JPH11507435A - 分析および治療用薬剤 - Google Patents

分析および治療用薬剤

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JPH11507435A JP8536274A JP53627496A JPH11507435A JP H11507435 A JPH11507435 A JP H11507435A JP 8536274 A JP8536274 A JP 8536274A JP 53627496 A JP53627496 A JP 53627496A JP H11507435 A JPH11507435 A JP H11507435A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンおよび8−オキソデオキシアデノシンを検出する方法に使用される薬剤であって、ビオチンに特異的に結合し且つ8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンおよび8−オキソデオキシアデノシンの少なくとも1つに特異的に結合する分子を含む薬剤、および損傷を受けた核酸塩基を検出する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 分析および治療用薬剤 本発明は、8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソ アデニンおよび8−オキソデオキシアデノシンを検出する方法に用いられる薬剤 に関し、特に、損傷を受けた(damaged)核酸の検出、該核酸の診断および該核酸 の検出法に用いられる薬剤に関する。 核酸塩基の損傷、特にDNAの酸化的な塩基損傷は、トキシン(毒素)、癌発 生および神経変性障害などの多くの原因により起こり得る。このような損傷を検 出することは、医学的な診断、病理研究および職業上の健康管理など医学上の多 くの観点から重要である。 核酸塩基の損傷を検出するための現在の技術は、酸素遊離ラジカルによって引 き起こされるDNA塩基損傷を感受するマーカーである8−オキソグアニンを検 出することによる[Kasai,H.およびNishimura,S.,In:H.Sies,ed.「酸化 的ストレス:酸化剤および抗酸化剤(Oxidative Stress:Oxidants and Antioxi dants)London:Academic Press,1991:99-116;Ames,B.N.,1989,Free Rad .Res.Commun.,7 : 121-128]が、8−オキソグアニンは形成する少なくとも2 0種類の生成物の唯一のものにすぎない。 DNAに対する酸化的損傷に対するマーカーとして8−オキソグアニンを使用 することにより、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)を用いて電気化学的 に、DNA分解物中のデオキシヌクレオシド(8−オキソデオキシグアノシン) として分析される(Floyd,R.A.他、1986,Free Rad.Res.Commun.,1 : 163 -172)。別の方法として、ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー( GC−MS)法を用いて、8−オキソグアニンを遊離塩基として定量することも 行われている(Dizdaroglu,M.1994,Methods Enzymol.,234 :3-16)が、こ の手法は高価で且つ技術的な要求が厳しい。これらの2つの手法が比較された( Halliwell,B.およびDizdaroglu,M.,1992,Free Rad.Res.Commun,16:75- 87)が、得られた結果は一致していない。一般的に、GC−MS法によって測定 される8−オキソグアニンのレベルは高くなり、新鮮な分離細胞においては、G C−MSによる値は2から11倍高くなっていることが報告されている。 DNA中の8−オキソグアニンを測定するにはその他の多くの手段が提示され ている。32Pを用いるポストラベル法は文献により確立されている(Lu,L.J. W.他、Chem.Phamaceut.Bull.39:1880-1882 Povey,A.C.他、In :DNAア ダクトを検出するポストラベル法(Postlabelling Methods for Detection of D NA Adducts)。 Lyon,105-114)。この方法は、非常に高感度の検出法を提供する可能性がある が、非常に時間がかかり面倒である。毛細管電気泳動法による8−オキソデオキ シグアノシンの測定(Guarnieri,C.他、1994,J.Chromatogr.B.656 :209- 213)および8−オキソグアニンの測定(Poon,K.W.他、1995,Biochem.Soc .Trans.23:443s )も提示されている。現在までのところ、この方法は、UV 吸収測定が本質的に感度を欠いているために感度不足である。 本発明に従えば、8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8− オキソアデニンおよび8−オキソデオキシアデノシンを検出する方法に使用され る薬剤であって、ビオチンと特異的に結合し、且つ、8−オキソグアニン、8− オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンおよび8−オキソデオキシアデ ノシン(それぞれ8−ヒドロキシグアニン、8−ヒドロキシデオキシグアノシン 、8−ヒドロキシアデニンおよび8−ヒドロキシデオキシアデノシンとして知ら れているその最も一般的な互変異性体)の少なくとも1つに特異的に結合する分 子から成ることを特徴とする薬剤が提供される。 プリン塩基グアニンは、ビオチン分子と構造的な相関性を殆ど有しない。しか しながら、損傷を受けたDNAに対するアビジンの詳細な結合特性は未だ不明で あるが、本発明が見出したところによれば、酸化的DNA損傷の損傷生成物であ る8−オキソグアニンのケト型はビオチンにきわめて構造上類似しており、そし て、この酸化された塩基生成物に対してアビジン、ストレプトアビジンおよび抗 ビオチン抗体は有意の結合親和性を有するようである。 構造的な特徴を考慮すると、8−オキソアデニンおよび8−オキソデオキシア デノシンンはイミダジリドン基を有しているのでアビジンはこれらの化合物と結 合することを強く示唆している。 「特異的に結合する」とは、薬剤が特定の(単一または複数の)エピトープに 対して特異的親和性を有することを意味する。アビジンは少なくともビオチン、 8−オキソグアニンおよび8−オキソデオキシグアニンに特異的に結合するので 、これらの分子は同一または実質的に同じエピトープを有する。この特異性は、 ミモトープ(mimotope)にも特異的なポリペプチドのエピトープに特異的な抗体 (Geysen,H.M.他、1987,Journal of Immnological Methods, 102 :259-27 4)に(構造)類似性である。但し、該ミモトープの配列が該ポリペプチドの配 列と相違していることはあり得る。 本発明の薬剤は、ビオチンに対してアビジンまたはストレプトアビジンと実質 的に同じ結合特異性を有し得るものである。さらに本発明の薬剤は、8−オキソ グアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンおよび8−オキ ソデオキシアデノシンの少なくとも1つに対して、アビジンまたはストレプトア ビジンと実質的に同 じ結合特異性を有し得るものである。 「同じ結合特異性」とは、薬剤(例えば、フラグメント、アナログ、抗体また は抗原結合性フラグメント)が、アビジンまたはストレプトアビジンと実質的に 同じ(単一または複数の)エピトープに対して特異的であることを意味する。 本発明の薬剤は、アビジンおよびストレプトアビジンから成る群の一つから選 ぶことができる。 本発明の薬剤は、アビジンまたはストレプトアビジンのフラグメントまたはア ナログから構成されてもよい。