JPH1145828A - 高圧級アルミ電解コンデンサ用電極箔の製造方法 - Google Patents

高圧級アルミ電解コンデンサ用電極箔の製造方法

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JPH1145828A
JPH1145828A JP9199636A JP19963697A JPH1145828A JP H1145828 A JPH1145828 A JP H1145828A JP 9199636 A JP9199636 A JP 9199636A JP 19963697 A JP19963697 A JP 19963697A JP H1145828 A JPH1145828 A JP H1145828A
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voltage
chemical conversion
formation
electrode foil
solution
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JP9199636A
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健二 ▲吉▼田
Kenji Yoshida
Mitsuhisa Yoshimura
満久 吉村
Takashi Suzuki
隆史 鈴木
Koichi Kojima
浩一 小島
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電容量が高く、かつ漏れ電流の少ない高圧
級アルミ電解コンデンサ用電極箔の製造方法を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 純水中でボイル処理したアルミニウム箔
を化成する際、化成が終了するまでの全ての化成液にア
ジピン酸ジアンモニウム水溶液を用い、かつ電圧が化成
電圧まで上昇した後、電圧を化成電圧に保持している間
に、電流が流れない状態で30秒以上電極箔を化成液中
に放置する状態を少なくとも1回以上設けたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高圧級アルミ電解コ
ンデンサ用電極箔の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の高圧級アルミ電解コンデンサは、
エッチング処理によって実効表面積を拡大させたアルミ
ニウム箔の表面に化成処理により誘電体となる酸化皮膜
を形成して陽極箔を構成し、そして、この陽極箔と陰極
箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することに
よりコンデンサ素子を構成し、このコンデンサ素子に駆
動用電解液を含浸させた後、コンデンサ素子をケース内
に封止することにより構成していた。そして、前記アル
ミニウム箔の表面に酸化皮膜を形成する高圧級アルミ電
解コンデンサ用電極箔の化成工程は、次のような手順に
より行っていた。すなわち、エッチング工程により粗面
化されたアルミニウム箔を純水中でボイルした後、ホウ
酸、リン酸あるいはそれらの塩の水溶液中で化成電圧に
達するまでは定電流で、化成電圧に達してからは定電圧
で一定時間保持した後一回目の化成を終了する。この状
態では酸化皮膜の内部にボイドが存在するため、酸化皮
膜は不安定な状態である。このため、一度化成したアル
ミニウム箔に減極処理を行い、その後再化成を行えば内
部のボイドが除去されて安定な酸化皮膜を得ることがで
きるもので、このような工程を2〜3回繰り返すことに
より化成を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した高圧級アルミ
電解コンデンサ用電極箔の化成工程においては、有機酸
系の化成液は高電圧で化成を行う場合化成液の放電を防
ぐために化成液濃度を極端に低くしなければならないた
め、濃度管理が困難である等の理由から用いられておら
ず、したがって、従来は、比較的化成液濃度が濃くても
放電の起こらないホウ酸、リン酸あるいはそれらの塩が
