【発明の詳細な説明】
インターロイキン変換酵素およびアポプトーシス
発明の分野
本発明は、過剰または不適切なアポプトーシスの新たな遮断方法を見出したこ
とに関する。
背景
種々の形態の細胞死があることが1世紀にわたり認識されてきた。細胞死の1
つの形態である壊死は、通常には、重度の外傷の結果であり、膜の完全性の喪失
および細胞内容物の制御されない放出に関与しており、しばしば、炎症応答を引
き起こす。対照的に、アポプトーシスは制御された様式で起こる、より生理学的
なプロセスであり、一般的には、本質的に非炎症性である。このため、アポプト
ーシスは、しばしば、プログラムされた細胞死といわれる。その名称自体(アポ
プトーシス:「脱落」、例えば、木から葉が落ちることのギリシャ語)は、正常
な生理学的プロセスの一部である細胞死を意味する(Kerr et.al.,Br.J.Canc
er,26:239-257(1972))。
アポプトーシスは、最終的には細胞死を招く、注意深く制御された一連の細胞
の出来事であると思われる。望ましくない細胞を除去する、このプロセスは活性
であり、細胞エネルギーの浪費を必要とする。アポプトーシスの形態学的特徴は
、細胞収縮および細胞−細胞接触の消失、核クロマチンの縮合、ついで、断片化
、膜のしわ、膜の水泡、およびアポプトーシス小体の出現を包含する。プロセス
の終了時に、隣接細胞およびマクロファージはアポプトーシス細胞由来のフラグ
メントを食作用により取り込む。該プロセスは非常に迅速であり、2−3時間程
度で起こる(Bright et al.,Biosci.Rep.,14:67-82(1994))。
アポプトーシスのうち最も良く定義された生化学的出来事は、核DNAの順序
付けられた破壊である。アポプトーシスのシグナルは、ヌクレオソーム間のリン
カー領域において2本鎖DNAを開裂する特異的カルシウム−およびマグネシウ
ム−依存性エンドヌクレアーゼの活性化を促進する。これにより、180−20
0塩基対のフラグメントであるDNAフラグメントが多数生じる(Bergamaschi e
t al.,Haematologia,79:86-93(1994);Stewart JNCI,,86:1286-1296(1994))。ア
ガロースゲル電気泳動により試験すると、これらの多数のフラグメントは、アポ
プトーシス中の大部分の細胞に特徴的なはしご状(ラダー)パターンを形成する
。
細胞にシグナルを与えて細胞のアポプトーシスを開始または促進しうる多くの
刺激があり、これらは細胞ごとに異なる可能性がある。これらの刺激は、グルコ
コルチコイド、TNFα、成長因子誘導、いくつかのウイルス蛋白、放射線照射
および抗癌剤を包含しうる。これらの刺激のいくつかは、種々の細胞表面受容体
、例えば、受容体のTNF/神経増殖因子ファミリー(CD40およびFas/
Apo−1を包含)を介して、それらのシグナルを誘導しうる(Brightらの上記
文献)。アポプトーシスを引き起こす、このような刺激の多様性により、アポプ
トーシスに関与するシグナル伝達経路および分子的因子を明らかにすることは困
難であった。
アポプトーシスに必須の特定分子に関する最良の証拠は、線虫C.elegansの研
究から得られた。この系において、アポプトーシスの誘導に必要と思われる遺伝
子はCed−3およびCed−4である。これらの遺伝子は死につつある細胞中
で機能しているにちがいなく、いずれかの遺伝子が不活性化された場合、細胞死
は起こらない(Yuan et al.,Devel.Biol.138:33-41(1990))。哺乳動物にお
いては、アポプトーシスに関連している遺伝子は、プロト−オンコジーンc−m
ycおよび腫瘍抑制遺伝子p53を包含する(Bright et al.,上記;Symonds et
al.,Cell,78:703-711(1994))。
アポプトーシスを受けるか受けないかというこの重要な決定において、これら
の遺伝子はアポプトーシスを阻害する蛋白をプログラムする遺伝子であるという
ことは驚くべきことではない。C.elegans における例はCed−9である。そ
の遺伝子が異常に活性化された場合、細胞は本来死ぬところを生き残り、逆に
Ced−9が不活性化された場合、細胞は本来生存するところを死滅する(Stewa
rt,B.W の上記文献)。哺乳動物の同等遺伝子はbc1−2であり、それは発癌性
腫瘍遺伝子として同定されている。その産物が種々の哺乳動物細胞中で過剰発現
された場合に、この遺伝子はアポプトーシスを阻害し、細胞を放射線照射、細胞
毒性薬剤およびc−mycのごときアポプトーシスシグナルに対して感受性でな
くする(Bright らの上記文献)。いくつかのウイルス蛋白は、類似機能を有する
相同的ウイルス蛋白を生成することにより、この特定の蛋白がアポプトーシスを
遮断する能力を利用する。かかる状況の一例は、エププステイン・バールウイル
スにより産生される蛋白であり、それはbc1−2に類似であり、細胞死を防止
してウイルス産生を促進する(Wells et.al.,J.Reprod.Fertil.,101:385-39
1(1994))。対照的に、いくつかの蛋白はbc1−2蛋白に結合し、その機能を阻
害する可能性があり、一例は蛋白baxである(Stewart,B.W.の上記文献)。
描かれた俯瞰像は、アポプトーシスへの導入は、アポプトーシスを促進または阻
害する特定の遺伝子産物間の注意深いバランス作用により調節されているという
ものである(Barinaga,Science,263:754-756((1994))。
アポプトーシスは正常な生理の重要な一部分である。このことについて最もよ
く引用される2つの例は、胎児の発達および免疫細胞の発達である。胎児の神経
系の発達においては、成熟脳を形成のための発達の間においてンがアポプトーシ
スにより失われる(Bergamaschi et al.,Haematologia,79:86-93(1994))。免疫
成分であるT細胞(およびB細胞についても弱い証拠がある)においては、自己
を認識し、自己に対して反応する細胞を除去する選択プロセスが生じる。この選
択プロセスは、免疫細胞成熟領域においてアポプトーシス的様式で起こると考え
られている(Williams,G.T.,J.Pathol.,173:1-4(1994);Krammer et al.,Curr
.Opin.Immunol.,6:2279-289(1994))。
アポプトーシスの調節不全は疾病状態において重要な役割を果たす可能性があ
り、疾病は、アポプトーシス過剰または過少により引き起こされる可能性がある
。過少なアポプトーシスに関連した疾病の一例はある種の癌であろう。機能的な
bcl−2の異常な発現および当該細胞におけるアポプトーシスの阻害に関連し
た卵胞B細胞リンパ腫がある(Bregamaschi et al 上記)。アポプトーシスの阻
害および癌細胞の産生に関するp53の欠失または変異に関連した多くの報告が
ある(Kerr et al.,Cancer 73:2013-2026(1994))。対照的に、過剰または不適当
なアポプトーシスの一例は、アルツハイマー病を引き起こす、ニューロン細胞の
消失であり、おそらく、β−アミロイドペプチドにより誘導されるのであろう(
Barr et al.,BioTechnology, 12:487-493(1994)))。他の例は、HIV感染を
引き起こすCD4+T細胞の過剰なアポプトーシス、心筋梗塞または再灌流の間
における心筋細胞の過剰なアポプトーシス、および虚血の間のニューロン細胞の
過剰なアポプトーシスを包含する(Bergamaschiet らの上記文献;Barret らの上
記文献)。
癌において観察されるアポプトーシスの欠損に対抗するようないくつかの医薬
がある。例は、エピポドフィロトキシンのごときトポイソメラーゼII阻害剤、お
よびara−cのごとき抗代謝剤を包含し、それらは癌細胞中のアポプトーシス
を促進することが報告されている(Ashwellらの上記文献)。多くの場合、これら
の抗がん剤については、アポプトーシス誘導の正確な機構は解明途中である。
最近数年間で、ICEおよびICE相同的蛋白がアポプトーシスにおいて重要
な役割を果たしているという証拠が挙げられた。この研究領域は、C.elegansの
アポプトーシスにとり重要であることが知られている遺伝子Ced−3によりコ
ードされる蛋白間の相同性の観察により刺激された。これらの2つの蛋白は29
%のアミノ酸同一性を有し、5個のアミノ酸(QACRG)における完全な同一
性はプロテアーゼ活性に関与していると考えられている(Yuan et al.,Cell,7
5:641-652(1993))。マウスにおいて、ICEおよびnedd−2遺伝子(発達
中の脳におけるアポプトーシスに関与している可能性がある)の産物の間(Kumar
et al.,Genes Dev.,8:1613-1626(1994))、ならびにヒト・脳cDNAライブラ
リーから単離されたnedd−2のヒト・同等物Ich−1およびCPP32の
間(ICEおよびCed-3相同体−1)(Wang et al.,Cell,78:739-750(1994);
Fernandes-Alnemiri et al.,J.Biol.Chem.,269:30761-30764(1994))にさら
なる相同性が観察された。
アポプトーシスにおけるこれらの蛋白の役割についてのさらなる証明はトラン
スフェクションによる研究により得られる。一時的トランスフェクションアッセ
イにおいてプログラムされた死を被る繊維芽細胞により引き起こされるネズミ・
ICEの過剰発現である(Miura et al.,Cell,75:653-660(1993))。
ICEおよびCed−3間の最高の相同性領域においてトランスフェクション遺
伝子を点突然変異させることにより、細胞死を防止することができた。アポプト
ーシスにおけるICEの役割についての非常に強い根拠として、その著者らは、
ICEトランスフェクションにより誘導されるアポプトーシスは、プログラムさ
れた細胞死を防止できる哺乳動物腫瘍遺伝子bcl−2の過剰発現によって拮抗
されうることを示した(Miuraらの上記文献)。ウシ・ポックスウイルスのこの遺
伝子は、プロテアーゼ阻害剤蛋白のファミリーであるセプリン蛋白をコードして
いる(Ray et al.,Cell,69:597-604(1992))。詳細には、crmAの蛋白は、