アビジンおよびストレプトアビジンの特性を調べ 変性して該分子の所望のフラグメント、例えば、該分子のうちビオチン結合性部 分のみから成るフラグメントを容易に得ることができる。アナログ(アビジンま たはストレプトアビジン分子自身のアナログまたは該分子のフラグメントのアナ ログ)を調製することもできる。例えば、ビオチン分子または損傷を受けたDN Aに対する結合特異性ないしは結合親和性が変化したようなアナログを調製して もよい。 「アビジンまたはストレプトアビジンのフラグメントまたはアナログ」とは、 アビジンまたはストレプトアビジン分子のフラグメントまたはアナログであって 、ビオチンに対して、および、8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノ シン、8−オキソアデニンおよび8−オキソデオキシアデノシンの少なくとも1 つに対して特異的に結合するものを意味する。 本発明者は、驚くべきことに、アビジン、ストレプトマイシンおよび抗ビオチ ン抗体が、8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソア デニンおよび8−オキソデオキシアデノシンの検出、したがって、損傷を受けた 核酸、特に損傷を受けたDNAの検出に使用し得ることを見出した。 アビジンは、卵白中にある天然に存在する因子であり、ビオチンビタミンに対 して顕著な親和性(Ka=1015-1)を有し(Bayer,E.A.およびIchek,M.,19 90,Methods in Enzymol.,184 :49-67)、そして、ストレプトマイセス・ア ビジニイ(Streptomyces avidinii)由来の細菌性アナログであるストレプトア ビジンも実質的に同じ結合親和性と特異性を有する。 ビオチン分子(Green,N.M.,1972,Adv.Protein Chem.,29:85-131)は疎 水性が大きく、そして、ウレイド基およびイミダジリドン環から成る。その分子 全体がアビジン結合部位と相互作用して、アビジンは2面対称を有する安定な四 量体を形成し、4ケのビオチン結合部位を含むように配置されて2つのクラスタ ーとなると考えられている。ビオチン分子の小フラグメントから成るアナログで ある広範囲の化合物がアビジンと結合し得るが、10mMのレベルでは類似の化合物 が有意に結合しないこと(Green,1972,上述の文献)から、ビオチンに対するア ビジンの結合性には比較的高い特異性が存するものと考えられる。 アビジンは、主として検出や増幅における二次的手段として研究および実用技 術の両方において汎用されている。イムノアッセイにおいてはビオチンを検出す るのに多用され、この場合には、一次抗体は直接ビオチンが結合されるか、また はビオチン化二次抗体を介して結合される。また、塩基のような標的分子をビオ チン化により化学的に修飾して可視化する場合にも使用されている。 アビジンは、ビオチン以外の生体分子を直接検出するのに現在のところ使用さ れてはいない。 本発明の試薬は、別の手段として、抗体またはその抗原結合性フラグメントか ら構成することもできる。 本発明における抗体とは、全抗体またはその抗原結合性フラグメントであり、 一般的にはいずれの免疫グロブリンクラスに属するものであってもよい。すなわ ち、例えば、IgM、IgGまたはIgA抗体である。抗体またはそのフラグメ ントは、動物性のものであってもよく、例えば哺乳動物由来のものであり、例え ば、マウス、ラットまたはヒト由来のものである。本発明における抗体は天然の 抗体またはそのフラグメントであってもよいが、所望に応じて、組換え抗体、す なわち、組換えDNA技術を用いて製造された抗体または抗体フラグメントであ ってもよい。 使用し得る特別の抗体または抗体フラグメントとしては、(1)抗原結合性部 位の少なくとも一部が別異の抗体由来であるようなもの、例えば、1つの抗体の 超可変または相補性決定領域が第2の別の抗体の可変フレームワーク領域内に融 合(グラフト)されているような抗体(例えば、ヨーロッパ特許明細書第239400 号に記載されているようなもの);(2)非Fv配列が他の別異の抗体由来の非Fv 配列によって置換されているような組換え抗体またはフラグメント(例えば、ヨ ーロッパ特許明細書第171469、173494および194276号に記載されているようなも の);または(3)実質的に自然の免疫グロブリンの構造を保有する組換え抗体 またはフラグメントであるが、ヒンジ部が該自然免疫グロブリンに見出されるの とは異なる数のシステイン残基を有し、且つ、該組換え抗体またはフラグメント の表面ポケットの1つまたはそれ以上のシステイン残基が該自然免疫グロブリン に存在する他のアミノ酸残基に置換されているもの(例えば、PCT出願PCT /GB88/00730 およびPCT/GB88/00729 に記載されているようなもの) が含まれる。 本発明における抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ポリクローナル抗 体由来のものでもよく、または、モノクローナル抗体由来のものでもよい。該抗 体またはフラグメントは多数のエピトープに特異的なものでもよく、または、1 つのエピトープに特異的なものでもよい。 抗原結合性の抗体フラグメントとしては、例えば、F(ab′)2、Fab′ もしくはFabフラグメントのような、全抗体をタンパク質分解することによっ て得られ るフラグメント、またはFvフラグメントのような組換えDNA技術によって得 られるフラグメント(例えば、PCT出願PCT/GB88/00747 に記載され ているようなもの)が挙げられる。 本発明に従う抗体は、周知の免疫学的手法を用い、アビジンまたはストレプト アビジンが特異的であるような(単数または複数の)エピトープ(またはそのミ モトープ)を抗原として使用して、ビオチンに対してアビジンまたはストレプト アビジンと実質的に同じ結合特異性を有するような抗体またはその抗原結合性フ ラグメントを生成することにより調製することができる。すなわち、例えば、エ ピトープまたはアジュバンに結合したエピトープまたはエピトープを有するペプ チドを適当な宿主に注入して、血清を集め、適当な精製および/または濃縮を行 う(例えば、アフィニティ媒体として固定化ストレス蛋白を用いるアフィニティ クロマトグラフィによる)ことにより所望のポリクローナル抗体を得ることがで きる。別の方法として、例えば、Kohler他による方法(1976,Eur.J.Immunol. ,6 :511)を用いて細菌タンパク質を注入した宿主から脾臓細胞またはリンパ 球を回収して不死化させ、得られる細胞を分離するとモノクローナル抗体を産生 する単一の遺伝的細胞系を得ることができる。抗体フラグメントは、慣用的手法 、例えばペプシンまたはパパインを用いる酵素分解により製造することができる 。本発明に従う組換え抗体を製造することが所望される場合には、例えば、ヨー ロッパ特許明細書第171469、173494、194276および239400号に記載されているよ うな方法を用いて製造することができる。 本発明に従う抗体は、慣用的手法を用いて検出性ラベルで標識化されてもよく 、本発明はそのような標識化抗体または抗体複合体(コンジュゲート)を包含す るものである。 本発明における抗体の例として、シグマ(S1gma)社から供給されているモノク ローナル抗体BN−34(F4024)がある。 実験によれば本発明の薬剤は損傷の受けた核酸塩基に特異的に結合することが できることが示されている(後述の「実験」の項参照)。 本発明の薬剤は損傷を受けた核酸塩基に結合し得る。本発明の薬剤は酸化的塩 基損傷核酸に結合し得る。 本発明の薬剤は損傷を受けたDNA塩基に結合し得る。本発明の薬剤は損傷を 受けたRNA塩基に結合し得る。 核酸塩基は、遊離の塩基の形態を成しているか、または、他の分子、例えば、 糖−リン酸骨格に結合されてDNAまたはRNAを形成しているものである。 