JPH1149571A - 窒化珪素質焼結体とその製造方法 - Google Patents

窒化珪素質焼結体とその製造方法

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JPH1149571A
JPH1149571A JP9220651A JP22065197A JPH1149571A JP H1149571 A JPH1149571 A JP H1149571A JP 9220651 A JP9220651 A JP 9220651A JP 22065197 A JP22065197 A JP 22065197A JP H1149571 A JPH1149571 A JP H1149571A
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JP
Japan
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sintered body
silicon nitride
stage
green compact
powder
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JP9220651A
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English (en)
Inventor
Katsura Matsubara
桂 松原
Kazuhiro Urashima
和浩 浦島
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大がかりな装置を必要とせず焼成費用が安価
で、一度の焼成で所望の形状で高強度の窒化珪素質焼結
体を製造することができる窒化珪素質焼結体の製造方法
を提供する。 【解決手段】8wt%のYb23粉末と、3wt%のM
gO粉末と、0.5wt%のAl23粉末と88.5w
t%のSi34原料粉末から成る圧粉体を、1気圧
(0.1MPa)の窒素雰囲気下で昇温して1500℃
で1時間保持し、その後雰囲気を75気圧(7.5MP
a)に昇圧して1500℃で4時間保持して焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベアリングボール
などの耐摩耗部材、タペットシムなどのエンジン部材及
び製鉄ラインにおける塑性加工用治具等に好適な強度特
性に優れた窒化珪素質焼結体及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素焼結体は、機械的特性、耐熱性
及び耐食性等に優れているため、様々な構造部材への適
用が試みられている。しかしながら、金属材料と比較す
ると、未だ強度や靭性が低く、窒化珪素材料が幅広く利
用されるに至っていない。この為、強度向上に対しては
様々な検討が成されてきた。
【0003】窒化珪素焼結体の強度は、主に残留気孔及
び徴構造によって左右されることが知られている。そこ
で、従来、高強度焼結体を得るためには、ホットプレス
焼結や熱間静水圧加圧(HIP)焼結といった高圧力下
で行う焼成法を用い、残留気孔が無く微細な組織を有す
る焼結体を製造している。
【0004】例えば、特開平1−242467号公報で
は、成形体にガラス被覆を施してHIP焼結することに
より機械的特性に優れた高密度窒化珪素焼結体を得てい
る。また、特開平5−70233号公報では、焼結助剤
組成範囲を限定して1300〜1700℃という低温で
一次焼結を行った後、80気圧(8MPa)以上の高圧
下で二次焼結により緻密化させて、高強度焼結体を製造
している。更に、特開平4−231381号公報では、
SiCと複合化することによりSi34粒子の粒成長を
抑制し、高強度を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来、
窒化珪素焼結体においては、主として焼結助剤組成、添
加物及び焼結方法などを検討することにより、高強度化