ICEによるプロインターロイキン−1βのプロセッシングを阻害することが示
された。Gagliardini et al.Science,263:826-828(1994)には、後根神経節ニュ
ーロン中へのcrmA遺伝子の微量注入により、神経増殖因子誘導により誘発さ
れる細胞死が防止されたことが示されている。この結果は、ICEがニューロン
細胞のアポプトーシスに関与していることを示す。より直接的なデモンストレー
ションは、ICEトランスフェクションをcrmAの同時発現と組み合わせた実
験から得られ、ICEにより誘導されるアポプトーシス応答がcrmAにより抑
制されることが示されている(Miura らの上記文献;Wang らの上記文献)。
ICEのほかに、研究者は、アポプトーシスを促進するICE様遺伝子の能力
について調べている。Kumar らの上記文献には、繊維芽細胞および繊維芽細胞腫
細胞におけるnedd−2の過剰発現はアポプトーシスによる細胞死を引き起こ
し、このアポプトーシスはbcl−2遺伝子の発現により抑制されうることが示
された。最も最近になって、Wang らは(Wang らの上記文献)、多くの哺乳動物細
胞におけるIch−1の発現について調べた。発現は細胞アポプトーシスを引き
起こし、bcl−2との同時発現によりアポプトーシスは拮抗されることができ
た。QACRGモチーフに含まれ、プロテアーゼ機能にとり重要であると推測さ
れるシステイン残基のセリンへの変異により、アポプトーシス活性が消失した。
アポプトーシスにおけるシステインプロテアーゼの役割についての証拠は、La
zebnikによる最近の報告(Nature,371:346-347(1994))から得られる。これら
の著者は無細胞系を用いてアポプトーシスを模倣し、研究した。それらの系にお
いて、プレインターロイキン−1β中の開裂部位と同じ部位において酵素ポリ(
ADP−リボース)ポリメラーゼを開裂するプロテアーゼ活性が存在する。しか
しながら、これは単離されるべきプロテアーゼであり、ICEは異なっているよ
うに思われ、異なる基質蛋白に作用するように思われる。非選択的システインプ
ロテアーゼ阻害剤を用いる系中のプロテアーゼ活性の遮断によりアポプトーシス
の阻害が引き起こされた。
上記証拠を一緒にすると、哺乳動物細胞におけるアポプトーシスの誘導におけ
るICEおよびICE様蛋白の顕著な関与がわかる。脳インターロイキン−1は
、アルツハイマー病およびダウン症候群の発病を促進することが報告されている
(Griffin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,86:7611-7615(1989))。さ
らに、インターロイキン−1がβ−アミロイドド蛋白(アルツハイマー病の老人
性プラークならびにダウン症候群および老化中のヒトの脳中の主成分)のmRN
Aおよび産生を増大させることも報告されている(Forloni et al.,Mol.Brain
Res.,16:128-134(1992);Buxbaum et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,89:
10075-10078(1992);Goldgaber et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA.,
86:7606-7610(1989))。これらの報告を、これらの疾病におけるICEの関与お
よびそれによる新規治療薬および療法の使用の必要性についてのさらなる証拠と
して見ることができる。
現在に至るまで、過剰または不適当なアポプトーシスを遮断する有用な治療方
法はない。1の特許出願EPO 0533226には新規ペプチド構造が開示さ
れており、それはICE活性を調べるのに有用であり、それゆえ、IL−1によ
り媒介される疾病の診断およびモニタリングに有用であると言われている。それ
ゆえ、哺乳動物に使用する、無毒な薬理学的および毒物学的特性を有する、より
よい治療薬を見出すことが必要である。これらの化合物は、過剰または不適当な
アポプトーシス細胞を遮断し、それゆえ、この状態が出現する疾病および症状の
治療を提供するものである。
発明の概要
本発明は、式(I)の新規化合物、それらの医薬組成物、ならびにアポプトーシ
スおよび過剰または不適当な細胞死により引き起こされる疾病状態の治療に使用
するICEおよびICE様蛋白の新規阻害に関する。
本発明のもう1つの態様は、式(I)の化合物、またはその医薬上許容される
塩、および医薬上許容される担体もしくは希釈剤を含んでなる医薬組成物に関す
る。
本発明のもう1つの態様は、過剰なIL−1β変換酵素活性に関連した疾病ま
たは障害の治療を要する哺乳動物における過剰なIL−1β変換酵素活性に関連
した疾病または障害の治療方法であって、該哺乳動物に有効量の式(I)の化合
物またはその医薬上許容される塩を投与することを特徴とする方法に関する。
本発明のもう1つの態様は、アポプトーシスを予防または抑制する治療が必要
な哺乳動物、好ましくはヒトにおけるアポプトーシスの予防または抑制方法であ
って、該哺乳動物に有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を
投与することを特徴とする方法に関する。
本発明のもう1つの態様は、IL−1βおよび/またはTNF産生を遮断する
治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトにおけるIL−1βおよび/または
TNF産生の遮断方法であって、該哺乳動物またはヒトに有効量の式(I)の化
合物またはその医薬上許容される塩を投与することを特徴とする方法に関する。
発明の詳細な説明
本発明化合物は、1個またはそれ以上の不斉炭素を、詳細には6または7位に
有していてもよく、ラセミ体および光学活性形態として存在してもよい。これら
の化合物のすべては本発明の範囲内である。好ましくは、化合物は6R,7S立
体配置である。
好ましくは、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩は下記構造式:
[式中、R1は水素、置換されていてもよいアルコキシ、またはハロゲンであり
;
R2はORaであり;
RaはC1-4アルキル、または置換されていてもよいアリールC1-4アルキシで
あり;
R3は水素、−OC(O)R5、S(O)nR6、または臭素であるが;ただし、R3
が水素である場合にはR4は水素以外であり;
R4は水素であり;
R5はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、置換されていてもよいアリール
、または置換されていてもよいアリールアルキルであり;
R6は置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロア
リールであり;
mは1または2の値を有する整数であり;
nは0であるか、または1もしくは2の値を有する整数である]
で示される。
適当には、式(I)の化合物については、R1は水素、ハロゲン、または置換
されていてもよいC1-4アルコキシである。R1がアルコキシである場合、炭素鎖
は、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ、C(O)H、C(O)2Rc、またはC(O)
CH3残基により独立して1回またはそれ以上置換されていてもよく、Rcは水素
、C1-6アルキル、アリール、またはアリールC1-4アルキルである。好ましくは
、R1はメトキシである。
適当には、式(I)の化合物については、R2はORaであり;RaはC1-4アル
キル、または置換されていてもよいアリールC1-4アルキルであり、好ましく
はベンジルである。アリールアルキル残基中のアルキル基は、メチレンまたは置
換メチレン基のごとき分枝または直鎖のものであってもよく、すなわち、−CH
(CH3)−アリールのごときものであってもよいことが認識される。
Raが置換されていてもよいアリールC1-4アルキルである場合、アリール環は
、ヒドロキシ、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシにより独立して1回または
それ以上置換されていてもよい。
適当には、式(I)の化合物については、mは1または2である。好ましくは
、mは2である。
式(I)の化合物については、R3は水素、−OC(O)R5、S(O)nR6、また
はブロモであるが、R3が水素である場合R4は水素以外のものである。R3が−
OC(O)R5である場合、適当にはR5基はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル
、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいアリールアルキ
ルであり;好ましくは、R5はC1-6アルキルであり、より好ましくはメチルであ
る。
R3がS(O)nR6である場合、適当には、R6は置換されていてもよいアリール
、または置換されていてもよいヘテロアリールであり;nは0、または1もしく
は2の値を有する整数である。R6が以下に定義されるようなヘテロアリールで
ある場合、好ましくは、それはトリアゾール、オキサジアゾール、またはテトラ
ゾール残基である。また、R6が以下に定義するようなアリールである場合、好
ましくは、それはフェニルであり;好ましくはnの値は1または2である。R6
がヘテロアリールである場合、好ましくはnは0である。ヘテロアリールまたは
アリール環は、ヒドロキシ、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシにより、好ま
しくはアルキルにより、より好ましくはメチルにより独立して1回またはそれ以
上置換されていてもよい。
式(I)により示される化合物は、以下のものを包含するが、これらに限らな
い:
3,4−ジクロロベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキ
シ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
