JPH1148113A - 眼鏡レンズ研削加工装置 - Google Patents

眼鏡レンズ研削加工装置

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JPH1148113A
JPH1148113A JP22092497A JP22092497A JPH1148113A JP H1148113 A JPH1148113 A JP H1148113A JP 22092497 A JP22092497 A JP 22092497A JP 22092497 A JP22092497 A JP 22092497A JP H1148113 A JPH1148113 A JP H1148113A
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヤゲン加工時におけるヤゲンの大きさの変化
を抑えてレンズ枠入れ時のフィット感を良くする。 【解決手段】 被加工レンズに形成するヤゲン頂点の位
置を決定するヤゲン位置決定手段と、第1のヤゲン加工
斜面と第2のヤゲン加工斜面を持ちヤゲンの前面と後面
を個別に加工するヤゲン加工砥石と、被加工レンズを保
持して回転するレンズ回転軸と、前記第1及び第2のヤ
ゲン加工斜面と被加工レンズとの加工点を求め加工点に
対応させて前記ヤゲン頂点が前記第1及び第2のヤゲン
加工斜面にそれぞれ接するようにヤゲンの前面加工用及
び後面加工用のヤゲン加工データを求めるヤゲン演算手
段と、該ヤゲン演算手段によるヤゲン加工データに基づ
いてヤゲン加工を制御するヤゲン加工制御手段と、を備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼鏡枠に合うよう
に被加工レンズを研削加工する眼鏡レンズ研削加工装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】眼鏡枠に眼鏡レンズを嵌合させるため、
眼鏡枠の枠溝で眼鏡レンズを支持するためのヤゲンをレ
ンズ周縁部に形成するように加工するレンズ研削加工装
置が知られている。この種の装置では、一般に、レンズ
周縁部に形成するヤゲンの大きさに対応したV溝(ヤゲ
ン溝)を持つ円筒のヤゲン砥石を用いてヤゲン加工を行
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなヤ
ゲン砥石による装置では、ヤゲン加工時の加工点におけ
るヤゲンカーブの傾斜角と砥石のヤゲン溝の方向に応じ
て、ヤゲン砥石と被加工レンズの3次元的な干渉により
ヤゲンの大きさが小さくなる(ヤゲンの幅が狭くなり、
またヤゲンの高さも低くなる)という問題があった。こ
の問題に関しては、円錐のヤゲン砥石を用いる方法が考
えられるが、この方法はフラットに近いヤゲン形成の場
合に逆に問題が発生して不利である。
【0004】また、一種類の大きさのヤゲン溝では、フ
レーム材質の違い等による枠溝の大きさに応じてヤゲン
の大きさ変化させることができないという問題があっ
た。この対応の一つとして、複数種類のヤゲン溝の大き
さ持つヤゲン砥石を準備するという方法で対処できる
が、ヤゲンの大きさはヤゲン溝の種類により決定さるた
め自由度が少なく、さらに砥石構成が余分に必要となる
という欠点がある。
【0005】本発明は、上記問題点に鑑み、ヤゲン加工
時におけるヤゲンの大きさの変化を抑えてレンズ枠入れ
時のフィット感が良い加工が行える眼鏡レンズ研削加工
装置を提供することを技術課題とする。
【0006】また、眼鏡枠に応じた大きさのヤゲン形成
や、加工者が自由にヤゲンの大きさを調整できる眼鏡レ
ンズ研削加工装置を提供することを技術課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成を有することを技術課題と
