JP2021509475A - 外傷性脳損傷を診断及び査定するための、新規のバイオマーカー及び方法 - Google Patents

外傷性脳損傷を診断及び査定するための、新規のバイオマーカー及び方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、外傷性脳損傷(TBI)など、頭部への損傷を負っている又はこれを負った可能性がある対象を診断及び査定するための方法に関する。特に、本開示は、それらの検出及び/又は示差的発現が、対象における、TBIの存在又は非存在を評価するのに使用される場合があり、対象を、特定の種類のTBI(例えば、重度TBI又は軽度TBIのサブクラス)を有するものとして診断するためのベースとして使用されうる、多様なバイオマーカーを同定する。多様なTBIバイオマーカーは、個別に又は組合せで検出される場合があり、対象のTBI状態を評価することの一部としての、重要な診断ツール、予後診断ツール及び/又はTBI危険性層別化ツールとして使用されうる。

Description

本出願は、それらの内容の全てが、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれている、2017年12月29日に出願された、米国仮出願第62/611,778号、2018年2月14日に出願された、米国仮出願第62/630,704号に対する優先権を主張する。
本開示は、外傷性脳損傷(TBI)など、頭部への損傷を負っている又はこれを負った可能性がある対象を診断及び査定するための方法に関する。特に、本開示は、それらの検出及び/又は示差的発現が、対象における、TBIの存在又は非存在を評価するのに使用される場合があり、対象を、特定の種類のTBI(例えば、重度TBI又は軽度TBIのサブクラス)を有するものとして診断するためのベースとして使用されうる、多様なバイオマーカーを同定する。多様なTBIバイオマーカーは、個別に又は組合せで検出される場合があり、対象のTBI状態を評価することの一部としての、重要な診断ツール、予後診断ツール及び/又はTBI危険性層別化ツールとして使用されうる。
米国におけるだけで、毎年500万例を超える軽度外傷性脳損傷(mTBI)が生じている。現在のところ、患者評価の一助とするのに利用可能である、簡単、客観的で、正確な測定法は存在しない。実際、TBIの査定及び診断の多くは、主観的データに基づく。残念ながら、頭部CT及びGlasgow昏睡スコア(GCS)などの客観的測定法は、軽度TBIの査定において、それほど総合的又は高感度ではない。さらに、頭部CTは、mTBIについて、ほとんどの場合何も明らかにせず、高価であり、患者を、不要な放射線へと曝露する。加えて、陰性の頭部CTは、患者が、脳振盪を有さないことが明確になったこと意味するわけではなく、手術などの、ある特定の介入が正当ではないことを指し示すに過ぎない。医師及び患者は、この状態を正確に査定して、適切なトリアージ及び回復を促進するために、客観的かつ信頼できる情報を必要とする。現在、患者の診断、査定及び管理の一助となるバイオマーカーの使用に利用可能なデータは、限定されている。
TBIの大半は、軽度であるが、異なるTBIの疾患状態又は「疾患シグネチャー」を、正確に特徴付ける能力が欠如しているため、mTBIを診断及び処置する能力は、大部分において、不十分である。この不十分性は、一般に、臨床的に提示された症状の両義性及びイメージング法の無効性と関連する難題から生じる。したがって、研究者は、診断及び予後診断の両方を改善するように、細胞ベースの手法及び分子ベースの手法を探索し始めている。これは、生物学的マーカーを、目下の臨床症状と関連づけ、mTBIの病態生理についての根底的な理解の欠如を克服する困難を含む、様々な難題と遭遇している。しかし、ハイスループット技術及びコンピュータ生物学など、近年における技法の採用は、TBIの疾患状態を、より正確に決定し、特徴付けるための手段をもたらしている。
TBIの根底的病態生理が、依然として決定されていないため、有効かつ効率的な診断ツール、予後診断ツール、危険性の層別化ツール及び/又は治療ツールは、とりわけ、臨床状況において、いまだ利用可能ではない。現行の脳イメージング法の欠点及び臨床的診断法の不備が、末梢血を用いて、免疫及びダメージに関連する、脳と末梢との間のシグナル伝達を同定することの訴求力を増大させているので、研究者らは、TBIを、細胞レベル及び分子レベルにおいて探索し始めている。この手法の最終目標は、早期の検出及び診断の一助となる、単一のTBIバイオマーカー又はバイオマーカーパネルを発見し、多様なTBIの疾患状態(例えば、重度TBI又はsTBIと対比したmTBI)を効果的に識別し、患者の転帰を予測する一助となることである。さらに、これらの手法は、根底的な生物学的機構を解明し、治療戦略へのより遠大な見通しをもたらす一助ともなりうる。
(発明の要旨)
本開示の複数の実施形態は、少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法を含む。これらの実施形態に従い、方法は、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;並びに試料中の、AL9A1、ATPG、C1RL、CAND1、EPIPL、GLO2、IGHA2、PZP、SYTC、SYYC若しくはこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー若しくはこの断片を測定若しくは検出するステップ;及び/又は試料中の、ABHEB、AL9A1、DNM1L、FCN2、INF2、K22E、M3K5、NCOR1、SBSN、SYEP、TPP2若しくはこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー若しくはこの断片を測定若しくは検出するステップを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出は、対象が外傷性脳損傷(TBI)を負った又は負った可能性があることを指し示す。
本開示の複数の実施形態はまた、少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、1433G、ACK1、ACY1、AKA12、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、HV307、IQGA2、K1C14、K1C19、KV105、LAMC1、MDHM、NQO2、PERM、PLST、PNCB、PTPRC、SEPT7、SYRC、TRXR2、TXNL1、UGGG1、WDR1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこの断片を測定又は検出するステップを含む方法も含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出は、対象が軽度外傷性脳損傷(mTBI)を負った又は負った可能性があることを指し示す。
本開示の複数の実施形態はまた、対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルも含む。これらの実施形態に従い、パネルは、以下のバイオマーカー:TPP2、CAND1、NCOR1、K22E、AL9A1、ABHEB、DNM1L、INF2又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み;この場合、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出は、対象がサブクラス4の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示す。
本開示の複数の実施形態はまた、対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:TPP2、NCOR1、HV103、INF2、IGHD、CK054、M3K5、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス3の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネルも含む。
本開示の複数の実施形態はまた、対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、TPP2、K22E、ABHEB、INF2、SBSN、AL9A1、MA2B2又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス2の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネルも含む。
本開示の複数の実施形態はまた、対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、KV133、AL9A1、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス1の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネルも含む。
本開示の複数の実施形態はまた、対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB、DNM1L、SBSN、GLO2、SYEP又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス4の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネルも含む。
本開示の複数の実施形態はまた、対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、HV103、IGHD、ABHEB、DNM1L、ALBU、THIM、IGHA2、KV139又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス3の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネルも含む。
本開示の複数の実施形態はまた、対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、K22E、ABHEB、SBSN、DNM1L、DIAP1、DYL1、PSA、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス2の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネルも含む。
本開示の複数の実施形態はまた、対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、EPHB4、FBLN3又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス1の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネルも含む。
本開示の複数の実施形態はまた、対象が外傷性脳損傷(TBI)を負っていないことを決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:ACTBL、ALDH2、ANXA5、CAMP、CPNE3、CRAC1、CYTC、DNPEP、EIF3I、GSHB、ICAM1、HV323、HNRPD、KVD33、FA9、FHR4、FRPD1、HS90B、MA2A1、PCYOX、PNPH、PROC、RL3、SH3L3、SRRM2、TBB1、TENA、TRAP1又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、対象における測定又は検出が、対象がTBIを負っていないことを指し示すパネルも含む。
臨床生理学的情報に基づき、健常又は軽度TBIを有すると分類された対象から得られた血漿試料並びに重度(すなわち、CT陽性)対象からプールされた血漿に由来する、定量的質量分析によるプロテオーム発見データについての教師なしのクラスター化解析から得られた代表的グラフを含む図である。全てのデータ点は、図1Aにおける、それらのクラスター位置に従い表示される。図1Aは、事後的に抽出された、関連する患者特徴及び試料特徴であって、年齢;性別;正規化GFAP MSピーク面積(個々のプロトタイプペプチドの定量に基づく、ターゲティングされた質量分析ベースのGFAPアッセイを使用する);CTスキャン(陽性/陰性;グレーは、データなしを指し示す。)及びELISAベースのGFAPバイオマーカースコア(陽性/陰性;グレーは、データなしを指し示す。)を含む患者特徴及び試料特徴を伴う、2つの主要なクラスター(対照クラスター及びTBIクラスター(TBIサブクラス1=TBI−1;TBIサブクラス2=TBI−2;TBIサブクラス3=TBI−3及びTBIサブクラス4=複合TBI))を示す全プロテオームプロファイルデータについての、教師なしのクラスター化解析から得られる、代表的系統発生プロットである。軽度TBIサブクラスの、主要な病理学的クラスターは、サブクラス1(TBI−1)、サブクラス2(TBI−2)、サブクラス3(TBI−3)及び本明細書において、「合併軽度TBI」ともまた称されるサブクラス4(複合TBI)を含む。 臨床生理学的情報に基づき、健常又は軽度TBIを有すると分類された対象から得られた血漿試料並びに重度(すなわち、CT陽性)対象からプールされた血漿に由来する、定量的質量分析によるプロテオーム発見データについての教師なしのクラスター化解析から得られた代表的グラフを含む図である。全てのデータ点は、図1Aにおける、それらのクラスター位置に従い表示される。図1Bは、全プロテオームプロファイルについての主成分分析の結果を含む。 臨床生理学的情報に基づき、健常又は軽度TBIを有すると分類された対象から得られた血漿試料並びに重度(すなわち、CT陽性)対象からプールされた血漿に由来する、定量的質量分析によるプロテオーム発見データについての教師なしのクラスター化解析から得られた代表的グラフを含む図である。全てのデータ点は、図1Aにおける、それらのクラスター位置に従い表示される。図1Cは、コンスタレーションプロットとして描示された、代表的な系統発生クラスター化を含む。 教師なしの解析に基づき、試料クラスターの間の、共通タンパク質及び/又は固有タンパク質についての、代表的クラスター化を含む図である。軽度TBIサブクラスの、主要な病理学的クラスターは、サブクラス1(TBI−1)、サブクラス2(TBI−2)、サブクラス3(TBI−3)及びサブクラス4又は合併軽度TBI(複合TBI)を含み;健常対照クラスター(対照)もまた示される。教師なしのクラスター化解析から導出された、5つの主な試料サブクラスターの各々は、最小で5つの、固有に発現したタンパク質を有する。図2Aは、5つの同定されたサブグループクラスターの間の、共通タンパク質及び/又は固有タンパク質を含む、代表的ベン図である。 教師なしの解析に基づき、試料クラスターの間の、共通タンパク質及び/又は固有タンパク質についての、代表的クラスター化を含む図である。軽度TBIサブクラスの、主要な病理学的クラスターは、サブクラス1(TBI−1)、サブクラス2(TBI−2)、サブクラス3(TBI−3)及びサブクラス4又は合併軽度TBI(複合TBI)を含み;健常対照クラスター(対照)もまた示される。教師なしのクラスター化解析から導出された、5つの主な試料サブクラスターの各々は、最小で5つの、固有に発現したタンパク質を有する。図3Bは、各サブグループクラスター内において定量された、全タンパク質及び/又は固有タンパク質についての数値カウントを含む。 教師なしの解析に基づき、試料クラスターの間の、共通タンパク質及び/又は固有タンパク質についての、代表的クラスター化を含む図である。軽度TBIサブクラスの、主要な病理学的クラスターは、サブクラス1(TBI−1)、サブクラス2(TBI−2)、サブクラス3(TBI−3)及びサブクラス4又は合併軽度TBI(複合TBI)を含み;健常対照クラスター(対照)もまた示される。教師なしのクラスター化解析から導出された、5つの主な試料サブクラスターの各々は、最小で5つの、固有に発現したタンパク質を有する。図3Cは、各サブグループクラスター内において定量された固有タンパク質についての、Uniprot ID及び簡略名の表記を含む。 健常試料(左丸)と、TBI患者試料(プールされた重度試料を含む;右丸)との間において、共通又は固有であるタンパク質についての代表的ベンプロットを含む図である。各群内の全ての試料中において検出されたタンパク質だけを、この解析に組み入れた(図3A)。図3Bは、全てのTBI試料中において固有に発現した、8つのタンパク質についてのリストであって、それらのUniprot ID及びタンパク質名を含むリストを含む。AL9A1及びSYTCが、脳において発現されるのに対し、FA5は、凝固に関する(いずれの表記も、UniProtによる注釈付き情報(uniprot.org)に基づく。)。 定量的非依存型取得質量分析(DIA−MS)データについての、従来の教師ありの解析に対する代替的手法としての、ブートストラップフォレスト解析についての、代表的概略図を含む図である。個々のタンパク質の寄与を解析し、予測モデルの基準を満たす、5つの個別の決定木にまとめた(図4A〜4E)。この解析は、所与のタンパク質が、TBIを伴う患者を、それらの健常対応物から識別することが可能なバイオマーカーとして用いられる能力についての定量的カットオフを、関連する診断確率と共に定めた。単一のタンパク質が、この区別を行うことが十分に可能ではない場合、複数のタンパク質の組合せを、同定及び規定した。 定量的非依存型取得質量分析(DIA−MS)データについての、従来の教師ありの解析に対する代替的手法としての、ブートストラップフォレスト解析についての、代表的概略図を含む図である。個々のタンパク質の寄与を解析し、予測モデルの基準を満たす、5つの個別の決定木にまとめた(図4A〜4E)。この解析は、所与のタンパク質が、TBIを伴う患者を、それらの健常対応物から識別することが可能なバイオマーカーとして用いられる能力についての定量的カットオフを、関連する診断確率と共に定めた。単一のタンパク質が、この区別を行うことが十分に可能ではない場合、複数のタンパク質の組合せを、同定及び規定した。 定量的非依存型取得質量分析(DIA−MS)データについての、従来の教師ありの解析に対する代替的手法としての、ブートストラップフォレスト解析についての、代表的概略図を含む図である。個々のタンパク質の寄与を解析し、予測モデルの基準を満たす、5つの個別の決定木にまとめた(図4A〜4E)。この解析は、所与のタンパク質が、TBIを伴う患者を、それらの健常対応物から識別することが可能なバイオマーカーとして用いられる能力についての定量的カットオフを、関連する診断確率と共に定めた。単一のタンパク質が、この区別を行うことが十分に可能ではない場合、複数のタンパク質の組合せを、同定及び規定した。 定量的非依存型取得質量分析(DIA−MS)データについての、従来の教師ありの解析に対する代替的手法としての、ブートストラップフォレスト解析についての、代表的概略図を含む図である。個々のタンパク質の寄与を解析し、予測モデルの基準を満たす、5つの個別の決定木にまとめた(図4A〜4E)。この解析は、所与のタンパク質が、TBIを伴う患者を、それらの健常対応物から識別することが可能なバイオマーカーとして用いられる能力についての定量的カットオフを、関連する診断確率と共に定めた。単一のタンパク質が、この区別を行うことが十分に可能ではない場合、複数のタンパク質の組合せを、同定及び規定した。 定量的非依存型取得質量分析(DIA−MS)データについての、従来の教師ありの解析に対する代替的手法としての、ブートストラップフォレスト解析についての、代表的概略図を含む図である。個々のタンパク質の寄与を解析し、予測モデルの基準を満たす、5つの個別の決定木にまとめた(図4A〜4E)。この解析は、所与のタンパク質が、TBIを伴う患者を、それらの健常対応物から識別することが可能なバイオマーカーとして用いられる能力についての定量的カットオフを、関連する診断確率と共に定めた。単一のタンパク質が、この区別を行うことが十分に可能ではない場合、複数のタンパク質の組合せを、同定及び規定した。
本開示は、外傷性脳損傷(TBI)など、頭部への損傷を負っている又はこれを負った可能性がある対象を診断及び査定するための方法に関する。特に、本開示は、それらの検出及び/又は示差的発現が、対象における、TBIの存在又は非存在を評価するのに使用される場合があり、対象を、特定の種類のTBI(例えば、重度TBI又はmTBIのサブクラス)を有するものとして診断するためのベースとして使用されうる、多様なバイオマーカーを同定する。多様なTBIバイオマーカーは、個別に又は組合せで検出される場合があり、対象のTBI状態を評価するための、重要な診断的ツール及び治療的ツールとして使用されうる。
本明細書の本節及び全開示において使用された節の小見出しは、構成上の目的だけのものであり、限定的であることを意図するものではない。
定義
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書において使用された、全ての技術用語及び科学用語は、当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。齟齬が生じる場合は、定義を含む本文献に従う。本開示の実施又は試験において、本明細書において記載された方法及び材料と同様又は同等な方法及び材料も使用されうるが、下記において、好ましい方法及び材料について記載される。本明細書において言及された、全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体において組み込まれる。本明細書において開示された材料、方法及び例は、例示的なものであるに過ぎず、限定を意図するものではない。
本明細書において使用された「〜を含む(comprise(s))」、「〜を含む(include(s))」「〜を有すること」、「〜を有する」、「〜でありうる」、「〜を含有する」という用語及びその変形は、さらなる行為又は構造の可能性を除外しない、オープンエンドな移行句、移行用語又は移行語であることが意図される。単数形の「ある」及び「その」は、文脈によりそうでないことが明らかに指示されない限りにおいて、複数の指示対象を含む。本開示はまた、明示されているのであれ、そうでないのであれ、本明細書において提示された実施形態又は要素「を含み」、これら「からなり」、これら「から本質的になる」、他の実施形態も想定する。
本明細書において、数値範囲を列挙するために、それらの間に介在する、同じ精度を伴う各数が明示的に想定される。例えば、6〜9の範囲について、6及び9に加えて、7及び8の数も想定され、6.0〜7.0の範囲について、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0の数が、明示的に想定される。
本明細書において使用された「絶対量」とは、異なる時点において採取又はサンプリングされ、基準レベルと同様に、本明細書において、多様な臨床パラメータ(例えば、疾患の存在、疾患の病期、疾患の重症度、疾患の進行、非進行又は改善など)と連関づけられた又は関連づけられた、少なくとも2つのアッセイ結果の間の変化又は差違の絶対値を指す。本明細書において使用された「絶対値」とは、その符号に関わらず、すなわち、それが正であるのか、負であるのかに関わらず、実数の大きさ(例えば、2つの比較されたレベル(第1の時点において採取されたレベル及び第2の時点において採取されたレベルなど)の間の差違などの大きさ)を指す。
本開示は、例示的な基準レベル及び絶対量(例えば、異なる時点における基準レベルを比較することにより計算された)を提示する。しかし、基準レベル及び絶対量は、イムノアッセイの性格(例えば、援用された抗体、反応条件、試料の純度など)に応じて、変動する場合があり、アッセイは、比較及び標準化されうることが周知である。さらに、本明細書における本開示を、他のイムノアッセイに適合させて、本開示により提示された記載に基づき、これらの他のイムノアッセイについて、イムノアッセイ特異的な基準レベル及び絶対量を得ることは、十分に、当業者の技術の範囲内にある。基準レベル及び絶対量の正確な値は、アッセイ間において変動しうるが、本明細書において記載された知見は、一般に、適用可能であり、他のアッセイへの外挿が可能であるものとする。
本明細書において「アフィニティー成熟抗体」とは、標的抗原に対する抗体のアフィニティー(すなわち、K、k又はk)の、変更を有さない親抗体と比較した改善を結果としてもたらす、1つ以上のCDR内の、1カ所以上の変更を伴う抗体を指すように使用される。例示的なアフィニティー成熟抗体は、標的抗原に対する、ナノモル単位なお又はピコモル単位のアフィニティーを有する。バイオディスプレイ法を使用して調製されたコンビナトリアル抗体ライブラリーのスクリーニングを含め、アフィニティー成熟抗体を作製するための様々な手順が当技術分野において公知である。例えば、Marksら、BioTechnology、10:779〜783(1992)は、VHとVLとのドメインシャッフリングによるアフィニティー成熟について記載している。CDR残基及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発については、Barbasら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、91:3809〜3813(1994);Schierら、Gene、169:147〜155(1995);Yeltonら、J.Immunol.、155:1994〜2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310〜3319(1995)及びHawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889〜896(1992)により記載されている。選択的突然変異誘発位置及び活性増強アミノ酸残基を伴う接触位置はたは超変異位置における選択的突然変異については、米国特許第6,914,128B1号において記載されている。
本明細書において使用された「抗体(antibody)」及び「抗体(antibodies)」とは、モノクローナル抗体、単一特異的抗体(例えば、モノクローナル抗体でありうる又は一般的な生殖細胞系列細胞からそれらを作製する手段以外の手段によってもまた作製されうる)、多特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体(完全ヒト化抗体又は部分的ヒト化抗体)、鳥類(例えば、アヒル又はガチョウ)抗体、サメ抗体、クジラ抗体及び非霊長動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウスなど)抗体又は非ヒト霊長動物(例えば、サル、チンパンジーなど)抗体を含む哺乳動物抗体などであるがこれらに限定されない動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(「scFv」)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)断片、ジスルフィド連結型Fv(「sdFv」)及び抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体、二重ドメイン抗体、二重可変ドメイン(DVD)又は三重可変ドメイン(TVD)抗体(二重可変ドメイン免疫グロブリン及びそれらを作り出すための方法について、それらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる、Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25(11):1290〜1297(2007)及びPCT国際出願第WO2001/058956号において記載されている)又はドメイン抗体(dAb)(例えば、Holtら(2014)、Trends in Biotechnology、21:484〜490において記載されているdAbなど)を指し、例えば、軟骨魚類及びラクダ科動物における、自然発生の単一ドメイン抗体であるsdAb、若しくは合成、例えば、ナノボディーであるsdAb、VHH又は他のドメイン構造及び上記のうちのいずれかの、機能的に活性なエピトープ結合性断片を含む。特に、抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫活性断片、すなわち、解析物結合性部位を含有する分子を含む。免疫グロブリン分子は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)でありうる。
本明細書において使用された「抗体断片」とは、抗原結合性部位又は可変領域を含む、無傷抗体の部分を指す。部分は、無傷抗体のFc領域の重鎖定常ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じて、CH2、CH3又はCH4)を含まない。抗体断片の例は、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディー、単鎖Fv(scFv)分子、1つだけの軽鎖可変ドメインを含有する単鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有する単鎖ポリペプチド、1つだけの重鎖可変領域を含有する単鎖ポリペプチド及び重鎖可変領域の3つのCDRを含有する単鎖ポリペプチドを含むがこれらに限定されない。
本明細書において、「ビーズ」と「粒子」とは、互換的に使用され、実質的に球形の固体支持体を指す。ビーズ又は粒子の一例は、マイクロ粒子である。本明細書において使用されうるマイクロ粒子は、当技術分野において公知である、任意の種類でありうる。例えば、ビーズ又は粒子は、磁気ビーズ又は磁気粒子でありうる。磁気ビーズ/粒子は、強磁性、フェリ磁性、常磁性、超常磁性又は磁性流体でありうる。例示的な強磁性材料は、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO、MnAs、MnBi、EuO及びNiO/Feを含む。フェリ磁性材料の例は、NiFe、CoFe、Fe(又はFeO・Fe)を含む。ビーズは、磁性であり、1つ以上の非磁性層により取り囲まれた、固体コア部分を有しうる。代替的に、磁性部分は、非磁性コアの周囲の層でありうる。マイクロ粒子は、本明細書において記載された方法において働く、任意のサイズ、例えば、約0.75〜約5nm又は約1〜約5nm又は約1〜約3nmでありうる。
本明細書において、「結合性タンパク質」とは、例えば、ポリペプチド、抗原、化合物若しくは他の分子又は任意の種類の基質などの結合パートナーに結合し、これと共に複合体を形成する、単量体又は多量体のタンパク質を指すように使用される。結合性タンパク質は、結合パートナーに特異的に結合する。結合性タンパク質は、抗体のほか、当技術分野において公知であり、本明細書の下記において記載される、これらの抗原結合性断片及びこれらの他の多様な形態及び誘導体並びに抗原分子又は抗原分子上の特定の部位(エピトープ)に結合する、1つ以上の抗原結合性ドメインを含む他の分子を含む。したがって、結合性タンパク質は、四量体の免疫グロブリンである抗体、IgG分子、IgG1分子、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体、アフィニティー成熟抗体及び抗原に結合する能力を保持する、任意のこのような抗体の断片を含むがこれらに限定されない。
本明細書において、「二特異性抗体」とは、それらのうちの1つだけが機能的な二特異性抗体である、複数の異なる免疫グロブリン分子種を結果としてもたらしながら、クァドローマ技術(Milsteinら、Nature、305(5934):537〜540(1983)を参照されたい。)、2つの異なるモノクローナル抗体の化学的コンジュゲーション(Staerzら、Nature、314(6012):628〜631(1985)を参照されたい。)又はFc領域内の突然変異を導入するノブ−イントゥー−ホール法若しくは同様の手法(Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90(14):6444〜6448(1993)を参照されたい。)により作出された全長抗体を指すように使用される。二特異性抗体は、その2つの結合性アーム(HC/LCの1つの対)のうちの1つにおける、1つの抗原(又はエピトープ)に結合し、その第2のアーム(HC/LCの異なる対)における、異なる抗原(又はエピトープ)に結合する。この定義により、二特異性抗体は、2つの顕著に異なる抗原結合性アーム(特異性配列及びCDR配列の両方)を有し、それが結合する各抗原について一価である。
本明細書において、「CDR」とは、抗体の可変配列内の「相補性決定領域」を指すように使用される。重鎖及び軽鎖の可変領域の各々において、3つずつのCDRが存在する。重鎖又は軽鎖のN末端から順に、これらの領域は、可変領域の各々について、「CDR1」、「CDR2」及び「CDR3」と表記されている。本明細書において使用された「CDRセット」という用語は、単一の可変領域において生じる、3つのCDRの群であって、抗原に結合するCDRの群を指す。したがって、抗原結合性部位は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の各々に由来するCDRセットを含む、6つのCDRを含みうる。単一のCDR(例えば、CDR1、CDR2又はCDR3)を含むポリペプチドは、「分子認識単位」と称されうる。抗原−抗体複合体についての結晶構造解析は、CDRのアミノ酸残基が、結合した抗原との、広範な接触部を形成し、この場合、最も広範な抗原の接触部は、重鎖CDR3との接触部であることを裏付けている。したがって、分子認識単位は、主に、抗原結合性部位の特異性の一因となりうる。一般に、CDR残基は、抗原への結合に対する影響に、直接、かつ、極めて実質的に関与する。
これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従い、異なる形で規定されている。Kabat(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987)及び(1991))により記載されているシステムは、抗体の任意の可変領域へと適用可能である、明確な残基番号付けシステムを提示するだけではなく、また、3つのCDRを規定する、正確な残基の境界も提示している。これらのCDRは、「Kabat CDR」と称されうる。Chothia及び同僚(Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.、196:901〜917(1987);並びにChothiaら、Nature、342:877〜883(1989))は、Kabat CDR内の、ある特定の下位部分が、アミノ酸配列のレベルにおいて、大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一なペプチド骨格のコンフォメーションを取ることを見出した。これらの下位部分は、「L」及び「H」が、それぞれ、軽鎖領域及び重鎖領域を名指す、「L1」、「L2」及び「L3」又は「H1」、「H2」及び「H3」と名指された。これらの領域は、「Chothia CDR」と称される場合があり、これらは、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを規定する他の境界について、Padlan、FASEB J.、9:133〜139(1995);及びMacCallum、J.Mol.Biol.、262(5):732〜745(1996)により記載されている。さらに他のCDRの境界の定義は、本明細書のシステムの定義に厳密に従わない場合もあり、特定の残基若しくは残基群なお又は全CDRが、抗原への結合に、著明な影響を及ぼさないという予測又は実験による知見に照らして、短くなる場合もあり、長くなる場合もあるが、それでも、Kabat CDRと重複する。本明細書において使用された方法は、これらのシステムのうちのいずれに従い規定されたCDRも用いうるが、ある特定の実施形態は、Kabatより規定されたCDR又はChothiaにより規定されたCDRを使用する。
「相対的ばらつき」としてもまた公知の「変動係数」(CV)は、その平均値により除された、分布の標準偏差と同義である。
「構成要素(component)」、「構成要素(components)」又は「少なくとも1つの構成要素」とは、一般に、本明細書において記載された方法及び当技術分野において公知である他の方法に従う、患者の尿試料、全血試料、血清試料又は血漿試料などの被験試料についてのアッセイのためのキット内に含まれうる捕捉抗体、検出又はコンジュゲート、較正物質、対照、感度パネル、容器、緩衝液、希釈剤、塩、酵素、酵素に対する補因子、検出試薬、前処理試薬/溶液、基質(例えば、溶液としての)、停止溶液などを指す。一部の構成要素は、溶液でありうる又はアッセイにおける使用のための復元のために、凍結乾燥させうる。
本明細書において使用された「対照」とは、一般に、その目的が、測定システムが、許容可能な境界(例えば、一方の末端における、調査研究使用のためのアッセイに適切な尺度から、他方の末端における、市販のアッセイのための品質仕様により確立された解析的境界にわたる範囲の境界)内の結果をもたらし続けることを確認するために、測定システムの性能を査定することである試薬を指す。これを達成するために、対照は、患者結果を示すべきであり、任意選択的に、エラー(例えば、試薬の安定性、較正物質のばらつき、測定器のばらつきに起因するエラーなど)の、測定に対する影響を、何らかの形で評価すべきである。本明細書において使用された、「対照の対象」は、外傷性脳損傷(TBI)を負っていない、1例以上の対象に関する。本明細書において使用された「整形外科的対照」は、整形外科損傷を負っているが、見かけのTBIを負っていない、1例以上の対象に由来する試料又は情報に関する(例えば、これに基づく)。本明細書において使用された、「整形外科的対照の対象」は、整形外科損傷を負っているが、見かけのTBIを負っていない、1例以上の対象に関する。場合によって、「整形外科的対照の対象」とは、それらの四肢損傷及び/又は骨盤損傷及び/又は肋骨骨折について、≦4(致死性ではない)の略式損傷スコアを有する成人整形外科患者である。本明細書において使用された「健常対照」は、健常であると考えられ、見かけのTBI又は整形外科損傷を負っていない、1例以上の対象に由来する試料又は情報に関する(例えば、これに基づく)。本明細書において使用された「健常対照の対象」は、健常であると考えられ、見かけのTBI又は整形外科損傷を負っていない、1例以上の対象に関する。本明細書において使用された「TBI対照」は、頭部損傷を負っているが、見かけのTBIを負っていない、1例以上の対象に由来する試料又は情報に関する(例えば、これに基づく)。本明細書において使用された「TBI対照の対象」は、頭部損傷を負っているが、見かけのTBIを負っていない、1例以上の対象に関する。
本明細書において使用された「〜と相関した」とは、〜と比較したを指す。
本明細書において使用された「CTスキャン」とは、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンを指す。CTスキャンは、異なる角度から得られた、一連のX線画像を組み合わせ、コンピュータ処理を使用して、体内の骨、血管及び軟部組織についての断面画像又は切片を創出する。CTスキャンは、X線CT、ポジトロン放射断層撮影(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ軸方向断層撮影(CATスキャン)又はコンピュータ支援断層撮影を使用しうる。CTスキャンは、従来のCTスキャン又は渦巻き状/らせん状CTスキャンでありうる。従来のCTスキャンにおいて、スキャンは、切片ごとに得られ、各切片のスキャンの後、停止及び次の切片への移動、例えば、腹部の上方から、骨盤への移動がなされる。従来のCTスキャンは、動きによるアーチファクトを回避するために、患者が息を止めることを要求する。渦巻き状/らせん状CTスキャンは、連続スキャンであり、渦巻き状に得られ、スキャンされた画像が連続的であるので、工程がはるかに迅速である。
本明細書において使用された、抗体の「誘導体」とは、純正抗体又は親抗体と比較した場合、そのアミノ酸配列に対する、1つ以上の修飾を有する抗体を指す場合があり、修飾ドメイン構造を呈しうる。誘導体は、標的(抗原)に特異的に結合することが可能なアミノ酸配列を採用するだけでなく、天然抗体内で見出された、典型的なドメイン構成を採用することもさらに可能でありうる。抗体誘導体の典型的な例は、他のポリペプチドへとカップリングさせた抗体、再配列された抗体ドメイン又は抗体の断片である。誘導体はまた、少なくとも1つのさらなる化合物、例えば、タンパク質ドメインも含むことが可能であり、前記タンパク質ドメインは、共有結合又は非共有結合により連結されている。連結は、当技術分野において公知の方法に従う遺伝子融合に基づきうる。抗体を含む融合タンパク質内に存在するさらなるドメインは、ペプチドリンカーであると有利な、可動性リンカーにより連結されることが好ましい場合があり、この場合、前記ペプチドリンカーは、さらなるタンパク質ドメインのC末端及び抗体のN末端又はこの逆の間の距離にわたるのに十分な長さである、複数の、親水性で、ペプチド結合されたアミノ酸を含む。抗体は、生物学的活性に適するコンフォメーションを有する又は、例えば、固体支持体、生物学的活性物質(例えば、サイトカイン又は成長ホルモン)、化学的薬剤、ペプチド、タンパク質若しくは薬物に選択的に結合する、エフェクター分子へと連結されうる。
本明細書において、「DIA−MS」又は「データ非依存型取得質量分析」とは、選択されたm/z範囲内の全てのイオンが、タンデム質量分析の第2段において、フラグメント化及び解析される、分子構造決定法を指すのに使用される。典型的に、複雑なタンパク質混合物(例えば、血漿試料)は、ペプチドへと消化され、ペプチドは、質量分析計により解析される。タンデム質量スペクトルは、一般に、各ペプチドについて、所与の時点において、質量分析計に進入する全てのイオンをフラグメント化すること(すなわち、DIA−MS)又は逐次的に単離し、m/zの範囲をフラグメント化すること(すなわち、データ依存型取得−MS又はDDA−MS)により収集される。DIA−MSは、DDA−MSに対する代替法であり、一定数の前駆体イオンが、タンデム質量分析により選択及び解析されるが、同じタンパク質情報をもたらしうることが極めて多い。プロトタイプペプチド(特殊なタンパク質の識別に固有のペプチド)は、各タンパク質を定量するために使用される(Holewinski,R.J.ら、Methods Mol Biol.、2016;1410:165〜279;Kirk,J.A.ら、Sci Transl Med.、2015年12月23日;7(319)、319ra及びParker,S.J.ら、Proteomics.、2016年8月;16(15〜16):2221〜2237を参照されたい。)。
本明細書において、「二重特異性抗体」とは、その2つの結合性アーム(HC/LCの対)の各々において、2つの異なる抗原(又はエピトープ)に結合しうる全長抗体(PCT公開WO02/02773号を参照されたい。)を指すように使用される。したがって、二重特異性結合性タンパク質は、同一な特異性及び同一なCDR配列を伴う、2つの同一な抗原結合性アームを有し、それが結合する各抗原について二価である。
本明細書において、「二重可変ドメイン」とは、二価結合性タンパク質(2つの抗原結合性部位)、四価結合性タンパク質(4つの抗原結合性部位)又は多価結合性タンパク質でありうる結合性タンパク質上の、2つ以上の抗原結合性部位を指すように使用される。DVDは、単一特異性、すなわち、1つの抗原(又は1つの特異性エピトープ)に結合することが可能な場合もあり、多特異性、すなわち、2つ以上の抗原(例えば、同じ標的抗原分子の2つ以上のエピトープ又は異なる標的抗原2つ以上のエピトープ)に結合することが可能な場合もある。好ましいDVD結合性タンパク質は、2つの重鎖DVDポリペプチド及び2つの軽鎖DVDポリペプチドを含み、「DVD免疫グロブリン」又は「DVD−Ig」と称される。したがって、このようなDVD−Ig結合性タンパク質は、四量体であり、IgG分子と類似するが、IgG分子より多くの抗原結合性部位をもたらす。したがって、四量体DVD−Ig分子の各半分は、IgG分子の半分と類似し、重鎖DVDポリペプチド及び軽鎖DVDポリペプチドを含むが、単一の抗原結合性ドメインをもたらす、IgG分子の重鎖及び軽鎖の対と異なり、DVD−Igの重鎖及び軽鎖の対は、2つ以上の抗原結合性部位をもたらす。
DVD−Ig結合性タンパク質の各抗原結合性部位は、ドナー(「親」)モノクローナル抗体に由来しうるので、抗原結合性部位1つ当たり、合計6つのCDRであって、抗原への結合に関与するCDRを伴う、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含みうる。したがって、2つの異なるエピトープ(例えば、2つの異なる抗原分子の、2つの異なるエピトープ又は同じ抗原分子の、2つの異なるエピトープ)に結合するDVD−Ig結合性タンパク質は、第1の親モノクローナル抗体に由来する抗原結合性部位及び第2の親モノクローナル抗体の抗原結合性部位を含む。
DVD−Ig結合性分子のデザイン、発現及び特徴付けについての記載は、PCT公開WO2007/024715号、米国特許第7,612,181号及びWuら、Nature Biotech.、25:1290〜1297(2007)においてなされている。このようなDVD−Ig分子の好ましい例は、構造式:VD1−(X1)n−VD2−C−(X2)n[式中、VD1は、第1の重鎖可変ドメインであり、VD2は、第2の重鎖可変ドメインであり、Cは、重鎖定常ドメインであり、X1は、それがCH1ではないことを条件として、リンカーであり、X2は、Fc領域であり、nは、0又は1であるが、好ましくは1である]を含む重鎖;及び構造式:VD1−(X1)n−VD2−C−(X2)n[式中、VD1は、第1の軽鎖可変ドメインであり、VD2は、第2の軽鎖可変ドメインであり、Cは、軽鎖定常ドメインであり、X1は、これがCH1ではないことを条件として、リンカーであり、X2は、Fc領域を含まず、nは、0又は1であるが、好ましくは1である]を含む軽鎖を含む。このようなDVD−Igは、2つのこのような重鎖及び2つのこのような軽鎖を含むことが可能であり、この場合、各鎖は、可変領域の間に介在する定常領域を伴わずに、タンデムにより連結された可変ドメインを含み、重鎖及び軽鎖は、会合して、タンデムの機能的抗原結合性部位を形成し、重鎖及び軽鎖の対は、重鎖及び軽鎖の別の対と会合して、4つの機能的な抗原結合性部位を伴う、四量体の結合性タンパク質を形成しうる。別の例において、DVD−Ig分子は、各々が可変ドメインの間に介在する定常領域を伴わずに、タンデムに連結された、3つの可変ドメイン(VD1、VD2、VD3)を含む重鎖及び軽鎖を含むことが可能であり、この場合、重鎖及び軽鎖の対は、会合して、3つの抗原結合性部位を形成することが可能であり、重鎖及び軽鎖の対は、重鎖及び軽鎖の別の対と会合して、6つの抗原結合性部位を伴う、四量体の結合性タンパク質を形成しうる。
本明細書において使用された「ダイナミックレンジ」とは、アッセイのリードアウトが、解析される試料中の標的分子又は解析物の量と比例する範囲を指す。ダイナミックレンジは、検量線の直線性の範囲でありうる。
「エピトープ(epitope)」又は「エピトープ(epitopes)」又は「目的のエピトープ」とは、認識され、その特異的結合パートナー上の相補的な部位に結合しうる、任意の分子上の部位を指す。分子及び特異的結合パートナーは、特異的結合対の一部である。例えば、エピトープは、ポリペプチド、タンパク質、ハプテン、炭水化物抗原(糖脂質、糖タンパク質又はリポ多糖などであるがこれらに限定されない)又は多糖の上にありうる。その特異的結合パートナーは、抗体でありうるがこれに限定されない。
本明細書において使用された、「断片」、「バイオマーカー断片」又は「バイオマーカーペプチド」は、本明細書において同定及び記載されたTBIバイオマーカーのうちのいずれかの断片に対する、任意の同定を含む。「断片(複数可)」は、本明細書において同定及び記載された、任意のTBIバイオマーカーの、ペプチド、プロトタイプペプチド、タンパク質分解性ペプチド、SNP又は翻訳後修飾形態を含むアイソフォーム及び任意の内因性誘導形態又は外因性誘導形態を含む。バイオマーカーペプチドは、DIA−MS、DDA−MS、多重反応モニタリング(MRM;選択的反応モニタリング又はSRMとしてもまた公知である)質量分析アッセイ又は並列反応モニタリング(PRM)質量分析アッセイにおいて、それらの代表的タンパク質の数量を表すのに使用されうる。タンパク質分解性ペプチド(複数可)は、MS定量のために、個別に又は内部標準物質と共にターゲティングされうる(Fu,Q.ら、J Proteome Res.、2017年11月(doi:10.1021/acs.jproteome.7b00623);Fu,Q.ら、Methods Mol Biol.、2016;1410:249〜264及びLiu,X.ら、Methods.、2013年6月15日;61(3):304〜312を参照されたい。)。
本明細書において使用された「フレームワーク」(FR)又は「フレームワーク配列」とは、CDRを除いた、可変領域の残りの配列を意味しうる。CDR配列の正確な定義は、異なるシステム(例えば、上記を参照されたい。)により決定されうるため、フレームワーク配列の意味は、これに応じて異なる解釈を受ける。6つのCDR(軽鎖のCDR−L1、CDR−L2及びCDR−L3並びに重鎖のCDR−H1、CDR−H2及びCDR−H3)はまた、軽鎖上及び重鎖上のフレームワーク領域を、各鎖上の4つの部分領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)へも分割するが、ここで、CDR1は、FR1及びFR2の間に位置し、CDR2は、FR2及びFR3の間に位置し、CDR3は、FR3及びFR4の間に位置する。他の研究者により言及される通りに、特定の部分領域を、FR1、FR2、FR3又はFR4と指定しない場合、フレームワーク領域は、単一の、天然の免疫グロブリン鎖の可変領域内の、FRの組合せを表す。本明細書において使用されたFRは、4つの部分領域のうちの1つを表し、FRは、フレームワーク領域を構成する、4つの部分領域のうちの2つ以上を表す。
当技術分野において公知の技法を使用して、非ヒト抗体をヒト化するのに、重鎖及び軽鎖の「アクセプター」フレームワーク配列(又は、単に、「アクセプター」配列)として使用されうる、ヒト重鎖及びヒト軽鎖のFR配列は、当技術分野において公知である。一実施形態において、ヒト重鎖及びヒト軽鎖のアクセプター配列は、V−base(hypertext transfer protocol://vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk/)又は国際的なImMunoGeneTics(登録商標)(IMGT(登録商標))情報システム(hypertext transferprotocol://imgt.cines.fr/texts/IMGTrepertoire/LocusGenes/)などの、一般に公開されているデータベースにおいて列挙されたフレームワーク配列から選択される。
本明細書において使用された「機能的な抗原結合性部位」とは、標的抗原に結合することが可能な、結合性タンパク質(例えば、抗体)上の部位を意味しうる。抗原結合性部位の抗原結合アフィニティーは、抗原結合性部位が由来する、親の結合性タンパク質、例えば、親抗体ほど強くない場合があるが、抗原に結合する能力は、抗原に結合するタンパク質、例えば、抗体を査定するための、公知の様々な方法のうちのいずれか1つを使用して測定可能でなければならない。さらに、多価タンパク質、例えば、本明細書の多価抗体の抗原結合性部位の各々の抗原結合アフィニティーは、定量的に同じである必要はない。
本明細書において、「GFAP」は、グリア原線維性酸性タンパク質について記載するのに使用されている。GFAPとは、ヒトにおいて、GFAP遺伝子によりコードされ、作製されうる(例えば、組換え手段により、他の種において)タンパク質である。「GFAP状態」とは、ある時点(GFAPの単一の測定値を伴う時点など)における、循環しているGFAPのレベル若しくは量、モニタリング(対象において、GFAP量の上昇又は低下を同定する反復検査を伴うモニタリングなど)と関連する、GFAPのレベル若しくは量、外傷性脳損傷(一次脳損傷であれ、かつ/又は二次脳損傷であれ)のための処置と関連する、GFAPのレベル若しくは量又はこれらの組合せを意味しうる。GFAPは、GFAPに固有の、特殊なペプチドに対する、ELISA及びターゲティング質量分析により測定された。