が達成されている。しかしながら、焼結方法としては、
いずれもホットプレスあるいはHIP焼結などの加圧条
件下により行っているので、次のような欠点がある。即
ち、ホットプレスは一軸加圧であるため複雑形状の焼結
を行うことは不可能であり、また、HIP焼結は大がか
りな装置を必要とするため焼成費用が嵩むといった欠点
がある。
【0006】また、HIP焼結より低い圧力で行うガス
圧焼結により高強度焼結体を作製している例もあるが、
ガス圧焼結の前に開気孔が消滅する程度に予備焼結する
必要があり、都合二度の焼成を行わなければならないと
いう欠点がある。
【0007】本発明は、上記従来技術の欠点を解消した
高強度の窒化珪素質焼結体とその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技
術の状況を鑑み、焼結助剤組成を検討したところ、特定
組成の焼結助剤を用いることにより、1回のガス圧焼結
により緻密で高強度な窒化珪素焼結体を得ることが可能
であるということを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。より詳細には、以下の知見に基づき本発明を完成す
るに至った。
【0009】通常、高強度窒化珪素焼結体を開発する場
合、微細組織を得るために、より低温での液相生成が可
能な焼結助剤組成をまず探索する。また、焼結法として
は、開気孔が無くなるまで、即ち理論密度比で95%程
度まで一次焼結を行った後、強度低下の要因となる残留
気孔を完全に除去するため、二次焼結としてHIP処理
を施している。
【0010】しかしながら、このようにして得られた焼
結体であっても非常に低強度を示すものが時としてみら
れる。この原因について調査した結果、組織がいかに微
細であっても、窒化珪素粒子のほとんどが等軸晶である
と低強度となってしまうことがわかった。これは、理論
的には、このような組織であっても微細であれば高強度
化するはずであるが、実際には、クラックディフレクシ
ョンの効果が得られないため靭性が低下し、焼結体中不
可避に存在する欠陥から、低応力で破壊してしまうもの
と考えられた。そこで本発明者は、靭性を向上させるべ
く粒子を針状化することを念頭に置き、焼結助剤組成の
探索及び焼結条件の検討を行って本発明を完成するに至
ったのである。
【0011】本発明によれば、次の窒化珪素質焼結体及
び窒化珪素質焼結体の製造方法により上記目的を達成す
ることができる。即ち、上記課題を解決するための請求
項1の発明は、窒化珪素及びYbサイアロンのうちの1
種以上の多結晶粒子とYb−Mg−Al−Si−O−N
の非晶質相とから実質的に成る焼結体であって、前記焼
結体中のYb量がYb23換算で4〜10wt%、Mg
量がMgO換算で2〜5wt%、Al量がAl23換算
で0.5〜4wt%であり、Al23/MgO重量比が
1以下であることを特徴とする窒化珪素質焼結体を要旨
とする。請求項2の発明は、前記焼結体の残留α率が5
〜35%であることを特徴とする請求項1に記載の窒化
珪素質焼結体を要旨とする。
【0012】請求項3の発明は、Si34原料粉末、Y
23粉末、Mg化合物粉末及びAl化合物粉末から成
る圧粉体を前記圧粉体に対して不活性な雰囲気下で焼成
する焼成工程を含み、前記焼成工程は、前記圧粉体を1
〜2気圧(atm)(0.1〜0.2MPa)の雰囲気
下で昇温して1400〜1600℃で実質的に開気孔が
残らないようになるまで保持する第一ステージと、前記
第一ステージの後に雰囲気圧力を30気圧(atm)
(3MPa)以上に昇圧して、前記第一ステージを経た
圧粉体を1400〜1600℃で焼結体の残留α率が5
〜35%に達するまで保持する第二ステージを含むこと
を特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法を要旨とす
る。請求項4の発明は、前記第一ステージにおいて14
00〜1600℃で0.5〜2時間、前記第二ステージ
において1400〜1600℃で2〜5時間夫々保持す