用いられてきた。
【0004】しかしながら、これらの化成液を用いた場
合、アルミニウム箔の溶解が起こったり化成皮膜の結晶
化が進まないために静電容量が低くなる傾向にあった。
また、アジピン酸ジアンモニウムは、低圧級アルミ電解
コンデンサ用電極箔の化成液として従来から用いられて
いるが、これを高圧級アルミ電解コンデンサ用電極箔の
化成液として用いた場合は、ホウ酸、リン酸、あるいは
それらの塩を化成液に用いた場合に比べて化成皮膜の結
晶化が進むために静電容量は高くなるが、化成皮膜中の
欠陥が多くなるために、漏れ電流が多くなり、かつ化成
工程で電圧を化成電圧に保持している時に化成皮膜中の
欠陥の暴露が起こって、電圧の変動が生じ、安定して生
産できないという問題点を有していた。
【0005】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、静電容量が高く、かつ漏れ電流の少ない高圧級アル
ミ電解コンデンサ用電極箔の製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の高圧級アルミ電解コンデンサ用電極箔の製造
方法は、純水中でボイル処理したアルミニウム箔を化成
する際、化成が終了するまでの全ての化成液にアジピン
酸ジアンモニウム水溶液を用い、かつ電圧が化成電圧ま
で上昇した後、電圧を化成電圧に保持している間に、電
流が流れない状態で30秒以上電極箔を化成液中に放置
する状態を少なくとも1回以上設けたもので、この製造
方法によれば、静電容量が高く、かつ漏れ電流の少ない
高圧級アルミ電解コンデンサ用電極箔を得ることができ
るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、純水中でボイル処理したアルミニウム箔を化成する
際、化成が終了するまでの全ての化成液にアジピン酸ジ
アンモニウムの水溶液を用い、かつ電圧が化成電圧まで
上昇した後、電圧を化成電圧に保持している間に電流が
流れない状態で30秒以上電極箔を化成液中に放置する
状態を少なくとも1回以上設けたもので、この製造方法
によれば、化成が終了するまでの全ての化成液にアジピ
ン酸ジアンモニウム水溶液を用いているため、化成皮膜
の結晶化が進み、これにより、静電容量が高くなり、ま
た電圧が化成電圧まで上昇した後、電圧を化成電圧に保
持している間に、電流が流れない状態で30秒以上電極
箔を化成液中に放置する状態を少なくとも1回以上設け
ているため、化成液が化成皮膜中の欠陥部分に確実に浸
透していくことになり、そしてこの化成液が浸透した状
態で再度電圧を印加してやれば、化成皮膜中の欠陥部分
が修復されて漏れ電流の少ない高圧級アルミ電解コンデ
ンサ用電極箔を得ることができるものである。なお、化
成液中に電極箔を放置する時間が30秒より短いと、化
成液が化成皮膜中の欠陥部分に十分に浸透しないため、
上記の効果は得られないものである。
【0008】請求項2に記載の発明は、化成電圧を30
0V以上としたもので、この製造方法によれば、上記し
た化成液がアジピン酸ジアンモニウム水溶液であるた
め、化成電圧を300V以上にすると化成被膜の結晶化
がさらに進んで静電容量が高くなるという効果を有する
ものである。
【0009】請求項3に記載の発明は、化成液であるア
ジピン酸ジアンモニウム水溶液の濃度を0.5〜0.0
08%の範囲に設定したものでこの濃度範囲のアジピン
酸ジアンモニウム水溶液を用いることにより、化成皮膜
の結晶化が進み、かつ電圧が化成電圧まで上昇した後、
一旦電源を切って化成液中に電極箔を放置し、再度電圧
を印加することにより化成皮膜中の欠陥を埋めることが
できるという効果が十分に発揮できるものである。上記
アジピン酸ジアンモニウム水溶液の濃度が0.5%以上
の場合は、化成液の放電が起こるため、化成皮膜の生成
がなされず、一方、濃度が0.008%以下の場合は、
化成液の電導度が低いため、化成皮膜中へ浸透した化成
液部分の液抵抗が大きくなり、これにより、化成皮膜生
成能力が低くなって、上記した化成皮膜中の欠陥を埋め
るという効果が大幅に低下するもので、したがって化成
液であるアジピン酸ジアンモニウム水溶液の濃度は0.