本明細書において使用された「Glasgow昏睡スケール」又は「GCS」とは、全般的な社会的能力又は他者への依存に基づき、脳損傷の転帰を推定及び類別するための、15点のスケールを指す。検査は、運動応答、言語応答及び開眼応答を、これらの値:I.運動応答(6:指示に完全に従う;5:侵害刺激を位置特定する;4:侵害刺激から身を引く;3:異常屈曲、すなわち、除皮質姿勢;2:伸長応答、すなわち、除脳姿勢及び1:応答なし);II.言語応答(5:意識清明で見当識がある;4:混乱しているが、一貫した発話;3:不適切な単語及び単語からなる支離滅裂な語句;2:理解不可能な音声及び1:音声なし)及びIII.開眼(4:自発的開眼;3:発話に応じた開眼;2:疼痛に応じた開眼及び1:開眼なし)により測定する。最終的なスコアは、I+II+IIIの値を足し合わせることにより決定される。最終的なスコアは、生存についての4つの可能なレベルへと類別される場合があり、数が小さいほど、より重度損傷及び予後不良を指し示す:軽度(13〜15);中等度身体障害(9〜12)(30分間を超える意識の喪失;消失する場合もあり、消失しない場合もある、身体機能障害又は認知機能障害;リハビリから利益を得る);重度身体障害(3〜8)(昏迷:意識不明状態:有意味な応答なし、自発的な活動なし);及び植物状態(3未満)(睡眠覚醒周期;目覚めるが、環境との相互作用なし;疼痛に対する、位置特定されない応答)。中等度脳損傷とは、20分間〜6時間の意識喪失及び9〜12のGlasgow昏睡スケールを結果としてもたらす脳損傷と規定される。重度脳損傷とは、6時間を超える意識喪失及び3〜8のGlasgow昏睡スケールを結果としてもたらす脳損傷と規定される。
本明細書において使用された「Glasgow転帰スケール」とは、機能的転帰についてのグローバルスケールであって、患者の状態を、5つの類型:死、植物状態、重度身体障害、中等度身体障害又は回復良好のうちの1つへと評価するグローバルスケールを指す。
本明細書において互換的に使用された「拡張版Glasgow転帰スケール」又は「GOSE」は、重度身体障害、中等度身体障害及び回復良好の類型を、表1において示される、上下の類型へと細分することによる、8つの類型への、より詳細な類別を提示する。
Figure 2021509475
本明細書において、「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例えば、マウス)に由来する重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を含むが、VH配列及び/又はVL配列の少なくとも一部が、より「ヒト様」となる、すなわち、ヒト生殖細胞系列可変配列と、より類似するように変更された抗体について記載するのに使用される。「ヒト化抗体」とは、目的の抗原に免疫特異的に結合し、ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域及び非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)を含む、抗体又はこの変異体、誘導体、類似体若しくは断片である。本明細書において使用された、CDRの文脈における「実質的に」という用語は、非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一なアミノ酸配列を有するCDRを指す。ヒト化抗体は、少なくとも1つであるが、典型的に2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)、FabC、Fv)であって、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のCDR領域に対応し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のフレームワーク領域である可変ドメインの実質的に全てを含む。ある実施形態において、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的に、ヒト免疫グロブリンのFc領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖のほか、重鎖の、少なくとも可変ドメインを含有する。抗体はまた、重鎖の、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域及びCH4領域も含みうる。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖だけを含有する。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖だけを含有する。具体的な実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖及び/又はヒト化重鎖のヒト化可変ドメインだけを含有する。
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む、免疫グロブリンの任意のクラス並びに、限定なしに述べると、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む、任意のアイソタイプから選択されうる。ヒト化抗体は、1つを超えるクラス又はアイソタイプに由来する配列を含むことが可能であり、特定の定常ドメインは、当技術分野において周知の技法を使用して、所望のエフェクター機能を最適化するように選択されうる。
ヒト化抗体のフレームワーク領域及びCDRは、親配列に正確に対応する必要がない、例えば、ドナー抗体のCDR又はコンセンサスフレームワークは、この部位におけるCDR残基又はフレームワーク残基が、ドナー抗体又はコンセンサスフレームワークに対応しないように、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失により突然変異誘発されてもよい。しかし、好ましい実施形態において、このような突然変異は、広範にわたる突然変異ではない。通例、ヒト化抗体残基のうちの、少なくとも80%、好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%であり、最も好ましくは、少なくとも95%は、親のFR配列及びCDR配列の残基に対応する。本明細書において使用された「コンセンサスフレームワーク」という用語は、コンセンサスの免疫グロブリン配列内のフレームワーク領域を指す。本明細書において使用された「コンセンサスの免疫グロブリン配列」という用語は、類縁の免疫グロブリン配列のファミリーにおいて、最も高頻度で発生するアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成された配列(例えば、Winnaker、「From Genes to Clones」(Verlagsgesellschaft、Weinheim、1987)を参照されたい。)を指す。したがって、「コンセンサスの免疫グロブリン配列」は、「コンセンサスフレームワーク領域」及び/又は「コンセンサスCDR」を含みうる。免疫グロブリンのファミリーにおいて、コンセンサス配列内の各位置は、ファミリー内のこの位置において、最も高頻度で発生するアミノ酸により占有されている。2つのアミノ酸が、同等に高頻度で発生する場合、いずれもが、コンセンサス配列内に含まれうる。
本明細書の、2つ以上のポリペプチド配列又はポリヌクレオチド配列の文脈において使用された「同一な」又は「同一性」とは、アミノ酸又はヌクレオチド配列が、指定された領域にわたり同じである、指定された百分率の残基を有することを意味しうる。百分率は、2つの配列を、最適にアライメントし、2つの配列を、指定された領域にわたり比較し、両方の配列内において、同一な残基が生じる位置の数を決定して、マッチした位置の数を求め、マッチした位置の数を、指定された領域内の位置の総数により除し、結果を、100により乗じて、配列同一性の百分率を求めることにより計算されうる。2つの配列の長さが異なる又はアライメントが1つ以上の粘着末端をもたらし、指定された比較領域が、単一の配列だけを含む場合、単一の配列の残基は、計算の分母に組み入れられるが、分子に組み入れられない。
本明細書において使用された「イメージング手順」とは、健康状態を診断、処置及びモニタリングするために、体内が見られるようにする医学的検査を指す。イメージング手順は、侵害性とならずに、疾患及び損傷の診断を可能とする、非侵襲性手順でありうる。イメージング手順の例は、MRI、CTスキャン、X線、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャン、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)及び拡散テンソルイメージング(DTI)スキャンを含む。
本明細書において互換的に使用された「頭部への損傷」又は「頭部損傷」とは、頭皮、頭蓋骨又は脳への、任意の外傷を指す。このような損傷は、頭蓋骨上の軽症の瘤だけを含みうる又は重篤な脳損傷でありうる。このような損傷は、脳への一次損傷及び/又は脳への二次損傷を含む。一次脳損傷は、初期傷害時に生じ、脳の物理的構造のずれの結果としてもたらされる。より具体的に、一次脳損傷は、外傷性事象時に生じる、実質(組織、血管)への物理的ダメージであり、周囲の脳組織のせん断及び圧迫を結果としてもたらす。二次脳損傷は、一次損傷に後続して生じ、一連の細胞過程を伴いうる。より具体的に、二次脳損傷は、一次脳損傷の後、ある期間(数時間〜数日間)にわたり発展する変化を指す。二次脳損傷は、脳内の、細胞、化学物質、組織又は血管の変化の全体のカスケードであって、脳組織のさらなる破壊に寄与するカスケードを含む。
頭部への損傷は、閉鎖性又は開放性(穿通性)でありうる。閉鎖性頭部損傷とは、頭皮、頭蓋骨又は脳への外傷であって、ぶつかる物体による頭蓋骨への貫通が見られない外傷を指す。開放性頭部損傷とは、頭皮、頭蓋骨又は脳への外傷であって、ぶつかる物体による頭蓋骨への貫通が見られる外傷を指す。頭部への損傷は、人の物理的振盪、閉鎖性頭部外傷若しくは開放性頭部外傷を結果としてもたらす外部の機械的力又は他の力による鈍的打撃(例えば、自動車、航空機、列車などによる車両事故などの車両事故;野球のバットによる痛撃又は火器からの痛撃などの頭部への痛撃)、脳血管発作(例えば、脳卒中)、1回以上の転倒(例えば、スポーツ又は他の活動における)、爆発若しくは爆破(まとめて、「爆破損傷」)及び他の種類の鈍的外傷により引き起こされうる。代替的に、頭部への損傷は、化学物質、毒素又は化学物質と毒素との組合せの摂取及び/又はこれらへの曝露により引き起こされうる。このような化学物質及び/又は毒素の例は、火、カビ、アスベスト、害虫駆除剤、殺虫剤、有機溶剤、塗料、糊、ガス(一酸化炭素、硫化水素及びシアン化物など)、有機金属(メチル水銀、テトラエチル鉛及び有機スズなど)及び/又は1つ以上の乱用薬物を含む。代替的に、頭部への損傷は、自己免疫疾患、代謝性障害、脳腫瘍、1つ以上のウイルス、髄膜炎、水頭症、低酸素症又はこれらの組合せを対象が患うことの結果として引き起こされうる。場合によって、任意のこのような事象又は損傷が生じた又は起こったのかどうかを確認することは不可能である。例えば、患者又は対象において、病歴が見られない場合があり、対象は、発話が不可能な場合があり、対象は、どのような事象に曝露されたのか気づいていないか、これについての十分な情報を有さない場合があるなどである。本明細書において、このような状況は、対象「が、頭部への損傷を負った可能性がある」と記載される。本明細書の、ある特定の実施形態において、閉鎖性頭部損傷は、脳卒中などの脳血管発作を含まず、明確にこれを除外する。
本明細書において使用された「頭蓋内病変」とは、脳内の損傷領域を指す。頭蓋内病変は、MRIスキャン又はCTスキャンなどの、イメージング手順又は脳イメージング検査において見られる異常でありうる。CTスキャン又はMRIスキャンにおいて、脳病変は、正常な脳組織のように見えない、暗色又は明色の斑点として現れうる。
本明細書において使用された「単離ポリヌクレオチド」とは、その由来において、「単離ポリヌクレオチド」が天然において共に見出されるポリヌクレオチドの全部若しくは一部に付随していない;それが天然において連結されてないポリヌクレオチドと作動可能に連結されている;又は天然において、より大きな配列の一部として存在していないようなポリヌクレオチド(例えば、ゲノム、cDNA若しくは合成由来又はこれらの組合せによる)を意味しうる。
本明細書において使用された「標識」及び「検出可能な標識」とは、抗体と解析物との反応を検出可能とするように、抗体又は解析物へと接合された部分を指し、このように標識された抗体又は解析物は、「検出可能に標識された」と称される。標識は、視覚手段又は計測手段により検出可能なシグナルをもたらしうる。多様な標識は、色原体、蛍光化合物、化学発光化合物、放射性化合物などのシグナル発生物質を含む。標識の代表例は、光をもたらす部分、例えば、アクリジニウム化合物及び蛍光をもたらす部分、例えば、フルオレセインを含む。他の標識も、本明細書において記載されている。この点において、部分自体は、検出可能でない場合もあるが、さらに別の部分と反応すると、検出可能となりうる。「検出可能に標識された」という用語は、このような標識を包含することが意図される。
当技術分野において公知である、任意の適切な、検出可能な標識が使用されうる。例えば、検出可能な標識は、放射性標識(3H、14C、32P、33P、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho及び153Smなど)、酵素標識(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼなど)、化学発光標識(アクリジニウムエステル、チオエステル又はスルホンアミド;ルミノール、イソルミノール、フェナントリジニウムエステルなど)、蛍光標識(フルオレセインなど(例えば、5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロフルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセインなど))、ローダミン、フィコビリタンパク質、R−フィコエリトリン、量子ドット(例えば、硫化亜鉛によりキャッピングされたセレン化カドミウム)、測熱標識又はイムノポリメラーゼ連鎖反応標識でありうる。標識、標識手順及び標識の検出への導入は、Molecular Probes,Inc.、Eugene、Oregonにより公刊された、ハンドブックとカタログとの組合せである、Polak及びVan Noorden、「Introduction to Immunocytochemistry」、2版、Springer Verlag、N.Y.(1997)並びにHaugland、「Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」(1996)において見出される。蛍光標識は、FPIA(例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれている、米国特許第5,593,896号、同第5,573,904号、同第5,496,925号、同第5,359,093号及び同第5,352,803号を参照されたい。)において使用されうる。アクリジニウム化合物は、同種化学発光アッセイにおける検出可能な標識(例えば、Adamczykら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、16:1324〜1328(2006);Adamczykら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、4:2313〜2317(2004);Adamczykら、Biorg.Med.Chem.Lett.、14:3917〜3921(2004)及びAdamczykら、Org.Lett.、5:3779〜3782(2003)を参照されたい。)として使用されうる。
一態様において、アクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキサミドである。アクリジニウム9−カルボキサミドを調製するための方法については、Mattingly、J.Biolumin.Chemilumin.、6:107〜114(1991);Adamczykら、J.Org.Chem.、63:5636〜5639(1998);Adamczykら、Tetrahedron、55:10899〜10914(1999);Adamczykら、Org.Lett.、1:779〜781(1999);Adamczykら、Bioconjugate Chem.、11:714〜724(2000);Mattinglyら、「Luminescence Biotechnology:Instruments and Applications」、Dyke,K.V.編、CRC Press:Boca Raton、77〜105(2002);Adamczykら、Org.Lett.、5:3779〜3782(2003);並びに米国特許第5,468,646号、同第5,543,524号及び同第5,783,699号(それらの各々が、参照によりその全体において、これについてのその教示について、本明細書に組み込まれる)において記載されている。
アクリジニウム化合物の別の例は、アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルである。式IIのアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルの例は、10−メチル−9−(フェノキシカルボニル)アクリジニウムフルオロスルホネート(Cayman Chemical、Ann Arbor、MIから市販されている)である。アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルを調製するための方法については、McCapraら、Photochem.Photobiol.、4:1111〜21(1965);Razaviら、Luminescence、15:245〜249(2000);Razaviら、Luminescence、15:239〜244(2000)及び米国特許第5,241,070号(それらの各々が、参照によりその全体において、これについてのその教示について、本明細書に組み込まれる)において記載されている。このようなアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルは、シグナルの強度及び/又はシグナルの迅速性の点において、少なくとも1つのオキシダーゼによる、解析物の酸化において生成された過酸化水素についての、有効な化学発光指示薬である。アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルの化学発光過程は、迅速に、すなわち、1秒間未満において完了されるが、アクリジニウム−9−カルボキサミドの化学発光は、2秒間を超えて遷延する。しかし、アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルは、タンパク質の存在下において、その化学発光特性を失う。したがって、その使用は、シグナルの発生時及び検出時における、タンパク質の非存在を要求する。試料中のタンパク質を分離又は除去するための方法は、当業者に周知であり、限外濾過、抽出、沈殿、透析、クロマトグラフィー及び/又は消化(例えば、Wells、「High Throughput Bioanalytical Sample Preparation.Methods and Automation Strategies」、Elsevier(2003)を参照されたい。)を含むがこれらに限定されない。被験試料から除去又は分離されるタンパク質の量は、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%でありうる。アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル及びその使用に関する、さらなる詳細については、2007年4月9日において出願された、米国特許出願第11/697,835号において明示されている。アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルは、脱気無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又は含水コール酸ナトリウムなどの、任意の適切な溶媒中に溶解されうる。
本明細書において使用された、「ブランク限界(LoB)」とは、解析物を含有しない、多連のブランク試料を調べた場合に見出されることが期待される、見かけの最高解析物濃度を指す。
本明細書において使用された、「検出限界(LOD)」とは、指定された信頼水準において検出されうる、測定された対象物の最低濃度(すなわち、測定されることが意図される数量)を指す。信頼水準は、典型的に、偽陰性の測定の可能性を5%として、95%である。LoDは、LoBと信頼できる形で区別される可能性が高く、検出が実現可能である最低の解析物濃度である。LoDは、測定されたLoB及び低濃度の解析物を含有することが既知である試料についての多連の試験の両方を用いることにより決定されうる。本明細書において使用されたLoDという用語は、Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)のプロトコールEP17−A2(「Protocols for Determination of Limits of Detection and Limits of Quantification;Approved Guideline、2版」、EP17A2E、James F.Pierson−Perryら、Clinical and Laboratory Standards Institute、2012年6月1日)による定義に基づく。
本明細書において使用された、「定量限界(LoQ)」とは、解析物が、信頼できる形で検出できるだけでなく、バイアス及び不正確さについての、何らかの所定の目標が満たされる最低濃度を指す。LoQは、LoDと同等の場合もあり、はるかに高濃度の場合もある。
「直線性」とは、方法又はアッセイの実際の性能が、指定された作動範囲にわたり、どのくらい良好に直線を近似するのかを指す。直線性は、理想的な直線からの、偏差又は非直線性に関して測定されうる。「直線性からの偏差」は、フルスケールに対するパーセントに関して表されうる。本明細書において開示された方法の一部において、アッセイのダイナミックレンジにわたり、10%未満の、直線性からの偏差(DL)が達成される。「直線の」とは、列挙された、例示的な範囲又は値にわたる(for又はover)約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%又は約8%以下の変動が見られることを意味する。
「連結配列」又は「連結ペプチド配列」とは、1つ以上の、目的のポリペプチド配列(例えば、全長配列、配列断片など)へと接続された、天然又は人工のポリペプチド配列を指す。「接続された」という用語は、連結配列の、目的のポリペプチド配列への接合を指す。このようなポリペプチド配列は、1つ以上のペプチド結合により接合されることが好ましい。連結配列は、約4〜約50アミノ酸の長さを有しうる。好ましくは、連結配列の長さは、約6〜約30アミノ酸である。天然の連結配列は、人工の連結配列を創出するように、アミノ酸の置換、付加又は欠失により修飾されうる。連結配列は、組換えFab内の使用を含む、多くの目的で使用されうる。例示的な連結配列は、以下を含むがこれらに限定されない:(i)HHHHHH(配列番号2)のアミノ酸配列を有する、6×Hisタグなどのヒスチジン(His)タグは、目的のポリペプチド及び抗体の単離及び精製を容易とする連結配列として有用である;(ii)Hisタグなどのエンテロキナーゼ切断部位は、目的のタンパク質及び抗体の単離及び精製において使用される。エンテロキナーゼ切断部位は、Hisタグと併せて、目的のタンパク質及び抗体の単離及び精製において使用されることが多い。当技術分野において、多様なエンテロキナーゼ切断部位が公知である。エンテロキナーゼ切断部位の例は、DDDDK(配列番号2)のアミノ酸配列及びその誘導体(例えば、ADDDDK(配列番号3)など)を含むがこれらに限定されない;(iii)その他の配列も、単鎖可変領域断片の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域を連結又は接続するのに使用されうる。他の連結配列の例は、Birdら、Science、242:423〜426(1988);Hustonら、PNAS USA85:5879〜5883(1988)及びMcCaffertyら、Nature、348:552〜554(1990)において見出されうる。連結配列はまた、薬物の接合又は固体支持体への接合などの、さらなる機能のためにも修飾されうる。本開示の文脈において、モノクローナル抗体は、例えば、Hisタグ、エンテロキナーゼ切断部位又はこれらの両方などの連結配列を含有しうる。
本明細書において互換的に使用された「磁気共鳴イメージング」又は「MRI」とは、健常及び疾患両方の体内における解剖学及び生理学的過程についての描像を形成するように、放射線医学において使用される医学的イメージング法を指す。MRIは、強力な磁界内に置かれた場合の、体内組織の原子核の、高周波数のラジオ波に対する応答を測定し、内臓についての画像を作成する、医学的イメージングの形態である。核磁気共鳴(NMR)学に基づくMRIスキャナーは、強力な磁界、ラジオ波及び磁界勾配を使用して、体内についての画像を作成する。
本明細書において使用された「モノクローナル抗体」とは、実質的に同種である抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、集団を構成する個別の抗体は、少量で存在しうる、可能な天然の突然変異を除き、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原に対して方向付けられている。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して方向付けられた、異なる抗体を含むことが典型的な、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して方向付けられている。本明細書におけるモノクローナル抗体は、とりわけ、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来する又は特定の抗体クラス若しくは抗体サブクラスに属する抗体内の、対応する配列と同一又は相同である一方、鎖の残りの部分は、別の種に由来する又は別の抗体クラス若しくは抗体サブクラスに属する抗体内の、対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体のほか、それらが、所望の生物学的活性を呈する限りにおいて、このような抗体の断片も含む。
本明細書において、「多価結合性タンパク質」とは、2つ以上の抗原結合性部位(本明細書において、「抗原結合性ドメイン」ともまた称される)を含む結合性タンパク質を指すように使用される。多価結合性タンパク質は、3つ以上の抗原結合性部位を有するように操作されていることが好ましく、一般に、天然の抗体ではない。「多特異性結合性タンパク質」という用語は、同じ標的分子の2つ以上の異なるエピトープに結合することが可能な結合性タンパク質を含む、2つ以上の関連する又は関連しない標的に結合しうる結合性タンパク質を指す。
「ポイントオブケアデバイス」とは、ポイントオブケア(すなわち、検査室の外部)又はこの近傍の、患者ケアの時間及び場所(病院、診療所、救急ケア施設又は他の医療ケア施設、患者の自宅、介護施設及び/又は長期ケア施設及び/又はホスピス施設など)において、医学的診断検査を提供するのに使用されるデバイスを指す。ポイントオブケアデバイスの例は、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)(例えば、i−STAT及びi−STAT Alinity)、Universal Biosensors(Rowville、Australia)(US2006/0134713を参照されたい。)、Axis−Shield PoC AS(Oslo、Norway)及びClinical Lab Products(Los Angeles、USA)により作製されたポイントオブケアデバイスを含む。
本明細書において記載されたイムノアッセイ及びキットの文脈における「品質管理試薬」は、較正物質、対照及び感度パネルを含むがこれらに限定されない。「較正物質」又は「標準物質」(例えば、複数など、1つ以上の)は、抗体又は解析物などの、解析物の濃度を内挿するための、較正曲線(検量線)を確立するために使用されることが典型的である。代替的に、基準レベル又は対照レベルの近傍(例えば、「低」レベル、「中」レベル又は「高」レベル)にある、単一の較正物質も使用されうる。「感度パネル」を含むように、複数の較正物質(すなわち、1つを超える較正物質又は変動量の較正物質)が併用されうる。
「組換え抗体(recombinant antibody)」及び「組換え抗体(recombinant antibodies)」とは、組換え法により、1つ以上のモノクローナル抗体の全部又は一部をコードする核酸配列を、適切な発現ベクターへとクローニングし、その後、抗体を、適切な宿主細胞において発現させるステップを含む、1つ以上のステップにより調製された抗体を指す。用語は、組換えにより作製されたモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体(完全ヒト化抗体又は部分的ヒト化抗体)、抗体断片から形成された多特異性構造又は多価構造、二官能性抗体、ヘテロコンジュゲートAb、DVD−Ig(登録商標)及び本明細書の(i)において記載された他の抗体(二重可変ドメイン免疫グロブリン及びそれらを作り出すための方法について、Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25:1290〜1297(2007)において記載されている。)を含むがこれらに限定されない。本明細書において使用された「二官能性抗体」という用語は、1つの抗原性部位に対する特異性を有する第1のアーム及び異なる抗原性部位に対する特異性を有する第2のアームを含む抗体を指す、すなわち、二官能性抗体は、二重特異性を有する。
本明細書において使用された「基準レベル」とは、診断的有効性、予後診断的有効性又は治療的有効性を評価するのに使用され、本明細書において、多様な臨床パラメータ(例えば、疾患の存在、疾患の病期、疾患の重症度、疾患の進行、非進行又は改善など)と連関づけられた又は関連づけられた、アッセイカットオフ値を指す。本開示は、例示的な基準レベルを提示する。しかし、基準レベルは、イムノアッセイの性質(例えば、利用された抗体、反応条件、試料の純度など)に応じて、変動する場合があり、アッセイは、比較及び標準化されうることが周知である。さらに、本明細書における本開示を、他のイムノアッセイに適合させて、本開示により提示された記載に基づき、これらの他のイムノアッセイについて、イムノアッセイ特異的な基準レベルを得ることは、十分に、当業者の技術の範囲内にある。基準レベルの正確な値は、アッセイ間において変動しうるが、本明細書において記載された知見は、一般に、適用可能であり、他のアッセイへの外挿が可能であるものとする。
本明細書において使用された、対象(例えば、患者)についての「危険性の評価」、「危険性の分類」、「危険性の同定」又は「危険性の層別化」とは、対象に関する処置決定が、より情報を得た状態ベースにおいてなされうるように、疾患の発生又は疾患の進行を含む将来の事象の発生の危険性を予測するためのバイオマーカーを含む因子についての査定を指す。
本明細書において使用された「試料」、「被験試料」、「検体」、「対象に由来する試料」及び「患者試料」は、互換的に使用される場合があり、全血、組織、尿、血清、血漿、羊水、脳脊髄液、胎盤細胞又は胎盤組織、内皮細胞、白血球又は単球などの血液試料でありうる。試料は、患者から得られた通りに直接使用されうる又は濾過、蒸留、抽出、濃縮、遠心分離、干渉成分の不活化、試薬の添加など、本明細書において論じられている、何らかの形において又は当技術分野において公知である、別の形において、試料の特徴を改変するように前処置されうる。
試料を得るのに、様々な細胞型、組織又は体液が利用されうる。このような細胞型、組織及び体液は、生検試料及び剖検試料などの組織切片、組織学的目的のために採取された凍結切片、血液(全血など)、血漿、血清、赤血球、血小板、間質液、脳脊髄液などを含みうる。細胞型及び組織はまた、リンパ液、脳脊髄液、により回収された体液も含みうる。組織又は細胞型は、細胞試料を、ヒト及び非ヒト動物から摘出することにより用意されうるが、また、あらかじめ単離された細胞(例えば、別の者により、別の時間において、かつ/又は別の目的のために単離された)を使用することによっても達せられうる。並びに、固体に由来する、IPSC又はIPSC由来の細胞型(例えば、運動ニューロン)も使用されうる。処置履歴又は転帰履歴を有する組織などのアーカイブ組織もまた、使用されうる。タンパク質又はヌクレオチドの単離及び/又は精製は、必要でない場合もある。
本明細書において互換的に使用された、「固相」又は「固体支持体」とは、(1)1つ以上の捕捉剤若しくは捕捉のための特異的結合パートナー又は(2)1つ以上の検出剤若しくは検出のための特異的結合パートナーを接合させ、かつ/又は誘引し、固定化させるために使用されうる、任意の材料を指す。固相は、捕捉剤を誘引し、固定化させる、その内因性の能力について選択されうる。代替的に、固相は、(1)捕捉剤若しくは捕捉のための特異的結合パートナー又は(2)検出剤若しくは検出のための特異的結合パートナーを誘引し、固定化させる能力を有する、連結剤を付加されている。例えば、連結剤は、捕捉剤(例えば、捕捉のための特異的結合パートナー)又は検出剤(例えば、検出のための特異的結合パートナー)自体若しくは(1)捕捉剤若しくは捕捉のための特異的結合パートナー又は(2)検出剤若しくは検出のための特異的結合パートナーへとコンジュゲートされた帯電物質に対して、逆向きに帯電した帯電物質を含みうる。一般に、連結剤は、固相上に固定化され(固相へと接合され)、結合反応を介して、(1)捕捉剤若しくは捕捉のための特異的結合パートナー又は(2)検出剤若しくは検出のための特異的結合パートナーを固定化させる能力を有する、任意の結合パートナー(好ましくは特異的結合パートナー)でありうる。連結剤は、アッセイの実施前に又はアッセイの実施時に、捕捉剤の、固相材料への間接的結合を可能とする。例えば、固相は、例えば、試験管、マイクロ滴定ウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップ及び当業者に公知の他の構成を含む、プラスチック、誘導体化プラスチック、磁性金属又は非磁性金属、ガラス又はシリコンでありうる。
本明細書において使用された「特異的結合」又は「〜に特異的に結合すること」とは、抗体、タンパク質又はペプチドの、第2の化学的分子種との相互作用を指す場合があり、この場合、相互作用は、化学的分子種上の特定の構造(例えば、抗原性決定基又はエピトープ)の存在に依存する;例えば、抗体は、タンパク質一般ではなく、特異的なタンパク質構造を認識し、これに結合する。抗体が、エピトープ「A」に対して特異的である場合、エピトープA(又は遊離のA、非標識A)を含有する分子の、標識「A」及び抗体を含有する反応物中の存在は、抗体に結合した標識Aの量を低減する。
「特異的結合パートナー」とは、特異的結合対のメンバーである。特異的結合対は、化学手段又は物理的手段を介して、互いと特異的に結合する、2つの異なる分子を含む。したがって、一般的なイムノアッセイの、抗原と抗体との特異的結合対に加えて、他の特異的結合対は、ビオチン及びアビジン(又はストレプトアビジン)、炭水化物及びレクチン、相補的なヌクレオチド配列、エフェクター分子及び受容体分子、補因子及び酵素、酵素及び酵素阻害剤、アプタマー(例えば、RNAアプタマー及びDNAアプタマー)などを含みうる。さらに、特異的結合対は、元の特異的結合メンバーの類似体、例えば、解析物類似体であるメンバーを含みうる。免疫反応性の特異的結合メンバーは、抗原、抗原断片並びにモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のほか、単離されたものであれ、組換えにより作製されたものであれ、これらの複合体及び断片を含む抗体を含む。
本明細書において互換的に使用された、「対象」及び「患者」とは、哺乳動物及びヒトを含むがこれらに限定されない、任意の脊椎動物を指す。一部の実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒトでありうる。対象又は患者は、他の形態の処置を受けている最中である場合がある。一部の実施形態において、対象がヒトである場合、対象は、脳血管発作(例えば、脳卒中)を患っているヒトを含まない。一部の実施形態において、対象は、頭部への損傷を負ったと推測される。一部の実施形態において、対象は、頭部への損傷を負ったことが既知である。一部の実施形態において、対象は、軽度、中等度又は重度のTBIを患っていると推測される。一部の実施形態において、対象は、軽度TBIを患っていると推測される。一部の実施形態において、対象は、中等度TBIを患っていると推測される。一部の実施形態において、対象は、重度TBIを患っていると推測される。
本明細書において使用された、「哺乳動物」とは、限定せずに述べると、ヒト並びにチンパンジー及び他の類人猿並びにサル種などの非ヒト霊長動物;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラマ、ラクダ及びウマなどの農場動物;イヌ及びネコなどのペット哺乳動物;マウス、ラット、ウサギ、モルモットなどの齧歯動物を含む実験室動物を含む、Mammalia綱の任意のメンバーを指す。用語は、特定の年齢又は性別を描示しない。したがって、雄であれ、雌であれ、成体対象及び新生仔対象並びに胎仔対象が、この用語の範囲内に含まれることが意図される。
本明細書において、「〜を処置する」、「〜を処置すること」又は「処置」は各々、疾患及び/若しくは損傷又はこのような用語が適用される、このような疾患の、1つ以上の症状を阻止、緩和すること又はこれらの進行を阻害することについて記載するのに、互換的に使用される。対象の状態に依存して、用語はまた、疾患を予防することも指し、疾患の発生を予防すること又は疾患と関連する症状を予防することを含む。処置は、急性的に又は慢性的に実施されうる。用語はまた、疾患への罹患の前における、疾患又はこのような疾患と関連する症状の重症度を軽減することも指す。罹患の前における、疾患のこのような予防又は重症度の低減は、医薬組成物の、投与時において疾患に罹患していない対象への投与を指す。「〜を予防すること」はまた、疾患又はこのような疾患と関連する、1つ以上の症状の再発を予防することも指す。「処置」及び「治療的に」とは、「〜を処置すること」が、上記において規定された通りである場合の、処置する行為を指す。
本明細書において使用された「単一分子の検出」という用語は、濃度が極めて低レベルの(pg/mL又は1mL当たりフェムトグラムのレベルなど)被験試料中の解析物の単一分子の検出及び/又は測定を指す。当技術分野において、多数の異なる単一分子の解析器又はデバイスが公知であり、ナノポア及びナノウェルデバイスを含む。ナノポアデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれている、国際特許公開第WO2016/161402号において記載されている。ナノウェルデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれている、国際特許公開第WO2016/161400号において記載されている。
本明細書において互換的に使用された「外傷性脳損傷」又は「TBI」とは、広範囲にわたる症状及び身体障害を伴う複合損傷を指す。TBIは、他の損傷と同様の、急性事象であることが最も多い。TBIは、「軽度」、「中等度」又は「重度」と分類されうる。本明細書において、単に、「TBI」と言及される場合、これは、一般に、TBIの任意の類型(例えば、軽度、中程度の又は重度)を意味する。TBIの原因は、多様であり、例えば、人力による物理的振盪、自動車事故、火器による損傷、脳血管発作(例えば、脳卒中)、転倒、爆発又は爆破及び他の種類の鈍的外傷を含む。TBIの他の原因は、1つ以上の化学物質又は毒素(火、カビ、アスベスト、害虫駆除剤及び殺虫剤、有機溶剤、塗料、糊、ガス(一酸化炭素、硫化水素及びシアン化物など)、有機金属(メチル水銀、テトラエチル鉛及び有機スズなど)、1つ以上の乱用薬物又はこれらの組合せなど)の摂取及び/又はこれらへの曝露を含む。代替的に、TBIは、自己免疫疾患、代謝性障害、脳腫瘍、低酸素症、1つ以上のウイルス、髄膜炎、水頭症又はこれらの組合せを患う対象において生じうる。若年成人及び老齢者は、TBIの危険性が最も高い年齢群である。本明細書の、ある特定の実施形態において、外傷性脳損傷又はTBIは、脳卒中などの脳血管発作を含まず、明確にこれを除外する。
本明細書において使用された「軽度TBI」とは、意識喪失が短時間であり、通例数秒間若しくは数分間であり、かつ/又は意識混濁及び見当識の喪失が、1時間より短い脳損傷を指す。軽度TBIはまた、脳振盪、軽症の頭部外傷、軽症のTBI、軽症の脳損傷及び軽症の頭部損傷とも称される。MRI及びCTスキャンは、正常であることが多いが、軽度TBIを伴う個体は、頭痛、思考困難、記憶問題、注意欠陥、気分変動及び欲求不満などの認知問題を有しうる。
軽度TBIは、最も高頻度のTBIであり、初期損傷時に、見逃されることが多い。典型的に、対象は、13〜15(13〜15又は14〜15など)の間のGlasgow昏睡スケール数を有する。軽度TBIを伴う人々のうち、15パーセント(15%)は、3カ月間以上にわたり持続する症状を有する。軽度TBIは、頭部の強制的な運動又は精神状態の短い変化(意識混濁、見当識の喪失又は記憶喪失)を引き起こす衝撃又は30分間未満にわたる意識喪失の結果として規定される。軽度TBIの一般的な症状は、疲労感、頭痛、視覚障害、記憶喪失、注意/集中力の低下、睡眠障害、めまい/平衡感覚の喪失、易刺激性(感情障害)、抑うつ感覚及び発作を含む。軽度TBIと関連する他の症状は、悪心、嗅覚喪失、光及び音への過敏性、気分の変化、迷子若しくは意識混濁及び/又は思考遅滞を含む。
「軽度TBIサブクラス1」(TBI−1)とは、軽度TBIを有すると分類され、また、サブクラス2、3又は4の各々のうちの、対照(例えば、健常対照又はTBIを負っていない対照)と異なり、中等度〜重度のTBIを伴う対象と異なり、軽度TBIを伴う対象と異なる血漿プロテオームシグネチャーも呈する対象を指す。
「軽度TBIサブクラス2」(TBI−2)とは、軽度TBIを有すると分類され、また、サブクラス1、3又は4の各々のうちの、対照(例えば、健常対照又はTBIを負っていない対照)と異なり、中等度〜重度のTBIを伴う対象と異なり、軽度TBIを伴う対象と異なる血漿プロテオームシグネチャーも呈する対象を指す。
「軽度TBIサブクラス3」(TBI−3)とは、軽度TBIを有すると分類され、また、サブクラス1、2又は4の各々のうちの、対照(例えば、健常対照又はTBIを負っていない対照)と異なり、中等度〜重度のTBIを伴う対象と異なり、軽度TBIを伴う対象と異なる血漿プロテオームシグネチャーも呈する対象を指す。
本明細書において、「合併軽度TBI」ともまた言及された、「軽度TBIサブクラス4」(複合型TBI)は、軽度TBIを有すると分類され、また、サブクラス1、2又は3の各々のうちの、対照(例えば、健常対照又はTBIを負っていない対照)と異なり、中等度〜重度のTBIを伴う対象と異なり、軽度TBIを伴う対象と異なる血漿プロテオームシグネチャーも呈する対象を指す。加えて、軽度TBIサブクラス4を伴う対象は、重度TBIを有する対象の、プールされた試料から得られたプロテオームシグネチャーに相似するプロテオームシグネチャーを呈する。本明細書において開示されたデータにおいて、軽度TBIサブクラス4クラスターは、最大数の、GFAPレベル(ELISAベースのGFAPアッセイ及びGFAP質量分析に基づく)が上昇した対象を含有し、CTスキャンが陽性である対象だけを含有した。
本明細書において使用された「重度TBI」とは、意識喪失及び/又は意識混濁並びに見当識の喪失が、1〜24時間の間であり、対象が、9〜12の間のGlasgow昏睡スケール数を有する脳損傷を指す。中等度TBIを伴う個体は、脳イメージング結果の異常を有する。本明細書において使用された「重度TBI」とは、意識喪失が、24時間を超え、損傷又は穿通性頭蓋骨損傷後の記憶喪失が、24時間より長く、対象が、3〜8の間のGlasgow昏睡スケール数を有する脳損傷を指す。欠損は、高レベルの認知機能の機能障害〜昏睡状態の範囲にわたる。生存者は、腕部又は脚部の機能の限定、発話又は言語の異常、思考能力の喪失又は感情問題を有しうる。重度損傷を伴う個体は、長期にわたる不応状態に置かれたままになりうる。重度TBIを伴う多くの人々の場合、機能及び自立を最大化するために、長期にわたるリハビリが必要となることが多い。
中等度〜重度のTBIの一般的な症状は、注意、集中力、散漫性、記憶、処理速度、混乱、固執、衝動性、言語処理及び/又は「実行機能」に関する困難、発話された単語の無理解(受容失語症)、発話及び理解されることの困難(表現失語症)、発話の不明瞭、発話が極めて速い又は極めて遅い、読むときの問題、書くときの問題、接触、温度、運動の解釈、下肢の位置及び微細な識別、感覚的印象の、心理学的に有意味なデータへの統合又はパターン化に関する困難、部分的又は全体的な視覚の喪失、眼筋力の低下及び二重視覚(複視)、かすみ目、距離を判断するときの問題、非自発的な眼運動(眼振)、光不耐性(羞明)、聴力の低下又は喪失などの聴覚問題、耳が鳴ること(耳鳴り)、音に対する過敏性、嗅覚の喪失又は低下(無嗅覚)、味覚の喪失又は低下、てんかんと関連する痙攣であって、いくつかの種類であることが可能であり、意識、感覚的認知又は運動、腸及び膀胱の制御の破壊を伴いうる痙攣、睡眠障害、気力の喪失、食欲の変化、体温の調節、月経困難、依存性行動、感情能力、意欲の欠如、易刺激性、攻撃、抑うつ、脱抑制又は意識の否認/欠如を含む認知欠損を含む。
本明細書において、「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失又は保存的置換により、アミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持するペプチド又はポリペプチドについて記載するのに使用される。「SNP」とは、一塩基多型である変異体を指す。「生物学的活性」の代表例は、特異的抗体による結合を受ける能力又は免疫反応を促進する能力を含む。本明細書において、変異体はまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を伴う基準タンパク質と実質的に同一なアミノ酸配列を伴うタンパク質について記載するのにも使用される。当技術分野において、アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似の特性(例えば、親水性、帯電の程度及び帯電領域の分布)を有する、異なるアミノ酸により置き換えることは、典型的に、小さな変化を伴うこととして当技術分野において認識されている。当技術分野において理解された通り、これらの小さな変化は、部分的に、アミノ酸の疎水性指数を検討することにより同定されうる(Kyteら、J.Mol.Biol.157:105〜132(1982))。アミノ酸の疎水性指数は、その疎水性及び電荷の検討に基づく。当技術分野において、同様の疎水性指数を有するアミノ酸は、置換される場合があるが、なおも、タンパク質の機能を保持することが公知である。一態様において、±2の疎水性指数を有するアミノ酸は、置換される。アミノ酸の親水性もまた、生物学的機能を保持するタンパク質を結果としてもたらす置換を明らかにするのに使用されうる。ペプチドの文脈における、アミノ酸の親水性についての検討は、抗原性及び免疫原性とよく相関することが報告されている、有用な尺度である、このペプチドの局所平均親水性の最大値の計算を可能とする(参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,554,101号)。同様の親水性値を有するアミノ酸による置換は、生物学的活性、例えば、当技術分野において理解された免疫原性を保持するペプチドを結果としてもたらしうる。置換は、互いから±2以内の親水性値を有するアミノ酸により実施されうる。アミノ酸の疎水性指数及び親水性値のいずれも、このアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。生物学的機能と適合性であるアミノ酸置換が、疎水性、親水性、電荷、サイズ及び他の特性により明らかにされる通り、アミノ酸の相対的類似性に依存し、特に、これらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されることは、この観察と符合する。
本明細書において、「ベクター」とは、連結された別の核酸を運びうる核酸分子について記載するのに使用される。ベクターの1つの種類は、さらなるDNAセグメントがライゲーションされうる、環状二本鎖DNAループを指す、「プラスミド」である。ベクターの別の種類は、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノムへとライゲーションされうる、ウイルスベクターである。ある特定のベクターは、これらが導入される宿主細胞内の自己複製が可能である(例えば、細菌の複製起点及び哺乳動物のエピソームベクターを有する細菌ベクター)。他のベクター(例えば、哺乳動物の非エピソームベクター)は、宿主細胞へと導入されると、宿主細胞のゲノムへと組み込まれ、これにより、宿主ゲノムと共に複製されうる。さらに、ある特定のベクターは、作動的に連結される遺伝子の発現を方向付けることが可能である。本明細書において、このようなベクターは、「組換え発現ベクター」(又は、単に、「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。プラスミドは、最も一般に使用されるベクターの形態であるので、「プラスミド」と「ベクター」とは、互換的に使用されうる。しかし、ウイルスベクター(例えば、複製欠損性のレトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)など、同等な機能を果たす、発現ベクターの他の形態も使用されうる。この点で、ベクターのRNA形(ウイルス性RNAベクターを含む)もまた、本開示の文脈において使用されうる。
本明細書にそうでないことが規定されない限りにおいて、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有するものとする。例えば、本明細書において記載された、細胞培養法及び組織培養法、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学並びにタンパク質化学及び核酸化学及びハイブリダイゼーションとの関連において使用された用語法、並びにこれらについての技法は、周知の用語法及び技法であり、当技術分野において一般的に使用されている用語法及び技法である。用語の意味及び範囲は、明確であるものとするが、万一、なんらかの潜在的な曖昧さが生じた場合、本明細書において提示された定義が、任意の辞書又は外部の定義に対して優先される。さらに、文脈により、そうでないことが要求されない限りにおいて、単数形の用語は、複数形を含み、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
2.対象が外傷性脳損傷を負ったのかどうかの診断及び査定
