JPH1142702A - ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器の製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器の製造方法

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JPH1142702A
JPH1142702A JP20268697A JP20268697A JPH1142702A JP H1142702 A JPH1142702 A JP H1142702A JP 20268697 A JP20268697 A JP 20268697A JP 20268697 A JP20268697 A JP 20268697A JP H1142702 A JPH1142702 A JP H1142702A
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polyethylene terephthalate
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宏二 須藤
Kiyobumi Matsuo
清文 松尾
Manabu Kawada
学 川田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】底部に十分な肉厚を付与できるペット樹脂製容
器の製造方法を提供する。また、プリフォームを加熱す
る赤外線ランプの出力調整が容易なペット樹脂製容器の
製造方法を提供する。 【解決手段】プリフォーム1を複数の赤外線ランプ11
により加熱し、所定の金型15a,15b内で延伸ブロ
ー成形する。上半部に赤外線の放射を妨げる被覆層25
を備える赤外線ランプ11aを、プリフォーム1の胴部
6とサポートリング5とを接続する接続部分8に対向し
て設け、赤外線ランプ11aにより接続部分8のみを加
熱する。被覆層25を備える赤外線ランプ11a,11
bをプリフォーム1の接続部分8に対向させて複数設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂製プリフォームの二軸延伸ブロー成形に
よるポリエチレンテレフタレート樹脂製容器の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭酸飲料、果汁、ミネラルウォーター等
の清涼飲料水の容器としてポリエチレンテレフタレート
樹脂を延伸ブロー成形して得られたボトル(以下、樹脂
について「ペット樹脂」、得られたボトルについて「ペ
ットボトル」と略記する)が用いられている。前記ペッ
トボトルは軽量で透明性に優れている上、ボトル本体を
形成するペット樹脂が前記延伸ブロー成形により二軸延
伸されているので、透明性、耐衝撃性、機械的強度、ガ
スバリア性等の諸物性に優れている。
【0003】従来、前記ペットボトルは、例えば、図1
(a)に示すようなペット樹脂製のプリフォーム(予備
成形体)1を、赤外線ランプ等により加熱し、加熱され
た前記プリフォームを所定の金型内で延伸ブロー成形す
ることにより二軸延伸して、金型の内面形状に沿って成
形することにより製造されている。
【0004】図1(a)示のプリフォーム1は、外周部
2にねじ部3が形成された口部4と、サポートリング5
と、胴部6と、外側に凸の半球状底部7とを備え、胴部
6とサポートリング5とを接続する部分に胴部6からサ
ポートリング5に向けて縮径するテーパー部8が設けら
れており、このようなプリフォーム1を延伸ブロー成形
することにより、例えば図1(b)示のようなペットボ
トル18が得られる。
【0005】ペットボトル18は、未延伸の口部4及び
サポートリング5と、二軸延伸された肩部19、胴部2
0及び底部21とからなり、ペットボトル18のA〜G
の各部は、プリフォーム1のa〜gの各部に対応してい
る。また、ペットボトル18は、底部21に設けられた
凹部22により自立可能な形状が付与される。前記ペッ
トボトル18は、内容物を充填する工程で座屈変形を生
じず、また内容物充填後、多数のペットボトル18が相
互に隣接して配列された状態で押圧搬送されるときにペ
ットボトル18同士の当接部分が永久変形しないよう
に、底部21が所定の肉厚を備えることが望まれる。
【0006】ところで、プリフォーム1の延伸ブロー成
形において、ペットボトル18は図8(a)乃至図8
(f)示の過程を取って成形されることが知られてい
