【発明の詳細な説明】
5-アミノ-1,3,4-チアジアゾンのアミノ酸アミドおよび基質メタロ
プロテイナーゼのインヒビターとしてのそれらの使用背景
基質メタロプロテイナーゼは、亜鉛依存性タンパク質加水分解酵素の1類であ
る。これらの酵素は、多くの疾患プロセスにおいて役割を演じている。
コラゲナーゼおよびストロメリシンのレベルの増加が重篤な関節炎疾患の滑膜
および軟骨で観察され(Deanら、J.Clin.Invest.,84:678(1989))、そしてこの
レベルは、疾患の重篤度および進行と関連がある(Blanckaertら、Clin.Chim.A
cta,185:73およびValakovltsら、Arthr.Rheum.,35:35(1992))。これらはまた
、軟骨基質の分解と結び付けられた(Brownら、J.Med.Chem.,37:674(1994)お
よびGordonら、Clin.Exp.Rheumatol.11(付録8):S91(1993))。基質メタロプ
ロテイナーゼはまた、α1-アンチプロテイナーゼインヒビター-1を切断すること
により軟骨の分解に寄与し、これによって、ヒト好中球エラスターゼを不活性化
するその能力を除去する。さらに、インビボで、基質メタロプロテイナーゼのイ
ンヒビターが血管形成、すなわち、新しい血管の形成を阻害し得ることが示され
た(Garlardyら、Cancer Research,54:4715(1994))。血管形成が正常のプロセス
(例えば、排卵、胎盤の発育および創傷の癒合)で起こるが、病原的なプロセス(
例えば、関節炎および炎症)にも関与する(D'Amoreら、Ann.Rev.Physiol.,49:
453(1987))。
メタロプロテイナーゼファミリーの多くのメンバーは、もともと、悪性細胞株
にあると記載され、腫瘍の転移に役割を果たしている様である(LiottaおよびRao
、Lab.Invest.,49:636-649(1983))。例えば、メタロプロテイナーゼの特定の
小分子量インヒビターは、裸のマウスにおいてヒト腫瘍細胞の生長を阻害する(N
aitoら、Int.J.Cancer,58:730-735(1994))。さらに、血管形成は、腫瘍の悪
性度にも関与する(D'Armoreら)。
基質メタロプロテイナーゼは、他の病原的なプロセス(例えば、歯周疾患(Brik
edal-Hansenら、Crit.Rev.Oral Biol.Med.,4:197-250,(1993))、種々の潰瘍
性症状(Brownら、Arch.Opthal.,81:370-373(1969))、および表皮水庖症(Johns
onら、Enzyme Inhibition,2:1-22(1987)))において重要な役割を果たしている
。
病原的プロセスを担う基質メタロプロテイナーゼの活性が阻害され得る場合、
疾患と関連した多くの病原的なプロセスは遅らせられたり、阻止されたり、また
は逆転されたりさえできる。公知の基質メタロプロテイナーゼのインヒビター(
例えば、ペプチジルヒドロキサメート)が存在するにもかかわらず、これらは、
生物的利用率性が低いため、骨関節炎および他の疾患の進行を顕著に改善するこ
とができない。結果として、治療剤として使用され得る、新規な基質メタロプロ
テイナーゼのインヒビターが必要とされる。発明の要旨
本発明は、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオールのアミノ酸アミドが基
質メタロプロテイナーゼの強力かつ選択的なインヒビターであるという発見に基
づいている。また、これらの化合物は基質メタロプロテイナーゼによるインター
ロイキン-1誘発軟骨分解を防止し得ることも発見された。
1実施態様では、本発明は構造式Iにより表される化合物またはその生理的に
活性な塩である:
ここで、
QおよびAは、それぞれ独立して、イオウおよび酸素からなる群より選択され
、そしてQおよびAの1つはイオウであり;
nは、基質メタロプロテイナーゼインヒビターに由来する正の整数であり;
R1は、-H、低級アルキルおよびアシルからなる群より選択され;
各R2は、独立して、C1〜C10直鎖または分枝鎖アルキル、C1〜C10直鎖または分
枝鎖置換アルキル、C3〜C8環状アルキル、置換C3〜C8環状アルキル、C1〜C10直
鎖または分枝鎖アルケニル、C1〜C10直鎖または分枝鎖置換アルケニル、C1〜C10
直鎖または分枝鎖アルキニル、C1〜C10直鎖または分枝鎖置換アルキニル、アリ
ール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群よ
り選択され;
R3は、アミン保護基である。
本発明の他の実施態様は、基質メタロプロテイナーゼを阻害する方法である。
この方法は、基質メタロプロテイナーゼを式Iの構造の化合物と接触させる工程
を含む。
本発明のさらに別の実施態様は、少なくとも1種の基質メタロプロテイナーゼ
を阻害することにより改善され得る患者または動物の疾患を処置する方法である
。この方法は、患者または動物に式Iの構造を有する化合物を治療的に有効な量
で投与する工程を含む。
5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンのアミノ酸アミドは、基質メタロプ
ロテイナーゼの過剰な活性による疾患(例えば、骨関節炎、リウマチ様関節炎、
ガンおよびこれらの疾患と関連する多くの炎症)を有する患者および動物を処置
するために有用である。本発明のチアジアゾールは、他のインビボ用途を有し、
例えば、患者または動物における基質メタロプロテイナーゼの位置を同定するた
めに役に立つ。これらのチアジアゾール化合物はまた、インビトロで、基質メタ
ロプロテイナーゼを含有する生物学的なサンプルに存在する組織およびタンパク
質の分解を防止するのに有用であり、例えば、これらの疾患の処置の新規な薬剤
標的を同定し、そして基質メタロプロテイナーゼを単離する際に役に立つ。発明の詳細な説明
本発明は、基質メタロプロテイナーゼの新規なインヒビターに関する。基質メ
タロプロテイナーゼの公知のインヒビターは、基質メタロプロテイナーゼの活性
部位で亜鉛原子と結合しキレートを作り得る官能基(例えば、ヒドロキサム酸ま
たはチオール)に結合したオリゴペプチドを含む。亜鉛と結合してキレートを作
り得る複式環化合物のアミノ酸アミドが、基質メタロプロテイナーゼを阻害し得
ることもまたわかった。本発明の基質メタロプロテイナーゼインヒビターは、構
造式IIにより表される5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオールのアミノ酸ア
ミドを含む:
あるいは、本発明の基質メタロプロテイナーゼインヒビターは、構造式(III)
により表される:
構造式(II)および(III)において、
QおよびAは、それぞれ独立して、イオウおよび酸素からなる群より選択され
、そしてQおよびAの1つは、イオウである。QおよびAは共にイオウであるこ
とが好ましい。
nは、正の整数であり、そしてこの化合物が基質メタロプロテイナーゼを阻害
するように選択される。好ましくは、nは、1〜約10の整数である。さらに好ま
しくは、nは、1〜約4の整数である。
R1は、-H、低級アルキルおよびアシルからなる群より選択される。低級アルキ
ルは、C1〜約C6の直鎖または分枝鎖炭化水素を含む。この炭化水素は、飽和であ
り得るか、または1単位またはそれ以上の不飽和を有し得る。適切なアシル基は
、
-CO-(低級アルキル)を含み、ここで、低級アルキルは、上記の定義と同じである
。好ましくは、R1は-Hである。
各R2は、独立して、C1〜C10直鎖または分枝鎖アルキル、C1〜C10直鎖または分
枝鎖置換アルキル、C3〜C8環状アルキル、置換C3〜C8環状アルキル、C1〜C10直
鎖または分枝鎖アルケニル、C1〜C10直鎖または分枝鎖置換アルケニル、C1〜C10
直鎖または分枝鎖アルキニル、C1〜C10直鎖または分枝鎖置換アルキニル、アリ
ール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より
選択さる。それゆえ、構造式(II)および(III)において、各アミノ酸サブユニッ
ト中のR2は、同じか、または異なり得る。
置換アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基上の適切な置換基は、ハロ
、-COOH、-COO(M)、-CHO、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-O(M)、-SH、-S(M)、-NH(M)
、-N(M2)、-NH-C(=NH)-NH2、-NH-C(=NH)-NH(M)、低級アルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールを含む。置換アルキル、ア
ルケニルおよびアルキニル基は、必要に応じて、1つ以上の置換基を有し得る。
アルキル、アルケニルまたはアルキニル基はまた、完全に置換され得、例えば、
ペルフルオロ化され得る。アルケニルまたはアルキニル基は、1つを越える二重
結合または三重結合を有し得る。
Mは、-X、X-CO-、X-CS-、X-SO2-、X-O-CO-およびX-O-CS-からなる群より選択
される。Xは、C1〜C10アルキル、C1〜C10置換アルキル、アリール、置換アリー
ル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択される。
アリール基は、単環式(例えばフェニル)または多環式であり得る。多環式芳香
族基は、縮合多環式構造(例えば、ナフチル、テトラヒドロナフチルまたはアン
トラシル(anthracyl))を含む。多環式芳香族基はまた、1つまたはそれ以上の
単一結合、炭素原子、および/またはヘテロ原子を含有するリンカーによって連
結される2つまたはそれ以上の芳香族環(例えば、ビフェニル、キサンテニルお
よびフルオレニル)を有する構造を含む。適切なアリール置換基は、ハロ、-COOH
-COO(M)、-CHO、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-O(M)、-SH、-S(M)、-NH(M)、-N(M2)、
アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールを含む。M
は、上記の定義と同じである。置換アリール基は、必要に応じて1つを越える置
換基を有し得る。
適切なヘテロアリール基は、1つまたはそれ以上のヘテロ原子(例えば、酸素
、窒素またはイオウ)を含有する単環式または多環式芳香族基を含む。適切な単
環式芳香族基は、イミダゾリル、チエニル、ピリジル、フラニル、オキサゾイル
、ピロリル、ピリミジニル、フラニル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリルなど
を含む。多環式ヘテロアリール基は、縮合構造(例えば、キノニル、インドイル
、ベンズイミダゾイル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニ
ルおよびベンゾピラニル)を含む。多環式ヘテロ芳香族基はまた、ヘテロ芳香族
環と1つまたはそれ以上の単一結合を含有するリンカーによって連結される1つ
またはそれ以上の芳香族環またはヘテロ芳香族環とを有する構造を含む。例には
、フェニルチエニル、チエニルチエニル、フェニルフラニル、フェニルオキサゾ
イル、チエニルオキサゾイルなどが挙げられる。適切なヘテロアリール置換基に
は、ハロ、-COOH、-COO(アルキル)、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-O(M)、-SH、-S(M)
、-NH(M)、-N(M2)、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロ
アリールを含む。Mは、上記の定義と同じである。置換ヘテロアリール基は、必
要に応じて1つを越える置換基を有し得る。
好ましくは、R2は、シクロヘキシル、シクロペンチル、(置換フェニル)-CH2-
、ナフチル、ナフチル-CH2-、天然に存在するアミノ酸の側鎖および誘導される
ヘテロ原子含有官能基を有する天然に存在するアミノ酸の側鎖からなる群より選
択される。
置換フェニルは、上記アリールについて定義された置換基と同じ置換基を有し
