JPH1142868A - 孔版印刷用原紙、孔版印刷版の製版方法および孔版製版印刷方法 - Google Patents

孔版印刷用原紙、孔版印刷版の製版方法および孔版製版印刷方法

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JPH1142868A
JPH1142868A JP16048597A JP16048597A JPH1142868A JP H1142868 A JPH1142868 A JP H1142868A JP 16048597 A JP16048597 A JP 16048597A JP 16048597 A JP16048597 A JP 16048597A JP H1142868 A JPH1142868 A JP H1142868A
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stencil
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paper
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JP16048597A
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Hiroshi Adachi
浩 安達
Koichi Oshima
孝一 大嶋
Masanori Toshimoto
正則 利元
Fumiaki Arai
文明 新井
Hiroshi Tateishi
比呂志 立石
Tetsuo Tanaka
哲夫 田中
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感熱孔版印刷用原版にサーマルヘッドで形成
されるドットの大きさに階調性をもたせて、鮮明な印刷
物を得る。 【解決手段】 抵抗発熱素子に印加する電気信号を記録
濃度(原稿画像濃度)に応じてパルス変調し、孔版印刷
用原紙を熱溶融して異なる大きさの穿孔を形成した孔版
印刷版を作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は孔版印刷用原紙、孔
版印刷版の製版方法、および孔版製版印刷方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般的にサーマルヘッドを用いた孔版製
版においては、通電量、印加電圧が一定のパルス信号を
サーマルヘッドに与え孔版印刷用原紙を穿孔するため、
得られる印刷物も単一なサイズのドットで形成された画
像となる。このような孔版印刷版で中間調を有する写真
画像を印刷する際、特定の光学濃度の閾値をもって孔版
印刷用原紙に2値で穿孔すると中間調がなくなり極めて
硬調な画像となってしまうため、写真画像を印刷する際
はドットの粗密で中間調を表現する誤差拡散法、ディザ
法などの手法が用いられている。これらの手法を用いる
ことで特定の光学濃度の閾値をもって2値化した場合に
比べて大幅に階調性が改善される。しかし、ハイライト
部のざらつき、細線の解像度の点で満足できるものでは
ない。
【0003】特開平08−90748号公報にはこの不
具合を改善するために、サーマルヘッドに印加するエネ
ルギーを画像濃度の濃淡に比例した印加パルス幅または
印加電圧で制御し、画像濃度に比例した穿孔径を製版す
ることが提案されている。これにより2値のドットで形
成した場合に比べ中間調の画質改善がなされているが、
小さな穿孔を確実に形成する点で未だ十分でなく、特に
ハイライト部(明度が高い部分)のざらつき感(=粒状
性、graininess)が解決されていない。つま
り、多孔性支持体に熱可塑性樹脂フィルムを接着させた
際に、熱可塑性樹脂フィルムの表面に多孔性支持体の凹
凸が現れて、熱可塑性樹脂フィルム面の平滑度が低くな
った場合に、サーマルヘッド等の抵抗発熱素子と孔版印
刷用原紙との密着が十分でない部分が生じ、密着が十分
でない部分では、抵抗発熱素子からの熱伝達が不充分と
なり穿孔不良が生じる。このように抵抗発熱素子と孔版
印刷用原紙との密着性によって穿孔径に違いが生じる
と、抵抗発熱素子に印加するエネルギーを画像濃度の濃
淡に比例した印加パルス幅または印加電圧で制御しても
印加したエネルギーに応じた穿孔径を形成することがで
きなくなり、所望の面積のドットを形成することができ
ないことになる。特にハイライト部では小さなエネルギ
ーで小さな穿孔を形成させる必要があり、発熱抵抗素子
と孔版印刷用原紙の密着性が悪いと穿孔不良部が多く生
じ、本来ドットが形成されなければいけない箇所にドッ
トが形成されない「ドット抜け」が生じてしまう。その
結果、ハイライト部のざらつき感が増大し画質が大きく
低下する。また、特開平05−212983号公報には
高画質化、高穿孔感度、良好な孔版印刷用原紙の搬送性
を目的として、熱可塑性樹脂フィルム面の平滑度が10
00秒以上である孔版印刷用原紙が開示されている。特
開平08−67081号公報には高画質化、高穿孔感度
を目的として、熱可塑性樹脂フィルムの最大表面粗さが
10μm以下、かつ、平滑度が1000秒以上である孔
版印刷用原紙が開示されている。いずれの孔版印刷用原
紙でもサーマルヘッド等の抵抗発熱素子と孔版印刷用原
紙との密着性が向上するため穿孔が確実に形成され、従
来の孔版印刷用原紙と比較すると高画質化と高穿孔感度
化がなされている。しかし、2値以上のドットで画像が
形成されるためハイライト部のざらつきが大きい点で満
足できるのではない。
【0004】さらに、孔版印刷においては均一なベタ画
像、すなわち受像用紙面を完全にインクで覆う画像を形
成したとき、排紙された印刷物同士が接触し、未定着の
インクが印刷物の裏面を汚す、いわゆる「裏移り」が生
じてしまう。これは受像用紙のインク吸収許容量以上の
インクが受像用紙に転移するために生じるものである。
この「裏移り」を防止することを目的として複数の方式
が提案されている。特開平01−267094号公報に
は、密度の異なる2種類以上の紙層を抄き合わせた薄葉
紙を支持体に用いる感熱孔版印刷用原紙が開示されてい
る。特開平04−265783号公報には開孔部の周縁
部がフィルムの他の部分より隆起するように製版する感
熱孔版原紙の製版方法が開示されている。特開平08−