する。
【0008】(1) 眼鏡枠に合うように被加工レンズ
を研削加工する眼鏡レンズ研削加工装置において、被加
工レンズに形成するヤゲン頂点の位置を決定するヤゲン
位置決定手段と、第1のヤゲン加工斜面と第2のヤゲン
加工斜面を持ちヤゲンの前面と後面を個別に加工するヤ
ゲン加工砥石と、被加工レンズを保持して回転するレン
ズ回転軸と、前記第1及び第2のヤゲン加工斜面と被加
工レンズとの加工点を求め加工点に対応させて前記ヤゲ
ン頂点が前記第1及び第2のヤゲン加工斜面にそれぞれ
接するようにヤゲンの前面加工用及び後面加工用のヤゲ
ン加工データを求めるヤゲン演算手段と、該ヤゲン演算
手段によるヤゲン加工データに基づいてヤゲン加工を制
御するヤゲン加工制御手段と、を備えることを特徴とす
る。
【0009】(2) (1)のヤゲン演算手段は、前記
ヤゲン頂点の位置情報に基づいて前記レンズ回転軸と砥
石回転軸との軸間距離方向の加工位置データを求める第
1演算手段と、該加工位置デ−タを基準にしてヤゲン加
工後に予定されるヤゲン頂点が前記第1及び第2のヤゲ
ン加工用斜面にそれぞれ接するように砥石回転軸方向の
加工位置データを求める第2演算手段と、を有すること
を特徴とする。
【0010】(3) (1)の眼鏡レンズ研削加工装置
は、さらにヤゲンの高さ又は幅を設定する設定手段を持
ち、前記ヤゲン演算手段は該設定手段により設定された
ヤゲンの高さ又は幅に基づいてヤゲン加工データを得る
ことを特徴とする。
【0011】(4) (3)の設定手段は、操作者が任
意にヤゲンの高さ又は幅を入力する手段、眼鏡枠の材質
を指定することによりヤゲンの高さ又は幅を決定する手
段、眼鏡枠の形状を測定する眼鏡枠測定装置による枠溝
の深さ又は枠溝の幅の測定結果を入力する手段、のうち
少なくとも1つを備えることを特徴とする。
【0012】(5) (1)の眼鏡レンズ研削加工装置
において、被加工レンズの動径角に対応させてヤゲンの
高さ又は幅を変えて設定する可変設定手段を持ち、前記
ヤゲン演算手段は該可変設定手段により設定されたヤゲ
ンの高さ又は幅に基づいて動径角に対応させてヤゲンの
大きさを変化させるヤゲン加工データを得ることを特徴
とする。
【0013】(6) (1)の眼鏡レンズ研削加工装置
は、さらに仕上げ加工後のレンズのコバ角部を斜めに加
工する加工位置を決定するコバ角部加工位置決定手段
と、該決定された加工位置情報に基づいて前記ヤゲン加
工砥石により被加工レンズのコバ角部の加工を制御する
コバ角部加工制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】(7) 眼鏡枠に合うように被加工レンズ
を研削加工する眼鏡レンズ研削加工装置において、被加
工レンズに形成するヤゲン頂点の位置を決定するヤゲン
位置決定手段と、第1のヤゲン加工斜面と第2のヤゲン
加工斜面を持ちヤゲンの前面と後面を個別に加工するヤ
ゲン加工砥石と、ヤゲンの高さ又は幅を設定する設定手
段と、該設定されたヤゲンの高さ又は幅の情報と前記ヤ
ゲン頂点の位置情報に基づいてヤゲンの前面加工用及び
後面加工用のヤゲン加工データを求めるヤゲン演算手段
と、該ヤゲン演算手段によるヤゲン加工データに基づい
て前記ヤゲン加工砥石によるヤゲン加工を制御するヤゲ
ン加工制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】(8) (7)の設定手段は、操作者が任
意にヤゲンの高さ又は幅を入力する手段、眼鏡枠の材質
を指定することによりヤゲンの高さ又は幅を決定する手
段、眼鏡枠の形状を測定する眼鏡枠測定装置による枠溝
の深さ又は枠溝の幅の測定結果を入力する手段、のうち