ることを特徴とする請求項3に記載の窒化珪素質焼結体
の製造方法を要旨とする。なお、本発明において数値範
囲の記載は、両端値のみならず、その中に含まれる全て
の任意の中間値を含むものとする。また、wt%は、重
量%のことである。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔窒化珪素質焼結体〕本発明の窒化珪素質焼結体は、窒
化珪素及びYbサイアロンのうちの1種以上の多結晶粒
子とYb−Mg−Al−Si−O−Nの非晶質相とから
実質的に成る焼結体である。
【0014】ここで、窒化珪素及びYbサイアロンのう
ちの1種以上の多結晶粒子とYb−Mg−Al−Si−
O−Nの非晶質相とから実質的に成る焼結体とは、この
焼結体のX線回折測定を行った場合に、スペクトルがα
型窒化珪素、β型窒化珪素、α’型サイアロン及びβ’
型サイアロンのうちの1種以上で説明され(即ち、α型
窒化珪素、β型窒化珪素、α’型サイアロン及びβ’型
サイアロンのうちの1種以上のピークを含み)、その粒
界相については、窒化珪素あるいはサイアロンの最強ピ
ークに対し10%を越えるスペクトルが存在しないこと
を意味する。尚、粒界相をこのような非晶質に限定した
のは、結晶相を生成するとこれが起点となって低強度で
破壊してしまうことがあるからである。
【0015】故に、粒界相は非晶質であることが望まし
いが、Yb、Mg、Al、Si、O及びNの元素のうち
2種類以上からなる結晶相が、粒界相に極微量だけ析出
した場合も本発明の窒化珪素質焼結体に含まれる。
【0016】本発明の窒化珪素質焼結体は、好ましく
は、残留α率が5〜35%(より好ましくは10〜30
%、さらに好ましくは15〜25%)である。前記焼結
体の残留α率を5〜35%としたのは、同様に緻密体で
あっても、残留α率が5%よりも低すぎると粗大なβ粒
子から成る組織となり、強度が低下する傾向があるから
である。また、逆に35%よりも高すぎると針状のβ粒
子が少ないために、クラックディフレクションの効果が
得られず、靭性が低下する傾向があるからである。
【0017】ここで、窒化珪素質焼結体の残留α率と
は、冷却後の窒化珪素質焼結体におけるα相(α型窒化
珪素の相)の存在率を意味する。例えば、焼結体の残留
α率が5〜35%であるとは、以下のことを意味する。
即ち、通常用いられるα型窒化珪素原料粉末に焼結助剤
を添加して焼成した場合、昇温途中及び温度保持の最中
に高温相のβ型に相転移するが、冷却後の焼結体におい
てα相が、未だ5〜35%存在していることを示してい
る。
【0018】また、この残留α率Rαは、α−Si34
あるいはα’型サイアロンの指数(hkl)のX線回折
強度をα(hkl)として示し、β−Si34あるいは
β’型サイアロンの指数(hkl)のX線回折強度をβ
(hkl)として示すと、X線回折により以下の様に定
義される。
【0019】
【数1】
【0020】本発明の窒化珪素質焼結体は、焼結体中の
Yb量がYb23換算で4〜10wt%(より好ましく
は5〜9wt%、さらに好ましくは6〜8wt%)、M
g量がMgO換算で2〜5wt%(より好ましくは2〜
4wt%、さらに好ましくは2.5〜3.5wt%)、
Al量がAl23換算で0.5〜4wt%(より好まし
くは0.5〜3wt%、さらに好ましくは1〜2wt
%)であり、Al23/MgO重量比が1以下(より好
ましくは0.15〜1、さらに好ましくは0.3〜0.
7)である。
【0021】本発明の窒化珪素質焼結体の強度は、三点
曲げ強度(JIS R 1601)で好ましくは140
0MPa以上(より好ましくは1450MPa以上、さ
らに好ましくは1500MPa以上)である。また、本
発明の窒化珪素質焼結体の靱性は、JIS R 160
7に従うIF法による測定法で好ましくは5MPa・m
1/2以上(より好ましくは5.5MPa・m1/2以上、さ
らに好ましくは6MPa・m1/2以上)である。本発明
の窒化珪素質焼結体の密度は、アルキメデス法により測
定し混合則で計算した理論密度に対する比で好ましくは
