JPH11501008A - 改変−アフィニティーストレプトアビジン - Google Patents

改変−アフィニティーストレプトアビジン

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JPH11501008A JP8524423A JP52442396A JPH11501008A JP H11501008 A JPH11501008 A JP H11501008A JP 8524423 A JP8524423 A JP 8524423A JP 52442396 A JP52442396 A JP 52442396A JP H11501008 A JPH11501008 A JP H11501008A
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Abstract

(57)【要約】 ストレプトアビジン四量体は、ビオチンに対する結合アフィニティーの減少、改変されたオフレート、改変されたオンレート、または改変された結合エンタルピーを生じるアミノ酸改変を含む少なくとも1つの単量体を有する。改変された単量体をコードするポリヌクレオチドがまた提供される。改変されたストレプトアビジンおよびキメラストレプトアビジンは、バイオセパレーションおよび細胞選別、イメージング、薬物送達、および診断の方法において有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 改変−アフィニティーストレプトアビジン 政府援助 本明細書中に記載の本発明の特定の実施態様は、国立科学基金(National Scie nce Foundation)により援助された研究の過程で行われた。従って、米国政府は 本発明において所定の権利を有する。 発明の背景 Streptomyces avidiniiにより産生されるタンパク質、ストレプトアビジンは 、水溶性ビタミンのビオチンと非常に強力かつ特異的な非共有結合の複合体を形 成する。ストレプトアビジンは、リガンドとタンパク質との間の非共有結合的相 互作用に関して最も高いことが示されたアフィニティーで、1013M-1〜1015M-1の 範囲であることが見積もられた会合定数(Ka)で、ビオチンに結合する四量体のタ ンパク質である。この結合アフィニティーは、通常の生理学的溶液条件下で、本 質的に不可逆的であるのに十分強力であり、そして広範の様々な臨床的および産 業的応用において、ストレプトアビジンおよびビオチンの有用性の基礎を提供す る。Green、Adv .Prot.Chem. 29:85-143(1975)を参照のこと。 ストレプトアビジンおよびその相同性タンパク質のアビジンの両方(ビオチン に対する高いアフィニティーを共有する)は、強力なリガンド-タンパク質相互作 用の範例として研究されてきた。ストレプトアビジンおよびアビジンのX線結晶 構造(それらのアポおよびホロ形態の両方において)が記載された。また、いくつ かのストレプトアビジン融合タンパク質の構築が報告されているように、その両 方の配列が報告されている(SanoおよびCantor、Biochem .Biophys.Res.Commun . 176:571-577(1991);米国特許第4,839,293号)。しかし、通常高アフィニティ ーの構造-機能の起源はまだ解明されていない。 ストレプトアビジン分子は、タンパク質-リガンド結合相互作用のために同定 されたいくつかの共通認識モチーフを示す。これらは、トリプトファン残基の芳 香族側鎖により大部分が媒介されるファンデルワールス力、ドナー/アクセプタ ー側鎖により媒介される水素結合ネットワーク、そしてリガンド結合に際して表 面のポリペプチドループの整列により媒介される無秩序-秩序転移を含む。 MiyamotoおよびKollmanは、リガンドとタンパク質との間の疎水力/ファンデル ワールス力の重要性を強調するコンピューターによる研究を報告した。Miyamoto およびKollman,Proteins 16:226-245(1993)およびProc .Natl.Acad.Sci.USA 90:8402-8406(1993)。これらの研究は、疎水性相互作用/ファンデルワールス相 互作用が、結合の絶対自由エネルギーに18 kcal/mol寄与し、一方静電エネル ギー項(水素結合相互作用を含む)はわずか3 kcal/mol寄与するに過ぎないこ とを示唆する。 極端に高い結合アフィニティーに加えて、ストレプトアビジンの有用性はまた そのタンパク質の独特な構造的特性から生じる。ストレプトアビジンは、4つの 同一サブユニットの四量体であり、各サブユニットはビオチンに対する結合部位 に寄与する。その四量体は、近似の2回対称(two-fold symmetry)を有している ため、その結合部位はその分子の反対側に対になって配置されており、それはタ ンパク質を効率的な分子アダプターにしている。この構造的特徴は、ビオチンに 対するストレプトアビジンの高アフィニティーとともに、このタンパク質を多く の技術において重要な成分にしている。 ストレプトアビジン四量体は、ほとんど理想的な222点群対称を示す一方、そ の四量体内には2つの明確なタンパク質-タンパク質接触面がある。Hendrickson ら、Proc .Natl.Acad.Sci.USA 86:2190-2194(1989);Weberら、Science 243: 85-88(1989)。第1の接触面は、2回対称軸により結び付けられる2つの単量体 との間に位置し、そしてそれは相補的屈曲とともにβ-バレル表面の広範囲にわ たる重なりにより限定される。この接触面は、いくらかのファンデルワールス力 、水素結合、および塩橋相互作用により特徴付けられる。この接触面でのサブユ ニットの近接会合は、2回対称軸により関係付けられるビオチン結合部位を有す るストレプトアビジン2量体を規定する。第2の四量体接触面は、これらの近接 に会合した2量体の対の間の表面を規定する(ストレプトアビジンは「二量体の 二 量体」としてうまく記載される)。二量体/二量体接触面は、単量体のC-末端β- ストランド8により主として媒介される最小結合相互作用を有する非常に緩い「 ウエストライン」により特徴付けられる。従って、その二量体接触面は構造的に 広範囲にわたる一方、その二量体/二量体接触面は構造的には最小である。二量 体/二量体接触面における強力な結合相互作用の明らかな欠如にもかかわらず、 ストレプトアビジン四量体は、ビオチン-フリーおよびビオチン-結合状態におい て非常に安定である。その四量体は、6M尿素または6M塩酸グアニジンのいず れにおいても、より小さいサブユニットに解離しない。Kurzbanら、J .Biol.Ch em. 266:14470-14477(1991)。 ストレプトアビジンおよびアビジンは、4つの技術領域において、大きな意義 のある鍵となる構成要素である:1)バイオセパレーション/細胞選別;2)イメ ージング;3)薬物送達;および4)診断(WilchekおよびBayer、Meths .Enzymol. 184:5-45(1990))。分離領域においては、これらのタンパク質は重要な細胞選別 応用において幅広く用いられてきており、ここで例えば、それらは骨髄移植に先 立ち造血幹細胞から混入している細胞を除去するために用いられる。Berensonら 、Prog .Clin.Biol.Res. 377:449-459(1992)。彼らはガンの診断において同様 な幅広い用途を見出し、ここでそれらは、種々の腫瘍の特異的なバイオマーカー の存在を試験するために研究および臨床の両方の場で広く用いられる。 ストレプトアビジン/アビジンおよびビオチンのイメージングおよび薬物送達 応用は、イメージング剤または治療薬の腫瘍細胞への同時の標的化および送達に 対する能力から生じる。インビボにおけるイメージング剤および治療薬の標的化 送達に対するストレプトアビジン/アビジンの使用において特に重要な関心が現 れる。ストレプトアビジン/アビジンは、インビトロおよびインビボの両方にお いて、標的化細胞への薬物、毒素、およびイメージング剤の送達に用いられてい る。例えば、Meyerら、Exp. Hematol. 19:710-713(1991)を参照のこと。これら の系において、ストレプトアビジンは、標的化成分として働く抗体、およびビオ チニル化治療薬剤またはイメージング剤との間で分子アダプターの重要な役割を 果たす。いくつかのストラテジーに関して、細胞は抗体-ストレプトアビジンコ ンジュゲートで予め標的化され、その後ビオチニル化薬剤が送律される。他の応 用においては、初めにビオチニル化抗体が細胞を予め標的化するために用いられ 、その後ストレプトアビジン/ビオチニル化薬剤コンジュゲートが送達される。 ビオチニル化抗体、続くストレプトアビジン、次いでビオチニル化薬剤を用いる 3段階送達がまた可能である。 ストレプトアビジンおよびアビジンは非常に有用な分子である一方、それらは 重要な制限(例えば、極めて高アフィニティーの結合部位を有する4つの同一サ ブユニットの非可変性)を有する。さらに、もしサブユニットの縮重が取り除か れてもその四量体内のサブユニットの分布を制御することは、不可能であった( 例えば、異なるアフィニティーを有するサブユニット、異なるイメージング剤で 標識されたサブユニット、異なる薬物で標識されたサブユニット)。 当該分野で必要とされることは、個々のサブユニットの機能的特性、および四 量体内の幾何学的配置を仕立てる能力である。これは、重要なストレプトアビジ ンの構造-機能相関を操作することにより達成され得る。ビオチンおよびその誘 導体に対するアフィニティーならびにオフおよびオンレートの範囲にわたるスト レプトアビジン変異体のライブラリーは、既に幅広く用いられている系に関して 現在の生物工学的応用を改善し、そしてその重要な新しい用途を開く。同様に、 サブユニット成分およびジオメトリーを正確に規定する技能は、現在の用途を顕 著に改善し、そして細胞分離、イメージング、治療薬、および様々な他の技術に 関する新しい手段を提供する。大変驚いたことに、本発明はこれらのおよび他の 関連した要求を満たす。 発明の要旨 本発明は、四量体の少なくとも1つの単量体が、ビオチンに対する結合アフィ ニティーの減少、オフレート(off-rate)の改変、オンレート(on-rate)の改変、 および/または結合エンタルピーの改変を生じるアミノ酸改変を有する、ストレ プトアビジン四量体を提供する。ビオチンに対する四量体の得られた結合アフィ ニティーは、約1×1013-1未満である。代表的には、ストレプトアビジン四量 体の少なくとも1つの単量体は、ビオチンに対する結合アフィニティーの減少を もたらすアミノ酸改変を有し(ときには少なくとも2つまたは3つの単量体)、そ していくつかの実施態様においては、その4量体を含む4つの単量体の全てが、 ビオチンに対する結合アフィニティーの減少をもたらすアミノ酸改変を有する。 好ましい実施態様において、アミノ酸改変は、アミノ酸79位、92位、108位、ま たは120位におけるトリプトファン残基のような、ビオチン結合部位におけるト リプトファン残基の置換である。