酸化的に塩基が損傷を受けた核酸は、例えば、8−オキソグアニン、8−オキ ソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンまたは8−オキソデオキシアデノシ ンである。 本発明の薬剤は、一本鎖の核酸分子の損傷塩基に結合し得る。本発明の薬剤は 、二 本鎖の核酸分子の損傷塩基に結合し得る。 本発明の薬剤は損傷を受けた核のDNA塩基に結合し得る。本発明の薬剤は損 傷を受けたミトコンドリアDNAに結合し得る。ミトコンドリアDNAは限られ た修復能しか有しないことが示されており、核のDNAよりもかなり酸化的損傷 を受け易い(Richter,C.他、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:6465-6 467)。 本発明の薬剤は、損傷を受けた核酸塩基、特にDNAまたはRNAを検出する ための診断法に用いられることができる。そのような方法は標準的な試験法から 構成され、標的に対する薬剤の結合が検出され分析されることにより、損傷を受 けた核酸塩基の存否が判定される。例えば、薬剤(例えばアビジン)を固体の支 持体(担体)に結合させ、次に被験者由来のサンプルと接触させて、該サンプル からの損傷核酸塩基を効果的に精製する。適当な時間経過後、サンプルを取り除 き、支持体に結合した薬剤を調べて損傷核酸塩基の存在を知る。 このような試験法は、以下のような工程を含み得るものである: a)DNAまたはRNA含有サンプルと薬剤を反応させる工程; b)該サンプルと該薬剤との間の結合反応を検出する工程;および c)サンプルと薬剤の結合反応の検出結果を、損傷DNAの存在および量と相 関させる工程。 さらに、本発明の薬剤は、混合物(例えば、反応混合物)から8−オキソグア ニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンまたは8−オキソデ オキシアデノシンを単に精製するのに用いることもできる。このような精製は、 例えば、8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデ ニンまたは8−オキソデオキシアデノシンを製造するのに使用され得る。 本発明の薬剤は、ヒトまたは動物の身体を治療または診断する方法において使 用され得る。 本発明に従えば、さらに、核酸塩基損傷を検出する方法であって、 a)核酸塩基を含有するサンプルを、ビオチンに特異的に結合し且つ8−オキ ソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンおよび8−オ キソデオキシアデノシンの少なくとも1つに特異的に結合する分子を含む薬剤と 反応させる工程; b)該サンプルと該薬剤との間の結合を検出する工程;および c)サンプルと薬剤の結合反応の検出結果を、損傷核酸塩基の存在および量と 相関させる工程を含む方法が提供される。 前記分子は、酸化的塩基損傷核酸に結合し得るものである。該分子は損傷を受 けたDNA塩基に結合し得るものである。該分子は損傷を受けたRNA塩基に結 合し得るものである。 前記分子は、一本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合し得る。前記分子は、二 本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合し得る。 損傷核酸塩基は、損傷を受けた核のDNA塩基である場合がある。また、損傷 核酸塩基は、損傷を受けたミトコンドリアのDNA塩基である場合もある。 本発明の方法は、ヒトまたは動物の身体を治療または診断する方法となり得る 。 サンプルの試験を行うに際しては、ビオチンにより該サンプルが汚染されてい ないようにすることができる。 本発明に従う診断試験は医学的な診断、病理研究および職業上の健康管理など に適用することができ、さらに、体液やバイオプシー標本のスクリーニングに使 用できる。また、遺伝子毒性を有する可能性のある化合物について毒理学的スク リーニングを行うのに適用できる。 図面を参照する以下の説明から本発明がさらに明らかになるであろう。図面は 、損傷DNAを検出する1つの態様を例示のために示したにすぎない。各図の説 明は以下のとおりである。 図1は、UVA処理した細胞に結合しているアビジンを示す。室温下に10分間 UVAを照射したIMR32細胞の核にアビジン−FITCS(フルオレセインイソ チオシアネート)が結合した。細胞は照射直後に固定化し透過性化した。アビジ ン−FITCS により抗体の結合(図示していない)を可視化した。一次抗体の非存 在下に、照射細胞の核物質にアビジンが結合した(B)。対照には結合が認めら れなかった(A)。 図2は、ビオチンおよび8−オキソグアニンの最適化構造を示す。デスクトッ プ分子モデル(Desktop Molecular Modelling)プログラムを用いて、グアニンの 最も一般的な互変異性体、8−ヒドロキシグアニンおよび8−オキソデオキシグ アノシンの6,8−ジケト互変異性体、ならびにビオチンの最適化構造を求めた ものである。 図3は、毛細管電気泳動法により測定したビオチンおよび8−オキソグアニン に対するアビジンの結合特性を示す。ビオチン(A)または8−オキソグアニン (B)(いずれも濃度は100 μM)にアビジンを濃度を変化させながら添加し、 毛細管電気泳動法により非結合ビオチンまたは8−オキソグアニンの量(パーセ ント)を測定し、ビオチンまたは8−オキソグアニンに対するアビジンの結合比 を1:4と仮定した理論上の残存量に対してプロットしたものである。 図4は、酸化的変性を受けたDNAに対するアビジンの特異性を示す。一本鎖 DNAおよび二本鎖DNAの双方をメチレンブルーで処理して、酸化的変性によ る塩基損傷を引き起こした。ELISA(酵素結合イムノソルベント分析)プレート (A)(n=8)、または4%(w/v)のパラホルムアルデヒドを用いて固定化し たMultiScreen(RTM)ろ過プレート(B)(n=8)に、メチレンブルーま たは非変性DNA(100 μg/ml)を結合させ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ (HRP)−複合化(conju gated)アビジンの結合レベルを分光光度計を用いて測定した。正常なDNAに関 して、*は95%レベルで有意であるもの、**は99%レベルで有意なものを示す 。幾つかの競争物質について、パラホルムアルデヒドで固定化されメチレンブル ーで処理された二本鎖DNAへのアビジンの結合に対する阻害能を調べた(C) 。n=8(但し、8−オキソデオキシグアノシンおよび8−オキソグアニンにつ いてはn=4)。 図5は、8−オキソデオキシグアノシンおよびその非変性デオキシヌクレオシ ドアナログに対するアビジンの結合特性を示す。8−オキソデオキシグアノシン およびデオキシグアノシンに対するFITCS-複合化アビジンの結合性(A)を、固 定化細胞の基質に結合したいろいろな濃度の塩基への結合レベルによって評価し た。結合の最大値と最小値の違い(パーセント)としてデータを表している(A )。8−OHdG(8−オキソデオキシグアノシン)またはdG(デオキシグア ノシン)のいずれかに対するアビジンの結合性の最大値と最小値との間には統計 学的な差は認められなかった。FITCS が複合した抗ビオチンモノクローナル抗体 の8−オキソデオキシグアノシンおよびデオキシグアノシンに対する結合性(B )をアビジンの結合性と比較して、固定化細胞の基質に結合したいろいろな濃度 の塩基への結合レベルで示した。アビジン−FITCS に関して観測された結合性の 最大値(パーセント)としてデータを表している。数値はn=8における平均値 ±平均値の標準偏差(SEM)である。示しているデータは代表的な実験におけ るものである。 図6は、過酸化水素で処理したIMR細胞に対するアビジンの結合特性を示す 。HBSS(Hanks の緩衝塩溶液)に溶かした濃度の異なる過酸化水素溶液に1 時間接触させた後、IMR32神経芽細胞腫培養物に新鮮な完全培地を添加し24 時間培養した後、FITCS-複合化アビジンを用いてアビジンの結合レベルを評価し た(A)。