少なくとも1つを備えることを特徴とする眼鏡レンズ研
削加工装置。
【0016】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基いて詳細に
説明する。図1は本発明に係るレンズ研削加工装置の全
体構成を示す斜視図である。1はベースで本装置を構成
する各部がその上に配置されている。2は装置上部に内
蔵される眼鏡枠形状測定部であり、眼鏡枠形状(または
型板)の形状デ−タを得ることができる。眼鏡枠形状測
定部2は、例えば、特開平4-105864号公報に記載のもの
が使用できる。その前方には測定結果や演算結果等を文
字またはグラフィックにて表示する表示部3と、データ
を入力したり装置に指示を行う多数のスイッチを持つ入
力部4が並んでいる。装置前部には被加工レンズの形状
(コバ厚)を測定するレンズ形状測定部5がある。
【0017】6はレンズ研削部で、ガラスレンズ用の粗
砥石60a、プラスティック用の粗砥石60b、ヤゲン
加工及び平加工用の仕上げ砥石60cとから成る砥石群
60が、ベース1に固定されたスピンドルユニット61
の回転軸61aに同軸で回転可能に取付けられている。
仕上げ砥石60cは、図4に示すように、被加工レンズ
のコバ厚より幅の広がったヤゲン溝600を持ち、被加
工レンズに形成するヤゲンの前面は溝斜面600Fを使
用し、ヤゲンの後面は溝斜面600Rを使用してヤゲン
の前面と後面を個別に加工できるようになっている。ま
た、溝斜面600Fと溝斜面600Rとが砥石軸に直交
する平面と成す角度ψ(これをヤゲン角という)をそれ
ぞれ55゜にしてあり、この溝斜面600F、600R
で面取加工を行え得るようにしている。また、各砥石の
外径は、標準的なものと同じ程度(直径100mm 前後)と
して、砥石寿命が十分なようにしている。
【0018】図1において、65は砥石回転用のACモ
ータであり、回転軸61aに取り付けられたプーリ6
3、ベルト64、プーリ66を介してその回転が砥石群
60に伝達される。7はキャリッジ部で、700はキャ
リッジである。
【0019】図1〜図3に基いてキャリッジ部7の構造
を説明する。図2はキャリッジの断面図、図3はキャリ
ッジの駆動機構を示す矢視A図である。ベース1に固定
されたシャフト701にはキャリッジシャフト702が
回転摺動自在に軸支されており、さらにそれにキャリッ
ジ700が回動自在に軸支されている。キャリッジ70
0にはシャフト701と平行にレンズ回転軸704a、
704bが同軸かつ回転可能に軸支されている。レンズ
回転軸704bはラック705に回転自在に軸支され、
ラック705はモータ706の回転軸に固定されたピニ
オン707により軸方向に移動することができる。これ
によりレンズ回転軸704bは軸方向に移動されて開閉
動作を行い、レンズLE(以下、被加工レンズともい
う)を回転軸704a、704bで挟持しうる。
【0020】キャリッジ700の左端には駆動板716
が固定されており、駆動板716には回転軸717がシ
ャフト701と平行かつ回転自在に取付けられている。
また駆動板716にはブロック722によりパルスモー
タ721が固定されており、パルスモータ721の回転
は、回転軸717の右端に取り付けられたギヤ720、
回転軸717の左端に取り付けられたプーリ718、タ
イミングベルト719、プーリ703aを介してシャフ
ト702に伝達される。さらに、シャフト702の回転
は、タイミングベルト709a、709b等を介してレ
ンズ回転軸704a、704bに伝達され、これにより
レンズ回転軸704a、704bは同期して回転する。
【0021】中間板710にはラック713が固定さて
おり、ラック713とキャリッジ移動用モータ714の
回転軸に取付けられピニオン715とが噛み合い、モー