前記のアミノ酸位の少なくとも2つのトリプト ファン残基が、置換または欠失され得る。便利なことに、トリプトファン以外の あらゆるアミノ酸が結合アフィニティーを低下させ、そしてより速いオフレート をもたらし;トリプトファン残基に対する置換は、本明細書中に記載の例示の実 施例に記載したビオチン結合部位においては、フェニルアラニンまたはアラニン が好ましい。 本発明はまた、ビオチンに対するストレプトアビジンの結合アフィニティーの 減少をもたらすアミノ酸改変を有するストレプトアビジンをコードする単離され たポリヌクレオチド分子を提供する。代表的な実施態様において、ポリヌクレオ チド分子は、アミノ酸79位、92位、108位、または120位のトリプトファン残基の ようなビオチン結合部位におけるトリプトファン残基のアミノ酸置換または欠失 を、例えば、フェニルアラニンもしくはアラニンまたは他のアミノ酸残基に置換 することによりコードする。単離されたポリヌクレオチド分子は、少なくとも1 つ、ときには2つまたはそれ以上の前記アミノ酸位の置換をコードし得る。 他の局面において、本発明は、その特徴がアフィニティーには影響を与えるが ビオチンに対する特異性には影響を与えない、天然のストレプトアビジン単量体 サブユニット中には見出されない特徴を有する少なくとも1つのその単量体を有 するストレプトアビジン四量体を生産するための方法を提供する。本方法は、そ の特徴を有する改変したストレプトアビジン四量体を生産する工程、改変したス トレプトアビジンを単量体および/または二量体サブユニットに、例えばグアニ ジウムチオシアネートにより分離する工程、リフォールディングする工程;およ びストレプトアビジンの単量体および/または二量体サブユニットを、その特徴 を有しないストレプトアビジンの単量体または二量体と混合する工程、それによ り前記特徴を有するその少なくとも1つの単量体を有するストレプトアビジン四 量体を生産する工程を包含する。この方法はまた、全てではないが少なくとも1 つの単量体が、標識、薬物、毒素、標的化分子、金属、またはビオチンへのスト レプトアビジンの結合アフィニティーの減少をもたらすアミノ酸改変を含む場合 キメラ四量体を組み立てるために用いられ得る。例えば、ストレプトアビジン単 量体は、二量体/二量体接触面に位置するそのアミノ酸配列に少なくとも1つの 変異を含み得、例えば、ジスルフィド結合が、特異のサブユニットを接続させる ため、および解離した種の化学量論を規定するために操作され得る。 図面の簡単な説明 図1は、グアニジンチオシアネートで誘導した解離後に、CPI-およびFITC-標 識WTストレプトアビジンの蛍光共鳴エネルギー移動を用いることにより、キメラ 四量体を形成するために、サブユニットと異なる標識との混合を示す。実線は、 pH8.6におけるCPI-およびFITC-標識したWTストレプトアビジン四量体を混合した 後の発光スペクトル(ex=385nm)である。点線は、蛍光エネルギーアクセプターの 発光スペクトルにおける対応する増加(FITC)とともに、ドナーの発光スペクトル (CPI)における減少を示す。充填された線(変性/再生を受けていない、同様に混 合したCPI-およびFITC-標識WTストレプトアビジンの発光スペクトル)は、その2 成分の個々のスペクトルの合計である。トリプトファン発光強度およびマスのス ペクトル中心がグアニジン変性の後回復された。蛍光スペクトルは、混合四量体 の透析から生じる希釈効果を校正するため、そのトリプトファン発光の組み込ま れた強度に対して標準化される。 図2Aおよび2Bは、WTストレプトアビジン、W79A、およびW79Fの、pH10.0でのビ オチン/BSA(図2A)、pH10.0での2-イミノビオチン/ビオチン(図2B)へのELISAの濃 度依存的な結合を示す。μg/mlでのタンパク質濃度(四量体)は、横座標にプロッ トし、一方405nmにおける吸収により示したアルカリホスファターゼ活性は縦座 標にプロットした。 図3Aは、pH 8.0およびpH10.0におけるWTストレプトアビジン結合およびTrp変 異体のイミノビオチンへの平均EC50値を示す。各変異体およびそのアッセイpHは 横座標に示され、そしてμg ml-1での平均EC50は、対数y-スケールにプロット される。WxA上のアスタリスク(*)は、報告されたEC50がより結合がより低いこと を示す(Trp->Ala変異体のフラットな結合等温式から見積もられた(本質的に)) 。 図3Bは、絶対EC50の特性値に対する4-パラメーターフィッティング関数から計算 されたELISA結合等温式を示す。各EC50に対応するイミノビオチン-タンパク質の 見積りKaがまた示される。 図4Aおよび図4Bは、298Kでのストレプトアビジン-ビオチン解離速度を示す。 ここで図4Aは、WTストレプトアビジン(黒丸)、W79F(白三角)、およびW108F(白四 角)であり;そして図4Bは、W120F(白丸)である。 図5AはW120Aの、図5BはWTストレプトアビジンの、ビオチンカラムへの結合お よび2mMビオチンでのその後の溶出を示す。 図6Aおよび図6Bは、キメラストレプトアビジン四量体の精製を示す:図6Aは2 -イミノビオチンアフィニティークロマトグラフィーである;タンパク質はpH11 の結合緩衝液で平衡化されたイミノビオチンカラムに結合され、結合緩衝液で洗 浄され、pH4の緩衝液で溶出された;図6Bはビオチンアフィニティークロマトグ ラフィーである:図6A由来の結合したタンパク質がビオチンとインキュベートさ れ、そして特異的にビオチンとともにWTサブユニットでブロックするために完全 に限外濾過されそしてビオチンカラムに通された;PBS内のビオチンカラムに結 合されたタンパク質がPBS内の2mMビオチンで溶出された。 図7Aは、二量体/二量体接触面を横切る解離、それに続く異種二量体の四量体 再会合の概略図である。クロスハッチングは、非同一組成(例えば、変異結合部 位、異なる蛍光標識、結合した薬物など)を有する四量体を示す。図7Bは、二量 体および単量体の中間体種が存在するように、二量体/二量体および単量体/単量 体接触面の両方を横切る解離の概略図を示す。引き続く会合は、キメラ四量体種 の集合をもたらす。 特定の実施態様の説明 本発明は、ストレプトアビジン四量体が、異種であるが限定されたサブユニッ ト組成および機能を有する点でキメラである、ストレプトアビジンおよびアビジ ン分子アダプターを提供する。本発明の他の局面では、ストレプトアビジン四量 体内のその異種サブユニットの位置が制御され得る。キメラストレプトアビジン 四量体は、遺伝子工学技術および生物物理学的四量体の解離/会合手順を行うこ とにより提供される。キメラストレプトアビジンおよびアビジン分子アダプター は、治療関連の薬物送達への新しいアプローチ、イメージング剤のインビボ送達 、細胞の分別および分離、ならびに診断的応用を包含する、広範な種々の用途を 提供する。 キメラストレプトアビジン四量体は、サブユニットの制御された混合により産 生され、ここで1つ以上のサブユニットは、特定の効用に対して所望される特性 を有する。例えば、野生型のストレプトアビジンと比較した場合、ビオチンに対 するアフィニティーが減少したサブユニットは、野生型のストレプトアビジンの サブユニットへ結合したときよりも容易に結合される、抗新生物薬剤を放出し得 る。当然、個々のサブユニットまたはその二量体は、ビオチンに対する改変され た結合アフィニティー以外の特性またはさらなる特性を有し得る。 改変された特徴を有するストレプトアビジンサブユニットの生産は、意図した 用途および改変されるサブユニットの特徴に依存して、いくつかの手段により達 成され得る。例えば、いくつかの例において、解離したまたは解離していないサ ブユニットは、蛍光または放射性核種標識などで直接または間接的に標識され得 、あるいは別の化合物などに結合され得、次いで解離され得(もしまだ解離され ていないならば)、そしてキメラ四量体を形成するために本明細書中に記載され ているように他のサブユニットと混合され得る。 本明細書中に記載される特定の実施態様において、ストレプトアビジンサブユ ニットは、例えば、ビオチン結合ドメインの残基内のアミノ酸置換または欠失に より、特に79位、92位、108位、および/または120位におけるTrp残基を置換する ことにより、ビオチン(またはイミノビオチン)に対して減少した結合アフィニテ ィーを有する。結合アフィニティーの減少をもたらすそのような特徴は、組み換 えDNA技術により達成される。ここで、ストレプトアビジンポリペプチドの特定 のアミノ酸残基は、例えば、部位特異的変異生成により改変される。ビオチンに 対するストレプトアビジンポリペプチドのアフィニティーの減少をもたらす変異 の例が以下に実施例の節で記載されるが(ここで、Trp79、Trp92、Trp108、およ びTrp120の改変は結合の減少をもたらす)、この教示に基づくさらなる改変が用 いられ得る。例えば、Trp以外のあらゆるアミノ酸が選択された部位において置 換され得る。改変されたストレプトアビジンのビオチン(および/またはイミノ ビオチン)に対する結合アフィニティーの減少は、代表的には、約1×1013-1 未満、ときに約1×1012-1未満、ときに約1×1011-1以下であり、そして約 1×1010-1またはそれより低い(例えば1×107-1)場合もある。 結合アフィニティー、オンレート、またはオフレートを減少させるために、ビ オチンに対するストレプトアビジンのビオチン結合部位における変化を操作する ことに加えて、ストレプトアビジンのサブユニットまたは二量体に対する他の変 異が作製され得る。これらは、例えば、二量体/二量体接触面における側鎖の部 位特異的変異生成による二量体/二量体接触面を不安定化するために増強した解 離平衡を操作することを含む。例えば、ストレプトアビジン単量体は二量体/二 量体接触面に位置するアミノ酸残基中に少なくとも1つの変異を含み得る。この 場合、ジスルフィド結合は特定のサブユニットを結びつけるために、そして解離 した種の化学量論を規定するために操作され得る。あるいは、静水圧に対して増 大された感受性は、溶液安定性を変化させることなしに、二量体/二量体接触面 で操作され得る。他の変異がサブユニットになされ、薬物、リンカー、酵素、標 識などの接着を可能にし得る。 一度ストレプトアビジンサブユニットが所望の特徴を有するように改変され、 異なるサブユニット、例えば、改変型および野生型が、1つ、2つ、または3つ の改変されたサブユニットを有する異種またはキメラストレプトアビジン四量体 を再形成するために混合される。各々の位置に改変されたサブユニットを有する 同種四量体は、改変されたサブユニットをリフォールディングすることにより形 成され、そして混合は必要としない。そのサブユニットは、二量体を形成するた めに架橋され得、そして、同じまたは異なる二量体が異種四量体を形成するため に再会合され得るか、またはそのサブユニットは単に、単量体レベルで、1:3、2 :2、および3:1の改変された四量体を形成するために混合され得る。