197825号公報にはインク流入の孔から流入したイ
ンクが版胴に下した1つの垂線に対して少なくとも1回
ずれてインク流出側の孔から流出するようなインク通路
を形成された多孔性シートで構成された孔版印刷用マス
ターが開示されている。しかし、いずれによっても「裏
移り」防止に一定の効果があるものの満足できるもので
はない。また、特開平02−16053号公報には余剰
インク転写紙により、印刷物上に余剰インクを除去する
孔版印刷方法が開示されている。特開平08−2396
13号公報には油相中に30〜100℃で液体状態に相
変化する化合物を含有する孔版印刷用エマルジョンイン
クが開示されている。いずれによっても「裏移り」防止
に一定の効果があるものの満足できるものではないし、
特別な装置を必要とする点で問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
問題点を解決し、サーマルヘッド等の汎用の抵抗発熱素
子を用いて多値化されたドットを再現性良く形成し、高
階調、高解像度、高感度な孔版印刷用原紙、孔版製版方
法、孔版製版印刷方法および多色刷り孔版製版印刷方法
を提供することである。また、本発明の別の課題は、印
刷物が印刷後排紙されて重なり合った際に未定着のイン
クが重なった印刷物の裏面を汚すこと、いわゆる「裏移
り」がない孔版印刷用原紙、孔版製版方法、孔版製版印
刷方法および多色刷り孔版製版印刷方法を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、孔
版印刷版として少なくとも熱可塑性樹脂フィルムからな
る孔版印刷用原紙を用い、該孔版印刷用原紙の熱可塑性
樹脂フィルム面の平滑度が6000秒以上であり、か
つ、該孔版印刷用原紙を製版する際に抵抗発熱素子を用
い、該抵抗発熱素子に印加する電気信号を記録濃度に応
じてパルス変調することにより孔版印刷用原紙を熱溶融
し異なる大きさの穿孔を形成する孔版印刷版の製版方法
によって達成される。また、本発明の上記課題は、上記
の製版方法を採用した孔版製版印刷方法、あるいは、上
記の製版方法を採用し、複数の孔版印刷版をそれぞれの
版胴を搭載し、かつ、複数の色のインキを用いて印刷す
る多色刷り孔版製版印刷方法によって達成される。
【0007】本発明によれば、第一に、孔版印刷版とし
て少なくとも熱可塑性樹脂フィルムからなる孔版印刷用
原紙を用い、かつ、該孔版印刷用原紙を製版する際に抵
抗発熱素子を用い、該抵抗発熱素子に印加する電気信号
を記録濃度に応じてパルス変調することにより孔版印刷
用原紙を熱溶融し、異なる大きさの穿孔を形成する孔版
印刷版の製版方法において用いられる孔版印刷用原紙で
あって、該孔版印刷用原紙の熱可塑性樹脂フィルム面の
自由表面側の表面平滑度が6000秒以上であることを
特徴とする孔版印刷用原紙が提供される。
【0008】第二に、前記孔版印刷用原紙が少なくとも
熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体で構成されること
を特徴とする上記第一の孔版印刷用原紙が提供される。
【0009】第三に、前記孔版印刷用原紙の多孔性支持
体が多孔性樹脂膜であることを特徴とする上記第二の孔
版印刷用原紙が提供される。
【0010】第四に、前記孔版印刷用原紙の熱可塑性樹
脂フィルムが二軸延伸処理された樹脂フィルムであるこ
とを特徴とする上記第一、第二の孔版印刷用原紙が提供
される。
【0011】また本発明によれば、第五に、孔版印刷版
の製造方法において、該孔版印刷版として少なくとも熱
可塑性樹脂フィルムからなる孔版印刷用原紙を用い、該
孔版印刷用原紙の熱可塑性樹脂フィルム面の平滑度が6
000秒以上であり、かつ、該孔版印刷用原紙を製版す
る際に抵抗発熱素子を用い、該抵抗発熱素子に印加する
電気信号を記録濃度に応じてパルス変調することにより
孔版印刷用原紙を熱溶融し異なる大きさの穿孔を形成す
ることを特徴とする孔版印刷版の製版方法が提供され
る。
【0012】第六に、前記孔版印刷用原紙が少なくとも
熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体で構成されること
を特徴とする上記第五の孔版印刷版の製版方法が提供さ
れる。
【0013】第七に、前記孔版印刷用原紙の多孔性支持
体が多孔性樹脂膜であることを特徴とする上記六の孔版
印刷版の製版方法が提供される。
【0014】第八に、前記孔版印刷用原紙の熱可塑性樹
脂フィルムが二軸延伸処理されたフィルムであることを
特徴とする上記五、六の孔版印刷版の製版方法が提供さ
れる。
【0015】第九に、前記抵抗発熱素子の発熱体の素子
密度が400dpi以上であることをと特徴とする上記
五の孔版印刷版の製版方法が提供される。
【0016】第十に、前記抵抗発熱素子が部分グレーズ
型であることを特徴とする上記第五の孔版印刷版の製版
方法が提供される。
【0017】第十一に、前記抵抗発熱素子が端面型であ
ることを特徴とする上記第五の孔版印刷版の製版方法が
提供される。
【0018】また本発明によれば、第十二に、少なくと
も熱可塑性樹脂フィルムからなる孔版印刷用原紙に抵抗
発熱素子により穿孔画像を形成し、その穿孔画像を有す
る孔版印刷版の版胴を外周面に巻き付け、この孔版印刷
版に受像用紙を圧接させ、該版胴内周面に付与されたイ
ンキを該受像用紙上に穿孔画面状に転移させて印刷を行
う孔版製版印刷方法において、該孔版印刷用原紙の未穿
孔時の熱可塑性樹脂フィルム面の平滑度が6000秒以
上であり、かつ、該抵抗発熱素子に印加する電気信号を
記録濃度に応じてパルス変調するパルス変調器により行
うことを特徴とする孔版製版印刷方法が提供される。
【0019】また、本発明によれば、第十三に、少なく
とも熱可塑性樹脂フィルムからなる孔版印刷用原紙に抵
抗発熱素子により多色刷り用の穿孔画像を形成し、その
多色刷りの穿孔画像を有する孔版印刷版をそれぞれの色
用の版胴の外周に巻き付け、受像用紙を各色印刷用の版
胴に巻き付けられている該孔版印刷版に順次圧接させ、
各版胴内周面に付与された各色インキを該受像用紙上に
順次穿孔画像状に転移させて印刷を行う多色刷り孔版製
版印刷方法において、該孔版印刷用原紙の未穿孔時の熱
可塑性樹脂フィルム面の平滑度が6000秒以上であ
り、かつ、該抵抗発熱素子に印加する電気信号を記録濃