タ714の回転によりキャリッジ700がシャフト70
1の軸方向に移動する。
【0022】キャリッジ700はパルスモータ728に
より回旋する。パルスモータ728はブロック722に
固定されており、パルスモータ728の回転軸729に
固定されたピニオン730が丸ラック725と噛み合っ
ている。丸ラック725は、回転軸717と中間板71
0に固定されたシャフト723との軸間を結ぶ最短の線
分に平行に位置するとともに、シャフト723に回転自
在に固定された補正ブロツク724とブロック722と
の間である程度の自由度をもって摺動可能に保持されて
いる。丸ラック725にはストッパ726が固定されて
おり、補正ブロック724の当接位置より下方にしか摺
動できないようになっている。これにより、パルスモー
タ728の回転に応じて回転軸717とシャフト723
の軸間距離r´を制御することができ、このr´と直線
的相関関係をもつレンズ回転軸704a,704bと砥
石の回転軸61aとの軸間距離rを制御することができ
る。
【0023】中間板710にはセンサ727が設けら
れ、ストッパ726と補正ブロック724との当接状態
を確認し、レンズLEの研削状態を知ることができる。
また、駆動板716にはバネ731のフックが掛かって
おり、他方のフックにはワイヤ732が掛かっている。
中間板710に固定されたモータ733の回転軸にはド
ラムが付いており、ワイヤ732を巻き上げることによ
り、レンズLEの加工圧を変えることができる。
【0024】なお、このキャリッジ部の構成は、本出願
人による特開平5-212661号等のものと基本的に同様であ
るので、詳細はこれを参照されたい。
【0025】図5は装置の電気制御系ブロック図の要部
を示す図である。主演算制御回路100は例えばマイク
ロプロセッサで構成され、その制御は主プログラムメモ
リ101に記憶されているシーケンスプログラムで制御
される。主演算制御回路100はシリアル通信ポート1
02を介して、ICカード、検眼システム装置等とデー
タの交換を行うことが可能である。また、眼鏡枠形状測
定部2内の演算制御回路200とデータ交換・通信を行
う。眼鏡枠形状データはデータメモリ103に記憶され
る。
【0026】主演算制御回路100には表示部3、入力
部4、レンズ形状測定部5が接続されている。主演算制
御回路100で演算処理されたレンズの加工情報等はデ
ータメモリ103に記憶される。キャリッジ移動モータ
714、パルスモータ728、721はパルスモータド
ライバ110、パルス発生器111を介して主演算制御
回路100に接続されている。パルス発生器11は主演
算制御回路100からの指令を受けて、それぞれのパル
スモータへ何Hzの周期で何パルス出力するかにより各
モータの動作をコントロールする。
【0027】以上のような構成を持つ装置において、そ
の動作を説明する。まず、眼鏡枠形状測定部2を使用し
て眼鏡枠の形状を測定し、測定したデータは次データス
イッチ417を押すことにより主演算制御回路100側
に転送されてデータメモリ103に記憶される。表示部
3の画面上には、枠形状データに基づいて玉型形状が表
示され、加工条件を入力できる状態になる。加工者は、
入力部4のスイッチにより装用者のPD値、FPD値、
光学中心の高さ等のレイアウトデータ、加工するレンズ
の材質、フレームの材質、加工モード等の加工条件を入
力する。加工条件の入力ができたら、所定の処理(吸着
カップの軸打ち)が施された被加工レンズを、レンズ回
転軸704a,704bによりチャッキングし、スター
ト・ストップスイッチ411を押して装置を作動する。
【0028】主演算回路100はスタート信号によりレ
ンズ形状測定部5を作動させ、枠形状データ及びレイア
ウトデータに対応するレンズのコバ位置を測定する。そ