このように 、 幅広く様々な組み合わせが本発明により可能となる。 ストレプトアビジン四量体内でのサブユニットの混合は、種々の異なる技術に よりモニターされ得る。1つの技術において、蛍光アッセイが、高圧による解離 後のオリゴマータンパク質サブユニットの混合を追跡するために用いられる(一 般的に、ErijmanおよびWeber、Biochemistry 30:1595-1599(1991)(本明細書中に 参考として援用される)に記載されたように)。このアッセイにおいて、オリゴマ ータンパク質の1つの集団が、蛍光エネルギー転移ドナー(例えば、7-ジエチル アミノ-3-(4'-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン)で標識され、そし て第2の集団は、相補的なエネルギー転移アクセプター(例えば、フルオレセイ ンイソチオシアネート)で標識される。これらのフルオロホアのスルフヒドリル 選択的誘導体は、サブユニット当たり1つのフルオロホアのドナーまたはアクセ プターを提供する、チオール特異的低分子用の化学量論的な標識部位を提供する ために構築された部位特異的変異体(例えば、Asn49Cys変異体)を標識するために 用いられ得る。2つの集団が周囲の条件下で混合される場合、蛍光発光スペクト ルは、単に個々のドナーおよびアクセプタースペクトルの付加に過ぎない。これ は、オリゴマータンパク質の解離率が一般にごく僅かなので、その2集団の混合 がないためである。混合したタンパク質を解離状態にする変性剤に曝露し、次い で周囲の条件に戻すと、蛍光発光がエネルギー転移により改変される。このドナ ー/アクセプター対を用いるエネルギー転移研究のための励起波長は385nmであり そして発光スペクトルは400nm〜600nmより集められる。このエネルギー転移スペ クトルは、ドナー標識化サブユニットとアクセプター標識化サブユニットとの間 の混合の特徴であり、ここで再会合したオリゴマーのいくつかは、同じ分子上に 存在するドナーおよびアクセプター標識を有する。 このように、このモニターする技術は、変性剤により誘導された四量体解離後 のサブユニット混合を実証するために用いられ得る。1つの実施例において、組 み換えストレプトアビジン集団はクマリンフルオロホアで標識され、そして第2 の集団はフルオレセイン誘導体で標識された。これらの集団が混合され、そして 図1に実線により示された蛍光発光スペクトルが得られた。次いでこのサンプル を6Mグアニジニウムチオシアネートに1時間移し、次いで透析して開始時の条件 に戻した。このリフォールディングは、開始条件下で測定したトリプトファン蛍 光強度および発光最大への復帰により証明されるように、ほとんど定量的であっ た。色素の発光スペクトルは、クマリンとフルオレセイン色素との間のエネルギ ー転移の出現と一致した様式で改変された(点線、図1)。この実験は、四量体解 離後のサブユニット混合の証拠を提供する。 そのタンパク質集団のキメラ四量体をモニターすることはまた、エレクトロス プレーマススペクトロメトリー(ESMS)により実施され得る。ESMSにおける最近の 進歩は、保存されるべきマルチサブユニットタンパク質における非共有結合によ る会合の検出を可能にし、これは、その全体のマルチサブユニット複合体の検出 を可能にした。Light-Wahlら、J .Amer.Chem.Soc. 115:5869(1993);Light Wa hlら、J .Amer.Chem.Soc. 116:5271(1994);およびSchwartzら、J .Amer.Soc .Mass Spectrom. 5:201-204(1994)(これら各々が本明細書中に参考として援用 される)を参照のこと。そのキメラストレプトアビジン四量体は、非共有結合的 会合の保存を促進する条件下でESMSにより分析される。四量体組成の確証は、そ の四量体の単量体への解離を促進する条件下でそのタンパク質を分析することに より得られ得る。 選択的圧力解離はまた、ストレプトアビジン四量体に対して、特に二量体/二 量体接触面が、このような解離を受けやすいように遺伝的に操作された場合に用 いられ得る。高圧技術は、異種サブユニット集団の効率的な混合を許容する平衡 条件下で、その四量体をサブユニットに解離するために用いられる。圧力解離は 、圧力により誘導される解離に対する物理的駆動力が、四量体と分離したサブユ ニットとの間の体積の差であるので、一般的に非常に穏やか且つ可逆的である。 圧力の適用は、最も低いネット体積を有する平衡の側を好み、そしてほとんどの 場合、個々のサブユニット(単量体または二量体)は、オリゴマーの状態(四量体) よりも、低いネット体積を有する。従って、静水圧の適用は、一般に、会合平衡 を解離状態にシフトさせる。従って、解離およびサブユニットの混合は、周囲の 条件下で四量体の安定性を顕著に改変することなしに制御され得る。さらに、部 位特異的変異生成を介して特定の接触面における荷電対を導入することにより、 圧力で誘導された単量体または二量体状熊のいずれかへの解離が実現され得る。 こ れは、二量体-二量体接触面(これは最小かつ構造的に十分規定される)で示され 、そして単量体-単量体接触面の圧力感受性を操作することに応用され得る。異 なる圧力感受性を有するように2つの接触面(二量体-二量体および単量体-単量 体)を操作することにより、このアプローチは、混合するために利用可能な種(単 量体または二量体)を制御する手段を提供し、それにより混合された四量体内の キメラの結合部位の構築を制御する。四量体のサブユニットを混合するために必 要な圧力は、蛍光エネルギー転移およびマススペクトロメトリーアプローチを用 いて測定される。四量体を単量体ではなく二量体に解離する圧力範囲、および四 量体を単量体に解離する圧力範囲が確立される。 別の局面において、四量体サブユニットの接触性は、部位特異的変異生成によ りジスルフィド結合を形成し得る残基を導入し、そしてそれによりジスルフィド 結合を介した四量体の再アセンブリを制御するように改変される。例えば、スト レプトアビジンのタンパク質-タンパク質接触面の空間的に近接したβ-炭素位は 、距離および二平面の外面的形態が、ジスルフィド結合を操作するのに適切な場 合(例えば、単量体/単量体接触面および二量体/二量体接触面を横切る位置)、決 定される。共有結合は二量体内の単量体間、例えばH127位で操作されることが好 ましい。次いで、二量体への解離が生じる場合、タグされたジスルフィド結合し た二量体から生じる標識された四量体が戻ることが示される。 本発明に従い構築される規定されたサブユニット組成を有する混合されたスト レプトアビジン四量体は、幅広く様々な薬物送達およびイメージング、細胞選別 および分離技術において用途を見出す。ストレプトアビジンは多数の重要な分離 /細胞選別技術において用いられる。本発明により提供されるように規定された サブユニット配置を有する混合されたストレプトアビジン四量体を再構築する能 力は大いに、これらの分子的道具を改善する。例えば、2つのサブユニットは、 残る2つの部位のアフィニティーを撹乱することなく蛍光色素マーカーで標識さ れ得、それにより、標識が、他の2つの結合部位から離れた四量体の一方の側面 上にあり、そのため結合アフィニティーに立体的に干渉しないことを保証する。 本発明の部位特異的変異体は、マーカーまたはプローブ(例えば、発光剤、放射 標識、酵素、クロモホア、フェリチン、ヘモシアニン、巨大分子キャリアなど) に対する標識部位を提供する。そしてこれらはキメラ四量体を形成するために同 様に野生型サブユニットと混合され得る。また部位特異的変異体は、磁気ビーズ またはクロマトグラフィー支持体などの表面にストレプトアビジンを固定化する ための部位を提供するために用いられ得、そしてこれらは立体的に最適化された 細胞分離成分を生じるように、野生型サブユニットと混合され得る。さらに、表 面においてストレプトアビジンを配列させるために設計された部位特異的変異体 が、結合アフィニティーを低下させる部位特異的変異体と結合され得、それによ り立体的に最適化され、そして結合した細胞のより穏やかな溶出を可能とするア フィニティーを有する成分を提供する。従って本発明の改変された分子の応用と して、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、アフィニティー細胞化学、 組織化学、診断、シグナル増幅、ブロッティング技術、バイオアフィニティーセ ンサー、遺伝子プローブ、薬物送達、架橋剤、アフィニティー標的化、アフィニ ティー撹乱、融合剤、固定化剤、選択的修復、および選択的除去などが含まれる 。 例えば、本発明のより低いアフィニティー変異体が特に有用である、アビジン およびビオチンを用いる細胞の免疫選択に関する方法は、Berensonら、米国特許 第5,215,927号(本明細書中に参考として援用されている)に詳細に記載されてい る。造血幹細胞のような標的物をその標的物を含む異種懸濁物から分離するため の1つの方法において、細胞培養物、骨髄、末梢血、または臍帯血のような懸濁 物が、標的物に結合するビオチニル化結合成分と反応され、それによりビオチニ ル化標的物複合体を形成する。ビオチニル化された結合成分は、CD34+造血幹細 胞に特異的に結合する抗体、ポリクローナル、モノクローナル、またはその結合 フラグメントであり得る。ビオチニル化された標的物複合体を含む懸濁物が、本 発明の改変されたストレプトアビジン分子、例えば、少なくとも1つの改変され た単量体(しかし改変された単量体は4つ未満である)に曝露される。便利なこと に、この曝露工程は、本発明のストレプトアビジン四量体が固相に吸着されたカ ラム中で実施され得る。ビオチニル化された標的物複合体が、富化された形態で 標的物を回収するために、改変されたストレプトアビジン単量体ユニットのより 低いアフィニティー(または解離速度定数の増加)により懸濁物から分離される。 薬物送達、イメージング、および他のそのような用途について、例えば、2つ のより高いアフィニティーおよび2つのより低いアフィニティーに改変された単 量体を含むキメラストレプトアビジン四量体が、ビオチニル化分子(例えば、ビ オチニル化抗体)と共にロードされ、その結果そのビオチニル化分子が選択的に 、より低いアフィニティーのサブユニットの急速なオフレートにより高いアフィ ニティーのサブユニットに分けられる。そのビオチニル化標的/キメラ複合体は 、インビボまたはエクソビボのいずれかにおいて、抗体を介して、所望の部位に 標的化される。ビオチニル化イメージング剤または薬物は、投与され、そしてよ り低いアフィニティーのサブユニットにより捕獲され、それにより標的化細胞ま たは組織は、所望の部位特異的な治療的または診断的活性のために薬物または標 識に曝露される。別の局面においては、ビオチニル化標的薬剤が投与され、続い て高いおよびより低いアフィニティー結合部位を有する本発明のストレプトアビ ジンキメラが投与される。その高アフィニティー部位は標的化部位においてビオ チンに結合する。