得る。2-フルオロ、3,4-ジヨード、4-ニトロ、4-ベンジルオキシカルボニルアミ
ノ、4-ジベンジルアミノおよび4-フルオロは、その例である。ナフチルは、1-ナ
フチルまたは2-ナフチルのいずれであり得る。
アミノ酸は、一般構造NH2-CHR-COOHを有し、ここでRは、側鎖である。天然に
存在するアミノ酸には、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン
、メチオニン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、トリプトファン、グ
リシン、セリン、ホモセリン、トレオニン、システイン、ホモシステイン、チロ
シン、アミノアジピン酸、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グル
タミン酸、リシン、ヒスチジン、プロリン、オルニチン、ホモシステイン、ヒド
ロキシプロリン、フェニルグリシンおよびトリプトファンが挙げられる。
多くの天然に存在するアミノ酸の側鎖は、誘導され得るヘテロ原子含有官能基
を有する。このようなヘテロ原子含有官能基の例には、システインのチオール、
セリンのヒドロキシル、ヒドロキシプロリンおよびトレオニン、グルタミン酸の
カルボン酸、アジピン酸およびアスパラギン酸、チロシンのフェノール、リシン
のアミン、オルニチン、アルギニンおよびヒスチジン、ならびにアスパラギンお
よびグルタミンのアミドが挙げられる。適切な誘導基には、-X,X-CO-、X-CS-、
X-SO2-、X-O-CO-およびX-O-CS-があり、ここで、Xは、上記の定義と同じである
。
適切な誘導基の特定の例には、チロシル、セリル、グルタモイルのO-ベンジル
;システイニルのS-ベンジル;グルタモイルのN-トリチル;チロシルのo-メチレ
ン-2-ナフチル;グルタミルのN-トリチル;グルタミルのN,N-ジベンジル:リシ
ルのε-N-t-ブトキシカルボニル;およびグルタミルのN-2-フェニルエチルが挙
げられる。
R3は、アミン保護基のようなアミン誘導基である。「アミン保護基」は、第一
級アミンに結合し得、分子の他の部分で好ましくない副反応を引き起こすことな
く、この第一級アミンから切断され得、そして基質メタロプロテイナーゼインヒ
ビターをもたらす官能基である。適切なアミン誘導基の他の例には、X-CO-、X-C
S-、X-SO2-、X-O-CO-およびX-O-CS-があり、ここで、Xは、上記の定義と同じで
ある。
好ましいアミン誘導基には、9-フルオレニルメトキシカルボニル、t-ブトキシ
カルボニル、(4-フェニル)フェニルアセチル、8-キノリンスルホニル、2-メチル
チオニコチル、キサンテン-9-カルボニル、ヒドロシナモイル、フェニルベンゾ
イル、ノナノイル、(4-ベンジルオキシ)ベンゾイル、アセチルおよび(4-(4-t-ブ
チルフェニルスルホンアミノ)ベンゾイルが挙げられる。4-フェニルベンゾイル
、ノナノイル、ベンジルオキシベンゾイルおよび(4-(4-t-ブチルフェニルスルホ
ンアミノ)ベンゾイルがより好ましい。
式Iにより表される化合物の生理的に活性な塩もまた、本発明中に含まれる。
生理的に受容可能な塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩および酢酸塩が含まれる。
本発明の基質メタロプロテイナーゼインヒビターの特定の例は、以下がある:
5-(N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾー
ル-2-チオン、5-(N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)トリプトニルアミノ)-
1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)ロ
イシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-(9−フルオレニルメトキ
シカルボニル)メチオニルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-(9-フ
ルオレニルメトキシカルボニル)ホモフェニルアラニルアミノ)-1,3,4-チアジア
ゾール-2-チオン、5-(N-((4-フェニル)フェニルアセチル)バリルアミノ)-1,3,4-
チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-(オルトフルオロ)
フェニルアラニルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-(8-キノリン
スルホニル)フェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン
、5-(N-(2-メチルチオニコチル)フェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジ
アゾール-2-チオン、5-(N-(キサンテン-9-カルボニル)グリシルフェニルアラニ
ルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ヒドロシナモイル-フェニル
アラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-(4-フェニルベ
ンゾイル)フェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5
-(N-ノナノイルフェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオ
ン、5-(N-(4-フェニル)フェニルアセチル-フェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3
,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-(4-ベンジルオキシ)ベンゾイルフェニルア
ラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-(4-フェノキシ)
ベンゾイル-フェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン
、5-(N-(4-(4-t-ブチルフェニルスルホンアミノ)ベンゾイル)-フェニルアラニル
-バリルアミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニ
ル-フェニルアラニル-ロイシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-
ベンジルオキシカルボニル-フェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾ
ール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-トリプトイル-バリルアミノ)-
1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-トリプトリ
ル-フェニルアラニルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジル
オキシカルボニル-ロイシルメチオニルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン
、5-
(N-ベンジルオキシカルボニル-(2-(1-ナフチル))アラニル-バリルアミノ)-1,3,4
-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-(2-(2-ナフチル))
アラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキ
シカルボニル-(O-ベンジル)チロシル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-
チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-(パラ-F)フェニルアラニル-バリルア
ミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-ロイ
シル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカ
ルボニル-シクロヘキシルグリシル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チ
オン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-イソロイシル-バリルアミノ)-1,3,4-チ
アジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)グルタ
モイル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシ
カルボニル-(p-ニトロ)フェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール
-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-((p-ベンジルオキシカルボニルア
ミノ)フェニルアラニル)-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N
-ベンジルオキシカルボニル-((3,4-ジヨード)フェニルアラニル)-バリルアミノ)
-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-((S-ベンジ
ル)システイニル)-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベン
ジルオキシカルボニル-((オルト-フルオロ)フェニルアラニル)-バリルアミノ)-1
,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)
セリル)-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシ
カルボニル-((N-トリチル)グルタミル)-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2
-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-((O-ベンジル)チロシル-アミノイソ
ブチロイルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカル
ボニル-((O-ベンジル)チロシル)-フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾー
ル-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-((O-メチレン-2-ナフチル)チロ
シル)-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカ
ルボニル-((O-ベンジル)チロシル)-グリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-
チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-((O-ベンジル)チロシル-(t-ブチル)グ
リシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニ
ル-((N-トリチル)グルタミル)-フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール
-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-((O-ベンジル)チロシル)-シクロヘ
キシルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-t-ブチルオキシ
カルボニル-((O-ベンジル)チロシル)-フェニルグリシルアミカ-1,3,4-チアジア
ゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-((N,N-ジベンジル)グルタミ
ル)-フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジル
オキシカルボニル-((p-N,N-ジベンジルアミノ)フェニルアラニル)-フェニルグリ
シルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル
-((O-ベンジル)チロシル)-ロイシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5
-(N-ベンジルオキシカルボニル-(N-2-フェニルエチル)グルタミル-フェニルグリ
シルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル
-フェニルアラニル-ロイシル-トリプトニルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チ
オン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-フェニルアラニル-バリル-トリプトニル
アミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-フ
ェニルアラニル-トリプトニル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン
、5-(N-ベンジルオキシカルボニル-リシル(N-ε-t-ブチルオキシカルボニル)-チ
ロシル(O-ベンジル)-フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン
。
本発明の化合物は、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンをN-末端保護の
アミノ酸またはオリゴペプチドとカップリングすることにより合成される。5-ア
ミノ-1,3,4-チアジアゾールは、公知の方法に従って調製される(ChoおよびKim、
J.Heterocyclic Chem.,30:397(1993))。アミノ酸またはオリゴペプチドのN-末
端を保護する方法もまた周知である(GreeneおよびWuts、「Protecting Groups i
n Organic Syhthesis」John WileyおよびSons,1991を参照のこと)。カップリン
グは、ペプチド合成の公知の方法(例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの
存在下でジシクロヘキシルカルボジイミド媒介のカップリング)により行われる(
実施例1〜36を参照のこと)。さらなるアミノ酸またはオリゴペプチドは、アミ
ノ酸保護基を切断し、そして次いでN-末端保護アミノ酸またはオリゴペプチドと
のカップリングを行うことによりN-末端に加えられ得る。このプロセスは、チア
ジアゾールの5-アミノ基に結合される所望の長さおよび配列のオリゴペプチドを
有するチアジアゾールを合成する必要がある限り、何度も繰り返され得る。
本発明の別の実施態様は、基質メタロプロテイナーゼを阻害する方法である。
この方法は、基質メタロプロテイナーゼを構造式(II)または(III)により表され
る化合物と阻害的量で接触させる工程を含む。
基質メタロプロテイナーゼは、特定のアミノ酸配列を有するペプチドに結合し
、そしてそれを切断する、亜鉛依存性タンパク質加水分解酵素の1種である。こ
の種のタンパク質中の酵素の例には、ストロメリシン(stromelysin)(MMP-3)、ヒ
ト線維芽細胞コラゲナーゼ(MMP-1)、ヒト72-kDaゼラチナーゼ(gelatinase)(MMP-
2)、ヒト好中球コラゲナーゼ(MMP-8)、ヒト92-kDaゼラチナーゼ(MMP-9)およびマ
トリリシン(matrilysin)(MMP-10)がある。
この化合物の阻害的量とは、この化合物の不存在下と比べて、この化合物の存
在下で基質メタロプロテイナーゼの切断の減少をもたらす量を意味する。阻害的
量は、例えば、使用されるインヒビター、溶液のpH、溶液中の他の成分およ温度
を含むいくつかの因子に依存する。当業者は、用途に応じて、使用されるインヒ
ビターの量を改変し得る。代表的には、約1ナノモルまたはそれ以下〜約10,000
ナノモル、好ましくは、約1ナノモルまたはそれ以下〜約1000ナノモル、そして
さらに好ましくは、約1ナノモルまたはそれ以下〜500ナノモルの濃度が使用さ
れる。
少なくとも1種の基質メタロプロテイナーゼをインビトロで5-アミノ-1,3,4-
チアジアゾール-2-チオールで阻害する特定の例は、実施例37〜40に提供される
。これらの実施例では、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオールのアミノ酸
アミドを、ストロメリシン、92kDaヒトゼラチナーゼ、72kDaヒトゼラチナーゼお
よびヒト好中球コラゲナーゼを阻害する能力について、インビトロで試験する。
阻害データをIC50として表I〜IVに示す。
本発明の別の実施態様は、少なくとも1種の基質メタロプロテイナーゼ酵素を
阻害することによって改善され得る疾患に罹る患者を処置する方法である。この
方法は、構造式(II)または(III)の構造を有する化合物を治療的に有効な量で投
与する工程を含む。
この方法はまた、少なくとも1種の基質メタロプロテイナーゼ酵素を阻害する
ことによって改善され得る疾患に罹る動物を処置する方法である。この方法で処
置され得る動物には、犬、猫、家畜およびモルモットなどがある。
疾患に関連する疾患プロセスの発展または進行が処置の結果として遅らせられ
、阻止され、または逆転されるとき、この疾患が「改善される」。例えば、骨関
節炎およびリウマチ様関節炎は、疾患の結果として起こる軟骨の分解を遅らせる
ことにより改善され得る。あるいは、「改善」は、骨関節炎およびリウマチ様関
節炎の患者の苦しめる関節の痛みおよび炎症を軽減することを含み得る。疾患の
「改善」の別の例は、この疾患に罹る患者(例えば、ガン患者)の平均余命を増
加させるか、または例えば、骨関節炎患者の行動能力を増加することにより患者
の生命の質を改善することが挙げられる。
5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンのアミノ酸アミドを投与して疾患プ
ロセスを改善する特定の例が、実施例41に提供される。これらの実施例では、化
合物は、組織培養中の細胞外基質の分解を阻害する能力について試験される。細
胞外軟骨の分解が骨関節炎およびリウマチ様関節炎において起こる。組織培養ア
ッセイで試験された化合物の阻害データは、所定の濃度における軟骨分解の阻害
の割合として表Vに示される。
5-アミノ-1,3,4-チアジアゾールのアミノ酸アミドで処置される他の疾患には
、ガンにおける腫瘍細胞転移、歯周疾患または表皮水庖症による潰瘍および感染
が挙げられる。さらに、これらの化合物を使用して、疾患中の炎症(この炎症が
少なくとも1種の基質メタロプロテイナーゼ酵素の過剰な活性により引き起こさ
れる)を処置し得る。
この化合物の治療的に有効な量は、受け入れられない副作用を引き起こすこと
なく、疾患の改善をもたらす量である。患者または動物に投与される化合物の量
は、患者の年齢、性別、体重および総合的な健康状況、ならびに患者が罹る疾患
の重篤度を含む多くの因子に依存する。当業者は、これらおよびその他の因子に
基づいて、患者に投与する化合物の量を変更し得る。代表的に、治療的に有効な
量は、1日あたり約0.1mg/kg以下〜1日あたり約100mg/kg、好ましくは、1日あ
たり約0.1mg/kg以下〜1日あたり約20.0mg/kgの範囲である。
化合物は、例えばカプセル、懸濁液または錠剤で経口投与され得る。使用され
得る他の投与方法には、例えば、筋内注射、静脈内注射、皮下注射、または腹膜
腔内注射による全身投与がある。骨関節炎を処置する場合、化合物は、好ましく
は、苦しめる関節に関節内に(例えば、関節内注射により)投与される。
化合物は、患者に、骨関節炎を処置するための薬学的な組成物の一部としての
受容可能な薬学的なキャリアと共に投与され得る。適切な薬学的キャリアは、こ
の化合物と相互作用しない不活性な成分を含有し得る。標準的薬学的調剤技術、
例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,Mack Published Company,Eas
ton,PAに記載されるような調剤技術が利用され得る。関節内投与または他の非
経口的投与の適切な薬学的キャリアには、例えば、蒸留水、生理食塩水、静菌食
塩水(約0.9mg/mlのベンジルアルコールを含む食塩水)、リン酸緩衝食塩水、ハン
クス液、リンガー液などが挙げられる。組成物をカプセル化する方法(例えば、
シクロデキストランの硬質ゼラチンのコーティングで)は当該分野で公知である
(Bakerら、「Controlled Release of Biological Active Agents」,John Wiley
およびSons,1986)。
本発明の別の実施態様では、組成物は、この化合物に加えて、さらに別の薬学
的に活性な薬剤を含有する。骨関節炎およびリウマチ様関節炎は、苦しめる関節
における痛みにより特徴付けられる。ガン患者は、しばしば、腫瘍接触器官また
は他の体組織に生じる痛みに苦しむ。従って、骨関節炎、リウマチ様関節炎また
はガンを処置する場合、この化合物を、鎮痛剤または他の痛み止め剤と同時投与
することが有利であり得る。適切な鎮痛剤には、アセトミノフェン(acetominoph
en)、アセチルサリチル酸などが挙げられる。骨関節炎およびリウマチ様関節炎
はまた、苦しめる関節中の炎症により特徴付けられる。従って、骨関節炎および
リウマチ様関節炎を処置する場合、この化合物を、非ステロイド消炎剤またはス
テロイド(例えば、トラムシノロン(tramcinolone)、アムシノジド(amcinodide)
など)のような消炎剤と共に投与することが有利であり得る。
1,3,4-チアジゾール-2-チオンのアミノ酸アミドは、インビトロで有用な用途
を有する。基質メタロプロテイナーゼがプロテアーゼ活性を有し、かつ広範な組
織に存在するので、有用な組織および生物学的液体の単離は、しばしば、これら
の酵素による有用なタンパク質の好ましくない加水分解によって妨害される。こ
れらの基質メタロプロテイナーゼによる有用な組織およびタンパク質の破壊は、
本発明のチアジアゾールを阻害的量で添加することにより防止され得る。基質メ
タロプロテイナーゼは、先に議論されるように、広範な疾患プロセスに関与する
。従って、基質メタロプロテイナーゼのインヒビターは、疾患の研究(例えば、
これらの酵素の新しくてより良いインヒビターを研究するため)に有用である。
1,3,4-チアジゾール-2-チオンのアミノ酸アミドは、標準的な結合方法を用い
て、放射標識(例えば、Te”またはI131シンチグラフィー標識)に結合し得る。
次いで、放射標識された1,3,4-チアジゾール-2-チオンのアミノ酸アミドを、被
験者に投与して、インビボにおける1種以上のメタロプロテイナーゼの過剰量の
任意の位置を決定する。次いで、チアジアゾール化合物がメタロプロテイナーゼ
に選択的に結合する能力を用いて、これらの酵素のインサイチュ分布をマップす
る。この技術はもちろん組織的手順に利用され得、そして標識化合物は、競合免
疫アッセイに使用され得る。
1,3,4-チアジゾール-2-チオンのアミノ酸アミドの少なくとも1種はまた、基
質メタロプロテイナーゼ酵素の精製に有用である親和性担体を提供するために、
固形担体(例えば、アガロース、セファロース、ポリアクリルアミドなどのよう
な分離膜、グロマトグラフィー担体)、またはマイクロタイタプレートに結合し
得る。基質メタロプロテイナーゼのチアジアゾール化合物への選択的な結合は、
例えばイオン強度および/またはpH条件の改変を用いて、所望の酵素の吸着およ
びそれに続く溶出を可能にする。
本発明は、以下の実施例により、さらにかつ具体的に説明される。
実施例1
5-(N-(9- フルオレニルメトキシカルボニル)トリプトニルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.42グラム)を、無水ジメチルホルムアミ