度に応じてパルス変調するパルス変調器により行うこと
を特徴とする多色刷り用孔版製版印刷方法が提供され
る。
【0020】第十四に、4つの版胴を搭載し、かつ、シ
アン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインキを用いる
ことを特徴とする上記第十三のフルカラー孔版製版印刷
方法が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明は孔版印刷版として少なくとも熱可塑性樹
脂フィルムからなる孔版印刷用原紙を用い、該孔版印刷
用原紙の熱可塑性樹脂フィルム面の平滑度が6000秒
以上であり、かつ、該孔版印刷用原紙を製版する際に抵
抗発熱素子を用い、該抵抗発熱素子に印加する電気信号
を記録濃度に応じてパルス変調することにより孔版印刷
用原紙を熱溶融し異なる大きさの穿孔を形成せしめ孔版
印刷用原紙を製版するものであり、パルス変調はパルス
の幅(通電量)を変える方法、あるいはパルスの高さ
(印加電圧)を変える方法、あるいはこれらを組み合わ
せる方法のいずれでも効果的に本発明の課題を解決する
ことができる。本発明の孔版印刷版の製版方法を用いた
製版装置を図3に示す。図3において、1は孔版印刷用
原紙、2はプラテンローラ、3はサーマルヘッド、4は
抵抗発熱素子、5はパルス変調制御部、6は送りローラ
対、7は印刷版係止手段、8は版胴、9は原紙切断手段
を表わしている。本発明では異なる面積の穿孔を形成
し、その結果異なる面積のドットを受像体上に形成する
ことができドット面積の多値化が可能となる。ドット面
積の多値度(ゼロを含めた面積の種類)は3以上である
ことが好ましく、4以上であることがさらに好ましい。
【0022】ここで、パルス変調する方法の一例につい
て説明すると、図4に示したように、原稿画像から読み
取られた記録電気信号はアナログパルス変調(標本値に
よってパルス波形のパラメータを連続的に変化させる)
されてデジタル画像(MxN画素)に変えられ、これの
出力信号に基づいて孔版印刷用原紙に穿孔が施される。
図5はパルス振幅が入力信号によって変化する様子を表
わしたものであり、クロックパルスにより標本化された
パルス波のパラメータにおける振幅が入力信号によって
変化し、その結果、サーマルヘッドの抵抗発熱素子には
印加電圧が原稿画像に相応して与えられる。一方、図6
はパルス幅変調により、パルス幅が標本値に比例する様
子を表わしたものであり、これによりサーマルヘッドの
抵抗発熱素子には通電量が原稿画像に相応して与えられ
る。
【0023】本発明は、フィルム面の平滑度が6000
秒以上の孔版印刷用原紙を用いることで効果的に本発明
の課題が解決される。フィルム面の平滑度の測定は王研
式透気度平滑度試験器による。フィルム面の平滑度が6
000秒以上である場合、フィルム面と抵抗発熱素子と
の密着性が向上し、与えるエネルギーに応じた面積の穿
孔が確実に形成される。その結果、所望の多値の面積の
ドットが確実に形成され、高階調性、高解像性を要求さ
れるフルカラー画像、とりわけ写真画像の印刷物におい
て高画質が達成される。特に小さな面積のドットが均一
に形成されることからざらつき感のないハイライト部が
得られる。また、ベタ画像部の印刷を行う際には、サイ
ズが揃った穿孔が確実に形成できるため必要最低限のイ
ンク吐出量で済み、受像用紙のインク吸収許容量以下の
インク転移によってベタ画像部を形成でき、結果として
「裏移り」の発生を防止できる(図14)。フィルム面
の平滑度が6000秒未満である場合、フィルム面の平
滑度が6000秒以上である場合と比較して、フィルム
面と発熱抵抗素子との密着性が悪い部分が生じ、その箇
所は穿孔不良となる。その結果、所望の面積のドットが
得られなかったり、ドット抜けが生じ、階調性、解像度
の低下を招く。また、密着性が悪い部分に合わせて発熱
抵抗素子に印加するエネルギーを高く設定すれば密着性
が悪い部分でも穿孔を形成することができるが、その一
方で密着性が良い部分の穿孔の面積が所望の穿孔面積よ
り大きくなってしまい、結果として、ドット面積のばら
つきが生じ、ざらつき感の増大が避けられない。また、
ベタ画像部の印刷を行う際、穿孔サイズが狙いよりも小
さくなった部分ではインク転移量が少なくなるために
「白抜け」の部分が生じてしまう(図15)。この場
合、均一なベタ画像を形成し「白抜け」を防止するに
は、穿孔サイズが狙いよりも小さくなった部分に合わせ
てインク吐出量を全体的に印圧を上げるなどの手段によ
って多く設定すればよいが、その場合、受像用紙のイン
ク吸収許容量よりも多い過剰なインクが受像用紙に転移
するために「裏移り」が増大してしまう(図16)。フ
ィルム面の平滑度は6000秒以上であることが好まし
いが、8000秒以上であることがさらに好ましい。
【0024】本発明で用いることができる孔版印刷用原
紙は、熱可塑性樹脂フィルム単体で構成されても良い
が、取り扱い易さ、版胴への確実な巻き付けの点で熱可
塑性樹脂フィルムに多孔性樹脂膜あるいは多孔性薄葉紙
あるいはスクリーンメッシュを貼り合わせた構成のもの
を用いることが好ましい。実際上、多孔性樹脂膜として
特願平7−354373号公報に開示される製造方法で
製造される膜に熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせたも
の、多孔性薄葉紙として麻繊維、合成繊維、木材繊維あ
るいはこれらの混合物を混抄したものに熱可塑性樹脂フ
ィルムを貼りあわせたものを用いることができる。さら
にフィルム表面にステック防止層を設けてもよい。
【0025】本発明で用いることができる孔版印刷用原
紙は、前記のとおり、押出法、流出法等により形成され
た一般的に用いられる熱可塑性樹脂フィルムであれば良
く、具体的にはポリエチレン系樹脂(ポリエチレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂、ポリエス
テル系共重合体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレートなど)、ポリアミド系樹脂、スチ
レン系樹脂、アクリル酸誘導体系樹脂、アクリロニトリ
ル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