次いで、利用可能なより低いアフィニティーのストレプトアビ ジン部位で結合する、ビオチニル化イメージング剤または治療剤が投与される。 これは、標的化部位における、治療またはイメージング剤のストレプトアビジン 分子からの即時放出をもたらす。なお別の実施態様においては、例えば、2つの より高いアフィニティーおよび2つのより低いアフィニティーの改変単量体の、 キメラストレプトアビジン四量体が、より高いアフィニティーのサブユニットで 、抗体(またはレセプター、リガンドなど)のようなビオチニル化分子とともにロ ードされ、そしてより低いアフィニティー部位はビオチニル化薬物、治療タンパ ク質、またはイメージング標識とともにロードされる。キメラ複合体は、インビ ボまたはエクソビボにおいて、標的化する成分を介して、所望の部位または細胞 に標的化され、ここでより低いアフィニティー成分が所望の治療的または診断的 活性を授けるために放出される。なお別の例において、プロドラッグ(例えば、 エトポシドホスフェート)の転換に適する酵素(例えば、アルカリホスファターゼ )に結合したより低いアフィニティーのサブユニットが、患者または細胞コレク ションに投与したとき、その抗体がキメラ複合体を所望の部位に送達し、そして その酵素が患者または細胞に投与されるプロドラッグを活性化するように、抗体 または他の標的化成分に結合したより高いアフィニティーのサブユニットと混合 さ れ得る。適切なプロドラッグ、酵素、そして投与方法は、Senterら、米国特許第 4,975,278号(本明細書中に参考として援用されている)に記載される。 以下の実施例は、例示として提供され、本発明を限定するものではない。 実施例I 本実施例は、ビオチン結合部位のアミノ酸改変を有するストレプトアビジンの 構造を記載する。その改変は、イミノビオチンおよびビオチンに対する結合アフ ィニティーの減少をもたらすことが示される。 コアストレプトアビジンについての合成遺伝子の設計および構築。プログラム GCG(Genetics System Group Inc.、Madison、WI、1991)を使用し、天然に発生す るタンパク質の残基13〜139として規定されるコストレプトアビジンのアミノ酸 配列由来のヌクレオチド配列を産生した(ストレプトアビジンの配列については 、Argaranaら、Nucl .Acids Res. 14: 1871-1882(1986)、および米国特許第4,83 9,923号(これらの各々は、本明細書中で、参考として援用される)を参照のこ と)。コアストレプトアビジンの合成遺伝子は、好適なEcoli使用頻度(deBoe rら、Maximizing Gene Expression、Renznikoffら編、(Butterworth、Stoneham、 MA、USA)225〜285頁(1986))、共通リボソーム結合部位(Shineら、Nature 254: 34-38(1975))、メチオニン開始コドン、翻訳停止コドン、および遺伝子の全長 にわたって等間隔に並べられた多数の唯一の制限エンドヌクレアーゼ認識部位と 組み合わせる。これらの特徴を、遺伝子デザイン内に組み込み、カセット変異誘 発による部位特異的変異体の便利な生成ならびにそれら自身のリボソーム結合部 位を欠くプラスミド由来の発現を容易にした。 1本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドを、商業的に合成し(Oligos Etc.)、 そしてゲル濾過で精製した。コアストレプトアビジン遺伝子を、以下の制限エン ドヌクレアーゼ認識部位に隣接する3つのセグメントで構築した:それぞれEcoR I/XbaI、XbaI/HincII、およびHincII/HindIII。各セグメントについて、個々の オリゴデオキシリボヌクレオチドを、5'リン酸化し、アニーリングし、そして適 切ペアーの制限エンドヌクレアーゼで線状化した分離pUC18プラスミド内に連結 した。(他に明確な記載がなければ、標準的な手順のプロトコル(例えば、プラ スミドの単離、連結、形質転換、および制限酵素を用いる消化)は、Sambrookら (Molecular Clonlng: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、 NY、第2版、(1989))または試薬およびキットの市販の供給者により提供された 説明書に従うことに注意のこと)。引き続いて、そのプラスミドを、DH5a、また はNovablue(Novagen Inc.、Madison,WI)Ecoli細胞中に形質転換した。適切な 大きさにした挿入物を含むクローンをコロニーPCRにより選択後、プラスミド構 築物を配列決定産物の蛍光検出を用いる色素ターミネーター化学(dye terminato r chemistry)を用いて配列決定した(Applied Blosystems、Foster City、CA) 。コアストレプトアビジン遺伝子を含む3つのDNAセグメントを、単離し、そし てNovablue細胞内に形質転換した単一のpUC18プラスミド内に連結した。この時 点で、全遺伝子を配列決定し、ヌクレオチド配列を確認した。次いで、コアスト レプトアビジン遺伝子を、NdeI/HindIIIセグメントとしてEcoli発現べクター 内(pET-21a(Novagen Inc.))にサブクローニングし、そしてNovablue細胞中で維 持した。 コアストレプトアビジンの部位特異的変異生成。 WTストレプトアビジンのW79A,W79F、W108A、およびW108F部位特異的変異体を、 所望のコドン変化を組込む変異型プライマーを用いて、PCR変異誘発によって作 製した(Sligarら、Meth .Enzymol.、206: 31-49(1990)。PCR変異誘発プライ マーは以下のとおりである: W120AおよびW120Fを、以下の配列を用いるカセット変異誘発によって作製した: Trp->Ala/Phe変異を組み込んだ残基120での縮重コドンを有するMluI/HindIII エンドヌクレアーゼ制限部位におよぶ、合成の間に化学的に5'リン酸化した(IDT Inc.)オリゴデオキシリボヌクレオチドを、アニーリングし、コアストレプトア ビジン遺伝子を含むMluI/HindII線状化pUC18に連結し、そしてコンピタントなNo vablue細胞に形質転換した。変異プラスミドを含むクローンを、コアストレプト アジビン遺伝子内に変異原性挿入物の好結果な連結の際のPstI制限酵素部位の導 入により同定した。PstI制限酵素部位を含むプラスミドのDNA配決定を用いて、P heまたはAla変異のいずれかを含むクローンを同定した。変異体ストレプトアビ ジン遺伝子(W120AまたはW120F)を、NdeI/HindIIIセグメントとしてpET21a内にサ ブクローニングし、そしてNovablue細胞中に維持した。 E. coliにおけるストレプトアビジンおよび変異体の発現。 発現宿主(BL21(DE3)(Novagen,Inc.))内に形質転換した、ストレプトアビジン遺 伝子を含む発現プラスミドpET-21aを、100μg/mlのアンピシリンを補充した10ml LB培地中で37℃で一晩振盪培養した。次いで培養物を4500×gで5分間遠心分離 し、細胞ペレットを新鮮な10mlのLB培地中で再懸濁し、そして振盪フラスコ中の 100μg/mlのアンピシリンを補充した6.5Lの2×YT培地に接種するのに使用した 。培養物を600nmにおける吸光度が1.0に到達するまで37℃で振盪しながらインキ ュベートし、この時点でイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシドを添加し(1m M)、 タンパク質発現を誘導した。細胞をさらに3時間培養し、その後それらを4500× gで10分間、遠心分離により回収した。細胞ペレットをさらに使用するまで-70℃ に保存した。誘導されたBL21(DE3)細胞溶解物のSDS-ポリアクリルアミドゲル電 気泳動(PAGE)におけるタンパク質バンドのレーザーデンシトメトリーによる定量 は、ストレプトアビジンが、総細胞タンパク質の15〜20%を構成することを示し た。 発現したストレプトアビジンおよび変異体の単離および精製。凍結した 細胞ペレットを解凍し、200mlの50mM Tris HCl(pH 8.0)/0.75Mスクロース/1mM フェニルメチルスルフォニルフルオリド(PMSF)に再懸濁し、そして超音波で破壊 した。溶解した細胞を、DNAseI(10μg/ml)/RNAseA(10μg/ml)/MgCl2(10mM)とと もに室温で15分間インキュベートし、そして22000×gで30分間遠心分離した。不 溶性画分を50mM Tris(pH 8.0)/10mM EDTA/1.5M NaCl/1mM PMSF/0.5%(v/v)Trit on-X-100で繰り返し洗浄し、膜タンパク質を可溶化した。ストレプトアビジンの 封入体を多く含む最終的な白いペレットを、SDS-PAGEで定量すると純度約70%で あった。封入体を6MグアニジンHCl(pH 1.5)(500ml)中に溶解し、≦50μM(ス トレプトアビジンモノマー)の濃度まで濃縮し、そして20Lの50mM Tris HCl(pH 8.0)/150mM NaCl/10mM EDTA/0.1mM PMSF/0.5mMベンザミジンHClに対して、1回2 0Lの透析緩衝液を交換して24時間以上透析した。透析物を遠心分離し、0.45μM のフィルターを通して吸引濾過し、そして撹拌限外濾過セル(Amicon Inc.、Danv ers、MA)で濃縮した。数mlまでの最終濃縮には、Centriprep-30遠心分離濃縮器( Amicon Inc.)を利用した。透析後に残った不溶性の凝集したタンパク質は、上記 のプロトコル後、数回リフォールドし得る。 WTストレプトアビジンおよびTrp->Phe変異体を、イミノビオチン−アガロース (Pierce.Naperville、IL)(46,47)を用いるアフィニティークロマトグラフィー により精製した。アフィニティー精製WTストレプトアビジンの収率は、2×YT培 養物1リットルあたり10〜20mgであった。イミノビオチンのTRP->Ala変異体の 最も低いアフィニティーは、その精製のための使用を除外する。代わりに、サン プルを20mM Tris HCl(pH 7.0)で平衡化したDEAE-SepharoseFFカラム(1.5×5cm) (Pharmacia、Piscataway、NJ)にアプライした。E. coli由来のDNAおよび大部分 の汚染タンパク質の結合のために合理的な精製法が提供されるが、これらの条件 下では、ストレプトアビジンはカラムに結合せずに空隙容量中に溶出される。ス トレプトアビジン含有画分をプールし、濃縮し、そして20mM Tris(ph 8.5)で平 衡化し、そして同じ緩衝液で平衡化したDEAE-SepharoseFFカラム(1.5×5cm)を通 過させた。ストレプトアビジンはこれらの条件下で結合し、そして0〜0.3M NaC lの直線的なグラジエントにアプライすることにより溶出した。