JPH1149226A

JPH1149226A - 固形体を含む食品の包装体

Info

Publication number: JPH1149226A
Application number: JP9210474A
Authority: JP
Inventors: Shunichi Shiokawa; 俊一塩川; Akio Fukuda; 彰男福田
Original assignee: Toppan Printing Co Ltd
Current assignee: Toppan Inc
Priority date: 1997-08-05
Filing date: 1997-08-05
Publication date: 1999-02-23

Abstract

(57)【要約】【課題】酸素透過度が小さく、ゲルボテストによるピン
ホールの発生の少ない積層材料を使用した固形体を含む
食品の包装体を提供することを目的とする。【解決手段】基材に金属酸化物蒸着層を設け、この蒸着
層面に水溶性高分子と金属アルコキシドまたはその加水
分解物を含む被覆層を設けたバリアフィルム、介在フィ
ルム、およびシーラント層を接着層を介して積層した積
層包装材料で密封包装した軸付きコーン等の固形体を含
む食品の包装体である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軸付きコーンのよ
うに固形体をそのまま充填し、密封包装にするのに適
し、かつ使用後の廃棄処理が容易な積層包装材料を用い
た固形体を含む食品の包装体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、軸付きコーンを包装する包装体
は、防湿性、ガスバリア性の優れた積層包装材料を用い
て密封包装されて販売されていた。この積層包装材料の
一般的な構成として、例えば、プラスチックフィルム／
接着層／ガスバリア層／接着層／シーラント層が用いら
れていた。ここで、ガスバリア層として、内容物が見
え、しかもガスバリア性が優れた材料として、以下の材
料が使用されていた。

【０００３】例えば、エチレンービニルアルコール共重
合体、ポリ塩化ビニリデン、ボリ塩化ビニリデンコート
したプラスチックフィルム等があげられるが、軸付きコ
ーンを常温で１年間保存できるには、まだ十分なガスバ
リア性を維持するものでなかった。

【０００４】また、前記バリア性フィルムとして、前記
プラスチックフィルム以外に、プラスチックフィルムに
金属酸化物を蒸着した蒸着フィルムも注目されている。
しかし、この蒸着フィルムも防湿性、ガスバリア性がが
不十分であった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属酸化物
を蒸着した蒸着フィルムを用いた構成で、酸素透過度が
２ｃｃ／ｍ²・ｄａｙ以下の、コストが高くならず、商
業的にも充分使用可能な透明な積層包装材料を使用した
包装体提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、固形体を含む
食品を、酸素透過度が２ｃｃ／ｍ²・ｄａｙ以下の透明
積層包装材料で密封包装した固形体を含む食品の包装体
である。

【０００７】第２の発明は、前記の積層包装材料が、基
材に金属酸化物蒸着層を設け、この蒸着層面に水溶性高
分子と金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む被
覆層を設けたバリアフィルム、およびシーラント層を設
けた構成とした固形体を含む食品の包装体である。

【０００８】第３の発明は、前記バリアフィルムとシー
ラント層の間に介在フィルムを設けた固形体を含む食品
の包装体である。第４の発明は、前記基材の蒸着層面側
にアンカーコート層を設けた固形体を含む食品の包装体
である。

【０００９】第５の発明は、加熱殺菌を施した固形体を
含む食品の包装体である。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の包装体に用いる
積層包装材料の構成を説明する断面図である。図１にお
いて、１はバリアフィルム、２は基材、３は金属酸化物
蒸着層、４は被覆層、５はシーラント層、７は印刷層の
積層構成の包装材料である。図２は、図１の被覆層４、
および印刷層７とシーラント層５の間に介在フィルム６
を設けた包装材料である。

【００１１】また、図３に示すように、図２に示した包
装材料を用いて、４方シール袋に密封包装した包装体１
０である。

【００１２】基材２は、シート状またはフィルム状のも
のであって、ポリオレフィン（ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等）、ポリエステル（ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等）、ポリアミド（ナイロン−６、ナイロン−６
６等）、ポリ塩化ビニル、ポリイミドなど、あるいはこ
れらの高分子の共重合体など、通常包装材料として用い
られるプラスチックフィルムないしはシートが使用でき
る。

【００１３】この基材には、例えば帯電防止剤、紫外線
吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤など公知の添加剤を加え
ることができ、必要に応じて適宜添加される。さらに基
材の表面（蒸着面）をポリエステル系、アクリル系、ウ
レタン系のアンカーコート層を設け表面改質を行い、蒸
着層の密着性を向上させることがより効果的である。

【００１４】金属酸化物蒸着層３は、珪素、アルミニウ
ム、チタン、ジルコニウム、錫などの酸化物、窒化物、
弗化物の単体、あるいはそれらの複合物からなり、真空
蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法（ＣＶ
Ｄ法）などの真空プロセスにより形成される。金属酸化
物蒸着層３の膜厚は、１００Å〜８００Åの範囲が適し
ている。