MTT(3−(4,5)−ジメチル−チアゾール−2−イル−2,5 −ジフ ェニルテトラゾリウムブロミド)分析を用いて、細胞毒性を評価した。数値はn =8における平均値±平均値の標準偏差(SEM)である。ANOVA(分散分析) 法およびScheffe 多重レンジ試験法を用いる対照を含む群から95%の信頼度で有 意に差があるものを*で示す。示しているデータは代表的な実験におけるもので ある。 図7は、過酸化水素で処理したIMR32細胞内でアビジンが結合した核の所 在位置を示す。過酸化水素(100μM)を含むHBSS(A)または含まないH BSS(B)に1時間IMR32細胞を接触させた直後のアビジン位置を細胞の 顕微鏡写真(×200)に示すものである。アビジンの結合に対するビオチンの阻害 能(C)、8−オキソデオキシグアノシンの阻害能(D)およびグアニンの阻害 能(E)(濃度はいずれも100 μM)についても調べた。 図8は、UVA照射したIMR32細胞に対するアビジンの結合特性を示す。 分化したIMR細胞にUVAを照射(最大0.2mJ cm-2)し、照射直後または照射 から24時 間後のアビジン−FITCSの結合性を調べた(A)。照射24時間後についてはアビ ジンの細胞結合性に対するα−トコフェロールを用いる予備培養の効果について 調べた(B)。MTT分析により、照射24時間後の細胞の生存率を調べた(C) 。数値はn=8における平均値±平均値の標準偏差(SEM)である。ANOVA( 分散分析)法およびScheffe 多重レンジ試験法を用いる対照を含む群から95%の 信頼度で有意に差があるものを*で示す。示しているデータは代表的な実験にお けるものである。 図9は、運動神経ニューロン症(MND:motor neurone disease)患者由来の 運動皮質切片に対するアビジンの結合性を示すものである。運動皮質の凍結切片 (12μM)を固定化し、パラホルムアルデヒド(PBS(リン酸緩衝塩溶液)中 2%w/v)、次に氷冷メタノールを用いて透過性化した。A:65才男性の対照用 ;B:69才女性のMND患者;C:75才女性のMND患者;D:74才女性の対照 用。アビジン−FITCSはMNDの皮質切片に直接結合することが認められた。 実験(実施例) 材料 IMR32神経芽細胞腫細胞(継代数66)は、ECACC(European Collect ion of Animal Cell Cultures)(在Porton Down,Salisbury)から入手した。 アビジン−FITCS 複合体は、シグマ(Sigma)社(A2050)から、抗ビオチン−F ITCS 複合体ヒツジモノクローナル抗体(クローン番号BN-34)(F4024)として入 手したものである。 ストレプトアビジン−セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体(コンジュゲー ト)はBiotrin 社(在Dubilin,Eire)から入手した。 UVAランプ(366nm)は、Knight Optical Technologies 社からOptical Radio meterとして入手したものである。 セントリコン(Centricon)ミクロ濃縮装置はアミコン(Amicon)社(在Stoneho use(英国))製である。 DNA塩基:8−オキソデオキシグアノシンは、Udenfriendシステム(Kasai およびNishimura,1984,Mutation Research,12:2137-2145)に従って実験室 で合成し、エレクトロスプレー質量スペクトル法によりその純度を確認した。分子モデル デスクトップ(Desktop)分子モデル(Oxford University Press,1994)プログラ ムを利用して、酸化された塩基とビオチンの3次元モデルを作製した。該プログ ラムにより構造の最小化を行った。毛細管電気泳動法による結合分析 8−オキソグアニン(シグマ社製)およびビオチン(シグマ社製)の両方に対 する アビジンの結合性を毛細管電気泳動法を用いて検討した(Poon他、1995、前述の 文献)。ベックマン(Bechman)社製P/ACE2200(英国High Wycombe在)を用 い付属のSystem GOld(RTM)ソフトウェアで制御しながら電気泳動を実施し た。分析は全て、全長57cmで内径75μmの未処理溶融シリカ毛細管を用いて行っ た。ビオチンおよび8−オキソグアニンの分析は自由帯域毛細管電気泳動法によ って行った。8−オキソグアニン溶液(最終濃度100 μM)またはビオチン溶液 (最終濃度100 μM)にアビジンを添加して、84%から0%の間の理論上の結合 比が得られるようにした。得られた溶液をCentricon ミクロ濃縮装置に通し(ビ オチン溶液および8−オキソグアニン溶液のそれぞれに対して、C Con30 および C Con10 をそれぞれ適用)、濃縮物を4℃において2000rpmで20分間遠心分離に 供した。次いで、氷の上に配置した後、CEにより分析した。電気泳動液として 、0.45μmのフィルターに通した10mMのテトラホウ酸ナトリウム(pH9.3)を用 いた。正圧(0.5psi)でサンプルに25℃において5秒間負荷をかけた。操作時間 は30kVの電圧下に10分間とし、リンス時間は0.17分(約10.2 秒)とした。200nm における吸光度により検出を行い、既知の標準物質と比較した。ピーク高さか ら各化合物の濃度を推定した。酸化されたDNAの調製 メチレンブルーでDNAを処理することにより、残留するデオキシグアノシン が酸化されて8−オキソデオキシグアノシンとなる。氷の上に配置され上向きに したペトリ皿ふた内の0.5cm の水により白色光源(光源とDNAの距離は3cm) から遮蔽されたペトリ皿に入れたメチレンブルー(最終濃度20μg/ml、0.1 Mの tris中、pH8.5)の存在下にDNA(0.5mg/mlの水溶液)をインキュベートし た。3時間照射を行い、その間に固形状の塩化ナトリウムを添加して最終濃度が 1Mとなるようにし、エタノールでDNAを沈殿させた。DNAを取り出し脱イ オン水に溶解させた。該DNAを再沈殿させ、2回洗浄して残存するメチレンブ ルーを除去した。酵素を結合させたアビジンの結合性分析 アビジン−セイヨウワサビペルオキシダーゼ(アビジン−HRP)(シグマ社 製)のメチレンブルー処理DNAに対する結合性を未処理DNAに対する結合性 と比較した。DNAをメチレンブルーで処理すると、8−オキソデオキシグアノ シンのような酸化された塩基生成物が得られる。DNAに対するアビジンの結合 特異性を明確にするため競争実験を実施した。損傷DNAおよび未損傷DNAは ELISAプレートに結合する。当初の実験においては、PBS(50μl/ウェ ル)中50μg/mlの濃度で、未損傷およびメチレンブルー処理した二本鎖および一 本鎖DNAをELISAプレート(Nunc製、ImmunoプレートMaxisorp(RTM) )に結合させた。しかしながら、各種の処理後に残存するDNAの量を定量する のは困難であるので、本実験においてはMillipore Multiscreen(RTM)ろ過 プレートを用いた。かくして、96ウェルを備 えるMultiscreen-HVプレートのウェル(100μl/ウェル)に、未損傷およびメ チレンブルーで処理した二本鎖および一本鎖のDNA(水中100mg/ml)を添加し た。これらのプレートのウェルの基板は、0.45mMで疎水性のタンパク質結合性が 低いDurapore(RTM)膜である。これらの実験においては、4%(w/v)のパラ ホルムアルデヒドのPBS(pH7.4)溶液(100μl/ウェル)を用いて室温下で 5分間DNAを固定化した。固定化後、真空マニホルドを用い水相をろ過除去し た。1.0 %(w/v)ゼラチンのPBS溶液中で5分間DNAをインキュベートする ことにより非特異的結合部位をブロックした。次いで真空ろ過によりブロック溶 液を取り除き、PBSで3回ウェルを洗浄した。