ストレプトアビ ジン含有画分をプールし、濃縮し、そしてさらなる使用のために4℃で保存した 。これらの2つのクロマトグラフィー工程は、同種のタンパク質を生ずる(SDS-P AGEにより証明したように)。 リフォールディングし、アフィニティー精製したWTストレプトアビジンを、ア ミノ酸組成分析およびN末端配列決定によって特徴付けした。実験的に決定した 組換えタンパタ質の組成およびN末端配列は、それぞれ、コアストレプトアビジ ンの算出した組成および配列と一致した。熱変性タンパク質のSDS-PAGEは、各Tr p変異体位の単量体が、WTストレプトアビジン単量体と同じサイズであること、 そしてWTストレプトアビジンおよびそのTrp変異体に対して用いた精製法が、WT クマシー染色の検出限界以下の汚染タンパク質しか有しない、均質なタンパク質 を生じることを示した。WTストレプトアビジンおよびTrp変異体のESMSは、実験 的に測定したWTストレプトアビジンおよびTrp変異体の質量が正しいことを示し た。ネイティブPAGEにおけるWTストレプトアビジンおよびTrp変異体の移動度の 類似は、リフォールディングした変異体が自己会合して、溶液中で、WTストレプ トアビジンに類似の四量体を形成することを示した。WTストレプトアビジンおよ びTrp変異体へのフルオレセイン−ビオチンの結合は、飽和の際、(サブユニット ベースで)0.85〜1.1の範囲であり、これはストレプトアビジンサブユニット当た り1つのビオチンの結合について予測された1.0の化学量論比に近似している。 ストレプトアビジンおよび変異体の特徴付け。SDS-PAGE分析を、不連続緩衝液 系(Laemmli,Nature 227: 680-685(1971))で既成のMiniprotean 10〜20%グラジ エントゲル(BioRad Inc.、Richmond、CA)を用いて実施した。サンプルを、電 気泳動の前に、SDSの存在下で15分間ボイルし、ストレプトアビジン四量体を分 離させた。ネイティブPAGEは、サンプルアプリケーション緩衝液およびゲルラン ニング緩衝液、ならびに電気泳動前のタンパク質の熱変性におけるSDSを省略す ることにより、上記の系を用いて実施した。ゲルを45%メタノール、10%酢酸(v /v)中に溶解した、0.25%(w/v)のクマシーR-250で染色した。WTストレプトアビ ジンの濃度を、サブユニットについての吸光係数(e280)34000M-1cm-1を用い、28 0nmでの吸収によって決定した(Sanoら、Proc .Natl.Acad.Scl.USA 87: 142-1 46(1990))。変異体の濃度を、参考としてWTストレプトアビジンのe280を用い、G illら、Anal .Blochem. 182:319-326(1989)の方法によって決定した。タンパク 質エレクトロスプレーマススペクトロメトリー(ESMS)を、ARI IIIエレクトロス プレーマススペクトロメーター(PE/Sciex、Thronhill、Ontario)において実施し た。WTストレプトアビジンおよび変異体のビオチン結合化学量論を、タンパク質 でのタートレーションに際して、5-((N-(5-(N-(6-(ビオチニル)アミノ)ヘキサノ イル)アミノ)ペンチル)チオウレイジル)フルオレセイン(Fluorescein-biotin、M olecular Probes,Eugene、OR)の蛍光における定量的なクエンチングによって溶 液中で決定した。 ELISAアッセイ。Bayerら、Anal .Blochem. 154: 367-370(1986)によって報告 された酵素アッセイの改変バージョンを用いて、WTストレプトアビジンおよび変 異体のビオチンおよび2-イミノビオチンとの濃度依存性結合を試験した。ウシ血 清アルブミンにコンジュゲートした2-イミノビオチン(イミノビオチン/BSA)を、 100mM NaHCO3(pH 8.3)中に100mgのBSAを含む、2-イミノビオチンN-ヒドロキシス クシニミドエステル(Sigma)の20倍モル過剰量と、4℃で12時間回転撹拌しなが ら反応させることにより合成し、その後、透析およびゲル濾過(G-25、Pharmacia )し、イミノビオチン/BSAを未反応の2-イミノビオチンから分離した。10mg/ml の濃度でのビオチン/BSA(Pierce)またはイミノビオチン/BSAを、マイクロウェ ルプレート(1ウェルにつき100μl)中で、15mM Na2CO3(pH 9.6)中、4℃で1晩 吸着させた。翌日、マイクロウェルプレートを、1ウェル当たり200μlのpH 8.0 またはpH 10.0のブロッキング緩衝液(50mMリン酸ナトリウム(pH 8.0)または50mM Na2CO3(PH 10.0)/100mM NaCl/0.5%(w/v)BSA/0.05%(v/v)Tween-20)とともに少 なくとも2時間室温でインキュベートし、次いで100μg/mlのWTストレプトアビ ジンまたは変異体の10倍連続希釈物(100μl/ウェル)を室温で2時間インキュベ ートし、pH 8.0またはpH 10.0のブロッキング緩衝液(200μl/ウェル)でリンスし 、そしてpH 8.0またはpH 10.0のブロッキング緩衝液(100μl/ウェル)中で一次抗 ストレプトアビジン抗体(Sigma)の2×104希釈において室温で1時間インキュベ ートした。プレートを、ウェルにつきアッセイpHで200μlのブロッキング緩衝液 で3回リンスし、二次抗IgG/アルカリホスファターゼコンジュゲート(Sigma)と 共に室温で1時間インキュベートし、ブロッキング緩衝液で3回リンスし、pH 1 0.0におけるアルカリホスファターゼ活性をアッセイした。各プレートアッセイ は、した各タンパク質濃度につき3連で行った。データを、Mathcad(Mathworks) で処理し、以下に示す公開された4-パラメーター非線形フィッティングアルゴリ ズム(4-parameter nonlinear fitting algorithm)(Jinら、J.Mol.Biol. 226:851 -865(1992))を用いて、結合の50%結合飽和値(EC50)における等価のバルク濃度 を決定した: ここで、a,b,c、およびdは、調節可能なフィッティングパラメーターである ;x=ストレプトアビジン濃度(μg/ml);y=405nmにおける吸光度。μg ml-1に おける絶対値EC50は、結合等温式(binding isotherm)に対するフィッティング関 数の最適フィットのためのパラメーターcの値で与えられる。表Iに報告した相 対的EC50値は、EC50(変異体)/EC50(WTストレプトアビジン)である。 ビオチンの平衡結合。2nM(WT、W79A、W120A)または0.2nM(WT、W120F)の濃度 の3H-ビオチンを、連続的に希釈したタンパク質のアリコート中で2時間インキ ュベートした。次いで、遊離のリガンドを、Microcon-30またはCentriprep-30遠 心限外濾過デバイス(Amicon、Inc.)のいずれかでタンパク質結合リガンドから分 離した。代表的には、0.1〜1mlの遊離リガンド溶液またはタンパク質リガンド 混合物を、18mlの液体シンチレーションカクテル(Ecolume、ICN Biomedicals、I nc.、Costa Mesa、CA)に添加し、そして液体シンチレーションカウンター(Beckm an Instruments、Inc.、Fullerton、CA)でアッセイした。遊離のタンパク質濃度 に対するタンパク質結合リガンドの画分の非線形カーブフィット(nonlinear cur ve fit)からKaを決定した。 リガンドとしてビオチンを用いる、WTストレプトアビジンおよび全てのTrp変 異体の濃度依存的結合等温式は、pH 8.0およびpH 10.0の両方でのELISAアッセイ において大部分一致する(図2Aは、WTストレプトアビジンおよびW79A/F変異体の 結合等温式を示す)。しかし、リガンドとしてイミノビオチン/BSA(図2BのWTス トレプトアビジンおよびW79A/F変異体)を用いる結合等温式は、WTストレプトア ビジンおよび変異体のアフィニティーにおいて、EC50についてWT<Phe<Alaの順 で顕著な相違を示す。pH 8.0およびpH 10.0におけるイミノビオチンに対するWT ストレプトアビジンおよびTrp変異体の結合についての絶対的EC50および相対的E C50を、表Iおよび図2にまとめる。 絶対的EC50値(μg/ml-1)を、結合等温式の少なくとも3つの独立した測定の非線 形最小二乗フィッティング(nonlinear least squares fit)から導いた。相対的E C50値をpH 8.0またはpH 10.0においてそれぞれ、WTストレプトアビジンの平均( 絶対的)EC50に対して標準化する。 *ビオチンがリガンドである。ビオチン/BSAに対するWT結合の6つの独立した等 温式を、EC50を決定するためにフィッティングした。 **それらのEC50のより低い結合を導く、Trp->Ala変異体を含まない完全結合等温 式は決定され得なかった。 これらの実験結果は、Ala変異体が平衡ビオチン結合アッセイに利用可能であ ることを示している。分子量カット30,000の濾過膜を用いるスピンカラムアッセ イを用い、遊離状態と結合状態との間の3H-ビオチンの分配を定量した。このア ッセイは、アフィニティーが105〜109との間である場合、Kaの有用な見積もりを 提供する。W120Fについての濃度依存的結合等温式は、最も低い実験的に利用可 能な全ビオチン濃度(0.2nM)で密着結合限界(Ka>109)であり、そして野生型スト レプトアビジンと同一である。W108A変異体タンパク質が、必要な濃度でのこの アッセイにおいて不安定であることを証明される一方、W79AおよびW120A変異体 は、Kaがそれぞれ4.3×107M-1および8.6×106M-1であると決定される完全な濃度 依存性結合等温式を与えた。これらの実験的に決定したKaの評価は、以下でさら に議論されるELISAアッセイから見積もられるΔKaの独立した確証を提供する。 変異体のΔKaのマグニチュード測定(magnitude determination)のオーダーを 、EC50で評価し、いくつかのこれらのリガンドタンパク質のパートナーの公知の Kaを与える。その後の分析は、ビオチン-WTストレプトアビジンの2.5×1013M-1 の実験的に決定したKa、および108M-1のイミノビオチン/WTストレプトアビジン のpH10.0における108M-1のKa(イミノビオチン/アビジンの実験的に決定した値 から見積もった)を基礎とする。これらの数字は、別に決定したW79AおよびW120A 変異体のビオチン結合アフィニティーによりさらに支持され、これは、ELISAの 見積もりと良く一致する。 Kaが107M-1より高い場合、ELISAアッセイは、リガンドータンパク質結合におけ るΔKaの影響を受けない(すなわち、Kaが107〜1013M-1の範囲にある場合、リガ ンドタンパク質のパートナーについてのELISA結合等温式は区別がつかない)。