る。すなわち、図8(a)は加熱されたプリフォーム1
を示し、該プリフォーム1は延伸ブロー成形が開始され
ると、まず図8(b)示のように胴部6がその長さ方向
に延伸され、次に図8(c)示のようにテーパー部8が
急激に延伸されペットボトル18の肩部19が形成され
る。テーパー部8の急激な延伸に続いて、図8(d)示
のように胴部6がテーパー部8に近い部分から順次延伸
され、図8(e)示のようにペットボトル18の胴部2
0が形成されると共に、底部7が延伸されてペットボト
ル18の凹部22が形成される。そして、最後にペット
ボトル18の底部21、胴部20等の細部形状が形成さ
れる。
【0007】図8(a)乃至図8(f)から明らかなよ
うに、ペットボトル18では肩部19が十分に延伸され
ることにより、胴部20及び底部21に対して適正な肉
廻りが付与されるものと考えられる。そして、ペットボ
トル18の肩部19(A部)が十分に延伸されるために
は、プリフォーム1の胴部6とサポートリング5とを接
続するテーパー部8(a部)が胴部6及び底部7よりも
強く加熱されていることが必要とされる。
【0008】プリフォーム1の加熱は、従来、図2示の
赤外線加熱装置9により行われている。赤外線加熱装置
9は、搬送路10を搬送されるプリフォーム1に対向し
て垂直方向に配列された赤外線ランプ11a,11b,
…,11jを備えている。
【0009】赤外線加熱装置9によるプリフォーム1の
加熱は、図9示のように、プリフォーム1の口部4及び
サポートリング5を遮蔽部材14で遮蔽し、テーパー部
8、胴部6及び底部7に対向する赤外線ランプ11a,
11b,…,11jから赤外線を照射することにより行
われる。
【0010】ところが、図9のようにしてプリフォーム
1を加熱するときに、プリフォーム1のテーパー部8に
対向する赤外線ランプ11aの出力を他の赤外線ランプ
11b,11c,…,11jより強くすると、前記プリ
フォーム1のテーパー部8に対応するペットボトル18
の肩部19は十分に延伸されるものの、ペットボトル1
8の胴部20及び底部21の肉厚が薄くなる傾向がある
との問題がある。
【0011】また、ペットボトル18の胴部20及び底
部21に適正な肉厚を付与することができる場合でも、
他の赤外線ランプ11b,11c,…,11jの出力の
選択幅が狭くなるなど、各赤外線ランプの出力の調整が
難しくなるとの問題がある。
【0012】本発明者らは、前記のようにプリフォーム
1の胴部6とサポートリング5とを接続するテーパー部
8に対向する赤外線ランプ11aの出力を他より強くし
て、テーパー部8を強熱したときに、ペットボトル18
の胴部20及び底部21の肉厚が薄くなる原因について
検討した結果、図9に示す様に、赤外線ランプ11aか
ら放射される赤外線24aが、プリフォーム1の胴部6
に対向する他の赤外線ランプ11b,11c,…から放
射される赤外線24b,24c,…と重複し、胴部6が
必要以上に加熱されるためであることを見出した。
【0013】そこで、前記問題を解決するために、図1
0示のようにプリフォーム1のテーパー部8に対向して
設けられた赤外線ランプ11aと、胴部6に対向して設
けられた赤外線ランプ11cとの間に、赤外線ランプ1
1aによる胴部6の加熱を遮る仕切り板23を設け、赤
外線ランプ11bを削除した赤外線加熱装置9が用いら
れている。図10示の赤外線加熱装置9によれば、赤外
線ランプ11aから放射される赤外線24aは、仕切り
板23に遮られてプリフォーム1の胴部6には当たら
ず、テーパー部8にのみ照射される。この結果、赤外線
ランプ11aによりテーパー部8のみを加熱することが
でき、ペットボトル18の肩部19が十分に延伸される
と共に、胴部20及び底部21に対して適正な肉廻りを
付与することができる。
【0014】しかしながら、仕切り板23を設けた図1
0示の赤外線加熱装置9では、赤外線ランプ11aから
放射される赤外線24aが仕切り板23に遮られる結果
として仕切り板23の下方(赤外線ランプ11a側)に
熱が籠もり、該熱により赤外線ランプ11aの寿命が短
縮されたり、仕切り板23が短期間で変形して赤外線2
4aに対する遮蔽効果が得られなくなる等の不都合があ
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都
合を解消して、ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器
の底部に十分な肉厚を容易に付与することができるポリ
