JPH1144018A

JPH1144018A - 電波吸収体の取り付け方法

Info

Publication number: JPH1144018A
Application number: JP20465997A
Authority: JP
Inventors: Tetsuo Yamada; 哲夫山田
Original assignee: Taisei Corp
Current assignee: Taisei Corp
Priority date: 1997-07-30
Filing date: 1997-07-30
Publication date: 1999-02-16

Abstract

(57)【要約】【課題】電波吸収体自体を外装材として構造物に簡単に
取り付けることができる電波吸収体の取り付け方法を提
供する。【解決手段】構造物外壁部へ電波吸収体２を取り付ける
にあたり、当該電波吸収体２に予め非磁性材料からなる
取り付け部材３を埋設し、その取り付け部材３を利用し
て構造物１の電波反射障害物となる部分に直接に電波吸
収体２を取り付けて構造物外壁面を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ビルその他の構造
物の外壁部を電波吸収壁とするための電波吸収体の取り
付け方法の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時、特に市街地で、錯綜する種々の電
波による電波障害が増大する傾向が顕著になってきてお
り、その対策が社会的要求になっている。そこで、例え
ばオフィスビル内の電子機器類を保護したり、あるいは
ビル外壁面での電波反射によるＴＶ電波障害を防止する
ため、それらの外壁面に電波吸収壁を採用して電波障害
を低減することが行われるようになってきている。この
種の電波吸収壁の材料としては、炭素入りの発泡プラス
チック成形品とか，複合磁性体，フェライト焼結体，複
合フェライト体等、電波エネルギーの吸収率が高く、且
つ軽量で、耐候性を有するものが選ばれている。

【０００３】この電波吸収体をビルや塔などの構造物の
外壁部へ取り付けるにあたり、従来の取り付け方法は、
先ずその構造物の外壁部の表面を外装するタイルや石材
等の外装材の裏面に、予めフェライト焼結体（フェライ
トタイル）等の電波吸収体を、例えばタイルの脚に抱か
せるなどの方法で取り付けておく。次いで、その外装材
を裏打ちコンクリートに機械的に接続して一体化させ
る。この外装材とコンクリートとの接続一体化は、タイ
ルの脚またはタイルに穴をあけて取り付けたシャーコネ
クターを裏打ちコンクリートに埋め込むことにより行っ
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の電波
吸収体取り付け方法にあっては、外装部材であるタイル
の内面と構造物外壁部との間に電波吸収体が隠蔽されて
取り付けられるため、外装の美観を保って電波吸収壁を
構築できる利点がある。しかしながら、反面、電波吸収
体を単体で構造物外壁部に直接に取り付けることができ
ないために、施工に手間がかかるという問題がある。

【０００５】また、外装材による電波反射分が生じて、
電波吸収体の電波吸収性能が全部は活用しきれず、その
分損失になるという問題がある。本発明は、このような
従来の電波吸収体の取り付け方法の問題点に着目してな
されたものであり、前記電波吸収体自体を外装材となる
ように構造物に直接に取り付けることができる電波吸収
体の取り付け方法を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１に係る発明は、構造物外壁部へ電波吸収
体を取り付けるにあたり、当該電波吸収体に予め非磁性
材料からなる取り付け部材を埋設し、その取り付け部材
により前記構造物の電波反射障害物となる部分に直接に
前記電波吸収体を取り付けて構造物外壁面とすることを
特徴とする。

【０００７】このように、電波吸収体に埋設した取り付
け部材を構造物の電波反射障害部分に接合して電波吸収
体を構造物外壁面とすれば、従来の外装材は不要にな
り、施工が簡単になると共に電波吸収体による電波吸収
性能の損失も少なくなる。

【０００８】ここで、前記電波吸収体はフェライトモル
タルからなるものとすることができる。また、前記取り
付け部材がフェノール樹脂からなるものとすることがで
きる。

【０００９】また、前記取り付け部材の内周に雌ねじを
形成して、この雌ねじにボルトを螺合することにより前
記電波吸収体を前記構造物に固定するものとすることが
できる。