98%以上(より好ましくは99%以上、さらに好まし
くは99.5%以上)である。
【0022】本発明の窒化珪素質焼結体は、好ましく
は、Si34原料粉末、Yb23粉末、MgO及びAl
23粉末を混合成形して圧粉体とした後、1〜2気圧
(0.1〜0.2MPa)の窒素雰囲気下で昇温して1
400〜1600℃、好ましくは1450〜1550℃
で0.5〜2時間保持し、雰囲気を30気圧(3MP
a)以上、好ましくは50気圧(5MPa)以上100
気圧(10MPa)以下に昇圧して2〜5時間保持する
ことにより得ることができる。
【0023】〔窒化珪素質焼結体の製造方法〕本発明の
窒化珪素質焼結体の製造方法は、Si34原料粉末、Y
23粉末、Mg化合物粉末及びAl化合物粉末から成
る圧粉体を前記圧粉体に対して不活性な雰囲気下で焼成
する焼成工程を含む。前記圧粉体に対して不活性な雰囲
気として、好ましくは窒素雰囲気を用いる。
【0024】[圧粉体]前記圧粉体は、好ましくは、Y
23粉末を4〜10wt%(より好ましくは5〜9w
t%、さらに好ましくは6〜8wt%)、Mg化合物粉
末を2〜5wt%(より好ましくは2〜4wt%、さら
に好ましくは2.5〜3.5wt%)、Al化合物粉末
を0.5〜4wt%(より好ましくは0.5〜3wt
%、さらに好ましくは1〜2wt%)含有し、残りの部
分がSi34原料粉末から成るものにする。前記圧粉体
におけるSi34原料粉末の含有率は、好ましくは85
〜95wt%(より好ましくは88〜92wt%、さら
に好ましくは89〜91wt%)である。
【0025】Si34原料粉末としては、好ましくはα
型窒化珪素を用いる。Yb23粉末としては、Yb23
の組成のものであれば結晶の種類等にかかわらずいずれ
のものでも用いることができるが、できるだけ微細な粉
末を用いるのが好ましい。Mg化合物粉末としては、M
gO粉末の他、塩基性炭酸マグネシウム4MgCO3
Mg(OH)2・5H2O粉末を、Al化合物粉末として
は、Al23粉末の他AlN等を使用することが可能で
ある。
【0026】焼結助剤として、数ある希土類酸化物の中
からYb23粉末を選択した理由は、この元素が最も焼
結体組織の針状化に寄与するからである。また、MgO
粉末については、低温での液相生成を促進する効果があ
り、アスペクト比の高い窒化珪素粒子が形成される。更
に、Al23粉末については、窒化珪素粒子内に置換固
溶し、無用な粒成長を抑制する効果があることから、焼
結体組織全体の微細化に有効である。
【0027】前記圧粉体における好ましいYb23粉末
含有率を4〜10wt%としたのは、4wt%未満の場
合には焼結性が低下する傾向があり、10wt%を越え
るとメリライト型結晶相を粒界に多量に生じ、強度が低
下してしまう傾向があるからである。
【0028】前記圧粉体における好ましいMg化合物粉
末(好ましくはMgO粉末)含有率は2〜5wt%であ
る。この含有率が2wt%未満の場合には焼結性が低下
する傾向があり、5wt%を越えるとMg成分が粒界相
に偏析し、強度が低下する傾向があるからである。
【0029】前記圧粉体における好ましいAl化合物粉
末(好ましくはAl23粉末)含有率は0.5〜4wt
%である。この含有率が0.5wt%未満の場合には粒
成長を抑制する効果が不十分である傾向があり、一方、
4wt%を越える場合については、窒化珪素粒子と粒界
ガラス相の界面接合強度が強固になるため、粒内破壊が
増加してクラックディフレクションが生じず、靭性の低
下を生じてしまう傾向があるからである。
【0030】更に、前記圧粉体における好ましいAl2
3/MgO重量比は1以下であり、そのようにしたの
は、MgOはAl23とは逆に窒化珪素粒子と粒界ガラ
ス相の界面接合強度を弱くするような効果があり、粒界
破壊を生じさせるためにはMgO添加量はAl23添加
量より常に同量以上であることが好ましいからである。
【0031】Si34原料粉末の平均粒径は、好ましく
は0.3〜1μmである。Yb23粉末の平均粒径は、
