JP3240894B2 - 積層包装材料 - Google Patents

積層包装材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化ケイ素、酸化
アルミニウム等の金属酸化物蒸着層を設けた蒸着フィル
ムを利用した、かつお節等の粉体の包装に適した、透明
でガスバリア性が優れ、しかも静電防止効果を有する積
層包装材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】かつお節等の包装は、内容物の保護と共
に、内容物の確認ができるように、透明で、しかもガス
バリア性(特に水蒸気バリア性)の優れた包装材料が使
用されている。このように、透明で、有効成分の変質を
抑制し、効能を維持するために、包装材料を透過する酸
素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響
を防止する必要があり、エチレン−ビニルアルコール共
重合体(以下EVOHと称する)を用いたガスバリヤ性
積層体が、包装材料として一般的に使用されてきた。
【0003】その具体的な包装材料として、界面活性剤
を含む延伸ポリプロピレン/印刷層/接着剤/EVOH
/ポリエチレン層/界面活性剤を含むポリエチレン層か
らなる包装材料が汎用されている。この積層材料は、延
伸ポリプロピレン側の表面抵抗が、1011〜1012Ω/
□で、またポリエチレン層側の表面抵抗が、1012〜1
13Ω/□であり、かつお節の充填包装において、付着
等の問題がなく使用されている。しかしながら、酸素透
過度が1.0cc/m2 ・atm・24hrs、水蒸気
透過度が、3.0g/m2 ・24hrsと不足してお
り、特に水蒸気透過度が不足していた。
【0004】一方、ガスバリア性の優れた包装材料とし
て、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物を蒸着
した蒸着フィルムが、ガスバリア性の包装材料として使
用されるようになっている。この金属酸化物蒸着フィル
ムを単独で用い、一定のガスバリア性を維持するために
は、蒸着層を厚くしなければならない。このように、蒸
着層を厚くすると、着色してしまい、内容物の色が変化
して見える問題があった。また、前記の構成のEVOH
に代えて、金属酸化物蒸着フィルムをそのまま用いたの
では、コストが高くなり、商業的に使用することが難し
いものとなっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属酸化物
蒸着フィルムを用いた構成で、静電防止効果があり、従
来のEVOHを用いた透明積層材料と同様の透明性を有
し、しかもコストが高くならず、商業的にも充分使用可
能な積層包装材料を提供することを課題とする。また、
EVOHを用いた構成よりも、ガスバリア性、特に水蒸
気バリア性が優れた透明な積層包装材料を提供すること
を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
発明は、静電防止剤コート膜を片面に設けた基材の前記
コート層の反対面に金属酸化物蒸着層を設け、この蒸着
層面に水溶性高分子と金属アルコキシドまたはその加水
分解物を含む被覆層を介して、ノニオン型の界面活性剤
を500〜3000ppm添加した樹脂からなるシーラ
ント層を設けたことを特徴とする積層包装材料である。
【0007】本発明の請求項2に係る発明は、静電防止
剤コート膜を片面に設けた基材の前記コート層の反対面
に金属酸化物蒸着層を設け、この蒸着層面に水溶性高分
子と金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む被覆
層を介して、被覆層側から界面活性剤を含まない樹脂
層、ノニオン型の界面活性剤を500〜3000ppm
添加した樹脂層の2層構成からなるシーラント層を設け
たことを特徴とする積層包装材料である。
【0008】本発明の請求項3に係る発明は、上記請求
項1または請求項2に係る積層包装材料において、前記
被覆層面に印刷層を設けた積層包装材料である。
【0009】本発明の請求項4に係る発明は、上記請求
項1乃至請求項3のいずれか1項に係る積層包装材料に
おいて、前記蒸着層の厚さを800Å以下とした積層包
装材料である。
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のバリア材料を用
いた積層包装材料の構成を説明する断面図である。図1
において、1は静電防止剤コート膜であり、2は基材、
3は金属酸化物蒸着層、4は被覆層、5はシーラント層
の積層構成の包装材料である。
【0012】また、図2に示すように、基材2の片面に
金属酸化物蒸着層3を設け、この蒸着層3に被覆層4、
界面活性剤を含む接着層6を介してシーラント層5を積
層した包装材料である。
【0013】さらに、図3、および図4に示すように、
図1、および図2に示した包装材料の、被覆層4の面に
印刷層7を設けた構成にしてもよい。
【0014】基材2は、シート状またはフィルム状のも
のであって、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−6
6等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミドなど、あるいはこ
れらの高分子の共重合体など、通常包装材料として用い
られるプラスチックフィルムないしはシートが使用でき
る。
【0015】この基材には、例えば帯電防止剤、紫外線
吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤など公知の添加剤を加え
ることができ、必要に応じて適宜添加される。さらに基
材の表面(蒸着面)をコロナ処理、アンカーコート処理
等の表面改質を行い、蒸着層の密着性を向上させること
も可能である。
【0016】金属酸化物蒸着層3は、珪素、アルミニウ
ム、チタン、ジルコニウム、錫などの酸化物、窒化物、
弗化物の単体、あるいはそれらの複合物からなり、真空
蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CV
D法)などの真空プロセスにより形成される。金属酸化
物蒸着層3の膜厚は、100Å〜800Åの範囲が適し
ている。
【0017】被覆層4は、水溶性高分子と、(a)1種