本開示は、対象がTBI又は各種の軽度TBIを負ったのかどうかを含む、対象が頭部への損傷を負っている又はこれを負った可能性があるのかどうかについての診断、予後診断、危険性層別化及び査定の一助となる方法に関する。これらの方法は、推測される頭部への損傷を伴うヒト対象におけるTBIの程度及び/又は重症度を決定することであって、例えば、対象が軽度TBIを負っているのかどうかを決定することであり、そうである場合、負われた、軽度TBIのサブクラス、対象が中等度〜重度のTBIを負っているのかどうか又は対象がTBIを負っていないのかどうかを決定することを含む、決定することの一助となりうる。より具体的に、本開示のバイオマーカーは、診断検査において、脳損傷状態を決定、定量及び/又は評価する、例えば、個々の対象又は患者において、TBIを診断するのに使用されうる。一部の実施形態において、TBI状態は、患者の無症候性脳損傷状態又はSCI状態を決定して、例えば、個々の対象又は患者において、SCIを診断することを含みうる。本開示のバイオマーカーを検出又は測定することは、TBIを診断することの一助となることが可能であり、例えば、軽度TBIのサブクラスについて、TBIシグネチャーを生成することの一助となりうる。
対象が軽度TBI(又はmTBIのサブクラス)又は中等度〜重度のTBIを有するのかどうかを決定することは、1つ以上のTBIバイオマーカーを測定又は検出し、この情報を、他の情報(例えば、臨床評価データ)と統合して、対象がTBIを負った可能性が、TBIを負わなかった可能性より高いことを決定し、そうである場合、どの種類のTBIが負われたのかを決定することを含みうる。方法は、推測される頭部への損傷後約2時間以内など、約24時間以内に、ヒト対象から得られた試料に対して、アッセイを実施して、1つ以上のTBIバイオマーカーの、試料中レベルを測定又は検出するステップ;及び対象が軽度又は中等度〜重度の外傷性脳損傷(sTBI)を負っているのかどうかを決定するステップを含みうる。一部の実施形態において、対象は、1つ以上のTBIバイオマーカーの、試料中レベルが、1つ以上のTBIバイオマーカーの基準レベル(例えば、TBIバイオマーカーの、対照試料中レベル)と比較して変更されている(例えば、高発現レベル又は低発現レベルである)場合に、TBI及び/又は軽度TBIのサブクラスを有すると決定される。他の実施形態において、対象は、1つ以上のTBIバイオマーカーの、試料中レベルが検出される場合に、バイオマーカーレベルを確認する必要又は基準試料若しくは対照試料と比較する必要を伴わずに、TBI及び/又は軽度TBIのサブクラスを有すると決定される。
試料は、生物学的試料でありうる。本明細書において使用された「試料」は、互換的に使用される(例えば、試料、被験試料又は生物学的試料)場合があり、全血などの血液、組織、尿、血清、血漿、羊水、脳脊髄液、胎盤細胞若しくは胎盤組織、内皮細胞、リンパ球又は単球の試料でありうる。一部の実施形態において、方法は、対象に由来する試料を、対象への、推測される損傷から約48時間以内に得るステップ及び試料を、TBIバイオマーカーに対する抗体と接触させて、抗体とTBIバイオマーカーとの複合体の形成を可能とするステップを含みうる。方法はまた、結果として得られる抗体−TBIバイオマーカー複合体を検出するステップも含む。
一部の実施形態において、対象は、TBIバイオマーカーのレベルが、1つ以上の時点において、決定される前に又は決定された後において、Glasgow昏睡スケールスコアを受けている場合がある。ある特定の実施形態において、対象は、Glasgow昏睡スケールスコアに基づき、軽度TBIを有することが推測されうる。ある特定の実施形態において、対象は、異常な頭部CTに基づき、軽度TBIを有することが推測されうる。一部の実施形態において、対象は、アッセイが実施される前に又は実施された後において、CTスキャンを受けている。一部の実施形態において、対象は、正常な頭部CTを有する。一部の実施形態において、TBIバイオマーカーの基準レベルは、TBIを有する対象と相関する。一部の実施形態において、TBIバイオマーカーの基準レベルは、Glasgow昏睡スケールスコアと相関する。
一般に、TBIバイオマーカーの基準レベルはまた、被験試料を、TBIバイオマーカーについてアッセイしたときに得られた結果を評価するためのベンチマークとしても利用されうる。一般に、このような比較を行う場合に、TBIバイオマーカーの基準レベルは、解析物の存在、量又は濃度の、TBIの特定の病期若しくはエンドポイント又は特定の徴候との連関又は関連を成立させるような、十分な回数及び適切な条件下において、特定のアッセイを行うことにより得られる。典型的に、TBIバイオマーカーの基準レベルは、基準対象(又は対象の集団)についてのアッセイにより得られる。測定されるTBIバイオマーカーは、この断片、この分解産物及び/又は酵素によるこの切断産物を含みうる。ある特定の実施形態において、基準レベルは、頭部損傷を負っていない対照の対象と相関しうる。
本明細書において記載された方法において利用されたアッセイの性質は、それほど重要ではなく、検査は、例えば、イムノアッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、ウェスタンブロット若しくはタンパク質免疫染色又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは液体クロマトグラフィー−質量分析(LC/MS)、DIA−MS、DDA−MS、PRM−MS若しくはSRM/MRM−MSによる質量分析アッセイ直接又は富化(例えば、富化は、標的タンパク質(複数可)に対する抗体を介しうる。)などの、分光法など、当技術分野において公知である、任意のアッセイでありうる。質量分析の前に、試料を、候補バイオマーカータンパク質について、選択的に富化するのに使用された捕捉試薬は、アプタマー、抗体、核酸プローブ、キメラ体、低分子、F(ab’)断片、単鎖抗体断片、Fv断片、単鎖Fv断片、核酸、レクチン、リガンド結合性受容体、アフィボディー、ナノボディー、アンキリン、ドメイン抗体、代替的抗体足場(例えば、ダイアボディーなど)インプリントポリマー、アビマー、ペプチド模倣体、ペプトイド、ペプチド核酸、トレオース核酸、ホルモン受容体、サイトカイン受容体及び合成受容体並びにこれらの修飾及び断片を含むがこれらに限定されない。富化と共に、マトリックス支援レーザー脱着/イオン化飛行時間(MALDI−TOF MS又はMALDI−TOF)もまた使用されうる。当業者に公知の、臨床化学フォーマットにおけるアッセイもまた利用されうる。
3.TBIバイオマーカーパネル
本開示のバイオマーカーは、TBI状態など、患者における脳損傷状態を評価、決定及び/又は定量する(本明細書において互換的に使用された)診断検査において使用されうる。「脳損傷状態」という語句は、脳損傷を有さないことを含む、任意の識別可能な状態の顕示を含む。例えば、脳損傷状態は、限定せずに述べると、患者における脳損傷の存在又は非存在、脳損傷を発症する危険性、脳損傷の病期又は重症度、脳損傷の進行(例えば、脳損傷の時間経過にわたる進行)、脳損傷の処置の有効性又はこれに対する応答(例えば、処置の後における、脳損傷の臨床追跡及び臨床監視)及びTBI又はTBIのサブクラスなど、脳損傷の種類を含む。この状態に基づき、さらなる診断検査又は治療手順又はレジメンを含む、さらなる手順が指し示されうる。
診断的検査が、状態を正しく予測する力は、一般に、アッセイの感度、アッセイの特異度又は受信者動作特性(「ROC」)曲線下面積として測定される。感度が、検査により、陽性であることが予測された、真陽性の百分率であるのに対し、特異度とは、検査により、陰性であることが予測された、真陰性の百分率である。ROC曲線は、検査の感度を、1−特異度の関数として提示する。ROC曲線下面積が大きいほど、検査の予測値が強力となる。検査の有用性についての、他の有用な尺度は、陽性予測値及び陰性予測値である。陽性予測値とは、検査により陽性とされた人が、実際に陽性である百分率である。陰性予測値とは、検査により陰性とされた人が、実際に陰性である百分率である。
本開示に記載されたデータ並びにTBI患者及び対照患者のコホートに由来する臨床的データの解析は、対象における脳損傷を診断及び/又は査定するのに、個別に又は互いと組み合わせて、かつ、パネルの形態にある、他のバイオマーカーと組み合わせて使用されうる、多様なTBIバイオマーカーの生成を結果としてもたらした。TBIバイオマーカーパネルは、本明細書において開示されたTBIバイオマーカーのうちのいずれか1つを含むことが可能であり、顕著に異なるタンパク質に対応する、1つを超え、かつ、最大で20の、異なるバイオマーカーを含みうる。TBIバイオマーカーパネルはまた、非TBIバイオマーカー(例えば、アッセイ対照バイオマーカー)及びTBIと関連することが既に同定されたバイオマーカー(例えば、GFAP及び/又はUCH−L1及び/又はNSE)も含みうる。本開示の一部の実施形態においてバイオマーカーパネルは、異なるTBI状態における統計学的差違を示しうる。これらのバイオマーカーを使用する診断検査は、少なくとも0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8又は少なくとも約0.9のROCを示しうる。
TBIバイオマーカーは、TBIの種類又はサブクラス(例えば、TBIシグネチャー)に応じて、示差的に存在しうる/発現しうるので、1つを超えるTBIバイオマーカーのパネルは、脳損傷状態の決定の一助となることにおいて有用でありうる。一部の実施形態において、バイオマーカーは、本明細書において記載された方法を使用して、患者試料中において測定し、例えば、所定のバイオマーカーレベルと比較し、TBI状態と相関させる。一部の実施形態において、次いで、測定値(複数可)は、陽性TBI状態を、陰性TBI状態から識別する、関与性の診断量(複数可)、カットオフ(複数可)又は多変量モデルスコアと比較されうる。診断量(複数可)は、それを上回る又は下回る患者が、特定のTBI状態を有すると分類される、バイオマーカー(複数可)の測定量を表す。例えば、バイオマーカー(複数可)が、脳損傷時に、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)と比較して上方調節された場合、診断カットオフ(複数可)を上回る測定量(複数可)は、TBIの診断を提示しうる。加えて、バイオマーカー(複数可)が、脳損傷時に存在し、かつ、対照において、検出可能でない場合、任意の検出可能な測定量(複数可)は、脳損傷の診断を提示しうる。代替的に、バイオマーカー(複数可)が、脳損傷時に、下方調節された場合、診断カットオフ(複数可)における又はこれを下回る測定量(複数可)は、非脳損傷の診断を提示しうる。加えて、バイオマーカー(複数可)が、脳損傷時に存在せず、かつ、対照において、検出可能である場合、任意の検出可能な測定量(複数可)は、非脳損傷の診断を提示しうる。当技術分野において、十分に理解される通り、アッセイにおいて使用された、特定の診断カットオフ(複数可)を調整することにより、診断者の優先に応じて、診断アッセイの感度又は特異度を増大させることができる。特定の実施形態において、特定の診断カットオフは、例えば、バイオマーカーの、異なる脳損傷状態を伴う患者に由来する、統計学的に有意な数の試料中の量を測定し、所望される特異度及び感度レベルに適するカットオフを引き出すことにより決定されうる。
実際、当業者が理解する通り、探索下にある診断問題を改善するために、2つ以上のバイオマーカーの測定値を使用する、多くの方式が存在する。極めて単純であるが、にもかかわらず、しばしば有効な手法において、試料が、探索されたマーカーのうちの少なくとも1つについて陽性である場合、陽性結果が仮定される。
さらに、ある特定の実施形態において、バイオマーカーパネルのマーカーについて測定された値は、数学的に組み合わされ、組み合わされた値は、根底的な診断問題と相関させる。バイオマーカー値は、任意の適切な最新の数学的方法により組み合わされうる。マーカーの組合せを、疾患状態と相関させるための、周知の数学的方法は、判別分析(DA)(例えば、線形DA、二次DA、正規化DA)、判別関数分析(DFA)、カーネル法(例えば、SVM)、多次元スケーリング(MDS)、ノンパラメトリック法(例えば、k近傍分類器)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベースの方法(例えば、論理回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング/バギング法)、一般化線型モデル(例えば、ロジスティック回帰)、主成分ベースの方法(例えば、SIMCA)、一般化加法モデル、ファジー論理ベースの方法、ニューラルネットワーク及び遺伝子アルゴリズムベースの方法などの方法を利用する。当業者は、本発明のバイオマーカーの組合せを査定するのに適切な方法を選択するのに問題を有さない。一実施形態において、本発明のバイオマーカーの組合せを相関させて、例えば、脳損傷を診断するのに使用される方法は、DA(例えば、線形判別解析、二次判別解析、正規化判別解析)、DFA、カーネル法(例えば、SVM)、MDS、ノンパラメトリック法(例えば、k近傍分類器)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベースの方法(例えば、論理回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング法)又は一般化線型モデル(例えば、ロジスティック回帰)及び主成分分析から選択される。これらの統計学的方法に関する詳細は、以下の参考文献:Ruczinskiら、J.OF COMPUTATIONAL AND GRAPHICAL STATISTICS、475〜511(2003);Friedman,J.H.、J.OF THE AMERICAN STATISTICAL ASSOCIATION、165〜75(1989);Hastie、Trevor、Tibshirani、Robert、Friedman、Jerome、「The Elements of Statistical Learning」、Springer Series in Statistics(2001);Breiman,L.、Friedman,J.H.、Olshen,R.A.、Stone,C.J.、「Classification and regression trees」、California:Wadsworth(1984);Breiman,L.、「MACHINE LEARNING」、5〜32(2001);Pepe,M.S.、「The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction」、Oxford Statistical Science Series、28(2003)及びDuda,R.O.、Hart,P.E.、Stork,D.G.、「Pattern Classification」、Wiley Interscience、2版(2001)において見出される。
4.バイオマーカーを使用する、TBIの特徴の評価
一部の実施形態において、本開示は、1つ以上のTBIバイオマーカーの検出、非検出及び/又は検出レベルに基づき、TBIの重症度、異なる種類のTBIを特徴付けることなど、TBIを特徴付け、かつ/又は類別するための方法を提示する。TBIの各クラス又は各サブクラスは、特徴的レベルのバイオマーカー又は相対レベルのバイオマーカー(シグネチャー)のセットを有する可能性が高い。一実施形態において、本開示は、患者における、進行(増悪)及び退縮(改善)を含む、TBI状態の進行を、時間経過にわたり査定するための方法を提示する。時間経過にわたり、TBIバイオマーカーの量又は相対量(例えば、パターン又はシグネチャー)は変化しうる。例えば、バイオマーカー「X」が、脳損傷と共に増大しうるのに対し、バイオマーカー「Y」は、脳損傷と共に減少しうる。したがって、これらのバイオマーカーが、時間経過にわたり、増大又は減少して、脳損傷又は非脳損傷への傾向を示すことは、状態の経過を指し示す。したがって、この方法は、患者における、1つ以上のバイオマーカーのレベルを、少なくとも2つの異なる時点において測定するステップ(例えば、第1の時点及び第2の時点であり、変化があれば、これを比較するステップ)を伴う。
一部の実施形態において、TBIのクラス又はサブクラスは、関与性のバイオマーカーを測定し、次いで、それらを、分類アルゴリズムにかける又はそれらを、基準量(例えば、特定のクラス又はサブクラスと関連する、バイオマーカーの所定のレベル又はパターン)と比較することにより特徴付けられうる。
一部の実施形態において、次いで、「既知の試料」などの試料を使用して生成されたデータは、分類モデルを「トレーニングする」のに使用されうる。「既知の試料」とは、あらかじめ分類された試料である。分類モデルを形成するのに使用されたデータは、「トレーニングデータセット」と称されうる。分類モデルを形成するのに使用されたトレーニングデータセットは、生データ又は前処理データを含みうる。トレーニングされたら、分類モデルは、未知の試料を使用して生成されたデータ内のパターンを認識しうる。次いで、分類モデルは、未知の試料を、クラスへと分類するのに使用されうる。これは、例えば、特定の生物学的試料が、ある特定の生物学的状態(例えば、非罹患状態と対比した罹患状態)と関連するのかどうかを予測するのに有用でありうる。
分類モデルは、データ内に存在する客観的パラメータに基づき、データの本体を、クラスへと分別しようと試みる、任意の適切な統計学的分類法又は学習法を使用して形成されうる。分類法は、教師ありの場合もあり、教師なしの場合もある。教師ありの分類工程及び教師なしの分類工程の例について、その教示が、参照により組み込まれている、Jain、「Statistical Pattern Recognition:A Review」、IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence、22巻、1号、2000年1月において記載されている。
教師ありの分類において、既知の類別の例を含有するトレーニングデータを、既知のクラスの各々を規定する、1つ以上の関係のセットを学習する、学習機構へと提示する。次いで、新たなデータを、学習機構へと適用することができ、次いで、これが、学習された関係を使用して新たなデータを分類する。教師ありの分類工程の例は、線形回帰工程(例えば、多重線形回帰(MLR)、部分最小平方(PLS)回帰及び主成分回帰(PCR))、二分決定木(例えば、CARTなどの再帰分割工程)、バックプロパゲーションネットワークなどの人工ニューラルネットワーク、判別分析(例えば、ベイズ分類器又はフィッシャー解析)、ロジスティック分類器及びサポートベクター分類器(サポートベクターマシン)を含む。
別の教師ありの分類法は、再帰分割工程である。再帰分割工程は、再帰分割木を使用して、未知の試料に由来するデータを分類する。再帰分割工程についてのさらなる詳細は、Paulseらによる、米国特許出願公開第2002/0138208A1号、「Method for analyzing mass spectra」において提示されている。
他の実施形態において、創出される分類モデルは、教師なしの学習法を使用して形成されうる。教師なしの分類は、トレーニングデータセットが導出されたスペクトルを、あらかじめ分類せずに、トレーニングデータセット内の類似性に基づき、分類を学習しようと試みる。教師なしの学習法は、クラスター解析を含む。クラスター解析は、データを、理想的に、互いと極めて類似し、他のクラスターのメンバーと極めて相違するメンバーを有する、「クラスター」又は群へと分けようと試みる。次いで、データ項目間の距離を測定し、互いと近接するデータ項目を、一体にクラスター化する、何らかの距離計量を使用して、類似性が測定される。クラスター化法は、マクイーンのK平均アルゴリズム及びコホネンの自己組織化写像アルゴリズムを含む。
生物学的情報の分類における使用のために実行された学習アルゴリズムについては、例えば、PCT国際公開第WO01/31580号(Barnhillら、「Methods and devices for identifying patterns in biological systems and methods of use thereof」)、米国特許出願公開第2002/0193950号(Gavinら、「Method or analyzing mass spectra」)、米国特許出願公開第2003/0004402号(Hittら、「Process for discriminating between biological states based on hidden patterns from biological data」)及び米国特許出願公開第2003/0055615号(Zhang及びZhang、「Systems and methods for processing biological expression data」)において記載されている。
分類モデルは、任意の適切なデジタルコンピュータ上における形成が可能であり、この上において使用されうる。適切なデジタルコンピュータは、Unix、Windows(登録商標)又はLinux(商標)ベースのオペレーティングシステムなど、任意の標準的又は専門的オペレーティングシステムを使用する、マイクロコンピュータ、小型コンピュータ又は大型コンピュータを含む。質量分析計を用いる実施形態において、使用されるデジタルコンピュータは、目的のスペクトルを創出するのに使用される質量分析計から、物理的に分離されている場合もあり、質量分析計へとカップリングされている場合もある。
本発明の実施形態に従うトレーニングデータセット及び分類モデルは、デジタルコンピュータにより実行又は使用されるコンピュータコードにより実施されうる。コンピュータコードは、光学ディスク又は磁気ディスク、スティック、テープなどを含む、任意の適切なコンピュータ読取り可能媒体上の保存が可能であり、R、C、C++、ビジュアルベーシックなどを含む、任意の適切なコンピュータプログラミング言語により書き込まれうる。
上記において記載した学習アルゴリズムは、既に発見されたバイオマーカーについての分類アルゴリズムの開発及び新たなバイオマーカーの発見の両方に有用である。分類アルゴリズムは、単独で又は組合せで使用されるバイオマーカーについての診断値(例えば、カットオフ点)をもたらすことにより、診断検査のためのベースを形成する。
5.TBIを患う対象の処置及びモニタリング
TBIを有すると同定又は評価された対象は、多様なTBIバイオマーカーを検出又は測定することを含みうる評価に基づき、処置又はモニタリングされうる。一部の実施形態において、方法は、TBIを有すると評価されたヒト対象を、頭部への損傷の重症度に応じて、様々な形態を取りうる処置により処置するステップをさらに含む。例えば、軽度TBIを患う対象の場合、処置は、休息、スポーツなどの、身体活動の抑制、日向に出るときの、光線の回避又はサングラスの着用、頭痛又は偏頭痛を緩和するための薬物、抗悪心薬などのうちの1つ以上を含みうる。重度TBIを患う患者のための処置は、1つ以上の適切な薬物(例えば、利尿剤、抗痙攣薬物、個体を鎮静させ、薬物誘導性昏睡へと導く薬物など)又は他の医薬若しくは生物医薬(TBIの処置のために公知の医薬又は将来開発される医薬)の投与、1つ以上の手術手順(例えば、血腫の除去、頭蓋骨骨折の修復、減圧開頭術など)、1つ以上の治療(例えば、1つ以上のリハビリ、認知行動療法、アンガーマネージメント、心理カウンセリングなど)を含みうる。一部の実施形態において、方法は、外傷性脳損傷(例えば、軽度又は中等度〜重度の外傷性脳損傷)を有すると評価されたヒト対象をモニタリングするステップをさらに含む。一部の実施形態において、軽度外傷性脳損傷又は重度外傷性脳損傷などの外傷性脳損傷を有すると同定された対象は、CTスキャン又はMRIによりモニタリングされうる。
一実施形態において、本開示は、患者において、TBIを発症する危険性を決定するための方法を提示する。TBIバイオマーカーの百分率、量又はパターンは、多様な危険性状態(例えば、高度、中程度又は低度)に特徴的である。TBIを発症する危険性は、関与性のバイオマーカーを測定し、次いで、それらを、分類アルゴリズムにかける又はそれらを、基準量(例えば、特定の危険性レベルと関連する、バイオマーカーの所定のレベル又はシグネチャー)と比較することにより、決定されうる。
一部の実施形態において、TBIを負っている対象を処置することは、1つ以上のTBIバイオマーカーを使用して確立されたTBI状態に基づき、患者の処置を管理することを含みうる。このような管理は、TBI状態の決定に後続する、医師又は臨床医の措置を含みうる。例えば、医師が、軽度TBIの診断を下す場合、ある特定のモニタリングするレジメが後続する。次いで、本開示の方法を使用する、TBIの経過の評価は、ある特定のTBI治療レジメンを要求しうる。代替的に、非TBIの診断に、患者が患いうる、特殊な疾患を決定する、さらなる検査が後続しうる。診断検査が、TBI状態について、確定的でない結果を示す場合、さらなる検査もまた要求されうる。
別の実施形態において、本開示は、医薬の治療有効性を、TBI処置の文脈において決定するための方法を提示する。これらの方法は、薬物についての臨床試験を実施することのほか、患者の進行を、薬物についてモニタリングすることにも有用でありうる。治療又は臨床試験は、特定のレジメンにおける薬物の投与を伴う。レジメンは、時間経過にわたる、薬物の単回投与又は薬物の複数回投与を伴いうる。医者又は臨床研究者は、薬物の、患者又は対象に対する効果を、投与経過にわたりモニタリングする。薬物が、状態に対して、薬理学的影響を及ぼす場合、本発明のTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の量又は相対量(例えば、パターン又はシグネチャー)は、非脳損傷プロファイルへと変化しうる。したがって、処置の経過中の、患者における、1つ以上のTBIバイオマーカーの経過を追跡することができる。
したがって、この方法は、薬物療法を施される患者における、1つ以上のTBIバイオマーカーを測定するステップ及びバイオマーカーレベルを、患者のTBI状態と相関させるステップ(例えば、異なる脳損傷状態に対応する、バイオマーカーの所定のレベルに対する比較により)を伴いうる。この方法の一実施形態は、1つ以上のTBIバイオマーカーのレベルを、薬物療法の経過中の、少なくとも2つの異なる時点において決定するステップ(例えば、第1の時点及び第2の時点であり、バイオマーカーのレベルの変化があれば、これを比較するステップ)を伴いうる。例えば、1つ以上のTBIバイオマーカーのレベルは、薬物投与の前及び後に又は薬物投与中の、2つの異なる時点において測定されうる。治療の効果は、これらの比較に基づき決定される。処置が有効である場合、1つ以上のTBIバイオマーカーは、正常への傾向を示すが、処置が無効である場合、1つ以上のTBIバイオマーカーは、脳損傷徴候への傾向を示す。
6.TBIについてのバイオマーカー
本明細書において記載された方法は、TBIを負った可能性がある対象の診断及び査定の一助となりうる、1つ以上のTBIバイオマーカー又は候補TBIバイオマーカーを同定するのに使用されうる。下記に、例示的なTBIバイオマーカーについて記載される。
a.組入れのためのTBIバイオマーカー
下記において記載される、以下のTBIバイオマーカーは、単独又は組合せで検出された場合に、健常対象を、TBIを負っている対象から識別することが可能であると同定された。
エズリン(EZR)
EZRはまた、サイトビリン又はビリン2としても公知であり、ヒトにおいて、EZR遺伝子によりコードされたタンパク質をコードする。エズリンのN末端は、FERMドメインを含有し、これは、3つのサブドメインへと、さらに細分される。C末端は、ERMドメインを含有する。エズリンは、主要な細胞骨格構造の、細胞膜への接続に関与すると考えられる。上皮細胞内において、エズリンは、頂端極における、微絨毛及び膜ひだの形成に要求される。エズリンは、PLEKHG6と共に、正常な微飲作用に要求される(UniProt基本受託番号:P15311)。
4−トリメチルアミノブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH9A1又はAL9A1)
AL9A1は、4−トリメチルアミノブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、TMABADH、アルデヒドデヒドロゲナーゼE3アイソザイム、アルデヒドデヒドロゲナーゼファミリー9メンバーA1、ガンマ−アミノブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、R−アミノブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼとしてもまた公知である。ALDH9A1又はAL9A1は、ガンマ−トリメチルアミノブチルアルデヒドを、ガンマ−ブチロベタインへと転換し、NAD依存性反応における、広範にわたるアルデヒドの、対応する酸への不可逆的酸化を触媒する。ALDH9A1又はAL9A1は、成人の肝臓、骨格筋及び腎臓において、高度に発現され、心臓、膵臓、肺及び脳において、低レベルで発現され、脳全ての領域内において発現される。発現レベルは、異なる脳領域内において可変的であり、脊髄において最高レベルであり、後頭極において最低レベルである(UniProt基本受託番号:P49189)。
ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットガンマ(ATPG)
ミトコンドリア膜ATPシンターゼ(F ATPシンターゼ又は複合体V)は、呼吸鎖の電子輸送複合体により発生した、膜にわたるプロトン勾配の存在下において、ADPから、ATPを生成させる。F型ATPアーゼは、中心ストーク及び外周ストークにより、一体に連結された、2つの構造的ドメインである、膜外触媒性コアを含有するF及び膜プロトンチャネルを含有するFからなる。触媒時に、Fの触媒性ドメイン内のATP合成は、中心ストークサブユニットの回転機構を介して、プロトン転移へとカップリングされる。ATPGは、複合体のFドメインの一部及び複合体の回転要素の一部である、中心ストークである。ガンマサブユニットは、アルファベータからなる触媒性ドメインへと突出している。中心ストークの、周囲のアルファベータサブユニットに対する回転は、ベータサブユニット上の、3つの個別の触媒性部位内の、ATPの加水分解をもたらす(UniProt基本受託番号:P36542)。
補体C1rサブコンポーネント様タンパク質(C1RL)
C1RLは、小胞体内の、HP/ハプトグロビンのタンパク質分解性切断を媒介する。C1RLと関連する疾患は、卵巣腺癌を含む(UniProt基本受託番号:Q9NZP8)。
カリン関連NEDD8解離タンパク質1(CAND1)
CAND1は、SCF複合体内の、基質認識Fボックスサブユニットの交換を促進し、これにより、SCF複合体の、細胞内レパートリーにおいて、鍵となる役割を果たす、SCF(SKP1−CUL1−Fボックスタンパク質)E3ユビキチンリガーゼ複合体の、鍵となるアセンブリー因子である。CAND1は、Fボックスタンパク質交換因子として作用する。CAND1の交換活性は、NEDD8化によるコンジュゲーションのサイクルとカップリングしている:脱NEDD8化状態において、カリン結合CAND1は、CUL1−RBX1に結合し、SCF複合体の解離を増大させ、Fボックスタンパク質の交換を促進する。CAND1は、おそらく、他のカリン−RING E3ユビキチンリガーゼ複合体内においても、同様の役割を果たす(UniProt基本受託番号:Q86VP6)。
エピプラキン(EPIPL又はEPPK1)
EPIPLは、ストレスに応答して、中間径フィラメントに接続し、それらの再組織化を制御する、細胞骨格リンカータンパク質である。創傷治癒などの機械的ストレスに応答して、EPIPLは、角化細胞の遊走及び増殖を緩徐化させ、角化細胞の増殖におけるケラチンのバンドル化を加速化させることにより、細胞の運動性機構と関連し、これにより、組織のアーキテクチャに寄与する。しかし、角膜上皮の創傷治癒において、EPIPLはまた、細胞の分化及び増殖を正に調節し、遊走を負に調節し、これにより、角膜上皮の形態形成及び完全性も制御する。細胞ストレスに応答して、EPIPLは、おそらく、ケラチンフィラメントを、破壊に対して保護することにより、ケラチンフィラメントの再組織化において役割を果たす。肝臓及び膵臓の損傷時に、EPIPLは、疾患誘導性の中間径フィラメントの再組織化をシャペロニングすることにより、保護の役割を果たす(類似性による)(UniProt基本受託番号:P58107)。
ミトコンドリアヒドロキシアシルグルタチオンヒドロラーゼ(GLO2又はHAGH)
GLO2は、グルタチオン及びD−乳酸を形成する、S−D−ラクトイル−グルタチオンの加水分解を触媒する、チオールエステラーゼである(UniProt基本受託番号:Q16775)。
免疫グロブリン定常重鎖アルファ2(IGHA2)
IGHA2は、免疫グロブリン重鎖の定常領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする。Igアルファは、体内分泌において、主要な免疫グロブリンクラスである(UniProt基本受託番号:P01877)。
妊娠関連タンパク質(PZP)
PZPは、固有の「トラッピング」機構により、4つのクラス全てのプロテイナーゼを阻害することが可能である。PZPは、異なるプロテイナーゼに対する、特異的な切断部位を含有する、「ベイト領域」と呼ばれる、ペプチドの連なりを有する。プロテイナーゼが、ベイト領域を切断すると、プロテイナーゼをトラッピングするPZP内において、コンフォメーション変化が誘導される。取り込まれた酵素は、低分子量基質に対する活性を維持する(高分子量基質に対する活性は、大幅に低減される。)。ベイト領域内の切断後、チオエステル結合は加水分解され、PZPの、プロテイナーゼへの共有結合を媒介する(UniProt基本受託番号:P20742)。
細胞質トレオニン−tRNAリガーゼ(SYTC又はTARS)
SYTCは、反応:ATP+L−トレオニン+tRNA(Thr)=AMP+二リン酸+L−トレオニル−tRNA(Thr)を触媒する。SYTCは、タンパク質内の、4つの顕著に異なるサブサイトに結合し、3つの基質全ての結合を防止する、ボレリジン(BN;IC50は、7nMである。)により阻害される(UniProt基本受託番号:P26639)。
細胞質チロシン−tRNAリガーゼ(SYYC又はYARS)
SYYCは、2ステップの反応において、チロシンの、tRNA(Tyr)への接合を触媒する:チロシンは、まず、ATPにより活性化して、Tyr−AMPを形成し、次いで、tRNA(Tyr)のアクセプター末端へと転移される(UniProt基本受託番号:P54577)。
タンパク質ABHD14B(ABHEB又はABHD14B)
ABHEBは、酪酸p−ニトロフェニルに対するヒドロラーゼ活性を呈し(インビトロ)、転写を活性化させうる(UniProt基本受託番号:Q96IU4)。
ジナミン1様タンパク質(DNM1L)
DNM1Lは、ミトコンドリア及びペルオキシソームの分裂において機能する。DNM1Lは、分離部位を包み込み、ミトコンドリア膜を締め付け、GTP加水分解依存性機構を介して切り離す、膜会合型管状構造へのオリゴマー化を介する、膜分裂を媒介する。ミトコンドリア分裂におけるその機能を介して、DNM1Lは、酸化ダメージを抑制することにより、プルキンエ細胞を含む、少なくとも一部の種類の、有糸分裂後ニューロンの生存を確保する。DNM1Lは、小脳の発生を含む、正常な脳の発生に要求される。DNM1Lは、神経管形成時における、発生調節型アポトーシスを容易とする。DNM1Lは、アポトーシス時における、正常速度のチトクロームc放出及びカスパーゼの活性化に要求され、この要件は、細胞型及び生理学的アポトーシスキューに依存する。DNM1Lは、有糸分裂時の、ミトコンドリア分裂において、重要な役割を果たす。DNM1Lは、エンドサイトーシス小胞の形成に要求される。DNM1Lは、シナプス小胞内の、そのGTPアーゼ活性を刺激する、BCL2L1のアイソフォームである、Bcl−X(L)との会合を介して、シナプス小胞膜動態を調節することが提起されており、機能は、MFFにより、クラスリン含有小胞へと、その動員を要求しうる。そして、DNM1Lは、プログラム壊死の実行に要求される(UniProt基本受託番号:000429)。
フィコリン2(FCN2)
FCN2は、自然免疫において、レクチン補体経路の活性化を介して機能しうる。FCN2は、レクチンへの、カルシウム依存性の、GlcNAc結合を呈する。FCN2は、好中球による、S.チフィムリウム(S.typhimurium)の食作用を増強することから、コラーゲン領域を介するオプソニン効果が示唆される(UniProt基本受託番号:Q15485)。
反転フォルミン2(IFN2)
IFN2は、アクチンフィラメントの切離しに関与し、それらの重合及び脱重合を加速化させる(UniProt基本受託番号:Q27J81)。
表皮ケラチンII型細胞骨格2(K22E又はKRT2)
K22Eは、中間タンパク質であり、末端の角化に寄与すると考えられる。K22Eは、角化細胞の活性化、増殖及びケラチン化と関連する(UniProt基本受託番号:P35908)。
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ5(M3K5又はMAP3K5)
M3K5は、MAPキナーゼシグナル伝達経路の不可欠の構成要素として作用する、セリン/トレオニンキナーゼである。M3K5は、環境の変化により惹起される細胞応答のカスケードにおいて、重要な役割を果たす。M3K5は、分化及び生存など、細胞運命の決定のためのシグナル伝達を媒介する。M3K5は、ミトコンドリア依存性のカスパーゼ活性化を介する、アポトーシスシグナル伝達経路において、極めて重要な役割を果たす。MAP3K5/ASK1は、広範にわたる病原体に対する宿主防御に不可欠の自然免疫応答に要求される。M3K5は、酸化ストレスなどの多様なストレス因子のシグナル伝達ほか、腫瘍壊死因子(TNF)又はリポ多糖(LPS)などの受容体媒介性炎症性シグナルによるシグナル伝達を媒介する。活性化すると、M3K5は、MAP2K4/SEK1、MAP2K3/MKK3、MAP2K6/MKK6及びMAP2K7/MKK7など、いくつかのMAPキナーゼキナーゼのリン酸化及び活性化を介する、MKK/JNKシグナル伝達カスケード及びp38MAPKシグナル伝達カスケードの、上流の活性化因子として作用する。これらのMAP2Kは、p38MAPK及びc−junN末端キナーゼ(JNK)を活性化させる。p38MAPK及びJNKのいずれも、転写因子活性化因子タンパク質1(AP−1)を制御する(UniProt基本受託番号:Q99683)。
核内受容体コリプレッサー1(NCOR1)
NCOR1は、ある特定の核内受容体による、転写の抑制を媒介する。NCOR1は、ヒストンの脱アセチル化及び基底転写因子の接近を妨げる、抑制性クロマチン構造の形成を促進する複合体の一部である。NCOR1は、BCL6によりもたらされる、転写リプレッサー活性に参与する(UniProt基本受託番号:075376)。
スプラバシン(SBSN)
SBSNは、マウス及びヒトにおいて発現される、新規の遺伝子であって、角化細胞を分化させる遺伝子である。SBSNは、層別化された上皮の有棘層から分泌されると考えられ、第2染色体上に、ダーモカインアルファ/ダーモカインベータ及びKdapと共に、新規の遺伝子複合体を形成しうる(UniProt基本受託番号:Q6UWP8)。
二官能性グルタミン酸/プロリン−tRNAリガーゼ(SYEP又はEPRS)
SYEPは、2ステップの反応において、コグネイトアミノ酸の、対応するtRNAへの接合を触媒する:チロシンは、まず、ATPにより活性化して、共有結合中間体を形成し、次いで、コグネイトtRNAのアクセプター末端へと転移される。SYEPは、炎症過程において、インターフェロンガンマ誘導転写物選択的翻訳阻害を媒介する、GAIT(gamma interferon−activate inhibitor of translation)複合体の構成要素である。インターフェロンガンマの活性化及び後続のリン酸化がなされると、SYEPは、マルチシンセターゼ複合体から解離し、GAIT複合体へとアセンブルされ、これは、多様な炎症性mRNAの3’−UTR内の、ステムループ含有GAITエレメント(セルロプラスミンなど)に結合し、それらの翻訳を抑制する(UniProt基本受託番号:P07814)。
トリペプチジルペプチダーゼ2(TPP2)
TPP2は、ユビキチン−プロテアソーム経路内の、26Sプロテアソームの下流において作用するタンパク質分解性カスケードの構成要素である。TPP2は、26Sプロテアソームが阻害されるという条件下において、26Sプロテアソーム機能を、ある程度補完することが可能でありうる。TPP2は、脂質生成を刺激する(類似性による)(UniProt基本受託番号:P29144)。
アネキシンA6(ANXA6)
ANXA6は、CD21と会合することが可能であり、細胞内貯蔵部からの、Ca2+の放出を調節しうる。ANXA6は、分泌されうる(UniProt基本受託番号:P08133)。
小胞体アミノペプチダーゼ1(ERAP1)
ERAP1は、大半のHLAクラスI結合ペプチドの生成に要求されるステップである、ペプチドトリミングにおいて中心的役割を果たす、アミノペプチダーゼである。ペプチドトリミングは、MHCクラスI分子上の提示に要求される、適正な長さへと、それらを適合させるように、より長い前駆体ペプチドをカスタマイズするのに不可欠である。9〜16残基の長さの基質が、ERAP1に強く好適である。ERAP1は、13マー〜9マーへと、急速に分解し、次いで、停止する。ERAP1は、残基であるLeu及び疎水性のC末端を伴うペプチドを優先的に加水分解する一方、帯電C末端を伴うペプチドに対する活性は弱い。ERAP1は、ペプチドホルモンの不活化において、役割を果たしうる。ERAP1は、腎臓内の、アンジオテンシンIIの不活化及び/又はブラジキニンの生成を介して、血圧の調節に関与しうる(UniProt基本受託番号:Q9NZ08)。
第V凝固因子(FA5又はF5)
FA5は、止血の中心的調節因子である。FA5は、プロトロンビンの、トロンビンへの活性化を結果としてもたらす、第Xa因子のプロトロンビナーゼ活性に対する、極めて重要な補因子として用いられる(UniProt基本受託番号:P12259)。
グルコース−6−リン酸イソメラーゼ(G6PI又はGPI)
G6PIは、解糖酵素であり、哺乳動物G6PIは、内皮細胞の運動性を刺激する、腫瘍分泌サイトカイン及び血管新生因子(AMF)として機能しうる。細胞質において、G6PI遺伝子産物は、グルコース−6−リン酸(G6P)と、果糖−6−リン酸(F6P)とを相互転換する、解糖酵素(グルコース−6−リン酸イソメラーゼ)として機能する。細胞外において、コードされたG6PIタンパク質(ニューロロイキンともまた称する)は、骨格系運動ニューロン及び感覚ニューロンの生存を促進する、神経栄養因子として、かつ、免疫グロブリンの分泌を誘導するリンホカインとして機能する。コードされたG6PIタンパク質はまた、腫瘍分泌サイトカイン及び血管新生因子としてのさらなる機能に基づき、自己分泌性運動性因子(AMF)とも称される。この遺伝子の欠損は、非球状赤血球性溶血性貧血の原因であり、重度の酵素不全は、胎児水症、新生児の即死及び神経機能障害と関連しうる。代替的スプライシングは、複数の転写物変異体を結果としてもたらす(UniProt基本受託番号:P06744)。
平滑筋ミオシン軽鎖キナーゼ(MYLK)
MYLKは、ミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化を介する平滑筋収縮に関与する、カルシウム/カルモジュリン依存性ミオシン軽鎖キナーゼである。MYLKはまた、非キナーゼ活性を介する、アクチン−ミオシン間相互作用も調節する。MYLKは、PTK2B/PYK2及びミオシン軽鎖をリン酸化する。MYLKは、炎症性応答(例えば、アポトーシス、血管透過性、リンパ球の漏出)、細胞の運動性及び形態、気道過敏性並びに喘息と関与性の他の活性に関与している。MYLKは、生理学的気道抵抗及び喘息性気道抵抗に必要な、緊張性の気道平滑筋収縮に要求される。MYLKは、消化管の運動性に必要である。MYLKは、おそらく、細胞骨格再配列の調節を介して、内皮透過性のほか、血管の透過性の調節に関与している。神経系において、MYLKは、培養物中の星状細胞の増殖過程の誘発を制御し、培養された交感神経節細胞の間に形成されたシナプスにおける、伝達物質の放出に関与することが示されている。MYLKは、線維芽細胞のアポトーシスを結果としてもたらす、シグナル伝達の連鎖における、極めて重要な参与物質である。MYLKは、上皮細胞の生存の調節において、役割を果たす。MYLKは、上皮創傷治癒、とりわけ、巾着縫合による創傷閉止の、アクトミオシン環収縮時に要求される。MYLKは、RhoA依存性の膜ブレブ形成を媒介する。MYLKは、細胞膜における、その細胞内局在化を誘導することにより、カルシウム依存性シグナル伝達におけるTRPC5チャネル活性を誘発する。MYLKは、細胞の遊走(腫瘍細胞を含む)及び腫瘍の転移を促進する。リン酸化によるPTK2B/PYK2の活性化は、ITGB2の活性化を媒介し、このため、急性肺損傷(ALI)時における、好中球の移行を誘発するのに不可欠である。MYLKは、視神経頭の星状細胞の遊走を調節しうる。MYLKは、おそらく、細胞骨格における有糸分裂の調節に関与している。MYLKは、おそらく、傍接合部のアクトミオシン環内のZO−1交換をモジュレートすることにより、密着結合を調節する。MYLKは、火傷誘導性の微小血管障壁の損傷を媒介し、MLCをリン酸化することにより、微小血管の透過性亢進の発生における内皮収縮を誘発する。MYLKは、腸障壁の機能不全に不可欠である。MYLKは、細胞骨格におけるF−アクチン及び密着結合におけるZO−1の再組織化を介する、ランブル鞭毛虫症腸感染時における、ジアルディア属種媒介性の、上皮障壁機能の低減を媒介する。MYLKは、子宮頸がん細胞内の、低張性誘導性Ca2+進入及び後続の容量感受性有機オスモライト/アニオンチャネル(VSOAC)の活性化に必要である。MYLKは、抗アポトーシスを介する、乳がん細胞の高増殖能の一因となる(UniProt基本受託番号:Q15746)。
血清アミロイドP成分(SAMP又はAPCS)
SAMPは、DNA及びヒストンと相互作用することが可能であり、ダメージを受けた循環細胞から放出された核内素材をスカベンジャリングしうる。SAMPはまた、カルシウム依存性レクチンとしても機能しうる(UniProt基本受託番号:P02743)。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象に由来する試料中の検出及び1つ以上のTBIバイオマーカーの、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)における検出の欠如に基づき、対象がTBIを負っていることを決定するのに使用されうる。これらのTBIバイオマーカーは、AL9A1、ATPG、C1RL、EPIPL、IGHA2、PZP、SYTC、SYYC、ABHEB、DNM1L、FCN2、INF2、K22E、M3K5、NCOR1、SBSN、SYEP、TPP2、ANXA6、ERAP1、EZRI、FA5、G6PI、MYLK、SAMP又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含みうる。これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象における測定又は検出は、対象がTBIを負っていることを、1つ以上のTBIバイオマーカーの、対照の対象における量、濃度及び/又は発現レベルを検出、測定、比較及び/又は定量する必要から独立して指し示すのに十分でありうる。これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対照の対象又はTBIを負っていない対象において存在しうるが、これは一般に、本明細書において記載された、従来の手段を介する検出が可能ではない量において存在する。したがって、場合によって、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象における検出は、対象がTBIを負っていることを指し示す。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象が重度TBIを負っていることを、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象に由来する試料中の検出及び1つ以上のTBIバイオマーカーの、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)における検出の欠如又は軽度TBIを負っている対象における検出の欠如に基づき決定するのに使用されうる。これらのTBIバイオマーカーは、ATPG、C1RL、SYYC又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含みうる。これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象における測定又は検出は、対象が重度TBIを負っていることを、1つ以上のTBIバイオマーカーの、対照の対象又は軽度TBIを負っている対象における量、濃度又は発現レベルを検出、測定、比較又は定量する必要から独立して指し示すのに十分でありうる。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象がTBIを負っていることを、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象に由来する試料中の、対照の対象における、対応するTBIバイオマーカーの、量、濃度及び/又は発現レベルより高度の量、濃度及び/又は発現レベルにおける検出に基づき決定するのに使用されうる。これらのTBIバイオマーカーは、CAND1及びGLO2又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含みうる。これらのTBIバイオマーカーのレベルのうちの1つ以上の、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)と比較した増大の、対象における測定又は検出は、対象がTBIを負っていることを指し示すのに十分であることが可能であり、場合によって、対象が重度TBIを負っていることを指し示すのに十分でありうる。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象がTBIを負っていることを、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象に由来する試料中の、対照の対象における、対応するTBIバイオマーカーの、量、濃度及び/又は発現レベルより高度又は低度の量、濃度及び/又は発現レベルにおける検出に基づき決定するのに使用されうる。これらのTBIバイオマーカーは、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含みうる。これらのTBIバイオマーカーのレベルのうちの1つ以上の、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)と比較した増大又は減少の、対象における測定又は検出は、対象がTBIを負っていることを指し示すのに十分であることが可能であり、場合によって、対象が重度TBIを負っていることを指し示すのに十分でありうる。例えば、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのABHED並びに/又は低レベルのAL9A1及び/若しくはDNM1Lの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がTBIを実際に負ったことを指し示しうる。これらのTBIバイオマーカーのレベルは、単独で又はTBIのパネル若しくはシグネチャーの一部として組み合わせて検出又は測定されうる。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象が軽度TBIを負っていることを、対象に由来する試料中のこれらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対照の対象における対応するTBIバイオマーカーの量、濃度及び/又は発現レベルより高度又は低度の量、濃度及び/又は発現レベルにおける検出に基づき決定するのに使用されうる。これらのTBIバイオマーカーは、M3K5、SBSN、SYEP又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含みうる。これらのTBIバイオマーカーのレベルのうちの1つ以上の、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)と比較した増大又は減少の、対象における測定又は検出は、対象がTBIを負っていることを指し示すのに十分であることが可能であり、場合によって、対象が軽度TBIを負っていることを指し示すのに十分でありうる。例えば、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのSBSN及び/又はSYEP、並びに/又は低レベルのM3K5の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象が軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。これらのTBIバイオマーカーのレベルは、単独で又はTBIのパネル若しくはシグネチャーの一部として組み合わせて検出又は測定されうる。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、TBIバイオマーカーとして同定されている場合もあり、同定されていない場合もある、他のバイオマーカーと共に含まれうる。例えば、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、ANXA6、ERAP1、EZRI、FA5、G6PI、MYLK、SAMP又はこれらの組合せのうちの1つ以上を含みうる、バイオマーカーのパネル内に含まれうる。場合によって、他のTBIバイオマーカー及び非TBIバイオマーカーを伴う、TBIバイオマーカーのパネルは、個々のバイオマーカー単独より大きな程度において、TBIの診断の一助となりうる。