アビジン−HRPをウェルに添 加し(PBS中500 倍稀釈、50μl/ウェル)、37℃において加湿器内で1時間 インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、50μl/ウェルのo−フェニレ ンジアミン(0.05Mのリン酸−クエン酸中0.5mg/ml、pH5.0 ;H 2 2を置換す るため0.03%(w/v)の過ホウ酸ナトリウムを含有)を基質として、結合したペル オキシダーゼ標識化アビジンの検出を行った。室温下に20分間、2MのH2SO4 (25μl/ウェル)を用いて反応を停止させ、492nm における生成物の分光測を 行った。 競争実験として、アビジン−HRPを稀釈して(1:500)競争物質と考えられ る物質の溶液を作製し、DNA調製液に直接添加した。競争物質は使用直前に直 接添加した。競争物質は使用直前にPBS中で調製し、pHを7.4 に修正した。細胞培養 IMR32(継代数66)細胞系は、ECACC(英国Porton Down,Salisbury 在)から入手した。該細胞の維持は95%空気、5%CO2から成る加湿雰囲気化 に37℃において行った。10%(v/v)のHIFCS(熱不活化ウシ胎児血清)およ び1%(v/v)の非必須アミノ酸(NEAA)を含むα−最少必須培地内でIMR 細胞系を恒常的に維持した。いずれの場合でも抗生物質は用いなかった。 ストック培養物は対数増殖期に準集密的に維持した。15回以内で培養物を継代 させた後、凍結ストックに復帰させた。少量の新鮮培地内で振動させることによ りIMR細胞を分離してハーベストおよび継代接種に供した。 ゲージ19のニードルにより軽く粉砕することにより新鮮培地に細胞を再懸濁し た。ストックを維持するために、約2×106細胞/75cm2フラスコの割合で細胞 を再び接種した。 全ての実験の前に培養物は化学的に分化させた。蛍光定量法およびMTT(3 −(4,5)−ジメチル−チアゾール−2−イル−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブ ロミド)代謝測定によりDNA損傷を定量するために、96−ウェルのプレートで 細胞を培養した。5′−ブロモデオキシウリジン(1×10-5M)を含む200 μl の培地(5%(v/v)のHIFCSおよび1%(v/v)の非必須アミノ酸を含むα−M EM)を有するウェ ル当たり2×105ヶの細胞の割合で96−ウェルのプレートにIMR32細胞を 接種し、時間を変えて分化を行わせた(Thomas,S.M.およびAnderton,B.H. ,1991,Toxic.In Vitro,5 :173-180)。蛍光による細胞化学分析のためには 、5′−ブロモデオキシウリジン(1×10-5M)を含む300 μlの培地(5%(v /v)のHIFCSおよび1%(v/v)の非必須アミノ酸を含むα−MEM)を有する ウェル当たり2×105ヶの細胞の割合で、8−チャンバーのプラスチック製LabTe k(RTM)スライドに細胞を接種した。8−オキソデオキシグアニンの蛍光結合分析(FBA) IMR32の培養物を前述したように96−ウェルプレートで増殖させ分化させ た。未処理の培養物を前述のように固定化し透過性化して基質とした。この基質 に8−オキソデオキシグアノシンが結合してFAAsが行われ得るようになる。 種々の濃度の正常塩基または酸化塩基をこれらのプレート状で1時間培養した( 100 μl/ウェル)。 次いで該ELISAプレートをPBSで3回洗浄した後、アビジン−複合化F ITCS(PBS中で200 倍稀釈、1時間)またはFITCS-複合化抗ビオチンモノ クローナル抗体(PBS中で80倍稀釈、1時間)を用いて結合した塩基を可視化 した。励起波長485nm および発光波長535nm とし、蛍光プレートリーダー(英国 Denly,Billingshurst)を用いて結合のレベルを定量した。過酸化水素処理 分化処理後、培地を注意深く吸引し、各ウェル(200 μl)に予め加温したHa nks緩衝液(HBSS)を添加した。この際、該緩衝液は、各種濃度の新たに調 製した過酸化水素を含むものと含まないものを用いた。過酸化水素を用いて1時 間培養物をインキュベートした後、HBSSを新鮮な培地(5%(v/v)のHIF CSおよび1%(v/v)の非必須アミノ酸を含むα−MEM)と交換し、標準的な 培養条件下に24時間回復させた後、MTT分析により細胞死を評価し、蛍光分析 によりアビジンの結合性を評価した。UVA露光 分化細胞をUVA照射に供した。この照射は、脂質相抗酸化剤α−トコフェロ ールによる予備培養を行ったものと行わないものについて行った。各実験におい てラジオメーターによりUVA照射レベルをモニターした。照射24時間前に現存 の培地に、抗酸化剤を最終濃度が200 μMとなるように添加した(原料は使用直 前にメタノール中で調製した)。対照用の培養物は等量のビヒクル(エタノール )が添加されたものである。照射前に培地を取り除き細胞をHBSSで洗浄した 。室温下に上方から細胞に照射を行った。対照にも照射した。細胞の固定化は前 述したように行った。MTT分析 ミトコンドリアのコハク酸デヒドロゲナーゼによるMTTの還元(Mosmann.T .,1983,Immunol.Methods 65(1-2):55-63)は標準的な比色法による細胞毒 性分析法である。各測定時点の1時間前に20μlのMTT(PBS中5mg/ml)を 各ウェルに添加し細胞培養物を37℃で1時間インキュベートした。培地を注意深 く吸引し、各ウェルに100 μlのイソプロパノールを添加して生存細胞内に沈着 したホルマザン生成物を溶解させた。プレートを5分間攪拌した後走査式マルチ ウェル分光光度計で550nmにおける吸光度を読みとり、該ホルマザン生成物が完 全に溶解していることを確認した。アビジン結合性の蛍光測定 PBSで細胞を洗浄した後、2%(w/v)のパラホルムアルデヒド(pH7.4 のリ ン酸緩衝塩溶液(PBS)中)を15分間添加することにより細胞を予め固定化し た。加温したPBS中で細胞を洗浄した。培養物を固定化し氷冷したメタノール で15分間透過性化し、PBS中で再水和した後、10%(w/v)の正常ヤギ血清(N GS)を含有するPBSを用いてブロッキングした。0.2%(w/v)NGSを含有す るPBSを用いてブロッキング液を洗い去った。アビジン−複合化フルオレセイ ンイソチオシアネート(FITCS)(PBS中200 倍稀釈、1時間)、または FITCS-複合化抗ビオチンモノクローナル抗体(PBS中80倍稀釈、1時間)を用 いてDNA損傷を可視化することにより、蛍光顕微鏡観測または蛍光プレートリ ーダー(英国Denley,Billingshurst)による定量分析に供した。アビジン結合性の阻害 変性DNAおよびビオチンについて、過酸化水素処理した細胞に対するアビジ ンの結合性の阻害能を調べた。ビオチン、グアニンおよび8−オキソデオキシグ アノシンの100 μM溶液をPBS(pH7.4)を用いて使用直前に調製した。この ように競争物質と考えられるものにアビジン−FITCS(シグマ社製)を添加 し(1:100)、暗中で室温下に1時間予備的にインキュベートした。対照として 競争物質を含まないPBSも同時に処理した。得られた溶液をミクロ遠心機で5 分間(室温)10,000g で遠心分離し、上清を結合性実験に用いた。該溶液を用い て固定化細胞を暗中で室温下に1時間インキュベートした。スライドをPBS中 で3回洗浄した後、Vectorshield(RTM)(英国PeterboroughのVector Labor atories 製)(グリセロール系の抗漂白マウントである)を用いてスライドにカ バースリップを取り付けた。病理学的検討用組織片 発光している凍結組織片を室温下に15分かけて解凍した後、氷上で0.5 %のグ ルタルアルデヒドを含む4%(w/v)のパラホルムアルデヒド(リン酸緩衝塩溶液( PBS)、pH7.4)を添加することにより固定化し、PBSおよび食塩で洗浄し た。得られたサンプルをアルコールで脱水した後、0.3 %の過酸化水素を含むメ タノール中で15 分間インキュベートすることにより内生ペルオキシダーゼをブロックした。サン プルを再水和し、PBS中で洗った。アビジン−複合化フルオロセインイソチア ネート(FITCS)(PBS中200 倍稀釈)を1時間接触させることによりアビ ジンの結合を可視化した。