5〜0.008%の範囲が好ましいものである。
【0010】請求項4に記載の発明は、電圧を化成電圧
まで上げていく各段階にも、電流が流れない状態で30
秒以上電極箔を化成液中に放置する状態を少なくとも1
回以上設けたもので、この製造方法によれば、2段階以
上の多段階で電圧を化成電圧まで上げていく各段階に
も、電流が流れない状態で30秒以上電極箔を化成液中
に放置する状態を少なくとも1回以上設けているため、
化成液が化成皮膜中の欠陥部分に確実に浸透していくこ
とになり、そして化成液が浸透した状態で再度電圧を印
加してやれば化成皮膜中の欠陥部分が修復されるため、
欠陥が少なく、かつ漏れ電流の少ない電極箔が得られる
という効果を有するものである。
【0011】請求項5に記載の発明は、化成皮膜中の欠
陥を修復するために必要な欠陥の暴露および再化成の工
程を少なくともそれぞれ3回以上設けたもので、化成液
としてアジピン酸ジアンモニウム水溶液を用いて化成を
行うと、化成皮膜の結晶化が進んで静電容量はアップし
ていくが、化成皮膜の結晶化が進むと、体積収縮が起こ
るために化成皮膜中の欠陥が多くなって漏れ電流が多く
なる。しかるに上記製造方法によれば、化成皮膜中の欠
陥を修復するために必要な欠陥の暴露および再化成の工
程を少なくともそれぞれ3回以上設けているため、これ
により、化成皮膜中の欠陥をなくして漏れ電流を小さく
することができるものである。なお、回数がこれより少
ないと漏れ電流が大きくなるものである。
【0012】以下、本発明の実施の形態について説明す
る。図1は、ホウ酸塩の水溶液で化成した従来の電極箔
の化成皮膜の断面とアジピン酸ジアンモニウム水溶液で
化成した本発明の電極箔の化成皮膜の断面における結晶
層とアモルファス層の厚みを透過電子顕微鏡写真により
測定した結果を示したものであるが、この図1からも明
らかなように、アジピン酸ジアンモニウム水溶液で化成
を行ったものは、化成皮膜の結晶層の厚みがホウ酸塩の
水溶液で化成した従来の電極箔より厚くなっており、化
成皮膜の結晶化が進んでいることがわかる。
【0013】上記のようにアジピン酸ジアンモニウム水
溶液を用いることにより、化成皮膜の結晶化が進んで静
電容量は高くなるが、化成皮膜の結晶化によって体積収
縮が起こるため化成皮膜中の欠陥量は多くなり漏れ電流
が高くなる。そこで、本発明ではアジピン酸ジアンモニ
ウム水溶液を用いるとともに、電圧が化成電圧まで上昇
した後電圧を化成電圧に保持している間に、電流が流れ
ない状態で30秒以上電極箔を化成液中に放置する状態
を少なくとも1回以上設けたもので、このように電圧が
化成電圧まで上昇した後、電圧を化成電圧に保持してい
る間に、電流が流れない状態で30秒以上電極箔を化成
液中に放置することにより、化成皮膜中の欠陥部分へ化
成液が浸透し、そしてこの後、再度電圧を印加すること
により、化成皮膜中の欠陥部分が再化成によって修復さ
れるため、欠陥が少なく、かつ漏れ電流の少ない電極箔
が得られるものである。また、化成工程で化成皮膜の欠
陥の暴露による電圧の変動がなくなるため、安定した生
産ができるものである。
【0014】図2は電圧を化成電圧に保持した後の電極
箔の化成皮膜中の欠陥量を評価するために測定した電流
−電圧曲線を示したもので、化成箔をホウ酸/ホウ酸ナ
トリウムの水溶液に浸漬して電圧掃引を行うと、化成皮
膜の欠陥部分を埋めるための電流が流れるため、化成皮
膜中の欠陥が多いほど電流−電圧曲線の電流値は高くな
るものである。これは図2からも明らかなように、電極
箔を化成液中に放置して浸漬処理を行った電極箔と浸漬
処理を行わない電極箔の電流値と比べると、化成液中に
放置して浸漬処理を行った電極箔の方が電流値が低く、
化成皮膜中の欠陥が少なくなっていることがわかる。
【0015】なお、アジピン酸ジアンモニウム水溶液を
用いるとアルミニウム箔の溶解がなくなるため、リン酸
塩の水溶液を用いた場合に比べ、化成時の電気量が少な
くなり、化成工程での電気使用量が少なくなるメリット
もある。
【0016】以下、本発明におけるアルミニウム箔の化