エチレンテレフタレート樹脂製容器の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0016】また、本発明の目的は、プリフォームを加
熱する際に、各赤外線ランプの出力の調整が容易なポリ
エチレンテレフタレート樹脂製容器の製造方法を提供す
ることにもある。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂製容器の
製造方法は、外周部にねじ部が形成された口部と該口部
の下方に形成されたサポートリングと該サポートリング
の下方に連接された円筒状の胴部と底部とを備えるポリ
エチレンテレフタレート樹脂製プリフォームを、該プリ
フォームの長さ方向に沿って該プリフォームに対向して
配設された複数の赤外線ランプにより加熱し、加熱され
たプリフォームを所定の金型内で延伸ブロー成形するこ
とにより、該プリフォームの胴部及び底部を該金型の内
面形状に沿って成形するポリエチレンテレフタレート樹
脂製容器の製造方法において、上半部に赤外線の放射を
妨げる被覆層を備える赤外線ランプを前記プリフォーム
の胴部とサポートリングとを接続する接続部分に対向し
て設け、該赤外線ランプにより該接続部分のみを加熱す
ることを特徴とする。
【0018】本発明によれば、前記プリフォームの前記
接続部分に対向して設けられた赤外線ランプに前記被覆
層が備えられているので、該赤外線ランプの上半部から
は赤外線が放射されない。この結果、前記被覆層が備え
られている赤外線ランプから放射される赤外線は、前記
接続部分にのみ照射されることになり、プリフォームの
胴部に当たらないので、前記接続部分が前記胴部よりも
強く加熱される一方、前記胴部が過度に加熱されること
がない。前記のように加熱されたプリフォームは、延伸
ブロー成形時にはまず前記接続部分が十分に延伸され、
次いで前記胴部が延伸されることとなり、ポリエチレン
テレフタレート樹脂製容器の胴部及び底部に対する肉廻
りがよくなる。
【0019】従って、前記プリフォームを所定の金型内
で延伸ブロー成形することにより、得られたポリエチレ
ンテレフタレート樹脂製容器の胴部の肉厚を薄くするこ
となく、しかも底部に十分な肉厚を付与することができ
る。また、前記被覆層が備えられた赤外線ランプを用い
ることにより、仕切り板が不要になり、熱が籠もらない
ので該赤外線ランプを長期間に亘って交換することなく
使用することができる。さらに、前記被覆層が備えられ
た赤外線ランプを用いるときには、該赤外線ランプから
放射される赤外線は全て前記接続部分に指向され、前記
胴部方向に放射される赤外線が元々ないので、各赤外線
ランプの出力調整を容易に行うことができる。
【0020】また、本発明では、前記被覆層を備えた赤
外線ランプを用いるときには、該赤外線ランプを前記プ
リフォームの前記接続部分に対向させて複数設けるよう
にしてもよい。前記被覆層を備えた赤外線ランプを複数
設けることにより、各赤外線ランプの出力の選択幅を広
げることができ、出力調整をさらに容易に行うことがで
きる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、添付の図面を参照しながら
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1はペット樹脂製プリフォーム及び該プリフォームの延
伸ブロー成形により得られるペットボトルの一例を示す
正面図、図2はプリフォームを加熱する赤外線加熱装置
の一構成例を示す斜視図、図3はプリフォームを延伸ブ
ロー成形する金型の一構成例を示す説明的断面図であ
る。図4は本発明の第1の態様に対応する図2の要部断
面図であり、図5は図4示の赤外線加熱装置により加熱
されたプリフォームの延伸ブロー成形により得られたペ
ットボトルの各部の肉厚を示すグラフである。また、図
6は本発明の第2の態様に対応する図2の要部断面図、
図7は図6示の赤外線加熱装置により加熱されたプリフ
ォームの延伸ブロー成形により得られたペットボトルの
各部の肉厚を示すグラフである。
【0022】本実施形態に用いるプリフォーム1は、図
1(a)に示すように、外周部2にねじ部3が形成され
た口部4と、口部4の下方に形成されたサポートリング
5と、サポートリング5の下方に連接された円筒状の胴
部6と、胴部6の下部を形成する外側に凸の半球状底部
7とを備え、胴部6とサポートリング5とを接続する部
分に胴部6の外周からサポートリング5下部に向けて縮
径するテーパー部8が設けられている。