好ましくは0.5〜3μmである。Mg化合物粉末の平
均粒径は、好ましくは0.01〜1μmである。Al化
合物粉末の平均粒径は、好ましくは0.5〜3μmであ
る。
【0032】前記圧粉体として、好ましくは、等方的に
加圧されて得られた等方加圧圧粉体を用いる。等方的に
加圧するための手段としては、例えば湿式法静水圧プレ
スあるいは乾式法静水圧プレス等がある。加圧する際の
圧力は、好ましくは100MPa以上にする。前記圧粉
体の密度は、好ましくは理論密度の50%以上にする。
【0033】[圧粉体の焼成工程]前記焼成工程は、次
の第一ステージと第二ステージを含む。
【0034】[第一ステージ]即ち、第一ステージは、
前記圧粉体を1〜2気圧(0.1〜0.2MPa)(好
ましくは1〜1.5気圧(0.1〜0.15MPa))
の雰囲気下で昇温して(好ましくは20〜100℃の非
加熱時の雰囲気温度から1400〜1600℃まで昇温
して)、1400〜1600℃(好ましくは1450〜
1550℃、より好ましくは1480〜1520℃)の
焼結温度で0.5〜2時間(好ましくは0.5〜1.5
時間)保持するステージ(1400〜1600℃での保
持圧力1〜2気圧(0.1〜0.2MPa))である。
【0035】ここで、昇温時の圧力を1〜2気圧とした
のは、圧力が1気圧(0.1MPa)よりも低いと揮発
により焼結体の表面が肌荒れを起こし、また圧力が2気
圧(0.2MPa)よりも高くなると緻密化を阻害する
ためである。
【0036】第一ステージの焼結温度に関しては、14
00℃よりも低温になると助剤組成により多少異なるが
緻密化しないか、たとえ緻密化しても残留α率が35%
より高くなってしまう。一方、1600℃よりも高温に
なると、逆に残留α率が5%より低くなってしまう。
【0037】第一ステージの雰囲気は、前記圧粉体に対
して不活性な雰囲気、好ましくは窒素雰囲気にする。ま
た、非加熱時の雰囲気温度から1400〜1600℃ま
で昇温する際の昇温速度は、好ましくは1〜15℃/分
(より好ましくは5〜10℃/分)にする。
【0038】第一ステージの1400〜1600℃での
保持時間については、基本的には温度に依存して定めら
れ、より低温程長時間を要する傾向があり、実質的に開
気孔が残らないよう定める。平均的に言うと、0.5時
間よりも短すぎると焼結が進まず開気孔が残ってしまう
ため、この後の第二ステージで昇圧したときに第二ステ
ージで加える圧力の効果が得られない傾向がある。ま
た、2時間を越えると窒化珪素粒子が粒成長してしまう
ため、第二ステージで昇圧した際に残留気孔を完全に潰
すことが困難となる傾向がある。
【0039】[第二ステージ]また、第二ステージは、
前記第一ステージの後に引き続いて行うステージであ
り、雰囲気圧力を30気圧(3MPa)以上(好ましく
は50気圧(5MPa)以上100気圧(10MPa)
以下)に昇圧して(好ましくは、前記第一ステージにお
ける1400〜1600℃での保持温度における雰囲気
圧力から30気圧(3MPa)以上に昇圧して)、前記
第一ステージを経た圧粉体(半焼成体)を1400〜1
600℃(好ましくは1450〜1550℃、より好ま
しくは1480〜1520℃)の焼結温度で2〜5時間
(好ましくは3〜4時間)保持するステージである。
【0040】最終的に圧力を30気圧(3MPa)以上
としたのは、これより低圧だと残留気孔を消去しきれな
いためである。更に、圧力は高いほど気孔は消去される
が、焼成コストを考慮すれば100気圧(10MPa)
までで十分である。
【0041】第二ステージの保持時間(1400〜16
00℃での保持時間)については、2時間よりも短すぎ
ると針状組織が発達せず、5時間よりも長すぎると残留
α率が低くなって好ましくないことになる。
【0042】第二ステージの雰囲気は、前記圧粉体に対
して不活性な雰囲気、好ましくは窒素雰囲気にする。前
記第一ステージにおける1400〜1600℃での保持
温度における雰囲気圧力から30気圧(3MPa)以上
に昇圧する際の昇圧速度は、好ましくは0.1〜2MP
