JPH1148724A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JPH1148724A
JPH1148724A JP9209239A JP20923997A JPH1148724A JP H1148724 A JPH1148724 A JP H1148724A JP 9209239 A JP9209239 A JP 9209239A JP 20923997 A JP20923997 A JP 20923997A JP H1148724 A JPH1148724 A JP H1148724A
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carcass
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rim
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロードノイズを低減する。 【解決手段】 トレッド部2からサイドウォール部3を
経てビード部4のビードコア5に至る本体部6Aにビー
ドコア5の回りをタイヤ軸方向内側から外側に向けて折
り返した折返し部6Bを一体に設けかつコードを並列し
たカーカスプライ6aからなるカーカス6を有する空気
入りタイヤであって、タイヤを正規リムJにリム組みし
かつ正規内圧を充填した無負荷の状態である標準状態に
おいて、ビード部4に、カーカスの本体部6Aがタイヤ
軸方向外側に湾曲することにより、ビード部4のタイヤ
軸方向内側から徐々にビード部の曲げ中立軸Nに近づく
湾曲凸部9を設けるとともに、この湾曲凸部9の前記曲
げ中立軸Nに最も近い頂部9tを、ビード部内かつタイ
ヤがリムJのリムフランジJfから離間する離間点Pよ
りも半径方向外方に位置させたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロードノイズを低
減しうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤが関係する騒音の一つにロードノ
イズがある。このロードノイズは、比較的荒れた路面を
車両が走行するときに、車室内で発生する「ゴー」とい
う不快な音である。このロードノイズは、路面の凹凸が
タイヤを振動させ、さらにこの振動がリム、車軸、サス
ペンション、車体などに順次伝播し、車室内で聴取され
る。
【0003】従来、このようなロードノイズを低減する
方法として、振動伝達をタイヤで減衰させるべく、カー
カスの折り返し高さを低くする方法や、リムからタイヤ
への振動伝達を遮断するために、ビード部のリムフラン
ジと接触する領域に振動遮断性に優れたゴムなどを配す
るものが提案されているが、これらの方法は、未だ十分
なロードノイズ低減効果が得られていないのが現状であ
る。
【0004】ロードノイズを低減するためには、オーバ
ーオールの騒音中で比較的音圧レベルが高い200Hz
以下の低周波ロードノイズを低減することが有効であ
り、かつそのためにはタイヤの周方向1次共振周波数を
下げることが重要となる。一般に、共振周波数fは下記
数1で表される。なおkはタイヤのバネ定数、Mはタイ
ヤ質量である。
【0005】
【数1】
【0006】前記共振周波数fを下げるためには、バネ
定数kを下げるか、タイヤ質量を大きくすれば良いが、
タイヤ質量の増加は転がり抵抗の増加などを招くため、
本発明者らはタイヤ質量を変えることなくバネ定数を下
げることによりタイヤの共振周波数を低下させ、ロード
ノイズを低減することを試みた。
【0007】そして、バネ定数を下げるためには、タイ
ヤの骨格をなすカーカスの配置、とりわけトレッド部か
らサイドウォール部を経てビード部に至るカーカスの本
体部をビード部においてタイヤ軸方向外側に湾曲させ、
カーカスの本体部をビード部の曲げ中立軸に近づかせる
ことが非常に効果的であることを見出し本発明を完成さ
せたのである。
【0008】以上のように本発明は、カーカスの配置を
改善することによって、タイヤのバネ定数を下げ、ひい
てはロードノイズを低減しうる空気入りタイヤの提供を
目的としている。また、請求項2記載の発明は、さらに
カーカスの配置を規制することにより、より一層ロード
ノイズを低減しうる空気入りタイヤを提供することを目
的としている。さらに請求項3、4記載の発明では、前
記目的に加え、カーカスの配置を効果的に維持しうる空
気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビ
ード部のビードコアに至る本体部に前記ビードコアの回
りをタイヤ軸方向内側から外側に向けて折り返した折返
し部を一体に設けかつコードを並列したカーカスプライ
からなるカーカスを有する空気入りタイヤであって、タ
イヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無
負荷の状態である標準状態において、前記ビード部に、
前記カーカスの本体部がタイヤ軸方向外側に湾曲するこ
とにより、ビード部のタイヤ軸方向内側から徐々にビー
ド部の曲げ中立軸に近づく湾曲凸部を設けるとともに、
この湾曲凸部の前記曲げ中立軸に最も近い頂部を、ビー
ド部内かつタイヤが前記リムのリムフランジから離間す
る離間点よりも半径方向外方に位置させたことを特徴と
する。
【0010】また、請求項2記載の発明は、前記ビード
部は、タイヤ内腔に向く内表面が、前記湾曲凸部のタイ
ヤ軸方向内方に位置する範囲において、該内方に凸に湾
曲するとともに、前記頂部を通り前記内表面とタイヤ外
表面とを最短で結ぶ線分の長さTdに対する同線分上の
前記頂部と前記内表面との間の長さCdの比(Cd/T
d)を0.3〜0.6としたことを特徴とする請求項1
記載の空気入りタイヤである。
【0011】また、請求項3記載の発明は、前記ビード
部は、タイヤ内表面に配されたインナライナのタイヤ軸
方向外側にカーカスを湾曲させて前記湾曲凸部を形成す
るための補助ゴム層を設けたことを特徴とする請求項1
又は2記載の空気入りタイヤである。
【0012】また、請求項4記載の発明は、前記補助ゴ
ム層は、複素弾性率E* が30〜60kgf /cm2 であ
り、かつ損失正接tanδが0.05〜0.20のゴム
からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1
に記載の空気入りタイヤである。
【0013】また、本明細書において用いる定義は次の
通りである。先ず「正規リム」とは、タイヤが基づいて
いる規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎
に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リ
ム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTO
であれば "Measuring Rim"となる。また、「正規内圧」
とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系におい
て、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JA
TMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE L
OAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に
記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSU
RE" である。
【0014】さらに、複素弾性率E* 、損失正接tan
δは、4mm巾×30mm長さ×1.5mm厚さの短冊状試料
を切り取って、岩本製作所(株)製の粘弾性スペクトロ
メーターを用い、温度70℃、周波数10Hz、動歪±
2%の条件で測定した値として定める。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。図1、2において、本実施形態の空
気入りタイヤは、トレッド部2からサイドウォール部3
を経てビード部4のビードコア5の周りで折り返されて
係止されるカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記
カーカス6のタイヤ半径方向外側に配されたベルト層7
とを具えた乗用車用ラジアルタイヤを例示している。
【0016】前記カーカス6は、カーカスコードをタイ
ヤ赤道Cに対して75゜〜90゜の角度で配列したラジ
アル構造の1枚以上、本例では1枚のプライからなる。
前記カーカスコードは、本例ではナイロン、レーヨン若
しくはポリエステル等の有機繊維コードが採用される
が、必要に応じてさらにはタイヤの種類に応じてスチー
ルコードをも採用しうる。
【0017】また、前記カーカス6は、トレッド部2か
らサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5
に至る本体部6Aと、この本体部6aからのびて前記ビ
ードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に向けて
折り返される折返し部6Bとを有する。該カーカスの折
返し部6Bは、そのタイヤ半径方向の外端部をタイヤの
軸方向最外側位置となるタイヤ最大巾位置Mよりもタイ
ヤ半径方向内側としたいわゆる(1−0)ロータンナッ
プ構造を例示している。
【0018】前記カーカスの折返し部6Bは、前記外端
部の高さHcを、ビードベースラインBLからタイヤ最
大巾位置Mまでのタイヤ半径方向距離である最大巾高さ
Hの30〜60%、より好ましくは30〜50%の高さ
とすることにより、ビード部4のバネ定数を操縦安定性
を維持しながら低下させることに有効である。なお、カ
ーカスの構造は、いわゆるハイターンナップ構造でも勿
論本発明の効果は発揮できる。
【0019】また、カーカス6の本体部6Aと折返し部
6Bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向
外側にのびかつ硬質ゴムからなるビードエーペックス8
(図2に示す)が配されビード部4を補強している。こ
のビードエーペックス8は、本実施形態ではタイヤ軸方
向の内面及び外面がともに、タイヤ軸方向内側に向けて
凸に湾曲する湾曲部を有するものを示している。またビ
ードエーペックス8は、タイヤ半径方向の全長さの約中
間位置からタイヤ半径方向の外端8tまでを内端の厚さ
tの50%未満の小厚さとした好ましい態様を例示して
いる。これらのビードエーペックス8の改善により、後
述するカーカスの湾曲凸部9との相乗作用により、タイ
ヤの質量増加を抑制した上でビード部4の撓みに対する
バネ定数を効果的に低下しうる。
【0020】なお本実施形態では、ビードエーペックス
8は、前記湾曲凸部9の頂部9tの軸方向外側位置から
タイヤ半径方向外側に向けて厚さが漸増する漸増部8a
を経て先細状に厚さが漸減して終端する漸減部8sを有
して形成されている。これにより、バネ定数の低減効果
は発揮しつつ操縦安定性能をも高い次元で維持すること
が可能となる利点がある。
【0021】このようなビードエーペックス8は、前記
外端8tの高さHbは、前記タイヤの最大幅高さHの4
5〜120%、より好ましくは60〜100%、さらに
好ましくは60〜80%とし、本例では65%としたも
のを例示している。
【0022】また、本例ではビード部4に、前記カーカ
スの折返し部6Bのタイヤ軸方向外側からビードシート
面4sを通りタイヤ内表面まで略U字状にのびるコード
チェーファ13を配するとともに、ビード部4がリムフ
ランジJFと接触するビード部外表面4aにクリンチゴ
ム14を配置しているものを示す。
【0023】前記ベルト層7は、コードをタイヤ赤道C
に対して例えば10〜35°の小角度で傾けて配列した
少なくとも2枚、本例では内、外2枚のベルトプライ7
A、7Bを前記コードが互いに交差する向きに重ね合わ
せて構成しており、ベルトコードは、スチールコード又
はアラミド、レーヨン等の高弾性の有機繊維コードも必
要に応じて用いうる。
【0024】そして、本発明では、タイヤを正規リムJ
にリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷の状態であ
る標準状態(図2に示す)において、前記ビード部4
に、前記カーカスの本体部6Aがタイヤ軸方向外側に湾
曲することにより、ビード部4のタイヤ軸方向内側から
徐々にビード部の曲げ中立軸N(図2に示す)に近づく
湾曲凸部9を設けることを特徴の一つとしている。
【0025】一般にタイヤへの荷重負荷時、ビード部4
はリムフランジJFへと倒れ込むように曲げ変形する
が、このとき曲げ中立軸Nのタイヤ軸方向内側が圧縮変
形、曲げ中立軸Nのタイヤ軸方向外側が引張変形とな
り、曲げ中立軸Nの部分は伸縮しない。従来の空気入り
タイヤにおいては、図4に示すように、カーカスの本体
部aが、タイヤ内腔面b側に近接して配置されており、
ビード部では曲げの中立軸Nからは軸方向内側に遠ざか
る位置にある。そして、タイヤ負荷時のビート部曲げ変
形においては、このカーカスの本体部aのカーカスコー
ドが全域において引張変形に抵抗し、ビード部4のバネ
定数を高める働きをしている。
【0026】そこで、本発明では、カーカスの本体部6
Aに、ビード部4の曲げ中立軸Nに近づく湾曲凸部9を
設けることにより、この部分においてビード部4を撓み
やすくすることができ、該撓みに対するタイヤのバネ定
数を効果的に低下させることができる。本発明では、こ
のようなカーカスの本体部6Aの改善によて、タイヤの
質量を実質的に変えることなくタイヤの周方向1次共振