の後、所定のプログラムに従いコバ位置情報に基づいて
レンズに施すヤゲン頂点軌跡を求めるヤゲン計算を行
う。なお、レンズ形状測定部5の構成とその測定動作、
ヤゲン計算等については特開平5−212661号等を
参照されたい。
【0029】ヤゲン頂点軌跡が得られると、続いてこの
データに基づき、溝斜面600Fにより被加工レンズに
形成するヤゲンの前面を加工するための前面ヤゲン加工
データ、溝斜面600Rによりヤゲンの後面を加工する
ための後面ヤゲン加工データを得る。この2つのヤゲン
加工データを求める方法を、図6に基づいて説明する。
【0030】まず、設定されたヤゲン高さhを持つヤゲ
ン底を確保する加工点を求める。すなわち、ヤゲン計算
により得られたヤゲン頂点軌跡(rδ,rθ
)(n=1,2,3,……,N)の2次元の動径情
報(rδ,rθ)から、砥石径Rよりヤゲン高
さh分小さい径で加工するときのレンズ回転中心と砥石
回転中心の軸間距離Lv を、
【0031】
【数1】 により求める。そして、動径情報(rδ,r
θ)を微小な任意の角度だけレンズ回転中心を中心
に回転させ、数1と同一の計算を行う。このときの回転
角をξ(i=1,2,3,……,N)とし、全周にわ
たって算出する。それぞれのξでのLV の最大値をL
V として、加工点の2次元の加工軌跡(LV
ξ)を得る。これをヤゲン加工における軸間距離方向
の加工基準軌跡とする。
【0032】次に、この加工基準軌跡に対応させて、溝
斜面600Fが被加工レンズに施すヤゲンの頂点軌跡に
接するように、そのレンズ軸方向の加工位置を求める。
ここで、便宜上、相対的にレンズ回転軸を原点とする直
交座標系として考えると、ヤゲン頂点軌跡(rδ
θ,z)は、
【0033】
【数2】 とするヤゲン頂点軌跡(x,y,z)に置き換え
られる。このとき、この直交座標系と原点を同じにする
溝斜面600Fの砥石面は、次式で表される。
【0034】
【数3】 なお、数3における(X,Y,Z)を溝斜面600Fの
砥石面を構成する仮想の円錐頂点座標となり、溝斜面6
00F側のZは、
【0035】
【数4】 となる。また、前述の加工基準軌跡のξをrθ
する直交座標に変換すると、
【0036】
【数5】 となる。これとヤゲン頂点軌跡(x,y,z)を
数2に代入してZの最大値Zmax を求める。そして、ヤ
ゲン頂点軌跡(x,y,z)を微小な任意の角度
ξ(i=1,2,3,……,N)だけレンズ回転中心
を中心に回転させながら全周にわたって同一の計算を行
い、それぞれξでのZの最大値Zmax を得ることに
より、溝斜面600Fが被加工レンズに施すヤゲン頂点
軌跡に接するレンズ軸方向の加工位置が求まる。これと
前述の加工基準軌跡とにより、(LV ,Zmax ,ξ
)(i=1,2,3,……,N)が前面ヤゲン加工デ
ータとなる。
【0037】後面ヤゲン加工データの算出にあたって
は、数4の式を、
【0038】
【数6】 に置き換えることにより同様な方法でその加工データを
得る。
【0039】以上のようにして前面ヤゲン加工データ、
後面ヤゲン加工データが得られたら、加工シーケンスに
従ってキャリッジ部7の動作を制御して加工を実行す
る。装置は被加工レンズの材質の指定に応じた粗砥石上
にチャッキングした被加工レンズがくるようにキャリッ
ジ700を移動し、粗加工用の加工情報に基づいて各モ
ータを駆動制御して被加工レンズを加工する。次に、粗
砥石から被加工レンズを離脱させた後、これを溝斜面6
00Fの上に位置させ、前面ヤゲン加工データに基づき
各モータの駆動による軸方向の移動、軸間距離方向の移
動を制御しながら前面側のヤゲン加工を行う。続いて、
前面側のヤゲン加工が終了した被加工レンズを今度は溝
斜面600Rの上に位置させ、後面ヤゲン加工データに