tert-ブチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−(2−ヒドロキシエ
トキシ)−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−および2,3−ジメチルベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチ
ル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
4−ニトロベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−
3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル(1RS、6R,7S)−7−メトキシ−3−アセト
キシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1−オキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7R)−7−メトキシ−3−アセトキシメ
チル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
4−ヨードベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメチル
−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3−ヨードベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメチル
−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3−ヨード−4−メチルベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセ
トキシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−[2−ヒドロキシエトキシ]
−3−アセトキシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオ
キシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−[n−ブトキシ]−3−アセ
トキシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−エトキシ−3−アセトキシメ
チル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−ブロモメチル−7−メトキシ
−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−フェニルスルホニルメチル−
7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−[5−メチル−(1,3,4−
オキサジアゾール)−2−チオメチル]−7−メトキシ−3−セフェム−4−カ
ルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−[(1−メチルテトラゾール
)−5−チオ]メチル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−
1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−[(1,2,3−トリアゾール
)−4−チオメチル]−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−
1,1−ジオキシド。
本発明方法に用いる式(I)の化合物は、上記化合物ならびに下記化合物を包
含する:
tert-ブチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェ
ム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
tert-ブチル(6R,7R)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェ
ム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
メチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェム
−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
ベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェ
ム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド。
本明細書の用語「過剰なIL−1β変換酵素活性」とは、該蛋白の過剰発現、
または当該酵素の過剰な発現をいう。
本明細書の用語「C1-6アルキル」または「アルキル」は、鎖長について特記
しないかぎり、1ないし6個の炭素原子からなる直鎖または分枝残基を意味し、
メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチ
ル、tert-ブチル等を包含するが、これらに限らない。
本明細書の用語「ヘテロアリール」(それ自体または「ヘテロアリールオキシ
」もしくは「ヘテロアリールアルキル」のごとき組み合わせにおいて)は、1個
またはそれ以上の環がN、OまたはSからなる群より選択される1個またはそれ
以上の異種原子を含んでいる5ないし10員の芳香族環システムを意味し、例え
ば、
ピロール、ピラゾール、フラン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キナゾ
リニル、ピリジン、ピリミジン、オキサゾール、オキサジアゾール、テトラゾー
ル、チアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダ
ゾール、を包含するが、これらに限らない。
本明細書の用語「アリール」(それ自体または「アリールオキシ」もしくは「
アリールアルキル」のごとき組み合わせにおいて)は、フェニルおよびナフチル
環を意味する。
本明細書の用語「シクロアルキル」は、環状残基、好ましくは3ないし7個の
炭素のものを意味し、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を包
含するが、これらに限らない。
本明細書の用語「ハロ」または「ハロゲン」は、特記しないかぎり、クロロ、
フルオロおよびヨードを包含する。
本明細書において、「コア」基を下記のごとく番号付けする。
本発明は、式(I)の化合物によるICEおよびICE様プロテアーゼの阻害
に関する。「ICE様プロテアーゼ」なる用語は、ポリペプチドインターロイキ
ン−1β変換酵素(またはコンバーターゼ)のフラグメント、相同物、アナログ
および誘導体を意味する。これらのアナログは、構造的に、ICEファミリーに
関連している。一般的には、それらは、配列全体にわたってヒト・ICEに対し
て高い相同性を示す蛋白をコードしている。好ましくは、ペンタペプチドQAC
RGが保存されている。多くの天然の対立遺伝子変種(置換、欠失または付加の
ごとき)を包含してもよいICE様プロテアーゼは、コードしているポリペプチ
ドの機能を実質的には変化させない。すなわち、それらは、必然的に、ICEプ
ロテアーゼと同じ生物学的機能または活性を保持しているが、生物学的機能が増
強または低下した活性であってもよいことが認識される。適当な活性はIL−1
β変換酵素活性ではなく、ある種の様式でアポプトーシスを誘導し、あ
るいはプログラムされた死に関与する能力である。本発明に含まれる適当なIC
E様プロテアーゼは、1994年6月23日出願のPCT/US94/0712
7(代理人処理番号325800−184);および1994年11月1日出願
のUSSN08/334251(代理人処理番号325800−249)に記載さ
れており、参照によりこれらの開示を全体として本明細書に記載されているもの
とみなす。
本明細書の用語「IL−1βおよび/またはTNFの産生を遮断または阻害、
あるいは減少」とは:
a)インビボでサイトカイン放出を阻害することによる、ヒトにおけるサイト
カインの過剰なレベルの、正常または正常以下のレベルまでの低下またはダウン
レギュレーション;または
b)ヒトにおけるインビボでのサイトカイン(IL−1またはTNF)の過剰
なレベルの、ゲノムレベルでの正常または正常以下のレベルまでのダウンレギュ
レーション;または
c)翻訳後の出来事としてのサイトカイン(IL−1またはTNF)の直接合
成を阻害することによるダウンレギュレーション;または
d)ヒトにおけるインビボでのサイトカイン(IL−1またはTNF)の過剰
なレベルの、翻訳レベルでの正常または正常以下のレベルまでのダウンレギュレ
ーション
をいう。
IL−1βおよび/またはTNF産生の遮断もしくは阻害、または減少は、式
(I)の化合物がサイトカインであるIL−1およびTNFの阻害剤であるという
知見であり、インビトロおよびインビボアッセイ(当該分野においてよく知られ
ており、そのいくつかは本明細書に記載されている)におけるIL−1およびT
NFの産生に対する式(I)の化合物の影響に基づくものである。
本発明化合物を、Doherty et al.,J.Med.Chem.,1990,33,2513(参照に
よりその開示を本明細書に記載されているものとみなす)のごとき当該分野にお
いてよく知られた方法により合成してもよい。別法として、式(I)の化合物を、
下記スキームに従って合成してもよい。
スキームI
ジオキサン中で市販7−アミノセファロスポリン酸(1−スキームI)をイソ
ブチレンおよび硫酸で処理することにより t-ブチルエステル(2−スキームI
)を合成する。Doherty らの手順(J.Med.Chem.,1990,33,2513−2521)(
参照によりその開示を本明細書に記載されているものとみなす))に従って、
7−アルコキシ置換された3a−スキームIおよび3b−スキームIを分離可能