b.組入れのための軽度TBIバイオマーカー
下記において記載される、以下のTBIバイオマーカーは、単独又は組合せで検出された場合に、健常対象を、軽度TBIを負っている対象から識別することが可能であると同定された。
ポリ(rC)結合性タンパク質2(アルファ−CP2)(PCBP2)
ポリ(rC)結合性タンパク質2は、ヒトにおいて、PCBP2遺伝子によりコードされたタンパク質である。この遺伝子によりコードされたタンパク質は、多機能性であると考えられる。PCBP2は、PCBP−1及びhnRNPKと共に、主要な細胞ポリ(rC)結合性タンパク質に対応する。PCBP2は、RNAへの結合に関与しうる、3つのK相同(KH)ドメインを含有する。コードされたこのタンパク質はまた、PCBP−1と併せて、IRESのステムループIVとの配列特異的相互作用を介して、ポリオウイルスRNAの翻訳共活性化因子としても機能し、その5’末端のクローバーリーフ構造への結合により、ポリオウイルスRNAの複製を促進する。PCBP2はまた、15−リポキシゲナーゼmRNA、16L2型ヒトパピローマウイルスmRNA及びA型肝炎ウイルスRNAの翻訳の制御にも関与している。コードされたタンパク質はまた、アルファ−グロビンmRNAの安定性と関連する、配列特異的アルファ−グロビンmRNP複合体の形成において役割を果たすことも示唆されている。このマルチエクソン構造のmRNAは、レトロトランスポーズされて、同様の機能を有する、PCBP−1イントロン非含有遺伝子を生成させると考えられる。この遺伝子及びPCBP−1は、全遺伝子の複製イベントの結果として発生したと考えられるパラログである、PCBP3及びPCBP4を有する。PCBP2はまた、2つのプロセシングされた偽遺伝子である、PCBP2P1及びPCBP2P2も有する。現在、この遺伝子について、2つの代替的にスプライシングされた転写物変異体が記載されている。ヒトにおいて、PCBP2遺伝子は、肝細胞癌に関与する、転写された超保存性エレメントである、TUC338と重複する(UniProt基本受託番号:Q15366)。
ミトコンドリアチオレドキシンレダクターゼ2(TRXR2)
チオレドキシンレダクターゼ(TR、TrxR)(EC1.8.1.9)は、チオレドキシン(Trx)を還元することが公知である、唯一の酵素である。チオレドキシンレダクターゼの2つのクラス:細菌及び一部の真核生物における、1つのクラス並びに動物における1つのクラスが同定されている。いずれのクラスも、ホモ二量体として機能する、フラボタンパク質である。各単量体は、FAD補欠分子族、NADPH結合ドメイン及び酸化還元活性型ジスルフィド結合を含有する活性部位を含有する。チオレドキシンレダクターゼは、チオレドキシンの還元を触媒することが公知である、唯一の酵素であり、よって、チオレドキシン系における、中心的構成要素である。チオレドキシン(Trx)及びNADPHと併せて、この系についての最も一般的な記載は、細胞内の、還元されたジスルフィド結合を形成する方法としての記載である。電子は、TrxRを介して、NADPHから得られ、Trxの活性部位へと移動し、タンパク質のジスルフィド又は他の基質の還元へと進む。Trx系は、全ての生細胞内に存在し、遺伝子素材としてのDNAと結びついた進化歴を有し、酸素による代謝に起因する酸化ダメージに対する防御、過酸化水素及び一酸化窒素などの分子を使用する、酸化還元シグナル伝達を行う(UniProt基本受託番号:Q9NNW7)。
14−3−3タンパク質ガンマ(1433G又はYWHAG)
1433Gは、一般的なシグナル伝達経路及び特化したシグナル伝達経路の両方にわたる、広範なスペクトルの調節に関与している、アダプタータンパク質である。1433Gは、通例、ホスホセリンモチーフ又はホスホトレオニンモチーフの認識により、多数のパートナーに結合する。結合は、一般に、結合パートナーの活性のモジュレーションを結果としてもたらす(UniProt基本受託番号:P61981)。
活性化CDC42キナーゼ1(ACK1又はTKN2)
ACK1は、細胞の拡散及び遊走、細胞の生存、細胞の増殖(growth及びproliferation)に関与する、非受容体チロシン−タンパク質及びセリン/トレオニン−タンパク質キナーゼである。ACK1は、細胞外シグナルを、細胞質ゾル及び核内エフェクターへと伝達する。ACK1は、AKT1、AR、MCF2、WASL及びWWOXをリン酸化する。ACK1は、表皮増殖因子受容体(EGFR)及びクラスリンへの結合を介する、トラフィッキング及びクラスリン媒介性エンドサイトーシスに関与している。ACK1は、ポリユビキチン及びモノユビキチンの両方に結合し、EGFRのリガンド誘導性分解を調節し、これにより、早期エンドソームの境界膜における、EGFRの蓄積に寄与する。ACK1は、BCAR1のリン酸化を介する、CDC42依存性細胞遊走を媒介する、CDC42の、下流のエフェクターである。ACK1は、成人シナプスの機能及び可塑性並びに脳の発生の両方に関与しうる。AKT1を、「Tyr−176」上においてリン酸化することにより活性化させる。ACK1は、「Tyr−267」上及び「Tyr−363」上のARをリン酸化し、これにより、アンドロゲン応答性エンハンサー(ARE)に対する、その動員を促進する。ACK1は、「Tyr−287」上のWWOXをリン酸化する。ACK1は、MCF2をリン酸化し、これにより、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)としてのその活性を、Rhoファミリータンパク質へと増強する。ACK1は、AXL受容体レベルの制御に寄与する。ACK1は、がん細胞に、転移特性を付与し、WWOXなどの腫瘍サプレッサーを負に調節し、AKT1及びARなどの生存促進因子を正に調節することにより、腫瘍の増殖を促進する。ACK1は、WASPをリン酸化する(UniProt基本受託番号:Q07912)。
アミノアシラーゼ1(ACY1)
ACY1は、N−アシル化アミノ酸又はN−アセチル化アミノ酸(L−アスパラギン酸を除く)の加水分解に関与している(UniProt基本受託番号:Q03154)。
Aキナーゼアンカータンパク質12(AKA12又はAKAP12)
AKA12は、タンパク質キナーゼA(PKA)及びタンパク質キナーゼC(PKC)の細胞内区画化を媒介する、アンカリングタンパク質である(UniProt基本受託番号:Q02952)。
アルギナーゼ1(ARGI1又はARG1)
ARGI1は、L−アルギニンを、尿素及びL−オルニチンへと転換する尿素サイクルの、鍵となる要素であり、尿素及びL−オルニチンは、さらに、代謝物である、プロリン及びポリアミドへと代謝され、プロリン及びポリアミドは、それぞれ、細胞増殖に極めて重要な、コラーゲンの合成及び生体エネルギー経路を駆動するが;尿素サイクルは、主に、肝臓において生じ、より小さな程度において、腎臓において生じる。ARGI1は、一酸化窒素シンターゼ(NOS)と、利用可能な細胞内基質であるアルギナーゼとの競合により特徴付けられた、肝臓以外の組織内のL−アルギニンのホメオスタシスにおいて機能する。アルギニンの代謝は、自然免疫応答及び獲得免疫応答の、極めて重要な調節因子である。ARGI1は、多形核顆粒球(PMN)内の、抗微生物性エフェクター経路に関与している。PMNの細胞死において、ARGI1は、ファゴリソソームから遊離し、微小環境内のアルギニンを枯渇させ、T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の増殖並びにサイトカイン分泌の抑制をもたらす。2群自然リンパ球(ILC2)のARGI1は、肺において、急性2型炎症を促進し、最適のILC2増殖に関与しているが、生存に関与していない(類似性による)(UniProt基本受託番号:P05089)。
カドヘリン5(CADH5又はCDH5)
CADH5は、カドヘリンであり;カドヘリンは、カルシウム依存性細胞接着タンパク質である。カドヘリンは、細胞を接続するときに、互いと優先的に、同種親和的に相互作用し、したがって、異種細胞型の分取に寄与する。このカドヘリンは、細胞間結合の密着及び組織化の制御を介して、内皮細胞生物学において、重要な役割を果たしうる。CADH5は、アルファ−カテニンと会合し、細胞骨格への連結を形成する。CADH5は、KRIT1と協同的に作用して、適正な内皮細胞極性及び血管腔を確立及び維持する。これらの効果は、Par極性複合体及びRAP1Bの動員及び活性化により媒介される。CADH5は、PRKCZの活性化並びにリン酸化したPRKCZ、PARD3、TIAM1及びRAP1Bの、細胞結合部への局在化に要求される(UniProt基本受託番号:P33151)。
クラスリン重鎖1(CLH1又はCLTC)
CLH1は、被覆小窩及び小胞の多面体被覆の主要なタンパク質である。2つの異なるアダプタータンパク質複合体が、クラスリン格子を、細胞膜又はトランスゴルジ網へと連結する。CLH1は、微小管間架橋として作用することにより、有糸分裂紡錘体の動原体線維の安定化に寄与することが提起されている、TACC3/ch−TOG/クラスリン複合体の構成要素として作用する。TACC3/ch−TOG/クラスリン複合体は、動原体線維の張力の維持に要求される。CLH1は、早期オートファゴソームの形成において、役割を果たす(UniProt基本受託番号:Q00610)。
コートマーサブユニットガンマ2(COPG2)
COPG2は、ジリシンモチーフに結合し、ゴルジ体の非クラスリン被覆小胞と可逆的に会合し、ERから、ゴルジ体を経由して、トランスゴルジ網までの生合成タンパク質の輸送をさらに媒介する、細胞質ゾルタンパク質複合体である。コートマー複合体は、ゴルジ膜からの出芽に要求され、ジリシンタグ付けタンパク質の、ゴルジ体〜ER間の逆向き輸送に不可欠である。哺乳動物において、コートマーは、小型のGTP結合性タンパク質である、ADPリボシル因子(ARF)と会合する膜だけにより動員され;複合体はまた、ゴルジ体の構造的完全性並びにLDL受容体のプロセシング、活性及びエンドサイトーシス性リサイクリングにも影響を及ぼす(類似性による)(UniProt基本受託番号:Q9UBF2)。
DNAポリメラーゼデルタサブユニット2(DPOD2又はPOLD2)
三量体及び四量体のDNAポリメラーゼデルタ複合体(それぞれ、Polデルタ3及びPolデルタ4)の構成要素として、DPOD2は、ラギング鎖の合成及び修復を含む、高忠実度のゲノム複製において、役割を果たす。Polデルタ3及びPolデルタ4は、POLD4の非存在又は存在により特徴付けられる。Polデルタ3及びPolデルタ4は、触媒活性の差違を呈する。最も注目すべきことに、Polデルタ3は、Polデルタ4より高度な校正活性を示す。Polデルタ3及びPolデルタ4のいずれも、インビトロにおいて、岡崎フラグメントをプロセシングするが、Polデルタ3はまた、Polデルタ4と比較して、鎖置換活性がほぼ見られず、5’側のブロッキングオリゴヌクレオチドに行き当たると、失速することから、このタスクの遂行についてもより適している。Polデルタ3のアイドリング過程は、容易にライゲーションされうるニックを維持しながら、ギャップの形成を回避しうる。DNAポリメラーゼカッパと共に、DNAポリメラーゼデルタは、UV照射後における、ヌクレオチド切出し修復(NER)合成の約半分を実施する。DNA複製ストレスの条件下において、DPOD2は、切断誘導複製(BIR)を介する、切断された複製フォークの修復に要求される。DPOD2は、DNAポリメラーゼゼータ(REV3L)又はDNAポリメラーゼイータ(POLH)とは独立に、Polデルタ4により実施される、O6−メチルグアニン又は非塩基性部位を保有する鋳型の、損傷乗り越え合成(TLS)に関与している。DPOD2は、損傷と反対側に挿入されるヌクレオチドからの伸長を促進することにより、DNAポリメラーゼデルタによる、非塩基性部位のバイパスを容易とする。DPOD2はまた、POLZ複合体の構成要素としてのTLSにも関与する。DPOD2は、POLD3と共に、REV3L及びREV7だけからなる、最小限のDNAポリメラーゼゼータ複合体によるDNA合成の効率及び生産性を、劇的に増大させる(UniProt基本受託番号:P49005)。
デスモグレイン2(DSG2)
DSG2は、細胞間デスモソーム結合の構成要素である。DSG2は、プラークタンパク質と、細胞間接着を媒介する中間径フィラメントとの相互作用に関与している(UniProt基本受託番号:Q14126)。
免疫グロブリン可変重鎖3−7(HV307又はIGHV3−7)
HV307は、抗原認識に参与する、免疫グロブリン重鎖の可変的ドメインのV領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする(UniProt基本受託番号:P01780)。
Ras GTPアーゼ活性化様タンパク質IQGAP2(IQGA2又はIQGAP2)
IQGA2は、活性化したCDC42及びRAC1に結合するが、それらのGTPアーゼ活性を刺激しないと考えられる。IQGA2は、カルモジュリンと会合する(UniProt基本受託番号:Q13576)。
ケラチンI型細胞骨格14(K1C14又はKRT14)
K1C14は、中間径フィラメントタンパク質であり、非らせん状テールドメインは、KRT5−KRT14フィラメントが、大型のバンドルへと自己組織化され、インビトロにおいて、ケラチン中間径フィラメントの復元力に関与する機械的特性を増強することの促進に関与している(UniProt基本受託番号:P02533)。
ケラチンI型細胞骨格19(K1C19又はKRT19)
K1C19は、筋線維の組織化に関与している。KRT8と併せて、K1C19は、横紋筋のコスタメアにおいて、収縮装置を、ジストロフィンへと連結する一助となる(UniProt基本受託番号:P08727)。
免疫グロブリンカッパ可変1−5(KV105又はIGKV1−5)
KV105は、抗原認識に参与する、免疫グロブリン軽鎖の可変的ドメインのV領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする(UniProt基本受託番号:P01602)。
ラミニンサブユニットガンマ1(LAMC1)
高アフィニティーの受容体であるLAMC1を介する細胞への結合は、他の細胞外マトリックス成分と相互作用することにより、胚発生時における、細胞の、組織への接合、遊走及び組織化を媒介すると考えられる(UniProt基本受託番号:P11047)。
ミトコンドリアリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDHM又はMDH2)
MDHMは、クエン酸回路内の、NAD/NADH補因子系を用いて、リンゴ酸の、オキサロ酢酸への可逆的酸化を触媒する。この遺伝子によりコードされたタンパク質は、ミトコンドリアに局在化され、細胞質ゾルとミトコンドリアとの代謝的協同作用において作動する、リンゴ酸−アスパラギン酸シャトルにおいて、枢要的役割を果たしうる。この遺伝子について、異なるアイソフォームをコードする、いくつかの転写物変異体が見出されている(UniProt基本受託番号:P40926)。
リボシルジヒドロニコチンアミドデヒドロゲナーゼ[キノン](NQO2)
NQO2は、解毒経路に関与する、ヒドロキノンのコンジュゲーション反応との関連のほか、プロトロンビン合成における、グルタミン酸残基の、ビタミンK依存性ガンマ−カルボキシル化などの生合成過程に関与する、キノンレダクターゼとして用いられる(UniProt基本受託番号:P16083)。
ミエロペルオキシダーゼ(PERM又はMPO)
PERMは、多形核白血球による宿主防御系の一部である。PERMは、広範にわたる生物に対する、殺菌活性の一因である。刺激されたPMN内において、MPOは、次亜ハロゲン酸、生理学的状況において、主に、次亜塩素酸及びPMNの殺菌性を、大幅に増強する、他の毒性中間体の産生を触媒する(UniProt基本受託番号:P05164)。
プラスチン3(PLST又はPLS3)
PLSTは、腸微絨毛、有毛細胞の不動毛及び線維芽細胞の糸状仮足において見出された、アクチンバンドル化タンパク質である。PLSTは、骨発生の調節において、役割を果たしうる(UniProt基本受託番号:P13797)。
ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(PNCB又はNAPRT)
PNCBは、ニコチン酸(NA)の、NAモノヌクレオチド(NaMN)への転換を触媒する。PNCBは、NAが、細胞のNADレベルを上昇させ、細胞の酸化ストレスを防止するのに不可欠である。PNCBは、ATPを消費する、ニコチン酸及び5−ホスホ−D−リボース1−リン酸からの、ベータ−ニコチン酸D−リボヌクレオチドの合成を触媒する(UniProt基本受託番号:Q6XQN6)。
受容体型チロシンタンパク質ホスファターゼC(PTPRC)
PTPRCは、抗原受容体を介するT細胞の活性化に要求されるタンパク質である、チロシンタンパク質ホスファターゼである。PTPRCは、DPP4に結合すると、T細胞共活性化の正の調節因子として作用する。第1のPTPアーゼドメインが、酵素活性を有するのに対し、第2のPTPアーゼドメインは、第1のPTPアーゼドメインの基質特異性に影響を及ぼすと考えられる。T細胞が活性化すると、PTPRCは、SKAP1及びFYNを動員し、これらを脱リン酸化する。PTPRCは、LYNを脱リン酸化し、これにより、LYN活性をモジュレートする(類似性による)(UniProt基本受託番号:P08575)。
セプチン7(SEPT7)
SEPT7は、フィラメントを形成する細胞骨格GTPアーゼである。SEPT7は、アクチン細胞骨格の正常な組織化に要求される。SEPT7は、有糸分裂の正常な進行に要求される。SEPT7は、細胞質分裂に関与している。SEPT7は、CENPEの、動原体との正常な会合に要求される。SEPT7は、毛様体形成及び集合的な細胞運動において、役割を果たす。SEPT7は、SEPT12、SEPT6、SEPT2と共に、フィラメント構造を形成し、おそらく、減数分裂後の分化時に、精子テールの構造的完全性及び運動性に要求される、精子輪において、SEPT4と共にフィラメント構造を形成する(UniProt基本受託番号:Q16181)。
細胞質アルギニンtRNAリガーゼ(STRC又はRARS)
SYRCは、タンパク質合成時における、特異的なアミノ酸の、コグネイトのtRNAへの接合を触媒する、高分子複合体の一部を形成する。SYRCは、AIMP1の分泌をモジュレートし、炎症性サイトカインであるEMAP2の、AIMP1からの生成に関与しうる(UniProt基本受託番号:P54136)。
チオレドキシン様タンパク質1(TXNL1)
TXNL1は、酸化還元電位を、約−250mVとする、活性のチオレドキシンである(UniProt基本受託番号:043396)。
UDPグルコース:糖タンパク質グルコシルトランスフェラーゼ1(UGGG1又はUGGT1)
UGGG1は、小さなフォールディングの欠損を伴う糖タンパク質を認識する。UGGG1は、タンパク質のミスフォールディング部分の近傍において、単一のN−グリカンを再グリコシル化するので、小胞体内のタンパク質フォールディングについての品質管理をもたらす。再グリコシル化タンパク質は、小胞体へのリサイクリング及びリフォールディング又は分解について、カルレティキュリンにより認識される(UniProt基本受託番号:Q9NYU2)。
WDリピート含有タンパク質1(WDR1)
WDR1は、ADF/コフィリンファミリータンパク質と共に、アクチンフィラメントのディスアセンブリーを誘導する。WDR1は、コフィリン媒介性のアクチンの切離しを増強する(類似性による)。WDR1は、細胞質分裂に関与している。WDR1は、葉状仮足状の膜突出部を制限することにより、走化性細胞の遊走に関与している。WDR1は、心筋サルコメアの組織化に関与している。WDR1は、心筋細胞の増殖及び維持に要求される(類似性による)。WDR1は、巨核細胞の成熟及び血小板の放出に関与している。WDR1は、濾胞上皮発生時の平面内細胞極性(PCP)の確立及びPCP時の細胞形状に変化に要求され;機能は、CFL1及び/又はDSTN/ADFとの協同作用に関与すると考えられる。WDR1は、皮質張力の生成/維持(類似性による)に関与している。WDR1は、上皮頂端細胞の結合のアセンブリー及び維持に関与し、傍接合部のアクトミオシンベルトの組織化において、役割を果たす(UniProt基本受託番号:075083)。
神経芽細胞分化関連タンパク質AHNAK(AHNK又はAHNAK)
AHNKは、神経細胞の分化に要求されると考えられる(UniProt基本受託番号:Q09666)。
レチナールデヒドロゲナーゼ1(AL1A1又はALDH1A1)
AL1A1は、レチンアルデヒドを、レチノイン酸へと転換/酸化する。AL1A1は、遊離レチナール及び細胞レチノール結合性タンパク質が結合したレチナールに結合する(類似性による)。AL1A1は、より広範な特異性を有することが可能であり、インビボにおいて、他のアルデヒドを酸化する(UniProt基本受託番号:P00352)。
アミノペプチダーゼN(AMPN又はANPEP)
AMPNは、胃及び膵臓のプロテアーゼによる、タンパク質の加水分解から生成したペプチドの最終的な消化において役割を果たす、特異性が広範なアミノペプチダーゼである。AMPNはまた、アンジオテンシンIII及びIV、神経ペプチド並びにケモカインなどのペプチドホルモンを含む、多様なペプチドのプロセシングにも関与している。AMPNはまた、抗原提示細胞の主要組織適合性複合体クラスII分子に結合したペプチドの切断にも関与する場合がある。AMPNは、血管新生において役割を有することが可能であり、コレステロールの結晶化を促進しうる。AMPNは、ヒトコロナウイルス229E/HCoV−229Eに対する受容体として作用する。ヒトコロナウイルス229E(HCoV−229E)感染の場合、AMPNは、HCoV−229Eのスパイク糖タンパク質に対する受容体として用いられる。AMPNは、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染もまた媒介する(UniProt基本受託番号:P15144)。
F−アクチンキャッピングタンパク質サブユニットベータ(CAPZB)
CAPZBは、アクチンフィラメントの急速に増殖する末端(反矢じり端)に、Ca2+非依存的に結合し、これにより、これらの末端における、サブユニットの交換をブロッキングする、F−アクチンキャッピングタンパク質である。他のキャッピングタンパク質(ゲルソリン及びセベリンなど)と異なり、これらのタンパク質は、アクチンフィラメントを切り離さない。CAPZBは、細胞形態の調節及び細胞骨格の組織化において、役割を果たす(UniProt基本受託番号:P47756)。
カテプシンD(CATD又はCTSD)
CATDは、細胞内タンパク質分解において活性の酸プロテアーゼである。CATDは、APPの分解をもたらす、ADAM30による切断及び活性化の後のAPPプロセシングにおいて、役割を果たす。CATDは、乳がん及び、おそらく、アルツハイマー病など、いくつかの疾患の発症機序に関与している(UniProt基本受託番号:P07339)。
CAP−Glyドメイン含有リンカータンパク質2(CLIP2)
CLIP2は、微小管を、樹状突起間ギャップ結合により連結された、ニューロンの球根状の樹状突起付属器内に主に存在する膜状細胞小器官である、樹状突起層板小体(DLB)へと連結する。CLIP2は、脳特異的な細胞小器官の移動の制御において作動しうる(類似性による)(UniProt基本受託番号:Q9UDT6)。
クロモグラニンA(CMGA又はCHGA)
パンクレアスタチン:膵臓からの、グルコース誘導性のインスリン放出を、強力に阻害する。カテスタチン:非競合的ニコチン性コリン作動性アンタゴニストとして作用することにより、クロマフィン細胞及びノルアドレナリン作動性ニューロンからの、カテコールアミンの放出を阻害する。カテスタチンは、グラム陽性菌である、S.アウレウス(S.aureus)及びM.ルテンス(M.luteus)並びにグラム陰性菌E.コリ(E.coli)及びP.アエルギノーサ(P.aeruginosa)に対する抗菌活性を提示する。カテスタチンは、マスト細胞の遊走、脱顆粒並びにサイトカイン及びケモカインの産生を誘導しうる。カテスタチンは、インビトロにおいて、フリーラジカルの強力なスカベンジャーとして作用する。カテスタチンは、心機能及び血圧の調節において、役割を果たしうる。セルピニン:cAMP−PKA−SP1経路を介して、プロテアーゼであるネクシン1(SERPINE2)の転写を上方調節することにより、内分泌細胞内の、顆粒の生体内発生を調節する。これは、ゴルジ複合体内の顆粒タンパク質の分解の阻害をもたらし、これは、顆粒の形成を促進する(UniProt基本受託番号:P10645)。
ファシン(FSCN1)
FSCN1は、アクチン/ファシン比を、最小において4.1:1として、フィラメント状アクチンを、バンドルへと組織化する。FSCN1は、アクチンフィラメントバンドルの組織化並びに微小突起、膜ひだ及びストレス線維の形成において、役割を果たす。FSCN1は、糸状仮足などの細胞突出部の多様なセットの形成並びに細胞の運動性及び遊走に重要である(UniProt基本受託番号:Q16658)。
GMPレダクターゼ2(GMPR2)
GMPR2は、GMPの、IMPへの、不可逆的NADPH依存性脱アミノ化を触媒する。GMPR2は、ヌクレオ塩基、ヌクレオシド誘導体及びヌクレオチド誘導体の、Gヌクレオチドから、Aヌクレオチドへの転換並びに細胞内の、Aヌクレオチドと、Gヌクレオチドとの均衡の維持において機能する。GMPR2は、細胞の分化をモジュレートすることにおいて、役割を果たす(UniProt基本受託番号:Q9P2T1)。
78kDaグルコース調節型タンパク質(GRP78又はHSPA5)
GRP78は、小胞体内部の多量体タンパク質複合体のアセンブリーを容易とすることにおいて、役割を果たす。GRP78は、おそらく、DNAJC10の、その基質からの放出を容易とする、DNAJC10とのその相互作用を介して、タンパク質の適正なフォールディング及びミスフォールディングされたタンパク質の分解に関与している(類似性による)。GRP78は、分泌型タンパク質であると考えられる(UniProt基本受託番号:P11021)。
グルタミン酸システインリガーゼ触媒性サブユニット(GSH1又はGCLC)
ガンマ−グルタミルシステインシンセターゼとしてもまた公知のGSH1は、グルタチオン合成の第1の律速酵素である。酵素は、2つのサブユニット:重鎖触媒性サブユニット及び軽鎖調節性サブユニットからなる。GSH1遺伝子座は、触媒性サブユニットをコードするが、調節性サブユニットは、第1p22〜p21染色体上に配置された、異なる遺伝子に由来する。GSH1遺伝子座における突然変異は、ガンマ−グルタミルシステインシンセターゼの欠損に起因する溶血性貧血と関連しており、心筋梗塞を生じやすい(UniProt基本受託番号:P48506)。
細胞質イソクエン酸デヒドロゲナーゼ[NADP](IDHC又はIDH1)
IDHCは、ヒトにおいて、第2染色体上のIDH1遺伝子によりコードされた酵素である。イソクエン酸デヒドロゲナーゼは、イソクエン酸の、2−オキソグルタミン酸への、酸化的脱カルボキシル化を触媒する。これらの酵素は、それらのうちの一方は、NADを、電子アクセプターとして使用し、他方は、NADPを、電子アクセプターとして使用する、2つの顕著に異なるサブクラスに属する。5つのイソクエン酸デヒドロゲナーゼ:ミトコンドリアマトリックスに局在する、3つのNAD依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼ及びそれらのうちの一方が、ミトコンドリアであり、他方が、主に、細胞質ゾルである、2つのNADP依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼが報告されている。各NADP依存性アイソザイムは、ホモ二量体である。IDHC遺伝子によりコードされたタンパク質は、細胞質及びペルオキシソームにおいて見出された、NADP依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼである。IDHCは、PTS(peroxisomal targeting signal)−1配列を含有する。この酵素の、ペルオキシソーム内の存在は、2,4−ジエノイル−CoAの、3−エノイル−CoAへの転換などのペルオキシソーム内還元のための、NADPHの再生並びに2−オキソグルタミン酸を消費するペルオキシソーム反応、すなわち、フィタン酸の、アルファ−ヒドロキシル化における役割を示唆する。細胞質IDHCは、細胞質内のNADPHの産生において、著明な役割を果たす。IDHC遺伝子について、同じタンパク質をコードする、代替的にスプライシングされた転写物変異体も見出されている(UniProt基本受託番号:O75874)。
ケラチンI型細胞骨格20(K1C20又はKRT20)
K1C20は、腸上皮内の、ケラチンフィラメントの組織化の維持において、著明な役割を果たす。リン酸化されると、K1C20は、小腸内のムチンの分泌において、役割を果たす(類似性による)(UniProt基本受託番号:P35900)。
KRR1小サブユニットプロセソーム構成要素相同体(KRR1)
KRR1は、40Sリボソームの生体内発生に要求される。Kvは、プレ18SリボソームRNAの核小体によるプロセシング及びリボソームアセンブリーに関与している(類似性による)(UniProt基本受託番号:Q13601)。
マンノース結合性タンパク質C(MBL2)
MBL2は、自然免疫による防御に関与する、カルシウム依存性レクチンである。MBL2は、異なる微生物において、マンノース、フコース及びN−アセチルグルコサミンに結合し、レクチン補体経路を活性化させる。MBL2は、後期アポトーシス細胞並びにアポトーシスブレブ及び壊死性細胞に結合するが、早期アポトーシス細胞に結合せず、マクロファージによるそれらの取込みを容易とする。MBL2は、DNAに結合しうる(UniProt基本受託番号:P11226)。
核内輸送因子2(NTF2又はNUTF2)
NTF2は、カーゴ受容体媒介性核細胞質輸送における、RANの機能に不可欠である、GDP結合型RANの、細胞質から、核への移入を媒介する。これにより、NTF2は、カーゴ受容体媒介性核細胞質輸送において、一般的な役割を間接的に果たす。NTF2は、細胞質ゾル内のGDP結合型RANと相互作用し、ヌクレオポリンとの、その相互作用を介して、GDP結合型RANを、核内小孔複合体へと動員し、その核内移入を促進する(UniProt基本受託番号:P61970)。
ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK1)
解糖酵素としてのその役割に加えて、PGK−1は、ポリメラーゼアルファ補因子タンパク質(プライマー認識タンパク質)として作用する。PGK1は、精子運動性において、役割を果たしうる(UniProt基本受託番号:P00558)。
血清アミロイドA−1タンパク質(SAA1)
SAA1は、ヒトにおいて、SAA1遺伝子によりコードされたタンパク質である。SAA1は、肝細胞により主に産生される、主要な急性相タンパク質であって、感染、組織損傷及び悪性腫瘍に応答する急性相タンパク質である。血液循環へと放出されると、SAA1は、高密度リポタンパク質(HDL)と会合するアポリポタンパク質として存在する。SAA1は、その沈着物が、炎症性アミロイドーシスをもたらす、アミロイドA(AA)の主要な前駆体である(UniProt基本受託番号:P0DJI8)。
トランスフェリン受容体タンパク質1(TFR1又はTFRC)
鉄の細胞への取込みは、リガンドに占有されたトランスフェリン受容体の、特化したエンドソームへの、受容体媒介性エンドサイトーシスを介して生じる。エンドソームの酸性化は、鉄の放出をもたらす。次いで、アポトランスフェリン−受容体複合体は、中性pHへの復帰及びアポトランスフェリンの、その受容体に対するアフィニティーの付随的な喪失と共に、細胞表面へとリサイクリングされる。トランスフェリン受容体は、赤血球及び神経系の発生に必要である(類似性による)。第2のリガンドである、遺伝性ヘモクロマトーシスタンパク質であるHFEは、重複するC末端の結合性部位への結合について、トランスフェリンと競合する。TFR1は、鉄の取込みを介して、T細胞及びB細胞の増殖を、正に調節する(UniProt基本受託番号:P02786)。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象がTBIを負っていることを、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象に由来する試料中の検出及び1つ以上のTBIバイオマーカーの、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)における検出の欠如又は、場合によって、重度TBIを負っている対象における検出の欠如に基づき決定するのに使用されうる。これらのTBIバイオマーカーは、1433G、ACK1、ACY1、AKA12、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、HV307、IQGA2、K1C14、K1C19、KV105、LAMC1、MDHM、NQO2、PERM、PLST、PNCB、PTPRC、SEPT7、SYRC、TRXR2、TXNL1、UGGG1、WDR1、AHNK、AL1A1、AMPN、CAPZB、CATD、CLIP2、CMGA、FSCN1、GMPR2、GRP78、GSH1、IDHC、K1C20、KRR1、MBL2、NTF2、PCBP2、PGK1、SAA1、TFR1又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含みうる。これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象における測定又は検出は、対象が軽度TBIを負っていることを、1つ以上のTBIバイオマーカーの、対照の対象又は重度TBIを負っている対象における量、濃度及び/又は発現レベルを検出、測定、比較及び/又は定量する必要から独立して指し示すのに十分でありうる。これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対照の対象又はTBIを負っていない対象において存在しうるが、これは一般に、本明細書において記載された、従来の手段を介する検出が可能ではない量において存在する。したがって、場合によって、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象における検出は、対象が軽度TBIを負っていることを指し示す。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象が特定の下位分類の軽度TBIを負っていることを決定するのに使用されうる。特定の理論、基礎病因又は疾患機構に束縛されずに述べると、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、軽度TBIを負っている対象を、4つのサブクラス(例えば、サブクラス1、サブクラス2、サブクラス3又はサブクラス4)のうちの1つへと分類するのに使用されうる。例えば、ACK1、ACY1、PLST、PNCB、PTPRC、UGGG1又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス1の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。AKA12、HV307、PERM、KV105、NQO2、SEPT7、SYRC、TRXR2又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス2の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。そして、1433B、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、IQGA2、K1C14、LAMC1、MDHM、TXNL1又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス3の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。これらのTBIバイオマーカーのレベルは、単独で又は軽度TBIのパネル若しくはシグネチャーの一部として組み合わせて検出又は測定されうる。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、TBIバイオマーカーとして同定されている場合もあり、同定されていない場合もある、他のバイオマーカーと共に含まれうる。例えば、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、AHNK、AL1A1、AMPN、CAPZB、CATD、CLIP2、CMGA、FSCN1、GMPR2、GRP78、GSH1、IDHC、K1C20、KRR1、MBL2、NTF2、PCBP2、PGK1、SAA1、TFR1又はこれらの組合せのうちの1つ以上を含みうる、バイオマーカーのパネル内に含まれうる。場合によって、他のTBIバイオマーカー及び非TBIバイオマーカーを伴う、TBIバイオマーカーのパネルは、個々のバイオマーカー単独より大きな程度において、TBIの診断の一助となりうる。
c.軽度TBIシグネチャー
下記において記載される、以下の軽度TBIバイオマーカーは、単独又は組合せで検出された場合に、健常対象を、軽度TBI及び/又は特殊なサブクラスの軽度TBIを負っている対象から識別することが可能であると同定された。
B型エフリン受容体4(EPHB4)
B型エフリン受容体4は、ヒトにおいて、EPHB4遺伝子によりコードされたタンパク質である。エフリン受容体及びそれらのリガンドであるエフリンは、特に、神経系における、多数の発生過程を媒介する。それらの構造及び配列関係に基づき、エフリンは、グリコシルホスファチジルイノシトール連結により、膜へとアンカリングされた、エフリンA(EFNA)クラスと、膜貫通タンパク質である、エフリンB(EFNB)クラスとに分けられる。受容体のEphファミリーは、それらの細胞外ドメイン配列の類似性並びにそれらの、エフリンAリガンド及びエフリンBリガンドへの結合についてのアフィニティーに基づき、2つの群へと分けられる。エフリン受容体は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーの、最大のサブグループを構成する。EPHB4遺伝子によりコードされたタンパク質は、エフリンB2に結合し、血管の発生において、不可欠の役割を果たす(UniProt基本受託番号:P54760)。
免疫グロブリン可変重鎖1−3(HV103又はIGHV1−3)
HV103は、抗原認識に参与する、免疫グロブリン重鎖の可変的ドメインのV領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする(UniProt基本受託番号:A0A0C4DH29)。
免疫グロブリン定常重鎖デルタ(IGHD)
IGHDは、免疫グロブリン重鎖の定常領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする。IgDは、大半の末梢B細胞の表面上における、主要な抗原受容体アイソタイプであり、末梢B細胞の表面上において、IgDは、IgMと共に共発現される。膜結合型IgD(mIgD)は、タンパク質チロシンキナーゼのSrcファミリーによる、CD79A及びCD79Bのリン酸化を誘導する。可溶性IgD(sIgD)の、血清中濃度は、IgG、IgA及びIgMの濃度を下回るが、IgEの濃度よりはるかに高濃度である。B細胞上に存在するIgM分子と、IgD分子とは、同一なV領域及び抗原結合性部位を有する。抗原が、B細胞受容体に結合した後、分泌形態であるsIgDは、消失する。IgDは、TNF、IL1B及びIL1RNの、強力な誘導剤である。IgDはまた、末梢血単核細胞からの、IL6、IL10及びLIFの放出も誘導する。単球は、インビトロの、IgDの存在下における、サイトカインの主な産生細胞であると考えられる(UniProt基本受託番号:P01880)。
エステルヒドロラーゼC11orf54(CK054又はC11orf54)
CK054は、ヒトにおいて、C11orf54遺伝子によりコードされたタンパク質である。ヒト遺伝子である、C11orf54はまた、PTD012及びPTOD12としても公知である。C11orf54は、酢酸p−ニトロフェニル上において、ヒドロラーゼ活性を呈し、エステル結合に対して作用するが、全体的な機能は、科学界によりいまだ十分に理解されていない。CK054は、細菌内において見出された、最も遠隔の相同体に対して、高度に保存的である(UniProt基本受託番号:Q9H0W9)。
精巣上体特異的アルファ−マンノシダーゼ(MA2B2又はMAN2B2)
MA2B2は、アルファ−D−マンノシド内、末端の非還元性アルファ−D−マンノース残基の加水分解を触媒する(UniProt基本受託番号:Q9Y2E5)。
タンパク質diaphanous相同体1(DIAP1又はDIAPH1)
DIAP1は、Rho依存的に作用して、PFY1を、膜へと動員する。DIAP1は、アクチンケーブル及びストレス線維など、F−アクチン構造のアセンブリーに要求される。DIAP1は、アクチンフィラメントを核化する。DIAP1は、アクチンフィラメントの反矢じり端に結合し、アクチンの重合及び脱重合を緩徐化させる。DIAP1は、細胞質分裂及び血清応答因子の転写活性化に要求される。DFRタンパク質は、シグナル伝達及びアクチン動態の調節において、RhoとSrcチロシンキナーゼとをカップリングさせる。DIAP1は、MAPRE1及びAPCのための足場タンパク質として機能して、微小管を安定化させ、細胞の遊走を促進する(類似性による)。DIAP1は、神経突起伸長促進活性を有する(類似性による)。有毛細胞内において、DIAP1は、有毛細胞内のアクチン重合の調節において、役割を果たしうる。MEMO1−RHOA−DIAPH1シグナル伝達経路は、細胞皮質の微小管の、ERBB2依存性の安定化において、重要な役割を果たす。DIAP1は、GSK3B活性の調節を介して、APC及びCLASP2の、細胞膜への局在化を制御する。膜に結合したAPCは、微小管の捕捉及び安定化に要求される、MACF1の、細胞膜への局在化を可能とする。DIAP1は、細胞形態の調節及び細胞骨格の組織化において、役割を果たす。DIAP1は、細胞形状の制御において要求される。DIAP1は、脳の発生において、役割を果たす(UniProt基本受託番号:O60610)。
プロコラーゲンリシン2−オキソグルタミン酸5−ジオキシゲナーゼ1(PLOD1)
PLOD1は、コラーゲンアルファ鎖内のリシン残基のヒドロキシル化を触媒し、コラーゲン原線維の正常なアセンブリー及び架橋に要求される、PLOD1、P3H3及びP3H4から構成された複合体の一部である(類似性による)。PLOD1は、コラーゲン内の、−Xaa−Lys−Gly−配列内の、ヒドロキシリシン残基を形成する。これらのヒドロキシリシンは、炭水化物単位に対する接合部位として用いられ、分子間コラーゲン架橋の安定性に不可欠である(蓋然的である)(UniProt基本受託番号:Q02809)。
免疫グロブリン可変カッパ1−33(KV133又はIGKV1−33)
KV133は、抗原認識に参与する、免疫グロブリン軽鎖の可変的ドメインのV領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする(UniProt基本受託番号:P01594)。
本明細書において開示された通り、以下のバイオマーカー:TPP2、CAND1、NCOR1、K22E、AL9A1、ABHEB、DNM1L、INF2、M3K5、SBSN、SYEP、MYLK及びSAMPもまた、単独で又は互いと組み合わせて、かつ、本節における他のバイオマーカーと組み合わせて検出された場合に、健常対象を、軽度TBI及び/又は特殊なサブクラスの軽度TBIを負っている対象から識別することが可能であると同定された。これらのバイオマーカーについての記載は、上記においてなされたので、ここでは繰り返されない。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象が特定の下位分類の軽度TBIを負っていることを決定するのに使用されうる。特定の理論、基礎病因又は疾患機構に束縛されずに述べると、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、軽度TBIを負っている対象を、4つのサブクラス(例えば、サブクラス1、サブクラス2、サブクラス3又はサブクラス4)のうちの1つへと分類するのに使用されうる。一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象が軽度TBIを負っていることを、対象に由来する試料中のこれらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対照の対象における対応するTBIバイオマーカーの量、濃度及び/又は発現レベルより高度又は低度の量、濃度及び/又は発現レベルにおける検出に基づき決定するのに使用されうる。これらのTBIバイオマーカーのレベルのうちの1つ以上の、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)と比較した増大又は減少の、対象における測定又は検出は、対象が軽度TBIを負っていることを指し示すのに十分であることが可能であり、場合によって、対象が特定のサブクラスの軽度TBIを負っていることを指し示すのに十分でありうる。
例えば、TPP2、CAND1、NCOR1、K22E、AL9A1、ABHEB、DNM1L、INF2又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス4の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。場合によって、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのCAND1、NCOR1、K22E、ABHEB、DNM1L若しくはこれらの任意の組合せ及び/又は低レベルのTPP2、AL9A1、INF2若しくはこれらの任意の組合せの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス4の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。
一部の実施形態において、TPP2、NCOR1、HV103、INF2、IGHD、CK054、M3K5、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス3の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。場合によって、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのNCOR1、HV103、IGHD、ABHEB、DNM1L若しくはこれらの任意の組合せ及び/又は低レベルのTPP2、IGHD、CK054、M3K5、AL9A1若しくはこれらの任意の組合せの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス3の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。
一部の実施形態において、NCOR1、TPP2、K22E、ABHEB、INF2、SBSN、AL9A1、MA2B2又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス2の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。場合によって、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのNCOR1、K22E、ABHEB、SBSN若しくはこれらの任意の組合せ及び/又は低レベルのTPP2、INF2、AL9A1、MA2B2若しくはこれらの任意の組合せの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス2の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。
他の実施形態において、K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、KV133、AL9A1、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス1の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。場合によって、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのK22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、EPHB4若しくはこれらの任意の組合せ及び/又は低レベルのKV133及びAL9A1若しくはこれらの任意の組合せの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス1の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。
これらのTBIバイオマーカーのレベルは、単独で又は軽度TBIのパネル若しくはシグネチャーの一部として組み合わせて検出又は測定されうる。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、TBIバイオマーカーとして同定されている場合もあり、同定されていない場合もある、他のバイオマーカーと共に含まれうる。例えば、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、MYLK、SAMP又はこれらの組合せのうちの1つ以上を含みうる、バイオマーカーのパネル内に含まれうる。場合によって、他のTBIバイオマーカー及び非TBIバイオマーカーを伴う、TBIバイオマーカーのパネルは、個々のバイオマーカー単独より大きな程度において、TBIの診断の一助となりうる。
下記において記載される、以下の軽度TBIバイオマーカーは、単独又は組合せで検出された場合に、健常対象を、軽度TBI及び/又は特殊なサブクラスの軽度TBIを負っている対象から識別することが可能であると同定された。
細胞質ジネイン軽鎖1(DYL1又はDYNLL1)
DYL1は、細胞質ジネイン1複合体の、いくつかの非触媒性アクセサリー構成要素のうちの1つとして作用し、ジネインを、カーゴ及びジネイン機能を調節するアダプタータンパク質へと連結することに関与すると考えられる。細胞質ジネイン1は、小胞及び細胞小器官の、微小管に沿った、細胞内の逆向き運動のためのモーターとして作用する。DYL1は、細胞骨格構造の空間的分布を変化させる又は維持することにおいて、役割を果たしうる。DYL1は、ニューロンの一酸化窒素シンターゼに結合し、この触媒活性を阻害する。DYL1は、ESR1のトランス活性化機能を促進し、ESR1の核内局在化において、役割を果たす。DYL1は、BCL2L11を、微小管へと封鎖することにより、BCL2L11のアポトーシス活性を調節する。アポトーシス刺激があると、BCL2L11−DYNLL1複合体は、細胞質ジネインから解離し、ミトコンドリアへと移行し、BCL2を封鎖し、これにより、その抗アポトーシス活性を中和する(UniProt基本受託番号:P63167)。
ピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(PSA又はNPEPPS)
PSAは、いくつかのペプチドに対する、広範な基質特異性を伴うアミノペプチダーゼである。PSAは、細胞の増殖及び生存に不可欠の、タンパク質分解性イベントに関与している。PSAは、神経ペプチド活性の調節因子として作用しうる。PSAは、MHCクラスI分子のための抗原プロセシング経路において、役割を果たす。PSAは、細胞傷害性T細胞エピトープ前駆体に対する、N末端トリミングに関与している。PSAは、多くの細胞内タンパク質内において見出されたポリQペプチドを消化する。PSAは、正常脳に由来するタウを、アルツハイマー病脳に由来するタウより効率的に消化する(UniProt基本受託番号:P55786)。
EGF含有フィブリン様細胞外マトリックスタンパク質1(FBLN3又はEFEMP1)
FBLN3は、EGF受容体である、EGFRに結合し、EGFRの自己リン酸化及び下流のシグナル伝達経路の活性化を誘発する。FBLN3は、細胞の接着及び遊走において、役割を果たしうる。FBLN3は、軟骨細胞分化の、負の調節因子として機能しうる。嗅覚上皮において、FBLN3は、グリア細胞の遊走、分化及びグリア細胞が、ニューロンの神経突起伸長を支援する能力を調節しうる(UniProt基本受託番号:Q12805)。
血清アルブミン(ALBU又はALB)
ALBUは、血漿の主なタンパク質であり、水、Ca2+、Na、K、脂肪酸、ホルモン、ビリルビン及び薬物に対する良好な結合能を有する。その主な機能は、血液のコロイド浸透圧の調節である。ALBUは、血漿中の、主要な亜鉛輸送体であり、典型的に、全ての血漿亜鉛のうちの、約80%に結合する(UniProt基本受託番号:P02768)。
ミトコンドリア3−ケトアシル−CoAチオラーゼ(THIM又はACAA2)
THIMは、BNIP3媒介性アポトーシス及びミトコンドリアダメージを消失させることに関与している(UniProt基本受託番号:P42765)。
免疫グロブリン可変カッパ1−39(KV139又はIGKV1−39)
KV139は、抗原認識に参与する、免疫グロブリン軽鎖の可変的ドメインのV領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする(UniProt基本受託番号:P01597)。
マンナン結合性レクチンセリンプロテアーゼ2(MASP2)
MASP2は、マンノース結合性レクチンを介する補体系の活性化において、重要な役割を果たす、血清プロテアーゼである。自己触媒性切断による活性化の後、MASP2は、C2及びC4を切断し、それらの活性化をもたらし、C3コンベルターゼの形成をもたらす(UniProt基本受託番号:O00187)。
本明細書において開示された通り、以下の軽度TBIバイオマーカー:ANXA6、CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB、DIAP1、DNM1L、EPHB4、GLO2、HV103、IGHA2、IGHD、PLOD1、SBSN、SYEP、MYLK及びSAMPもまた、単独で又は互いと組み合わせて、かつ、本節における他のバイオマーカーと組み合わせて検出された場合に、健常対象を、軽度TBI及び/又は特殊なサブクラスの軽度TBIを負っている対象から識別することが可能であると同定された。これらのバイオマーカーについての記載は、上記においてなされたので、ここでは繰り返されない。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象が特定の下位分類の軽度TBIを負っていることを決定するのに使用されうる。特定の理論、基礎病因又は疾患機構に束縛されずに述べると、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、軽度TBIを負っている対象を、4つのサブクラス(例えば、サブクラス1、サブクラス2、サブクラス3又はサブクラス4)のうちの1つへと分類するのに使用されうる。一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象が軽度TBIを負っていることを、対象に由来する試料中のこれらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対応するTBIバイオマーカーの対照の対象における量、濃度及び/又は発現レベルより高度又は低度の量、濃度及び/又は発現レベルにおける検出に基づき決定するのに使用されうる。これらのTBIバイオマーカーのレベルのうちの1つ以上の、対照の対象(例えば、TBIを負っていない対象)と比較した増大又は減少の、対象における測定又は検出は、対象が軽度TBIを負っていることを指し示すのに十分であることが可能であり、場合によって、対象が特定のサブクラスの軽度TBIを負っていることを指し示すのに十分でありうる。
例えば、CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB、DNM1L、SBSN、GLO2、SYEP又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス4の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。場合によって、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのCAND1、NCOR1、K22E、ABHEB、DNM1L、SBSN、GLO2、SYEP又はこれらの任意の組合せの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス4の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。
一部の実施形態において、NCOR1、HV103、IGHD、ABHEB、DNM1L、ALBU、THIM、IGHA2、KV139又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス3の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。場合によって、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのNCOR1、HV103、IGHD、ABHEB、DNM1L、ALBU、THIM、IGHA2、KV139又はこれらの任意の組合せの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス3の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。
一部の実施形態において、NCOR1、K22E、ABHEB、SBSN、DNM1L、DIAP1、DYL1、PSA、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス2の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。場合によって、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのNCOR1、K22E、ABHEB、SBSN、DNM1L、DIAP1、DYL1、PSA、EPHB4又はこれらの任意の組合せの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス2の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。
他の実施形態において、K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、EPHB4、FBLN3又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上の、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス1の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。場合によって、対照の対象によるレベルと比較して、高レベルのK22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、EPHB4、FBLN3又はこれらの任意の組合せの、TBIを負った可能性がある対象における検出又は測定は、対象がサブクラス1の軽度TBIを実際に負ったことを指し示しうる。
これらのTBIバイオマーカーのレベルは、単独で又は軽度TBIのパネル若しくはシグネチャーの一部として組み合わせて検出又は測定されうる。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、TBIバイオマーカーとして同定されている場合もあり、同定されていない場合もある、他のバイオマーカーと共に含まれうる。例えば、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、ANXA6、MASP2、MYLK、SAMP又はこれらの組合せのうちの1つ以上を含みうる、バイオマーカーのパネル内に含まれうる。場合によって、他のTBIバイオマーカー及び非TBIバイオマーカーを伴う、TBIバイオマーカーのパネルは、個々のバイオマーカー単独より大きな程度において、TBIの診断の一助となりうる。
d.除外のためのTBIバイオマーカー
下記において記載される、以下のTBIバイオマーカーは、単独又は組合せで検出された場合に、健常対象を、TBIを負っている対象から識別することが可能であると同定された。
SH3ドメイン結合グルタミン酸リッチ様タンパク質(SH3BGRL)
SH3ドメイン結合性グルタミン酸リッチ様タンパク質3は、ヒトにおいて、SH3BGRL3遺伝子によりコードされたタンパク質である。10.5kDaのタンパク質である、SH3結合性グルタミン酸リッチ様タンパク質3は、5.0の等電点を有する。SH3結合性グルタミン酸リッチ(SH3BGR)遺伝子は、ヒト第21染色体に位置する。2つの相同な遺伝子である、SH3BGRL及びSH3BGRL3は、それぞれ、第Xq13.3及び1p34.3〜35染色体に位置し、SH3BGRタンパク質のN末端領域と類似する、小型のタンパク質をコードする。SH3BGRL3タンパク質は、E.コリのグルタレドキシン1との著明な類似性を示し、3つのタンパク質全ては、チオレドキシン様タンパク質ファミリーに属することが予測される。グルタレドキシン(GRX)は、多くの細胞内タンパク質のジスルフィド還元を触媒する、遍在性のオキシドレダクターゼであり、多くの酸化還元経路において、重要な役割を果たす。しかし、SH3BGRL3タンパク質は、グルタレドキシンの酵素機能を欠き、酸化還元活性の調節因子としての役割を有しうる(UniProt基本受託番号:O75368)。
ベータ−アクチン様タンパク質2(ACTBL又はACTBL2)
ACTBLは、アクチンファミリーのメンバーである。アクチンは、多様な種類の細胞運動性に関与する、高度な保存的タンパク質であり、全ての真核細胞内において、遍在的に発現される(UniProt基本受託番号:Q562R1)。
ミトコンドリアアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH2)
ALDH2は、アルデヒドの酸化を触媒する。「デヒドロゲナーゼ」という名称にも拘わらず、それらの酸化方式は、水素の除去ではなく、酸素の添加である(すなわち、ALDH2は、アルデヒド(R−C(=O)−H)を、カルボン酸(R−C(=O)−O−H)へと転換する。)。現在、ヒトゲノム内において、19のALDH遺伝子が同定されている。ALDH遺伝子は、外因的及び内因的に発生したアルデヒドの解毒を含む、多種多様な生物学的過程に参与する(UniProt基本受託番号:P05091)。
アネキシンA5(ANXA5)
ANXA5は、血液凝固カスケードに関与する、トロンボプラスチン特異的複合体の間接的阻害剤として作用する、抗凝固タンパク質である(UniProt基本受託番号:P08758)。
カテリシジン抗微生物性ペプチド(CAMP)
CAMPは、細菌リポ多糖(LPS)に結合し、抗菌活性を呈する(UniProt基本受託番号:P49913)。
コピン3(CPNE3)
CPNE3は、増殖因子であるヘレグリンの刺激に応答する、ERBB2媒介性腫瘍細胞遊走において役割を果たす、カルシウム依存性リン脂質結合性タンパク質である(UniProt基本受託番号:O75131)。
軟骨酸性タンパク質1(CRAC1又はCRTAC1)
CRAC1は、関節深部層軟骨の領域間部基質内において見出された、グリコシル化細胞外マトリックスタンパク質をコードする。CRAC1は、培養物中の、軟骨細胞を、骨芽細胞及び間葉系幹細胞から識別するマーカーとして使用される。FG−GAPモチーフ及びRGDインテグリン結合性モチーフの存在は、CRAC1タンパク質が、細胞間相互作用又は細胞−マトリックス間相互作用に関与しうることを示唆する。CRAC1遺伝子内のコピー数変化が、1型神経線維腫症関連グロームス腫瘍において観察されている。代替的スプライシングは、複数の転写物変異体を結果としてもたらす(UniProt基本受託番号:Q9NQ79)。
シスタチンC(CYTC又はCST3)
システインプロテイナーゼの阻害剤として、CYTCは、この酵素活性の局所的調節因子として、重要な生理学的役割を果たすと考えられる(UniProt基本受託番号:P01034)。
アスパルチルアミノペプチダーゼ(DNPEP)
DNPEPは、N末端における酸性アミノ酸に対する特異性を伴うアミノペプチダーゼである。DNPEPは、細胞内のタンパク質及びペプチドの代謝において、重要な役割を果たす可能性が高い(UniProt基本受託番号:Q9ULA0)。
真核生物翻訳開始因子3サブユニットI(EIF3I)
EIF3Iは、タンパク質合成の開始におけるいくつかの段階に要求される、真核生物翻訳開始因子3(eIF−3)複合体の構成要素である。eIF−3複合体は、40Sリボソームと会合し、43S開始前複合体(43S PIC)を形成するように、eIF−1、eIF−1A、eIF−2:GTP:メチオニル−tRNAi及びeIF−5の動員を容易とする。eIF−3複合体は、mRNAの、43S PICへの動員及びmRNAの、AUG認識についての走査を刺激する。eIF−3複合体はまた、終結後のリボソーム複合体のディスアセンブリー及びリサイクリングにも要求され、その後、開始の前における、40Sリボソームサブユニットと、60Sリボソームサブユニットとの未成熟接合を防止する。eIF−3複合体は、細胞周期、分化及びアポトーシスを含む細胞増殖に関与するmRNAのサブセットを特異的にターゲティングし、これらの翻訳を開始し、RNAステムループ結合の異なる方式を使用して、翻訳の活性化又は抑制を行う(UniProt基本受託番号:Q13347)。
グルタチオンシンセターゼ(GSHB又はGSS)
GSHBは、グルタチオン(GSH)生合成経路における、第2の酵素である。GSHBは、ガンマ−グルタミルシステインとグリシンとの縮合を触媒して、グルタチオンを形成する。グルタチオンシンセターゼはまた、強力な抗酸化剤でもある。GSHBは、細菌、酵母、哺乳動物及び植物を含む、多数の種において見出される。ヒトにおいて、GSSの欠損は、常染色体劣性により遺伝し、重度の代謝的アシドーシス、5−オキソプロリン尿症、溶血速度の増大及び中枢神経系の機能不全の原因となる。GSSの欠損は、植物及びヒトにおいて、同様に、あるスペクトルの有害な症状を引き起こしうる。真核生物において、GSSは、ホモ二量体の酵素である。基質結合性ドメインは、3層のアルファ/ベータ/アルファ構造を有する。この酵素は、その後、グリシンに対する好適な求核攻撃を実施するために、アシルリン酸中間体を用い、これを安定化させる(UniProt基本受託番号:P48637)。
細胞間接着分子1(ICAM1)
ICAM1タンパク質は、白血球接着タンパク質LFA−1(インテグリンアルファ−L/ベータ−2)に対するリガンドである。白血球の経内皮遊走時に、ICAM1の係合は、ARHGEF26/SGEF及びRHOGの活性化を介して、内皮頂端カップのアセンブリーを促進する。ICAM1は、主要な受容体群である、A〜B型ライノウイルスカプシドタンパク質に対する受容体として作用する。ICAM1は、コックサッキーウイルスA21カプシドタンパク質に対する受容体として作用する。カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス/HHV−8感染時に、ICAM1は、おそらく、感染細胞の、細胞傷害性Tリンパ球及びNK細胞による溶解を防止するために、ウイルスE3ユビキチンリガーゼであるMIR2により分解される(UniProt基本受託番号:P05362)。
(HV323又はIGHV3−23)
HV323は、抗原認識に参与する、免疫グロブリン重鎖の可変的ドメインのV領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする(UniProt基本受託番号:P01764)。
ヘテロ核リボ核タンパク質D0(HNRPD又はHNRNPD)
HNRPDは、多くの原がん遺伝子及びサイトカインmRNAの3’−UTR内に見出されたAUリッチエレメント(ARE)を含有するRNA分子に、高アフィニティーにより結合する。HNRPDはまた、二本鎖及び一本鎖のDNA配列にも、特異的に結合し、転写因子として機能する。RNA結合性ドメインの各々は、一本鎖非単調5’−UUAG−3’配列だけに特異的に結合することが可能であり、また、一本鎖5’−TTAGGG−3’テロメアDNAリピートにも弱く結合しうる。HNRPDは、5’−UUAGGG−3’リピートを伴うRNAオリゴヌクレオチドに、テロメア一本鎖DNA 5’−TTAGGG−3’リピートより緊密に結合する。RRM1の、DNAへの結合は、テロメアの伸長において、役割を果たしうる、DNA四重鎖構造の形成を阻害する。HNRPDは、翻訳にカップリングしたmRNA代謝回転に関与しうる。HNRPDは、細胞質内の、他のRNA結合性タンパク質と共に、不安定性(mCRD)ドメインの、主要なコード領域決定基により媒介された、FOS mRNAの細胞質脱アデニル化/翻訳−分解相互作用に関与する。HNRPDは、概日時計コア遺伝子のリズム発現の調節において、役割を果たしうる。HNRPDは、CRY1 mRNAの3’UTRに直接結合し、CRY1のリズム翻訳を誘導する。HNRPDはまた、PER2翻訳の調節にも関与しうる(UniProt基本受託番号:Q14103)。
免疫グロブリン可変カッパ1D−33(KVD33又はIGKV1D−33)
KVD33は、抗原認識に参与する、免疫グロブリン軽鎖の可変的ドメインのV領域である。抗体としてもまた公知の免疫グロブリンは、Bリンパ球により産生された、膜結合型又は分泌型の糖タンパク質である。体液性免疫の認識相において、膜結合型免疫グロブリンは、特異的な抗原が結合すると、Bリンパ球の、免疫グロブリンを分泌する血漿細胞への、クローン性の拡大及び分化を誘発する受容体として用いられる。分泌された免疫グロブリンは、体液性免疫のエフェクター相を媒介し、この結果として、結合した抗原の消失をもたらす。抗原結合性部位は、その会合する軽鎖の可変ドメインと併せた、1つの重鎖の可変ドメインにより形成される。したがって、各免疫グロブリンは、特定の抗原に対する、顕著なアフィニティーを伴う、2つの抗原結合性部位を有する。可変ドメインは、V−(D)−J再配列と呼ばれる過程によりアセンブルされ、次いで、体細胞超突然変異にかけられるが、これが、抗原への曝露及び選択の後、特定の抗原に対するアフィニティー成熟を可能とする(UniProt基本受託番号:P01593)。
第IX凝固因子(FA9又はF9)
第IX因子は、Ca2+イオン、リン脂質及び第VIIIa因子の存在下において、第X因子を、その活性形態へと転換することにより、血液凝固の内因系経路に参与する、ビタミンK依存性血漿タンパク質である(UniProt基本受託番号:P00740)。
補体H因子関連タンパク質4(FHR4又はCFHR4)
FHR4は、補体の調節に関与している。FHR4は、リポタンパク質と会合することが可能であり、脂質代謝において、役割を果たしうる(UniProt基本受託番号:Q92496)。
FERM及びPDZドメイン含有タンパク質1(FRPD1又はFRMPD1)
FRPD1は、膜結合型GPSM1を安定化させ、これにより、その、GNAI1との相互作用を促進するように作用する(UniProt基本受託番号:Q5SYB0)。
熱ショックタンパク質HSP90ベータ(HS90B又はHSP90AB1)
HS90Bは、例えば、細胞周期の制御及びシグナル伝達に関与する、特殊な標的タンパク質の成熟、構造維持及び適正な調節を促進する、分子シャペロンである。HS90Bは、そのATPアーゼ活性と連関する機能サイクルを経る。このサイクルは、おそらく、クライアントタンパク質内のコンフォメーション変化を誘導し、これにより、それらの活性化を引き起こす。HS90Bは、その基質認識、ATPアーゼサイクル及びシャペロン機能をモジュレートする、多様なコシャペロンと、動的に相互作用する。HS90Bは、特異的クライアント及び中心的シャペロン自体と、同時に相互作用することが可能なアダプターとして作用する、多様なコシャペロンタンパク質又は複合体とのその相互作用を介して、ある範囲のクライアントタンパク質クラスと係合する。ATP及びコシャペロンに続く、クライアントタンパク質の動員は、機能的シャペロンを形成する。シャペロニング過程が完了した後、適正にフォールディングしたクライアントタンパク質及びコシャペロンは、ADPが結合した、部分的にオープンなコンフォメーションにあるHSP90を離れ、最終的に、ADPは、HSP90から放出され、HSP90は、次のサイクルのために、オープンコンフォメーションを獲得する。そのシャペロン活性を別として、HS90Bはまた、転写機構の調節においても役割を果たす。HSP90及びそのコシャペロンは、少なくとも3つの異なるレベルにおいて、転写をモジュレートする。まず、HSP90及びそのコシャペロンは、多様な生理学的キューに応答して、ある特定の転写因子の定常状態レベルを変更する。第2に、HSP90及びそのコシャペロンは、ヒストンデアセチラーゼ又はDNAメチルトランスフェラーゼなど、ある特定の後成的修飾因子の活性をモジュレートし、これにより、環境の変化に応答する。第3に、HSP90及びそのコシャペロンは、ヒストンの、ある特定の遺伝子のプロモーター領域からの排除に関与し、これにより、遺伝子の発現をオンにする。HS90Bは、STUB1媒介性のSMAD3のユビキチン化及び分解の阻害を介する、TGFベータシグナル伝達の、STUB1媒介性阻害にアンタゴナイズする。HS90Bは、BIRC2をシャペロニングし、これにより、BIRC2を、プロテアソーム機構による自己ユビキチン化及び分解から保護することにより、細胞分化を促進する。HS90Bは、熱ショック下において、JAK2及びPRKCEの両方をシャペロニングし、その固有の転写を活性化させることにより、STAT1のリン酸化/活性化に関与する、主なシャペロンである(UniProt基本受託番号:P08238)。
アルファ−マンノシダーゼ2(MA2A1又はMAN2A1)
MA2A1は、複合体N−グリカンの生合成における、最初の関与段階を触媒する。MA2A1は、N−グリカン成熟経路における最終的な加水分解段階である、高マンノースの、複合体N−グリカンへの転換を制御する(UniProt基本受託番号:Q16706)。
プレニルシステインオキシダーゼ1(PCYOX又はPCYOX1)
PCYOXは、プレニル化タンパク質の分解に関与している。PCYOXは、ファルネシルシステイン及びゲラニルゲラニルシステインなどのプレニル−L−システインのチオエーテル結合を切断する(UniProt基本受託番号:Q9UHG3)。
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNPH又はPNP)
PNPHは、ベータ−(デオキシ)リボヌクレオシド分子内の、N−グリコシド結合の、加リン酸分解性分解を触媒し、対応する遊離プリン塩基及び五炭糖−1−リン酸の形成をもたらす、プリンヌクレオシドホスホリラーゼである(UniProt基本受託番号:P00491)。
ビタミンK依存性タンパク質C(PROC)
PROCは、カルシウムイオン及びリン脂質の存在下における、第Va因子及び第VIIIa因子の不活化により、血液凝固を調節する、ビタミンK依存性セリンプロテアーゼである。PROCは、内皮細胞の障壁機能に対して、保護効果を及ぼす(UniProt基本受託番号:P04070)。
60Sリボソームタンパク質L3(RL3又はRPL3)
RL3は、細胞質リボソームの大型サブユニットの構成要素である(UniProt基本受託番号:P39023)。
セリン/アルギニン反復マトリックスタンパク質2(SRRM2)
SRRM2は、プレmRNAのスプライシングに関与している。SRRM2は、スプライセオソームの触媒中心における、スプライシングの第1の触媒段階において又はこの前に機能しうる。SRRM2は、触媒中心又はRNA基質の位置を安定化させることにより機能しうる(類似性による)。SRRM2は、RNAに結合する(UniProt基本受託番号:Q9UQ35)。
チューブリンベータ1鎖(TBB1又はTUBB1)
TBBIは、微小管の主要な構成物質である、チューブリンのサブユニットである。TBBIは、1モルが、ベータ鎖上の可換部位にあり、1モルが、アルファ鎖上の非可換部位にある、2モルのGTP(類似性による)に結合する(UniProt基本受託番号:Q9H4B7)。
テネイシン(TENA又はTNC)
TENAは、遊走するニューロン並びに発生時、シナプス可塑性時のアクソン並びにニューロンの再生の誘導に関与する、細胞外マトリックスタンパク質である。TENAは、単層の星状細胞上において増殖した皮質ニューロンからの神経突起伸長を促進する。TENAは、インテグリンアルファ8/ベータ1、アルファ9/ベータ1、アルファV/ベータ3及びアルファV/ベータ6に対するリガンドである。腫瘍内において、TENAは、内皮細胞の伸長、遊走及び発芽により、血管新生を刺激する(UniProt基本受託番号:P24821)。
ミトコンドリア75kDa熱ショックタンパク質(TRAP1)
TRAP1は、ATPアーゼ活性を発現させるシャペロンである。TRAP1は、PINK1及びミトコンドリア複合体Iの下流において、ミトコンドリアの機能及び極性化を維持することに関与している。TRAP1は、酸化的リン酸化と、好気的解糖との平衡をモジュレートすることが可能な、ミトコンドリア呼吸の、負の調節因子である。TRAP1の、ミトコンドリア呼吸に対する影響は、おそらく、ミトコンドリアSRCのモジュレーション及びSDHAの阻害により媒介される(UniProt基本受託番号:Q12931)。
一部の実施形態において、上記において列挙された、TBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、対象がTBIを負っていないことを、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象に由来する試料中の検出に基づき決定するのに使用されうる(除外のためのTBIバイオマーカー)。これらのTBIバイオマーカーは、ACTBL、ALDH2、ANXA5、CAMP、CPNE3、CRAC1、CYTC、DNPEP、EIF3I、GSHB、ICAM1、HV323、HNRPD、KVD33、FA9、FHR4、FRPD1、HS90B、MA2A1、PCYOX、PNPH、PROC、RL3、SH3L3、SRRM2、TBB1、TENA、TRAP1又はこれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含みうる。これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象における測定又は検出は、対象がTBIを負っていないことを、1つ以上のTBIバイオマーカーの、対照の対象における量、濃度及び/又は発現レベルを検出、測定、比較及び/又は定量する必要から独立して指し示すのに十分でありうる。これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上は、TBIを負っている対象において存在しうるが、これは一般に、本明細書において記載された、従来の手段を介する検出が可能ではない量において存在する。したがって、場合によって、これらのTBIバイオマーカーのうちの1つ以上の、対象における検出は、対象がTBIを負っていないことを指し示す。これらのTBIバイオマーカーのレベルは、単独で又は軽度TBIのパネル若しくはシグネチャーの一部として組み合わせて検出又は測定されうる。
7.TBIバイオマーカーのレベルを測定するための方法
上記において記載された方法において、TBIバイオマーカーレベルは、イムノアッセイ、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、化学解析、SDS−PAGE及びウェスタンブロット解析若しくはタンパク質免疫染色などの抗体依存的方法、電気泳動解析、タンパク質アッセイ、競合的結合アッセイ、機能的タンパク質アッセイ又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析法若しくは液体クロマトグラフィー−質量分析(LC/MS)又はキャピラリー電気泳動(CE)−MS、若しくは直接的注入、若しくはMSとカップリングさせた任意の分離前工程などのクロマトグラフィー法又は分光法など、任意の手段により測定されうる。また、当業者に公知の臨床化学フォーマットのアッセイも利用されうる。
一部の実施形態において、TBIバイオマーカーのレベルを測定するステップは、試料を、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーと接触させるステップを含む。一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは、捕捉抗体であり、第2の特異的結合メンバーは、検出抗体である。一部の実施形態において、TBIバイオマーカーのレベルを測定するステップは、試料を、同時に又は逐次的に、任意の順序において、(1)TBIバイオマーカー上又はTBIバイオマーカー断片上のエピトープに結合して、捕捉抗体−TBIバイオマーカー抗原複合体(例えば、TBIバイオマーカー捕捉抗体−TBIバイオマーカー抗原複合体)を形成する捕捉抗体(例えば、TBIバイオマーカー捕捉抗体)及び(2)検出可能な標識を含み、捕捉抗体が結合していないTBIバイオマーカー上のエピトープに結合して、TBIバイオマーカー抗原−検出抗体複合体(例えば、TBIバイオマーカー抗原−TBIバイオマーカー検出抗体複合体)を形成する、検出抗体(例えば、TBIバイオマーカー検出抗体)と接触させて、捕捉抗体−TBIバイオマーカー抗原−検出抗体複合体(例えば、TBIバイオマーカー捕捉抗体−TBIバイオマーカー抗原−TBIバイオマーカー検出抗体複合体)を形成すること、並びにTBIバイオマーカーの、試料中量又は試料中濃度を、捕捉抗体−TBIバイオマーカー抗原−検出抗体複合体内の検出可能な標識により発生したシグナルに基づき測定することを含む。
一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは、固体支持体上に固定化される。一部の実施形態において、第2の特異的結合メンバーは、固体支持体上に固定化される。一部の実施形態において、第1の特異的結合メンバーは、下記で記載されるTBIバイオマーカー抗体である。
一部の実施形態において、試料は、希釈される又は希釈されない。試料は、約1〜約25マイクロリットル、約1〜約24マイクロリットル、約1〜約23マイクロリットル、約1〜約22マイクロリットル、約1〜約21マイクロリットル、約1〜約20マイクロリットル、約1〜約18マイクロリットル、約1〜約17マイクロリットル、約1〜約16マイクロリットル、約15マイクロリットル又は約1マイクロリットル、約2マイクロリットル、約3マイクロリットル、約4マイクロリットル、約5マイクロリットル、約6マイクロリットル、約7マイクロリットル、約8マイクロリットル、約9マイクロリットル、約10マイクロリットル、約11マイクロリットル、約12マイクロリットル、約13マイクロリットル、約14マイクロリットル、約15マイクロリットル、約16マイクロリットル、約17マイクロリットル、約18マイクロリットル、約19マイクロリットル、約20マイクロリットル、約21マイクロリットル、約22マイクロリットル、約23マイクロリットル、約24マイクロリットル又は約25マイクロリットルでありうる。一部の実施形態において、試料は、約1〜約150マイクロリットル若しくはこれ未満又は約1〜約25マイクロリットル若しくはこれ未満である。
ポイントオブケアデバイス以外の、一部の測定器(例えば、Abbott Laboratories製の測定器であるARCHITECT(登録商標)、Abbott Alinity instruments及び他のコア検査測定器など)は、変動係数を10%以下として、TBIバイオマーカーの、約0.032μg/Lの試料中レベルを測定することが可能でありうる。他の検出法は、ナノポアデバイス又はナノウェルデバイスの使用を含む又はこれらにおける使用に適合させうる。ナノポアデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれている、国際特許公開第WO2016/161402号において記載されている。ナノウェルデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれている、国際特許公開第WO2016/161400号において記載されている。
a.質量分析による検出
本明細書において使用された、「MSデータ」とは、一般に、質量分析計から得られた、生のMSデータ並びに/又はペプチド及びそれらのフラグメント(例えば、遷移及びMSピーク)が既に同定、解析及び/若しくは定量された処理されたMSデータを指す。本開示の一部の実施形態において、MRM−MS若しくはSRM−MS及び/又はPRM−MSに基づく方法は、特殊なペプチドの、複雑な混合物中の、検出及び正確な定量を可能とする。SRM/MRM−MSは、複雑な試料中の存在度が小さい物質の、信頼でき、かつ、包括的な定量に対する、潜在的可能性を伴う技術である。SRM/MRM−MSは、三連四重極様測定器上において実施されるが、この場合、選択性の増大は、衝突誘導解離を介して得られる。2つの質量分析器(Q1及びQ3)を、静的質量フィルターとして使用して、選択された前駆体の特定のフラグメントをモニタリングするのは、非走査型質量分析法である。三連四重極型測定器上において、限定せずに述べると、エレクトロスプレーイオン化、化学イオン化、電子イオン化、大気圧化学イオン化及びマトリックス支援レーザー脱着イオン化を含む、多様なイオン化法が使用されうる。第1の質量分析器及びコリジョンセルは、いずれも、供給源からのイオンへと、時間依存的に、持続的に曝露されている。イオンが、第3の質量分析器へと移動すると、時間依存性は、因子となる。三連四重極型測定器上において、第1の四重極質量フィルターである、Q1は、試料が、イオン化供給源を離れた後における、一次m/z選別器である。選択された質量対電荷比以外の質量対電荷比を伴うイオンは、Q1に進入することが許容されない。「q2」と表記され、第1の四重極質量フィルターQ1と、第2の四重極質量フィルターQ3との間に配置されたコリジョンセルは、試料のフラグメンテーションが、アルゴン、ヘリウム又は窒素などの不活性ガスの存在下において生じる場所である。次いで、コリジョンセルから出ると、フラグメント化されたイオンは、第2の四重極質量フィルターであるQ3へと移り、ここで、m/zの選択が、再度生じうる。
前駆体及び選択されたフラグメントイオンと関連する、質量対電荷(m/z)値の特殊な対は、「遷移」と称される。検出器は、選択された遷移に合致するイオンについてのカウンティングデバイスとして作用し、これにより、時間経過にわたる強度分布を返す。MRM−MSとは、異なる前駆体/フラグメント対の間を、迅速に切り替えることにより、複数のSRM−MS遷移を、クロマトグラフィーによる時間スケール上の、同じ実験内において測定する場合である。典型的に、三連四重極型測定器は、一連の遷移を循環し、各遷移のシグナルを、溶出時間の関数として記録する。方法は、所与の解析物についての、複数の遷移の、クロマトグラフィーによる共溶出をモニタリングすることにより、さらなる選択性を可能とする。
質量分析及びプロテオミクスに対する、一般的な参考文献について、例えば、Salvatore Sechi、「Quantitative Proteomics by Mass Spectrometry」(「Methods in Molecular Biology」)、2版、2016年版、Humana Press(New York、NY、2009);Daniel Martins−de−Souza、「Shotgun Proteomics:Methods and Protocols」、2014年版、Humana Press(New York、NY、2014);Jorg Reinders及びAlbert Sickmann、「Proteomics: Methods and Protocols」(「Methods in Molecular Biology」)、2009年版、Humana Press(New York、NY、2009)並びにJorg Reinders、「Proteomics in Systems Biology:Methods and Protocols」(「Methods in Molecular Biology」)、1版、2016年版、Humana Press(New York、NY、2009)を参照されたい。
加えて、高分解度質量分析計を使用して、単一の解析において、全ての遷移についての、並列的検出を伴う、SRMも適用されうる。PRM−MSは、選択されたペプチドを定量し(Q1)、よって、タンパク質を定量するための、高選択性、高感度及びハイスループットをもたらす(MS1)。ここでもまた、各タンパク質について、複数のペプチドが、特異的に選択されうる。PRM−MS法は、質量分析計の四重極を使用して、標的前駆体イオンを単離し、ターゲティングされた前駆体イオンを、コリジョンセル内においてフラグメント化し、次いで、結果として得られるプロダクトイオンを、Orbitrap質量分析器内において検出する。定量は、データ収集の後、1つ以上のフラグメントイオンを、5〜10ppmの質量ウインドウにより抽出することにより実行される。PRM−MSは、四重極飛行時間(QTOF)質量分析計又は四重極−Orbitrapハイブリッド型(QOrbitrap)質量分析計を使用して、ペプチド/タンパク質定量化を実行する。QTOFの例は、TripleTOF 6600又は5600システム(Sciex);X500R QTOFシステム(Sciex);6500シリーズのAccurate−Mass Quadrupole Time−of−Flight (Q−TOF)(Agilent)又はXevo G2−XS QTof Quadrupole Time−of−Flight Mass Spectrometry(Waters)を含むがこれらに限定されない。QObitrapの例は、Q Exactive Hybrid Quadrupole−Orbitrap Mass Spectrometer(Thermo Scientific)又はOrbitrap Fusion Tribrid(Thermo Scientific)を含むがこれらに限定されない。
一部の実施形態において、本明細書において開発された方法は、生物学的試料(複数可)中の、ポリペプチド(複数可)又はタンパク質(複数可)の定量へと適用されうる。ポリペプチド又はタンパク質を含む、任意の種類の生物学的試料が、出発点で有ることが可能であり、本明細書において開示された方法により解析されうる。実際、任意のタンパク質/ペプチド含有試料(例えば、組織、細胞)は、本明細書においてもたらされた方法のために使用されることが可能であり、これにより解析されうる。本明細書における方法はまた、消化により得られたペプチド混合物と共に使用される場合もある。ポリペプチド又はタンパク質の消化は、酵素的切断戦略、化学的切断戦略、物理的切断戦略又はこれらの組合せなど、任意の種類の切断戦略を含む。一部の実施形態に従い、本明細書において提示される方法の、以下のパラメータ:トリプシン(又は他のプロテアーゼ)による消化及びペプチドの除去、応答が最良のポリペプチド、応答が最良のタンパク質、応答が最良のペプチド、応答が最良の断片、フラグメント強度比(高ピーク強度及び再現可能なピーク強度の増大)、最適の衝突エネルギー及び方法の感度及び/又は特異度を最大化する、全ての最適のパラメータが決定される。
他の実施形態において、ポリペプチド及び/若しくは対応するタンパク質の定量又は対応するタンパク質の活性/調節が所望される。選択されたペプチドは、安定的同位体により標識され、目的のタンパク質の、絶対的定量を達成する、内部標準物質(SIL)として使用される。定量された安定標識ペプチド類似体によるタグを、ペプチド試料へと、公知の量において添加し;その後、タグ及び目的のペプチドを、質量分析により定量し、タンパク質の内因性レベルの絶対的定量を得る。
本開示の一部の実施形態においてバイオマーカーは、上記において記載した、気相イオンを検出する質量分析計を利用する方法である、質量分析により検出されうる。質量分析計の例は、飛行時間、磁気セクター、四重極フィルター、イオントラップ、イオンサイクロトロン共鳴、静電セクター解析器、前出のハイブリッド又は組合せなどである。一実施形態において、質量分析法は、マトリックス支援レーザー脱着/イオン化飛行時間(MALDI−TOF MS又はMALDI−TOF)を含む。別の実施形態において、方法は、MALDI−TOFタンデム質量分析(MALDI−TOF MS/MS)を含む。さらに別の実施形態において、質量分析は、当業者により想定されうる、別の適切な方法(複数可)と組み合わされうる。例えば、MALDI−TOFは、本明細書において記載されたトリプシン消化及びタンデム質量分析又は富化と共に用いられうる。別の実施形態において、質量分析法は、多重反応モニタリング(MRM)又は定量的MRMである。
一部の実施形態において、質量分析法は、バイオマーカーに結合するクロマトグラフィー特性を有することクロマトグラフィー樹脂上において、1つ以上のバイオマーカーを捕捉することにより、第1の富化を伴う。例えば、バイオマーカーを、CM Ceramic HyperD F樹脂などのカチオン交換樹脂上において捕捉し、樹脂を洗浄し、バイオマーカーを溶出させ、MALDIにより検出しうる。代替的に、この方法に先だって、カチオン交換樹脂への適用の前に、試料を、アニオン交換樹脂上において分画することもできる。一実施形態において、アニオン交換樹脂上において分画し、MALDIにより、直接検出することもできる。別の実施形態において、バイオマーカーを、バイオマーカーに結合する抗体を含むイムノクロマトグラフィー樹脂上において捕捉し、樹脂を洗浄して、結合しなかった素材を除去し、バイオマーカーを、樹脂から溶出させ、溶出させたバイオマーカーを、MALDIにより又は別のMS測定器上において(定量のための任意の方法を使用して)検出することもできる。
本開示のバイオマーカーはまた、他の適切な方法によっても検出されうる。この目的に利用されうる検出パラダイムは、光学法、電気化学法(電圧測定法及び電流測定法技法)、原子間力顕微鏡法及びラジオ周波数法、例えば、多重極共鳴分光法を含む。共焦点顕微鏡法及び非共焦点顕微鏡法の両方に加えて、光学法の例は、蛍光、発光、化学発光、吸光度、反射率、透過率及び複屈折又は屈折率の検出(例えば、表面プラズモン共鳴、偏光解析法、共振ミラー法、グレーティングカプラー導波路法又は干渉法)である又は任意のMS測定器及び任意のMS法を使用する質量分析による。
8.TBIバイオマーカー認識抗体
本明細書において記載された方法は、「TBIバイオマーカー抗体」と称される、TBIバイオマーカー又はこの断片に特異的に結合する単離抗体を使用しうる。TBIバイオマーカー抗体は、TBIバイオマーカー状態を、外傷性脳損傷の尺度として評価する、TBIバイオマーカーの、生体試料中の存在を検出する、TBIバイオマーカーの、生体試料中に存在する量を定量する又はTBIバイオマーカーの、生体試料中の存在を検出し、かつ、TBIバイオマーカーの、生体試料中量を定量するのに使用されうる。
TBIバイオマーカー抗体は、TBIバイオマーカー、この断片、TBIバイオマーカーのエピトープ又はこの変異体に結合する、任意の抗体を含む。抗体は、抗TBIバイオマーカー抗体の断片又はこの変異体若しくは誘導体でありうる。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体でありうる。抗体は、キメラ抗体、単鎖抗体、アフィニティー成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体若しくはFab断片などの抗体断片又はこれらの混合物でありうる。抗体の断片又は誘導体は、F(ab’)断片、Fv断片又はscFv断片を含みうる。抗体の誘導体は、ペプチド模倣体により作製されうる。さらに、単鎖抗体を作製するために記載されている技法は、単鎖抗体を作製するように適合させうる。
抗TBIバイオマーカー抗体は、キメラ抗TBIバイオマーカー抗体又はヒト化抗TBIバイオマーカー抗体でありうる。一実施形態において、ヒト化抗体及びキメラ抗体のいずれも、一価である。一実施形態において、ヒト化抗体及びキメラ抗体のいずれも、Fc領域へと連結された、単一のFab領域を含む。
ヒト抗体は、ファージディスプレイ技術又はヒト免疫グロブリン遺伝子を発現させるトランスジェニックマウスにより導出されうる。ヒト抗体は、ヒトのインビボにおける免疫応答の結果として作出及び単離されうる。例えば、Funaroら、BMC Biotechnology、2008(8):85を参照されたい。したがって、抗体は、ヒトの産物であることが可能であり、動物レパートリーではない場合がある。抗体は、ヒト由来であるため、自己抗原に対する反応性の危険性は、最小化しうる。代替的に、標準的な酵母ディスプレイライブラリー及び酵母ディスプレイ技術は、ヒト抗TBIバイオマーカー抗体を選択及び単離するのに使用されうる。例えば、ナイーブヒト単鎖可変断片(scFv)のライブラリーは、ヒト抗TBIバイオマーカーI抗体を選択するのに使用されうる。トランスジェニック動物は、ヒト抗体を発現させるのに使用されうる。
ヒト化抗体は、所望の抗原に結合する非ヒト種抗体に由来する抗体分子であって、非ヒト種に由来する、1つ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を有する抗体分子でありうる。
抗体は、それが、当技術分野において公知の抗体と異なる生物学的機能を保有するという点において、公知の抗体と識別可能である。
抗体は、TBIバイオマーカーのペプチド、この断片又はこの変異体に免疫特異的に結合しうる。抗体は、エピトープ領域内の、少なくとも3アミノ酸、少なくとも4アミノ酸、少なくとも5アミノ酸、少なくとも6アミノ酸、少なくとも7アミノ酸、少なくとも8アミノ酸、少なくとも9アミノ酸又は少なくとも10アミノ酸を免疫特異的に認識することが可能であり、これらに結合しうる。抗体は、エピトープ領域のうちの、少なくとも3連続アミノ酸、少なくとも4連続アミノ酸、少なくとも5連続アミノ酸、少なくとも6連続アミノ酸、少なくとも7連続アミノ酸、少なくとも8連続アミノ酸、少なくとも9連続アミノ酸又は少なくとも10連続アミノ酸を有するエピトープを免疫特異的に認識することが可能であり、これらに結合しうる。
9.抗体の調製/作製
抗体は、当業者に周知の技法を含む、様々な技法のうちのいずれかにより調製されうる。一般に、抗体は、従来の技法を介する又は抗体の遺伝子、重鎖及び/若しくは軽鎖の、適切な細菌細胞宿主若しくは哺乳動物細胞宿主へのトランスフェクションであって、組換えでありうる抗体の作製を可能とするためのトランスフェクションを介する、モノクローナル抗体の作出を含む細胞培養法により作製されうる。「トランスフェクション」という用語の多様な形態は、外因性DNAの、原核宿主細胞又は真核宿主細胞への導入のために一般に使用されている、多種多様な技法、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクションなどを包含することが意図される。抗体を、原核宿主細胞又は真核宿主細胞において発現させることが可能であるが、そのような真核細胞(そして、特に、哺乳動物細胞)は、原核細胞より、アセンブルし、適正にフォールディングされ、免疫学的に活性である抗体を分泌する可能性が高いため、抗体の、真核細胞内の発現が好ましく、哺乳動物宿主細胞内の発現が最も好ましい。
組換え抗体を発現させるための、例示的な哺乳動物宿主細胞は、例えば、Kaufman及びSharp、J.Mol.Biol.、159:601〜621(1982)において記載されているように、DHFR選択用マーカーと共に使用されるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub及びChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216〜4220(1980)において記載されているdhfr−CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが、哺乳動物宿主細胞へと導入される場合、抗体は、宿主細胞内の抗体の発現又は、より好ましくは、宿主細胞が増殖する培養培地への抗体の分泌を可能とするのに十分な時間にわたり、宿主細胞を培養することにより作製される。抗体は、標準的なタンパク質精製法を使用して、培養培地から回収されうる。
宿主細胞はまた、Fab断片又はscFv分子などの機能的抗体断片を作製するのにも使用されうる。上記の手順に対する変化形も実施されうることが理解される。例えば、宿主細胞に、抗体の軽鎖及び/又は重鎖の機能的断片をコードするDNAをトランスフェクトすることが所望されうる。組換えDNA技術はまた、目的の抗原への結合に必要でない軽鎖及び重鎖の一方又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するのにも使用されうる。また、このような切断型DNA分子から発現した分子も、抗体に包含される。加えて、1つの重鎖及び1つの軽鎖が、抗体(すなわち、ヒトトロポニンIに結合する)であり、他の重鎖及び軽鎖が、ヒトTBIバイオマーカー以外の抗原に特異的である、二官能性抗体も、抗体を、標準的な化学的架橋法を介して、第2の抗体へと架橋することにより作製されうる。
抗体又はこの抗原結合性部分を組換え発現させるための好ましい系において、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、リン酸カルシウム媒介型トランスフェクションにより、dhfr−CHO細胞へと導入される。組換え発現ベクター内において、高レベルの遺伝子の転写を駆動するように、抗体重鎖遺伝子及び抗体軽鎖遺伝子の各々が、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントへと作動的に連結される。組換え発現ベクターはまた、メトトレキサートによる選択/増幅を使用するベクターをトランスフェクトされたCHO細胞の選択を可能とするDHFR遺伝子も保有する。抗体の重鎖及び軽鎖の発現を可能とするように、選択された形質転換体の宿主細胞が培養され、無傷抗体が培養培地から回収される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、形質転換体について選択し、宿主細胞を培養し、抗体を培養培地から回収するのに、標準的な分子生物学法が使用される。なおさらに、組換え抗体を合成する方法は、組換え抗体が合成されるまで、宿主細胞を、適切な培養培地中において培養することによることが可能である。方法は、組換え抗体を、培養培地から単離するステップをさらに含みうる。