ド(DMF)5mLに溶解させ、続いてN-フルオレニルメトキシカルボニル-トリプト
ファン(0.85g)(N-(9-フルオレニルメトキシカルボニルを、「fmoc」と呼ぶ
)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)(0.36グラム)を添加した。
溶液を、ジシクロヘキシル尿素の沈殿が完結するまで(約40分)室温で保持した
。5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(0.3グラム)を添加し、そして反
応混合物を48時間攪拌した。過剰の酢酸エチル(100mL)を添加し、そして得ら
れた溶液を、5%の重炭酸ナトリウム水溶液、10%のクエン酸水溶液、および水
で3回洗浄した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そしてエバポレー
トして乾燥させた。得られたオイル状の残渣を、エタノール-ペンタンから再結
晶した。得られた白色固体を濾別し、そして風乾した。M.P. 162-163℃。NMRス
ペクトル(d6-DMSO)
実施例2
5-(N-(9- フルオレニルメトキシカルボニル)バリルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
Fmoc-バリン(0.68グラム)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.36グラム
)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.42グラム)、および5-アミノ-1,3,4-
チアジアゾール-2-チオン(0.4グラム)を、実施例1に記載の手順に従って反応
させた。得られた生成物を、エタノール-ペンタンから再結晶した。M.P. 141-1
44℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例3
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-トリプトニルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
N-ベンジルオキシカルボニル-トリプトファン(1.7グラム)、1-ヒドロキシベ
ンゾトリアゾール(1グラム)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.1グラム)
、
および5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(2.5グラム)を、実施例1に
記載の手順に従って反応させた。得られた生成物を、エタノール/酢酸エチル/ペ
ンタンから再結晶して、白色の粉末を得た。M.P. 128-132℃。NMRスペクトル(
d6-DMSO)
実施例4
5-(N-9- フルオレニルメトキシカルボニル)メチオニルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
Fmoc-メチオニン(0.371グラム)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.2グ
ラム)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.21グラム)、および5-アミノ-1,3
,4-チアジアゾール-2-チオン(0.25グラム)を、実施例1に記載の手順に従って
反応させた。得られた生成物を、エタノール/石油エーテルから再結晶して、生
成物を白色粉末として得た。M.P. 166-167℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例5
5-(N-(9- フルオレニルメトキシカルボニル)ホモフェニルアラニルアミノ)
-1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
Fmoc-フェニルアラニン(0.8グラム)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.
38グラム)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.4グラム)、および5-アミノ-
1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(0.4グラム)を、実施例1に記載の手順に従っ
て反応させた。得られた生成物を、エタノール/ペンタンから再結晶して、生成
物を白色粉末として得た。M.P. 186-187℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例6
5-(N-((4- フェニル)フェニルアセチル)バリルアミノ-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
((4-フェニル)フェニルアセチル)-バリン(0.98グラム)、1-ヒドロキシベン
ゾトリアゾール(0.6グラム)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.64グラム
)および5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(1.2グラム)を、実施例1
に記載の手順に従って反応させた。得られた生成物を、エタノール/ペンタンか
ら再結晶して、白色固体を得た。M.P.232-236℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例7 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-フェニルアラニル-バリルアミノ)-1,3,4-チア
ジアゾール-2-チオンの合成
Cbz-フェニルアラニン-バリン-OH(0.8グラム)、1-ヒドロキシベンゾトリア
ゾール(0.35グラム)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.41グラム)および
5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(0.9グラム)を、実施例1に記載の
手順に従って反応させた。得られた生成物を、酢酸エチル/石油エーテルから再
結晶して、白色固体を得た。M.P.170-174℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例8 5-(N-(4-(4-t- ブチルフェニルスルホニルアミノ)-ベンゾイル)フェニルアラニ
ル-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
(4-(4-t-ブチルフェニルスルホニルアミノ)ベンゾイル)-フェニルアラニン-
バリン(0.48グラム)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.15グラム)、ジシ
クロヘキシルカルボジイミド(0.17グラム)、および5-アミノ-1,3,4-チアジア
ゾール-2-チオン(0.5グラム)を、実施例1に記載の手順に従って反応させた。
得られた生成物を、エタノール/ペンタンから再結晶して、白色固体を得た。M.P
.140-144℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例9
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(2-(1-ナフチル))アラニル-バリルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
tert-ブトキシカルボニル-1-ナフタラニン(Boc-1-ナフタラニン)(500mg、1
.6mmol)、バリンメチルエステル塩酸塩(292mg、1.1当量)、ジイソプロピルエ
チルアミン(305mL、1.1当量)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(242m
g、1.0当量)を、15mLのCH2Cl2に添加した。この溶液を、室温で15分間平衡化(
eqilibrate)させ、続いて、ジシクロヘキシルカルボジイミド(360mg、1.1.当
量)を添加した。次いで、反応物を室温で一晩撹拌した。沈澱したジシクロヘキ
シル尿素を、濾過により除去した。得られた溶液を、5%HCl(2×30mL)、10
%NaHCO3(2×30mL)、およびブライン(2×30mL)で洗浄した。次いで、有機
層を乾燥(Na2SO4)し、そしてエバポレートして乾燥させた。得られた物質を、
さらなる精製を行わずに用いた。
Boc基の脱保護を、ニートなトリフルオロ酢酸を用いて、0℃で15分間、文献
(BodanszkyおよびBodanszky「ペプチド合成の実施」)に報告されている通りに
行った。過剰のトリフルオロ酢酸を減圧下で除去し、そしてトリフルオロ酢酸塩
を、NaOHベッド上で一晩乾燥させた。
トリフルオロ酢酸塩を0℃においてCH2Cl2に溶解させることにより、フリーの
N-末端を、ベンジルクロロホルメート(Cbz-Cl)でアシル化した。ジイソプロピ
ルエチルアミン(695mL、2.5当量)を添加し、続いてベンジルクロロホルメート
(250mL、1.2当量)を滴下した。次いで、反応物を、1時間かけて室温まで加温
した。反応混合物を、5%HCl(2×30mL)、10%NaHCO3(2×30mL)、および
ブライン(2×30mL)で洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、そしてエバポレ
ートして乾燥させた。そして得られた物質を、さらなる精製を行わずに用いた。
エステルを2mLのメタノール(MeOH)に溶解させ、1NのNaOHを2mL添加し、
そして反応物を室温で撹拌することにより、メチルエステルのケン化を達成した
。この反応を、TLCにより簡便にモニタリングした。そして、反応の完結は、通
常、約1時間後に観察された。MeOH:H2O混合物を、H2Oで溶出させ、そしてエー
テル(2×15mL)で洗浄した。水層を注意深く酸性化(1N HCl)し、そして酢
酸エチル(5×10mL)で洗浄した。有機層を合わせ、5%HClおよびブラインで
1回洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そしてエバポレートして乾燥させた。TLCは、
1つのスポットを示した。そしてこれを、さらなる精製を行わずに使用した。粗
酸の収量は、500mg(69%)であった。上記酸を、アルゴン気流下で5mLのDMFに
溶解させて、チアジアゾール(5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール)と
のカップリングを達成した。次いで、チアジアゾール(330mg、2.2mmol、2当量
)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(180mg)、およびジシクロヘキ
シルカルボジイミド(253mg、1.1当量)を、反応混合物に添加した。反応混合物
をアルゴンで完全にフラッシュし、堅く栓をして、そして室温で72時間撹拌した
。処理を、実施例1〜3に記載の通りに行った。
分析的に純粋なサンプルは、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLC(Rf=0.
47)により得られた(Rf=0.47)。融点176.8-180℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部参
照)
実施例10
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(2-(2-ナフチル)アラニル-バリルアミノ)
-1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
Boc-2-ナフタラニンをBoc-ナフタラニンの代わりに用いた以外は、実施例9に
記載の手順に従って合成を行った。
分析的に純粋なサンプルは、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLC(Rf=0.