な混合物として得る。0℃においてトリフルオロ酢酸/アニソールで3−スキー
ムIを処理して、重炭酸ナトリウム水溶液で粉砕するすることにより、遊離酸5
−スキームIまたはナトリウム塩4−スキームIを得る。DMF中での IV のハ
ロゲン化ベンジルアルキル化により6−スキームIを得る。ジアゾ誘導体(Braun
et al.J.Am.Chem.Soc.1958,80,359-363(参照により本明細書に記載され
ているものとみなす))またはアルコキシイソウレア(Schmidt et al.Justus
Liebigs Ann.Chem.1965,685,161-166(参照により本明細書に記載されてい
るものとみなす))での5−スキームIの処理により種々のアルキルエステル誘
導体(6−スキームI)を得る。最後に、m−クロロペルオキシ安息香酸または
オキソンでの6−スキームIの酸化によりスルホンまたはスルホキシド7−スキ
ームIを得る。
スキーム2
過塩素酸中NaNO2およびアルコールでの処理(Alpegiani et al.米国特許
第5254680号(参照により本明細書に記載されているものとみなす))に
より、8−スキーム2か1らアルコキシ誘導体9−スキーム2を1工程で得る。
6−スキーム1について説明した手順による9−スキーム2のエステル化により
エステル10−スキームIを得る。m−クロロペルオキシ安息香酸またはオキソ
ンでの10−スキームIの酸化により11−スキーム2を得る。Alpegiani et a
l
J.Med.Chem.1994,37,4003-4019(参照により本明細書に記載されているのと
みなす)により概説された手順に従って以下の誘導体を合成することができる。
ラジカル条件化で11−スキーム2をN−ブロモサクシンイミドに曝露すること
により3−ブロモメチル誘導体12−スキーム2を得る。13−スキーム2およ
び14−スキーム2は、臭素を芳香族チオールおよび酢酸水銀誘導体により置換
することにより合成可能である。対応チオエーテル(13−スキーム2)を酸化
することによりスルホン15−スキーム2を得る。合成化学
さらに苦労することなく、当業者は、上記説明を用いて、本発明を最大限に利
用することができると確信する。さらに下記実施例は、本発明化合物の合成を説
明する。それゆえ、下記実施例は、本発明の単なる説明であり、本発明を何ら限
定するものではないと解される。
特記しないかぎり、温度をセ氏で表す。実施例1 tert- ブチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェ ム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
Doherty et al.Med.Chem.,1990,33,2513-2521 の手順に従って表記化合
物を調製した。実施例2 tert- ブチル(6R,7R)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェ ム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
Doherty et al.Med.Chem.,1990,33,2513-2521 の手順に従って、最終混
合物の少量成分として表記化合物を単離した。実施例3 3,4−ジクロロベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ −3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
a)3,4−ジクロロベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メ
トキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート
tert-ブチル(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメチル−3−セフェ
ム−4−カルボキシレート(Doherty et al.Med.Chem.,1990,33,2513−252
1の手順に従って調製)(1.0g、2.9mmol)およびアニソール(3.2ml、
29mmol)に、アルゴン雰囲気下、0℃において、トリフルオロ酢酸(16ml
)を添加した。溶液を30分攪拌し、ついで、減圧濃縮した。
残さを塩化メチレン(50ml)に溶解し、水、ついで、ブラインで洗浄し、
乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して油状物質を得た。残さを酢酸エチ
ル(30ml)に溶解し、水(30ml)を添加した。重炭酸ナトリウム飽和溶
液を滴下して、水層のpHを7とした。水層を分離し、さらに30mlの水につ
いてこの手順を繰り返した。水層を一緒にし、凍結乾燥して黄色固体(870m
g)を得た。
ジメチルホルムアミド(6ml)中のナトリウム塩(187mg)に、アルゴ
ン雰囲気下において、塩化3,4−ジクロロベンジル(168μL)を添加し、
溶液を22時間撹拌した。この溶液にエーテルを添加し、混合物を水洗し、乾燥
(MgSO4)し、ついで、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シ
リカゲル、25−45%酢酸エチル/ヘキサン)により油状物質を精製して表記
化合物およびAE2位置異性体の3:2の混合物(85mg、正味の収率30%
)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)d7.1−7.6(m,3H)
,6.46(4.5−5.3(m,6H),3.3−3.7(m,5H),3.55(m,
3H)。
b)3,4−ジクロロベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メ
トキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
塩化メチレン(3ml)中の実施例2(a)のエステル(83mg、186μ
mol)に、85% m−クロロペルオキシ安息香酸(114mg、558μmol)
を添加し、溶液を4時間撹拌した。溶液に、20%メタ量亜硫酸ナトリウム、つ
いで、重炭酸ナトリウム飽和溶液を添加し、混合物を塩化メチレンで抽出した。
有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー
(シリカゲル、40−50%酢酸エチル・ヘキサン)により精製して表記化合物
を得た(75mg、84%)。MS(ES+)m/e 478[M+H]+。実施例4 tert- ブチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−(2−ヒドロキシエト キシ)−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
a)tert-ブチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−(2−ヒドロキ
シエトキシ)−3−セフェム−4−カルボキシレート
メタノールのかわりにエチレングリコールを用いること以外は、Doherty et a
l.Med.Chem.,1990,33,2513-2521の手順に従って表記化合物を調製した。1
H NMR(400MHz,CDCl3)d4.93(d,J=13.7Hz,1H)
,4.73(d,J=13.7Hz,1H),4.70(s,1H),.61(s,1H)
,3.81(br s,4H),3.58(d,J=18.4Hz,1H),2.07(
s,3H),1.54(s,9H)。
b)tert-ブチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−(2−ヒドロキ
シエチルオキシ)−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
実施例3(a)のエステルのかわりに実施例4(a)の表記化合物を用いるこ
と以外は、実施例3(b)の手順に従って表記化合物を調製した。MS(ES-
)m/e 404[M−H]-。実施例5 メチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェム− 4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
a)(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェム−
4−カルボン酸
実施例3(a)からの中間体ナトリウム塩(85mg)をフラッシュクロマト
グラフィー(0.5%酢酸/10%メタノール/塩化メチレン)により精製して
遊離酸(50mg)を得た。1H NMR(400MHz,2:1 CDCl3/C
D3OD)d4.87(d,J=12.6Hz,1H),4.73(d,J=12.6H
z,1H),4.61(s,1H),4.40(d,J=1.7Hz,1H),3.49(
d,J=17.8Hz,1H),3.44(s,3H)3.17(d,J=17.8Hz,
1H),2.09(s,3H)。
b)メチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフ
ェム−4−カルボキシレート
0℃においてテトラヒドロフラン(3ml)中の実施例5(a)の酸(48m
g、167μmol)に、0.1Mジアゾメタンのエーテル性溶液(10ml)を添
加した。溶液を15分撹拌し、過剰の酢酸で反応を不活性化した。混合物を塩化
メチレンで希釈し、重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄し、減圧濃縮し、フラッシ
ュクロマトグラフィー(シリカゲル、15−25%酢酸エチル/ヘキサン)によ
り精製して標記化合物(25mg、52%)を得た。1H NMR(400MHz
,CDCl3)d4.97(d,J=13.2Hz,1H),4.76(d,J=13.2
Hz1H),4.69(s,1H),4.51(s,1H),3.89(s,3H),3.
58(d,J=18.3Hz,1H),3.55(s,3H),3.22(d,J=18.