【0026】熱可塑性樹脂フィルムとしては穿孔感度が
高いことが好ましい。穿孔感度においてフィルムの結晶
化度が重要な因子であり、フィルム状の熱可塑性樹脂の
結晶化度は非晶質から結晶化度20%までの範囲のもの
が好ましく、非晶質であることがより好ましい。熱可塑
性樹脂フィルムの厚みは0.1〜30μmであることが
好ましく、0.3〜10μmであることがより好まし
い。これより厚い場合、良好な穿孔が得にくくなる。
【0027】また、熱可塑性樹脂フィルムの溶融温度
は、50〜300℃であることが好ましく、70〜29
0℃であることがより好ましい。溶融温度がこれより低
すぎるとフィルムの製造が困難になるばかりでなく、孔
版印刷用原紙の保存安定性(形状変化等)が劣る。また
逆に溶融温度が高すぎると穿孔が得にくくなる。この観
点からポリエステル系共重合体、その中でも特にポリエ
チレンテレフタレートを含有することが好ましい。本発
明で用いることができる孔版印刷用原紙1の構成例を図
1、図2に示す。図中、101は熱可塑性樹脂層、10
2は多孔性支持体である。
【0028】本発明の孔版印刷版の製版手段を一部に採
用した孔版製版印刷装置により階調性と解像度が良好な
孔版印刷物が得ることができ、複数の版胴を搭載する多
色刷り孔版製版印刷装置においては階調性と解像度が良
好な孔版印刷物あるいはフルカラー孔版印刷物を得るこ
とができる。本発明の単色の孔版製版印刷方法に有用な
装置の構成を図7に、また多色刷り孔版製版印刷方法に
有用な装置の構成を図8に示す。
【0029】本発明で使用することができる抵抗発熱素
子は図11に示す全面グレーズ型サーマルヘッド、図1
2に示す部分グレーズ型サーマルヘッド、図13に示す
端面型サーマルヘッドなどが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。全面グレーズ型サーマルヘッド
は、断熱効果による蓄熱性向上のために設けられるグレ
ーズ層が素子全面に薄く形成されたものである。これに
対し、部分グレーズ型サーマルヘッドはグレーズ層が素
子の一部に厚く形成されたものである。端面型サーマル
ヘッドは、全面グレーズ型サーマルヘッドを絶縁性基板
端部の曲面に形成したものである。抵抗発熱素子と孔版
印刷用原紙との密着性を高める観点から、発熱部が凸型
になっている部分グレーズ型サーマルヘッド、あるいは
端面型サーマルヘッドを用いることが好ましい。本発明
で使用する抵抗発熱素子は印刷物の解像度を高める観点
から発熱体の素子密度が高いことが好ましい。具体的に
は200dpi以上であることが好ましく、400dp
i以上であることがさらに好ましい。
【0030】本発明の製版方法では抵抗発熱素子と孔版
印刷用原紙との密着性が高いことからエネルギーの伝達
効率が高く、結果として穿孔感度が向上する。そのた
め、抵抗発熱素子の素子1つ当たりの穿孔エネルギー
は、従来の孔版印刷用原紙を用いた場合に比べて小さく
て済む。素子1つ当りの穿孔エネルギーは、穿孔不良部
を防止する観点からは5μJ以上であることが好まし
く、サーマルヘッドへの溶融物付着防止の観点からは5
00μJ以下であることが好ましい。
【0031】本発明の孔版印刷版の製版方法あるいは孔
版印刷方法で得られる印刷物の画像評価はSCID画
像、解像度チャート、グレースケール等で行うことがで
きる。SCID画像(Standard Color Image Data)とは
(財)日本規格協会で選定された画像評価を行うための
標準画像であり、400dpi×8ビットで構成される
デジタルカラー画像である。発熱抵抗素子を用いて製版
する孔版印刷方法でSCID画像を印刷する場合、誤差
拡散法あるいはディザ法などの手法を用いてピクセル毎
の輝度の階層を減らすことが好ましい。
【0032】
【実施例】以下に本発明を実施例をもって説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】 (孔版印刷用原紙の製造例1) ポリビニルブチラール 4.0重量部 エチルアルコール 35.5重量部 水 11.5重量部 針状珪酸マグネシウム (水沢化学社製、エードプラスSP) 0.8重量部 ポリビニルブチラール樹脂をエチルアルコールおよび水
の混合液中に溶解後、針状珪酸マグネシウムを添加しボ
ールミルで分散混合した後、濾過して塗布液とした。厚
さ3.5μmの2軸延伸ポリエステルフィルム上にワイ
ヤーバーを用いて均一塗布した。塗布後50℃の熱風中
に3分間乾燥してポリエステルフィルム上に多孔性樹脂
膜を形成した。乾燥後の多孔性樹脂膜の付着量は8.0
g/m2であった。フィルムの多孔性樹脂膜を形成したの
とは反対側に、熱溶融したフィルムがサーマルヘッドに
スティックするのを防止するため、および帯電防止を目
的として乾燥後の付着量が約0.05g/m2となるよ
うにシリコーン樹脂とカチオン系帯電防止剤の混合物を
塗布し、本発明の感熱孔版印刷用原紙を得た。このとき
の感熱孔版印刷用原紙のフィルム面の平滑度は約150
00秒であった。
【0034】 (孔版印刷用原紙の製造例2) ポリビニルブチラール 4.0重量部 エチルアルコール 35.5重量部 水 11.5重量部 針状珪酸マグネシウム (水沢化学社製、エードプラスSP) 0.8重量部 ポリビニルブチラール樹脂をエチルアルコールおよび水
の混合液中に溶解後、針状珪酸マグネシウムを添加しボ
ールミルで分散混合した後、濾過して塗布液とした。こ
れを厚さ2.0μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上にワイヤーバーを用いて均一塗布した。
塗工後50℃の熱風中に3分間乾燥してポリエステルフ
ィルム上に多孔性樹脂膜を形成した。乾燥後の多孔性樹
脂膜の付着量は8.2g/m2であった。フィルムの多
孔性樹脂膜を形成したのとは反対側に、熱溶融したフィ
ルムがサーマルヘッドにスティックするのを防止するた
め、および帯電防止を目的として乾燥後の付着量が約
0.05g/m2となるようにシリコーン樹脂とカチオ
ン系帯電防止剤の混合物を塗布し、製造例3の感熱孔版
印刷用原紙を得た。この感熱孔版印刷用原紙のフィルム
面の平滑度は6000秒であった。
【0035】(孔版印刷用原紙の製造例3)製造例3に
おいて乾燥後の多孔性樹脂膜の付着量が8.2g/m2
となるように塗布液を形成したかわりに、付着量が7.