41)により得られた(Rf=0.47)。融点125.2-132.5℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部
標準)
実施例11 5-(N- ベンジルオキシカルボニル)-(O-ベンジル)チロシル-バリルアミノ)-1,3,4-
チアジアゾール-2-チオンの合成
N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシン(6.35、1.5mmol)、バリ
ンメチルエステル塩酸塩(250mg、1.1当量)、ジイソプロピルエチルアミン(26
0mL、1.1当量)、およびHOBt(230mg)を、15mLのDMFに添加した。次いで、反応
を、室温で15分間平衡化させ、続いて、ジシクロヘキシルカルボジイミド(340m
g、1.1当量)を添加した。次いで、反応物を室温で一晩撹拌した。その後、沈澱
したジシクロヘキシル尿素を、濾別した。上清を、5%HCl(2×30mL)、10%N
aHCO3(2×30mL)、およびブライン(2×30mL)で抽出した。次いで、有機層
を乾燥(Na2SO4)し、エバポレートして乾燥させた。そして得られた物質を、さ
らなる精製を行わずに用いた。
エステルを2mLのメタノールに溶解させ、そして1NのNaOHを2mL添加し、そ
して反応物を室温で撹拌することにより、メチルエステルのケン化を達成した。
この反応を、TLCにより簡便にモニタリングした。そして、反応の完結は、通常
、約1時間後に観察された。メタノールとH2Oとの混合物を、H2Oで溶出させ、そ
し
てエーテル(2×15mL)で洗浄した。水層を注意深く酸性化(1N HCl)し、そ
して酢酸エチル(5×10mL)で洗浄した。有機層を合わせ、5%HClおよびブラ
インで1回洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そしてエバポレートして乾燥させた。TL
Cは、1つのスポットを示した。この生成物を、さらなる精製を行わずに使用し
た。粗酸の収量は、530mg(70%)であった。
5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオールとのカップリングを、実施例9に
記載の通りに行った。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.39)。融点111.7-119.4℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例12 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボ
キシ)-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
Boc-1-ナフタラニンの代わりに、Boc-(1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-
カルボン酸)(Advanced ChemTech.、Louisville、KY)を用いた以外は、実施例
9に記載の通りに合成を行った。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.34)。融点128.5-133.5℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例13 5-(N- ベンジルオキシカルボニル(パラ-F)フェニルアラニル-バリルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
Boc-1-ナフタラニンの代わりに、Boc-4-フルオローフェニルアラニンを用いた
以外は、実施例9に記載の通りに合成を行った。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.26)。融点127.6-130.2℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例14
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-シクロヘキシルグリシル-バリルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
N-ベンジルオキシカルボニル-シクロヘキシルグリシン(Cbz-CHG)の合成を、
Schotten-Baumann条件(Bodanszky、「ペプチド合成の原理」)を用いて達成し
た。(L)-シクロヘキシルグリシン(Advanced ChemTech、Louisville、Kentucky
)を、ベンジルクロロホルメート(Cbz-Cl)と共に、水/ジオキサン混合物中に
溶解させた。5N NaOHを用いて、pHを約10に維持した。反応が完結した後、混
合物をpH7に調整し、半分の容積まで濃縮し、水で希釈し、pH3に酸性化し、そ
して酢酸エチルで抽出した。合わせた有機洗液を乾燥(Na2SO4)し、そしてエバ
ポレートして乾燥させた。粗生成物(Cbz-CHG)を、さらなる精製を行うことな
く使用した。N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシンの代わりにCbz
-CHGを用いて、実施例11に記載の手順で、合成を完結させた。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.25)。融点190-193.8℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例15
5-( ベンジルオキシカルボニル-(p-ニトロ)フェニルアラニル-バリルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオン
必要なN-ベンジルオキシカルボニル-(p-ニトロ)フェニルアラニンの合成を、S
chotten-Baumann条件(Bodanszky、「ペプチド合成の原理」)を用いて達成した
。(L)-4-NO2-フェニルアラニン(Bachem Bioscience,Inc.、King of Prussia、
PA)を、Cbz-Clと共に、水/ジオキサン混合物中に溶解させた。5N NaOHを用い
て、pHを約10に維持した。反応が完結した後、混合物をpH7に調整し、半分の容
積まで濃縮し、水で希釈し、pH3に酸性化し、そして酢酸エチルで抽出した。合
わせた有機洗液を乾燥(Na2SO4)し、そしてエバポレートして乾燥させた。粗生
成物(Cbz-4-ニトロフェニルアラニン)を、さらなる精製を行うことなく使用し
た。
Cbz-(O-ベンジル)チロシンの代わりにCbz-4-ニトロフェニルアラニンを用いて
、実施例11に記載の手順により合成を完結させた。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.22)。融点137.6-51.5℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例16 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-((p-ベンジルオキシカルボニルアミノ)フェニ
ル-アラニル)-バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
実施例14および15に記載の通りにSchotten-Baumann(Bodanszky、「ペプチド
合成の原理」)を用いて、(L)-4-アミノ-フェニルアラニン(Bachem Bioscience
、King of Prussia,PA)から出発し、そして2当量のCbz-Clを用いて、N-ベン
ジルオキシカルボニル-(p-ベンジルオキシカルボニルアミノ)-フェニルアラニン
化合物を調製した。N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシンの代わ
りにN-ベンジルオキシカルボニル-(p-ベンジルオキシカルボニルアミノ)フェニ
ルアラニンを用いて、実施例11に記載の手順により合成を完結させた。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.22)。融点195.2-203.4℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例17
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)グルタモイル-バリルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
(N-t-ブトキシカルボニル)バリン(750mg、3.4mmol)を、アルゴンでフラッシ
ュした反応フラスコ中の無水DMF(5mL)中に添加した。次いで、5-アミノ-1,3,
4-チアジアゾール-2-チオール(920mg、2当量)、HOBt(530mg)、およびジシ
クロヘキシルカルボジイミド(782mg、1.1当量)を添加した。反応容器に堅く栓
をして、そして反応物を室温で72時間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチ
ル(50mL)で希釈した。沈澱したジシクロヘキシル尿素を濾別し、そして上清を
10%クエン酸(3×20mL)、10%NaHCO3(3×20mL)、およびブライン(3×20
mL)で洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、そしてエバポレートして乾燥させ
た。粗生成物をCH2Cl2/石油エーテル(50-110℃)から結晶化させた。Boc-Val-X
の収量は、670mg(59%)であった。アルゴン下において4N HCl:ジオキサン
中で一晩撹拌することにより、t-ブトキシカルボニル基の脱保護を、文献(Boda
nszkyおよびBodanszky「ペプチド合成の実施」)に報告されている通りに行った
。溶媒を減圧下で除去し、そして塩酸塩をNaOHベッド上で一晩乾燥させた。この
生成物を、さらなる精製を行うことなく使用した。
N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)グルタメート(200mg、0.54mmol)
を、アルゴン下で、無水THF(5mL)に添加した。この混合物に、5-バリルアミ
ノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(144mg、1.1当量)、ジイソプロピルエチル
アミン(DIEA)(100mL、1.1当量)、HOBt(82mg)、およびジシクロヘキシルカ
ルボジイミド(122mg、1.1当量)を添加した。反応容器をアルゴンでフラッシュ
し、堅く栓をし、そして室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し
た後、ジシクロヘキシル尿素を濾別した。次いで、上清を10%クエン酸(3×20
mL)、10%NaHCO3(3×20mL)、およびブライン(3×20mL)で洗浄した。有機
層を乾燥(Na2SO4)し、そしてエバポレートして乾燥させた。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.24)。融点97.6-102.3℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例18 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-((3,4-ジヨード)フェニルアラニル)-バリルア
ミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、Boc-1-ナフタラニンの代わりにBoc-(3,5-ジヨード)-フェニル
アラニンを用いて、実施例9に記載の手順に従って調製した。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した
(Rf:0.38)。融点178.4-181.2℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例19
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)セリル-バリルアミノ)-
1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジルチロシン)の代わり
にN-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)セリンを用いて、実施例11に記載
の手順に従って調製した。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.33)。融点122.6-128.9℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例20
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(γ-N-トリチル)グルタミル-バリルアミノ
(valyamino))-1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジルチロシン)の代わり
にN-ベンジルオキシカルボニル-(N-トリチル)グルタミンを用いて、実施例11に
記載の手順に従って調製した。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.30)。融点146.8-155.7℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例21
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-((O-ベンジル)チロシル)-アミノ-
イソブチロイルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
メタノール性HCl中で、2-アミノイソ酪酸をエステル化することにより、2-ア
ミノイソ酪酸メチル(AibOMe)の合成を達成した。HCl塩を、メタノール/エーテ
ルから結晶化した。合成の残りは、バリンメチルエステル塩酸塩の代わりにAibO
Meを用いて、実施例11に記載の手順に従って行った。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.47)。融点106.5-114.5℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例22 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-((O-ベンジル)チロシル)-フェニルグリシルア
ミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、バリンメチルエステル塩酸塩の代わりにフェニルグリシンメチ
ルエステル塩酸塩を用いて、実施例11に記載の手順に従って調製した。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.42)。融点123.0-127.8℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例23
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-((O-メチレン-2-ナフチル)チロシル)-
バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
銅キレートを用いる標準的手順(BodanszkyおよびBodanszky「ペプチド合成の
実施」)を用いて、O-メチレン-2-ナフチル-チロシンの合成を達成した。そして
、酢酸水溶液から結晶化させた。O-メチレン-2-ナフチル-チロシンのアシル化を
、水ジオキサン混合物中でCbz-Clを用いて、Schotten-Baumann条件(Bodanszky
「ペプチド合成の原理」)を用いて達成した。5N NaOHを用いて、pHを約10に
維持した。反応が完結した後、混合物をpH7に調整し、半分の容積まで濃縮し、
水で希釈し、pH3に酸性化し、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機洗液