3Hz,1H),2.07(s,3H)。
c)メチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフ
ェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
実施例3(a)のエステルのかわりに実施例5(b)の標記化合物を用いるこ
と以外は、実施例3(b)の手順に従って標記化合物を得た。MS(ES-)m
/e 332[M−H]-。実施例6 ベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェム −4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
塩化3,4−ジクロロベンジルのかわりに臭化ベンジルを用いること以外は、
実施例3の手順に従って標記化合物を調製した。MS(ES)+m/e 410[
M+H]+。実施例7 3,4−および2,3−ジメチルベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル −7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
塩化3,4−ジクロロベンジルのかわりに70% 塩化3,4−ジメチルベンジ
ル(30% 塩化2,3−ジメチルベンジル)を用いること以外は、実施例3の手
順に従って、標記化合物を3,4−および2,3−ジメチルベンジル(6R,7S
)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレー
ト−1,1−ジオキシドの1:1混合物として得た。MS(ES+)m/e 43
8[M+H]+。実施例8 4−ニトロベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3 −セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
塩化3,4−ジクロロベンジルのかわりに4−ニトロベンジルを用いること以
外は、実施例3の手順に従って標記化合物を調製した。MS(ES-)m/e4
53[M−H]-。実施例9 3,4−ジクロロベンジル(1RS,6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキ シメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1−オキシド
1当量のm−クロロペルオキシ安息香酸を用いること以外は、実施例3の手順
に従った。MS(ES-)m/e 460[M−H]-。実施例10 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7R)−7−メトキシ−3−アセトキシメチ ル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
tert-ブチル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェ
ム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシドのかわりに tert-ブチル(6R,
7R)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシ
レート−1,1−ジオキシドを用いること以外は、実施例3の手順に従って標記
化合物を調製した。MS(ES-)m/e 478[M−H]-。実施例11 4−ヨードベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメチル− 3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
塩化3,4−ジクロロベンジルのかわりに塩化4−ヨードベンジルを用いるこ
と以外は、実施例3の手順に従って標記化合物を調製した。MS(ES+)m/
e 536[M+H]+。実施例12 3−ヨードベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメチル− 3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
塩化3,4−ジクロロベンジルのかわりに塩化3−ヨードベンジルを用いるこ
と以外は、実施例3の手順に従って標記化合物を調製した。MS(ES-)m/
e 534[M−H]-。実施例13 3−ヨード−4−メチルベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセト キシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
塩化3,4−ジクロロベンジルのかわりに塩化3−ヨード−4−メチルベンジ
ルを用いること以外は、実施例3の手順に従って標記化合物を調製した。MS(
ES+)m/e 550[M+H]+。実施例14 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−[2−ヒドロキシエトキシ]− 3−アセトキシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキ シド
tert-ブチル(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメチル−3−セフェ
ム−4−カルボキシレートのかわりに実施例4(a)の標記化合物を用いること
以外は、実施例3の手順に従った。MS(ES-)m/e 506[M−H]-。実施例15 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−[n−ブトキシ]−3−アセト キシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
エチレングリコールのかわりにn−ブタノールを用いること以外は、実施例1
6の手順に従って標記化合物を調製した。MS(ES-)m/e 518[M−H
]-。実施例16 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−エトキシ−3−アセトキシメチ ル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
塩化3,4−ジクロロベンジルのかわりにエタノールを用いること以外は、実
施例16の手順に従って標記化合物を調製した。MS(ES-)m/e 490[
M−H]-。実施例17 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−ブロモメチル−7−メトキシ− 3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
a)3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−メチル−
3−セフェム−4−カルボキシレート
酢酸エチル(30ml)中の(6R,7S)−7−メトキシ−3−メチル−3
−セフェム−4−カルボン酸(1g)の溶液に水(30ml)を添加した。重炭
酸ナトリウム飽和溶液を滴下して、水層のpHを7とする。水層を分離し、凍結
乾燥して(6R,7S)−7−メトキシ−3−メチル−3−セフェム−4−カルボ
ン酸ナトリウム(670mg)を得る。
ジメチルホルムアミド(2ml)中の(6R,7S)−7−メトキシ−3−メチ
ル−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(312mg)に塩化3,4−ジ
クロロベンジル(500μL)を添加し、溶液を24時間撹拌する。溶液に水を
添加し、溶液をエーテルで抽出した。有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、減圧
濃縮した。残さをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、15−25%酢
酸エチル/ヘキサン)により精製して3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)
−7−メトキシ−3−メチル−3−セフェム−4−カルボキシレートを得た(1
48mg)。1H NMR(250MHz,CDCl3)d7.2−7.6(m,3H
),5.23(s,2H),4.67(s,1H),4.50(s,1H),3.4−3.6
(m,4H),3.19(d,J=18.4Hz,1H),2.10(s,3H)。
b)3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−メチル−
3−セフェム−4−カルボキシレート−,1−ジオキシド
実施例2aのエステルのかわりに3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−
7−メトキシ−3−メチル−3−セフェム−4−カルボキシレートを用いること
以外は、実施例3bの手順に従ってスルホンを調製した。1H NMR(250M
Hz,CDCl3)d7.2−7.6(m,3H),5.21(s,2H),5.13(s
,1H),4.62(s,1H),3.88(d,J=18.4Hz,1H),3.66(
d,J=18.4Hz,1H),3.56(s,3H),2.10(s,3H)。
c)3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−ブロモメチル−7−メト
キシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
四塩化炭素(4ml)中の実施例17(b)のスルホンに、AIBN(5mg
)およびN−ブロモサクシンイミド(44mg)を添加し、溶液をアルゴン雰囲
気下で3時間還流し、ついで、反応混合物を冷却し、重炭酸ナトリウム飽和溶液
を
添加し、ついで、混合物を塩化メチレンで抽出した。有機抽出物を乾燥(MgS
O4)し、減圧濃縮した。残さをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、
15−35%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して標記化合物を得た(45m