【００１５】被覆層４は、水溶性高分子と、（ａ）１種
以上の金属アルコキシド及びその加水分解物、または
（ｂ）塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは
水／アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤か
らなる。水溶性高分子と塩化錫を水系（水あるいは水／
アルコール混合）溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれ
に金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させ
るなどの処理を行ったものを混合した溶液を、プラスチ
ック基材２上の無機化合物蒸着層３にコーティング、加
熱乾燥し、形成したものである。コーティング剤に含ま
れる各成分について以下に詳述する。

【００１６】本発明でコーティング剤に用いられる水溶
性高分子はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。特
にポリビニルアルコール（ＰＶＡ）を本発明のガスバリ
ア性積層体のコーティング剤に用いた場合にガスバリア
性が最も優れる。ここでいうＰＶＡは、一般にポリ酢酸
ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十％残
存している、いわゆる部分けん化ＰＶＡから、酢酸基が
数％しか残存していない完全けん化ＰＶＡまでを含み、
特に限定されるものではない。

【００１７】さらに金属アルコキシドは、テトラエトキ
シシラン〔Ｓｉ（ＯＣ₂Ｈ₅）₄〕、トリイソプロポキ
シアルミニウム〔Ａｌ（Ｏ−２’−Ｃ₃Ｈ₇）₃〕など
の一般式、Ｍ（ＯＲ）_n （Ｍ：Ｓｉ、Ｔｉ、Ａｉ、Ｚｒ等の金属、Ｒ：ＣＨ₃、
Ｃ₂Ｈ₅等のアルキル基）で表せるものである。中で
も、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミ
ニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定
であるので好ましい。

【００１８】上述した各成分を単独またはいくつかを組
み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらに
コーティング剤のバリア性を損なわない範囲で、イソシ
アネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散
剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を
加えることができる。

【００１９】例えばコーティング剤に加えられるイソシ
アネート化合物は、その分子中に２個以上のイソシアネ
ート基（ＮＣＯ基）を有するものであり、例えばトリレ
ンジイソシアネート（ＴＤＩ）、トリフェニルメタント
リイソシアネート（ＴＴＩ）、テトラメチルキシレンジ
イソシアネート（ＴＭＸＤＩ）などのモノマー類と、こ
れらの重合体、誘導体などがある。

【００２０】コーティング剤の塗布方法には、通常用い
られる、ディッピング法、ロールコーティング法、スク
リーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いら
れる。皮膜の厚さはコーティング剤の種類によって異な
るが、乾燥後の厚さが約０．０１〜１００μｍの範囲で
あればよいが、５０μｍ以上では、膜にクラックが生じ
やすくなるため、０．０１〜５０μｍとすることが望ま
しい。

【００２１】そして、シーラント層５は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン共重合体等ヒートシール
性を有する樹脂であれば目的に応じて使用することがで
きる。この中で、直鎖状低密度ポリエチレンが、ヒート
シール性、耐薬品性から好ましい。このシーラント層
は、フィルム化した材料を接着剤を介してラミネートし
て設けてもよいし、溶融した樹脂を直接押出しコーティ
ングによりラミネートしてもよい。そして、シーラント
層は、ノニオン型の界面活性剤を５００〜３０００ｐｐ
ｍ、好ましくは、７００〜２０００ｐｐｍ添加した樹脂
層からなるか、または、界面活性剤を添加しない樹脂層
を介して、界面活性剤を添加した樹脂層が最内層となる
ように設けてもよい。

【００２２】介在フィルム６は、ポリエチレンテレフタ
レート、ナイロン、ポリプロピレンの延伸フィルムが適
当である。特にレトルト殺菌、ボイル殺菌等の加熱殺菌
を施す場合、介在フィルム６を設けると効果的である。
そして、包装体に開封性を付与するため、この介在フィ
ルム６にミシン目等の切れ目を開封方向に施しておくこ
とができる。また、印刷層７は、必要に応じて設ければ
よく、使用するインキとして耐熱性を有する、ウレタン
系樹脂をバインダーとしたインキが好ましい。

【００２３】包装体の形状は、前記４方シール形状以
外、積層包装材料のヒートシール性樹脂層を内面とし
て、ピロー包装袋、３方シール袋、ガゼット状袋、スタ
ンディングパウチ等の容器に成形して用いることができ
る。

【００２４】本発明は、蒸着層の厚さが薄いにもかかわ
らず、酸素透過度を２．０ｃｃ／ｍ ²・ｄａｙ・ａｔｍ
以下という、高いバリア性を維持することができた。ま
た、蒸着層に直接でなく、被覆層を介してシーラント層
を設ける構成なのでヒートシール層形成の際に蒸着層が
被覆層により保護されるので、バリア性の低下が小さ
く、高いガスバリア性、防湿性が維持され、かつ耐内容
物性に優れた積層材料が得られる。