【００１０】フェライトモルタルは、フェノール樹脂の
ような非磁性体製のインサートを取り付け部材とするこ
とで取り付けが容易にできる。すなわち、そのインサー
トの内周に形成した雌ねじにボルトを螺合することで、
構造物に直接に取り付け可能であり、フェライトモルタ
ルは電波吸収能と共にそれ自体が外装材としても機能す
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図１ないし図３は本発明の一実施
形態を示すもので、図１は電波吸収体（フェライトモル
タル）の取付け図、図２，図３はその断面詳細図であ
る。

【００１２】この実施形態は、外壁部分がガラスカーテ
ンウオールからなる高層構造物のカーテンウオール取付
け梁部材１の外面側に、電波吸収体としてのフェライト
モルタル２を取り付ける場合を示している。すなわち、
Ｈ形鋼からなる梁部材１に直接にフェライトモルタル２
を取付けて、それ自体を外装材とした例である。フェラ
イトモルタル２は二種類のフェライトモルタル層で構成
されており、外層側はアラミド繊維メッシュ２ａを芯材
としたＭｇ系フェライトモルタル層２ｂ、内層側はＭｎ
系フェライトモルタル層２ｃで形成されている。Ｍｇ系
フェライトモルタル層２ｂは高周波側（民放：４〜１２
ｃｈ；１７７〜２２２ＭＨｚ）の吸収に寄与し、Ｍｎ系
フェライトモルタル層２ｃは低周波側（ＮＨＫ：１〜３
ｃｈ；９０〜１０８ＭＨｚ）の吸収に寄与する。在来型
のフェライトタイル（Ｎｉ系）は１〜３ｃｈの吸収に偏
る狭帯域型（ナロータイプ）であるのに対して、上記フ
ェライトモルタルは１〜１２ｃｈ迄満遍なく吸収する広
帯域型（ワイドタイプ）であり、すなわち、本来望まれ
てきた性能を有する電波吸収体であるといえる。

【００１３】それらの両層を貫いて、取り付け部材とし
てのフェノール樹脂製インサート３が所定箇所に予め埋
設されている。そのインサート３の内周面には雌ねじ３
ａが形成されている。そして、前記二層のフェライトモ
ルタル２ａ，２ｃの剥離を防止するため、例えばポリカ
ーボネート製ねじ４が両層を貫通してねじ込まれている
（図３参照）。こうして一体に形成されたフェライトモ
ルタル２の裏面には、鋼板からなる電波反射板５が、例
えばエポキシ系接着剤６を用いて接着されている。その
電波反射板５には、前記フェノール樹脂製インサート３
に対向する位置に、ボルト挿通孔５ａが明けてある。

【００１４】前記電波反射板５の裏面に、図１に示すよ
うに、保持部材として山形鋼８が取り付けられる。この
保持部材８の長さは、梁部材１の上下のフランジ１ｆ，
１ｆ間にはめ込める長さとされ、その一面には図４に示
すように、電波反射板５のボルト挿通孔５ａに対応する
ボルト挿通孔８ａが明けられている。また、そのボルト
挿通孔８ａの近くに、例えば異形鉄筋材からなる支柱９
が、電波反射板５に対し垂直となるように立てて溶接さ
れている。この支柱９の先端部分には雄ねじ９ａが加工
されている。

【００１５】一方、梁部材１の方には、そのウエブ１ｗ
に、前記支柱９の先端の雄ねじ９ａが挿通される貫通孔
が明けられている。電波反射板５の裏面への保持部材８
の取り付けは、フェライトモルタル２に埋設されている
インサート３を利用して行う。すなわち、電波反射板５
のボルト挿通孔５ａに保持部材８のボルト挿通孔８ａを
合わせ、取り付けボルト１０を挿入してインサート３の
雌ねじ３ａに螺合する。こうしてフェライトモルタル２
に裏打ちした保持部材８の支柱９の先端雄ねじ９ａを梁
部材１の貫通孔に通し、ダブルナット１１を締めつけ
る。これにより、保持部材８が梁部材１の上下のフラン
ジ１ｆ，１ｆ間にはめ込まれるとともに、電波反射板５
の裏面の上下がフランジ１ｆ，１ｆの端面に当接し、フ
ェライトモルタル２は梁部材１の外面側に直接に外装材
として装着される。