モノクローナル抗体を調製する方法は、所望の特異性を有する抗体を作製することが可能な不死細胞株の調製を伴う。このような細胞株は、免疫化された動物から得られた脾臓細胞から作製されうる。動物は、TBIバイオマーカー又はこの断片及び/若しくは変異体により免疫化されうる。動物を免疫化するのに使用されるペプチドは、ヒトFc、例えば、ヒト抗体の断片結晶化可能領域又はテール領域をコードするアミノ酸を含みうる。次いで、脾臓細胞が、例えば、骨髄腫細胞融合パートナーとの融合により不死化されうる。様々な融合法が利用されうる。例えば、脾臓細胞及び骨髄腫細胞が、非イオン性洗浄剤と、数分間にわたり組み合わされ、次いで、低密度において、ハイブリッド細胞の増殖を支援するが、骨髄腫細胞の増殖を支援しない、選択培地上に播種される。このような一技法は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン(HAT)選択を使用する。別の技法は、電気融合を含む。十分な時間、通例、約1〜2週間の後、ハイブリッド体のコロニーが観察される。単一のコロニーが選択され、それらの培養物上清は、ポリペプチドに対する結合活性について調べられる。高度な反応性及び特異性を有するハイブリドーマが使用されうる。
モノクローナル抗体は、増殖するハイブリドーマコロニーの上清から単離されうる。加えて、収率を増強するように、ハイブリドーマ細胞株の、マウスなどの、適切な脊椎動物宿主の腹腔への注射など、多様な技法が利用されうる。次いで、モノクローナル抗体は、腹水又は血液から採取されうる。夾雑物は、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿及び抽出など、従来の技法により、抗体から除去されうる。アフィニティークロマトグラフィーは、抗体を精製する工程において使用されうる方法の例である。
タンパク質分解酵素であるパパインは、優先的にIgG分子を切断して、それらのうちの2つ(F(ab)断片)の各々が、無傷の抗原結合部位を含む、共有結合的ヘテロ二量体を含む、いくつかの断片をもたらす。酵素であるペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合性部位を含む、F(ab’)断片を含む、いくつかの断片をもたらすことが可能である。
Fv断片は、IgMの、優先的なタンパク質分解性切断により作製されうるが、まれな場合に、IgG免疫グロブリン分子又はIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解性切断によっても作製されうる。Fv断片は、組換え法を使用して導出されうる。Fv断片は、天然抗体分子の抗原認識能及び抗原結合能の大半を保持する抗原結合性部位を含む、非共有結合的VH::VLヘテロ二量体を含む。
抗体、抗体断片又は誘導体は、それぞれ、CDRに対する支持をもたらし、CDRの、互いに対する空間的関係を規定する、重鎖及び軽鎖のフレームワーク(「FR」)のセットの間に挿入された、重鎖及び軽鎖の相補性決定領域(「CDR」)のセットを含みうる。CDRのセットは、重鎖V領域又は軽鎖V領域からなる、3つの超可変領域を含有しうる。
必須の特異性を有する抗体を作製又は単離する、他の適切な方法であって、当技術分野において公知の方法を使用して、例えば、Cambridge Antibody Technologies(Cambridgeshire、UK)、MorphoSys(Martinsreid/Planegg、Del.)、Biovation(Aberdeen、Scotland、UK)、BioInvent(Lund、Sweden)など、多様な市販品の販売元から市販されている、ペプチドライブラリー又はタンパク質ライブラリー(例えば、バクテリオファージライブラリー、リボソームライブラリー、オリゴヌクレオチドライブラリー、RNAライブラリー、cDNAライブラリー、酵母ライブラリーなどのディスプレイライブラリーであるがこれらに限定されない。)から組換え抗体を選択する方法を含むがこれらに限定されない方法が使用されうる。米国特許第4,704,692号;同第5,723,323号;同第5,763,192号;同第5,814,476号;同第5,817,483号;同第5,824,514号;同第5,976,862号を参照されたい。代替的な方法は、ヒト抗体のレパートリーを作製することが可能な、トランスジェニック動物の免疫化(例えば、SCIDマウス、Nguyenら(1997)、Microbiol.Immunol.、41:901〜907;Sandhuら(1996)、Crit.Rev.Biotechnol.、16:95〜118;Erenら(1998)、Immunol.、93:154〜161)であって、当技術分野において公知であり、かつ/又は本明細書において記載された、トランスジェニック動物の免疫化に依拠する。このような技法は、リボソームディスプレイ(Hanesら(1997)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:4937〜4942;Hanesら(1998)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:14130〜14135);単一細胞による抗体作製技術(例えば、選択リンパ球抗体法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wenら(1987)J.Immunol.、17:887〜892;Babcookら(1996)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:7843〜7848);ゲル微小液滴及びフローサイトメトリー(Powellら(1990)、Biotechnol.、8:333−337;One Cell Systems(Cambridge、Mass.);Grayら(1995)、J.Imm.Meth.、182:155〜163;Kennyら(1995)、Bio/Technol.、13:787〜790);B細胞の選択(Steenbakkersら(1994)、Molec.Biol.Reports、19:125〜134(1994))を含むがこれらに限定されない。
アフィニティー成熟抗体は、当技術分野において公知である、多数の手順のうちのいずれか1つにより作製されうる。例えば、Marksら、BioTechnology、10:779〜783(1992)は、VHとVLとのドメインシャッフリングによるアフィニティー成熟について記載している。CDR残基及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発については、Barbasら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、91:3809〜3813(1994);Schierら、Gene、169:147〜155(1995);Yeltonら、J.Immunol.、155:1994〜2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310〜3319(1995);Hawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889〜896(1992)により記載されている。選択的突然変異誘発位置及び活性増強アミノ酸残基を伴う接触位置又は超変異位置における選択的突然変異については、米国特許第6,914,128B1号において記載されている。
抗体の変異体はまた、抗体をコードするポリヌクレオチドを、トランスジェニック動物又はこのような抗体をそれらのミルク中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなどの哺乳動物をもたらすのに適する宿主へと送達することを使用しても調製されうる。これらの方法は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,827,690号;同第5,849,992号;同第4,873,316号;同第5,849,992号;同第5,994,616号;同第5,565,362号及び同第5,304,489号において記載されている。
抗体の変異体はまた、このような抗体、指定された部分又は変異体を、植物の部分又はこれらから培養された細胞において産生する、トランスジェニック植物及び培養植物細胞(例えば、タバコ、トウモロコシ及びウキクサであるがこれらに限定されない。)をもたらすように、ポリヌクレオチドを送達することによっても調製されうる。例えば、Cramerら(1999)、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、240:95〜118及びこの文献において引用された参考文献は、例えば、誘導性プロモーターを使用する、大量の組換えタンパク質を発現させるトランスジェニックのタバコ葉の産生について記載している。トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において産生された又は天然の供給源から精製された哺乳動物タンパク質と同等の生物学的活性を伴う哺乳動物タンパク質を、市販品生産のレベルにおいて発現させるのに使用されている。例えば、Hoodら、Adv.Exp.Med.Biol.(1999)、464:127〜147及びこの文献において引用された参考文献を参照されたい。抗体の変異体はまた、単鎖抗体(scFv)などの抗体断片を含むトランスジェニック植物の種子であって、タバコの種子及びバレイショの塊茎を含む種子からも大量に作製されている。例えば、Conradら(1998)、Plant Mol.Biol.、38:101〜109及びこの文献において引用された参考文献を参照されたい。したがって、抗体はまた、公知の方法に従いトランスジェニック植物を使用しても作製されうる。
抗体の誘導体は、例えば、外因性配列を付加して、免疫原性を修飾する又は結合、アフィニティー、オン速度、オフ速度、アビディティー、特異性、半減期若しくは他の任意の適切な特徴を低減、増強若しくは修飾することにより作製されうる。一般に、可変領域及び定常領域の非ヒト配列を、ヒトアミノ酸又は他のアミノ酸により置換しながら、非ヒトCDR配列又はヒトCDR配列のうちの一部又は全部が維持される。
小型の抗体断片は、2つの抗原結合性部位を有するダイアボディーであって、断片が、同じポリペプチド鎖において、軽鎖可変ドメイン(VL)へと接続された重鎖可変ドメイン(VH)(VH VL)を含む、ダイアボディーでありうる。例えば、EP404,097;WO93/1161及びHollingerら(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444〜6448を参照されたい。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合し、2つの抗原結合性部位を創出するように強いられる。また、参照によりその全体において本明細書に組み込まれ、かつ、1つ以上のアミノ酸が、親抗体の超可変領域内へと挿入され、標的抗原に対する結合アフィニティーが、この抗原に対する親抗体の結合アフィニティーの少なくとも約2倍強い抗体変異体についても開示する、Chenらによる、米国特許第6,632,926号も参照されたい。
抗体は、直鎖状抗体でありうる。当技術分野において、直鎖状抗体を作るための手順が公知であり、Zapataら(1995)、Protein Eng.、8(10):1057〜1062において記載されている。略述すると、これらの抗体は、抗原結合性領域の対を形成する、タンデムのFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)の対を含む。直鎖状抗体は、二重特異性又は単一特異性でありうる。
抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム沈殿又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン交換クロマトグラフィー又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない、公知の方法により、組換え細胞培養物から回収及び精製されうる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)もまた、精製のために使用されうる。
抗体を検出可能に標識することは、有用でありうる。抗体を、これらの薬剤へとコンジュゲートさせるための方法は、当技術分野において公知である。例示だけを目的として述べると、抗体は、放射性原子、発色団、フルオロフォアなどの検出可能部分により標識されうる。このような標識抗体は、インビボにおける又は単離された被験試料中の診断法のために使用されうる。このような標識抗体は、サイトカイン、リガンド、別の抗体へと連結されうる。抗腫瘍効果を達成するための、抗体へのカップリングに適する薬剤は、インターロイキン2(IL−2)及び腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン;光力学療法における使用のための光増感剤であって、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホン酸、ヘマトポルフィリン及びフタロシアニンを含む光増感剤;ヨウ素131(131I)、イットリウム90(90Y)、ビスマス212(212Bi)、ビスマス213(213Bi)、テクネチウム99m(99mTc)、レニウム186(186Re)及びレニウム188(188Re)などの放射性核種;ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、ダウノマイシン、ネオカルチノスタチン及びカルボプラチンなどの抗生剤;ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素A、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アブリンA毒素、リシンA(脱グリコシル化リシンA及び天然リシンA)、TGF−アルファ毒素、タイワンコブラに由来する細胞毒素(ナジャ・ナジャ・アトラ)及びゲロニン(植物毒素)など、細菌毒素、植物毒素及び他の毒素;レストリクトシン(アスペルギルス・レストリクツスにより産生されたリボソーム不活化タンパク質)、サポリン(サポナリア・オフィキナリスに由来するリボソーム不活化タンパク質)及びRNアーゼなどの、植物、細菌及び真菌に由来する、リボソーム不活化タンパク質;チロシンキナーゼ阻害剤;ly207702(二フッ素化プリンヌクレオシド);抗嚢胞剤(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素をコードするプラスミド、メトトレキサートなど)を含有するリポソーム並びに他の抗体又はF(ab)などの抗体断片を含む。
ハイブリドーマ技術、選択リンパ球抗体法(SLAM)、トランスジェニック動物及び組換え抗体ライブラリーの使用を介する抗体の作製については、下記において、より詳細に記載される。
10.TBIバイオマーカーを認識するアプタマー
本開示の方法は、1つ以上のTBIバイオマーカーを検出又は同定するアプタマーの使用を含む。アプタマーは、TBIペプチドバイオマーカーなどの標的分子に対する高アフィニティー及び選択性を有するプローブの開発における使用に適する。アプタマーは、有機低分子〜タンパク質及びペプチドの範囲にわたる、それらの標的に特異的に結合する能力を有する、一本鎖DNA(ssDNA)、RNA又は修飾核酸を含む。標的認識のためのベースは、当技術分野において公知の、一本鎖オリゴヌクレオチドにより形成された三次構造である。一部の実施形態において、1つ以上のTBIバイオマーカーを検出又は同定するのに使用されるアプタマーは、アプタマーが、オリゴヌクレオチドの、標的分子への反復的結合による、合成のDNA又はRNAのランダム配列のライブラリーから選択されるSELEXとして公知の、インビトロにおける選択工程を介して得られうる。
一部の実施形態において、候補TBIバイオマーカー捕捉剤についてのスクリーニングのために使用される、アプタマーライブラリー混合物を構成する核酸は、化学修飾を伴う又は伴わない、一本鎖のDNA又はRNAでありうる。選択工程時における、さらなる化学的実体の、DNAへの導入は、例えば、5−アルキン修飾ヌクレオ塩基(例えば、チミン)の使用を含みうる。加えて、5−C8−アルキン修飾ヌクレオチド三リン酸、例えば、デオキシチミジンは、市販されている又は合成されうる。このような5−C8−アルキン修飾ヌクレオ塩基は、PCRにより、DNAへと導入されうる。このような修飾は、いわゆる生体直交型化学を用いて、例えば、それぞれのアジドの、アルキンを伴うCu(I)触媒1,3−双極子環化付加を使用して、さらに誘導体化されうる。Cu(I)触媒アジド−アルキン環化付加(CuAAC)のほか、銅非含有歪み促進アジド−アルキン環化付加(SPAAC)反応もまた有用である。細胞系又は生命系に関する一部の実施形態において、歪み促進アジド−アルキン環化付加は、Cu(I)の使用と関連する毒性問題を克服しうる。任意の数の、所望の化学修飾が、スクリーニング目的のために使用されるオリゴヌクレオチドライブラリーへと追加されうる。このような修飾の例は、限定せずに述べると、脂肪族残基、芳香族残基、帯電残基、塩基性残基、酸性残基、ヘテロ芳香族残基、糖型残基、金属含有残基又はペプチド残基を含む。
一部の実施形態において、アジド−アルキン化学基を含有するように修飾されるヌクレオ塩基は、エチニルdUヌクレオチド、エチニルdAヌクレオチド、エチニルdCヌクレオチド又はエチニルdGヌクレオチド、プロピニルdUヌクレオチド、プロピニルdAヌクレオチド、プロピニルdCヌクレオチド又はプロピニルdGヌクレオチド又はブチニルdUヌクレオチド、ブチニルdAヌクレオチド、ブチニルdCヌクレオチド又はブチニルdGヌクレオチドを含みうる。他の実施形態において、アジド−アルキン化学基を含有するように修飾されるヌクレオ塩基は、エチニルdUヌクレオチド、エチニルdAヌクレオチド、エチニルdCヌクレオチド又はエチニルdGヌクレオチドでありうる。これらの例示的修飾を伴うヌクレオチドアプタマーライブラリーは、DNAアプタマーライブラリーの化学的多様性を増強するために、多様なSELEXベースの選択法において使用されうる。核酸の出発混合物又は候補混合物は、例えば、クリック化学により導入される官能化を含むように、混合物のメンバーのうちの少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%又は100%が修飾されるように修飾されうる。100%未満の修飾が、オリゴヌクレオチド内の、ある特定の位置が修飾されることを可能とするが、他の位置が修飾されることは可能としないことによる、多様性の増強を可能とするのに対し、100%の修飾は、選択工程における一貫性を確保する。一部の実施形態において、多様性をさらに増強するように、オリゴヌクレオチド内の異なる位置において、異なる修飾がなされる。
TBIバイオマーカーを認識するアプタマーは、1つ以上のTBIバイオマーカーの、生物学的試料(例えば、タンパク質、核酸又は微小胞など、目的の生物学的実体)中の存在又はレベルを検出する、多様な方法において使用されうる。アプタマーは、コグネイトTBIバイオマーカーの存在又はレベルを評価する、結合剤又は捕捉剤として機能しうる。診断法及び/又は予後診断法を対象とする、本開示の多様な実施形態において、1つ以上のアプタマーは、1つ以上のアプタマーが、選択された生物学的試料と接触して、1つ以上のアプタマーが、その標的TBIバイオマーカー分子と会合する又はこれに結合することを可能とする、リガンド−標的ベースのアッセイにおいて構成されうる。アプタマーはまた、評価された生物学的試料及び検出されたバイオマーカーに基づき、複数のTBIバイオマーカーのプロファイル(「バイオマーカー」プロファイル又は「バイオマーカー」シグネチャー)を同定するのにも使用されうる。生物学的試料のバイオマーカープロファイルは、評価されうる、1つ以上の目的のバイオマーカーの存在、レベル又は他の特徴であって、限定せずに述べると、存在、レベル、配列、突然変異、再配列、転座、欠失、後成的修飾、メチル化、翻訳後修飾、対立遺伝子、活性、複雑なパートナー、安定性、半減期などを含む存在、レベル又は他の特徴を含みうる。
バイオマーカープロファイル又はバイオマーカーシグネチャーは、疾患の存在、疾患の病期分類、疾患のモニタリング、疾患の層別化又は疾患の検出、転移若しくは再発若しくは進行のための監視など、診断基準及び/又は予後診断基準を査定するのに使用されうる。例えば、本開示の方法は、TBIバイオマーカープロファイルを、重度TBI、軽度TBI又は軽度TBIのサブクラスなど、選択された状態又は疾患と相関させるための方法を含みうる。バイオマーカープロファイルはまた、治療介入を含む処置モダリティーに関する決定を下すときに、臨床においても使用されうる。アプタマーの検出、同定及び/又は定量に基づくバイオマーカープロファイルは、イメージング手順(例えば、MRI)を実施すべきかどうかを含む、処置の決定を下すのにも、臨床においてさらに使用されうる。
11.方法の変化形
試料中に存在する目的の解析物(例えば、TBIバイオマーカー)の存在又は量を決定する、開示された方法は、本明細書において記載された通りでありうる。方法はまた、解析物を解析するための他の方法を念頭に置いて、適合させる場合もある。周知の変化形の例は、酵素による検出(酵素イムノアッセイ(EIA)又は酵素免疫測定アッセイ(ELISA))を含む、サンドイッチイムノアッセイ(例えば、モノクローナル−モノクローナルサンドイッチイムノアッセイ、モノクローナル−ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ)、競合阻害イムノアッセイ(例えば、フォワード競合阻害イムノアッセイ及びリバース競合阻害イムノアッセイ)、酵素多重化イムノアッセイ法(EMIT)、競合結合アッセイなどのイムノアッセイ、生物発光エネルギー移動(BRET)、ワンステップ抗体検出アッセイ、同種アッセイ、異種アッセイ、キャプチャーオンザフライアッセイなどを含むがこれらに限定されない。
a.イムノアッセイ
目的の解析物及び/又はこのペプチド若しくは断片(例えば、TBIバイオマーカー及び/又はこのペプチド若しくは断片)は、TBIバイオマーカー抗体を、イムノアッセイにおいて使用して解析されうる。解析物(例えば、TBIバイオマーカー)の存在又は量は、抗体を使用し、解析物への特異的結合を検出して決定されうる。例えば、抗体又はこの抗体断片は、解析物に特異的に結合しうる。所望の場合、抗体のうちの1つ以上は、1つ以上の、市販のモノクローナル/ポリクローナル抗体と組み合わせて使用されうる。このような抗体は、R&D Systems,Inc.(Minneapolis、MN)及びEnzo Life Sciences International,Inc.(Plymouth Meeting、PA)などの企業から市販されている。
体内試料中に存在する、解析物(例えば、TBIバイオマーカー)の存在又は量は、サンドイッチイムノアッセイ(例えば、放射性同位元素の検出(ラジオイムノアッセイ(RIA)を含む、モノクローナル−モノクローナルサンドイッチイムノアッセイ、モノクローナル−ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ)及び酵素による検出(酵素イムノアッセイ(EIA)又は酵素免疫測定アッセイ(ELISA)(例えば、Quantikine ELISA Assay、R&D Systems、Minneapolis、MN))などのイムノアッセイを使用して、たやすく決定されうる。使用されうるポイントオブケアデバイスの例は、i−STAT(登録商標)(Abbott、Laboratories、Abbott Park、IL)である。使用されうる、他の方法は、化学発光マイクロ粒子イムノアッセイ、特に、例として述べると、ARCHITECT(登録商標)自動式解析器(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)を用いる化学発光マイクロ粒子イムノアッセイを含む。他の方法は、例えば、質量分析及び解析物(例えば、TBIバイオマーカー)に対する抗解析物(例えば、抗TBIバイオマーカー)抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体など)又はこれらの抗体断片を使用する、免疫組織化学(例えば、組織生検に由来する切片を伴う。)を含む。他の検出法は、例えば、それらの各々が、参照によりその全体において本明細書に組み込まれている、米国特許第6,143,576号;同第6,113,855号;同第6,019,944号;同第5,985,579号;同第5,947,124号;同第5,939,272号;同第5,922,615号;同第5,885,527号;同第5,851,776号;同第5,824,799号;同第5,679,526号;同第5,525,524号及び同第5,480,792号において記載されている検出法を含む。抗体の、解析物への特異的免疫結合は、抗体へと接合された、蛍光タグ又は発光タグ、金属及び放射性核種などの直接的標識を介して又はアルカリホスファターゼ若しくは西洋ワサビペルオキシダーゼなどの間接的標識を介して検出されうる。
固定化された抗体又はこの抗体断片の使用は、イムノアッセイへと組み込まれうる。抗体は、磁性粒子又はクロマトグラフィーマトリックス粒子、アッセイプレート(マイクロ滴定ウェルなど)の表面、固体基質材料の小片などの、様々な支持体へと固定化されうる。アッセイストリップは、固体支持体上のアレイ内の抗体又は複数の抗体をコーティングすることにより調製されうる。次いで、このストリップは、被験試料へと浸漬させ、有色スポットなどの、測定可能なシグナルを発生させるように、洗浄及び検出ステップを介して、速やかに処理されうる。
同種フォーマットが使用されうる。例えば、被験試料が、対象から得られた後に、混合物が調製される。混合物は、解析物(例えば、TBIバイオマーカー)について評価される被験試料及び特異的結合パートナーを含有する。混合物を形成するのに、被験試料及び特異的結合パートナーが添加される順序は、それほど重要ではない。被験試料は、特異的結合パートナーと同時に接触される。一部の実施形態において、特異的結合パートナーと、被験試料中に含有された、任意のTBIバイオマーカーとは、特異的結合パートナー−解析物(例えば、TBIバイオマーカー)抗原複合体を形成することが可能である。特異的結合パートナーは、抗解析物抗体(例えば、TBIバイオマーカーの、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗TBIバイオマーカー抗体)でありうる。さらに、特異的結合パートナーは、上記において記載された、検出可能な標識により標識されうる又はこれを含有しうる。
異種フォーマットが使用されうる。例えば、被験試料が、対象から得られた後に、第1の混合物が調製される。混合物は、解析物(例えば、TBIバイオマーカー)について評価される被験試料及び第1の特異的結合パートナーを含有し、この場合、第1の特異的結合パートナーと、被験試料中に含有された、任意のTBIバイオマーカーとは、第1の特異的結合パートナー−解析物(例えば、TBIバイオマーカー)抗原複合体を形成する。第1の特異的結合パートナーは、抗解析物抗体(例えば、TBIバイオマーカーの、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合する抗TBIバイオマーカー抗体)でありうる。混合物を形成するのに、被験試料及び第1の特異的結合パートナーが添加される順序は、それほど重要ではない。
第1の特異的結合パートナーは、固相上に固定化されうる。イムノアッセイにおいて使用される固相(特異的結合パートナーのための)は、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロ滴定プレート、キュベット、膜、足場形成分子、薄膜、濾紙、ディスク及びチップなどであるがこれらに限定されない、当技術分野において公知である、任意の固相でありうる。固相がビーズである実施形態において、ビーズは、磁気ビーズ又は磁性粒子でありうる。磁気ビーズ/磁性粒子は、強磁性、フェリ磁性、常磁性、超常磁性又は磁性流体でありうる。例示的な強磁性材料は、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO、MnAs、MnBi、EuO及びNiO/Feを含む。フェリ磁性材料の例は、NiFe、CoFe、Fe(又はFeO・Fe)を含む。ビーズは、磁性であり、1つ以上の非磁性層により取り囲まれた固体コア部分を有しうる。代替的に、磁性部分は、非磁性コアの周囲の層でありうる。第1の特異的結合メンバーが固定化される固体支持体は、乾燥形態又は液体で保管されうる。磁気ビーズは、第1の特異的結合メンバーが固定化される磁気ビーズを伴う試料と接触させる前に又はこの後で、磁界下に置かれうる。
第1の特異的結合パートナー−解析物(例えば、TBIバイオマーカー)抗原複合体を含有する混合物が形成された後に、当技術分野において公知である、任意の技法を使用して、任意の結合していない解析物(例えば、TBIバイオマーカー)が、複合体から除去される。例えば、結合していない解析物は、洗浄することにより除去されうる。しかし、被験試料中に存在する、全ての解析物が、第1の特異的結合パートナーに結合するように、第1の特異的結合パートナーは、被験試料中に存在する、任意の解析物に対する過剰量において存在することが所望される。
任意の結合していない解析物(例えば、TBIバイオマーカー)が除去された後に、第2の特異的結合パートナーを、混合物へと添加して、第1の特異的結合パートナー−目的の解析物(例えば、TBIバイオマーカー)−第2の特異的結合パートナー複合体を形成する。第2の特異的結合パートナーは、抗解析物抗体(例えば、TBIバイオマーカーの、少なくとも3連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するエピトープに結合するTBIバイオマーカー抗体)でありうる。さらに、第2の特異的結合パートナーは、上記された、検出可能な標識により標識される又はこれを含有する。
固定化された抗体又はこの抗体断片の使用は、イムノアッセイへと組み込まれうる。抗体は、磁性粒子又はクロマトグラフィーマトリックス粒子(磁気ビーズなど)、ラテックス粒子又は表面修飾ラテックス粒子、ポリマー又はポリマー薄膜、プラスチック又はプラスチック薄膜、平面状基質、アッセイプレート(マイクロ滴定ウェルなど)の表面、固体基質材料の小片などの、様々な支持体へと固定化されうる。アッセイストリップは、固体支持体上のアレイ内の抗体又は複数の抗体をコーティングすることにより調製されうる。次いで、このストリップは、被験試料へと浸漬させ、有色スポットなどの、測定可能なシグナルを発生させるように、洗浄及び検出ステップを介して、速やかに処理されうる。
(1)サンドイッチイムノアッセイ
サンドイッチイムノアッセイは、抗体(すなわち、少なくとも1つの捕捉抗体)と、検出抗体(すなわち、少なくとも1つの検出抗体)とからなる、2つの層の間の抗原の量を測定する。捕捉抗体及び検出抗体は、抗原、例えば、TBIバイオマーカーなど、目的の解析物上の、異なるエピトープに結合する。捕捉抗体の、エピトープへの結合は、検出抗体の、エピトープへの結合に干渉しないことが所望される。モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれも、サンドイッチイムノアッセイにおける、捕捉抗体及び検出抗体として使用されうる。
一般に、少なくとも2つの抗体が、被験試料中の解析物(例えば、TBIバイオマーカー)を分離及び定量するのに利用される。より具体的に、少なくとも2つの抗体は、解析物の、ある特定のエピトープに結合し、「サンドイッチ」と称される免疫複合体を形成する。1つ以上の抗体が、被験試料中の解析物を捕捉する(これらの抗体は、しばしば、「捕捉」抗体(antibody)又は「捕捉」抗体(antibodies)と称される。)のに使用される場合があり、1つ以上の抗体が、検出可能な(すなわち、定量可能な)標識を、サンドイッチに結合させるのに使用される(これらの抗体は、しばしば、「検出」抗体(antibody)又は「検出」抗体(antibodies)と称される。)。サンドイッチアッセイにおいて、抗体の、そのエピトープへの結合は、アッセイ中の他の任意の抗体の、そのそれぞれのエピトープへの結合により減弱されないことが所望される。抗体は、解析物を含有することが推測される被験試料と接触した、1つ以上の第1の抗体が、第2の抗体又は後続の抗体により認識されるエピトープの全部又は一部に結合せず、これにより、1つ以上の第2の検出抗体が、解析物に結合する能力に干渉しないように選択される。
抗体は、前記イムノアッセイ中の、第1の抗体として使用されうる。抗体は、解析物(例えば、TBIバイオマーカー)上のエピトープに免疫特異的に結合する。本開示の抗体に加えて、前記イムノアッセイは、第1の抗体により認識されない又は第1の抗体に結合しないエピトープに免疫特異的に結合する、第2の抗体を含みうる。
解析物(例えば、TBIバイオマーカー)を含有することが推測される被験試料は、少なくとも1つの、第1の捕捉抗体(又は抗体)及び少なくとも1つの、第2の検出抗体と同時に又は逐次的に接触させうる。サンドイッチアッセイフォーマットにおいて、解析物を含有することが推測される被験試料はまず、第1の抗体−解析物抗原複合体の形成を可能とする条件下において、特定のエピトープに特異的に結合する、少なくとも1つの、第1の捕捉抗体と接触させる。1つを超える捕捉抗体が使用される場合、第1の複数の捕捉抗体−TBIバイオマーカー抗原複合体が形成される。サンドイッチアッセイにおいて、抗体、好ましくは、少なくとも1つの捕捉抗体は、被験試料に予測される解析物の最大量に対するモル過剰量において使用される。例えば、マイクロ粒子コーティング緩衝液1ml当たり約5μg/ml〜約1mg/mlの抗体が使用されうる。
i.抗TBIバイオマーカー捕捉抗体
任意選択的に、被験試料を、少なくとも1つの、第1の捕捉抗体と接触させる前に、少なくとも1つの、第1の捕捉抗体は、第1の抗体−解析物(例えば、TBIバイオマーカー)複合体の、被験試料からの分離を容易とする固体支持体に結合しうる。当技術分野において公知である、任意の固体支持体であって、ウェル、チューブ又はビーズ(マイクロ粒子など)の形態のポリマー材料から作られた固体支持体を含むがこれらに限定されない固体支持体が使用されうる。抗体(antibody(又はantibodies))は、そのような結合が、解析物に結合する抗体の能力に干渉しないことを条件として、吸着により、化学的カップリング剤を使用する共有結合により又は当技術分野において公知である他の手段により、固体支持体に結合しうる。さらに、必要な場合、固体支持体は、抗体上の多様な官能基との反応性を可能とするように、誘導体化されうる。このような誘導体化は、無水マレイン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどであるがこれらに限定されない、ある特定のカップリング剤の使用を要求する。
その後、解析物(例えば、TBIバイオマーカー)を含有することが推測される被験試料は、第1の捕捉抗体(又は複数の抗体)−解析物複合体の形成を可能とするためにインキュベートされる。インキュベーションは、約4.5〜約10.0のpH、約2℃〜約45℃の温度において、少なくとも約1分間〜約18時間、約2〜6分間、約7〜12分間、約5〜15分間又は約3〜4分間の時間にわたり実行されうる。
ii.検出抗体
次いで、第1の/複数の捕捉抗体−解析物(例えば、TBIバイオマーカー)複合体の形成後、複合体は、少なくとも1つの、第2の検出抗体と接触させる(第1の/複数の抗体−解析物抗原−第2の抗体複合体の形成を可能とする条件下において)。一部の実施形態において、被験試料は、捕捉抗体と同時に、検出抗体と接触させる。第1の抗体−解析物複合体が、1つを超える検出抗体と接触させる場合、第1の/複数の捕捉抗体−解析物−複数の検出抗体複合体が形成される。少なくとも第2の(及び後続の)抗体が、第1の抗体−解析物複合体と接触させる場合、第1の抗体と同様に、上記された条件と同様の条件下におけるインキュベーション時間が、第1の/複数の抗体−解析物−第2の/複数の抗体複合体の形成に要求される。好ましくは、少なくとも1つの、第2の抗体は、検出可能な標識を含有する。検出可能な標識は、第1の/複数の抗体−解析物−第2の/複数の抗体複合体の形成の前に、これと同時に又はこの後に、少なくとも1つの、第2の抗体に結合しうる。当技術分野において公知である、任意の検出可能な標識が使用されうる。
化学発光アッセイは、Adamczykら、Anal.Chim.Acta、579(1):61〜67(2006)において記載されている方法に従い実施されうる。任意の適切なアッセイフォーマットが使用されうるが、マイクロプレート用化学発光測定器(Mithras LB−940、Berthold Technologies U.S.A.,LLC、Oak Ridge、TN)は、小容量の複数の試料についてのアッセイを、迅速に可能とする。化学発光測定器は、96ウェル黒色ポリスチレン製マイクロプレート(Costar#3792)を使用する、複数の試薬注入器を装備されうる。各試料が、個別のウェルへと添加されうるのに続き、利用されたアッセイの種類により決定される通り、他の試薬の同時的/逐次的な添加がなされうる。酸性化によるなど、アクリジニウムアリールエステルを用いる、中性溶液中又は塩基性溶液中の擬塩基の形成は回避されることが所望される。次いで、化学発光応答が、ウェルごとに記録される。この点で、化学発光応答を記録するための時間は、部分的に、利用された試薬の添加と、特定のアクリジニウムの添加との間の遅延に依存する。
化学発光アッセイのための混合物を形成するのに、被験試料及び特異的結合パートナーが添加される順序は、それほど重要ではない。第1の特異的結合パートナーが、アクリジニウム化合物により、検出可能に標識される場合、検出可能に標識された第1の特異的結合パートナー−抗原(例えば、TBIバイオマーカー)複合体が形成される。代替的に、第2の特異的結合パートナーが使用され、第2の特異的結合パートナーが、アクリジニウム化合物により、検出可能に標識される場合、検出可能に標識された第1の特異的結合パートナー−解析物−第2の特異的結合パートナー複合体が形成される。標識されたものであれ、標識されていないものであれ、結合していない任意の特異的結合パートナーは、洗浄など、当技術分野において公知である、任意の技法を使用して、混合物から除去されうる。
過酸化水素は、混合物中、インサイチューにおいて発生しうる又は上記されたアクリジニウム化合物の添加の前に、これと同時に又はこの後に、混合物へと施されうる、若しくは供給されうる。過酸化水素は、当業者に明らかである方式など、多数の方式により、インサイチューにおいて発生しうる。
代替的に、過酸化水素の供給源は、混合物へと、単純に添加されうる。例えば、過酸化水素の供給源は、過酸化水素を含有することが公知である、1つ以上の緩衝液又は他の溶液でありうる。この点で、過酸化水素の溶液が、単純に添加されうる。
少なくとも1つの塩基性溶液を、試料へと、同時的に又はその後において添加したら、検出可能なシグナル、すなわち、解析物(例えば、TBIバイオマーカー)の存在を示す化学発光シグナルが発生する。塩基性溶液は、少なくとも1つの塩基を含有し、10以上、好ましくは、12以上のpHを有する。塩基性溶液の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び重炭酸カルシウムを含むがこれらに限定されない。試料へと添加される塩基性溶液の量は、塩基性溶液の濃度に依存する。使用された塩基性溶液の濃度に基づき、当業者は、試料へと添加される塩基性溶液の量を容易に決定しうる。化学発光標識以外の他の標識も利用されうる。例えば、酵素標識(アルカリホスファターゼを含むがこれに限定されない)が利用されうる。
発生した化学発光シグナル又は他のシグナルは、当業者に公知の規定の技法を使用して検出されうる。発生したシグナルの強度に基づき、目的の解析物(例えば、TBIバイオマーカー)の、試料中の量が定量されうる。具体的に、解析物の、試料中の量は、発生したシグナルの強度に比例する。存在する解析物の量は、発生した光の量を、解析物についての検量線と比較することにより又は参照標準物質との比較により定量されうる。検量線は、解析物の既知の濃度の系列希釈液又は溶液を使用して、質量分析、重量測定法及び当技術分野において公知の他の技法により作成されうる。
(2)フォワード競合阻害アッセイ
フォワード競合フォーマットにおいて、公知の濃度の、蛍光標識、切断可能なリンカーと接合されたタグなどを有する、標識された目的の解析物(例えば、TBIバイオマーカー)のアリコートが、被験試料中の目的の解析物と、目的の解析物抗体(例えば、TBIバイオマーカー抗体)への結合について競合するように使用される。
フォワード競合アッセイにおいて、固定化された特異的結合パートナー(抗体など)は、被験試料及び標識された目的の解析物、目的の解析物の断片又は目的の解析物の変異体と、逐次的に又は同時に接触させうる。目的の解析物のペプチド、目的の解析物の断片又は目的の解析物の変異体は、切断可能なリンカーと接合されたタグから構成された、検出可能な標識を含む、任意の検出可能な標識により標識されうる。このアッセイにおいて、抗体は、固体支持体へと固定化されうる。代替的に、抗体は、マイクロ粒子又は平面状基質などの固体支持体上に固定化された、抗分子種抗体などの抗体へとカップリングされうる。
標識された目的の解析物、被験試料及び抗体は、サンドイッチアッセイフォーマットとの関連において、上記された条件と同様の条件下においてインキュベートされる。次いで、抗体−目的の解析物複合体の、2つの異なる分子種が作出されうる。具体的に述べると、作出された抗体−目的の解析物複合体のうちの1つが、検出可能な標識(例えば、蛍光標識など)を含有するのに対し、他の抗体−目的の解析物複合体は、検出可能な標識を含有しない。抗体−目的の解析物複合体は、検出可能な標識の定量の前に、残りの被験試料から分離されうるが、そうされなくともよい。次いで、抗体−目的の解析物複合体が、残りの被験試料から分離されるのかどうかに関わらず、抗体−目的の解析物複合体内において検出可能な標識の量が定量される。次いで、目的の解析物(膜に会合した目的の解析物、可溶性の目的の解析物、可溶性の目的の解析物の断片、目的の解析物(膜に会合した目的の解析物又は可溶性の目的の解析物)の変異体又はこれらの任意の組合せなど)の、被験試料中濃度が、例えば、上記された通りに決定されうる。
(3)リバース競合阻害アッセイ
リバース競合アッセイにおいて、固定化された目的の解析物(例えば、TBIバイオマーカー)は、被験試料及び少なくとも1つの標識された抗体と、逐次的に又は同時に接触させうる。
目的の解析物は、上記においてサンドイッチアッセイフォーマットとの関連において論じられた固体支持体などの固体支持体に結合させうる。
固定化された目的の解析物、被験試料及び少なくとも1つの標識された抗体は、サンドイッチアッセイフォーマットとの関連において、上記された条件と同様の条件下においてインキュベートされる。次いで、目的の解析物−抗体複合体の2つの異なる分子種が作出されうる。具体的に述べると、作出された目的の解析物−抗体複合体のうちの1つが、固定化され、検出可能な標識(例えば、蛍光標識など)を含有するのに対し、他の目的の解析物−抗体複合体は、固定化されず、検出可能な標識を含有する。固定化されなかった目的の解析物−抗体複合体及び残りの被験試料は、洗浄など、当技術分野において公知の技法を介して、固定化された目的の解析物−抗体複合体の存在から除去される。次いで、固定化されなかった目的の解析物−抗体複合体が除去されたら、タグの切断後に、固定化された、目的の解析物−抗体複合体内の、検出可能な標識の量が定量される。次いで、目的の解析物の、被験試料中濃度が、上記された通り、検出可能な標識の数量を比較することにより決定されうる。
(4)ワンステップイムノアッセイ又は「キャプチャーオンザフライ」アッセイ
キャプチャーオンザフライイムノアッセイにおいて、固体基質は、固定化剤によりあらかじめコーティングされている。捕捉剤、解析物(例えば、TBIバイオマーカー)及び検出剤が、固体基質へと併せて添加されるのに続き、検出の前に、洗浄ステップがなされる。捕捉剤は、解析物に結合することが可能であり、固定化剤のためのリガンドを含む。捕捉剤及び検出剤は、本明細書において記載された又は当技術分野において公知である、捕捉又は検出が可能な、抗体又は他の任意の部分でありうる。リガンドは、ペプチドタグを含むことが可能であり、固定化剤は、抗ペプチドタグ抗体を含みうる。代替的に、リガンド及び固定化剤は、キャプチャーオンザフライアッセイのために利用されるように、併せて結合することが可能な薬剤の任意の対(例えば、特異的結合対及び当技術分野において公知である対など、他の対)でありうる。1つを超える解析物が測定されうる。一部の実施形態において、固体基質は、抗原によりコーティングされる場合があり、解析される解析物は、抗体である。この方法はまた、MSによる検出及び定量ともカップリングさせうる。
ワンステップイムノアッセイ又は「キャプチャーオンザフライ」における、ある特定の、他の実施形態において、固定化剤(ビオチン、ストレプトアビジンなど)によりあらかじめコーティングされた固体支持体(マイクロ粒子など)並びに少なくとも第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバー(それぞれ、捕捉試薬及び検出試薬として機能する)が使用される。第1の特異的結合メンバーは、固定化剤のためのリガンド(例えば、固体支持体上の固定化剤が、ストレプトアビジンである場合、第1の特異的結合メンバー上のリガンドは、ビオチンでありうる。)を含み、また、目的の解析物(例えば、TBIバイオマーカー)にも結合する。第2の特異的結合メンバーは、検出可能な標識を含み、目的の解析物に結合する。固体支持体並びに第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、被験試料へと(逐次的に又は同時に)添加されうる。第1の特異的結合メンバー上のリガンドは、固体支持体上の固定化剤に結合して、固体支持体/第1の特異的結合メンバー複合体を形成する。試料中に存在する、任意の目的の解析物は、固体支持体/第1の特異的結合メンバー複合体に結合して、固体支持体/第1の特異的結合メンバー/解析物複合体を形成する。第2の特異的結合メンバーは、固体支持体/第1の特異的結合メンバー/解析物複合体に結合し、検出可能な標識が検出される。検出の前に、任意選択の洗浄ステップが利用されうる。ワンステップアッセイにおける、ある特定の実施形態において、1つを超える解析物が測定されうる。ある特定の、他の実施形態において、2つを超える特異的結合メンバーが利用されうる。ある特定の、他の実施形態において、複数の検出可能な標識が添加されうる。ある特定の、他の実施形態において、複数の、目的の解析物が検出されうる又は質量分析の使用を含め、これらの量、レベル若しくは濃度が、測定、決定若しくは評価されうる。
キャプチャーオンザフライアッセイの使用は、本明細書において記載され、当技術分野において公知である、様々なフォーマットにおいてなされうる。例えば、フォーマットは、上記されたようなサンドイッチアッセイでありうるが、代替的に、競合アッセイであることも可能であり、単一特異性の結合メンバーを用いうる又は公知である変化形など、他の変化形も使用しうる。この方法はまた、MSによる検出及び定量ともカップリングさせうる。
12.他の因子
上記された、診断法、予後診断法、危険性層別化法及び/又は評価法は、診断、予後診断及び評価のための他の因子の使用をさらに含みうる。一部の実施形態において、外傷性脳損傷は、Glasgow昏睡スケール又は拡張版Glasgow転帰スケール(GOSE)を使用して診断されうる。他の検査、スケール又は指標もまた、単独で又はGlasgow昏睡スケールと組み合わせて使用されうる。例は、Ranchos Los Amigosスケールである。Ranchos Los Amigosスケールは、意識、認知、行動及び環境との相互作用のレベルを測定する。Ranchos Los Amigosスケールは、レベルI:応答なし;レベルII:一般的な応答;レベルIII:局所的応答;レベルIV:混乱(興奮);レベルV:混乱(不適切);レベルVI:混乱(適切);レベルVII:自動的(適切)及びレベルVIII:意図的(適切)を含む。
13.試料
一部の実施形態において、試料は、ヒト対象が、物理的振盪、閉鎖性頭部外傷若しくは開放性頭部外傷を結果としてもたらす外部の機械的力若しくは他の力、1回以上の転倒、爆発若しくは爆破による鈍的衝撃により引き起こされた頭部損傷又は他の種類の鈍力外傷を負った後において得られる。一部の実施形態において、ヒト対象が、化学物質、毒素又は化学物質と毒素との組合せを摂取した後又はこれらへと曝露された後において、試料が得られる。このような化学物質及び/又は毒素の例は、火、カビ、アスベスト、害虫駆除剤、殺虫剤、有機溶剤、塗料、糊、ガス(一酸化炭素、硫化水素及びシアン化物など)、有機金属(メチル水銀、テトラエチル鉛及び有機スズなど)及び/又は1つ以上の乱用薬物を含む。一部の実施形態において、試料は、自己免疫疾患、代謝性障害、脳腫瘍、低酸素症、1つ以上のウイルス、髄膜炎、水頭症又はこれらの組合せを患うヒト対象から得られる。
さらに別の実施形態において、本明細書において記載された方法はまた、下記される抗TBIバイオマーカー抗体又はこの抗体断片を使用して、対象におけるTBIバイオマーカーのレベルを決定することにより、対象が軽度外傷性脳損傷を有する又はこれを発症する危険性があるのかどうかを決定するのにも使用されうる試料を使用する。したがって、特定の実施形態において、本開示はまた、本明細書において論じられ、当技術分野において公知である、外傷性脳損傷を有する又はこの危険性がある対象が、治療又は処置の候補であるのかどうかを決定するための方法も提示する。一般に、対象は、少なくとも(i)頭部への損傷を受けた対象;(ii)1つ以上の化学物質及び/若しくは毒素を摂取した及び/若しくはこれらへと曝露された対象;(iii)自己免疫疾患、代謝性障害、脳腫瘍、低酸素症、1つ以上のウイルス、髄膜炎、水頭症を患う、若しくはこれらの任意の組合せを患う対象又は(iv)(i)〜(iii)の任意の組合せ又はTBIを有する、若しくはTBIの危険性があると実際に診断された対象(例えば、自己免疫疾患、代謝性障害、脳腫瘍、低酸素症、1つ以上のウイルス、髄膜炎、水頭症若しくはこれらの組合せを患う対象など)及び/又は本明細書において記載された、望ましくない(すなわち、臨床的に所望されない)濃度又は量のTBIバイオマーカー又はTBIバイオマーカー断片を顕示した対象である。
a.被験又は生物学的試料
本明細書において使用された「試料」、「被験試料」、「生物学的試料」とは、TBIバイオマーカーを含有する又はこれを含有することが推測される体液試料を指す。試料は、任意の適切な供給源に由来しうる。場合によって、試料は、液体、流動性の粒子状固体又は固体粒子の懸濁流体を含みうる。場合によって、試料は、本明細書において記載された解析の前に処理されうる。例えば、試料は、解析の前に、その供給源から、分離又は精製されうるが、ある特定の実施形態において、TBIバイオマーカーを含有する非処理試料が、直接的にアッセイされうる。特定の例において、TBIバイオマーカーを含有する供給源は、ヒト体内物質(例えば、体液、全血、血清、血漿などの血液、尿、唾液、汗、痰、精液、粘液、涙液、リンパ液、羊水、間質液、肺洗浄液、脳脊髄液、糞便、組織、臓器など)である。組織は、骨格筋組織、肝臓組織、肺組織、腎臓組織、心筋組織、脳組織、骨髄、子宮頸部組織、皮膚などを含みうるがこれらに限定されない。試料は、液体試料又は固体試料の液体抽出物でありうる。ある特定の場合、試料の供給源は、組織の分解/細胞の溶解により可溶化されうる、臓器又は生検試料などの組織でありうる。
広範にわたる容量の体液試料が解析されうる。少数の例示的な実施形態において、試料容量は、約0.5nL、約1nL、約3nL、約0.01μL、約0.1μL、約1μL、約5μL、約10μL、約100μL、約1mL、約5mL、約10mLなどでありうる。場合によって、体液試料の容量は、約0.01μL〜約10mLの間、約0.01μL〜約1mLの間、約0.01μL〜約100μLの間又は約0.1μL〜約10μLの間である。
場合によって、体液試料は、アッセイにおける使用の前に希釈されうる。例えば、TBIバイオマーカーを含有する供給源が、ヒト体液(例えば、血液、血清)である実施形態において、体液は、適切な溶媒(例えば、PBS緩衝液などの緩衝液)により希釈されうる。体液試料は、使用の前に、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍以上希釈されうる。他の場合に、体液試料は、アッセイにおける使用の前に希釈されない。