0g/m2となるように形成した以外は製造例3と同様
にして製造例4の感熱孔版印刷用原紙を得た。この感熱
孔版印刷用原紙のフィルム面の平滑度は8000秒であ
った。
【0036】(孔版印刷用原紙の製造例4)製造例3に
おいて乾燥後の多孔性樹脂膜の付着量が8.2g/m2
となるように塗布液を形成したかわりに、付着量が6.
7g/m2となるように形成した以外は製造例3と同様
にして製造例5の感熱の孔版印刷用原紙を得た。この感
熱孔版印刷用原紙のフィルム面の平滑度は12000秒
であった。
【0037】(孔版印刷用原紙の製造例5)製造例3に
おいて乾燥後の多孔性樹脂膜の付着量が8.2g/m2
となるように塗布液を形成したかわりに、付着量が6.
4g/m2となるように形成した以外は製造例3と同様
にして製造例6の感熱孔版印刷用原紙を得た。この感熱
孔版印刷用原紙のフィルム面の平滑度は20000秒で
あった。
【0038】(孔版印刷用原紙の製造例6)厚さ2.0
μmの2軸延伸ポリエステルフィルムに塩化ビニル/酢
酸ビニルエマルジョン接着剤をワイヤーバーを用いて乾
燥後の付着量が0.42g/m2となるように塗工し、
この接着剤塗工面にマニラ麻のみからなる秤量12.5
g/m2で厚さ48μmの和紙に線圧20.0kg/c
mでキャレンダー処理を施し、多孔性支持体を重ね合わ
せた後、50℃で2分間乾燥して製造例7の感熱孔版印
刷用原紙を得た。このときの感熱孔版印刷用原紙のフィ
ルム面の平滑度は4000秒であった。
【0039】これら製造例1〜7で得られた孔版印刷用
原紙の多孔性樹脂膜の付着量、フィルム面の平滑度をま
とめておけば表1のとおりである。
【表1】
【0040】 (孔版印刷用インクの製造例) (1)シアンインク (油相) フタロシアニンブルー(着色剤) 6.0重量部 乳化剤 (イオネットS85:HLB値1.8、三洋化成工業社製)8.0重量部 分散剤(プレンアクトAl−M、味の素社製) 0.4重量部 スピンドル油(高沸点オイル) 66.0重量部 これらの混合物を3本ロールで分散処理し一次分散体を
調製し、この一次分散体にスピンドル油60.0重量部
を加えながら撹拌し油相を調整した。 (水相) 水 102重量部 パラオキシ安息香酸メチル(防黴剤) 0.1重量部 ポリアクリル酸 0.67重量部 トリエタノールアミン 0.67重量部 エチレングリコール 16.67重量部 これらを用い、パラオキシ安息香酸メチルを溶解した水
を撹拌しながらポリアクリル酸、トリエタノールアミン
を順次加えゲル化し、さらにエチレングリコールを加え
水相を調整した。調製した油相を撹拌しながら水相を少
量ずつ添加し、上記組成のエマルジョン型の孔版印刷用
シアンインクを製造した。
【0041】(2)マゼンタインク シアンインクの製造においてフタロアニンブルーを6.
0重量部用いた代わりに、マゼンタ顔料(PPE−0
2、ヘキスト社製)を6.0重量部用いた以外はシアン
インクを製造したのと同様にして、孔版印刷用マゼンタ
インクを製造した。
【0042】(3)イエローインク シアンインクの製造においてフタロシアニンブルーを
6.0重量部用いた代わりに、イエロー顔料(DICイ
エロー4221、大日本インキ化学工業社製)を6.0
重量部用いた以外はシアンインクを製造したのと同様に
して、孔版印刷用イエローインクを製造した。
【0043】(4)ブラックインク シアンインクの製造においてフタロシアニンブルーを
6.0重量部用いた代わりに、カーボンブラックを6.
0重量部用いた以外はシアンインクを製造したのと同様
にして、孔版印刷用ブラックインクを製造した。
【0044】実施例1 図3に示す製版装置を使用して穿孔実験を行った。製版
した孔版印刷版を孔版印刷機(リコー社製、プリポート
VT−3820)に装着し印刷を行った。実験条件を以
下に示す。 全面グレーズ型サーマルヘッド 出力0.09W、400dpi(東芝社製) インキ VT−500黒色 受像体 リコー社製PPC用紙タイプ6200 孔版印刷用原紙 孔版印刷用原紙の製造例1に記載したもの 入力画像 25%ハーフトーン(400dpi) パルス変調制御部からパルス幅を10値化した信号を送
り穿孔し、さらに印刷を行った。パルス長、穿孔エネル
ギーおよび穿孔面積、印刷物のドット面積の結果を表2
および図9、10に示す。穿孔面積、印刷物のドット面
積はそれぞれのパルス長について約100個の穿孔ある
いはドットを抽出してピアス社製、LA−525を用い
て測定し、それぞれのパルス長について平均面積を求め
た。表2および図9、図10からサーマルヘッドに穿孔
エネルギー(印加したパルス長)に応じて穿孔面積およ
びドット面積が変化することがわかり、それらの間には
強い相関があることが判る。このため、穿孔面積および
ドット面積の多値化が可能となる。
【0045】
【表2】
【0046】実施例2 図7に示すリコー社製のプリポートVT−3820を改
造した感熱孔版製版印刷装置を用いて以下に記す条件に
おいて穿孔および印刷を行った。 パルス長 4値(表2に示す4段階) 全面グレーズ型サーマルヘッド 出力0.09W、400dpi(東芝社製) インキ VT−500黒色 受像紙 リコー社製PPC用紙タイプ6200 孔版印刷用原紙 厚さ1.5μmのポリエチレンテレフタレートの二軸 延伸フィルム(帝人社製) 入力画像 SCID N5画像、解像度チャート 0〜100% のハーフトーン(いずれも誤差拡散処理済み)
【0047】
【表3】
【0048】その結果、階調性と解像度に優れた印刷物
を得ることができた。得られた印刷物から解像度を測定
したところ0.1mm間隔のline & space
を再現していることを確認した。また、グレースケール
中の10%ハーフトーンにざらつき感がなく、粒状性が
とても良好であることを確認した。さらに、同じ印刷物
を10部印刷したところ、排紙された印刷物の裏面に裏
移りによるインク汚れがないことを確認した。しかし、
孔版印刷用原紙のこしが弱いため、孔版印刷版を版胴に
巻き付ける際に印刷版にしわが生じる場合があり、その
場合印刷物にすじとなって現れてしまった。