【００１６】こうして、外装に電波吸収体であるフェラ
イトモルタル２を取り付けた構造物に外部から電波が入
射すると、ごく一部の電波はフェライトモルタル２の表
面で反射するが、大部分はフェライトモルタル２の層を
通過して進行する間にフェライトモルタル２に吸収され
て減衰していく。そして、電波反射板５に達すると反射
され、フェライトモルタル２層内を外部に向かって進行
する間に更に吸収減衰され、かくして大幅に減衰された
反射波のみが外部に放射されるので、電波障害が防止さ
れる。

【００１７】上記実施形態によれば、インサート３を埋
設したフェライトモルタル２を予め製造しておくことが
できるため、現場施工がねじ止め作業だけで非常に簡単
にできる。また、フェライトモルタル２自体が外装材に
なるため、従来のような別途に取り付けた外装材による
電波吸収性能のロスが少ない。

【００１８】なお、上記実施形態では、電波吸収体のフ
ェライトモルタル２に埋設するインサート３をフェノー
ル樹脂製としたが、インサート３の材質はこれに限ら
ず、その他の樹脂製または鋼製等を利用することもでき
る。

【００１９】また、フェライトモルタル２と電波反射板
５とを固着するボルト１０の材質は、樹脂製，セラミッ
クス製等が好ましい。また、フェライトモルタル２を二
層構成としたものを示したが、これに限らず、一層また
は三層以上としても良い。

【００２０】また、剥離防止ようねじ４をポリカーボネ
ート製としたが、その他の非磁性材料製でも良い。ま
た、電波反射板５の裏面へ取り付ける保持部材８は山形
鋼に限られず、その他の形鋼または平板等でも良い。

【００２１】また、その保持部材８に取り付ける支柱９
として異形鉄筋材を使用したものを示したが、他の棒鋼
材等を利用することも勿論可能である。更に、上記実施
形態は、カーテンウオール構造物の梁部材に取り付けた
ものを説明したが、本発明の電波吸収体の取り付け方法
は、コンクリート構造物を含むその他の構造物の外壁部
分へも幅広く適用することが可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に係る本
発明は、構造物外壁部へ取り付ける電波吸収体に予め埋
設した取り付け部材により、当該電波吸収体を構造物に
直接に取り付けるものとしたため、現場施工が極めて簡
単になるという効果を奏する。

【００２３】また、取り付けた電波吸収体がそのまま構
造物の外壁面となるから、外壁面からの電波反射を極め
て少なくできるという効果が得られる。請求項２に係る
発明によれば、上記電波吸収体をフェライトモルタルで
構成したため、広帯域にわたり電波吸収を行えるという
という効果が得られる。

【００２４】請求項３に係る本発明によれば、前記取り
付け部材をフェノール樹脂製としたため、安価に且つ容
易にインサートできるという効果が得られる。請求項４
に係る本発明によれば、前記取り付け部材の内周に雌ね
じを形成したため、この雌ねじにボルトを螺合すれば構
造物に取り付けることができて、特に熟練を必要とせず
に電波吸収体を構造物に固定することができるという効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る電波吸収体の取付け例を示す要部
断面図である。

【図２】図１のII部の拡大断面図である。

【図３】図１の他の部分の拡大断面図である。

【図４】図１のIV−IV線矢視で示す保持部材の正面図で
ある。

【符号の説明】

１構造物の部材２電波吸収体（フェライトモルタル）３取り付け部材（インサート）３ａ雌ねじ５反射板１０取り付けボルト

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】構造物外壁部へ電波吸収体を取り付ける
にあたり、当該電波吸収体に予め非磁性材料からなる取
り付け部材を埋設し、その取り付け部材により前記構造
物の電波反射障害物となる部分に直接に前記電波吸収体
を取り付けて構造物外壁面とすることを特徴とする電波
吸収体の取り付け方法。
【請求項２】前記電波吸収体がフェライトモルタルか
らなることを特徴とする請求項１記載の電波吸収体の取
り付け方法。
【請求項３】前記取り付け部材がフェノール樹脂から
なることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の
電波吸収体の取り付け方法。
【請求項４】前記取り付け部材の内周に雌ねじを形成
して、この雌ねじにボルトを螺合することにより前記電
波吸収体を前記構造物に固定することを特徴とする請求
項１ないし請求項３のいずれかに記載の電波吸収体の取
り付け方法。