a/分(より好ましくは0.5〜1MPa/分)にす
る。
【0043】第二ステージの焼結温度に関しては、14
00℃よりも低温になると助剤組成により多少異なるが
緻密化しないか、たとえ緻密化しても残留α率が35%
より高くなってしまう。一方、1600℃よりも高温に
なると、逆に残留α率が5%より低くなってしまう。
【0044】
【実施例】
[実施例1]平均粒径0.6μm、α率97%のSi3
4粉末に、平均粒径1.2μmのYb23粉末、平均
粒径0.05μmのMgO粉末及び平均粒径1.0μm
のAl 23粉末の各粉末を表1に示した組成で配合し、
窒化珪素製の球石を使用してエタノール中で湿式混合後
に湯煎乾燥して得られた粉末を55×55×25mmに
2ton/cm2(200MPa)の圧力で静水圧プレ
ス成形し、1気圧(0.1MPa)−1500℃−1h
/75気圧(7.5MPa)−1500℃−4hで焼成
した。
【0045】
【表1】
【0046】得られた焼結体の密度、残留α率、粒界相
の状態、強度及び靭性を表2に示す。ここで、焼結体の
密度は、アルキメデス法により測定し混合則で計算した
理論密度に対する比で表した。残留α率は、前述のよう
にX繰回折のピーク強度から計算式を用いて算出した。
強度は、焼結体加工装置によりJIS試験片を作製し、
JIS R 1601に従う三点曲げ強度により測定し
た。靭性は、JISR 1607に従うIF法により測
定した。尚、粒界相の状態については、焼結体のX線回
折測定を行い窒化珪素あるいはYbサイアロンの最強ピ
ークに対して、10%以下のスペクトルしか存在しない
場合は非晶質、10%以上のスペクトルが存在する場合
は、その結晶相名を記載した。
【0047】
【表2】
【0048】表2から明らかなように、本発明の組成に
属する焼結体によれば1回のみの焼結で1400MPa
以上の高強度が得られる。比較例8では、MgO添加量
が1wt%と少ないため焼結後の密度が低く、低強度で
ある。また、比較例9及び11においてはAl23の添
加量が多いこと、及びAl23/MgO比(重量比)が
高いことから靭性が低く、強度が低い。比較例10で
は、MgO添加量が多いためにMgの偏析が生じ、これ
を起点として低応力で破壊している。比較例12では、
Yb23添加量が多いため、メリライト型の結晶相(Y
2Si334)を粒界に生成し、低強度を示してい
る。
【0049】[実施例2]平均粒径0.6μm、α率9
7%のSi34粉末に、平均粒径1.2μmのYb23
粉末、平均粒径0.05μmの塩基性炭酸マグネシウム
4MgCO3・Mg(OH)2・5H2O粉末及び平均粒
径1.0μmのAl23粉末の各粉末を重量基準で、8
8%Si34−8%Yb23−7.2%4MgCO3
Mg(OH)2・5H2O(3%MgO換算)−1%Al
23組成に配合し、窒化珪素ボールミルを使用して水中
で混合し、スプレー乾燥した。この粉末を55×55×
30mmに2ton/cm2(200MPa)の圧力で
静水圧プレス成形し、表3に示す焼結条件により焼成し
た。
【0050】
【表3】
【0051】得られた焼結体の密度、残留α率、強度及
び靭性を表4に示す。ここで、焼結体の密度は、アルキ
メデス法により測定し混合則で計算した理論密度に対す
る比で表した。残留α率は、前述のようにX繰回折のピ
ーク強度から計算式を用いて算出した。強度は、焼結体
加工装置によりJIS試験片を作製し、JIS R16
01に従う三点曲げ強度により測定した。靭性は、JI
S R 1607に従うIF法により測定した。
【0052】
【表4】
【0053】表4から明らかなように、本発明の製造方
法によれば高強度焼結体を得ることが可能である。な
お、比較例18では、第Iステージすなわち昇温過程の
雰囲気圧力が高いため、比較例19では、第IIステージ
の圧力が10気圧(1MPa)と低いため、いずれも緻
密化の度合いが低く、低強度となっている。比較例20
では、第Iステージの保持時間が長すぎるため、比較例
21では焼結温度が高すぎるため、いずれも粗大粒子が