以上の金属アルコキシド及びその加水分解物、または
(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは
水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤か
らなる。水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/
アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれ
に金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させ
るなどの処理を行ったものを混合した溶液を、プラスチ
ック基材2上の無機化合物蒸着層3にコーティング、加
熱乾燥し、形成したものである。コーティング剤に含ま
れる各成分について以下に詳述する。
【0018】本発明でコーティング剤に用いられる水溶
性高分子はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。特
にポリビニルアルコール(PVA)を本発明のガスバリ
ア性積層体のコーティング剤に用いた場合にガスバリア
性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸
ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残
存している、いわゆる部分けん化PVAから、酢酸基が
数%しか残存していない完全けん化PVAまでを含み、
特に限定されるものではない。
【0019】さらに金属アルコキシドは、テトラエトキ
シシラン〔Si(OC2 5 4 〕、トリイソプロポキ
シアルミニウム〔Al(O−2’−C3 7 3 〕など
の一般式、M(OR)n(M:Si、Ti、Ai、Zr
等の金属、R:CH3 、C2 5 等のアルキル基)で表
せるものである。中でも、テトラエトキシシラン、トリ
イソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒
中において比較的安定であるので好ましい。
【0020】上述した各成分を単独またはいくつかを組
み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらに
コーティング剤のバリア性を損なわない範囲で、イソシ
アネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散
剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を
加えることができる。
【0021】例えばコーティング剤に加えられるイソシ
アネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネ
ート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレ
ンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルメタント
リイソシアネート(TTI)、テトラメチルキシレンジ
イソシアネート(TMXDI)などのモノマー類と、こ
れらの重合体、誘導体などがある。
【0022】コーティング剤の塗布方法には、通常用い
られる、ディッピング法、ロールコーティング法、スク
リーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いら
れる。皮膜の厚さはコーティング剤の種類によって異な
るが、乾燥後の厚さが約0.01〜100μmの範囲で
あればよいが、50μm以上では、膜にクラックが生じ
やすくなるため、0.01〜50μmとすることが望ま
しい。
【0023】そして、シーラント層5は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン共重合体等ヒートシール
性を有する樹脂であれば目的に応じて使用することがで
きる。このシーラント層は、フィルム化した材料を接着
剤を介してラミネートして設けてもよいし、溶融した樹
脂を直接押出しコーティングによりラミネートしてもよ
い。そして、シーラント層は、ノニオン型の界面活性剤
を500〜3000ppm、好ましくは、700〜20
00ppm添加した樹脂層からなるか、または、界面活
性剤を添加しない樹脂層を介して、界面活性剤を添加し
た樹脂層が最内層となるように設ける。
【0024】図1のように、基材の蒸着層と反対の側に
は、静電防止剤コート膜1を設ける場合、静電防止剤コ
ート膜は、4塩化アンモニウム塩溶液を塗布、乾燥して
設けたものである。
【0025】この積層材料は、ヒートシール性樹脂層を
内面として、ピロー包装袋、4方シール袋、3方シール
袋、ガゼット状袋、スタンディングパウチ等の容器に成
形して用いることができる。
【0026】本発明は、蒸着層の厚さが薄いので、蒸着
層が着色することなく、無色透明な状態が維持できるの
で、内容物をそのままの状態で見ることができる。ま
た、蒸着層の厚さが薄いにもかかわらず、酸素透過度を
2.0cc/m2 ・day・atm以下、水蒸気透過度
を2.0g/m2 ・day以下の水蒸気透過度という、
高いバリア性を維持することができた。また、蒸着層に
直接でなく、被覆層を介してシーラント層を設ける構成
とすれば、ヒートシール層形成の際に蒸着層が被覆層に
より保護されるので、バリア性の低下が小さく、高いガ
スバリア性、耐水性が維持され、かつ耐内容物性に優れ
た積層材料が得られる。さらに、蒸着層に直接でなく、
水性の被覆層を設けるので静電気が除去され、静電防止
効果が高まる。
【0027】
【実施例】
<実施例1>厚さ12μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)を基材とし、その裏面に膜厚400Åの酸
化アルミニウムからなる蒸着層を形成し、さらに下記組
成からなる塗液をバーコーターにより塗布し、乾燥機で
120℃、1分間乾燥させ、厚さ約0.5μmの被覆層
を形成した。次に、基材の表面に4塩化アンモニウム塩
のメタノール溶液(1重量%の濃度)を5g/m2 塗布
してなる静電防止剤コート膜を設けた。
【0028】・被覆層塗液の成分 テトラエトキシシラン〔Si(OC2 5 4 〕10.