を乾燥(Na2SO4)し、そしてエバポレートして乾燥させた。粗生成物N-ベンジル
オキシカルボニル-(O-メチレン-2-ナフチル)チロシンを、さらなる精製を行うこ
となく使用した。
合成の残りは、N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシンの代わり
にCbz-Tyr(Naph)を用いて、実施例11に記載の手順に従って行った。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.45)。融点104.8-111.4℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例24
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-((γ-N-トリチル)グルタミル)-
フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシン)および
バリンメチルエステル塩酸塩の代わりに、N-ベンジルオキシカルボニル-((γ-N-
トリチル)グルタミンおよびフェニルグリシンメチルエステル塩酸塩を用いて、
実施例11に記載の手順に従って調製した。
分析サンプルを、CH2Cl2:MeOH(95:5)を用いる分取TLCにより調製した(
Rf=0.46)。融点158.4-167.4℃。1H-NMR(d6-DMSO、内部標準)
実施例25
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(γ-N,N-ジベンジル)グルタミル)-
フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.22グラム)、次いでN-ベンジルオキシカ
ルボニル-(γ-N,N-ジベンジル)グルタミン-フェニルグリシン(0.48グラム)、
および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.15グラム)を、無水DMF(5mL)中
に溶解させた。ジシクロヘキシル尿素の沈澱が完結するまで(約40分)、溶液を
室温で保持し、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(0.39グラム)を添加
し、そして溶液を2日間放置した。過剰の酢酸エチル(50mL)を添加し、そして
ジシクロヘキシル尿素を濾別した。上清を、10%クエン酸水溶液(3×20mL)、
5%重炭酸ナトリウム水溶液(3×20mL)、およびブライン(3×20mL)で数回
洗浄した。酢酸エチル層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてエバポレートして
乾燥させた。明るい黄色の固体を、分取TLCにより精製した。白色固体として得
られたものを、真空下で50℃において乾燥させた。M.P.140℃。Rf 0.37;溶出
液:メタノール:塩化メチレン(5:95)。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例26
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(γ-N-2-フェニルエチル)グルタミル)-
フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-ベンジルオキシカルボニル-((γ-N,N-ジベンジル)グルタミ
ン)-フェニルグリシンの代わりにN-ベンジルオキシカルボニル-((γ-N-フェニル
エチル)グルタミン-フェニルグリシンを用いて、実施例25に記載の手順に従って
調製した。M.P.145℃。Rf 0.40;溶出液:メタノール:塩化メチレン(10:10
0)。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例27
5- (N−ベンジルオキシカルボニル-ロイシル-バリルアミノ
-1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
N-ベンジルオキシカルボニル-ロイシル-バリン(0.419グラム)、1-ヒドロキ
シベンゾトリアゾール(0.186グラム)、および5-アミノ-1,3,4,-チアジアゾー
ル-2-チオン(0.497グラム)を、無水THF(6mL)に添加し、続いて、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(0.277グラム)を添加した。反応混合物を、室温で3
日間撹拌した。DMFをロータリーエバポレーターで部分的に除去し、そして残渣
を酢酸エチル(100mL)で希釈した。ジシクロヘキシル尿素を濾別し、そして濾
液を、10%クエン酸(3×30mL)、10%重炭酸ナトリウム(3×30mL)、および
ブライン溶液(3×30mL)で抽出した。酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥
し、濾過し、そしてロータリーエバポレーターでエバポレートして乾燥させた。
最終生成物を分取TLCにより精製し、TLC上で1スポットの物質を得た(Rf 0.67
;溶出液:塩化メチレン:メタノール(95:5)。M.P. 146℃。NMRスペクトル
(d6-DMSO)
実施例28
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-イソロイシル-バリルアミノ
-1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-(ベンジルオキシカルボニル)ロイシルバリンの代わりに、(
ベンジルオキシカルボニル)イソロイシルバリンを使用した以外は、実施例27に
記載の手順に従って調製した。最終生成物を、分取TLCにより精製し、TLC分析で
1スポットを得た(Rf 0.55;溶出液:塩化メチレン:メタノール(95:5)。
M.P. 197-198℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例29
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(2-フルオロ)フェニル-バリルアミノ)
-1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-(ベンジルオキシカルボニル)ロイシルバリンの代わりに、(
ベンジルオキシカルボニル)-(2-フルオロ)フェニルアラニル-バリンを使用した
以外は、実施例27に記載の手順に従って調製した。最終生成物を、分取TLCによ
り精製し、TLC分析で1スポットを得た(Rf 0.81:溶出液:塩化メチレン:メ
タノール(95:5)。M.P.148℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例30
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシル-グリシルアミノ)
-1,3,4- チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-(ベンジルオキシカルボニル)ロイシルバリンの代わりに、N-
(ベンジルオキシカルボニル)-(O-ベンジル)チロシル-グリシンを使用した以外は
、実施例27に記載の手順に従って調製した。最終生成物を、分取TLCにより精製
し、
TLC分析で1スポットを得た(Rf 0.65;溶出液:塩化メチレン:メタノール(9
5:5)。M.P.201-202℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例31 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシル-(t-ブチル)グリシルア
ミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-(ベンジルオキシカルボニル)ロイシルバリンの代わりに、(
ベンジルオキシカルボニル)-(O-ベンジル)チロシル-(t-ブチル)グリシンを使用
し、そして反応物を6日間撹拌した以外は、実施例27に記載の手順に従って調製
した。最終生成物を、分取TLCにより精製し、そしてTLC分析により1スポットを
得た(Rf 0.84;溶出液:塩化メチレン:メタノール(95:5)。M.P.146℃。
NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例32 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシル-(シクロヘキシル)グリ
シルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
この化合物を、N-(ベンジルオキシカルボニル)ロイシルバリンの代わりに、(
ベンジルオキシカルボニル)-(O-ベンジル)チロシル-(シクロヘキシル)グリシン
を使用し、そして反応物を4日間撹拌した以外は、実施例27に記載の手順に従っ
て調製した。最終生成物を、分取TLCにより精製し、TLC分析により1スポットを
得た(Rf 0.64;溶出液:塩化メチレン:メタノール(95:5)。M.P.150℃。
NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例33 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-(N',N'-ジベンジルアミノ)フェニルアラニン-
フェニルグリシルアミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
N-ベンジルオキシカルボニル-(p-N,N-ジベンジルアミノ)フェニルアラニン(0
.294グラム)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.89グラム)、および5-フェ
ニルアラニル)アミノ-1,3,4,-チアジアゾール-2-チオン塩酸塩(0.193グラム)
を、塩化メチレン(5mL)に添加し、続いて、ジシクロヘキシルカルボジイミド
(0.132グラム)を添加した。反応混合物を、24時間撹拌した。塩化メチレンを
ロータリーエバポレーターで部分的に除去し、そして残渣を酢酸エチル(100mL
)で希釈した。ジシクロヘキシル尿素を濾別し、そして濾液を、10%クエン酸(
3×20mL)、10%重炭酸ナトリウム(3×20mL)、およびブライン溶液(3×20
mL)で抽出した。酢酸エチルを硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてロータリーエバ
ポレーターでエバポレートして乾燥させた。最終生成物を分取TLCにより精製し
、そしてTLCにより1スポットを得た(Rf 0.80;溶出液:塩化メチレン:メタ
ノール(95:5)。M.P. 197-199℃。NMRスペクトル(d6-DMSO)
実施例34
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-フェニルアラニル-トリプトニル
- バリルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.47グラム)を、無水DMF(5mL)に溶解さ
せ、続いてN-ベンジルオキシカルボニル-フェニルアラニル-トリプトニル-バリ
ン(1.34グラム)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.45グラム)を添加
した。溶液を、ジシクロヘキシル尿素の沈殿が完結するまで(約1時間)室温で
保持した。5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(1.1グラム)を添加し、
そして混合物を2日間攪拌した。過剰の酢酸エチル(150mL)を添加し、そして
有機層を、5%の重炭酸ナトリウム水溶液(3×50mL)、10%のクエン酸水溶液
(3×50mL)、および水(3×50mL)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネ
シウムで乾燥し、そしてエバポレートして乾燥させた。残渣を、酢酸エチル/ペ
ンタンから再結晶し、白色固体を得た。M.P.203-206℃。NMRスペクトル(d6-DM
SO)
実施例35 5-(N- ベンジルオキシカルボニル-グリシル-チロシル-((O-ベンジル)チロシル)-
フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成 N-t- ブトキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシル-フェニルグリシル-メチルエス テルの合成
フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩(1.8g)、トリエチルアミン(1.3mL
)およびHBT(1.09g)を、CH2Cl230mLに溶解した。次いで、N-t-Boc-(O-ベンジ
ル)チロシン(3.0g)を添加し、そして溶液を室温で15分間撹拌した。次いで、
ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.83g)を添加し、そして溶液を6時間撹拌
した。過剰の塩化メチレン(250mL)を添加し、そして得られた溶液をTLC分析で
1スポットを示すようになるまで洗浄した。(Rf 0.71:溶出液、メタノール:
クロロホルム 5:95)。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして乾固
するまでエバポレートした。生成物をオフホワイトの粉末として得た。融点130
〜132。NMRスペクトル(d6-DMSO) 8.6(d,1H)、6.7〜7.6(m,16H,NH+芳香族)
、5.5(m,1H)、5(s,2H)、4.3(m,1H)、3.7(s,3H)、2.9(m,2H)、1.3(s,9H)。N-t- ブトキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシル-フェニルグリシン
2N NaOHを10mLのジオキサンに溶解し、次いで、N-t-boc-(O-ベンジル)チロシ
ル-フェニルグリシンメチルエステルを添加する。この溶液を室温で45分間撹拌
した。過剰の水(60mL)を反応混合物に添加し、そして得られた溶液を酢酸エチ
ルで洗浄した(2×30mL)水層を分離し、そしてpH3まで酸性化した。得られた
溶液を酢酸エチルで抽出し(5×50mL)、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして乾固
するまでエバポレートした。生成物をオフホワイトの粉末として得た。融点158
〜161。NMRスペクトル(d6-DMSO) 8.6(d,1H)、6.7〜7.5(m,16H,NH+芳香族)
、5.3(m,1H)、5(s,2H)、4.2(m,1H)、2.9(m,2H)、1.3(s,9H)。5-(N-t- ブトキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシル-フェニルグリシンアミノ)1, 3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(0.875g)を、窒素雰囲気下で8mL
の無水DMFに溶解した。次いで、N-t-Boc-(O-ベンジル)チロシル-フェニルグリシ
ン(1.0g)およびHBT(0.33g)を添加し、そして溶液を室温で約30分間撹拌し
た。次いで、ジクロロヘキシルカルボジイミド(0.5g)を添加し、そして反応
物を3日間撹拌した。過剰の酢酸エチルを添加(100mL)し、そして、得られた
溶液を、5%重炭酸ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液および水で、TCL分
析が1スポットを示す(Rf b0.45:溶出液;メタノール:クロロホルム 5:95)
ようになるまで数回洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そし
て乾固するまでエバポレートした。生成物を黄色残渣として得、これを塩化メチ
レン-石油から再結晶した。融点118〜120.5。NMRスペクトル(d6-DMSO) 14.l(s
,1H)、12.9(s,1H)、8.8(d,1H)、6.8〜7.8(m,19H,NH+芳香族)、5.6(m,1H)、5.