【0049】実施例3 実施例2において厚さ1.5μmのポリエチレンテレフ
タレートの二軸延伸フィルム(帝人社製)の代わりに、
孔版印刷用原紙の製造例1で製造したものを用いた以外
は実施例2と同様にして穿孔、印刷を行った。その結
果、階調性と解像度に優れた印刷物を得ることができ
た。得られた印刷物から解像度を測定したところ0.1
mm間隔のline & spaceを再現しているこ
とを確認した。また、グレースケール中の10%ハーフ
トーンにざらつき感が少なく、粒状性が良好であること
を確認した。更にまた、同じ印刷物を10部印刷したと
ころ、排抵された印刷物の裏面に裏移りによるインク汚
れがないことを確認した。
【0050】また、この孔版印刷用原紙(製造例1に記
載したもの)を図8に示す4つの版胴を直列に設けた多
色刷り孔版製版印刷装置により以下に記す条件において
穿孔および印刷を行った。 パルス長 4値(4段階、実施例2と同じ) サーマルヘッド 出力0.09W、400dpi インキ リコー社製VT−500黒色、シアン、マゼンタ、イ エロー 受像紙 リコー社製PPC用紙タイプ6200 孔版印刷用原紙 孔版印刷用用紙の製造例1に記載したもの 入力画像 SCID N5画像、解像度チャート0〜100%の ハートトーン(いずれも誤差拡散処理済み) その結果階調性と解像度に優れたフルカラー印刷物を得
ることができた。
【0051】実施例4 実施例2において厚さ1.5μmのポリエチレンテレフ
タレートの2軸延伸フィルムを用いた代わりに、感熱孔
版印刷用原紙の製造例3で製造したものを用いた以外は
実施例2と同様にして穿孔、印刷を行った。その結果、
階調性と解像度に優れた印刷物を得ることができた。得
られた印刷物から解像度を測定したところ0.1mm間
隔のline & spaceを再現していることを確
認した。また、グレースケール中の10%ハーフトーン
にざらつき感が少なく、粒状性が良好であることを確認
した。また、同じ印刷物を10部印刷したところ、排紙
された印刷物の裏面に裏移りによるインク汚れがないこ
とを確認した。
【0052】実施例5 実施例2において厚さ1.5μmのポリエチレンテレフ
タレートの2軸延伸フィルムを用いた代わりに、感熱孔
版印刷用原紙の製造例4で製造したものを用いた以外は
実施例2と同様にして穿孔、印刷を行った。その結果、
階調性と解像度に優れた印刷物を得ることができた。得
られた印刷物から解像度を測定したところ0.1mm間
隔のline & spaceを再現していることを確
認した。また、グレースケール中の10%ハーフトーン
にざらつき感がなく、粒状性が良好であることを確認し
た。また、同じ印刷物を10部印刷したところ、排紙さ
れた印刷物の裏面に裏移りによるインク汚れがないこと
を確認した。
【0053】実施例6 実施例2において厚さ1.5μmのポリエチレンテレフ
タレートの2軸延伸フィルムを用いた代わりに、感熱孔
版印刷用原紙の製造例5で製造したものを用いた以外は
実施例2と同様にして穿孔、印刷を行った。その結果、
階調性と解像度に優れた印刷物を得ることができた。得
られた印刷物から解像度を測定したところ0.1mm間
隔のline & spaceを再現していることを確
認した。また、グレースケール中の10%ハーフトーン
にざらつき感がなく、粒状性が良好であることを確認し
た。また、同じ印刷物を10部印刷したところ、排紙さ
れた印刷物の裏面に裏移りによるインク汚れがないこと
を確認した。
【0054】実施例7 実施例2において厚さ1.5μmのポリエチレンテレフ
タレートの2軸延伸フィルムを用いた代わりに、感熱孔
版印刷用原紙の製造例6で製造したものを用いた以外は
実施例2と同様にして穿孔、印刷を行った。その結果、
階調性と解像度に優れた印刷物を得ることができた。得
られた印刷物から解像度を測定したところ0.1mm間
隔のline & spaceを再現していることを確
認した。また、グレースケール中の10%ハーフトーン
にざらつき感がなく、粒状性が良好であることを確認し
た。また、同じ印刷物を10部印刷したところ、排紙さ
れた印刷物の裏面に裏移りによるインク汚れがないこと
を確認した。
【0055】実施例8 実施例4において400dpiの全面グレーズ型サーマ
ルヘッドを用いた代わりに、600dpiの全面グレー
ズ型サーマルヘッドを用いた以外は実施例4と同様にし
て穿孔、印刷を行った。その結果、階調性と解像度に優
れた印刷物を得ることができた。得られた印刷物から解
像度を測定したところ0.1mm間隔のline &
spaceを再現していることを確認した。また、グレ
ースケール中の10%ハーフトーンにざらつき感がな
く、粒状性が良好であることを確認した。また、同じ印
刷物を10部印刷したところ、排紙された印刷物の裏面
に裏移りによるインク汚れがないことを確認した。
【0056】実施例9 実施例4において400dpiの全面グレーズ型サーマ
ルヘッドを用いた代わりに、400dpiの部分グレー
ズ型サーマルヘッドを用いた以外は実施例4と同様にし
て穿孔、印刷を行った。その結果、階調性と解像度に優
れた印刷物を得ることができた。得られた印刷物から解
像度を測定したところ0.1mm間隔のline &
spaceを再現していることを確認した。また、グレ
ースケール中の10%ハーフトーンにざらつき感がな
く、粒状性が良好であることを確認した。また、同じ印
刷物を10部印刷したところ、排紙された印刷物の裏面
に裏移りによるインク汚れがないことを確認した。
【0057】実施例10 実施例4において400dpiの全面グレーズ型サーマ
ルヘッドを用いた代わりに、300dpiの端面型サー
マルヘッドを用いた以外は実施例4と同様にして穿孔、
印刷を行った。その結果、階調性と解像度に優れた印刷
物を得ることができた。得られた印刷物から解像度を測
定したところ0.1mm間隔のline & spac
eを再現していることを確認した。また、グレースケー
ル中の10%ハーフトーンにざらつき感がなく、粒状性
が良好であることを確認した。また、同じ印刷物を10