成処理の実施の形態と比較例について説明する。
【0017】(実施の形態1)粗面化されたアルミニウ
ム箔を純水中でボイルした後、液温が90℃のアジピン
酸ジアンモニウム水溶液に浸漬し、580V化成を行っ
た。化成電圧まで3段階で電圧を上げ、アジピン酸ジア
ンモニウム水溶液の濃度を、1〜3段目までそれぞれ、
0.5%、0.1%、0.01%とした。電圧が化成電
圧まで上昇した後、90℃の0.01%アジピン酸ジア
ンモニウム水溶液中に電極箔を60秒放置し、その後、
電圧を印加して30分間化成電圧に保持し、そして熱処
理およびリン酸処理等の減極処理を行った後、0.01
%アジピン酸ジアンモニウム水溶液中で再化成を行って
その静電容量を測定した。
【0018】(実施の形態2)粗面化されたアルミニウ
ム箔を純水中でボイルした後、液温が90℃のアジピン
酸ジアンモニウム水溶液に浸漬し、580V化成を行っ
た。化成電圧まで3段階で電圧を上げ、アジピン酸ジア
ンモニウム水溶液の濃度を、1〜3段目までそれぞれ、
0.5%、0.1%、0.01%とした。そして電圧を
化成電圧まで3段階で上げていく各段階で、電極箔をア
ジピン酸ジアンモニウム水溶液中に60秒放置し、ま
た、電圧が化成電圧まで上昇した後、90℃のアジピン
酸ジアンモニウム水溶液中に電極箔を60秒放置し、そ
の後、電圧を印加して30分間化成電圧に保持し、そし
て熱処理およびリン酸処理等の減極処理を行った後、
0.01%アジピン酸ジアンモニウム水溶液中で再化成
を行ってその静電容量を測定した。
【0019】(実施の形態3)粗面化されたアルミニウ
ム箔を純水中でボイルした後、液温90℃のアジピン酸
ジアンモニウム水溶液に浸漬し、650V化成を行っ
た。化成電圧まで3段階で電圧を上げ、アジピン酸ジア
ンモニウム水溶液の濃度を、1〜3段目までそれぞれ、
0.5%、0.1%、0.01%とした。電圧が化成電
圧まで上昇した後、90℃の0.1%アジピン酸ジアン
モニウム水溶液中に電極箔を60秒放置し、その後、電
圧を印加して30分間化成電圧に保持し、そして熱処理
およびリン酸処理等の減極処理を行った後、0.01%
アジピン酸ジアンモニウム水溶液中で再化成を行ってそ
の静電容量を測定した。
【0020】(実施の形態4)粗面化されたアルミニウ
ム箔を純水中でボイルした後、液温が90℃のアジピン
酸ジアンモニウム水溶液に浸漬し、580V化成を行っ
た。化成電圧まで3段階で電圧を上げ、アジピン酸ジア
ンモニウム水溶液の濃度を、1〜3段目までそれぞれ、
0.5%、0.1%、0.01%とした。電圧が化成電
圧まで上昇した後、90℃の0.01%アジピン酸ジア
ンモニウム水溶液中に電極箔を60秒放置し、その後、
電圧を印加して30分間化成電圧に保持し、そして熱処
理およびリン酸処理等の減極処理ならびに0.01%ア
ジピン酸ジアンモニウム水溶液中での再化成をそれぞれ
3回行った後、定電流を流して電圧の上昇カーブを測定
した。
【0021】(比較例1)粗面化されたアルミニウム箔
を純水中でボイルした後、液温が90℃の8%ホウ酸/
0.04%ホウ酸ナトリウム水溶液に浸漬し、580V
化成を行った。電圧が化成電圧まで上昇した後、30分
間その状態を保持し、そして熱処理およびリン酸処理等
の減極処理を行った後、8%ホウ酸/0.04%ホウ酸
ナトリウム水溶液中で再化成を行ってその静電容量を測
定した。
【0022】(比較例2)粗面化されたアルミニウム箔
を純水中でボイルした後、液温が90℃の8%ホウ酸/
0.01%ホウ酸ナトリウム水溶液に浸漬し、650V
化成を行った。電圧が化成電圧まで上昇した後、30分
間その状態を保持し、そして熱処理およびリン酸処理等
の減極処理を行った後、8%ホウ酸/0.01%ホウ酸
ナトリウム水溶液中で再化成を行ってその静電容量を測
定した。
【0023】(比較例3)粗面化されたアルミニウム箔
を純水中でボイルした後、液温が90℃のアジピン酸ジ
アンモニウム水溶液に浸漬し、580V化成を行った。
化成電圧まで3段階で電圧を上げ、アジピン酸ジアンモ
ニウム水溶液の濃度を、1〜3段目までそれぞれ、0.