周波数を下げることができ、ひいては低周波ロードノイ
ズを低減することができる。また、このようにカーカス
の本体部6Aの配置の改善によれば、タイヤの撓みに対
するバネ定数は下がるが、タイヤ周方向に対する剛性は
低下することがないため、操縦安定性が低下するといっ
た不具合もない。
【0027】このような湾曲凸部9は、この湾曲凸部9
の前記曲げ中立軸Nに最も近い頂部9tは、ビード部内
かつタイヤが前記リムJのリムフランジJFから離間す
る離間点Pよりも半径方向外方に位置させることが必要
である。
【0028】前記カーカスの湾曲凸部9が、ビード部内
に位置していなければビード部4の撓みに対するバネ定
数を低下させる効果がない。同様に、カーカスの湾曲凸
部9が、前記離間点Pよりも半径方向内方にあっても、
この部分は、本来リムフランジJFにより変形が規制さ
れるため、タイヤの撓みに対するバネ定数に関して影響
が少なく、バネ定数を低下させることはできないからで
ある。
【0029】なおビード部内とは、リムシート面Jsに
面するビードシート面4sからサイドウォール部3の半
径方向内方端までをいい、サイドウォール部3は軟質の
ゴムからなる略一定のゴム厚さ部分であり、本例ではサ
イドウォール部3の内方端は図2のX−Xの位置とな
る。なお好ましくは、湾曲凸部9の頂部9tのビードベ
ースラインBLからの半径方向高さHtは、前記タイヤ
最大巾高さHの25〜45%、好ましくは30〜40
%、本例では約32%としているが、前記離間点Pより
も半径方向外側であることは言うまでもない。また、カ
ーカスの本体部6Aが、ビード部4のタイヤ軸方向内側
から徐々にビード部の曲げ中立軸Nに近づくに際して、
「近づく」とは中立軸Nに接し、或いはこれをタイヤ軸
方向外側に超えることも含むものとして解しなければな
らない。
【0030】さらに本実施形態では、前記ビード部4
は、タイヤ内腔に向く内表面4iが、前記湾曲凸部9の
タイヤ軸方向内方に位置する範囲において、該内方に凸
に湾曲するものを例示している。これによって、タイヤ
内表面4iと、湾曲凸部9との間の最短距離は、前記頂
部9tを中心として、タイヤ半径方向内、外に漸減す
る。そして、前記湾曲凸部9の頂部9t(カーカス本体
部6Aの中心で測定する)を通り前記内表面4iとタイ
ヤ外表面とを最短で結ぶ線分の長さTdに対する同線分
上の前記頂部9tと前記内表面4iとの間の長さCdの
比(Cd/Td)を0.3〜0.6とするものを例示し
ている。
【0031】前記比(Cd/Td)が、0.3〜0.6
の範囲において、湾曲凸部9によるタイヤのバネ定数の
低下が最大限発揮されることが本発明者らの実験の結果
判明している。そして、前記比(Cd/Td)が、0.
3未満になると、湾曲凸部9がビード部4において曲げ
中立軸Nから十分に近づくことができない傾向にあり、
バネ定数の低減効果が相対的に低下し、逆に0.6を超
えると中立軸Nをタイヤ軸方向外側へ過大に超えていく
傾向があり、同様に湾曲凸部9が中立軸Nから遠ざかる
傾向がありかつタイヤの耐久性低下やタイヤ製造上の不
具合などがあるため好ましくない。このような観点よ
り、前記比(Cd/Td)が、0.3〜0.5、より好
ましくは0.35〜0.5の範囲とすることが望まし
い。換言すれば、ビード部の曲げ中立軸Nは、比(Cd
/Td)が、0.3〜0.5の範囲を通ることが判る。
【0032】また本実施形態の乗用車用ラジアルタイヤ
は、チューブレスタイヤであって、タイヤ内表面4iに
タイヤ空気圧を保持するための空気を通過させにくいゴ
ムからなるインナライナ10が配置されている。そして
本例では、前記ビード部4は、このインナライナ10の
タイヤ軸方向外側に前記カーカスの本体部6Aを湾曲さ
せて前記湾曲凸部9を形成するための補助ゴム層11を
介在させたものを例示している。
【0033】空気入りタイヤは通常加硫金型により成形
され、このとき、タイヤ内腔側からブラダーなどにより
高圧、高温を作用を受けるが、このような状況において
もカーカスの本体部6Aに局部的にタイヤ軸方向外側に
凸に湾曲する前記湾曲凸部9の形状を維持させるため
に、インナライナ10のタイヤ軸方向外側に補助ゴム層
11を設けることが非常に効果があることが判明した。
なおタイヤ質量をより厳密に変えないためには、このよ
うな補助ゴム層11の質量分だけ例えばビードエーペッ
クス8の質量などを削減するのが好ましく、そのために
は、より細長い形状とすることが好ましい。
【0034】また前記補助ゴム層11は、加硫中の環境
下でカーカスの湾曲凸部9の湾曲を維持するために、タ
イヤ加硫成形中にもゴム流れの少ない組成のものを用い