【００２５】

【実施例】

＜実施例１＞厚さ１２μｍのポリエチレンテレフタレー
ト（ＰＥＴ）を基材とし、その裏面に膜厚４００Åの酸
化アルミニウムからなる蒸着層を形成し、さらに下記組
成からなる塗液をバーコーターにより塗布し、乾燥機で
１２０℃、１分間乾燥させ、厚さ約０．５μｍの被覆層
を形成した。次に、基材の被覆層に接着剤を介して、延
伸ナイロンフィルムからなる介在フィルムを積層した。

【００２６】・被覆層塗液の成分テトラエトキシシラン〔Ｓｉ（ＯＣ₂Ｈ₅）₄〕１０．
４ｇに塩酸（０．１Ｎ）を８９．６ｇ加え、３０分間撹
拌し加水分解させた固形分３ｗｔ％（ＳｉＯ₂換算）の
加水分解溶液（Ａ）と、ポリビニルアルコールの３．０
ｗｔ％の水／イソプロピルアルコール（９０／１０）溶
液（Ｂ）を混合した組成。

【００２７】さらに、この介在フィルムの上に、無延伸
ポリプロピレンフィルムを６０μｍを接着剤を介して積
層し、シーラント層を形成した。

【００２８】そして得られた積層材料の酸素透過度、水
蒸気透過度を測定した。酸素透過度（３０℃、７０％Ｒ
Ｈ）、および水蒸気透過度（４０℃、９０％ＲＨ）をモ
コン法により測定した。その結果を表１に示す。この積
層包装材料を用い、ブランチングした軸付きコーン１本
を、図３に示す４方シール袋に充填し、真空密封包装を
した。次に、この包装体を１２１℃、４０分間熱水定圧
レトルト殺菌を行った。そして、１か月後、この酸素透
過度と水蒸気透過度を測定した。その結果を表１に示
す。また、積層材料にデラミネーションが発生しなかっ
た。

【００２９】また、前記４方シール袋をゲルボフレック
ステスター（理化学工業株式会社製）を用い、折曲げ条
件４４０°の捩じりで常温下、０℃下にて５００回実施
後、ピンホール液でピンホール数を測定した。その結果
を表１に示す。

【００３０】＜比較例１＞実施例１の被覆層を設けない
構成とした以外は実施例１と同様の積層材料を用い、レ
トルト殺菌前、レトルト殺菌後の酸素透過度の測定、水
蒸気透過度の測定、およびゲルボテストを行った。その
結果を表１に示す。

【００３１】＜比較例２＞バリア層としてポリ塩化ビニ
リデンフィルムを用いた以外は実施例１と同様の積層材
料を用い、レトルト殺菌前、レトルト殺菌後の酸素透過
度の測定、水蒸気透過度の測定、およびゲルボテストを
行った。その結果を表１に示す。

【００３２】

【表１】

【００３３】

【発明の効果】本発明は、以上の構成からなるので、酸
素透過度は、２ｃｃ／ｍ²・ｄａｙ以下のバリア性を維
持することができ、透明な積層材料であっても保存して
も変色が発生することがなく、また、低温時においても
ピンポールの発生が少なく、固形体を含む食品を充填包
装しても、そのままの状態を保つことができる。

【００３４】また、介在フィルムにミシン目等の切れ目
を入れることができるので、使用時に容易に開封できる
ので、固形体を含む食品でも容易に取り出すことができ
る。

【００３５】また、袋を焼却処理を行っても、残渣がな
く、有毒ガスを発生しないので、食品の使用後の処理が
容易になった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の包装体に用いる積層包装材料の一実施
例を示す断面図である。

【図２】本発明の包装体に用いる積層包装材料の他の実
施例を示す断面図である。

【図３】本発明の包装体の一実施例を示す説明図であ
る。

【符号の説明】２…基材３…金属酸化物蒸着層４…被覆層５…シーラント層６…介在フィルム７…印刷層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】軸付きコーン等の固形体を含む食品を、酸
素透過度が２ｃｃ／ｍ²・ｄａｙ以下の透明構成の積層
包装材料で密封包装した固形体を含む食品の包装体。
【請求項２】積層包装材料が、基材に金属酸化物蒸着層
を設け、この蒸着層面に水溶性高分子と金属アルコキシ
ドまたはその加水分解物を含む被覆層を設けたバリアフ
ィルム、およびシーラント層を設けた構成とした、請求
項１に記載した固形体を含む食品の包装体。
【請求項３】バリアフィルムとシーラント層の間に介在
フィルムを設けた、請求項２に記載した固形体を含む食
品の包装体。
【請求項４】基材の蒸着層面側にアンカーコート層を設
けた請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の固
形体を含む食品の包装体。
【請求項５】加熱殺菌を施した請求項１ないし請求項４
のいずれか１項に記載の固形体を含む食品の包装体。