基づき各モータを制御しながら後面側のヤゲン加工を完
了する(前面側と後面側のヤゲン加工の順番は逆でも良
い)。これにより、砥石の径が比較的大きなものでも、
ヤゲン頂点の軌跡を確保しつつヤゲン幅の変化も抑えた
ヤゲン形成を行うことができる。なお、このようなヤゲ
ン加工では、ヤゲン頂点が鋭角になり過ぎることがある
ので、この場合には加工されたヤゲン頂点部分を仕上げ
砥石60cが持つフラットな部分で落とす加工を行うよ
うにしても良い。これは、とくにガラスレンズの加工に
おいて、カケ防止のために効果的である。
【0040】なお、上記で説明したヤゲン高さhは、予
め所定の値をデータメモリ103に記憶させておく他、
加工者が入力部4のスイッチにより所望の値を入力して
も良い。また、ヤゲン幅dを指定することにより決定し
ても良い。ヤゲン幅dを指定した場合は、ヤゲン角ψと
の関係から、 h=d/(2tan ψ) として計算することができる。メタルフレームにレンズ
を嵌合するときには小さいヤゲン幅(例えば、2.2mm )
に設定し、セルフレームにレンズを嵌合するときには大
きいヤゲン幅(例えば、2.5mm )に設定して加工する
と、フレームへのフィット感が良くなる。加工者が任意
にヤゲン幅dを指定するときは、表示部3にヤゲン幅の
入力画面を表示させ、入力部4のスイッチ操作で所望の
値を入力する。あるいは、加工条件の入力におけるフレ
ームの材質の指定により、ヤゲン幅が自動的に選択され
るようにしても良い。
【0041】さらには、眼鏡枠形状測定部2により実際
の眼鏡枠の溝の大きさ(溝の深さ又は溝の幅)を測定
し、その測定結果に基づいてヤゲン幅又はヤゲンの高さ
を設定することもできる。眼鏡枠の溝の大きさは、例え
ば、図7のように眼鏡枠の保持部分で測定子24を上下
動機構により上下させ、径方向の変化又は眼鏡枠の高さ
方向の変化から測定する。
【0042】またさらに、一つの眼鏡枠においてもセル
フレーム部分とメタルフレーム部分のように異なる溝の
大きさを持つ場合には、その異なる枠溝の大きさに対応
させてヤゲンの大きさを変更することもできる。すなわ
ち、動径角に対応させてヤゲンの高さ(又は幅)が変化
する範囲を入力する。この入力された部分的に異なるヤ
ゲンの高さのデータに基づき、上記で説明したヤゲン底
を確保するための2次元の加工基準軌跡を求め、その後
は同様な計算を行うことにより、動径角に対応させて部
分的に変化したヤゲンを形成するための前面及び後面の
ヤゲン加工データを得ることができる。これにより、異
なる大きさの枠溝を持つ眼鏡枠においても、フィット感
の良いヤゲンを容易に加工することができる。
【0043】以上説明した本発明の装置は、前述のよう
な構成を持つので、溝斜面600F及び600Rの部分
により仕上げ加工後のレンズのコバ角部の加工(面取加
工又はレンズを薄く見せる薄肉加工)も行うことでき
る。後面側の面取加工を例にとって説明する。まず、装
置は予め指定又は入力された面取量の指示と(面取量の
指示は、ヤゲン底からコバ位置までのヤゲン肩の幅を、
ある比率に基づいて全周に亘って分割する方法やオフセ
ット量による指示ができる)、レンズ形状測定部5によ
り得られるコバ位置情報に基づき、図8に示すように、
ヤゲン肩における加工点PR を動径角に対応させて面取
軌跡を求める。そして、砥石径Rより所定の高さ分小さ
い径(あるいは面取量の指示に応じて変化させても良
い)の溝斜面600Rのところを加工点PR に合わせて
加工するものとして、ヤゲン加工のときと同様な方法に
より、動径角に対応させた軸間距離(レンズ回転中心と
砥石回転中心の距離)の変化の軌跡を求める。この軌跡
を基準にして加工点PR が溝斜面600Rに接するよう
に、動径角に対応した軸方向の変化の軌跡を求めること