0(d,4H)、4.3(m,1H)、2.9(m,2H)、1.3(s,9H)。5-(O- ベンジル)チロシル-フェニルグリシルアミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チ オン塩酸塩の合成
4N HCl(5mL)、次いで、5-(N-t-ブトキシカルボニル-(O-ベンジル)チロシル-
フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオン(1.0g)を、5mLの
ジオキサンに溶解した。反応混合物に窒素をバブルし(15分間)、次いで、反応
物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を乾固するまでエバポレートし、生成物と
して黄色粉末を得た。NMRスペクトル(d6-DMSO) 14.1(s,1H)、12.9(s,1H)
、8.8(d,1H)、6.8〜7.8(m,19H,NH+芳香族)、5.6(m,1H)、5.0(d,4H)、4.3(m,1
H)、2.9(m,2H)。5-(N- ベンジルオキシカルボニル-グリシル-チロシル-(O-ベンジル)チロシル-フ ェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンの合成
5-((O-ベンジル)チロシル-フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チオジアゾール-2
-チオン塩酸塩(135mg)、トリエチルアミン(35μl)およびHBT(33mg)を2mL
の酢酸エチルに溶解し、次いで、N-(t-boc-グリシル-チロシン)(100mg)を添加
した。溶液を室温で15分間撹拌した。ジシクロヘキシルカルボキシルジイミド(
55mg)を反応混合物中に添加し、次いで、24時間撹拌した。過剰の酢酸エチル(
50mL)を添加し、そして得られた溶液を5%重炭酸ナトリウム水溶液、10%クエ
ン酸水溶液およびブラインで、TLC分析が1スポットを示す(Rf:0.4、溶出液;
メタノール:クロロホルム 5:95)ようになるまで洗浄した。有機層を分離し、
硫酸ナトリウムで乾燥し、そして乾固するまでエバポレートした。生成物を塩化
メチレン-石油から再結晶し、オフホワイトの粉末を得た。融点143〜154。NMRス
ペクトル(d6-DMSO) 14.1(s,1H)、12.9(s,1H)、8.8(m,1H)、8.1(m,1H)、7.8(m,
1H)、6.6〜7.6(m,25H,NH+芳香族)、5.5(m,1H)、5.0(s,4H)、4.3〜4.7(m,2H)
、3.7(s,2H)、2.8(m,4H)。
実施例36
5-(N- ベンジルオキシカルボニル-プロリル-フェニルアラニル-
((O- ベンジル)チロシル)-フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-
2- チオンの合成
5-((O-ベンジル)チロシル-フェニルグリシルアミノ)-1,3,4-チアジアゾール-2
-チオンノン(thionone)(159.4mg)、トリエチルアミン(42μl)およびHBT(
38mg)を、2mLの酢酸エチルに溶解し、次いで、N-boc-プロリル-フェニルアラニ
ン(125mg)、トリエチルアミン(42μl)およびHBT(38mg)を添加した。溶
液を、室温で15分間撹拌した。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(65mg
)を添加し、そして反応物を24時間撹拌した。過剰の酢酸エチル(50mL)を添加
し、そして得られた溶液を、5%重炭酸ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液
およびブラインで、TLC分析が1スポットを示す(Rf:0.38、溶出液;メタノー
ル:クロロホルム5:95)ようになるまで数回洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナ
トリウムで乾燥し、そして乾固するまでエバポレートした。生成物を塩化メチレ
ン−石油から再結晶し、オフホワイトの粉末を得た。融点144.7〜149.2。NMRス
ペクトル(d6-DMSO) 14.05(s,1H)、12.8(s,1H)、9(m,1H)、8(m,2H)、6.8〜7.
6(m,24H,芳香族)、5.5(m,1H)、5.0(m,4H)、4.8(m,1H)、4.5(m,1H)、4.1(m,1H)
、2.6〜3.0(m,4H)、1.4〜1.8(m,6H)。
実施例37
ストロメリシン阻害活性のアッセイ
ストロメリシンを最初にトリプシンで活性化した。これは、H-150(H-150は、
10mM CaCl2、150mM NaClおよび100mM HEPESからなる(pH7.4))中の反応混合物
(これは、最終濃度25μmg/mLのトリプシンおよび2.2μMのストロメリシン(Mer
cyら、Biochemistry,30:6472(1991);Koklitisら、Biochem.J.,376:217(1991
))を含む)の調製により行った。反応物を37℃で30分間インキュベートし、次
いで、トリプシンインヒビターアガロースをトリプシンに対して20倍過剰で反応
混合物に添加することによってクエンチした。
反応混合物を、Eppendorf Centrifuge 5415Cを用いて、14,000rpm(16,000×
g)で30分間遠心分離した。上清(これは、活性化されたストロメリシンを含む
)を、Centricon 10を用いて濃縮した(5000g、1時間)。サンプルを、Bradford
全タンパク質アッセイおよび12% SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分
析した。
ストロメリシン阻害アッセイの全工程は、室温で行った。アッセイ溶液を、試
験された各インヒビターに対して調製した。活性化されたストロメリシンを、撹
拌コーベルト(covelte)に、H-150緩衝液(2mL)中2nMの最終濃度になるまで添
加した。5mMクマリンペプチドの4μLをDMSO中に溶解し、そして加水分解の初
速度を、100〜200秒間測定した。
基質加水分解を、10:10のスリット幅、328nmでの励起および393nmでの発光を
用いる蛍光によって評価した。Kiを、単純な競合的阻害の仮定および基質濃がKm
に比べて十分低いという仮定に基づいて計算した。これらのアッセイの結果を表
IにIC50として列挙する。DMSO中の10mMインヒビターの2μLを添加し、そして
加水分解速度の減少を測定した。2μLの阻害剤の添加を、30〜70%の阻害が得
られるまで続けた。
実施例38
ヒト好中球コラゲナーゼ阻害活性のアッセイ
H-150緩衝液(pH7.4)を、蒸留され脱イオン化された水に、CaCl2・H2O(1.47
g)、NaCl(8.77g)およびN-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N'-[2-エタン
スルホン酸](23.83g)を添加し、次いで、溶液の最終容積を1リットルにする
ことによって調製した。
最終容積2.0mLの反応混合物を、H-150緩衝液、ヒト好中球コラゲナーゼ(Schn
iererら、Biochem.Biophys.Res.Comm.,191:319(1993);Knightら、Federati
on of Europena Biochemical Societies,296:263(1992))(2mM)から調製した
。クマリンペプチド基質(ジメチルスルホキシド中5mMの4μL)を反応混合物
中に添加した。加水分解速度を、約100〜200秒間、Hitachi F-2000 Fluorescenc
e Spectrophotometerを用いて、励起328nmおよび発光329nmでの反応の蛍光を測
定することにより決定した。
10mMインヒビターストック溶液(ジメチルスルホキシド中)の2μLを添加し
、加水分解速度の減少を決定した。さらに2μLのインヒビターストック溶液の
アリコートを、30〜70%の阻害が観察されるまで添加した。Kiを、単純な競合的
阻害の仮定および基質濃度がKmに比べてかなり低いという仮定に基づいて計算し
た。その結果を表IIに示す。
実施例39
72KD ゼラチナーゼ阻害活性のアッセイ
H-150緩衝液(pH7.4)を、蒸留され脱イオン化された水に、CaCl2・H2O(1.47
g)、NaCl(8.77g)およびN-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N'-[2-エタン
スルホン酸](23.83g)を添加し、次いで、溶液の最終容積を1リットルにする
ことによって調製した。最終容積250μLの反応混合物を、H-150緩衝液、40μgの
Pro-72KDゼラチナーゼ(Stronginら、J.Biol.Chem.,268:14033(1993);Goldb
ergら、J.Biol.Chem.,267:4583(1992);Kleinerら、Biochemistry 32:1583(1
993))およびp-アミノフェニル酢酸水銀(II)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,
MO)(1mM)を用いて調製した。次いで、反応混合物を25℃で3時間インキュベ
ートした。
反応混合物をNAP-5カラム(G-25 SEPHADEXTM,Pharmacia)にかけた。92KDゼ
ラチナーゼを含む画分を、12% SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて同
定し、遠心分離(5000g,15分間)により約100〜200μLにまで濃縮した。
H-150緩衝液(2.0mL)、72KDゼラチナーゼ(180pM)およびエチルフェノール