こ の仮定は、以下の観察により支持される:実験的に測定したWTストレプトアビジ ン/ビオチンについてのEC50は、WTストレプトアビジン/ビオチンのKa(2.5×1013 M-1)、およびpH 10.0におけるイミノビオチン/WTストレプトアビジンのKa(-1 08M-1)における顕著な差にもかかわらず、pH 10.0でのWTストレプトアビジン/ イミノビオチンのEC50と同一である。これらの2つのリガンドについての類似の EC50は、ELISAが、108〜1013M-1の範囲では一般にΔKaの影響を受けないことを 示す。さらに、イミノビオチンによるWTストレプトアビジンの結合はpH感受性で あり、そしてWTストレプトアビジン/イミノビオチンのKaは、密接に関連したイ ミノビオチン-アビジン系についての実験的に決定したΔKaであるように、pH 10 .0におけるよりpH 8.0において大きさの次数はより低いようである。従って、リ ガンドKaに対するELISAの感度については、107M-1の上限を確立し得る。WTスト レプトアビジンおよび全てのTrp変異体について測定された類似するビオチンEC5 0値は、ビオチンに対するTrp変異体のKaが、1017〜1013M-1の範囲であることを 近似的に示す。 しかし、リガンドアフィニティーをリガンドとしてイミノビオチンを用いるこ とによるこのELISAアッセイの利用可能な範囲内に低くした場合、EC50における 顕著な変化が、Trp変異体において観察された。Trp変異体についての相対的EC50 の結果を図3にまとめ、そしてそれらの増加したイミノビオチンのEC50を図示す る。W79FおよびW108Fは、WTストレプトアビジンと比較してpH 10.0で約2〜3倍 大きいEC50を示す;アッセイpHを8.0に下げるとき、それらのEC50は、2オーダ ーの大きさで劇的に増加し、これはストレプトアビジンについてのイミノビオチ ンのアフィニティーにおけるpH依存性増加と一致する。これらの結果は、イミノ ビオチンに対するW79FおよびW108F変異体のアフィニティーが、pH 10.0でのWTス トレプトアビジン(Ka-107 〜108 M-1)より1オーダーの大きさ未満であることを 示す。アッセイpHを8.0に低めることは、W79FおよびW108Fと比較して、さらにKa を〜106M-1に減少させ(pH 10.0での100倍高い相対的EC50により示される)、そ してより弱いpH依存性が、pH 8.0での相対的EC50においてより小さい増加によっ て示される(pH 8で相対的EC50〜200)。 Trp>Ala変異は、2-イミノビオチン結合アフィニティーにおいてより大きな変 化をもたらし、それゆえより低い結合のEC50のみが見積もられ得る(相対的EC50 ≧2000)。イミノビオチンに結合したTrp->Ala変異体に対するEC50は、ELISAにお ける何回もの洗浄工程の間の結合タンパク質の不均衡な損失によって幾分過大に 評価され得る。Ala変異体は、WTストレプトアビジンのビオチン結合等温式(最大 ΔKaをセットする)と区別がつかないビオチン結合等温式を示すため、Ala変異体 のΔKaを104〜106の間に下げて評価する。この結果は、W79AおよびW120A変異体( これらのアフィニティーを107M-1に位置させる)についてのKaの直接的な見積も りにより支持される。 本分析は、イミノビオチンに対するEC50の差が、ビオチンに対する類似した差 を反映することを想定し、これはMiyamotoおよびKollmanの計算によって支持さ れ、ここでは2つのリガンドに対する結合の絶対自由エネルギーにおける差は、 リガンド-タンパク質相互作用自由エネルギーにおける大きな差というよりもむ しろ2つのリガンドの溶媒和エネルギーにおける差による(MiyamotoおよびKollm an、Proteins 16: 226-245(1993)、およびMiyamotoおよびKollman、Proc.Natl.A cad.Sci .USA 90: 8402-8406(1993))。2-イミノビオチンELISA結合等温式から見 積もるΔKaは、W79A、W120A、およびW120F変異体に対するビオチンのKaの直接的 な見積もりによりきっちり確証される。従って、イミノビオチンは、固有のスト レプトアビジン−ビオチン相互作用についての良好なレポーターであり、これは 、トリプトファンが、構造的に変化したウレイド部分と直接相互作用しないとい う事実と一致する。 これらの結果、および特に側鎖Trp(WT)>Phe>Alaの芳香族性の順序における アフィニティーの順位ならびに関連するイミノビオチンへの結合に対するEC50の 変化の大きさは、接触する残基の芳香族成分の変化が、結合の絶対自由エネルギ ーに非常に強い影響を与えることを示している。従って、TrpをPheに変化させる ことにより側鎖の芳香族性の部分的な保持が、イミノビオチンEC50の101〜102の 増加をもたらし、これは、ビオチンに対するそれらのKaの類似する増加を示す。 従って、TrpをAlaに変異させることによる芳香族側鎖の完全な撤廃は、顕著によ り大きなEC50をもたらし、これはWTストレプトアビジンより低いΔKa(ビオチン) 103を示す。これらの結果は、ビオチン結合の絶対自由エネルギーに対するTrp側 鎖の寄与が、4kcal/molほどの大きさであり得ることを示す;4つのTrp残基 がビオチンと接触するので、結合ビオチンの絶対自由エネルギーに対するそれら の全体の寄与は実質的である。 平衡結合エンタルピー(ΔH)および熱容量(ΔCp)をまた、ストレプトアビジ ン変異体を用いて操作した(表II)。熱容量を、Murphyら、proteins: structure, Function and Genetics 15: 113-120(1993)(本明細書中で参考として援用され る)に一般的に記載されるように決定した。観察され得るように、増加したΔH および減少したΔHならびに増加したΔCpおよび減少したΔCpの両方の例が存 在する。熱容量は、結合エンタルピーの温度依存性に関与し、これは、結合アフ ィニティーに対して顕著に寄与する。従って、熱容量の変化は、温度をビオチン アフィニティーを調節する変数として使用する応用において重要である。 実施例II この実施例は、結合部位トリプトファン残基のビオチンオフレートおよび活性 化熱力学の関与を示す。ストレプトアビジン変異体W79F、W108F、およびW120Fの 解離速度定数は、これらのTrp接触(Trp contact)が解離速度の調節において重要 であるということを示す。 ストレプトアビジン−ビオチン解離速度を、WTストレプトアビジン、W79F,W1 08F、およびW120Fについて、以下のように決定した。8,9-3Hビオチン(4.8μl、2 1μM、NEN/Dupont)を、WTストレプトアビジン、またはW79F、W108F、もしくはW1 20F変異体の1つを0.5μMの濃度で含む10mlのPBS(pH7.4)、1mM EDTAに添加し、 そして10分間インキュベートし、その後非放射活性ビオチン(20mM)を、最終濃度 50μMになるように加えた。この混合物のアリコート(0.5ml)を分子量カット30,0 00のフイルター(Microcon-30、Amicon Inc.、Beverly、MA)で遠心で限外濾過し 、タンパク質リガンド複合体から非結合ビオチンを分離した。濾液50μlを、3 連で10mlのシンチレーションカクテルと混合し、そして液体シンチレーションカ ウンター(LS-7000、Beckman Instruments,Fullerton、CA)で放射活性をアッセ イした。各時点でのcpmでの濾液の平均放射活性、およびコールドのビオチンを 添加する前のタンパク質リガンド複合体の放射活性(a)は、タンパク質リガン ド複合体の解離の一次速度定数(koff)をln(a-x/a)[ln(フラクションバウンド)] のプロットから決定するのを可能にした。標準偏差を3つの独立した測定に基づ き決定した。コールドのビオチンを添加しなかった対照実験は、限外濾液内に全 放射活性の<2%を生じ、これは全ての3Hビオチンが初めに結合したことを示 す。 図4に示した結果は、ビオチン結合野生型(WT)コアストレプトアビジンおよび 部位特異的変異体W79F、W108F、および120Fは、モノイクスポネンシャルな、一 次解離キネティックスを示す。一次解離速度定数(koff)を表IIIにまとめた。組 み換えコアWTストレプトアビジン(koff=5.6×10-6-1)のkoffは先に報告 された市販用に調製された全長ストレプトアビジン(PiranおよびRiordan、J.Imm unol.Meths. 133:141-143(1990))の約2倍である。しかし、市販用に調製された ストレプトアビジンについては多相のキネティックスが観察されたのに対して、 組換えコアWTストレプトアビジンについては単相の解離キネティックスが得られ た。 ビオチンとの接触におけるTrp残基のPheでの置換の影響は重要であり、そして 位置依存的である。Trp120のPheでの置換におけるkoffに劇的な効果があった: 保存的なW120F変異は、WTストレプトアビジンと比較して、t1/2が35時間(WT)か ら0.5時間(W120F)の減少に対応して、解離速度定数の70倍の増大をもたらした。 部位79および108におけるTrpのPheでの置換の影響はまた重要であるが、その重 要度はより小さい。W79Fのkoffは、WTストレプトアビジンより5倍大きく、W10 8Fのkoffは、WTストレプトアビジンより17倍大きい。WTストレプトアビジンと 比較したW79FおよびW120Fの△koffは(表Iにまとめた)、それらの△kdと大きさ において類似しており、このことは、W79FおよびW20Fの平衡アフィニティーの減 少が、koffの増加により主に説明され得ることを示す。他方、W108Fは、△kdよ りも大きいビオチン△koffを示し、このことは対応するオンレート変化も存在 することを示唆する。これらの結果は、W79FおよびW120Fについてのオフレート キネティックスにおける変化が、WTストレプトアビジンに対するリガンド結合基 底状態の自由エネルギーの不安化により主に説明され、一方WTに対するW108Fの 遷移状態の安定化は、この変異体の△koffを主に説明する。 W79F、W108F、およびW120Fについてのkoffにおける著しい差異のエネルギー 的 な原因を、解離速度の温度依存性を測定することによりさらに調べ、活性化バリ アに対するエンタルピー的およびエントロピー的寄与を決定するために遷移状態 理論を適用する。活性化熱力学的パラメーターを、単一遷移状態であると仮定し て計算し、表IVにまとめた。例外的に遅いビオチンのオフレートは、ビオチンの 解離に対する、大きな活性化バリア(△Gr =24.4kcal mol-1)のためである。活 性化バリアは、298kで7.6kcal mol-1の正の活性化エントロピーとともに、もと もとエンタルピー的(△Hr =+32kcal mol-1)である。予期しなかった発見は、 W79FおよびW108F両方が、WTストレプトアビジンと比較してより大きな解離の活 性化エンタルピー(+3、+4.5 kcal mol-1)を示すことである。