JPH11506051A - 難水溶性物質の好気性生分解方法及び微生物菌株 ihi−91 - Google Patents

難水溶性物質の好気性生分解方法及び微生物菌株 ihi−91

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JPH11506051A
JPH11506051A JP9532186A JP53218697A JPH11506051A JP H11506051 A JPH11506051 A JP H11506051A JP 9532186 A JP9532186 A JP 9532186A JP 53218697 A JP53218697 A JP 53218697A JP H11506051 A JPH11506051 A JP H11506051A
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メルクル ヘルベルト
アントラニキアン ガラベート
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、水性媒体中で難水溶性物質を好気性生分解する方法並びに新規の微生物に関する。本発明による方法は、水性媒体の温度を45℃以上の値に調整することにより、分解すべき物質のバイオアベイラビリティを向上させ、かつ、難水溶性物質の分解のために、好気性生長する好熱性微生物の培養を使用することを特徴とする。この方法及び新規の微生物を用いると、特に脂肪及び脂肪様化合物を良好に分解することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 難水溶性物質の好気性生分解方法及び微生物菌株 IHI−91 本発明は、水性媒体中での難水溶性物質の好気性生分解方法及び新規の微生物 に関する。 好気性生分解方法は、周知である。例えば、廃水浄化において好気性条件下で 種々の物質の生分解が行われ、この場合大抵の可溶性物質は良好に転化される。 しかしながら、難水溶性物質の場合には、それらを生分解するためには、微生物 、例えばバクテリアにより吸収させかつ転換可能にする前に、まず水相に変換し なければならないという問題が生じる。 分解すべき物質の溶解性を改良するためには、物質の分解性を可能にする溶剤 を使用することができる。溶剤としては、しばしば、場合によっては環境を著し く汚染する有機化合物が使用される。その限りにおいて、溶剤も同様に、毒性残 滓を残留せずかつ全体的汚染を上昇させることなく、分解可能であるべきである 。 従って、本発明の課題は、溶剤の使用を回避し、かつ難水溶性物質の分解が可 能である、環境を汚染せず同時にしかも効果的な生物学的方法を提供することで ある。 前記課題は、本発明により、水性媒体の温度を45℃以上の値に調整すること により、分解すべき物質のバイオアベイラビリティ(Bioavailability)を向上 させ、かつ、難水溶性物質の分解のために、好気性生長する好熱性微生物の培養 を使用することにより解決される。 本発明は、温度の上昇に伴い分解すべき物質のバイオアベイラビリティが向上 するだけでなく、同時にまた酸素転移係数も高まるという意想外の認識を基礎と する。この認識は当業者には従来認められなかった。むしろ常に、高温では、酸 素溶解度が著しく減少するために、好気性条件下で有効な生分解は行うことがで きないということから出発していた。図1が示すように、酸素溶解度の低下は酸 素転移係数により補償される。その限りにおいて、高温でも好熱性微生物を使用 しかつ該微生物に、それらが好気性生長することができるように、酸素を供給す ることができる。この場合、通気は通常の方法で空気又は純粋酸素を用いて行う ことができる。 本方法の特別の実施態様によれば、温度を60℃以上の値に高める。この温度 範囲で、特に難水溶性物質の分解のために使用することができる好熱性微生物は 生長する。同様に、新規の菌株IHI−91は65℃の周辺に至適温度を有する 。使用される培養のその都度の至適温度に基づき、本方法は例えばより高い温度 で実施することもできる。 本発明による方法は、特に難水溶性脂肪及び脂肪様化合物の分解のために使用 することができる。これらの化合物は、酵素的にリパーゼを用いて分解可能であ る全ての物質を包含する。もっとも、本発明による方法はこれらの化合物に制限 されるものではなく、原則的に、その溶解度が温度が上昇するに伴い増大しかつ 好熱性微生物により好気性で分解可能である全ての難水溶性物質、例えばまた芳 香族炭化水素及び特に多環式芳香族炭化水素のために使用することができる。 以下の表は、好気性の好熱性微生物のための幅広い培養基スペクトルからの1 つの選択を示す。これらの物質は、本発明による方法を使用することにより問題 なく分解することができる。 本発明による方法は特定の微生物の使用には制限されないが、新規の菌株IH I−91[微生物及び細胞培養体のDSMZ‐ドイツ保存機関(DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,D-38124 Brunschweig )において、番号DSM10561で寄託した)]が有利であることが立証され た。この菌株は特にそのリパーゼ活性度で優れている。培養基としてオリーブ油 を用いた該菌株の連続的培養において、反応動力学的データKs及びμmaxを調査 した。オリーブ油に関するKs値は0.88g/lである。最大成長率μmaxは0 .94h-1であると計算された。図2は、この菌株のオリーブ油での連続的発酵 の結果を示す。細胞密度及びリパーゼ活性度が希釈率の関数としてプロットされ ている。 菌株IHI−91の特殊な酵素活性に基づき、培養の上澄み又は適当な細胞砕 解から酵素組成物を収得しかつこれを難水溶性物質の分解のために使用すること が可能である。 次に本発明による方法を選択した実験例により説明する。 例 この実験において、工業で生成する羊毛洗浄水を本発明による方法により処理 した。羊毛洗浄水は強度に油脂を含有する廃水であって、工業的プロセスで温度 範囲50〜60℃で生成する。この廃水を2リットル の実験室用発酵器に充填しかつ65℃に加熱した。引き続き、新規の菌株IHI −91を細胞密度109細胞/mlのまで接種した。図3は、相応する実験装置 構造を示す。約24時間の初期バッチ段階後に、20時間の滞在時間の連続的運 転に移行させた。6日間の運転中に、個体含量(TS)、TOC含量(Total Or ganic Carbon)、リパーゼ活性度、pH値、酸素消費量及び細胞密度を調査した 。既に短時間後に、微生物密度約1010細胞/ml、細胞乾燥物質約6g/lに 相当、を有する安定なバイオマスが確認された。連続的運転中に、TOC減少率 は一定の50%であることが測定され、その際酸素消費量約O21g/l・hが 生じた。同時に、上に分離析出する固相の明白な減少が観察された。全実験時間 帯に亙り、好熱性リパーゼの高い活性度を確認することができ、このことが脂質 加水分解の原因になっている。 菌株特徴化(IHI−91): 新規の微生物菌株IHI−91(DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganism en und Zellkulturen GmbH,D38124 Brunschweigにおいて、番号DSM1056 1で寄託した)は、以下のように特徴付けることができる: 16SrDNAの部分的配列は、この菌株のバチルス(Bacillus)属の第5グ ループに対する明白な相関性を示した(Ash et al.,Letters in Appl.Microbio l.13 ,202-206,1991)。種バチルス カウストフィルス(Bacillus kaustophilus )、バチルス テルモレオボランス(Bacillus thermoleovorans)、バチルス カルドテナックス(Bacillus caldotenax)及びバチルス カルドリチクス(Bac illus caldolyticus)に対する99.8%の類似性が確認された。 生理学的特徴に基づき、微生物菌株IHI−91は種バチルス テルモレオボ ランスに最も類似している。この相関性は、82.5%の値を有するDNA/D NAハイブリダイゼーションにより確認することができた。 菌株IHI−91の特性: 細胞形 桿状 幅 μm 0.7〜0.8 長さμm 2.5〜5.0 胞子 楕円体 + 円形 − 膨脹 d カタラーゼ + 嫌気性生長 − VP反応 k.W. 至適温度 生長 65℃で陽性 生長 45℃未満で陰性 酸の組成 D−グルコース + L−アラビノース + D−キシロース − D−マンニット + D−フルクトース + グルコースからのガス − レシチナーゼ k.W. 以下の物質の加水分解 澱粉 + ゼラチン + カゼイン + ツイーン80 + エスクリン(Aeskulin) − 使用物質 コウサー(Koser)に基づく シトレート + プロピオネート + チロシンの分解 − NO3 -からNO2 - + インドール − フェニルアラニンデスアミナーゼ アルギニンジヒドロラーゼ − ウレアーゼ + 短縮用語 k.W. 生長せず d 多種多様 脂肪酸プロフィール: バチルス属に対して特徴的脂肪酸を、確認することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ガラベート アントラニキアン ドイツ連邦共和国 D−21218 ゼーフェ タール ナルツィッセン ヴェーク 51 (72)発明者 ペーター ベッカー ドイツ連邦共和国 D−20255 ハンブル ク プレトリウスヴェーク 3 (72)発明者 サムソン マルコシアン ドイツ連邦共和国 D−21075 ハンブル ク グローセ シュトラーセ 77