るのが好ましいものである。このようなゴムとしては、
例えば複素弾性率E* が30〜60kgf /cm2 、かつ損
失正接tanδが0.05〜0.20とするのが望まし
い。
【0035】なお、補助ゴム層11において、さらにゴ
ム流れを抑制するためには、複素弾性率E* は、より好
ましくは40〜60kgf /cm2 とするのが良く、また損
失正接tanδは0.10〜0.20の範囲とするのが
好ましい。また、補助ゴム層11の最大厚さdは前記湾
曲凸部9の頂部9tの位置かつ例えば3〜6mmとするの
が好ましい。
【0036】またこのような補助ゴム層11を配置する
に際しては、ビードエーペックス8との相対位置関係を
規制することが好ましい。すなわち、ビードエーペック
ス8の外端8tと、前記補助ゴム層11のタイヤ半径方
向外端11tとがタイヤ半径方向において重複して配置
されていると、カーカスの本体部6Aがこれらの外端位
置で大きく屈曲変形しやすく、ビード部4の耐久性を低
下させる傾向がある。逆に例えばビードエーペックス8
の外端8tが、前記補助ゴム層11の外端11tよりも
タイヤ半径方向外側に大きく離間して位置していると、
タイヤ質量を増加させる傾向にあり好ましくない。この
ような観点より、ビードエーペックス8の外端8tと、
前記補助ゴム層11の外端11tとの半径方向距離であ
るステップ量Sは、5〜15mmとするのが好ましい。
【0037】
【実施例】タイヤサイズが、195/65R15であ
り、図1、図2に示すような構造のラジアルタイヤ(実
施例1〜12)を試作するとともに、図4に示すビード
構造を有する従来のラジアルタイヤ(従来例)について
も併せて試作し、タイヤの周方向1次共振周波数とロー
ドノイズなどを測定し性能を比較した。なおHt/H=
0.32とした。テスト方法は、次の通りである。
【0038】<タイヤの周方向1次共振周波数>インパ
クトハンマを用いたタイヤの振動伝達テストを行った。
すなわち、図5に示すようにタイヤをリム組みし(リ
ム:15×6JJ、内圧2.0kgf /cm2)、充分に剛
性の高い治具Bを用いて車軸部分で支持するとともに、
トレッド部のタイヤ赤道上をインパクトハンマーDで打
撃(振動の入力)し、車軸部分に伝達される振動(振動
の出力)を例えば圧電型の3軸ロードセルEを用いて測
定し振動伝達特性グラフからタイヤの周方向1次共振周
波数を求め、従来例を100とする指数で表示した。数
値が大きいほどタイヤの周方向1次共振周波数が小さく
良好であることを示している。
【0039】<ロードノイズテスト>試供タイヤをリム
組みし(リム:15×6JJ、内圧2.0kgf/c
m2 )、排気量2800ccのFR車両に装着してアス
ファルト路面を速度60km/hにて走行し、ドライバ
ーの右耳位置にてオーバーオールの騒音レベルdB
(A)を測定し、従来例を100とする指数で表示し
た。数値が大きいほど騒音レベルが小さく良好であるこ
とを示している。
【0040】<耐久性>試供タイヤをリム組みし(リ
ム:15×6JJ、内圧190kPa)、荷重710kg
f 、速度80km/hでドラム上を走行させ、1時間毎
に速度を10km/hづつステップアップし、タイヤに
外観目視にて確認可能な損傷が発生した時点で走行を終
了した。そして損傷が発生するまでの走行時間を従来例
を100とする指数によって評価した。数値が大きいほ
ど優れている。
【0041】<操縦安定性>試供タイヤをリム組みし
(リム:15×6JJ、内圧2.0kgf /cm2 )、排気
量2800ccのFR車両に装着してドライバーのみ乗
車しタイヤテストコースのドライアスファルト路面を走
行し、ドライバーの官能評価により従来例を100とす
る指数で評価した。数値が大きいほど、操縦安定性に優
れている。テストの結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】テストの結果、実施例のタイヤは、いずれ
もタイヤの周方向1次共振周波数を下げ、その結果ロー
ドノイズを低減していることが確認できた。また操縦安
定性、耐久性については従来例との差は殆どないことも
確認できた。特に、比(Cd/Td)が、0.35〜
0.50の範囲のものが、優れていることが判る。
【0044】さらに、図3には、タイヤ負荷時(荷重4
50kgf)のビード部の変形をCTスキャンにて撮像し
たビード部の断面輪部図を示している。本発明タイヤ
(実施例1)では、従来例に比べ大きく撓んでおり、バ
ネ定数が小さくなっていることが確認しうる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、カーカスの本体部に、ビード部の曲げ中立