場合によって、試料は、解析前処理を経る場合がある。解析前処理は、非特異的タンパク質の除去及び/又は効果的であるが廉価で実施可能な混合機能性などの、さらなる機能性をもたらしうる。解析前処理の一般的方法は、動電トラッピング、AC動電現象、表面音響波、等速電気泳動、誘電泳動、電気泳動又は当技術分野において公知である、他の前濃縮法の使用を含みうる。場合によって、体液試料は、アッセイにおける使用の前に濃縮されうる。例えば、TBIバイオマーカーを含有する供給源が、ヒト体液(例えば、血液、血清)である実施形態において、体液は、沈殿、蒸発、濾過、遠心分離又はこれらの組合せにより濃縮されうる。体液試料は、使用の前に、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍以上濃縮されうる。
b.対照
対照試料を含むことが所望でありうる。対照は、上記された通り、対象に由来する試料と共時的に解析されうる。対象試料から得られた結果は、対照試料から得られた結果と比較されうる。試料についてのアッセイ結果が比較されうる、検量線が用意されうる。このような検量線は、マーカーのレベルを、アッセイ単位、すなわち、蛍光標識が使用される場合なら、蛍光のシグナル強度の関数として提示する。複数のドナーから採取された試料を使用して、正常健常組織内のTBIバイオマーカーの基準レベル並びに上記において明示された特徴のうちの1つ以上を有しうるドナーから採取された組織内の、「危険性がある」TBIバイオマーカーのレベルについての検量線が用意されうる。
したがって、上記を念頭に置いて、TBIバイオマーカーの、被験試料中の存在、量又は濃度を決定するための方法が提供される。方法は、例えば、TBIバイオマーカー上のエピトープに結合する、少なくとも1つの捕捉抗体及び捕捉抗体に対するエピトープと異なる、TBIバイオマーカー上のエピトープに結合する、少なくとも1つの検出抗体を用いるイムノアッセイにより、被験試料を、TBIバイオマーカーについてアッセイするステップを含み、任意選択的に、検出可能な標識を含み、TBIバイオマーカーの、被験試料中の存在、量又は濃度についての、直接的指標又は間接的指標として、検出可能な標識により発生したシグナルを、TBIバイオマーカーの、較正物質中の存在、量又は濃度についての、直接的指標又は間接的指標として発生したシグナルと比較するステップを含む。較正物質は、任意選択的に、較正物質の各々が、系列内の他の較正物質とTBIバイオマーカーの濃度が異なる、較正物質の系列の一部であり、これが好ましい。
14.キット
本明細書において、被験試料を、1つ以上のTBIバイオマーカー及び/又はこれらの断片についてアッセイ又は評価するために使用されうるキットが提示される。キットは、被験試料を、TBIバイオマーカーについてアッセイするための、少なくとも1つの構成要素及び被験試料を、TBIバイオマーカーについてアッセイするための指示書を含む。例えば、キットは、被験試料を、TBIバイオマーカーについて、イムノアッセイ(例えば、化学発光マイクロ粒子イムノアッセイ)により又は質量分析アッセイ(例えば、PRM−MS又はMRM/SRM−MS)によりアッセイするための指示書を含みうる。キット内に含まれる指示書は、パッケージング材料に貼付されうる又はパッケージの添付文書として含まれうる。指示書は、典型的に、文書又は印刷物でありうるが、このようなものに限定されない。このような指示書を保存し、これらを末端使用者へと通信することが可能な、任意のメディアが、本開示により想定される。このようなメディアは、電子保存メディア(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学メディア(例えば、CD ROM)などを含むがこれらに限定されない。本明細書において使用された「指示書」という用語は、指示書を提供するインターネットサイトのアドレスを含みうる。
少なくとも1つの構成要素は、TBIバイオマーカーに特異的に結合する、1つ以上の単離抗体又はこれらの抗体断片を含む、少なくとも1つの組成物を含みうる。抗体は、TBIバイオマーカー検出抗体及び/又はTBIバイオマーカー捕捉抗体でありうる。
代替的に又は、加えて、キットは、較正物質若しくは対照(例えば、精製され、任意選択的に、凍結乾燥したTBIバイオマーカー)並びに/又はアッセイを行うための、少なくとも1つの容器(例えば、抗TBIバイオマーカー抗体により、あらかじめコーティングされうる、チューブ、マイクロ滴定プレート又はストリップ)並びに/又はそれらのうちの一方が濃縮溶液、検出可能な標識(例えば、酵素標識)のための基質溶液若しくは停止溶液として提供されうる、アッセイ緩衝液若しくは洗浄緩衝液などの緩衝液を含みうる。好ましくは、キットは、アッセイを実施するのに必要な、全ての構成要素、すなわち、試薬、標準物質、緩衝液、希釈剤などを含む。指示書はまた、検量線を作成するための指示書も含みうる。
キットは、TBIバイオマーカーを定量するための参照標準物質をさらに含みうる。参照標準物質は、TBIバイオマーカー濃度を内挿及び/又は外挿するための検量線を確立するのに利用されうる。標準物質缶は、アミノ酸残基から構成されたタンパク質断片若しくはペプチド断片又は多様な解析物について、安定的なN15同位体により標識されたタンパク質断片若しくはペプチド断片のほか、試料処理のための標準物質であって、タンパク質中のスパイク物質及び定量用ペプチドを伴う標準物質を含む標準物質を含む。一部の実施形態において、TBIバイオマーカーの参照標準物質は、健常基準集団から導出された、第99百分位数に対応する。このような参照標準物質は、当技術分野において公知である、規定の技法を使用して決定されうる。
TBIバイオマーカーに特異的な組換え抗体などの、キット内に提供される任意の抗体に、フルオロフォア、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光標識などの、検出可能な標識を組み込むことが可能である又はキットは、抗体を標識付けするための試薬若しくは抗体(例えば、検出抗体)を検出するための試薬及び/又は解析物(例えば、TBIバイオマーカー)を標識付けするための試薬若しくは解析物(例えば、TBIバイオマーカー)を検出するための試薬を含みうる。抗体、標準物質ペプチド若しくはペプチド断片、較正物質及び/又は対照は、個別の容器内に用意されうる又は適切なアッセイフォーマット、例えば、マイクロ滴定プレートへとあらかじめ分注されうる。
任意選択的に、キットは、品質管理のための構成要素(例えば、感度パネル、較正物質及び陽性対照)を含む。品質管理試薬の調製は、当技術分野において周知であり、様々な免疫診断用生成物のための添付シート上に記載されている。感度パネルメンバーは、任意選択的に、アッセイ性能の特徴を確立するのに使用され、さらに、任意選択的に、イムノアッセイキット試薬の完全性及びアッセイの標準化についての、有用な指標である。
キットはまた、任意選択的に、診断アッセイを行うのに要求される又は品質管理査定を容易とする、他の試薬であって、緩衝液、塩、酵素、酵素補因子、基質、検出試薬などの試薬も含みうる。被験試料の単離及び/又は処理のための緩衝液及び溶液(例えば、前処理試薬)など、他の構成要素もまた、キットに含まれうる。加えて、キットは、1つ以上の他の対照も含みうる。キットの構成要素のうちの1つ以上を凍結乾燥することができ、この場合、キットは、凍結乾燥した構成要素の復元に適する試薬をさらに含みうる。
キットの多様な構成要素は、任意選択的に、必要に応じて、適切な容器、例えば、マイクロ滴定プレートにより提供される。キットは、試料を保持又は保存するための容器(例えば、尿試料、全血試料、血漿試料又は血清試料のための容器又はカートリッジ)をさらに含みうる。適切な場合、キットはまた、任意選択的に、反応槽、混合槽及び試薬又は被験試料の調製を容易とする他の構成要素も含有しうる。キットはまた、シリンジ、ピペット、鉗子、計量スプーンなど、被験試料を得る一助となるための、1つ以上の器具も含みうる。
検出可能な標識が、少なくとも1つのアクリジニウム化合物である場合、キットは、少なくとも1つのアクリジニウム−9−カルボキサミド、少なくとも1つのアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル又はこれらの任意の組合せを含みうる。検出可能な標識が、少なくとも1つのアクリジニウム化合物である場合、キットはまた、緩衝液、溶液及び/又は少なくとも1つの塩基性溶液など、過酸化水素の供給源も含みうる。所望の場合、キットは、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロ滴定プレート、キュベット、膜、足場形成分子、薄膜、濾紙、ディスク又はチップなどの固相を含有しうる。
所望の場合、キットは、単独で又は被験試料を、外傷性脳損傷又は障害のバイオマーカーなどのバイオマーカーでありうる、別の解析物についてアッセイするための指示書とさらに組み合わせて、1つ以上の構成要素をさらに含みうる。
a.キット及び方法の適合
本明細書において記載されたイムノアッセイにより、TBIバイオマーカーの、被験試料中濃度を評価又は決定するためのキット(又はこの構成要素)並びに方法は、例えば、米国特許第5,063,081号、米国特許出願公開第2003/0170881号、同第2004/0018577号、同第2005/0054078号及び同第2006/0160164号において記載されており、例えば、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)により、Abbott Point of Care(i−STAT(登録商標)又はi−STAT Alinity、Abbott Laboratories)として市販されている、様々な自動式システム及び半自動式システム(固相がマイクロ粒子を含むシステムを含む)のほか、米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号において記載されており、例えば、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)により、ARCHITECT(登録商標)又はAbbott Alinityデバイスのシリーズとして市販されているシステムにおける使用に適合させうる。
自動式システム又は半自動式システムの、非自動式システム(例えば、ELISA)と比較した、一部の差違は、第1の特異的結合パートナー(例えば、解析物抗体又は捕捉抗体)が、接合された基質(サンドイッチの形成及び解析物の反応性に影響を及ぼしうる)並びに捕捉ステップ、検出ステップ及び/又は任意選択の洗浄ステップの長さ及びタイミングを含む。ELISAなどの非自動式フォーマットが、試料及び捕捉試薬を伴う、比較的長いインキュベーション時間(例えば、約2時間)を要求しうるのに対し、自動式フォーマット又は半自動式フォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標)及び任意の後継のプラットフォーム、Abbott Laboratories)は、比較的短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)、Alinityの場合、約18分間)を有しうる。同様に、ELISAなどの非自動式フォーマットが、コンジュゲート試薬などの検出抗体を、比較的長いインキュベーション時間(例えば、約2時間)にわたりインキュベートするのに対し、自動式フォーマット又は半自動式フォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標)及び任意の後継のプラットフォーム)は、比較的短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)、Alinity及び任意の後継のプラットフォームの場合、約4分間)を有しうる。
Abbott Laboratoriesから市販されている、他のプラットフォームは、AxSYM(登録商標)、IMx(登録商標)(例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれている、米国特許第5,294,404号を参照されたい。)、PRISM(登録商標)、EIA(ビーズ)及びQuantum(商標)II並びに他のプラットフォームを含むがこれらに限定されない。加えて、アッセイ、キット及びキットの構成要素は、例えば、電気化学アッセイシステム又は他の携帯型アッセイシステム若しくはポイントオブケアアッセイシステム上の、他のフォーマットにおいて利用されうる。前述の通り、本開示は、例えば、サンドイッチイムノアッセイを実施する、市販の、Abbott Point of Care(i−STAT(登録商標)、Abbott Laboratories)電気化学イムノアッセイシステムに適用可能である。イムノセンサー並びにこれらの製造法及び単回使用のための検査デバイスにおける動作については、例えば、それらの全体において参照によりこれに関するそれらの教示について本明細書に組み込まれている、米国特許第5,063,081号、米国特許出願公開第2003/0170881号、同第2004/0018577号、同第2005/0054078号及び同第2006/0160164号において記載されている。
特に、アッセイの、i−STAT(登録商標)システムへの適合に関して、以下の構成が好ましい。微細加工シリコンチップが、金製の電流測定用作業電極及び銀塩化銀基準電極の対と共に作製される。作業電極のうちの1つにおいて、捕捉抗体を固定化されたポリスチレンビーズ(直径を0.2mmとする)が、電極上の、パターン化されたポリビニルアルコールのポリマーコーティングへと接着される。このチップが、イムノアッセイに適する流体フォーマットと共に、i−STAT(登録商標)カートリッジへとアセンブルされる。シリコンチップの部分に、それらのうちのいずれも、検出可能に標識されうる、1つ以上のTBIバイオマーカー抗体(TBIバイオマーカーに結合しうる、1つ以上のモノクローナル/ポリクローナル抗体又はこれらの断片、これらの変異体又はこれらの変異体の断片)又は1つ以上の抗TBIバイオマーカーDVD−Ig(又はTBIバイオマーカーに結合しうる、この断片、この変異体又はこの変異体の断片)などの、TBIバイオマーカーに対する特異的結合パートナーが存在する。カートリッジの流体パウチ内に、p−アミノフェノールホスフェートを含む水性試薬が存在する。
作動時に、TBIを患うことが推測される対象に由来する試料が、検査カートリッジの保持チャンバーへと添加され、カートリッジが、i−STAT(登録商標)リーダーへと挿入される。カートリッジ内のポンプエレメントが、試料を、チップを含有する導管へと押し出す。試料は、センサーと接触させ、酵素コンジュゲートを、試料へと溶解させる。試料は、センサーにわたり振動させて、約2〜12分間にわたる、サンドイッチの形成を促進する。アッセイの最後から二番目のステップにおいて、試料は、廃液チャンバーへと押し出され、アルカリホスファターゼ酵素に対する基質を含有する洗浄液が、過剰量の酵素コンジュゲート及び試料を、センサーチップから洗い落とすのに使用される。アッセイの最後のステップにおいて、アルカリホスファターゼ標識は、p−アミノフェノールホスフェートと反応して、リン酸基を切断し、作業電極において、遊離p−アミノフェノールを、電気化学的に酸化させる。測定された電流に基づき、リーダーは、組み込まれたアルゴリズム及び工場において決定された較正曲線により、TBIバイオマーカーの、試料中量を計算することが可能となる。
本明細書において記載された方法及びキットは、必然的に、イムノアッセイを実行するための、他の試薬及び方法を包含する。例えば、当技術分野において公知であり、かつ/又は、コンジュゲート希釈剤及び/若しくは較正物質希釈剤として、例えば、洗浄に用いるように、たやすく調製若しくは最適化されうる、多様な緩衝液が包含される。例示的なコンジュゲート希釈剤は、ある特定のキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)において利用され、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質ブロッキング剤、抗微生物剤及び洗浄剤を含有する、ARCHITECT(登録商標)コンジュゲート希釈剤である。例示的な較正物質希釈剤は、ある特定のキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)において利用され、MES、他の塩、タンパク質ブロッキング剤及び抗微生物剤を含有する緩衝液を含む、ARCHITECT(登録商標)ヒト較正物質希釈剤である。加えて、2008年12月31日に出願された、米国特許出願第61/142,048号において記載されている通り、シグナル発生の改善は、例えば、シグナル増幅剤としてのシグナル抗体へと連結された核酸配列を使用する、i−STAT(登録商標)カートリッジフォーマットにおいて得られうる。i−Statに使用された適合など、カートリッジの、マルチプレックス使用への適合については、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,438,498号などの特許文献において記載されている。
本明細書において記載された方法及びキットはまた、単一分子カウンティングも伴いうる。ある特定の実施形態において、解析物を解析するための方法は、試料中に存在する解析物を評価するステップを伴いうる。ある特定の実施形態において、評価するステップは、解析物の試料中の存在及び/又は解析物の試料中濃度を決定するために使用されうる。ある特定の実施形態において、方法はまた、試料中に存在する、複数の異なる解析物の存在及び/又は濃度を決定するためにも使用されうる。
1つ以上の目的の解析物の単一分子の検出を可能とする、当技術分野において公知である、任意のデバイスが、本明細書において記載されたシステムにおいて使用されうる。例えば、デバイスは、マイクロ流体デバイス、デジタルマイクロ流体デバイス(DMF)、表面音響波ベースのマイクロ流体デバイス(SAW)、統合型DMF/解析物検出デバイス、統合型SAW/解析物検出デバイス又はロボットベースのアッセイ処理ユニットでありうる。使用されうる他のデバイスの例は、Quanterix SIMOA(商標)(Lexington、MA)、Singulex製の単一分子カウンティング(SMC(商標))技術(Alameda、CA、例えば、その内容が、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,239,284号を参照されたい。)などを含む。
他の検出法は、ナノポアデバイス又はナノウェルデバイスの使用を含む又はこれらにおける使用に適合させうる。ナノポアデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれている、国際特許公開第2016/161402号において記載されている。ナノウェルデバイスの例については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれている、国際特許公開第2016/161400号において記載されている。
本明細書において記載された方法及びキットは、DIA−MS、DDA−MS又はSRM/MRM−MS又はPRM−MSを使用する質量分析を伴いうる。ある特定の実施形態において、解析物を解析するための方法は、試料を、解析物の存在について評価するステップを伴いうる。ある特定の実施形態において、試料を、解析物の存在について評価するステップは、解析物又は断片の、試料中の存在及び/又は濃度を決定するために使用されうる。ある特定の実施形態において、方法はまた、複数の、異なる解析物又は解析物断片の、試料中の存在及び/又は濃度を決定するためにも使用されうる。定量は、内部対照のタンパク質又はペプチド断片を使用して実施されうる。
本明細書の、ある特定の実施形態は、外傷性脳損傷などの疾患を評価するのに利用されると有利であるが、アッセイ及びキットはまた、適宜、任意選択的に、他の疾患、障害及び状態における多様なバイオマーカーを評価するのにも利用されうる。
アッセイ法はまた、外傷性脳損傷などの疾患を改善する化合物を同定するのにも使用されうる。例えば、本明細書において記載された、多様なバイオマーカーのうちのいずれかを発現させる細胞は、候補化合物と接触させうる。本明細書において記載された方法及びアッセイを使用して、化合物と接触した細胞内の、これらのバイオマーカーのうちの1つ以上の発現レベルは、対照細胞内の発現レベルと比較されうる。
本開示は、以下の非限定例により例示された、複数の態様を有する。
15.実施例
当業者に、本明細書において記載された、本開示の方法の、他の適切な改変及び適合は、容易に適用可能かつ認識可能であり、本開示の範囲又は本明細書において開示された態様及び実施形態から逸脱しない限りにおいて、適切な同等物を使用してなされうることが容易に明らかとなる。さて、本開示について詳細に記載してきたが、これは、本開示の一部の態様及び実施形態を例示することだけを意図するものであり、本開示の範囲に対して限定的であると考えられるべきではない、以下の例を参照することにより、より明確に理解される。本明細書において言及された、全ての雑誌の参考文献、米国特許及び刊行物の開示は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれている。
本開示は、以下の非限定例により例示された、複数の態様を有する。
[実施例1]
外傷性脳損傷についての、マルチモダリティー分類スキームの開発
本研究の目標は、損傷の性質(種類)及び重症度を指し示す、脳損傷についての分類スキームを開発することであった。外傷患者を、解析のための3つの群:脳損傷だけの群、脳以外の損傷だけの群及び損傷の組合せ群へと分けた。脳損傷による外傷群及び脳以外の損傷による外傷群を、互い及び脳外傷/脳以外の外傷の組合せ群と比較した。これらの外傷群を、非外傷対照と比較した。外傷患者に由来するCSFを、非外傷患者に由来するCSFと比較した。副次的目標は、単独の尺度又は組合せによる尺度のうちのいずれかが、TBIの後における臨床転帰の予測因子としての有用性を有するのかどうかを決定することであった。
外傷性脳損傷についての、客観的なマルチモダリティー分類スキーム及び転帰尺度を、いくつかの手段:1)血液ベースのバイオマーカー;2)生理学的測定及び査定並びに3)放射線手段(CT及び3テスラMRI(また、3T MRIとしても公知である))に基づき開発した。血液ベースのバイオマーカーは、どの細胞型がダメージを受けたか(例えば、ニューロンと対比したグリア)を指し示すことが可能であり、放射線は、構造変化を検出しうる。
研究施設:外傷患者を、ミネソタ州のHennepin County Medical Center(HCMC)において募集した。参加者は、HCMCの救急科(ED)若しくはトラウマベイに搬送される又は神経外科へと直接移送される患者である、全ての年齢の外傷患者を含んだ。主要な精神障害又は神経障害を有する、発達異常である又は囚人である場合、外傷患者を除外した。対象は、全ての外傷入院についての診療記録の検索及び院内において利用された、American College of Surgeonsの外傷登録との照合により同定した。
全ての外傷患者は、搬送時に、スクリーニングのために募集され、1)標準化された(テンプレート化された)既往歴及び身体診察;2)他の適応のために採血する場合の、血清バイオマーカーについての解析;3)臨床的に適応の場合の放射線研究;4)1)〜3)により、臨床的に適応の場合の追跡;5)手術室へと運ばれる患者だけにおける、病理学的検体解析;6)脳室造瘻カテーテルを施される患者だけにおける、CSF解析;7)Licox検査を受ける患者だけにおける、脳組織酸素化解析並びに8)臨床的に適応の場合の、TBIセンターにおける転帰評価を受けた。入院時に、潜在的な参加者は、説明同意文書を提出する前に、24時間にわたるスクリーニング過程(表2)を受けた。
Figure 2021509475
上記を経た、同意した患者及び対照(年齢及び性別をマッチさせた)を、以下:1)ゲノム、血清及びCSFについてのスクリーニング;並びに2)選ばれた状況(被験群における血清マーカー;対照群における正常マーカー)下における3T MRIのさらなる研究にかけた。外傷患者は、脳以外の損傷患者、CT陰性患者〜手術を要求する構造的脳損傷患者の範囲の全スペクトルを含んだ。患者及び対照を、約15カ月間にわたり募集した。生存する外傷対象は、HCMCによる医療を終えるまで追跡した。ERにおいて査定され、退院した対象は、調査研究のための追跡に招聘した。
スクリーニング過程は、標準化され、テンプレート化された、既往歴及び身体診察を含んだ。テンプレートは、患者が、頭部外傷を患っているのかどうかについて尋ねる、1つのさらなる質問を伴う、EPICにおいて現行の、「Surgery−Trauma History and Physical」テンプレートであった。患者が、頭部外傷を患っていた場合、さらなる情報のために、3つのセクションが、自動的にドロップダウンした。第1のセクションは、Neurosurgery trauma history and physicalテンプレートからの情報であって、くも膜下グレード、出血グレード、脳内出血及び社会的履歴(教育の水準、雇用、生活環境及び民族)を含む情報であった。後の2つのセクションは、標準化された脳損傷評価ツール:Standardized Assessment of Concussion(SAC)及びSymptom Severity Score(SSS)であった。これらの評価の小児科版も利用可能であり、適応の場合、使用した。加えて、「Surgery Trauma History and Physical」テンプレートに既に含まれていた、意識喪失についての質問は、意識喪失事象及び患者の現在の見当識について、より明確な理解をもたらす質問のサブセットと共に、このドロップダウンセクションへとコピーされた。入院から最初の24時間においてなされた、臨床的に最も正確な評価を、将来のデータ解析のために使用した。
非TBI対象もまた、以下の基準:登録時に、15〜50歳の間であること;性別、年齢、利き手、教育水準及びスキャナー基準の点において、TBI集団と同様の特徴を有すること;並びに対象に、説明同意文書を提出させる又は親若しくは年少者のための保護者により同意し、研究の全ての部分への参加のための研究評価を完了させるのに十分に明瞭な会話及び言語の流暢さが可能であることに基づき組み入れた。非TBI対象は、過去6カ月以内に、軽度TBIを有すると診断されている場合;過去10年以内に、中等度〜重度のTBI(GCS<13)の既往を有する場合;過去10年間に、再発性の発作を伴うてんかんを有する場合;過去10年間に、DAST−10スクリーニングに基づく、薬物の乱用(マリファナを除く)がある場合;AUDIT−Cスクリーニングに基づく、アルコールの乱用がある場合;些少であると分類され、研究の実行又は完全性に影響を及ぼさないと予測される障害を除く、進行中の、主軸I又はIIの精神障害を有する場合;脳腫瘤、神経外科、脳卒中、白質疾患及び/又は認知症の履歴を有すること;既知の認知機能不全又は構造的脳疾患/脳奇形を有する場合;既往のニューロイメージング所見において、構造的脳損傷を有する場合;抗精神病薬/抗てんかん薬を処方されたことがある場合;研究手順を、正確に完了させることが可能でない場合(緊急の医療上の必要に起因する場合など)若しくはこの意思がない場合又は治験責任医師の意見により、研究結果に影響を及ぼしうる、任意の利益相反を有する場合又はMRI走査に対する禁忌であって、a.施設の慣行に従う、進行中の妊娠又は推測される妊娠;b.治験責任医師に従う、研究参加時において対象への危険を構成しうる、他の状態及びc.施設のMR安全性方針のいずれか一部に準拠できないことを含む禁忌を有する場合に除外した。
検体の回収及び操作:各検体の回収において、最大40mL(茶さじ約3杯)の血液を得た。試験管2本の血清及び同2本の血漿を、来院1、2、4及び5回目に採取した。来院3回目に、試験管2本の血清、試験管1本の血漿及び試験管1又は2本の全血を採取した。これらの研究検体を、処理し、アリコート分割し、凍結させ、バイオマーカー検査及び保存のために、Abbott Laboratoriesへと送付した。試料アリコートを、さらなるTBIバイオマーカー検査のために、検査施設へと送付した。検体は、必要な測定を実施するのに十分な容量を含有しない場合;著しく溶血している、脂質異常性若しくは黄疸性である場合;適正な種類の回収試験管に回収されていない場合;適正にラベル付けされていない場合又は回収施設若しくはAbbott Laboratoriesにより適正に保存されていない場合、研究に評価不能であると考えた。
血清/血漿検体は、採血を介して得た。臨床目的のために、入院時に、採血を得た場合、調査研究目的のために、さらなる検体を得、保持した。臨床目的のために、血液を採取しなかった場合、熟練の調査研究従事者が、調査研究に要求される血液を採取した。標準治療により、中心静脈アクセスが要求されない場合、血液は、静脈穿刺により採取したが、中心静脈アクセスの場合、血液は、このアクセスを介して採取した。1回目の採血は、入院時に行い、2回目の採血は、1回目の3〜6時間後に行い、3回目の採血は、外傷の24時間後において行った。TBIに対する感受性についての遺伝子マーカー又はTBIの予測マーカーを見出す、発見の取組みもまた、進行中であった。各時点において、40mL(茶さじ3杯未満):20mLの血清(試験管2本)及び20mLの血漿(試験管2本)ずつの血液を回収した。来院1回目に、試験管2本の血清及び試験管1本の血漿だけを、血液バイオマーカー解析のために回収した。この全血回収は、全血試験管内の6.0mLであった。患者を、来院1回目ではなく、来院2回目において登録した場合、血液バイオマーカー解析のために、試験管2本の血清及び試験管1本の血漿を回収した。この全血回収は、全血試験管内の6.0mLであった。
採取される血液の量は、NINOS標準化表(表3)に従い制限した。採血の試行回数は、7歳未満の小児の場合、2回の試行に制限した。NINOS標準化表が、研究に十分な血液の採取を可能としない場合又は小児患者における採血への試行が2回にわたり失敗した場合、本研究におけるバイオマーカー解析を完了させるために、臨床標準治療下において採取された、残りの血液試料へのアクセスを求めた。この採血は、外傷性脳損傷と関連する、最大390の、血液ベースのバイオマーカーについての解析を可能とした。
Figure 2021509475
初期身体診察に加えて、手術室へと送られた患者は、病理学的検体解析を経、Licox検査を受けた患者は、脳組織酸素化情報を記録され、脳室造瘻カテーテルを施された患者は、解析のために、CSFを回収された。CSFを解析するために、5.0mLを、血液を採取した間隔と同じ間隔において回収した。標準治療に従い、放射線研究を実施した。説明同意文書が得られるまでは、スクリーニング過程時に実施された評価のいずれも、残りのデータと共に解析することはなかった。患者が、最終的に、調査研究に同意しなかった場合、検体及び初期評価は廃棄した。
参加者が退院した後、臨床経過についての情報であって、EDにおいて過ごした時間、使用された任意の手術又は他のニューロモニタリング法及び急性ケア転帰の査定を含む情報のために、患者の医療記録にアクセスした。患者が、ICUにおいて時間を過ごした場合、この時間からも、モバーグモニターによるデータ及び毎日の治療集中レベルを含む情報を抽出した。
外傷患者を、解析のための3つの群:脳損傷だけ、脳以外の損傷だけ及び損傷の組合せへと分けた。年齢及び性別をマッチさせた、2つの対照群:非外傷対照及びCSF対照を、この研究に組み入れ、EDから募集した。非外傷対照は、外傷を経ていない患者であり、この群は、大部分、脳損傷のために入院した患者の家族及び友人から構成されていた。いずれの対照群も、採血及び認知、神経並びに生活の質の評価(SAC、NOS−TBI、QoLABI)を含む、単回の集中評価を受けることに同意した。選択的な、脳室造瘻カテーテル又は腰部ドレナージカテーテルを施される患者は、CSF対照群の一部となることに、(手術前に)同意した。5mLのCSFを、この対照群内の患者の脳室造瘻カテーテルから、それらの標準治療の一部として、脳室造瘻カテーテルを施された研究群の部分から回収されたCSFとの比較のために回収した。CSF対照群はまた、他の2つの対照群と同じ集中評価であって、採血及び3T MRIスキャンを含む集中評価に参加する機会も与えられた。
追跡:研究の追跡部分に参加することに同意した全ての患者は、帰院するように請われた。帰院した患者は、2週間後、4週間後、数カ月後、6カ月後及び1年後において、TBI Outpatient Clinicに来院した。患者が、TBI Outpatient Clinicにおいて、日時の予約をしなかった場合、これらの時点において、Brain Injury Research Lab(PL.610)へと来院するように、日時を予約した。表4は、各評価のための時系列を提示する。バイオマーカー解析のための採血は、上記で記載した方法と同じ方法により、5つの追跡時点の各々において行った。表10及び11に列挙した転帰評価バッテリーは、3カ月後、6カ月後及び1年後に完了させた。標準治療の一部である放射線スキャンに、参加者の診療記録を介してアクセスしたが、選ばれた同意参加者及び対照もまた、それらの脳損傷の、2週間後及び6カ月後に、3T MRIスキャンを受けた。各MRI検査は、約1時間を要し、以下のパルスシーケンス:(1)矢状面短TRローカライザー、(2)横断面Fseイメージング、(3)横断面FLAIRイメージング、(4)横断面SWIイメージング、(5)横断面T2イメージングを含んだ。患者が、追跡のために来院できない場合、損傷の3カ月後及び1年後に、電話を介して連絡して、電話により実施されるようにデザインされた、15〜20分間にわたる認知評価である、BT ACTを完了させた。
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統計学的解析の計画:患者1例ごとに、若しくはインシデントバケットからの時間ごとに又はこれらの両方について、各バイオマーカーについて採取された最大濃度を検討することにより、バイオマーカーデータを解析した。バイオマーカーの血中濃度と、臨床神経学的データ及び磁気共鳴イメージングデータとの関連を決定する主要目的に取り組むため、複合解析を用いた。主成分分析を使用して、どのバイオマーカーが、同じ分散を説明しうるのか又はバイオマーカーが、極めて小さな分散に寄与しているのかどうかについて検討した。バイオマーカーを、ロジスティック回帰分析において使用し、一部のバイオマーカーを、主成分分析からの結果及び臨床インプットに基づき除外した。0.05の有意水準を、ロジスティック回帰分析のために使用した。また、ROC解析も使用して、このデータセットについて、MRI状態又は神経学検査の転帰を決定するときの、各バイオマーカーの予測能力を検討した。
[実施例2]
DIA−MS解析
発見ベースのデータ非依存型取得を使用する質量分析(DIA−MS)を、軽度TBIを伴う個体及び対照に由来する49例の血漿に対して実行した。これらの試料のうちの15例は、既知の外傷性脳損傷を有さない健常患者に由来した。残りの34例の試料中、33例の試料は、軽度外傷性脳損傷(mTBI)を被っていると医師により診断された患者に由来し、残りの試料は、重度外傷性脳損傷(sTBI)を被っていると医師により診断された患者に由来する血漿である。コホート内の患者の各々についてのGCSスコアもまた得たが、全ては、正常範囲内にあった(プールされた重度TBI試料を例外とする)。CTスキャンを、対象のサブセットに対して実施し、CT陽性対象に由来する試料を組み入れた(図1Aを参照されたい。)。血漿試料を、トリプシンにより消化して、ペプチドを作出し、これを、DIA−MSを使用して解析した(ペプチドの同一性は、下記に組み入れる。)。全ての定量可能なペプチド及びタンパク質を組み入れた。2つの固有のペプチドに基づくGFAP検出もまた、データから選択的に抜き出し、図1に組み入れ、イムノアッセイ(ELISAベースのGFAPアッセイ)を使用して独立に評価されたGFAPレベルもまた、図1に組み入れた。
上記した方法を使用して、TBIの多様なクラス及びサブクラスについての、TBIバイオマーカーを同定した。表7は、重度TBI(検出可能なGFAPレベルを伴う、プールされたsTBI試料によりクラスター化された)と関連する候補TBIバイオマーカーを示す。SAMPは、sTBI群において下方調節され(健常対照群内において上方調節され)、CAND1及びGLO2は、sTBI群において上方調節された(健常対照群内において下方調節された)。ERAP1、SYYC、C1RL及びATPGは、sTBI群内だけにおいて検出され、健常対照においては検出されなかった(すなわち、固有の発現)。
Figure 2021509475
教師なしの解析:教師なしのクラスター化解析を、DIA−MSにより得られたプロテオームデータへと適用して、患者コホート試料を、どのようにしてクラスター化し、任意の臨床的群分けにより不偏化するのかを、それらの分子プロテオームプロファイルに従い決定した。この解析における帰無仮説は、プロテオームデータが、TBIの存在又は重症度に関連するクラスター化パターンを伴わずに、全ての試料にわたり、ランダムに散布されることである。図1Aに示される通り、クラスター化解析の対照ブランチ(5つの群分けのうちの、最下方の群分け)は、15例中10例の健常試料を、TBI試料から弁別することに成功した。最終的に、4つのさらなるサブクラスターが明らかとなったが、これらは、軽度TBIのサブクラスに対応する。これらのデータをまとめ、下記に概括する。
教師なしのクラスター解析は、5つのクラスターをもたらした(図1A〜1C)。これは、健常個体と名指された、元の10例の試料からなる、「健常」対象のクラスター(すなわち、対照の群分け)を含む。加えて、これらのデータ及び随伴する解析は、軽度TBIの、4つの顕著に異なるサブクラスの存在を裏付けた。明確さ及び差別化を目的として、これらのクラスターの各々に、番号:TBI−1クラスター=軽度TBIサブクラス1;TBI−2クラスター=軽度TBIサブクラス2;TBI−3クラスター=軽度TBIサブクラス3及び複合TBIクラスター=軽度TBIサブクラス4(「合併軽度」TBIともまた称する)を割り当てた。
「軽度TBIサブクラス1」(TBI−1)とは、軽度TBIを有すると分類され、また、サブクラス2、3又は4の各々のうちの、対照(例えば、健常対照又はTBIを負っていない対照)と異なり、中等度〜重度のTBIを伴う対象と異なり、軽度TBIを伴う対象と異なる血漿プロテオームシグネチャーも呈する対象を指す。「軽度TBIサブクラス2」(TBI−2)とは、軽度TBIを有すると分類され、また、サブクラス1、3又は4の各々のうちの、対照(例えば、健常対照又はTBIを負っていない対照)と異なり、中等度〜重度のTBIを伴う対象と異なり、軽度TBIを伴う対象と異なる血漿プロテオームシグネチャーも呈する対象を指す。「軽度TBIサブクラス3」(TBI−3)とは、軽度TBIを有すると分類され、また、サブクラス1、2又は4の各々のうちの、対照(例えば、健常対照又はTBIを負っていない対照)と異なり、中等度〜重度のTBIを伴う対象と異なり、軽度TBIを伴う対象と異なる血漿プロテオームシグネチャーも呈する対象を指す。「軽度TBIサブクラス4」(複合型TBI)とは、軽度TBIを有すると分類され、また、サブクラス1、2又は3の各々のうちの、対照(例えば、健常対照又はTBIを負っていない対照)と異なり、中等度〜重度のTBIを伴う対象と異なり、軽度TBIを伴う対象と異なる血漿プロテオームシグネチャーも呈する対象を指す。加えて、軽度TBIサブクラス4を伴う対象は、重度TBIを有する対象の、プールされた試料から得られたプロテオームシグネチャーに相似するプロテオームシグネチャーを呈するので、本明細書において、このサブクラスは、「合併軽度TBI」と称される。本明細書において開示されたデータにおいて、軽度TBIサブクラス4クラスター(「複合型TBI」)は、最大数の、GFAPレベル(ELISAベースのGFAPアッセイ及びGFAP質量分析に基づく)が上昇した対象を含有し、CTスキャンが陽性である対象だけを含有した。
試料の由来を匿名化し、教師なしのクラスター化が完了したら、4つの鍵となるパラメータを、個別に組み入れ、これらを、図1Aに示した。これらのパラメータは、グリアバイオマーカースコア(陽性(グレー)(ELISAベースのGFAPアッセイ)、陰性(黒)、境界域(白)、未定又は情報を欠く(ライトグレー));CTスキャンスコア(陽性(グレー)、陰性(黒)又は実施なし(ライトグレー));MSを使用して得られた、GFAPタンパク質発現レベル(最低(黒)〜最高(グレー)の間の連続数値);性別(男性(グレー)又は女性(黒));及び年齢(20(黒)〜59(グレー)歳の間の連続数値)を含んだ。
この解析に基づき、疾患徴候としてのTBIが、TBIバイオマーカーシグネチャーに基づき、記載及び類別されうる、あるスペクトルの損傷状態を含むことが結論づけられた。4つの異なるクラスターを、4つの異なる軽度TBIのサブクラスに対応するものとして同定した(図1B〜1C)。複合TBIクラスターは、CTスキャンが陽性である個体に限る、重度TBIプールされた試料、大多数のGFAPバイオマーカー陽性試料(イムノアッセイにより検出された)及び大多数のGFAP陽性試料(MSデータに基づく)を含有するので、軽度TBIサブクラスのうちの最重度のサブクラスを表す。
対照クラスターは、全ての臨床的マーカー及び生化学マーカーについて陰性であり、公知のTBIを伴わない患者に由来する試料をもっぱら含有するので、健常個体を表す。この群を、全ての後続の解析のための、健常対照セットとして使用した。
TBI−1クラスターは、重度が最も小さい、軽度TBIのサブクラスを表す。このクラスターは、一部の指定の対照試料及びMSによる、低度であるが、検出可能なGFAPレベルを伴う試料を含有する。加えて、図1B〜1Cに示される通り、教師なしのクラスター化解析は、2つのさらなる軽度TBIサブクラスである、TBI−2クラスター及びTBI−3クラスターの同定をもたらした。TBI−2及びTBI−3いずれの群分けも、TBI−1クラスター(重度が最も小さい)及び複合TBIクラスター(重度が最も大きい)のいずれとも顕著に異なることが示された、別個のクラスターを表す。
したがって、これらのデータ及び付随する解析は、4つの顕著に異なる軽度TBIのサブクラスの存在を裏付ける。
次に、これらの4つの「非健常」サブクラスターを、「健常」クラスター(対照)に対して比較し、この比較を、log[倍数変化]値として表した。表8A及び8Bは、それらのlog[倍数変化]値に従い、それぞれ、10の最も示差的に調節されたタンパク質及び10の最も大きく上方調節されたタンパク質の同一性を含む。
Figure 2021509475
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疾患クラスターの各々を差別化するのに加えて、予備的層別化解析を、推定クラス又は軽度TBIサブクラスの重症度に基づき実行した。対応のある一対比較を、「健常」対照クラスターの非存在下における、「非健常」クラスターの各組合せの間において実施した。これらのデータを、下記の表9に、log[倍数変化]値の大きさが最も大きい、各群内10ずつのタンパク質として、それらのUniProt IDと共にまとめる。
Figure 2021509475
次いで、各クラスターに固有のタンパク質は、TBIの所与のサブクラスについての排他的候補TBIバイオマーカーとして、潜在的に含まれる可能性があるので、これらを同定しようとする取組みにおいて、データを評価した(図2A〜2C)。教師なしのクラスター化解析から導出された、5つの主な試料サブクラスターの各々は、最小で5つの、固有に発現したタンパク質を含有した。これらのタンパク質は、各サブクラス内において、固有に増大したタンパク質と共に含まれうる(表8及び9)。図2A〜2Cは、教師なしの解析に基づき、試料クラスターの間において、共通のタンパク質及び固有のタンパク質を含む。教師なしのクラスター化解析から導出された、5つの主な試料サブクラスターの各々は、最小で5つの、固有に発現したタンパク質を有する。図2Aは、同定された5つのサブグループクラスターの間において、共通のタンパク質及び固有のタンパク質を伴うベン図を含み;図2Bは、各サブグループクラスター内において定量された、全タンパク質及び固有タンパク質についての数値カウントを含む。図2Cは、各サブグループクラスター内において定量された固有タンパク質についての、Uniprot ID及び簡略名を含む。
教師ありの解析:盲検化した教師なしの解析が完了したら、試料を、それらが由来する患者のTBI状態に関して匿名化した。このさらなる情報は、教師ありの解析の、何回かにわたる反復を実施することを可能とした。
この教師ありの解析の、最初の反復において、TBI由来試料から得られた、全てのタンパク質数量を、非TBI試料(患者の特徴付けに基づく)に由来するタンパク質数量と比較し、タンパク質を、それらの示差的発現の大きさに従いランク付けした。これは、2つの個別の基準:1)タンパク質を、変化の方向性(上方調節及び下方調節された)に関わらず、それらの示差的発現の大きさに従いランク付けすること;及び2)上方調節されたタンパク質は、バイオマーカーとしての検出に、より好適であるため、タンパク質を、それらの示差的に上方調節された発現の大きさに従いランク付けすることに従い行った。これらは、軽度TBIを、対照から識別するために有用な、高確率のTBIバイオマーカー候補である。これらのデータを、表10及び図2A〜2Cにまとめる。
Figure 2021509475
図3A〜3Bは、健常試料と、TBI患者試料との間において、共通又は固有であるタンパク質についての代表的ベンプロットを含む。各群内の全ての試料中において検出されたタンパク質だけを、この解析に組み入れた(図3A)。図3Bは、全てのTBI試料中において固有に発現した、8つのタンパク質についてのリストであって、それらのUniProt ID及びタンパク質名を含むリストを含む。AL9A1及びSYTCが、脳において発現されるのに対し、FA5は、凝固に関する(いずれの表記も、UniProtによる注釈付き情報(uniprot.org)に基づく)。これらのタンパク質は、サブクラス1〜3の全て(TBI−1、TBI−2、TBI−3)及びより重度である、軽度TBIサブクラス4(複合TBI)を包含する、34例のTBI試料全てにおける発現の、15例の健常対照試料コホートと比較した増大又は固有の発現を示す(図1及び2を参照されたい。)。図3A〜3Bは、高確率の群分けを表し、これらのタンパク質のうちの一部を、教師ありのモデル及び教師なしのモデルによるタンパク質パネルの一部として見出した。
加えて、下記の表11は、重度TBI、軽度TBI又はTBIの非存在など、対象のTBIを決定するための手法のうちの、より総合的なものを提示する。表11は、差違モデルを使用して、TBIの全てのクラスにわたり見出されたタンパク質を含む。
Figure 2021509475
ブートストラップフォレスト解析:教師ありの解析のさらなる反復において、定量的DIA−MSデータについての、従来の教師ありの解析に対する代替的手法として、ブートストラップフォレスト解析を実施した。この解析は、タンパク質を、全体のうちの、それらの寄与割合に従いランク付けするが、これを、表12にまとめる。
Figure 2021509475
全体的なデータセットを、ブートストラップフォレスト解析を介してまとめることに加えて、個々のタンパク質の寄与を評価した。図4A〜4Eにおいて示される通り、この手法を、予測モデルの基準を満たす、合計5つの個別の決定木にまとめる。この解析は、所与のタンパク質が、TBIを伴う患者を、それらの健常対応物から識別することが可能なバイオマーカーとして用いられる能力についての定量的カットオフを、関連する診断確率と共に定めた。単一のタンパク質が、この区別を行うことが十分に可能ではない場合、複数のタンパク質の組合せを、同定及び規定した。
[実施例3]
TBIバイオマーカーの、タンパク質及びペプチド断片
質量分析法は、典型的に、質量分析計における、物理的変化を経たイオンの検出を伴う。しばしば、物理的変化は、選択された前駆体イオンをフラグメント化すること及び結果として得られるフラグメントイオンの質量スペクトルを記録することを伴う。フラグメントイオンの質量スペクトル中の情報は、前駆体イオンの構造の解明における、有用な一助となることが多い。質量分析/質量分析(MS/MS又はMS)スペクトルを得るのに使用された、一般的な手法は、適切なm/z解析器により、選択された前駆体イオンを単離し、解離を誘導するために、前駆体イオンを、中性ガスとのエネルギー衝突下に置き、最後に、質量スペクトルを生成するために、フラグメントイオンを質量分析にかけることである。
本開示に基づき、当業者に認知される通り、DIA−MS(又はDDA−MS)において使用された、このようなペプチド断片は、タンパク質/バイオマーカーを同定するのに使用されうる。より具体的に、以下の表は、本明細書において同定及び記載され、それらの対応するペプチド断片配列と並んで列挙された、多様なTBIバイオマーカーのUniProt ID番号及び簡略名を含む。
DIA−MSに加えて、DDA−MS及びSRM/MRM−MSは、多様なペプチド解析物の、信頼でき、かつ、包括的な定量のために使用されうる。SRM/MRM−MSは、一般に、三連四重極様測定器上において実施されるが、この場合、選択性の増大は、衝突誘導解離を介して得られる。2つの質量分析器(Q1及びQ3)を、静的質量フィルターとして使用して、選択された前駆体の特定のフラグメントをモニタリングするのは、非走査型質量分析法である。三連四重極型測定器上において、限定せずに述べると、エレクトロスプレーイオン化、化学イオン化、電子イオン化、大気圧化学イオン化及びマトリックス支援レーザー脱着イオン化を含む、多様なイオン化法が使用されうる。前駆体及び選択されたフラグメントイオンと関連する、質量対電荷(m/z)値の特殊な対は、「遷移」と称される。検出器は、選択された遷移に合致するイオンについてのカウンティングデバイスとして作用し、これにより、時間経過にわたる強度分布を返す。MRM−MSとは、異なる前駆体/フラグメント対の間を、迅速に切り替えることにより、複数のSRM−MS遷移を、クロマトグラフィーによる時間スケール上の、同じ実験内において測定する場合である。典型的に、三連四重極型測定器は、一連の遷移を循環し、各遷移のシグナルを、溶出時間の関数として記録する。方法は、所与の解析物についての、複数の遷移の、クロマトグラフィーによる共溶出をモニタリングすることにより、さらなる選択性を可能とする。潜在的なペプチドを、本開示において概括された、異なる分類についての表13〜21に列挙する。
加えて、高分解度質量分析計を使用して、単一の解析において、全ての遷移についての、並列的検出がなされる、PRM−MSも使用されうる。PRM−MSは、選択されたペプチドを定量し(Q1)、よって、タンパク質を定量するための、高選択性、高感度及びハイスループットをもたらす。ここでもまた、各タンパク質について、複数のペプチドが、特異的に選択されうる。PRM−MS法は、質量分析計の四重極を使用して、標的前駆体イオンを単離し、ターゲティングされた前駆体イオンを、コリジョンセル内においてフラグメント化し、次いで、結果として得られるプロダクトイオンを、Orbitrap質量分析器内において検出する。PRM−MSは、四重極飛行時間(QTOF)質量分析計又は四重極−Orbitrapハイブリッド型(QOrbitrap)質量分析計を使用して、ペプチド/タンパク質定量化を実行する。潜在的なペプチドを、本開示において概括された、異なる分類についての表13〜21に列挙する。
一部の実施形態において、本明細書において記載された方法は、生物学的試料(複数可)中の、ポリペプチド(複数可)又はタンパク質(複数可)の定量へと適用されうる。ポリペプチド又はタンパク質を含む、任意の種類の生物学的試料が、出発点で有ることが可能であり、本明細書における方法により解析されうる。実際、任意のタンパク質/ペプチド含有試料(例えば、組織、細胞)は、本明細書においてもたらされた方法のために使用されることが可能であり、これにより解析されうる。本明細書における方法はまた、消化により得られたペプチド混合物と共に使用される場合もある。ポリペプチド又はタンパク質の消化は、酵素的切断戦略、化学的切断戦略、物理的切断戦略又はこれらの組合せなど、任意の種類の切断戦略を含む。一部の実施形態に従い、本明細書において提示される方法の、以下のパラメータ:トリプシン(又は他のプロテアーゼ)による消化及びペプチドの除去、応答が最良のポリペプチド、応答が最良のタンパク質、応答が最良のペプチド、応答が最良の断片、フラグメント強度比(高ピーク強度及び再現可能なピーク強度の増大)、最適の衝突エネルギー及び方法の感度及び/又は特異度を最大化する、全ての最適のパラメータが決定される。