g)。MS(ES-)m/e 496[M−H]-。実施例18 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−フェニルスルホニルメチル−7 −メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
a)3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−フェニルチオメチル−7
−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
0℃において、ジメチルホルムアミド(15ml)中の実施例17の臭化物(
110mg)に、チオフェノール(25μL)およびN,N−ジイソプロピル−
N−エチルアミン(42μL)を添加した。出発物質が消失するまで溶液を撹拌
した。水を添加し、溶液をエーテルで抽出した。有機抽出物を減圧濃縮し、残さ
をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン)により
精製して標記化合物を得た。MS(ES+)m/e 528[M+H]+。
b)3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−フェニルスルホニルメチ
ル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
実施例2aのエステルのかわりに3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−
7−メトキシ−3−メチル−3−セフェム−4−カルボキシレートを用いること
以外は、実施例3bの手順に従ってスルホンを調製した。MS(ES+)m/e
560[M+H]+。実施例19 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−[5−メチル−(1,3,4−オ キサジアゾール)−2−チオメチル]−7−メトキシ−3−セフェム−4−カル ボキシレート−1,1−ジオキシド
チオフェノールのかわりに5−メチル−(1,3,4−オキサジアゾール)−
2−メルカプタンを用いること以外は、実施例18aの手順に従って標記化合物
を調製した。MS(ES+)m/e 534[M+H]+。実施例20 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−[(1−メチルテトラゾール) −5−チオ]メチル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1 ,1−ジオキシド
チオフェノールのかわりに(1−メチルテトラゾール)−5−メルカプタンを
用いること以外は、実施例18aの手順に従って標記化合物を調製した。MS(
ES+)m/e 534[M+H]+。実施例21 3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−[(1,2,3−トリアゾール) −4−チオメチル]−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1 ,1−ジオキシド
チオフェノールのかわりに(1,2,3−トリアゾール)−4−メルカプタンを
用いること以外は、実施例18aの手順に従って標記化合物を調製した。MS(
ES+)m/e 519[M+H]+。
生物学的評価
アッセイI−DNAラダー
本発明は、アガロースゲル上で可視化されるDNAラダーの生成を測定するこ
とによりアポプトーシスを測定するモデルを用いることができる。DNAラダー
の観察は多年にわたりアポプトーシスの目印となっている。われわれの研究に用
いるモデルは、抗癌性脂質1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−3−ホ
スホコリン(ET−18−OCH3)および腫瘍壊死因子α(TNF)によるヒ
ト・単球HL−60細胞におけるアポプトーシスの生成である。
ET−18−OCH3によるDNAラダーの生成が報告されており(Mollinedo e
t
al.Biochem.Biophys.Res.Commun.,192: 603-609(1993))、確認されている
。一般的方法は、6μMのET−18−OCH3または10ユニットのTNFで
HL−60細胞を24時間処理し、低分子DNAを抽出し、蛋白およびRNAを
除去することである。アガロースゲル上でDNAを分離し、臭化エチジウム染色
で可視化する。DNAの抽出および調製の直前に内部標準を細胞に添加する。こ
の方法により、アポプトーシスを阻害する化合物の能力を定量的に評価すること
ができる。細胞馴化
・HL−60細胞(American Type Cell Culture)をRPMI 1640w/L-
グルタミンおよび10%熱不活性化ウシ・胎児血清(RPMI完全培地)中で増殖
させた。
・実験の日、所望数の細胞(例えば、5x106個/処理群)をRPMI中に
懸濁して最終細胞濃度約0.5x106個/mlとした。各処理群につき、細胞懸
濁液10mlを培養フラスコ中に入れた。細胞を37℃で2時間インキュベーシ
ョンした。曝露
ET−18−OCH3への典型的な曝露のためには、CHCl3中の100mM
ET−18−OCH3ストック溶液を調製し、RPMI完全培地中に希釈して6
00μMとする。100μlの600μMET−18−OCH3を10mlの処
理群中に添加し、最終濃度6μMとした。細胞懸濁液を一晩(18時間)インキュ
ベーションする。典型的な曝露のためには、300ないし3000ユニットのT
NFを10mlの細胞懸濁液に添加した。
ET−18−OCH3またはTNFの添加10分前に細胞を所望薬剤(ICE化
合物等)で処理した。ICE化合物ストックをDMSO中に調製した。化合物ま
たはDMSO担体50μlを10mlの処理群に添加し、化合物を最終濃度とし
、DMSOを0.5%とした。DNA抽出
:
細胞を遠心分離(400xg、5分)し、10mlのPBSで2回洗浄した。細
胞を200μlの冷滅菌界面活性剤バッファー(10mM Tris−HCl,p
H7.5、1mM EDTA、0.2%、Triton X−100)中に再懸濁す
ることにより細胞を溶解させ、約250μLを、氷冷滅菌1.5ml容エッペン
ドルフチューブに移した。ゆるやかに振盪チューブを4℃で30分インキュベー
ションした。
チューブをMicrofugeで15分遠心分離し、細胞残さが入らないようにしながら
上清を集めた。
上清を75μg/mlのRNAseとともに37℃で1時間インキュベーション
し、ついで、200μg/mlのプロテイナーゼKおよび0.5% SDS(最終
濃度)とともに37℃で1時間インキュベーションした。
300bpのDNA 10μlのを内部標準として添加して抽出効率を観察した
。
上清を同体積(200−300μl)の冷フェノール飽和バッファーで2回抽出
し(フェノール添加、15秒間ボルテックス攪拌、2分間微量遠心、2層間に有
機廃液が入らないようにして上部水層を集める)、200μLのフェノール/クロ
ロホルム/イソアミルアルコール 25:24:1(v/v)で1回抽出し、つ
いで、100μLのクロロホルムで1回抽出した(100μL/試料を回収)。
10μLの滅菌3M NaCl(300mM(最終濃度))を100μLの試料
および200μLの冷エタノールに添加し、十分にボルテックスし、ついで、−
20℃で一晩放置した。
試料を15分遠心分離し(Microfuge で)、すべて(25μL)のエタノールを注意
深く除去した。DNAペレットを乾燥させ、30μLの10mM Tris−H
Cl,pH8.0、0.1mM EDTAおよび10μLのゲル負荷用バッファー中
に再懸濁した。
DNA標準(例えば、Sigma D5042、123bpのラダー)を各ゲルで泳動させた
。
試料を、TBEバッファー含有、臭化エチジウム添加1−2%アガロースゲル上
で90−120分泳動させた(100V、50mA)。
・得られたゲルをUV光で可視化し、結果を捕獲イメージ(captured image)中
に記録した。
結果
HL−60細胞において、ET−18−OCH3またはTNFでの処理はアポ
プトーシス応答を誘導し、24時間後に顕著となった。実施例3の化合物50μ
Lでの前処理は、ET−18−OCH3ならびにTNFの両方に対するアポプト
ーシス応答を完全に遮断することがわかった(表1)。実施例3の化合物5μL
での前処理は24時間の実験においては有効でなかった。IL−1b(10nM
)の添加はアポプトーシスを遮断する実施例3の化合物の能力に影響せず、その
主な作用機構がIL−1産生の阻害ではないことが示唆された。これらのデータ
は、実施例3の化合物は、新規作用機構、すなわち、ICEまたはICE様プロ
テアーゼの活性を阻害することによりアポプトーシスを遮断するということを支
持するものである。
アッセイII:ICEの阻害
酵素源
ヒト・ICEをクローン化し、ヘキサ−Hisフラッグ(flag)をそのアミノ
末端に有する不活性前駆体(p45)として E.coli 中で発現させた。収集後、
細胞を溶解し、遠心分離し、ついで、p45含有ペレットをリン酸緩衝化7M尿
素(pH7.5)で可溶化させた。フラッグを付したp45をNi-ニトロ−酢酸
カラムに適用し、洗浄し、300mMイミダゾールで溶離した。これによりプロ
酵素の非常に豊富な標品(p45純度90%)が得られた。10℃で数分間Cent
ricon 限外濾過膜(Amicon)を用いてp45を濃縮することによりp10/p20
に対する触媒的自己蛋白分解活性化を行なった。ウェスタンブロットにおけるp
10/p20に関するICE活性の経時的発生および逆相HPLCにより活性化
試料中の触媒サブユニット(p10およびp20)が示された。逆相HPLCに
より精製された試料のN末端配列およびMALD質量スペクトル分析によりオー
センティックなp10およびp20の生成も確認した。活性化酵素を−80℃で
保存した。
アッセイプロトコール
蛍光発生テトラペプチド基質N−アセチル−L−チロシル−L−バリル−L−
アラニル−L−アスパルチル−7−アミノ−4−メチルクマリン(Ac−YVA
D−AMC)を用いてICEを25℃でアッセイした。25mM Hepes、
10%ショ糖、0.1% CHAPS、および2mM DTTを含有するバッファ
ー系中、pH7.5においてアッセイを行なった。基質濃度を25μMに固定し
た。遊離した7−アミノ−4−メチルクマリンの蛍光を、335nmで励起後4
60nmにおいて連続的にモニターした。
化合物の試験
酵素とともに30−60分プレインキュベーションした後、100μMの1回
量で式(I)の化合物を試験した。25μMの基質(Ac−YVAD−AMC)