4gに塩酸(0.1N)を89.6g加え、30分間撹
拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の
加水分解溶液(A)と、ポリビニルアルコールの3.0
wt%の水/イソプロピルアルコール(90/10)溶
液(B)を混合した組成。
【0029】さらに、この被覆層の上に、低密度ポリエ
チレンを20μmの厚さに押し出しコートし、次にノニ
オン型界面活性剤を1500ppm含む低密度ポリエチ
レンを30μmに押し出しコートし、積層包装材料を得
た。そして得られた積層材料の酸素透過度、水蒸気透過
度を測定した。酸素透過度は、モコン法により測定し、
0.1cc/m2 ・day・atm(30℃、70%R
H)であり、水蒸気透過度は、モコン法により測定し、
1.0g/m2 ・day(40℃、90%RH)、であ
った。また、この包装材料の表面抵抗は、基材の表面
が、1010Ω/□ で、シーラント層の表面が、1011
〜1012Ω/□ 、帯電圧は、基材表面が0.24K
V、シーラント層の表面が1.11KVであった。
【0030】<比較例1>その具体的な包装材料とし
て、静電防止効果のある延伸ポリプロピレン(20μ
m)/印刷層/接着剤/EVOH(12μm)/ポリエ
チレン層(20μm)/界面活性剤入りポリエチレン層
(30μm)からなる包装材料が汎用されている。この
積層材料は、酸素透過度が0.8cc/m2 ・atm・
24hrs、水蒸気透過度が、3.5g/m2 ・24h
rsであった。またこの包装材料の表面抵抗は、基材の
表面が、1011〜1012Ω/□ でポリエチレン層側の
表面抵抗が、1012〜1013Ω/□で、帯電圧は、基材
表面が1.31KV、シーラント層の表面が1.76K
Vであった。
【0031】<実施例2>実施例1のシーラント層を低
密度ポリエチレンを20μmの厚さに押し出しコート
し、次に低密度ポリエチレンを30μmに押し出しコー
トし、積層包装材料を得た。そして得られた積層材料の
酸素透過度、水蒸気透過度を測定した。酸素透過度は、
モコン法により測定し、0.1cc/m2 ・day・at
m(30℃、70%RH)であり、水蒸気透過度は、モ
コン法により測定し、1.0g/m2 ・day(40
℃、90%RH)、であった。また、この包装材料の表
面抵抗は、基材の表面が、1011〜1012Ω/□ で、
シーラント層の表面が、1012〜1013Ω/□ 、帯電
圧は、基材表面が0.24KV、シーラント層の表面が
1.11KVであった。
【0032】
【0033】
【発明の効果】本発明は、以上の構成からなるので、静
電防止効果が優れ、しかも無色透明で、ガスバリア性
が、酸素透過度が1.5cc/m2 ・day・atm以
下、水蒸気透過度は、3.0g/m2 ・day以下のバ
リア性を維持することができる。
【0034】また、従来の構成から1層少ない構成なの
で、コストが上昇することがなく、従来の同様の静電防
止効果を有し、しかもバリア性の優れた包装材料で、粉
体の包装、特に、変化し易い内容物の包装に適してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバリア材料を用いた積層材料を一実施
例示す断面図である。
【図2】本発明のバリア材料を用いた積層材料を他の実
施例示す断面図である。
【図3】本発明のバリア材料を用いた積層材料を他の実
施例示す断面図である。
【図4】本発明のバリア材料を用いた積層材料の他の実
施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…静電防止剤コート膜 2…基材 3…金属酸化物蒸着層 4…被覆層 5…シーラント層 6…接着層 7…印刷層

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静電防止剤コート膜を片面に設けた基材の
    前記コート層の反対面に金属酸化物蒸着層を設け、この
    蒸着層面に水溶性高分子と金属アルコキシドまたはその
    加水分解物を含む被覆層を介して、ノニオン型の界面活
    性剤を500〜3000ppm添加した樹脂からなる
    ーラント層を設けたことを特徴とする積層包装材料。
  2. 【請求項2】静電防止剤コート膜を片面に設けた基材の
    前記コート層の反対面に金属酸化物蒸着層を設け、この
    蒸着層面に水溶性高分子と金属アルコキシドまたはその
    加水分解物を含む被覆層を介して、被覆層側から界面活
    性剤を含まない樹脂層、ノニオン型の界面活性剤を50
    0〜3000ppm添加した樹脂層の2層構成からなる
    シーラント層を設けたことを特徴とする積層包装材料。
  3. 【請求項3】前記被覆層面に印刷層を設けた請求項1ま
    たは請求項2記載の積層包装材料。
  4. 【請求項4】前記蒸着層の厚さを800Å以下とした請
    求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の積層包装材
    料。
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