部印刷したところ、排紙された印刷物の裏面に裏移りに
よるインク汚れがないことを確認した。
【0058】比較例1 実施例3においてパルス長を4値とした代わりに表4の
ような2値とした以外は、実施例3と同様にして印刷を
行った。
【表4】 その結果、実施例3で得られた印刷物に比べて階調性に
乏しい印刷物が得られた。また、得られた印刷物から解
像度を測定したところ0.2mm間隔のline&sp
ace再現していないことを確認した。また、グレース
ケース中の10%ハーフトーンにざらつきが多いことを
確認した。さらに同じ印刷物を10部印刷したところ、
排紙された印刷物の裏面に裏移りによるインク汚れがあ
ることを確認した。
【0059】比較例2 実施例2において厚さ1.5μmのポリエチレンテレフ
タレートの二軸延伸フィルム(帝人社製)の代わりに、
リコー社製プリポート用孔版印刷用原紙VT−A3II
(天然繊維を粗く抄紙した和紙の上に熱可塑性樹脂フィ
ルムを接着したもの)を用いた以外は実施例2と同様に
して穿孔、印刷を行った。得られた印刷物から解像度を
測定したところ0.2mm間隔のline &spac
eを再現しているが、0.1mm間隔のline &
spaceは再現していないことを確認した。また、グ
レースケール中の10%ハーフトーンにざらつきが多い
ことを確認した。さらに同じ印刷物を10部印刷したと
ころ、排紙された印刷物の裏面に裏移りによるインク汚
れがあることを確認した。リコー社製プリポート用孔版
印刷用原紙VT−A3IIのフィルム面の平滑度を測定し
たところ2000秒であった。
【0060】比較例3 実施例2において厚さ1.5μmのポリエチレンテレフ
タレートの2軸延伸フィルムを用いた代わりに、感熱孔
版印刷用原紙の製造例7で製造したものを用いた以外は
実施例2と同様にして穿孔、印刷を行った。得られた印
刷物から解像度を測定したところ0.2mm間隔のli
ne &spaceを再現しているが、0.1mm間隔
のline & spaceは再現していないことを確
認した。また、グレースケール中の10%ハーフトーン
にざらつきが多いことを確認した。また、同じ印刷物を
10部印刷したところ、排紙された印刷物の裏面に裏移
りによるインク汚れがないことを確認した。
【0061】これら実施例1〜10及び比較例1〜3の
感熱孔版印刷用原紙の平滑度、穿孔時の多値度及びサー
マルヘッドの種類をまとめて表5に示し、また得られた
印刷物の評価をまとめて表6に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】 (注)1.粒状性で、◎:ざらつき感なし、○:ざらつき感が殆どなし、 ×:ざらつき感あり、を表わす。 解像性で、○:解像する、×:解像しない、を表わす。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、高階調で高解像度の孔
版印刷物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる感熱孔版印刷用原紙の一例
の図。
【図2】本発明で用いられる感熱孔版印刷用原紙の他の
一例の図。
【図3】感熱孔版印刷用原紙に製版をほどこす様子を表
わした図。
【図4】原稿画像をデジタル画像とするためにアナログ
パルス変調(標本値によってパルス波形のパラメータを
連続的に変化させる)によってなされることの説明図。
【図5】パルス振幅変調を説明するものであって、図5
(a)は原稿画像のアナログ記録電気信号、図5(b)
はこれをパルス振幅変調した時のパルス波、図5(c)
はパルス振幅変調回路の一例の図。
【図6】パルス幅変調を説明するものであって、図6
(a)は原稿画像のアナログ記録電気信号、図6(b)
はこれをパルス幅変調した時のパルス波、図6(c)は
パルス幅変調の一例のブロック図。
【図7】単色の孔版製版印刷装置の一例の図。
【図8】多色刷り孔版製版印刷装置の一例の図。
【図9】サーマルヘッドへの印加信号に対する穿孔の平
均面積を表わした図。
【図10】サーマルヘッドへの印加信号に対するドット
の平均面積を表わした図。
【図11】全面グレーズ型サーマルヘッドの構造図。
【図12】部分グレーズ型サーマルヘッドの構造図。
【図13】端面型サーマルヘッドの構造図。
【図14】感熱孔版印刷用原紙の平滑度が高いため、均
一な大きさの穿孔を形成した孔版印刷版を用いた場合の
ベタ部形成(通常印圧)の様子を表わした図。
【図15】感熱孔版印刷用原紙の平滑度が低いため、穿
孔不良が生じた孔版印刷版を用いた場合のベタ部形成
(通常印圧)の様子を表わした図。
【図16】感熱孔版印刷用原紙の平滑度が低いため、穿
孔不良が生じた孔版印刷版を用いた場合のベタ部形成
(印圧 大)の様子を表わした図。
【符号の説明】
1 感熱孔版印刷用原紙 2 プラテンローラ 3 サーマルヘッド 4 抵抗発熱素子 5 パルス変調制御部 6 送りローラ対 7 印刷版係止手段 8 版胴 9 原紙切断手段 10 インキローラ 11 インキ溜まり 12 ドクターローラ 13 排版ローラ 14 排版ボックス 15 印刷用紙 16 呼出ローラ 17 分離ローラ 18 歯つきベルト 19 分離コロ 20 用紙ガイド板 21 レジストローラ 22 プレスローラ 23 給紙台 24 用紙搬送ベルト 25 排紙トレイ 26 印刷版ガイド板 101 熱可塑性樹脂層 102 多孔性支持体 201 保護層 202 電極 203 高抵抗発熱層 204 グレース層 205 絶縁性基板 301 インク溜まり 302 製版済の孔版印刷用原紙 303 正常な大きさの穿孔 303′ 穿孔不良による小さな穿孔 304 受像用紙に転移した浸透前のインク 305 受像用紙 306 受像用紙に浸透定着したインク 107 白抜け部 308 未定着インク
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年8月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】本発明によれば、第一に、孔版印刷版とし