によりレンズ後面の面取加工データを得る。この面取加
工データの求め方は、基本的に本出願人による特願平9
−41478号と基本的に同様の方法を使用できるの
で、その詳細はこれを参照されたい。
【0044】また、被加工レンズの前面側の面取加工も
溝斜面600Fを使用し、同様な方法により加工データ
を得て加工することができる。
【0045】以上の実施例における溝斜面600F及び
600Rの配置は、砥石回転軸の同軸方向に離れて配置
しても良い。また、図9に示すように、ヤゲン前面加工
用の斜面を持つヤゲン砥石610Lとヤゲン後面加工用
の斜面を持つ砥石610Rを、それぞれ異なる砥石回転
軸620L、620Rに配置したタイプの装置で行うこ
ともできる。このタイプの装置の構成は、例えば、本出
願人による特願平8−97444号に記載されており、
被加工レンズの保持軸621に対する砥石回転軸620
R、620Lの相対移動を個別に制御することにより、
ヤゲン前面側と後面側を個別に加工できる。さらに、両
方の加工を平行して行えば加工時間を短縮することがで
きる。
【0046】このように本発明は種々の変容が可能であ
り、本発明と技術思想を同じにするものは本発明に含ま
れる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
比較的簡単な構成でヤゲン加工におけるヤゲンの大きさ
の変化を抑えることができ、レンズ枠入れ時のフィット
感が良い加工を行うことができる。
【0048】また、眼鏡枠の材質やその溝形状に応じた
ヤゲン形成、加工者が所望する大きさのヤゲン形成を容
易に行うことができる。
【0049】またさらに、砥石構成を複雑にすることな
く、コバ角部の加工(面取加工や部分的な薄肉加工)に
対応することができる。
【0050】また、従来の装置の構成に大幅な変更を加
えることなく、これらを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレンズ研削加工装置の全体構成を
示す斜視図である。
【図2】キャリッジの断面図を示す図である。
【図3】キャリッジの駆動機構を示す図1の矢視A図で
ある。
【図4】仕上げ砥石が持つヤゲンの溝斜面を説明する図
である。
【図5】装置の電気制御系ブロック図の要部を示す図で
ある。
【図6】ヤゲン加工データを求める方法を説明する図で
ある。
【図7】眼鏡枠の溝の大きさの測定を示す図である。
【図8】面取加工の方法を説明する図である。
【図9】ヤゲン前面加工用の斜面を持つヤゲン砥石とヤ
ゲン後面加工用の斜面を持つ砥石を、それぞれ異なる軸
に配置するタイプの例を示す図である。
【符号の説明】
4 入力部 7 キャリッジ部 60c 仕上げ砥石 61a 回転軸 100 主演算制御回路 600F 溝斜面 600R 溝斜面 704a,704b レンズ回転軸

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 眼鏡枠に合うように被加工レンズを研削
    加工する眼鏡レンズ研削加工装置において、被加工レン
    ズに形成するヤゲン頂点の位置を決定するヤゲン位置決
    定手段と、第1のヤゲン加工斜面と第2のヤゲン加工斜
    面を持ちヤゲンの前面と後面を個別に加工するヤゲン加
    工砥石と、被加工レンズを保持して回転するレンズ回転
    軸と、前記第1及び第2のヤゲン加工斜面と被加工レン
    ズとの加工点を求め加工点に対応させて前記ヤゲン頂点
    が前記第1及び第2のヤゲン加工斜面にそれぞれ接する
    ようにヤゲンの前面加工用及び後面加工用のヤゲン加工
    データを求めるヤゲン演算手段と、該ヤゲン演算手段に
    よるヤゲン加工データに基づいてヤゲン加工を制御する
