6.92(1H,d)。
2.62(3H,m),2.66-2.83(2H,m),2.98(1H,m),3.13(1H,t),3.31(1H,q),6.58(
2H,m),6.92(1H,d)。
更に、サンプル1の絶対配置をX線結晶解析によって確立した。15mgのサン
プル1をアセトン:メタノール(3:1)から塩酸塩として結晶化した。M.p
.211〜212℃。単位格子あたり4分子を含有する斜方晶系の結晶を形成し
た。単位格子の寸法は、以下の通りである。a=7.2790±0.003Å、
b=11.9720±0.003Å、c=16.4550±0.005Å。Enr
afNoniusX線回折計(モデルCAD4)を使用し、サンプル1のエナンチオマ
ーの配置をシス−1,2,3aS,4,5,9bR−ヘキサヒドロ−1H−ベン
ズ[e]インドールとして確立した。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G
E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,
MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK
,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 バルミング、ラインハルト・アンネマリエ
デンマーク国、デーコー−2920 シャルロ
ッテンルンド、フレデンス・プラドス 1
(72)発明者 クライダー、マイケル・アルバート
アメリカ合衆国、ルイジアナ州 71209−
0470、モンロー、シュガー・ホール 304
ビー、ノースイースト・ルイジアナ・ユニ
バーシティー、スクール・オブ・ファーマ
シー