しかし、このTr p->Phe置換は、W79FおよびW108FについてのT△Sr≠項が298kで4〜6 kcal mol-1で解離を与えるように、活性エントロピーの寄与において均等のより大き な正の増大をもたらす。直接的対比において、より70倍早いW120のオフレート( WTストレプトアビジンに対して-2.1kcal mol-1の△△Gr≠に対応する)は、WT ストレプトアビジンと非常に類似する活性化エントロピーとともに、主に減少し た活性化エンタルピーバリア(△Hr≠+28.5kcal mol-1)から生じる。 遷移状態の分析による△Gr≠の決定、およびアフィニティー測定からの△G0 の別個の見積もりは、WTストレプトアビジンおよびTrpからPheへの変異体につい て自由エネルギープロフィールの描写を可能にする。同様に、エンタルピーエネ ルギープロフィールは、平衡ビオチン−結合エンタルピー(△HO)(等温滴定熱量 測定により別個に決定した)から、および温度依存性タンパク質−リガンド解離 キネティックスの遷移状態分析から得られる△Hr≠から描写し得る。この分析の 長所は、異なる変異体のオフレートを担う自由エネルギーバリアを、遷移状態お よび/またはビオチン−結合基底状態における変化の点から描写されることを可 能にしたこと、そしてさらにこれらの自由エネルギー変化をエンタルピー的およ びエントロピー的成分への分割を可能にしたことである。WTストレプトアビジン についての結果と比較して、特異的残基の変異の熱力学的影響が、次に位置づけ られ得、それは遷移状態の構造およびエネルギー論についての多くの洞察を提供 する。 WTストレプトアビジンおよびTrpからPheへの変異体の自由エネルギープロフィ ールに目をむけると、W120Fのkoffの70倍の減少は、WTストレプトアビジンに対 するビオチン−結合基底状態の不安定化(△△G0=+2.7kcal mol-1対DDGrπ= −2.5kcal mol-1)のためと考えられる。Trp120のPheへの変異におけるリガンド −結合状態の自由エネルギーにおけるこの変化は、熱力学的に調節される(△△H0 =+5.1kcal mol-1、好ましいエントロピー項で、TDDS∞=+2.4kcal mol-1)。 W79Fはkoffの減少が最も小さく、それはまたビオチン−結合基底状態の不安定 化に帰し得る。この+0.9kcal mol-1△△G0項の起源は、W120Fとは異なる。平 衡結合エンタルピーにおける変化は、△△H0=−1.5kcal molのために実際には 会合を好み、このことは、Trp70のPheへの変異により生じるビオチン−結合状態 の自由エネルギー不安定化が、均等なより大きなに好ましくないエントロピー変 化(T△△S0=−2.4kcal mol-1)により生じることを示す。 実施例III この実施例は、部位特異的変異により操作されたストレプトアビジン-ビオチ ン平衡アフィニティーおよび解離キネティックスが、ビオチニル化標的分子の効 率的な捕獲を可能にする一方、引き続き非変性条件下で遊離のビオチンの競合的 な解離を利用することにより、ストレプトアビジン-ビオチニル化標的複合体の 解離を町能にすることを示す。ビオチン結合アフィニティーおよび解離キネティ ックスを調節する能力を、幅広く異なるアフィニティーおよびビオチンオフレー トを有するサブユニットから成るキメラストレプトアビジン四量体を作製するの に用いる。 Trp120->Ala(W120A)変異体(実施例I)(107-1のKaおよび10-2s-1以下のko ff を有する)を、ビオチニル化分子の可逆的分離を証明するために用いた。W120A は、緩衝液の流れる下でビオチニル化クロマトグラフィー支持体に結合し、そし てその後2mMのビオチンで溶出し得る(図5A)。実験は、以下のように実施した:p H7.4のPBS中の0.4mgのW120Aを、1mlのビオチン−官能基化カラム(Sigma Chemic als, St Louis,MO)に添加した。カラムを5mlのPBSで洗浄して非特異的吸着タ ンパクを除去し、その後PBS中の2mMビオチンで溶出した。添加したW120Aの全て を、280nmで吸光度を測定したように、ビオチン溶出物中に回収した。WTストレ プトアビジンについての同じ実験は、ビオチン結合ストレプトアビジンの例外的 な安定性と一致して、強い変性におけるカラムのインキュベートの後でさえビオ チンにより溶出し得ない、カラムへのそのタンパク質の不可逆的な結合をもたら した(図5B)。W120AおよびWTストレプトアビジンの固定化ビオチンカラムへの最 初の結合は、それらの高いアフィニティーの結果である。次のビオチンの緩衝液 フローへの添加において、W120A-ビオチン複合体の速いオフレートは、固定化( カラムに結合した)ビオチンに対する遊離ビオチンの効果的な競合を可能にし、 これは結合W120Aの置換を誘導する。WTストレプトアビジンの場合、極めて遅い ビオチンのオフレート(t1/2=35h)は、固定化ビオチン−WTストレプトアビジン の解離を妨げ、それは必然的にそのタンパク質のカラムへ不可逆的な結合をもた らす。 W120Aの速いオフレートキネティックスはまた、限外濾過および透析によるリ ガンド-遊離タンパク質の再生を可能にした。逆の実験、ビオチニル化標的の固 定化W120Aへの結合、および引き続く遊離ビオチンでの溶出は、本実験と等価で ある。W120Aの固定化ビオチンへの結合、および遊離ビオチンでのその溶出、な らびにWTストレプトアビジンの不可逆的結合は、アフィニティー分離の最適化に おけるアフィニティーとオフレートキネティックスの両方を調節することの重要 性を際立たせる。 WTストレプトアビジンおよびW120Aサブユニットの混合を有するキメラ四量体 を、等モル量のWTストレプトアビジンおよび120Aを混合することにより作製し、 グアニジンチオシアネート中で変性し、引き続き以下のように、透析により変性 タンパクをゆっ〈り再生した:WTストレプトアビジンおよびW120A(タンパク容 量=1.13ml)のそれぞれ2.4mgを、7.6mlの6Mのグアニジンチオシアネート中で 室温で一時間インキュベートし、そして4Lの25mM Tris.Cl、80mMグリシン中で 4℃にて一晩透析した。次いで透析物をさらなる精製のために回収した。再生の 際に、いくつかの異なるタンパク集団が生じる:1:3、2:2、および3:1(WT:W120A )のサブユニット化学量論を有するキメラ四量体、親WTおよびW120A、および凝集 /ミスフォールディングにより生じた変性タンパク質サブユニット。親W120A四量 体由来のキメラ四量体およびミスフォールド/凝集タンパクの分離には、2-イミ ノビオチンアフィニティークロマトグラフィーを利用した。W120Aは2-イミノビ オチンに対し103-1未満の親和性を示した。イミノビオチンカラムへの透析物 の通過、およびpH 4での結合タンパクの溶出は、キメラ四量体および親WTスト レプトアビジンからなる、最初のタンパク質の20%の回収をもたらした(図6A) 。透析物を結合緩衝液(50mM炭酸ナトリウム、0.5M NaCl pH11)中で平衡化し、そ して10mlのイミノビオチンカラム(Pierce,Rockford,IL)に通した。非結合タン パク(4mg)を結合緩衝液中で溶出し、そして特異的結合タンパク(0.8mg)を50mM の酢酸ナトリウム、0.5mM NaCl(pH 4)で溶出した。回収したタンパクを濃縮し、 そしてダイアフィルトレーションによりPBS(pH 7.4)中に交換した。キメラ四量 体の親WTストレプトアビジンからの分離は、WTストレプトアビジンおよびW120A の非常に異なるビオチンオフレートを用いた。そのタンパク質を2倍過剰のビ オチンとインキュベートし、そして過剰のビオチンを除去するために完全に限外 濾過した。WT-ビオチン複合体のt1/2は35時間であり、一方W120Aのt1/2が102 秒未満であるため、これはW120Aビオチン結合部位の実質的な分画からのビオチ ンの除去をもたらす。次いで、そのタンパク質をビオチンカラムに通し、緩衝液 で洗浄し、そして次に2mMビオチンで溶出した(図6B)。ビオチン飽和の親WTスト レプトアビジン四量体はカラムと結合せず、一方でフリーのビオチン結合部位を 有するWTストレプトアビジン四量体は、ビオチンカラムと不可逆的に結合する( 図 5Bを参照のこと)。この工程は、親WTストレプトアビジン四量体からキメラ四量 体を効果的に分離する。 ビオチンで溶出したタンパク質含有画分は、ネイティブポリアクリルアミドゲ ル電気泳動において、ビオチン結合ストレプトアビジン四量体と類似して移動し このことは、類似の四次構造であることを示す(μM濃度で混合四量体の20μlを 8%アクリルアミドゲルにおいて、SDS非存在下でMiniproteanゲル電気泳動装置 (BioRad Inc.、Hercules、CA)で分析した)。そのタンパク質集団がキメラ四量体 から構成されているという直接的な確証は、エレクトロスプレーマススペクトロ メトリー(ESMS)から得られた。キメラストレプトアビジン四量体を、非共有結合 的会合の保存に有利な条件下でESMSにより分析した。タンパク質濃度(WT+ビオチ ン、W120A、および混合四量体)は、10mM酢酸アンモニウム中(pH8.6)で10〜50μM 四量体であった。四量体の荷電状態を検出する実験を、低頻度のマス領域で単一 の4重極マススペクトロメーター(Extrel Corp.)で行った。機器の詳細および一 般の操作条件は、Light-Wahlら、J .Amer Chem.Soc. 115:5869(1993); Light-W ahlら、J .Amer Chem.Soc.116:5271(1994); Schwartzら、J .Amer Soc.Mass S pectrom. 5:201-204(1994); およびSchwartzら、J .Amer Soc.Mass Spectrom.( 1995)印刷中(本明細書中に参考として援用される)に見出し得る。結果を表Vに 示す。 推定のキメラ四量体の+14と+15両方の荷電状態のシフトしたピークの位置(4 量体ストレプトアビジンを示唆する)、および親WT+ビオチンまたはW120A4量 体の位置およびFWHMとの比較において、最大値の半分でのより広い全幅(FWHM)( 表VI)は、ビオチン結合WTおよびビオチンフリーW120Aサブユニットを含むキメラ 4量体の存在と一致する。+14の荷電状態およびより広いFWHMの位置のシフトが 、ビオチン結合WTおよびW120A四量体の混合集団より生じ得た、という別の説明 は、用いたアフィニティー精製により除外される。 WTサブユニットとW120Aサブユニットの両方がこのタンパク質中に存在すると いうさらなる確証は、4量体の単量体への解離に好ましい条件下でタンパク質を 分析することで得られた。単量体イオンを検出するためのESMSの実験を、Finnig anMAT triple quadrupoleマススペクトロメーターで、4量体の+6および+7 単量体イオンへの解離を誘導するキャピラリー加熱条件下で行った(キャピラリ ー電圧=+2..7kV、キャピラリー温度=180℃);サンプルの調製は上記に従った 。