て少なくとも熱可塑性樹脂フィルムからなる孔版印刷用
原紙を用い、かつ、該孔版印刷用原紙を製版する際に抵
抗発熱素子を用い、該抵抗発熱素子に印加する電気信号
を記録濃度に応じてパルス変調することにより該孔版印
刷用原紙を熱溶融し、異なる大きさの穿孔を形成する孔
版印刷版の製版方法において用いられる孔版印刷用原紙
であって、該孔版印刷用原紙の熱可塑性樹脂フィルム面
の表面平滑度が6000秒以上であることを特徴とする
孔版印刷用原紙が提供される。
フロントページの続き (72)発明者 大嶋 孝一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 利元 正則 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 新井 文明 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 立石 比呂志 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田中 哲夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 孔版印刷版として少なくとも熱可塑性樹
    脂フィルムからなる孔版印刷用原紙を用い、かつ、該孔
    版印刷用原紙を製版する際に抵抗発熱素子を用い、該抵
    抗発熱素子に印加する電気信号を記録濃度に応じてパル
    ス変調することにより該孔版印刷用原紙を熱溶融し、異
    なる大きさの穿孔を形成する孔版印刷版の製版方法にお
    いて用いられる孔版印刷用原紙であって、該孔版印刷用
    原紙の熱可塑性樹脂フィルム面の自由表面側の表面平滑
    度が6000秒以上であることを特徴とする孔版印刷用
    原紙。
  2. 【請求項2】 前記孔版印刷用原紙が少なくとも熱可塑
    性樹脂フィルムと多孔性支持体で構成されることを特徴
    とする請求項1記載の孔版印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 前記孔版印刷用原紙の多孔性支持体が多
    孔性樹脂膜であることを特徴とする請求項2記載の孔版
    印刷用原紙。
  4. 【請求項4】 前記孔版印刷用原紙の熱可塑性樹脂フィ
    ルムが二軸延伸処理された樹脂フィルムであることを特
    徴とする請求項1又は2記載の孔版印刷用原紙。
  5. 【請求項5】 孔版印刷版の製版方法において、該孔版
    印刷版として少なくとも熱可塑性樹脂フィルムからなる
    孔版印刷用原紙を用い、該孔版印刷用原紙の熱可塑性樹
    脂フィルム面の平滑度が6000秒以上であり、かつ、
    該孔版印刷用原紙を製版する際に抵抗発熱素子を用い、
    該抵抗発熱素子に印加する電気信号を記録濃度に応じて
    パルス変調することにより孔版印刷用原紙を熱溶融し異
    なる大きさの穿孔を形成することを特徴とする孔版印刷
    版の製版方法。
  6. 【請求項6】 前記孔版印刷用原紙が少なくとも熱可塑
    性樹脂フィルムと多孔性支持体で構成されることを特徴
    とする請求項5記載の孔版印刷版の製版方法。
  7. 【請求項7】 前記孔版印刷用原紙の多孔性支持体が多
    孔性樹脂膜であることを特徴とする請求項6記載の孔版
    印刷版の製版方法。
  8. 【請求項8】 前記孔版印刷用原紙の熱可塑性樹脂フィ
    ルムが二軸延伸処理された樹脂フィルムであることを特
    徴とする請求項5又は6記載の孔版印刷版の製版方法。
  9. 【請求項9】 前記抵抗発熱素子の発熱体の素子密度が
    400dpi以上であることを特徴とする請求項5記載
    の孔版印刷版の製版方法。
  10. 【請求項10】 前記抵抗発熱素子が部分グレーズ型で
    あることを特徴とする請求項5記載の孔版印刷版の製版
    方法。
  11. 【請求項11】 前記抵抗発熱素子が端面型であること
    を特徴とする請求項5記載の孔版印刷版の製版方法。
  12. 【請求項12】 少なくとも熱可塑性樹脂フィルムから
    なる孔版印刷用原紙に抵抗発熱素子により穿孔画像を形
    成し、その穿孔画像を有する孔版印刷版を版胴の外周面
    に巻き付け、この孔版印刷版に受像用紙を圧接させ、該
    版胴内周面に付与されたインキを該受像用紙上に穿孔画
    面状に転移させて印刷を行う孔版製版印刷方法におい
    て、該孔版印刷用原紙の未穿孔時の熱可塑性樹脂フィル
    ム面の平滑度が6000秒以上であり、かつ、該抵抗発
    熱素子に印加する電気信号を記録濃度に応じてパルス変
    調するパルス変調器により行うことを特徴とする孔版製
    版印刷方法。
  13. 【請求項13】 少なくとも熱可塑性樹脂フィルムから
    なる孔版印刷用原紙に抵抗発熱素子により多色刷り用の
    穿孔画像を形成し、その多色刷りの穿孔画像を有する孔
    版印刷版をそれぞれの色用の版胴の外周に巻き付け、受
    像用紙を各色印刷用の版胴に巻き付けられている該孔版
    印刷版に順次圧接させ、各版胴内周面に付与された各色
    インキを該受像用紙上に順次穿孔画像状に転移させて印
    刷を行う多色刷り孔版製版印刷方法において、該孔版印
    刷用原紙の未穿孔時の熱可塑性樹脂フィルム面の平滑度
    が6000秒以上であり、かつ、該抵抗発熱素子に印加
    する電気信号を記録濃度に応じてパルス変調するパルス
    変調器により行うことを特徴とする多色刷り用孔版製版
    印刷方法。
  14. 【請求項14】 4つの版胴を搭載し、かつ、シアン、
    マゼンタ、イエロー、ブラックのインキを用いることを
    特徴とする請求項13記載のフルカラー孔版製版印刷方
    法。
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