5%、0.1%、0.01%とした。電圧が化成電圧ま
で上昇した後、引き続きアジピン酸ジアンモニウム水溶
液中で30分間化成電圧に保持し、そして熱処理および
リン酸処理等の減極処理を行った後、0.01%アジピ
ン酸ジアンモニウム水溶液中で再化成を行ってその静電
容量を測定した。
【0024】(比較例4)粗面化されたアルミニウム箔
を純水中でボイルした後、液温が90℃のアジピン酸ジ
アンモニウム水溶液に浸漬し、580V化成を行った。
化成電圧まで3段階で電圧を上げ、アジピン酸ジアンモ
ニウム水溶液の濃度を、1〜3段目までそれぞれ、0.
5%、0.1%、0.01%とした。電圧が化成電圧ま
で上昇した後、90℃の0.01%アジピン酸ジアンモ
ニウム水溶液中に電極箔を60秒放置し、その後、電圧
を印加して30分間化成電圧に保持し、そして熱処理お
よびリン酸処理等の減極処理ならびに0.01%アジピ
ン酸ジアンモニウム水溶液中での再化成をそれぞれ2回
行った後、定電流を流して電圧の上昇カーブを測定し
た。
【0025】上記本発明の実施の形態1〜3および比較
例1〜3により得られたそれぞれの化成箔について静電
容量を測定した結果を図3に示す。また図4は上記本発
明の実施の形態1〜3および比較例1〜3の条件で化成
を行ったときの化成箔に定電流を流し、化成電圧まで電
圧が上昇する時間、すなわち、電圧上昇時間を示したも
ので、さらに、図5は本発明の実施の形態4および比較
例4の条件で化成した化成箔に定電流を流したときの電
圧の上昇カーブを示したものである。
【0026】図3から明らかなように、580V化成に
おいて化成液としてアジピン酸ジアンモニウム水溶液を
用いた本発明の実施の形態1,2および比較例3は、従
来の化成液で化成した比較例1に比べて約6%の静電容
量のアップが図れ、また650V化成において化成液と
してアジピン酸ジアンモニウム水溶液を用いた本発明の
実施の形態3は、従来の化成液で化成した比較例2に比
べて約6%の静電容量のアップが図れた。これは、図1
に示したように化成皮膜の結晶化が進んでいるためであ
る。
【0027】化成箔の電圧上昇時間の比較においては、
図4から明らかなように、580V化成において化成時
に電圧が化成電圧まで上昇した後化成液中に電極箔を放
置し、その後、電圧を印加するようにした本発明の実施
の形態1,2は、化成液中に放置を行わなかった比較例
1,3に比べて電圧上昇時間が短くなっており、一方、
650V化成においても化成時に電圧が化成電圧まで上
昇した後、化成液中に電極箔を放置し、その後、電圧を
印加するようにした本発明の実施の形態3は、化成液中
に放置を行わなかった比較例2に比べて電圧上昇時間が
短くなっているもので、これは化成皮膜中の欠陥が少な
くなっていることを意味するものである。
【0028】減極処理の回数が3回のときと2回のとき
の電圧の上昇カーブの比較においては、図5から明らか
なように、減極処理の回数が3回である本発明の実施の
形態4は、減極処理の回数が2回である比較例4に比べ
て化成箔に定電流を流したときの電圧の上昇する時間が
短くなっているもので、これは化成皮膜中の欠陥が少な
くなっていることを意味するものである。
【0029】
【発明の効果】以上のように本発明の高圧級アルミ電解
コンデンサ用電極箔の製造方法は、純水中でボイル処理
したアルミ箔を化成する際、化成が終了するまでの全て
の化成液にアジピン酸ジアンモニウム水溶液を用い、か
つ電圧が化成電圧まで上昇した後、電圧を化成電圧に保
持している間に電流が流れない状態で30秒以上電極箔
を化成液中に放置する状態を少なくとも1回以上設けた
もので、この製造方法によれば、化成が終了するまでの