組織片を充分に洗った後、Vectorshield(RTM)( 英国PeterboroughのVector Laboratories 製)(グリセロール系の抗漂白マウン トである)を用いて組織片にカバースリップを取り付けた後、顕微鏡観察を行っ た。統計学的解析 データの解析にはStatgraphics V.5.0プログラム(米国マサチューセッツ州S TSCInc.製)を用いた。解析の前に確率プロットによりデータの正規分布また は非母数分布を調べた。分散分析法(ANOVA)および95%信頼度におけるSc heffe 多重レンジテスト法を用いて正規分布データへの影響を調べた。2つのサ ンプルの比較には95%信頼度におけるスチューデント式テストを採用した。結果 当初に見出されたことは、驚くべきことに、UVAで処理された細胞において 抗体が全く存在しない場合にアビジン−複合体がDNAに結合したということで ある。UVA処理された核にアビジン−FITCSが結合することが見出された が(図1のB)、対照の照射細胞の核には結合は認められなかった。 酸化的に変性されたDNA塩基と天然のリガンドであるビオチンの構造的類似 性を検討した結果、非変性塩基グアニンとビオチンの間には殆ど類似性は存しな いが、8−オキソグアニンおよび8−オキソグアノシンの両者の6,8 −ジケト互 変異性体の最適化構造(Aida,M.およびNishimura,S.,1987,Mutation Resear ch,192 :83-89)はビオチンと構造的類似性を有する(図2)。8−オキソグ アニンの6,8 −ジケト互変異性体および8−オキソデオキシグアノシンの6,8 − ジケト互変異性体はいずれも、ビオチンと共通するイミダジリドン基を有してい る。但し、デオキシリボース基は、8−オキソデオキシグアノシンのイミダジリ ドンのN3に結合している。ビオチンの2つの環は融合してシス体となっており 、また、吉草酸側鎖はイミダジリドン環に関してシスである(Green,N.M.,19 72,Adv.Protein Chem.,29:85-131 )。8−オキソグアニンおよび8−オキ ソデオキシグアノシンのいずれも類似のアルキル基を有してはいないが、8−オ キソデオキシグアノシンの糖基は2つの環構造に対して類似の位置関係にあり、 また、リボース分子内の2つの酸素基は吉草酸のカルボキシル基の2つの酸素に 対して類似の位置関係にある(図2)。 アビジンに対するビオチンの結合度を示すために毛細管電気泳動法を用いて、 各種の濃度のアビジンでインキュベーションした後のビオチンの消失を観測した (図3)。結合比としてアビジン1ヶに対して4ヶのビオチン分子が結合すると 仮定した場合、非結合ビオチンの回収は予測される理論値に非常に近いものであ った。同様の手法を 適用して、8−オキソグアニンに対するアビジンの結合能を検討した。アビジン で予備的にインキュベートすると、8−オキソグアニンの検出レベルは、ビオチ ンで見られたように見かけ上1:4の比率で減少した(図3)。 メチレンブルーでDNAを処理すると酸化的塩基損傷が得られ、特に8−オキ ソデオキシグアノシンが生成する。ELISA式の分析を適用して、メチレンブ ルーで損傷を受けたDNAに対するアビジンの親和性を検討した。メチレンブル ー処理した一本鎖DNAおよび二本鎖DNAの両方に対するアビジンの結合レベ ルは、正常なDNAに対して見られるよりも大きいものであった(図4のA)。 正常な一本鎖DNAおよびメチレンブルー処理された一本鎖DNAの両方に対す る結合のレベルは、二本鎖DNAに対するものよりもかなり大きいものであった 。パラホルムアルデヒド(4%(w/v))を用いてDNAを固定化すると二本鎖D NAに対するアビジンの結合レベルは増大し、その結果、正常な一本鎖DNAお よび二本鎖DNAに対する結合レベルには有意な差が存在しなくなった(図4の B)。メチレンブルー処理されたDNAに対するアビジンの結合性を正常DNA に対する結合性と比較するときわめて有意な差が認められた。メチレンブルー処 理されたDNAに対するアビジンの結合レベルは正常DNAに対するものよりも かなり大きいものであったが、非処理DNAに対しても結合は存在する。しかし ながら、市販のDNAは多くの処理を受けており、また、ここで用いたような実 験の範囲内においてもDNAは酸化的損傷から保護されていない。市販のウシ胸 腺中の8−オキソグアニンのレベルをHPLCで測定した(示さず)ところ、そ のレベルは0.4nmol/mgDNAまたは3.2mol/105mol グアニンであった。競争実験 によれば、8−オキソデオキシグアノシンと共にインキュベートすると、メチレ ンブルーで処理された二本鎖DNAに対するアビジンの結合阻害が大きくなった (図4のC)。グアニンおよびグアノシンにも結合阻害能があったが、アビジン の濃度(約10-8M)に対して阻害剤の濃度は高い(約1000倍)ものであった。 ビオチンおよびモノクローナル抗体のアビジンに対する結合性を調べるために 、各種の濃度の8−オキソデオキシグアノシンまたはデオキシグアノシンを固定 化細胞質材料の基質に結合させた。アビジン結合は8−オキソデオキシグアノシ ンが10-5Mのときに最大となり、その後は濃度(結合)はほぼ一定のレベルに維 持された(図5のA)。これとは対照的に、デオキシグアノシンに対する結合性 は濃度の上昇とともに増大し、デオキシグアノシンが10-6Mで最大となった(図 5のB)。これらの実験において0%値および100%値は統計学的には異ならな い。抗ビオチンモノクローナル抗体は、アビジンと同程度の特異性を有しないよ うであり、8−オキソデオキシグアノシンおよびデオキシグアノシンの両方に対 する結合性の最大値は10-9Mのときであったが、損傷DNAを未損傷DNAと識 別することは可能であった(図5のCおよびD)。同じ実験でデオキシヌクレオ シドの濃度を同じにした場合、抗体の結合レベル はアビジンの結合レベルよりかなり低いものであった。 IBR培養物(24時間にわたって分化したもの)を過酸化水素に1時間接触さ せることにより、過酸化水素濃度に関してアビジン−FITCSの結合性がかな り有意に増大する(ANOVAによるp=0.0026)。過酸化水素10nMの場合(図 6のA)、アビジンの結合レベルは、対照を含有する群よりも統計学的な相違が 見られた。対照の培養物に関して認められた蛍光の固有レベルは、顕微鏡分析で 認められるように、アビジン−FITCSの固有の結合のレベルが低いことに因 るものであり、細胞質材料の自己蛍光に因るものである。結合のレベルは過酸化 水素が100nM のときに一定状態になった。これに対して、当初の接触から24時間 後の明白な細胞死は、過酸化水素の濃度が100 μM以上になったときにのみ認め られた(図6のB)。アビジン−FITCSの結合は主として培養物の核に存在 し(図7のB)、一方、過酸化水素で処理されない細胞には核への結合は認めら れなかった(図7のA)。 アビジン−FITCS結合がビオチンによる予備インキュベーションによって 妨げられるか否かということを明らかにするために阻害性の検討を行い、結合が 特異的なものであり、ビオチン結合部位が関与していること、さらに、競争物質 として8−オキソデオキシグアノシンも関与していることを確認した(図7のA 〜E)。最初の例として、過酸化水素と接触させた細胞とのインキュベーション の前に、該アビジン複合体を各種の競争物質と予備的にインキュベートした。予 測したように、10μMビオチンとの予備的インキュベーションにより過酸化処理 細胞への結合が妨げられた(図7のC)。8−オキソデオキシグアノシンも結合 を妨げたが(図7のD)、グアニンは結合を妨げなかった(全て100 μMにおい て)(図7のE)。これらの事実は、核へのDNAへの結合にビオチン結合部位 が関与していることを示唆している。処理細胞に競争物質とアビジン−複合体を 同時に添加した競争実験も同様の結合阻害パターンを示した。 遊離ラジカル発生系により障害を受けている培養細胞中におけるDNAに対す るアビジン−複合体の結合性は酸化が介在する現象に依存することを更に明らか にするため、抗酸化剤による該結合の妨害能を調べた。