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.水性媒体中で難水溶性物質を好気性生分解する方法において、水性媒体の 温度を45℃以上の値に調整することにより、分解すべき物質のバイオアベイラ ビリティを向上させ、かつ難水溶性物質の分解のために、好気性生長する好熱性 微生物の培養を使用することを特徴とする、水性媒体中での難水溶性物質の好気 性生分解方法。 2.温度を60℃以上の値に高める、請求項1記載の方法。 3.難水溶性物質として脂肪及び脂肪様化合物を使用する、請求項1又は2記 載の方法。 4.難水溶性として芳香族炭化水素、特に多環式芳香族炭化水素を使用する、 請求項1又は2記載の方法。 5.菌株IHI−91の好熱性微生物(微生物及び細胞培養体のDSMZドイ ツ保存機関で、番号DSM10561で寄託)を使用する、請求項1から3まで のいずれか1項記載の方法。 6.微生物菌株IHI−91(微生物及び細胞培養体のDSMZドイツ集合機 関で、香号DSM10561で寄託)。 7.難水溶性物質の生分解のための、請求項6記載の微生物から得られる酵素 組成物。 8.酵素組成物がリパーゼ活性を有する、請求項7記載の酵素組成物。
JP9532186A 1996-03-12 1997-03-11 難水溶性物質の好気性生分解方法及び微生物菌株 ihi−91 Pending JPH11506051A (ja)

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