他の実施形態において、ポリペプチド及び/若しくは対応するタンパク質の定量又は対応するタンパク質の活性/調節が所望される。選択されたペプチドは、安定的同位体により標識され、目的のタンパク質の、絶対的定量を達成する、内部標準物質(SIL)として使用される。定量された安定標識ペプチド類似体によるタグを、ペプチド試料へと、公知の量において添加し;その後、タグ及び目的のペプチドを、質量分析により定量し、タンパク質の内因性レベルの絶対的定量を得る。
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前出の詳細な記載及び付属の実施例は、例示的なものであるに過ぎず、併載の特許請求の範囲及びそれらの同等物だけによって規定される、本開示の範囲に対する限定として理解されないものとすることが理解される。
開示された実施形態に対する、多様な変化及び改変が、当業者に明らかである。この精神及び範囲から逸脱しない限りにおいて、限定せずに述べると、化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤又は本開示の使用法に関する変化及び改変を含む、このような変化及び改変がなされうる。
完全を期するために、本開示の多様な態様は、以下の番号付けされた条項に明示される。
条項1.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、対象から得られた試料を検査するステップ;並びに試料中の、AL9A1、ATPG、C1RL、CAND1、EPIPL、GLO2、IGHA2、PZP、SYTC、SYYC若しくはこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー若しくはこの断片を測定若しくは検出するステップ;及び/又は試料中の、ABHEB、AL9A1、DNM1L、FCN2、INF2、K22E、M3K5、NCOR1、SBSN、SYEP、TPP2若しくはこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー若しくはこの断片を測定若しくは検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象が外傷性脳損傷(TBI)を負った又は負った可能性があることを指し示す方法。
条項2.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、AL9A1、ATPG、C1RL、EPIPL、IGHA2、PZP、SYTC、SYYC又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーが、健常対象から得られた試料中において、検出可能ではない、条項1に記載の方法。
条項3.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ATPG、C1RL、SYYC又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される、条項1又は条項2に記載の方法。
条項4.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、CAND1、GLO2又はこれらの組合せからなる群から選択され;CAND1及びGLO2のレベルが、健常対象から得られた試料中のCAND1及びGLO2のレベルと比較して高い、条項1に記載の方法。
条項5.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの組合せからなる群から選択され;ABHEBのレベルが、健常対象から得られた試料中のABHEBのレベルと比較して高く;かつ/又はAL9A1及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のAL9A1及びDNM1Lのレベルと比較して低い、条項1に記載の方法。
条項6.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、M3K5、SBSN、SYEP又はこれらの組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象が軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示す、条項1に記載の方法。
条項7.SBSN及びSYEPのレベルが、健常対象から得られた試料中のSBSN及びSYEPのレベルと比較して高く;かつ/又はM3K5のレベルが、健常対象から得られた試料中のM3K5のレベルと比較して低い、条項1又は条項6に記載の方法。
条項8.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、INF2、SYEP又はこれらの組合せからなる群から選択される、条項1に記載の方法。
条項9.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ANXA6、ERAP1、EZRI、FA5、G6PI、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、条項1に記載の方法。
条項10.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、対象から得られた試料を検査するステップ;並びに試料中の、1433G、ACK1、ACY1、AKA12、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、HV307、IQGA2、K1C14、K1C19、KV105、LAMC1、MDHM、NQO2、PERM、PLST、PNCB、PTPRC、SEPT7、SYRC、TRXR2、TXNL1、UGGG1、WDR1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこの断片を測定若しくは検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象が軽度外傷性脳損傷(mTBI)を負った又は負った可能性があることを指し示す方法。
条項11.少なくとも1つのバイオマーカーが、健常対象から得られた試料中において、検出可能ではない、条項10に記載の方法。
条項12.少なくとも1つのバイオマーカーが、重度TBI(sTBI)を負っている対象から得られた試料中において、検出可能ではない、条項10に記載の方法。
条項13.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、試料中の、ACK1、ACY1、PLST、PNCB、PTPRC、UGGG1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス1のmTBIを負った又は負った可能性があることを指し示す、条項10〜12のいずれかに記載の方法。
条項14.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、試料中の、AKA12、HV307、PERM、KV105、NQO2、SEPT7、SYRC、TRXR2又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス2のmTBIを負った又は負った可能性があることを指し示す、条項10〜12のいずれかに記載の方法。
条項15.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、試料中の、1433B、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、IQGA2、K1C14、LAMC1、MDHM、TXNL1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス3のmTBIを負った又は負った可能性があることを指し示す、条項10〜12のいずれかに記載の方法。
条項16.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、AHNK、AL1A1、AMPN、CAPZB、CATD、CLIP2、CMGA、FSCN1、GMPR2、GRP78、GSH1、IDHC、K1C20、KRR1、MBL2、NTF2、PCBP2、PGK1、SAA1、TFR1又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、条項10に記載の方法。
条項17.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:TPP2、CAND1、NCOR1、K22E、AL9A1、ABHEB、DNM1L、INF2又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス4の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネル。
条項18.CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のCAND1、NCOR1、K22E、ABHEB及びDNM1Lのレベルと比較して高く;かつ/又はTPP2、AL9A1及びINF2のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、AL9A1及びINF2のレベルと比較して低い、条項17に記載のバイオマーカーパネル。
条項19.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:TPP2、NCOR1、HV103、INF2、IGHD、CK054、M3K5、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス3の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネル。
条項20.NCOR1、HV103、IGHD、ABHEB及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のNCOR1、HV103、IGHD、ABHEB及びDNM1Lのレベルと比較して高く;かつ/又はTPP2、IGHD、CK054、M3K5及びAL9A1のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、IGHD、CK054、M3K5及びAL9A1のレベルと比較して低い、条項19に記載のバイオマーカーパネル。
条項21.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、TPP2、K22E、ABHEB、INF2、SBSN、AL9A1、MA2B2又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス2の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネル。
条項22.NCOR1、K22E、ABHEB及びSBSNのレベルが、健常対象から得られた試料中のNCOR1、K22E、ABHEB及びSBSNのレベルと比較して高く;かつ/又はTPP2、INF2、AL9A1及びMA2B2のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、INF2、AL9A1及びMA2B2のレベルと比較して低い、条項21に記載のバイオマーカーパネル。
条項23.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、KV133、AL9A1、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス1の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネル。
条項24.K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP及びEPHB4のレベルが、健常対象から得られた試料中のK22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP及びEPHB4のレベルと比較して高く;かつ/又はKV133及びAL9A1のレベルが、健常対象から得られた試料中のKV133及びAL9A1のレベルと比較して低い、条項23に記載のバイオマーカーパネル。
条項25.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、条項1に記載の方法。
条項26.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB、DNM1L、SBSN、GLO2、SYEP又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス4の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネル。
条項27.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、HV103、IGHD、ABHEB、DNM1L、ALBU、THIM、IGHA2、KV139又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス3の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネル。
条項28.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、K22E、ABHEB、SBSN、DNM1L、DIAP1、DYL1、PSA、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス2の軽度TBIを負った又は負った可能性があることを指し示すパネル。
条項29.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、EPHB4、FBLN3又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス1の軽度TBIを負った、又は負った可能性があることを指し示すパネル。
条項30.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ANXA6、MASP2、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、条項10に記載の方法。
条項31.対象が外傷性脳損傷(TBI)を負っていないことを決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:ACTBL、ALDH2、ANXA5、CAMP、CPNE3、CRAC1、CYTC、DNPEP、EIF3I、GSHB、ICAM1、HV323、HNRPD、KVD33、FA9、FHR4、FRPD1、HS90B、MA2A1、PCYOX、PNPH、PROC、RL3、SH3L3、SRRM2、TBB1、TENA、TRAP1又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、対象における測定又は検出が、対象がTBIを負っていないことを指し示すパネル。
条項32.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;並びに試料中の、AL9A1、ATPG、C1RL、CAND1、EPIPL、GLO2、IGHA2、PZP、SYTC、SYYC若しくはこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー若しくはこの断片を測定若しくは検出するステップ;及び/又は試料中の、ABHEB、AL9A1、DNM1L、FCN2、INF2、K22E、M3K5、NCOR1、SBSN、SYEP、TPP2若しくはこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー若しくはこの断片を測定若しくは検出するステップを含む方法。
条項33.少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象が外傷性脳損傷(TBI)を負っていることを指し示す、条項32に記載の方法。
条項34.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、AL9A1、ATPG、C1RL、EPIPL、IGHA2、PZP、SYTC、SYYC又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーが、健常対象から得られた試料中において、検出可能ではない、条項32又は条項33に記載の方法。
条項35.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ATPG、C1RL、SYYC又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される、条項32〜34のいずれかに記載の方法。
条項36.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、CAND1、GLO2又はこれらの組合せからなる群から選択され;CAND1及びGLO2のレベルが、健常対象から得られた試料中のCAND1及びGLO2のレベルと比較して高い、条項32又は条項33に記載の方法。
条項37.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの組合せからなる群から選択され;ABHEBのレベルが、健常対象から得られた試料中のABHEBのレベルと比較して高く、かつ/又はAL9A1及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のAL9A1及びDNM1Lのレベルと比較して低い、条項32又は条項33に記載の方法。
条項38.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、M3K5、SBSN、SYEP又はこれらの組合せからなる群から選択され;SBSN及びSYEPのレベルが、健常対象から得られた試料中のSBSN及びSYEPのレベルと比較して高く、かつ/又はM3K5のレベルが、健常対象から得られた試料中のM3K5のレベルと比較して低い、条項32又は条項33に記載の方法。
条項39.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、INF2、SYEP又はこれらの組合せからなる群から選択される、条項32又は条項33に記載の方法。
条項40.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ANXA6、ERAP1、EZRI、FA5、G6PI、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、条項32〜39のいずれかに記載の方法。
条項41.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、条項32〜39のいずれかに記載の方法。
条項42.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、1433G、ACK1、ACY1、AKA12、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、HV319、IQGA2、K1C14、K1C19、KV105、LAMC1、MDHM、NQO2、PERM、PLST、PNCB、PTPRC、SEPT7、SYRC、TRXR2、TXNL1、UGGG1、WDR1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこの断片を測定又は検出するステップを含む方法。
条項43.少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象が外傷性脳損傷(TBI)を負っていることを指し示す、条項42に記載の方法。
条項44.少なくとも1つのバイオマーカーが、健常対象から得られた試料中において、検出可能ではない、条項42又は条項43に記載の方法。
条項45.少なくとも1つのバイオマーカーが、重度TBIを負っている対象から得られた試料中において、検出可能ではない、条項42〜44のいずれかに記載の方法。
条項46.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、試料中の、ACK1、ACY1、PLST、PNCB、PTPRC、UGGG1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス1の軽度TBIを負っていることを指し示す、条項42〜44のいずれかに記載の方法。
条項47.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、試料中の、AKA12、HV319、PERM、KV105、NQO2、SEPT7、SYRC、TRXR2又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス2の軽度TBIを負っていることを指し示す、条項42〜44のいずれかに記載の方法。
条項48.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、試料中の、1433B、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、IQGA2、K1C14、LAMC1、MDHM、TXNL1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス3の軽度TBIを負っていることを指し示す、条項42〜44のいずれかに記載の方法。
条項49.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、AHNK、AL1A1、AMPN、CAPZB、CATD、CLIP2、CMGA、FSCN1、GMPR2、GRP78、GSH1、IDHC、K1C20、KRR1、MBL2、NTF2、PCBP2、PGK1、SAA1、TFR1又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、条項42〜48のいずれかに記載の方法。
条項50.少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ANXA6、MASP2、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、条項42〜48のいずれかに記載の方法。
条項51.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:TPP2、CAND1、NCOR1、K22E、AL9A1、ABHEB、DNM1L、INF2又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス4の軽度TBIを負っていることを指し示すパネル。
条項52.CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のCAND1、NCOR1、K22E、ABHEB及びDNM1Lのレベルと比較して高く;かつ/又はTPP2、AL9A1及びINF2のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、AL9A1及びINF2のレベルと比較して低い、条項51に記載のバイオマーカーパネル。
条項53.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:TPP2、NCOR1、HV103、INF2、IGHD、CK054、M3K5、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス3の軽度TBIを負っていることを指し示すパネル。
条項54.NCOR1、HV103、IGHD、ABHEB及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のNCOR1、HV103、IGHD、ABHEB及びDNM1Lのレベルと比較して高く;かつ/又はTPP2、IGHD、CK054、M3K5及びAL9A1のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、IGHD、CK054、M3K5及びAL9A1のレベルと比較して低い、条項53に記載のバイオマーカーパネル。
条項55.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、TPP2、K22E、ABHEB、INF2、SBSN、AL9A1、MA2B2又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス2の軽度TBIを負っていることを指し示すパネル。
条項56.NCOR1、K22E、ABHEB及びSBSNのレベルが、健常対象から得られた試料中のNCOR1、K22E、ABHEB及びSBSNのレベルと比較して高く;かつ/又はTPP2、INF2、AL9A1及びMA2B2のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、INF2、AL9A1及びMA2B2のレベルと比較して低い、条項55に記載のバイオマーカーパネル。
条項57.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、KV102、AL9A1、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がサブクラス1の軽度TBIを負っていることを指し示すパネル。
条項58.K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP及びEPHB4のレベルが、健常対象から得られた試料中のK22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP及びEPHB4のレベルと比較して高く;かつ/又はKV102及びAL9A1のレベルが、健常対象から得られた試料中のKV102及びAL9A1のレベルと比較して低い、条項57に記載のバイオマーカーパネル。
条項59.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB、DNM1L、SBSN、GLO2、SYEP又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス4の軽度TBIを負っていることを指し示すパネル
条項60.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、HV103、IGHD、ABHEB、DNM1L、ALBU、THIM、IGHA2、KV139又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス3の軽度TBIを負っていることを指し示すパネル。
条項61.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、K22E、ABHEB、SBSN、DNM1L、DIAP1、DYL1、PSA、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス2の軽度TBIを負っていることを指し示すパネル。
条項62.対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、EPHB4、FBLN3又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、健常対象における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、対象がサブクラス1の軽度TBIを負っていることを指し示すパネル。
条項63.対象が外傷性脳損傷(TBI)を負っていないことを決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:ACTBL、ALDH2、ANXA5、CAMP、CPNE3、CRAC1、CYTC、DNPEP、EIF3I、GSHB、ICAM1、HV303、HNRPD、KV121、FA9、FHR4、FRPD1、HS90B、MA2A1、PCYOX、PNPH、PROC、RL3、SH3L3、SRRM2、TBB1、TENA、TRAP1又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、対象における少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、対象がTBIを負っていないことを指し示すパネル。
条項64.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、PZP、EPIPL、IGHA2、AL9A1、G6PI、SYTC、EZRI、FA5又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号4〜260からなる群から選択される、方法。
条項65.PZP、EPIPL、IGHA2、AL9A1、G6PI、SYTC、EZRI、FA5又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号4〜260からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。
条項66.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、NCOR1、ABHEB、ANXA6、DNM1L、FCN2、HBA、MYLK、SBSN、AHNK、K22E又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号261〜698からなる群から選択される、方法。
条項67.NCOR1、ABHEB、ANXA6、DNM1L、FCN2、HBA、MYLK、SBSN、AHNK、K22E又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号261〜698からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。
条項68.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、CAND1、SYEP、GLO2、DIAP1、DYL1、PSA、EPHB4、PLOD1、FBLN3、HV103、IGHD、THIM、IGHA2、KV105、MASP2又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号699〜926からなる群から選択される、方法。
条項69.CAND1、SYEP、GLO2、DIAP1、DYL1、PSA、EPHB4、PLOD1、FBLN3、HV103、IGHD、THIM、IGHA2、KV105、MASP2又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号699〜926からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。
条項70.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、SAMP、1433B、FIBB、RS28、TRFE又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号927〜968からなる群から選択される、方法。
条項71.SAMP、1433B、FIBB、RS28、TRFE又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号927〜968からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。
条項72.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、DYL1、FBLN3、PSA、HV103、IGHD又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号969〜996からなる群から選択される、方法。
条項73.DYL1、FBLN3、PSA、HV103、IGHD又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号969〜996からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。
条項74.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、FCN2、HBA、AHNK又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号997〜1182からなる群から選択される、方法。
条項75.FCN2、HBA、AHNK又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号997〜1182からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。
条項76.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、HV103、IGHD、THIM、IGHA2、KV105、MASP2、DIAP1、PLOD1、EPHB4、FBLN3、DYL1、PSA又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号1183〜1319からなる群から選択される、方法。
条項77.HV103、IGHD、THIM、IGHA2、KV105、MASP2、DIAP1、PLOD1、EPHB4、FBLN3、DYL1、PSA又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号1183〜1319からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。
条項78.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、CAND1、GLO2、ERAP1、SYYC、C1RL、ATPG又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号1320〜1438からなる群から選択される、方法。
条項79.CAND1、GLO2、ERAP1、SYYC、C1RL、ATPG又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号1320〜1438からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。
条項80.少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び試料中の、ACTBL、ALDH2、ANXA5、CAMP、CPNE3、CRAC1、CYTC、DNPEP、EIF3I、GSHB、ICAM1、HV323、HNRPD、KVD33、FA9、FHR4、FRPD1、HS90B、MA2A1、PCYOX、PNPH、PROC、RL3、SH3L3、SRRM2、TBB1、TENA、TRAP1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片のうちの、少なくとも1つのペプチドを測定又は検出するステップを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの、少なくとも1つのペプチドが、配列番号1439〜1923からなる群から選択される、方法。
条項81.ACTBL、ALDH2、ANXA5、CAMP、CPNE3、CRAC1、CYTC、DNPEP、EIF3I、GSHB、ICAM1、HV323、HNRPD、KVD33、FA9、FHR4、FRPD1、HS90B、MA2A1、PCYOX、PNPH、PROC、RL3、SH3L3、SRRM2、TBB1、TENA、TRAP1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片を単離又は同定するための、配列番号1439〜1923からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの使用。

Claims (32)

  1. 少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、
    実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;並びに
    前記試料中の、AL9A1、ATPG、C1RL、CAND1、EPIPL、GLO2、IGHA2、PZP、SYTC、SYYC若しくはこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー若しくはこの断片を測定若しくは検出するステップ;及び/又は
    前記試料中の、ABHEB、AL9A1、DNM1L、FCN2、INF2、K22E、M3K5、NCOR1、SBSN、SYEP、TPP2若しくはこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー若しくはこの断片を測定若しくは検出するステップ
    を含む方法。
  2. 前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記測定又は検出が、前記対象が外傷性脳損傷(TBI)を負っていることを指し示す、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、AL9A1、ATPG、C1RL、EPIPL、IGHA2、PZP、SYTC、SYYC又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;前記少なくとも1つのバイオマーカーが、健常対象から得られた試料中において、検出可能ではない、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ATPG、C1RL、SYYC又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、CAND1、GLO2又はこれらの組合せからなる群から選択され;CAND1及びGLO2のレベルが、健常対象から得られた試料中のCAND1及びGLO2のレベルと比較して高い、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの組合せからなる群から選択され;
    ABHEBのレベルが、健常対象から得られた試料中のABHEBのレベルと比較して高く、かつ/又は
    AL9A1及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のAL9A1及びDNM1Lのレベルと比較して低い、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、M3K5、SBSN、SYEP又はこれらの組合せからなる群から選択され;
    SBSN及びSYEPのレベルが、健常対象から得られた試料中のSBSN及びSYEPのレベルと比較して高く、かつ/又は
    M3K5のレベルが、健常対象から得られた試料中のM3K5のレベルと比較して低い、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、INF2、SYEP又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ANXA6、ERAP1、EZRI、FA5、G6PI、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  11. 少なくとも1つのバイオマーカーを測定又は検出する方法であって、
    実際の頭部損傷又は推測される頭部損傷の後において、対象から試料を得るステップ;及び
    前記試料中の、1433G、ACK1、ACY1、AKA12、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、HV307、IQGA2、K1C14、K1C19、KV105、LAMC1、MDHM、NQO2、PERM、PLST、PNCB、PTPRC、SEPT7、SYRC、TRXR2、TXNL1、UGGG1、WDR1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー又はこの断片を測定又は検出するステップ
    を含む方法。
  12. 前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記測定又は検出が、前記対象が外傷性脳損傷(TBI)を負っていることを指し示す、請求項11に記載の方法。
  13. 前記少なくとも1つのバイオマーカーが、健常対象から得られた試料中において、検出可能ではない、請求項11又は請求項12に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1つのバイオマーカーが、重度TBIを負っている対象から得られた試料中において、検出可能ではない、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、前記試料中の、ACK1、ACY1、PLST、PNCB、PTPRC、UGGG1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;
    前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記測定又は検出が、前記対象がサブクラス1の軽度TBIを負っていることを指し示す、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
  16. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、前記試料中の、AKA12、HV307、PERM、KV105、NQO2、SEPT7、SYRC、TRXR2又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;
    前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記測定又は検出が、前記対象がサブクラス2の軽度TBIを負っていることを指し示す、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
  17. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、前記試料中の、1433B、ARGI1、CADH5、CLH1、COPG2、DPOD2、DSG2、IQGA2、K1C14、LAMC1、MDHM、TXNL1又はこれらの任意の組合せからなる群から選択され;
    前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記測定又は検出が、前記対象がサブクラス3の軽度TBIを負っていることを指し示す、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
  18. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、AHNK、AL1A1、AMPN、CAPZB、CATD、CLIP2、CMGA、FSCN1、GMPR2、GRP78、GSH1、IDHC、K1C20、KRR1、MBL2、NTF2、PCBP2、PGK1、SAA1、TFR1又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記少なくとも1つのバイオマーカー又はこれらの断片が、ANXA6、MASP2、MYLK、SAMP又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーをさらに含む、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
  20. 対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:TPP2、CAND1、NCOR1、K22E、AL9A1、ABHEB、DNM1L、INF2又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    前記少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、前記対象がサブクラス4の軽度TBIを負っていることを指し示す
    パネル。
  21. CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のCAND1、NCOR1、K22E、ABHEB及びDNM1Lのレベルと比較して高く;かつ/又は
    TPP2、AL9A1及びINF2のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、AL9A1及びINF2のレベルと比較して低い、請求項20に記載のバイオマーカーパネル。
  22. 対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:TPP2、NCOR1、HV103、INF2、IGHD、CK054、M3K5、ABHEB、AL9A1、DNM1L又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    前記少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、前記対象がサブクラス3の軽度TBIを負っていることを指し示す
    パネル。
  23. NCOR1、HV103、IGHD、ABHEB及びDNM1Lのレベルが、健常対象から得られた試料中のNCOR1、HV103、IGHD、ABHEB及びDNM1Lのレベルと比較して高く;かつ/又は
    TPP2、IGHD、CK054、M3K5及びAL9A1のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、IGHD、CK054、M3K5及びAL9A1のレベルと比較して低い、請求項22に記載のバイオマーカーパネル。
  24. 対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、TPP2、K22E、ABHEB、INF2、SBSN、AL9A1、MA2B2又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    前記少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、前記対象がサブクラス2の軽度TBIを負っていることを指し示す
    パネル。
  25. NCOR1、K22E、ABHEB及びSBSNのレベルが、健常対象から得られた試料中のNCOR1、K22E、ABHEB及びSBSNのレベルと比較して高く;かつ/又は
    TPP2、INF2、AL9A1及びMA2B2のレベルが、健常対象から得られた試料中のTPP2、INF2、AL9A1及びMA2B2のレベルと比較して低い、請求項24に記載のバイオマーカーパネル。
  26. 対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、KV133、AL9A1、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    前記少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、前記対象がサブクラス1の軽度TBIを負っていることを指し示す
    パネル。
  27. K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP及びEPHB4のレベルが、健常対象から得られた試料中のK22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP及びEPHB4のレベルと比較して高く;かつ/又は
    KV133及びAL9A1のレベルが、健常対象から得られた試料中のKV133及びAL9A1のレベルと比較して低い、請求項26に記載のバイオマーカーパネル。
  28. 対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:CAND1、NCOR1、K22E、ABHEB、DNM1L、SBSN、GLO2、SYEP又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    健常対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、前記対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、前記対象がサブクラス4の軽度TBIを負っていることを指し示す
    パネル。
  29. 対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、HV103、IGHD、ABHEB、DNM1L、ALBU、THIM、IGHA2、KV139又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    健常対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、前記対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、前記対象がサブクラス3の軽度TBIを負っていることを指し示す
    パネル。
  30. 対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:NCOR1、K22E、ABHEB、SBSN、DNM1L、DIAP1、DYL1、PSA、EPHB4又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    健常対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、前記対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、前記対象がサブクラス2の軽度TBIを負っていることを指し示す
    パネル。
  31. 対象の外傷性脳損傷(TBI)状態を決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:K22E、DNM1L、DIAP1、ABHEB、PLOD1、SYEP、EPHB4、FBLN3又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    健常対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーのレベルと比較した、前記対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーの高レベルの測定又は検出が、前記対象がサブクラス1の軽度TBIを負っていることを指し示す
    パネル。
  32. 対象が外傷性脳損傷(TBI)を負っていないことを決定するためのバイオマーカーパネルであって、以下のバイオマーカー:ACTBL、ALDH2、ANXA5、CAMP、CPNE3、CRAC1、CYTC、DNPEP、EIF3I、GSHB、ICAM1、HV323、HNRPD、KVD33、FA9、FHR4、FRPD1、HS90B、MA2A1、PCYOX、PNPH、PROC、RL3、SH3L3、SRRM2、TBB1、TENA、TRAP1又はこれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み、
    前記対象における前記少なくとも1つのバイオマーカーの測定又は検出が、前記対象がTBIを負っていないことを指し示す
    パネル。
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