    ヤゲン加工制御手段と、を備えることを特徴とする眼鏡
    レンズ研削加工装置。
  2. 【請求項2】 請求項1のヤゲン演算手段は、前記ヤゲ
    ン頂点の位置情報に基づいて前記レンズ回転軸と砥石回
    転軸との軸間距離方向の加工位置データを求める第1演
    算手段と、該加工位置デ−タを基準にしてヤゲン加工後
    に予定されるヤゲン頂点が前記第1及び第2のヤゲン加
    工用斜面にそれぞれ接するように砥石回転軸方向の加工
    位置データを求める第2演算手段と、を有することを特
    徴とする眼鏡レンズ研削加工装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の眼鏡レンズ研削加工装置は、
    さらにヤゲンの高さ又は幅を設定する設定手段を持ち、
    前記ヤゲン演算手段は該設定手段により設定されたヤゲ
    ンの高さ又は幅に基づいてヤゲン加工データを得ること
    を特徴とする眼鏡レンズ研削加工装置。
  4. 【請求項4】 請求項3の設定手段は、操作者が任意に
    ヤゲンの高さ又は幅を入力する手段、眼鏡枠の材質を指
    定することによりヤゲンの高さ又は幅を決定する手段、
    眼鏡枠の形状を測定する眼鏡枠測定装置による枠溝の深
    さ又は枠溝の幅の測定結果を入力する手段、のうち少な
    くとも1つを備えることを特徴とする眼鏡レンズ研削加
    工装置。
  5. 【請求項5】 請求項1の眼鏡レンズ研削加工装置にお
    いて、被加工レンズの動径角に対応させてヤゲンの高さ
    又は幅を変えて設定する可変設定手段を持ち、前記ヤゲ
    ン演算手段は該可変設定手段により設定されたヤゲンの
    高さ又は幅に基づいて動径角に対応させてヤゲンの大き
    さを変化させるヤゲン加工データを得ることを特徴とす
    る眼鏡レンズ研削加工装置。
  6. 【請求項6】 請求項1の眼鏡レンズ研削加工装置は、
    さらに仕上げ加工後のレンズのコバ角部を斜めに加工す
    る加工位置を決定するコバ角部加工位置決定手段と、該
    決定された加工位置情報に基づいて前記ヤゲン加工砥石
    により被加工レンズのコバ角部の加工を制御するコバ角
    部加工制御手段と、を備えることを特徴とする眼鏡レン
    ズ研削加工装置。
  7. 【請求項7】 眼鏡枠に合うように被加工レンズを研削
    加工する眼鏡レンズ研削加工装置において、被加工レン
    ズに形成するヤゲン頂点の位置を決定するヤゲン位置決
    定手段と、第1のヤゲン加工斜面と第2のヤゲン加工斜
    面を持ちヤゲンの前面と後面を個別に加工するヤゲン加
    工砥石と、ヤゲンの高さ又は幅を設定する設定手段と、
    該設定されたヤゲンの高さ又は幅の情報と前記ヤゲン頂
    点の位置情報に基づいてヤゲンの前面加工用及び後面加
    工用のヤゲン加工データを求めるヤゲン演算手段と、該
    ヤゲン演算手段によるヤゲン加工データに基づいて前記
    ヤゲン加工砥石によるヤゲン加工を制御するヤゲン加工
    制御手段と、を備えることを特徴とする眼鏡レンズ研削
    加工装置。
  8. 【請求項8】 請求項7の設定手段は、操作者が任意に
    ヤゲンの高さ又は幅を入力する手段、眼鏡枠の材質を指
    定することによりヤゲンの高さ又は幅を決定する手段、
    眼鏡枠の形状を測定する眼鏡枠測定装置による枠溝の深
    さ又は枠溝の幅の測定結果を入力する手段、のうち少な
    くとも1つを備えることを特徴とする眼鏡レンズ研削加
    工装置。
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