を添加することによりアッセイを開始し、上記のごとく活性をモニターした。
実施例1ないし7および9により示される式(I)の代表的な化合物は、この
アッセイにおいて約36%ないし約96%の範囲の正の阻害活性を示した。
アッセイIII:ICEの阻害
蛍光発生テトラペプチド基質N−アセチル−L−チロシル−L−バリル−L−
アラニル−L−アスパルチル−7−アミノ−4−メチルクマリン(Ac−YVA
D−AMC)を用いて96穴プレート中でICEを25℃でアッセイした。25
mM Hepes、10%ショ糖、0.1% CHAPS、および20−50μM
DTTを含有するバッファー系中、pH7.5においてアッセイを行なった。基
質濃度を20μMに固定した。遊離した7−アミノ−4−メチルクマリンの蛍光
を、360nmで励起後460nmにおいて連続的にモニターした。
化合物の試験
50ないし100μMの1回量で化合物を試験した。基質および阻害剤を同時
添加した後、30ないし60分間上記のごとく活性をモニターした。かくして得
られた進行曲線をコンピューターにより等式1に適合させて、有効性および時間
依存性を評価した。
以下の典型的な式(I)の化合物は、上記アッセイにおいて正の阻害活性を示
した:
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメ
チル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
tert-ブチル7−アルファ−メトキシセファロスポラネートスルホン
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−(1−メチルテトラゾール−
5−イル)チオメチル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−
1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−(フェニルスルホニル)メチ
ル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7S)−3−[2−メチル(1,3,4−オ
キサジアゾール−5−イル)−2−チオメチル]−7−メトキシ−3−セフェム
−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル(6R,7S)−3−(1,2,3−トリアゾール−5
−イル)チオメチル−7−メトキシ−3−セフェム−4−カルボキシレート−1
,1−ジオキシド
3,4−ジクロロベンジル−5,5−ジオキソ−7−アルファ−[2−ヒドロキ
シエチルオキシ]−セフェロスポラネート
3,4−ジクロロベンジル−(6R,7R)−7−メトキシ−3−アセトキシメ
チル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
ベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメチル−3−セフェ
ム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
[(3,4)−および(2,3)−]ジメチルベンジル−(6R,7S)−7−
メトキシ−3−アセトキシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,
1−ジオキシド
4−ニトロベンジル(6R,7S)−3−アセトキシメチル−7−メトキシ−
3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
N−3,4−ジクロロベンジル−N−メチル−(6R,7S)−7−メトキシ−
3−アセトキシメチル−3−セフェム−4−カルボキシアミド−1,1−ジオキ
シド
(6R,7S)−4−ヨードベンジル−7−メトキシ−3−アセトキシメチル
−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3−ヨードベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセトキシメチル
−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド
3−ヨード−4−メチルベンジル−(6R,7S)−7−メトキシ−3−アセ
トキシメチル−3−セフェム−4−カルボキシレート−1,1−ジオキシド。
治療方法
一般的には、治療用途には、本発明化合物を、意図される投与経路および標準
的な製薬慣習の点から選択された医薬担体または希釈剤と混合することにより得
られる標準的な医薬組成物中に入れて投与する。例えば、本発明化合物を、デン
プンまたはラクトースのごとき賦形剤を含有する錠剤の形態として、あるいは香
料または着色料を含有するエリキシルまたは懸濁液の形態として経口的に投与し
てもよい。本発明化合物を、例えば、静脈、筋肉内または皮下注射することによ
り非経口的に投与してもよい。非経口的投与には、最良には、本発明化合物を、
溶液を血液と等張とするに十分な塩またはグルコースのごとき他の物質を含んで
いてもよい滅菌水溶液の形態として用いる。投与形態ならびに有効量の選択は、
とりわけ、治療すべき症状により異なるであろう。投与経路および用量の選択は
当業者により行われる。
本発明化合物、詳細には、本明細書記載の化合物、ならびに経口投与した場合
活性のあるそれらの医薬上許容される塩を、例えばシロップ、懸濁液またはエマ
ルジョン錠剤のごとき液体、錠剤、カプセルおよび甘味入り錠剤として処方する
ことができる。
一般的には、液体処方は、例えば懸濁剤、保存料もしくは着色料を伴なったエ
タノール、グリセリン、非水溶媒(例、ポリエチレングリコール、油脂)または水
のごとき適当な液体担体中の化合物または医薬上許容される塩の溶液または懸濁
液からなる。
固形処方の製造に通常使用される適当な医薬担体を用いて錠剤形態の組成物を
製造することができる。かかる担体の例は、ステアリン酸マグネシウム、デンプ
ン、ラクトース、ショ糖、およびセルロースを包含する。
通常のカプセル封入手順を用いてカプセル形態の組成物を製造することができ
る。例えば、標準的な担体を用いて有効成分含有ペレットを製造し、ついで、硬
ゼラチンカプセルに充填することができる。別法として、水性ガム、セルロース
、シリケートまたは油脂のごとき適当な医薬担体を用いて分散物または懸濁液を
製造し、ついで、軟ゼラチンカプセルに充填することもできる。好ましくは、組
成物は錠剤またはカプセルのごとき1回量である。
典型的な非経口組成物は、滅菌水性担体または経口的に許容される油脂(例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油また
はゴマ油)中の本発明化合物または医薬上許容される塩の溶液または懸濁液から
なる。あるいはまた、溶液を凍結乾燥し、ついで、投与直前に適当な溶媒で復元
してもよい。
典型的な坐薬処方は、この経路で投与した場合に活性のある本発明化合物また
はその医薬上許容される塩、ならびに結合剤および/または滑沢剤(例えば、ポ
リマー性グリコール、ゼラチンまたはカカオ脂)または他の低融点植物性もしく
は合成のロウもしくは脂質を含んでなる。
通常には、医薬上許容される本発明化合物は、毎日の投与規則に従って対象に
投与されるであろう。患者に、これを、例えば約0.001ないし約100mg
/kg(動物体重)、好ましくは約0.001ないし約10mg/kg(動物体重)
で与える。大型動物には、好ましくは、毎日の用量は、約1mgないし約100
0mg、この1mgないし500mgの間の本発明化合物またはその医薬上許容
される塩(遊離塩基として計算)を1日1ないし4回投与する。1回分の剤形は
、約25μgないし約500mgの化合物を含有していてもよい。
アポプトーシスの調節不良が重要な役割を果たしている多くの疾病および症状
が存在する。これらの症状のすべてが病理学的結果を伴った特定の細胞の望まし
くない都合の悪い損失に関与しているわけではない。
骨リモデリングには破骨細胞による最初の吸収、ついで、骨芽細胞による骨形
成が必要である。最近、このプロセスにおいて起こるアポプトーシスについて多
くの報告がある。アポプトーシスは、骨形成細胞および骨吸収細胞の両方におい
てインビトロで観察されており、実施、インビボでこれらのリモデリング単位の
部位においても観察されている。
アポプトーシスは、吸収および形成の間の逆転部位からの破骨細胞消失につい
ての1つの可能な機構として示唆されている。TGF−β1は、6日間インビト
ロで増殖したネズミ・骨髄培養物の破骨細胞におけるアポプトーシスを誘導する
(約30%)(Hughes,et al.,J.Bone Min.Res.9,S138(1994))。抗吸収
ビスホスホネート(クロドロネート、パミドロネートまたはレシドロネート)は
、インビトロおよびインビボにおいてマウスの破骨細胞におけるアポプトーシス
を促進する(Hughes ら、上記 S347)。破骨細胞形成にとり必須であることがす
でに示されているM−CSFはアポプトーシスを抑制することができ、破骨細胞
集団の維持のみならずこれらの多核細胞の形成をアポプトーシスによって調べる
ことができることが示される(Fuller,et al.,J.Bone Min.Res.8,S384(1993);P
erkins,et al.,J.Bone Min.Res.8,S390(1993))。マウス・頭蓋冠への1
日1回のIL−1局所注射を3日間行なった場合、強力かつ激しいリモデリング
が誘導された(Wright,et al.,J.Bone Min.Res.9,S174(1994))。これら
の研究において、破骨細胞の1%が治療1日後においてアポプトーシス性であり
、3日後には10%に増加した。高パーセンテージ(95%)のこれらのアポプ
トーシス性破骨細胞は逆転部位にあった。このデータは、ICEまたはICE様
相同物は破骨細胞のアポプトーシスにおいて機能的に非常に重要であることを示
唆する。
それゆえ、本発明の1の態様は、本明細書で定義した式(I)の化合物を用い
る、骨粗鬆症のごとき過剰な骨の損失の疾病における吸収を阻害するための新規
療法としての、破骨細胞におけるアポプトーシスの促進である。
非常に分化したラット・破骨細胞様細胞において、低血清によりアポプトーシ
スを誘導することができる(Ihbe,et al.,(1994)J.Bone Min.Res.9,S167)
。このことは、破骨細胞表現型の一時的な損失に関連しており、細胞系特異的遺