軸Nに近づく湾曲凸部を設けることにより、この部分に
おいてビード部を撓みやすくすることができ、たわみに
対するタイヤのバネ定数を効果的に低下させることがで
きるから、タイヤの質量を実質的に変えることなく周方
向共振周波数を下げ、ひいては低周波ロードノイズを低
減しうる。また、このようにカーカスの本体部の配置の
改善により、タイヤ周方向に対する剛性は低下すること
がないため、操縦安定性が低下するといった不具合もな
い。
【0046】また請求項2記載の発明では、湾曲凸部の
頂部を通りタイヤ内表面とタイヤ外表面とを最短で結ぶ
線分の長さTdに対する同線分上の前記頂部と前記内表
面との間の長さCdの比(Cd/Td)を規制したこと
により、湾曲凸部に構成の基づきタイヤのバネ定数の低
下が最大限発揮され、ロードノイズをより一層低減しう
る。
【0047】また請求項3記載の発明では、インナライ
ナのタイヤ軸方向外側に前記カーカスの本体部を湾曲さ
せて前記湾曲凸部を形成するための補助ゴム層を設ける
ことにより、カーカスの本体部に局部的にタイヤ軸方向
外側に凸に湾曲した湾曲凸部を容易に形成しうる。
【0048】また請求項4記載の発明では、加硫中の環
境下でカーカスの湾曲凸部を形成、維持するために、前
記補助ゴム層のゴム組成をタイヤ加硫成形中にもゴム流
れの少ない組成に限定したことにより、湾曲凸部が加硫
中の熱や圧力により消失してしまうのを確実に防止し、
湾曲凸部を精度良く形成しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すタイヤ子午断面図であ
る。
【図2】ビード部の拡大断面図である
【図3】ビード部の変形状態をCTスキャンで撮影した
断面輪郭図である。
【図4】従来のビード部の拡大断面図である
【図5】共振周波数の測定方法を説明する線図である。
【符号の説明】
2 トレッド部 3 サイドウォール部 4 ビード部 5 ビードコア 6 カーカス 6a カーカスプライ 6A カーカスの本体部 6B カーカスの折返し部 7 ベルト層 8 ビードエーペックス 9 湾曲凸部 9t 頂部 11 補助ゴム層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部からサイドウォール部を経てビ
    ード部のビードコアに至る本体部に前記ビードコアの回
    りをタイヤ軸方向内側から外側に向けて折り返した折返
    し部を一体に設けかつコードを並列したカーカスプライ
    からなるカーカスを有する空気入りタイヤであって、 タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した
    無負荷の状態である標準状態において、 前記ビード部に、前記カーカスの本体部がタイヤ軸方向
    外側に湾曲することにより、ビード部のタイヤ軸方向内
    側から徐々にビード部の曲げ中立軸に近づく湾曲凸部を
    設けるとともに、 この湾曲凸部の前記曲げ中立軸に最も近い頂部を、ビー
    ド部内かつタイヤが前記リムのリムフランジから離間す
    る離間点よりも半径方向外方に位置させたことを特徴と
    する空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】前記ビード部は、タイヤ内腔に向く内表面
    が、前記湾曲凸部のタイヤ軸方向内方に位置する範囲に
    おいて、該内方に凸に湾曲するとともに、前記頂部を通
    り前記内表面とタイヤ外表面とを最短で結ぶ線分の長さ
    Tdに対する同線分上の前記頂部と前記内表面との間の
    長さCdの比(Cd/Td)を0.3〜0.6としたこ
    とを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】前記ビード部は、タイヤ内表面に配された
    インナライナのタイヤ軸方向外側にカーカスを湾曲させ
    て前記湾曲凸部を形成するための補助ゴム層を設けたこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】前記補助ゴム層は、複素弾性率E* が30
    〜60kgf /cm2 であり、かつ損失正接tanδが0.
    05〜0.20のゴムからなることを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれか1に記載の空気入りタイヤ。
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