全ての化成液にアジピン酸ジアンモニウム水溶液を用い
ているため、化成皮膜の結晶化が進み、これにより静電
容量が高くなり、また電圧が化成電圧まで上昇した後、
電圧を化成電圧に保持している間に電流が流れない状態
で3秒以上電極箔を化成液中に放置する状態を少なくと
も1回以上設けているため、化成液が化成皮膜中の欠陥
部分に浸透していくことになり、そしてこの化成液が浸
透した状態で再度電圧を印加してやれば、化成皮膜中の
欠陥部分が修復されて漏れ電流の少ない高圧級アルミ電
解コンデンサ用電極箔を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホウ酸塩の水溶液で化成した従来の電極箔の化
成皮膜の断面とアジピン酸ジアンモニウム水溶液で化成
した本発明の電極箔の化成皮膜の断面における結晶層と
アモルファス層の厚みを透過電子顕微鏡写真により測定
した結果を示す比較図
【図2】電圧を化成電圧に保持した後の電極箔の化成皮
膜中の欠陥量を評価するために測定した電流−電圧曲線
を示す特性図
【図3】本発明の実施の形態1〜3および比較例1〜3
により得られたそれぞれの化成箔について静電容量を測
定した結果を示す特性図
【図4】本発明の実施の形態1〜3および比較例1〜3
の条件で化成を行ったときの化成箔に定電流を流し、化
成電圧まで電圧が上昇する時間を示す特性図
【図5】本発明の実施の形態4および比較例4の条件で
化成した化成箔に定電流を流したときの電圧の上昇カー
ブを示す特性図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小島 浩一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純水中でボイル処理したアルミニウム箔
    を化成する際、化成が終了するまでの全ての化成液にア
    ジピン酸ジアンモニウムの水溶液を用い、かつ電圧が化
    成電圧まで上昇した後、電圧を化成電圧に保持している
    間に電流が流れない状態で30秒以上電極箔を化成液中
    に放置する状態を少なくとも1回以上設けた高圧級アル
    ミ電解コンデンサ用電極箔の製造方法。
  2. 【請求項2】 化成電圧を300V以上とした請求項1
    に記載の高圧級アルミ電解コンデンサ用電極箔の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 化成液であるアジピン酸ジアンモニウム
    水溶液の濃度を0.5〜0.008%の範囲に設定した
    請求項1に記載の高圧級アルミ電解コンデンサ用電極箔
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 電圧を化成電圧まで上げていく各段階に
    も、電流が流れない状態で30秒以上電極箔を化成液中
    に放置する状態を少なくとも1回以上設けた請求項1に
    記載の高圧級アルミ電解コンデンサ用電極箔の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 化成皮膜中の欠陥を修復するために必要
    な欠陥の暴露および再化成の工程を少なくともそれぞれ
    3回以上設けた請求項1に記載の高圧級アルミ電解コン
    デンサ用電極箔の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014041898A1 (ja) 2012-09-13 2014-03-20 日本軽金属株式会社 アルミニウム電解コンデンサ用電極の製造方法

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