生成し強度を低下させている。
【0054】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1〜2の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素及びYbサイア
ロンのうちの1種以上の多結晶粒子とYb−Mg−Al
−Si−O−Nの非晶質相とから実質的に成る焼結体で
あって、前記焼結体中のYb量がYb23換算で4〜1
0wt%、Mg量がMgO換算で2〜5wt%、Al量
がAl23換算で0.5〜4wt%であり、Al23
MgO重量比が1以下であるので、次の基本的効果を奏
することができる。
【0055】(1)焼結体における微構造及び窒化珪素
粒子と粒界相の界面強度が改善されており、高強度であ
る。 (2)また、一度の焼成で作製できるため、製造する際
に焼成費用の削減が可能となり、低コストで製造するこ
とができるから安価である。請求項2の窒化珪素質焼結
体は、上記基本的な効果がより顕著である。
【0056】請求項3〜4の窒化珪素質焼結体の製造方
法は、Si34原料粉末、Yb23粉末、Mg化合物粉
末及びAl化合物粉末から成る圧粉体を前記圧粉体に対
して不活性な雰囲気下で焼成する焼成工程を含み、前記
焼成工程は、前記圧粉体を1〜2気圧(0.1〜0.2
MPa)の雰囲気下で昇温して1400〜1600℃で
実質的に開気孔が残らないようになるまで保持する第一
ステージと、前記第一ステージの後に雰囲気圧力を30
気圧(3MPa)以上に昇圧して、前記第一ステージを
経た圧粉体を1400〜1600℃で焼結体の残留α率
が5〜35%に達するまで保持する第二ステージを含む
ものであり、このような焼結条件の最適化により、所望
の形状の上記本発明の窒化珪素質焼結体を、一度の焼成
で製造することができるため、焼成費用の削減が可能と
なり、コストダウンを可能とするという基本的な効果を
奏することができるものである。請求項4の窒化珪素質
焼結体の製造方法は、上記基本的な効果が顕著である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素及びYbサイアロンのうちの1種
    以上の多結晶粒子とYb−Mg−Al−Si−O−Nの
    非晶質相とから実質的に成る焼結体であって、前記焼結
    体中のYb量がYb23換算で4〜10wt%、Mg量
    がMgO換算で2〜5wt%、Al量がAl23換算で
    0.5〜4wt%であり、Al23/MgO重量比が1
    以下であることを特徴とする窒化珪素質焼結体。
  2. 【請求項2】前記焼結体の残留α率が5〜35%である
    ことを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素質焼結体。
  3. 【請求項3】Si34原料粉末、Yb23粉末、Mg化
    合物粉末及びAl化合物粉末から成る圧粉体を前記圧粉
    体に対して不活性な雰囲気下で焼成する焼成工程を含
    み、 前記焼成工程は、前記圧粉体を1〜2気圧(0.1〜
    0.2MPa)の雰囲気下で昇温して1400〜160
    0℃で実質的に開気孔が残らないようになるまで保持す
    る第一ステージと、前記第一ステージの後に雰囲気圧力
    を30気圧(3MPa)以上に昇圧して、前記第一ステ
    ージを経た圧粉体を1400〜1600℃で焼結体の残
    留α率が5〜35%に達するまで保持する第二ステージ
    を含むことを特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記第一ステージにおいて1400〜16
    00℃で0.5〜2時間、前記第二ステージにおいて1
    400〜1600℃で2〜5時間夫々保持することを特
    徴とする請求項3に記載の窒化珪素質焼結体の製造方
    法。
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