これらのESMSの結果は+7および+6電荷状態にかかわるピークがWTおよびW1 20Aサブユニットの両方から生じるということを示した。 マルチサブユニットタンパク質の2つの異なる集団のサブユニット混合を、共 鳴エネルギートランスファー実験により証明した。この実験では、1つの集団を 蛍光エネルギードナーで標識し、そしてもう一方を相補的な蛍光エネルギーアク セプターで標識した。この方法は一般的に、ErijmanおよびWeber、Biochemistry 30:1595-1599(1991)、およびErijmanおよびWeber、Photochem .Photobiol. 57: 411-415(1993)(本明細書中に参考として援用される)に記載される。当モル量の フルオレセインイソチオシアネート標識したWTストレプトアビジン(FITC-WTスト レプトアビジン)および7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアネートフェニル) -4-メチルクマリン標識したWTストレプトアビジン(CPI-WTストレプトアビジン) を混合し、6Mのグアニジンイソチオシアネート中で変性し、そして以下のよう に、緩衝液中で透析して再生させた:WTストレプトアビジンを、50mM Na2CO3、1 50mM NaCl(pH9.0)中で、室温で2時間、10倍モル過剰量のFITCまたCPI(Molecula r Probes,Eugene,OR)中でタンパク質をインキュベートして、FITCまたはCPIで 標識した。次いで、標識したタンパク質をゲル濾過(PD-10,Pharmacia,Piscata way,NJ)により非結合フルオロホアから分離した。フルオロホア標識率は、吸光 度の測定で決定したように、代表的には4量体当たり3〜4であった。FITC標識 WTストレプトアビジンおよびCPI標識WTストレプトアビジンの当モル量混合物を1 .5mlの6Mグアニジンチオシアネート中で1時間、室温でインキュベートし、次 いで、25mM Tris.Cl、80mMグリシン(pH8.6)で透析した。蛍光測定は、Hitachi F-5000スペクトロフルオリメーターで行った:励起=385nm、発光=400〜500nm 。再生タンパク質4量体およびコントロールの同一濃度を確実に等しくするよう に注意を払う一方で、透析から生じる希釈の効果を、各サンプルのトリプトファ ン蛍光を標準化して補正した。 従って、これらの2つの異なる4量体集団の物理的混合に際して(カオトロー プにより誘導された変性およびタンパタ質リフォールディングが続く)、共鳴エ ネルギートランスファーの発生は、2つの異なるサブユニットタイプからなる、 キメラ4量体の生成を明らかに証明した。WTストレプトアビジンでの結果を図1 に示す:再生混合物の発光スペクトルは、変性/再生を受けていないこれらの2 つの標識タンパク質混合物と比較して、FITC標識WTストレプトアビジン(蛍光エ ネルギーアクセプター)の強度における顕著な増強を示し、これは蛍光エネルギ ートランスファーの発生を示す。蛍光共鳴エネルギートランスファーの観察は、 同一(四量体の)分子におけるドナーおよびアクセプター標識の存在の診断になる (FITC標識WTストレプトアビジンおよびCPI標識WTストレプトアビジン両方のサブ ユニットからなるキメラストレプトアビジン四量体の創出の結果)。 これらの結果は、標的化成分(WTサブユニットに結合したビオチン)およびイメ ージング成分(キメラストレプトアビジン四量体のW120Aサブユニットによるビオ チンカラムへの結合)は、異なるサブユニットアフィニティーおよびビオチン解 離キネティックスで、キメラストレプトアビジン四量体を用いることにより分離 され得るということを証明する。従って、薬物送達、イメージング、および他の そのような使用に関して、キメラ四量体が、より低いアフィニティーサブユニッ トの速いオフレートにより、高いアフィニティーサブユニットに選択的に分割さ れるように、ビオチニル化分子(例えば、ビオチニル化抗体)とともにロードされ る。ビオチニル化標的/キメラ複合体は、抗体を介して所望の部位に標的化する 。イメージング剤および薬物は循環し、より低いアフィニティーサブユニットに より捕獲される。 前述の発明を、理解を明確にする目的で、例示および実施例により、いくらか 詳細に記載したが、ある種の変化および改変が、添付の請求の範囲の範囲内で実 施され得ることは明白である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:465) (C12P 21/02 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),UA(AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM ),AM,AT,AU,AZ,BB,BG,BR,BY ,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES, FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD ,MG,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.野生型のストレプトアビジンに比べて、ビオチンに対する四量体の結合アフ ィニティーの減少または解離速度定数の増加をもたらす、アミノ酸79位、92位、 108位、または120位のトリプトファン残基のアミノ酸置換を有する少なくとも1 つの単量体を含む、ストレプトアビジン四量体。 2.ビオチンに対する前記四量体の結合アフィニティーが約1×1013-1未満で ある、請求項1に記載のストレプトアビジン四量体。 3.少なくとも2つの単量体が、ビオチンに対する前記四量体の結合アフィニテ ィーの減少をもたらすアミノ酸改変を有する、請求項1に記載のストレプトアビ ジン四量体。 4.少なくとも3つの単量体が、ビオチンに対する前記四量体の結合アフィニテ ィーの減少をもたらすアミノ酸改変を有する、請求項3に記載のストレプトアビ ジン四量体。 5.前記四量体を含む4つの単量体全てが、ビオチンに対する前記四量体の結合 アフィニティーの減少をもたらすアミノ酸改変を有する、請求項4に記載のスト レプトアビジン四量体。 6.前記アミノ酸置換がアミノ酸残基79位である、請求項1に記載のストレプト アビジン四量体。 7.前記トリプトファン残基がアミノ酸残基120位である、請求項1に記載のス トレプトアビジン四量体。 8.前記トリプトファン残基がアミノ酸残基108位である、請求項1に記載のス トレプトアビジン四量体。 9.さらに野生型のストレプトアビジンに比較して、平衡エンタルピーの減少、 平衡自由エネルギーの減少、活性化自由エネルギーの減少、または活性化エンタ ルピーの減少を有する、請求項1に記載のストレプトアビジン単量体。 10.さらに野生型ストレプトアビジンに比較して、平衡エンタルピーの増加ま たは活性化エンタルピーの増加を有する、請求項1に記載のストレプトアビジン 単量体。 11.野生型のストレプトアビジンに比べて、ビオチンに対するストレプトアビ ジン四量体の結合アフィニティーの減少または解離速度定数の増加をもたらす、 アミノ酸79位、92位、108位、または120位のトリプトファン残基のアミノ酸置換 を有するストレプトアビジン単量体をコードする、単離されたポリヌクレオチド 分子。 12.前記アミノ酸位の少なくとも2つのアミノ酸置換をコードする、請求項1 1に記載の単離されたポリヌクレオチド分子。 13.アミノ酸79位、92位、108位、または120位におけるトリプトファン残基に 対するアミノ酸置換を有する改変された単量体が4つ未満であるが少なくとも1 つの改変された単量体を有するキメラストレプトアビジン四量体を生産する方法 であって、ここで該置換が、野生型のストレプトアビジンに比較して、ビオチン に対する結合アフィニティーの減少または解離速度定数の増加をもたらし: アミノ酸置換の少なくとも1つを有するストレプトアビジンの同種四量体を生 産する工程; 該同種ストレプトアビジン四量体を単量体および/または二量体サブユニット に分離する工程;および 該アミノ酸置換を有するストレプトアビジン単量体および/または二量体を、 該回じ置換を有しないストレプトアビジン単量体または二量体サブユニットと、 ストレプトアビジン四量体のリフォールディングを可能にする条件下で混合し、 それによりキメラストレプトアビジン四量体を生産する工程、 を包含する方法。 14.分離する工程がグアニジンイソチオシアネート中での変性による、請求項 13に記載の方法。 15.前記の特徴が、ビオチンに対するストレプトアビジンの結合アフィニティ ーの減少をもたらすアミノ酸改変である、請求項13に記載の方法。 16.前記アミノ酸置換を有するストレプトアビジン単量体および/または二量 体がさらに標識、薬物、毒素、標的化分子、金属、または酵素を有する、請求項 13に記載の方法。 17.アミノ酸79位、92位、108位、または120位のトリプトファン残基に対する アミノ酸置換を有する前記ストレプトアビジン改変単量体が、さらに該四量体の 単量体/単量体または二量体/二量体接触面に共有結合するアミノ酸配列中に少な くとも1つのシステイン残基を含む、請求項13に記載の方法。 18.前記システインがH127位に位置している、請求項17に記載の方法。 19.前記標的物を含む異種の懸濁物から標的物を分離する方法であって: a)該懸濁物を、該標的物に結合するビオチニル化された結合成分と、ビオチニ ル化された標的物複合体を形成するために反応させる工程; b)該ビオチニル化された標的物複合体を含む懸濁物を、改変がアミノ酸79位、 92位、108位、または120位におけるトリプトファン残基に対するアミノ酸置換で あり、そして該置換が、野生型ストレプトアビジンに比較して、ビオチンに対す る結合アフィニティーの減少または解離速度定数の増加をもたらす、改変された 単量体が4つ未満であるが少なくとも1つの改変された単量体を含むキメラスト レプトアビジン四量体に、曝露する工程;および 該ビオチニル化標的物複合体を、該キメラストレプトアビジン四量体から富化 された形態で該標的物を回収するために、該懸濁物から分離する工程、 を包含する、方法。 20.前記標的物が造血幹細胞である、請求項19に記載の方法。 21.前記ビオチニル化結合成分が、CD34+造血幹細胞に特異的に結合する抗体 である、請求項20に記載の方法。 22.前記異種懸濁物が骨髄、末梢血、または臍帯血であり、そして前記ビオチ ニル化抗体標的物複合体が、前記キメラストレプトアビジン四量体が、固体相に 吸着されたカラム内で、該キメラストレプトアビジン四量体に曝露される、請求 項21に記載の方法。
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