伝子発現およびアポプトーシスの維持は生理学的にリンクしていることが示唆さ
れる。インビトロで増殖したラット胎児頭蓋冠由来の破骨細胞はアポプトーシス
を受け、このアポプトーシスは、フラグメント化したDNAのインシトウ末端標
識により示されるように、節形成領域に局在化している(Lynch,et al.,(1994)
J.Bone Min.Res.9,S352)。即時初期遺伝子c−fosよびc−junはアポ
プトーシスに先立って発現され、c−fosおよびc−jun−LacZトラン
スジェニックマウスはごく限られた組織(その1つが骨である)においてこれら
の転写因子の構成的発現を示すことが示されている(Smeyne,et al.,(1992)
Neuron,8,13−23;および Morgan,J.(1993)Apoptosis Cell Death:Fu
nctions and mechanisms.Cold Spring Harbor 13-15th October)。アポプトー
シスは、petula 靭帯が石灰化するにつれ、これらの動物の骨端成長板および軟
骨生成部位において観察される。またPTHRP−欠損マウスにおいて軟骨生成
部位のアポプトーシスが観察されており、これらのトランスジェニック動物は異
常な軟骨内骨形成を示す(Lee et al.,(1994)J.Bone Min.Res.9,S159)。ご
く最近の論文において、自発的アポプトーシスを行なうヒト・骨肉腫細胞系が試
験されている。この細胞系を用いてLAP−4(ICEでない)が検出され、L
AP−4の阻害または欠損によりインビトロでのアポプトーシスを遮断すること
ができた(Nicholson,et al.,(1995)Nature 376,37-43)。よって、アポプト
ーシスは、骨芽細胞および軟骨細胞の損失において役割を果たしており、アポプ
トーシスの阻害により骨形成促進機構が提供されうる。
それゆえ、本発明のもう1つの態様は、本明細書定義の式(I)の化合物を用い
る、骨形成を促進する新規療法としての、アポプトーシスの阻害である。
骨関節炎(OA)は、関節軟骨の進行性腐食により特徴づけられる変性的疾患
である。軟骨細胞は、関節軟骨において見出される単一細胞タイプであり、これ
らの細胞の代謝における混乱状態はOAの発症に関与している可能性がある。軟
骨に対する傷害は、正常なマトリックスのホメオスタシスを再構築しようとする
プロテオグリカンおよびコラーゲンの産生増加に関与する特異的な補償的応答を
開始させる。しかしながら、疾病の進行とともに、3次元的コラーゲン網目構造
が破壊され、OA傷害部位において軟骨細胞の死が起こる(Adolpe,M.ed.Bop
logical Regularion of Chondrocytes.Boca Raton: CRC Press,1992,295-3
19)。OAにおいて、軟骨に隣接した軟骨細胞は高レベルのbcl−2を発現す
る。ことが示されている(Erlacher,et al.,(1995)J.of Rheumatology,926-93
1)。このことは、疾病プロセスにより誘導されるアポプトーシスから軟骨細胞を
保護するための試みを提供する。
アポプトーシスを阻害することによる、軟骨における初期の変性的変化の間の
軟骨細胞の保護は、このありふれた疾病に対する新規治療法を提供する可能性が
ある。
それゆえ、本発明のもう1つの態様は、本明細書定義の式(I)の化合物を用い
る、骨関節炎を治療するための新規療法としての、アポプトーシスの阻害を提供
する。
最近の証拠は、肝臓の慢性で変性的な症状が肝細胞アポプトーシスに関連して
いることを示している。これらの症状は、化学的に、感染により、および免疫/
炎症により誘導される肝細胞変性を包含する。肝細胞のアポプトーシスは、アセ
トアミノフェン(Ray,et al.,(1993)FASEB.J.7,453-463)、コカイン(Cascales,
et al,.(1994)Hepatology 20,992-1001)およびエタノール(Baroni,et al.,
(1994)J.Hepatol.20,508-513)を包含する種々の化学薬剤により誘導される
肝臓の変性的状態において観察されている。アポプトーシスを誘導することが示
されている感染性因子およびそれらの化学的成分は、肝炎(Hiramatsu et al.,
(1994)Hepatology 19,1354-1359; Mita,et al.,(1994)Biochem.Biophys.R
es.Commun.204,468-474)、腫瘍壊死因子およびエンドトキシン(Leist et al.
,(1995)J.Immunol.154,1307-1316;およびDecker,K.(1993)Gastroenterolog
y 28(S4),20-25)を包含する。同種移植片の移植および再潅流後の低酸素症のご
とき機構による免疫/炎症応答の刺激は、肝細胞のアポプトーシスを誘導するこ
とが示されている(Krams,et al.,(1995)Transplant.Proc.27,466-467)。
さらに、この証拠は、肝細胞アポプトーシスが変性的肝臓疾患において中心的な
ものであることを支持する。
それゆえ、本発明のもう1つの態様は、本明細書定義の式(I)の化合物を用い
る、変性的肝臓疾患を治療する新規療法としての、アポプトーシスの阻害である
。
アポプトーシスは、細胞死が免疫系を形成し、免疫機能に影響している免疫系
における基本的なプロセスとして認識されている。またアポプトーシスは、ウイ
ルス性疾患(例えば、AIDS)にも関係している。最近の報告は、HIV感染
が過剰なアポプトーシスを引き起こす可能性があり、CD4+T細胞の損失に関
与していることを示している。APO−1/FasがHIV−1 gp120に
対して配列相同性を有するという観察結果はさらに興味深い。
それゆえ、本発明のもう1つの態様は、本明細書定義の式(I)の化合物を用い
る、ウイルス性疾患を治療する新規療法としての、アポプトーシスの阻害である
。
アポプトーシス性システインプロテアーゼの阻害が治療上有用である、さらな
る治療指針および他の症状を、各症状におけるアポプトーシスの関与を指示する
対応引用文献とともに下表1に示す。
本発明化合物のIL−1およびTNF阻害効果を、以下のインビトロアッセイ
に従って調べる。
インターロイキン−1(IL−1)
Colotta et al.,J.Immunol,132,936(1984))の方法に従って、志願者ドナ
ーまたは血液銀行のバフィーコートからヒト・末梢血単球を単離し精製する。こ
れらの単球(1x106個)を、ウェルあたり100万−200万個/mlの濃度
で24ウェルプレートに撒く。細胞を2時間付着させ、その後、おだ
やかに洗浄することにより非付着細胞を除去する。ついで、リポ多糖(50ng
/ml)添加1時間前に試験化合物を細胞に添加し、37℃でさらに24時間培
養物をインキュベーションする。このインキュベーションの終わりに、細胞およ
びすべての残さから培養上清を除去し、清澄化する。ついで、Simon et al.,J
.Immunol.Methods,84,85(1985)(A23187イオノフォアと協奏的にIL
−2を部分泌するインターロイキン−2産生細胞系(EL−4)を刺激するIL
−1の能力に基づく)あるいはLee et al.,J.ImmunolTherapy,6(1),1-12(1990)
(ELISAアッセイ)のいずれかによりIL−1生物学的活性について培養上
清を即座にアッセイする。
腫瘍壊死因子(TNF)
Colotta et al., J. Immunol, 132, 936(1984))の方法に従って、志願
者ドナーまたは血液銀行のバフィーコートからヒト・末梢血単球を単離し精製す
る。これらの単球を、ウェルあたり100万個/mlの濃度で24ウェルプレー
トに撒く。細胞を1時間付着させ、その後、上清を吸引し、1%ウシ胎児血清な
らびにペニシリンおよびストレプトマイシン(10ユニット/ml)を含有する
新鮮培地(1ml、RPMI 1640、Whitaker Biochemical Products,Whita
ker,CA)を添加する。1nM−10mMの用量範囲の試験化合物(化合物はジメ
チルスルホキシド/エタノールに可溶化し、培地中の最終溶媒濃度が0.5%ジ
メチルスルホキシド/0.5%エタノールとなるようにする)の存在または不存
在下において細胞を45分インキュベーションする。ついで、細菌リポ多糖(Si
gma Chemicals Co. から得たE.coli 055:B5[LPS])を添加し、5%CO2イン
キュベーター中、37℃で16−18時間培養物をインキュベーションする。イ
ンキュベーション時間の終わりに、培養上清を細胞から除去し、3000rpm
で遠心分離して細胞残さを除去する。ついで、WO92/10190および Bec
ker et al.,J.Immunol,1991,147,4307 に記載されたようにして放射性免疫
アッセイまたはELISAアッセイを用いて上清をTNF活性についてアッセイ
する。
上記説明は、好ましい具体例を含めて本発明を十分に開示する。本明細書に特
に開示された具体例の修飾および改良は下記請求の範囲に含まれる。さらなる苦
労をせずに、当業者は、上記説明を用いて、本発明を最大限に利用することがで
きると確信する。それゆえ、本明細書の実施例は、単なる説明であって、本発明
を何ら限定するものではないと解するべきである。排他的権利または特権が請求
されている本発明の具体例を以下のように定義する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 31/00 626 A61K 31/00 626N
631 631H
643 643B
643
31/545 31/545
601 601
(72)発明者 レビー,マーク・アラン
アメリカ合衆国19087ペンシルベニア州
ウェイン、リベイル・ロード115番
(72)発明者 リー,デニス
アメリカ合衆国19081ペンシルベニア州
スワースモア、ハバーフォード・アベニュ
ー205番
(72)発明者 グリーソン,ジョン・ジェラルド
アメリカ合衆国19335ペンシルベニア州
ダウニントン、ヘロン・ヒル・ドライブ8
番
(72)発明者 テイラー,アンドリュー・ウィリアム
イギリス、シーエム23・3ジェイティ、ビ
ショップス・ストートフォード、メイゾ
ー・ロード64番
(72)発明者 コーバート,デイビッド・フランシス
イギリス、アールエイチ2・0エヌピー、
サリー、レイゲイト、ウィルモッツ・クロ
ース12番