分化したIMR32細胞 にUVA照射してDNA損傷を引き起こした。UVA照射直後に該細胞にアビジ ンが結合することは明らかであり(ANOVAによるp=0.008)、64mJ cm-2およ びこれより強い照射を行った細胞に対する結合性は、対照含有群と統計学的異な っていた。24時間後の照射においては結合レベルはかなり大きく(ANOVAに よるp=0.0005)、また、16mJ cm-2しか照射しなかった細胞においてはその効 果は対照と有意に異なっていた(図8のA)。α−トコフェロール(200 μM)を 用いる予備インキュベーションは、短時間の照射ではアビジン結合性を減少させ たが、長時間照射後は結合性を減少させるのに効果的ではなかった。多重レンジ ANOVA法によると、α−トコフェロール は検討した照射時間の全範囲にわたってアビジンの結合性を有意に減少させた( p=0.003)。照射後の培養物の生存率をMTTで評価することにより、アビジン の結合が細胞の即死と関係していないことを明らかにした(図8のC)。生存率 に統計学的に有意な変化はなかった。MTT代謝の上昇が認められなかったが、 これはα−トコフェロールによる予備インキュベーションで防止された。 神経変性障害で死亡した患者由来の死後の神経組織片に対するアビジン−FI TCSの結合性を年齢を合わせた対照と比較した(図9のA〜D)。該対照にも ある程度の結合は認められたが(AおよびD)、結合のレベルはMND患者由来 のものの方がはるかに高かった。同様の方法を用いて他の身体組織の検討も容易 に行うことができる。ヒトの病理組織を用いることにより、この手法がインビト ロ系のみならず、組織にも適用できることが明らかである。考察 以上のようにアビジン、ストレプトアビジン、およびビオチン特異的抗体は損 傷を受けたDNAに特異的に結合するが、従来の技術はこの点について教示して いない(例えば、Wood,G.S.およびWamke,R.,1981,J.Histochem.Cytochem .,29:1196-1204参照)。 純粋に化学的な系における結合性の検討により、非結合化合物の減少を調べる には最小限の予備的インキュベーションが必要であったことから、アビジンに対 する8−オキソグアニンの結合は極めて速いことが示唆された。結合比は、アビ ジンに対する理論比4:1に匹敵するものであり、各アビジン分子に4ヶの結合 部位が存在することと一致しており、また、アビジンの結合部位は8−オキソグ アニンの結合に関与していることを示唆している。 遊離ラジカルによって損傷を受けたDNAに対するアビジンの結合性は、複合 体(コンジュゲート)にも検出の終点法にも依存しない。阻害実験は、さらに、D NAに対するアビジンの結合が特異的であり、そして、ビオチンはアビジンの結 合を阻害することからアビジンのビオチン結合部位に依存することも示唆してい る。さらに、8−オキソデオキシグアノシンも結合をブロックし得るものであり 、したがって、このことは、該化合物もビオチン結合部位に結合することを示唆 している。グアニンおよびグアノシンもアビジンの結合を阻害するが、高濃度の 場合のみである。かくして、これらのデータは、当該結合がアビジンの結合部位 によって仲介されるものであることを強く示唆している。また、8−オキソデオ キシグアノシンの検出系としてアビジンの感度についても検討した。該基質に8 −オキソデオキシグアノシンが100 %結合すると仮定すると、酸化されたDNA に対するアビジンの理論的(したがって控えめに見積もった)感度は、104分子 の8−オキソデオキシグアノシンを検出し得ることを示唆している。 アビジンにより認識されるDNAの構造は、α−トコフェロールで予めインキ ュベートされたUVA照射細胞に対するアビジンの結合が減少することから、酸 化性の遊離ラジカル機構により生じるものと考えられる。細胞に対するアビジン の結合性は、UVA照射または過酸化水素を用いるインキュベーション[これら はいずれも酸化的DNA損傷(8−オキソデオキシグアノシンの生成を含む)を 起こすための確立された手段である]が介在する障害作用に依存して上昇する。 他の細胞系(他の神経芽腫細胞腫および3T3繊維芽細胞を含む)を用いて、遊 離ラジカルが関与した損傷細胞に対するアビジンの結合性についても検討した。 アビジン−複合体は、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソグアニンお よびビオチンに対して類似の親和性を有するようである。アビジンを用いて、イ ンビトロの培養実験由来の固定化細胞材料および固定化病理学的組織片の両方に おけるDNAに対する損傷を明らかにした。この手法は、広範囲の用途に適用し 得る。DNAは現在広く研究されているが、採用されている方法は高価で且つ時 間のかかるものである。8−オキソデオキシグアノシンは、広範な酸化的DNA 損傷生成物の1つに過ぎないが(Dizdaroglu,M.,1994.Methods Enzymol.,234 :3-16)、酸化的DNA損傷のバイオマーカーとして許容されることが示唆され た。病理学的標本における8−オキソデオキシグアノシンを直接同定することが でき、同定の前に抽出や精製を必須条件としないことは魅力的で満足できるバイ オマーカーとなる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年4月9日 【補正内容】 請求の範囲 1.8−オキソグアニン、8−オキソグアノシン、8−オキソアデニンおよび 8−オキソデオキシグアノシンを検出する方法において、ビオチンに特異的に結 合する分子を含むことを特徴とする薬剤の使用。 2.該分子がビオチンに対してアビジンまたはストレプトアビジンと実質的に 同じ結合特異性を有することを特徴とする請求項1に従う薬剤の使用。 3.該分子が、アビジンおよびストレプトアビジンから成る群の任意の1つか ら選ばれることを特徴とする請求項1に従う薬剤の使用。 4.アビジンまたはストレプトアビジンのフラグメントまたはアナログを含む ことを特徴とする請求項1または2に従う薬剤の使用。 5.該分子が抗体またはその抗原結合性フラグメントから成ることを特徴とす る請求項1または2に従う薬剤の使用。 6.モノクローナル抗体から成ることを特徴とする請求項5に従う薬剤の使用 。 7.モノクローナル抗体が、シグマ(Sigma)社から供給されるBN−34(F4 024)であることを特徴とする請求項6に従う薬剤の使用。 8.前記分子が、損傷を受けた核酸塩基に結合することを特徴とする請求項1 〜請求項7のいずれかに従う薬剤の使用。 9.前記分子が、酸化的に塩基が損傷を受けた核酸に結合することを特徴とす る請求項8に従う薬剤の使用。 10.前記分子が、前記損傷DNA塩基に結合することを特徴とする請求項8ま たは9のいずれに従う薬剤の使用。 11.前記分子が、前記損傷RNA塩基に結合することを特徴とする請求項8〜 請求項10のいずれかに従う薬剤の使用。 12.前記分子が、一本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合することを特徴とす る請求項8〜請求項11のいずれかに従う薬剤の使用。 13.前記分子が、二本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合することを特徴とす る請求項8〜請求項12のいずれかに従う薬剤の使用。 14.請求項8〜請求項13のいずれかに従う損傷核酸塩基を検出する方法に使用 され、該損傷核酸塩基が損傷を受けた核のDNA塩基であることを特徴とする薬 剤の使用。 15.請求項8〜請求項14のいずれかに従う損傷核酸塩基を検出する方法に使用 され、該損傷核酸塩基が損傷を受けたミトコンドリアのDNA塩基であることを 特徴とする薬剤の使用。 16.損傷を受けたDNAまたはRNAを検出する診断テスト法に使用されるこ とを 特徴とする請求項10〜請求項15のいずかに従う薬剤の使用。 17.