ポリ(エチレングリコールエーテル)n(Boerhringer Mannheim)(1.3μM)を含
む溶液を、撹拌キュベット中に調製した。クマリンペプチド基質(ジメチルスル
ホキシド中1mM溶液の2μL)を反応混合物中に添加した。加水分解速度を、約1
00〜200秒間、Hitachi F-2000 Fluorescence Spectrophotometerを用いて、励起
328nmおよび発光329nmでの反応の蛍光を測定することにより決定した。
10mMインヒビターストック溶液(ジメチルスルホキシド中)の2μLを添加し
、加水分解速度の減少を決定した。2μLのインヒビターストック溶液のアリコ
ートを、さらに30〜70%の阻害が観察されるまで添加した。Kiを、単純な競合的
阻害の仮定および基質濃度がKmに比べてかなり低いという仮定に基づいて計算し
た。その結果を表IIIに示す。
実施例40
92KD ゼラチナーゼ阻害活性のアッセイ
H-150緩衝液(pH7.4)を、蒸留され脱イオン化された水に、CaCl2・H2O(1.47
g)、NaCl(8.77g)およびN-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N'-[2-エタン
スルホン酸](23.83g)を添加し、次いで、溶液の最終容積を1リットルにする
ことによって調製した。最終容積500μLの反応混合物を、H-150緩衝液、200μg
のPro-92KDゼラチナーゼ(Stronginら、J.Biol.Chem.,268:14033(1993);Gol
dbergら、J.Biol.Chem.,267:4583(1992);Okadaら、J.Biol.Chem.,267:21
712(1992)、p-アミノフェニル酢酸水銀(II)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,
MO)(1mM)およびBrij(ドデキシルポリ(オキシエチレングリコールエーテル))
(0.008%w/v)を用いて調製した。次いで、反応混合物を37℃で24時間インキュ
ベートした。
反応混合物をNAP-5カラム(G-25 SEPHADEXTM,Pharmacia)にかけた。92KDゼ
ラチナーゼを含む画分を、12% ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて同定し
、そして遠心分離(5000g,1時間)により約100〜200μLにまで濃縮した。
H-150緩衝液(2.0mL)、92KDゼラチナーゼ(25pM)およびエチルフェノールポ
リ(エチレングリコールエーテル)n(Boerhringer Mannheim)(4.0μM)を含む
溶液を、撹拌キュベット中に調製した。クマリンペプチド基質(ジメチルスルホ
キシド中5mM溶液の4μL)を反応混合物中に添加した。加水分解速度を、約100
〜200秒間、Hitachi F-2000 Fluorescence Spectrophotometerを用いて、励起32
8nmおよび発光329nmでの反応の蛍光を測定することにより決定した。
10mMインヒビターストック溶液(ジメチルスルホキシド中)の2μLを添加し
、加水分解速度の減少を決定した。2μLのインヒビターストック溶液のアリコ
ートを、さらに30〜70%の阻害が観察されるまで添加した。Kiを、単純な競合的
阻害の仮定および基質濃度がKmに比べてかなり低いという仮定に基づいて計算し
た。その結果を表IVに示す。
実施例41
アミノ酸アミド5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンによる、
ウシ軟骨移植片アッセイにおける軟骨分解の阻害
組織培養アッセイを用いて、本発明の化合物が、メタロプロテイナーゼによる
細胞外基質の分解を遅延する能力を測定した。このアッセイは、標識されたウシ
軟骨移植片から放出される35S-グリコサミノグリカン(35S-GAG)の量を測定し
た。
週齢1〜3週間の子ウシ由来の膝関節を、屠殺後、処理場から直ちに得、次い
で氷上に移した。インタクトな関節を水道水(tap water)で十分洗浄し、そし
て50%(v/v)ポビドンヨード溶液(Burre national,inc.,Baltimore,MDより
得た)に浸漬した。それに続く全ての工程は、層流組織培養物フード中で標準的
な無菌技術を用いて行った。関節を、シャンクホルダー中に固定化し、そして関
節嚢を切開し、関節軟骨をむき出しにした。関節移植片プラグ(含水重量約15mg
)を、無菌のスチール製コルク抜きを用い、膝関節の最低の領域における平坦な
関節表面から取り出し、そして4.5g/lの(D)-グルコースおよび(L)-グルタミンを
含み、ピルビン酸ナトリウムを含有しない約100mLの新鮮なDelbecco最小必須培
地(DMEM)(Gibco BRC,Life Technologies,Gaithersburg,MDより得た)を含
む250mLローラーボトル中に集めた。この新鮮な培地はまた、pHが約7.4であるの
に十分なHepes緩衝液および重炭酸ナトリウムを含有した。次いで、この培地を
、使用の直前に、培地1mL当たり、100単位のペニシリン、100μgのストレプト
マイシンおよび50μgの(L)-アスコルビン酸をさらに補充した。
一旦集められたら、外植片プラグを50mLの新鮮なDMEMで4回洗浄した。次いで
、このプラグを、各プラグの関節表面からディスクを作製を行う前に、最低1時
間インキュベーターに置いて平衡化させた。厚さ1mmのディスクを、関節の関節
表面である末端由来のそれぞれのプラグからスライスした。プラグを、無菌のテ
ンプレート(直径4mm×深さ1.5mm)に無菌の鉗子でしっかりと固定した。この
ディスクを、メスを用いて注意深くスライスした。表面層の関節表面のみが、培
養物中で十分に反応した。
得られたそれぞれのディスクを、約100mLの新鮮な培地を含む組織培養フラス
コ中に移した。このフラスコを37℃でインキュベーター(5% CO2、95%空気を含
有する)に配置し、一晩、そして標識化の前に少なくともさらに1日平衡化させ
た。標識の準備ができたら、古い培地を、約500μCiの35S-硫酸ナトリウムを含
有する新鮮な培地(50mL)で置き換えた。プラグを、バルクで約48時間標識化し
た。翌朝、「熱い」培地を取り除いて、新鮮な「冷たい」培地で置き換えた。デ
ィスクを、実際の実験の前に一晩再度平衡化させた。
ディスクが保存されている培地を、アッセイを行う直前に交換した。次いで、
試験培地および2つのコントロール培地が調製されるまで、インキュベーターに
戻した。試験培地は、新鮮なDMEM培地中において、所望の濃度の、細胞外マトリ
ックス分解を阻害しその能力を試験する化合物、ならびに組換えヒトインターロ
イキン(rhIL-1α)(5ng/mL)からなる。コントロール培地は、第1のコントロ
ール培地がrhIL-1αを含まないことおよび第2のコントロール培地が試験化合物
を含まないこと以外は、試験培地と同じである。試験培地およびコントロール培
地のそれぞれ250μLを、別々に96-ウェルTCプレートに移した。炎であぶった鉗
子を用いて、ディスクをインキュベーターから各96-ウェルTCプレート(これは
、試験培地または2つのコントロール培地のうちの一方で満たされている)に移
した。
次いで、このTCプレートをインキュベーター中に置き、そして3〜4日間(rh
IL-1αアルファを用いた最初のインキュベーションを少なくとも3日行い、内因
性のメタロプロテイナーゼを刺激する)培養した。各TCプレート由来の培地のア
リコート(50μL)を保存し、カウントした。残りの培地を吸引装置を用いて取
り除いた。
また、各TCプレート由来の関節ディスクもカウントのために保存した。鉗子で
ディスクを取り除き、微量遠心分離チューブに入れ、次いで、250μLの完全な強
度(full strength)のギ酸に溶解した。チューブに栓をし、そして65〜75℃の
ブロックヒーター中に4〜6時間置いた。次いで、50μlのアリコートをカウン
トした。
35S-GAG放出のパーセントを以下のように計算した:
%35S-GAG放出 = {(cpm培地)/(cpm培地+cpm外植片)}×100%
関節外植片における細胞外基質の損傷の阻害パーセントは、以下のように計算
した:
ここで、
Aは、rhIL-1αにより誘発される、%GAG放出であり;
Bは、rhIL-1αの非存在下での、%GAG放出であり;そして
Cは、rhIL-1αおよび試験された化合物の存在下での、%GAG放出である。
5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオンのアミノ酸アミドのパーセント阻害
およびこれらの試験された濃度を以下の表Vに示す。
等価物
当業者は、本明細書中に記載される本発明の特定の実施態様に対する多くの等
価物を知るか、またはルーティンな実験のみを使用して確認し得る。これらの等
価物および他の全ての等価物は、以下のクレームに包含されることを意図する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07D 417/12 333 C07D 417/12 333
C07K 5/062 C07K 5/062
5/065 5/065
5/072 5/072
5/078 5/078
5/087 5/087
5/09 5/09
5/097 5/097
5/103 5/103
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK
,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,
MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R
U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR
,TT,UA,UG,US,UZ,VN