損傷を受けたDNAまたはRNAを検出する診断テスト法に使用される薬 剤の使用であって、 a)該薬剤をDNAまたはRNA含有サンプルと反応させる工程; b)該サンプルと該薬剤との間の結合反応を検出する工程;および c)該サンプル−薬剤結合反応の検出結果を、損傷を受けたDNAまたはR NAの存在および量と相関させる工程を含むことを特徴とする請求項16に従う薬 剤の使用。 18.8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニ ンまたは8−オキソデオキシアデノシンを精製する方法に使用されることを特徴 とする請求項1〜請求項17のいずれかに従う薬剤の使用。 19.ヒトまたは動物の身体を治療または診断する方法に使用されることを特徴 とする請求項1〜請求項18のいずれかに従う薬剤の使用。 20.核酸塩基の損傷を検出する方法であって、 a)核酸塩基を含有するサンプルを、ビオチンに特異的に結合し且つ8−オ キソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンおよび8− オキソデオキシアデノシンの少なくとも1つに特異的に結合する分子を含む薬剤 と反応させる工程; b)該サンプルと該薬剤との間の結合反応を検出する工程;および c)該サンプル−薬剤結合反応の検出結果を、損傷を受けた核酸塩基の存在 および量と相関させる工程を含むことを特徴とする方法。 21.前記分子が酸化的に損傷を受けた核酸塩基と結合することを特徴とする請 求項20に従う検出方法。 22.前記分子が、前記損傷を受けたDNA塩基に結合することを特徴とする請 求項20または21に従う検出方法。 23.前記分子が、前記損傷を受けたRNA塩基に結合することを特徴とする請 求項20〜請求項22のいずれかに従う検出方法。 24.前記分子が、一本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合することを特徴とす る請求項20〜請求項23のいずれかに従う検出方法。 25.前記分子が二本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合することを特徴とする 請求項20〜請求項24のいずれかに従う検出方法。 26.損傷核酸塩基が、損傷を受けた核のDNA塩基であることを特徴とする請 求項20〜請求項25のいずれかに従う検出方法。 27.損傷核酸塩基が、損傷を受けたミトコンドリアのDNA塩基であることを 特徴とする請求項20〜請求項26のいずれかに従う検出方法。 28.ヒトまたは動物の身体を治療または診断する方法であることを特徴とする 請求 項20〜請求項27のいずれかに従う検出方法。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.8−オキソグアニン、8−オキソグアノシン、8−オキソアデニンおよび 8−オキソデオキシグアノシンを検出する方法に使用され、ビオチンに特異的に 結合し、且つ、8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキ ソアデニンおよび8−オキソデオキシアデノシンの少なくとも1に特異的に結合 する分子を含むことを特徴とする薬剤。 2.該分子がビオチンに対してアビジンまたはストレプトアビジンと同じ結合 特異性を有することを特徴とする請求項1に従う薬剤。 3.該分子が、アビジンおよびストレプトアビジンから成る群の任意の1つか ら選ばれることを特徴とする請求項1に従う薬剤。 4.アビジンまたはストレプトアビジンのフラグメントまたはアナログを含む ことを特徴とする請求項1または2に従う薬剤。 5.該分子が抗体またはその抗原結合性フラグメントから成ることを特徴とす る請求項1または2に従う薬剤。 6.モノクローナル抗体から成ることを特徴とする請求項5に従う薬剤。 7.モノクローナル抗体が、シグマ(Sigma)社から供給されるBN−34(F4 024)であることを特徴とする請求項6に従う薬剤。 8.前記分子が、損傷を受けた核酸塩基に結合することを特徴とする請求項1 〜請求項7のいずれかに従う薬剤。 9.前記分子が、酸化的に塩基が損傷を受けた核酸に結合することを特徴とす る請求項8に従う薬剤。 10.前記分子が、前記損傷DNA塩基に結合することを特徴とする請求項8ま たは9のいずれに従う薬剤。 11.前記分子が、前記損傷RNA塩基に結合することを特徴とする請求項8〜 請求項10のいずれかに従う薬剤。 12.前記分子が、一本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合することを特徴とす る請求項8〜請求項11のいずれかに従う薬剤。 13.前記分子が、二本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合することを特徴とす る請求項8〜請求項12のいずれかに従う薬剤。 14.請求項8〜請求項13のいずれかに従う損傷核酸塩基を検出する方法に使用 される薬剤であって、該損傷核酸塩基が損傷を受けた核のDNA塩基であること を特徴とする薬剤。 15.請求項8〜請求項14のいずれかに従う損傷核酸塩基を検出する方法に使用 される薬剤であって、該損傷核酸塩基が損傷を受けたミトコンドリアのDNA塩 基である ことを特徴とする薬剤。 16.損傷を受けたDNAまたはRNAを検出する診断テスト法に使用されるこ とを特徴とする請求項10〜請求項15のいずかに従う薬剤。 17.損傷を受けたDNAまたはRNAを検出する診断テスト法に使用される薬 剤であって、 a)該薬剤をDNAまたはRNA含有サンプルと反応させる工程; b)該サンプルと該薬剤との間の結合反応を検出する工程;および c)該サンプル−薬剤結合反応の検出結果を、損傷を受けたDNAまたはR NAの存在および量と相関させる工程を含むことを特徴とする請求項16に従う薬 剤。 18.8−オキソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニ ンまたは8−オキソデオキシアデノシンを精製する方法に使用されることを特徴 とする請求項1〜請求項17のいずれかに従う薬剤。 19.ヒトまたは動物の身体を治療または診断する方法に使用されることを特徴 とする請求項1〜請求項18のいずれかに従う薬剤。 20.核酸塩基の損傷を検出する方法であって、 a)核酸塩基を含有するサンプルを、ビオチンに特異的に結合し且つ8−オ キソグアニン、8−オキソデオキシグアノシン、8−オキソアデニンおよび8− オキソデオキシアデノシンの少なくとも1つに特異的に結合する分子を含む薬剤 と反応させる工程; b)該サンプルと該薬剤との間の結合反応を検出する工程;および c)該サンプル−薬剤結合反応の検出結果を、損傷を受けた核酸塩基の存在 および量と相関させる工程を含むことを特徴とする方法。 21.前記分子が酸化的に損傷を受けた核酸塩基と結合することを特徴とする請 求項20に従う検出方法。 22.前記分子が、前記損傷を受けたDNA塩基に結合することを特徴とする請 求項20または21に従う検出方法。 23.前記分子が、前記損傷を受けたRNA塩基に結合することを特徴とする請 求項20〜請求項22のいずれかに従う検出方法。 24.前記分子が、一本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合することを特徴とす る請求項20〜請求項23のいずれかに従う検出方法。 25.前記分子が二本鎖の核酸分子の損傷核酸塩基に結合することを特徴とする 請求項20〜請求項24のいずれかに従う検出方法。 26.損傷核酸塩基が、損傷を受けた核のDNA塩基であることを特徴とする請 求項20〜請求項25のいずれかに従う検出方法。 27.損傷核酸塩基が、損傷を受けたミトコンドリアのDNA塩基であることを 特徴 とする請求項20〜請求項26のいずれかに従う検出方法。 28.ヒトまたは動物の身体を治療または診断する方法であることを特徴とする 請求項20〜請求項27のいずれかに従う検出方法。
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