【0023】前記プリフォーム1の加熱は、図2に示す
赤外線加熱装置9により行われる。赤外線加熱装置9
は、プリフォーム1が搬送される搬送路10の一方の側
に、搬送路10と平行に設けられた10本の円筒状の赤
外線ランプ11a,11b,…,11jが、プリフォー
ム1の長さ方向に沿って垂直に配列されている。また、
搬送路10を挟んで赤外線ランプ11a,11b,…,
11jの反対の側には、各赤外線ランプ11a,11
b,…,11jから放射される赤外線を反射する反射板
12が備えられている。
【0024】そして、プリフォーム1は、その口部4に
嵌着されたマンドレル13により支持され、口部4を下
方に向けて倒立された状態でその軸を中心に回転されな
がら、赤外線ランプ11a,11b,…,11jと反射
板12とに挟まれた搬送路10を搬送され、赤外線ラン
プ11a,11b,…,11jから放射される赤外線に
より所定の温度に加熱される。尚、このとき、前記プリ
フォーム1の口部4及びサポートリング5は、遮蔽部材
14により遮蔽されて、赤外線ランプ11aにより加熱
されないようになっている。
【0025】前記のように加熱されたプリフォーム1
は、次に、口部4をマンドレル13により支持されたま
まの状態で、図3示の金型15a,15bに装着され
る。金型15a,15bは、内面16a,16bにボト
ルの外面形状を備えており、プリフォーム1はその口部
4から内部に挿入されるストレッチロッド17で長さ方
向に延伸される一方、内部に導入される高圧空気により
その外周方向に延伸されて、テーパー部8、胴部6及び
底部7が金型16a,16bの内面に沿って延伸ブロー
成形される。尚、このとき、口部4及びサポートリング
5は延伸を受けず、プリフォーム1の形状が維持され
る。
【0026】この結果、図3に仮想線示するように、金
型15a,15bの内面16a,16bに沿った外面形
状を備えるペットボトル18が得られる。
【0027】ペットボトル18は耐熱容器であって、図
1(b)示のように、外周部2にねじ部3が形成された
口部4と、口部4の下方に形成されたサポートリング5
と、サポートリング5に連接し、サポートリング5から
離れるに従って次第に拡径するテーパ状の肩部19と、
肩部19の下方に形成された略円筒状の胴部20と、胴
部20の下部を形成する底部21とからなる。ペットボ
トル18は、耐圧性を考慮する必要がないので、底部2
1の接地部は平面であり、該接地部ににペットボトル1
8に自立性を付与するための胴部20内に円錐台状に膨
出する凹部22が形成されている。また、耐熱容器にあ
っては、通常、内容物を熱間充填するために、ペットボ
トル18は成形後に熱固定(ヒート・セット)されてい
る。
【0028】本実施形態の第1の態様の製造方法は、前
記赤外線加熱装置9によるプリフォーム1の加熱の際
に、図4示のように、上半部に赤外線の放射を妨げるセ
ラミック被覆層25を備える赤外線ランプ11aをプリ
フォーム1のテーパー部8に対向して設け、赤外線ラン
プ11aにより該テーパー部8のみを加熱することを特
徴とするものである。
【0029】図4示の赤外線加熱装置9によれば、赤外
線ランプ11aからの赤外線24aは、セラミック被覆
層25が設けられている上半部には放射されないので、
プリフォーム1の胴部6には当たらず、テーパー部8に
のみ照射される。この結果、赤外線ランプ11aにより
テーパー部8のみを加熱することができる。
【0030】次に、図4(実施例1)に示す赤外線加熱
装置9により加熱されたプリフォーム1を延伸ブロー成
形して得られた容量1.5リットルの耐熱容器であるペ
ットボトル18の各部の肉厚を図5に示す。また、図9
(比較例1)及び図10(比較例2)に示す赤外線加熱
装置9により従来の製造方法で加熱されたプリフォーム
1を延伸ブロー成形して得られた前記ペットボトル18
の各部の肉厚を図5に併せて示す。
【0031】尚、実施例1及び比較例1,2の各赤外線
加熱装置9では、各赤外線ランプ11a,11b,…,
11jの出力を表1のようにして、プリフォーム1の加
熱を行った。
【0032】
【表1】
【0033】図5から、比較例1(図9示、仕切り板2
3を使用しない従来の製造方法)で加熱されたプリフォ
ーム1を延伸ブロー成形して得られたペットボトル18
では、肩部19に相当する高さ約230〜255mmの
部分の肉厚が0.32mmと厚く十分に延伸されていな
いことが明らかであり、胴部20に相当する部分のうち
高さ約120〜175mmの部分の肉厚が0.30〜
0.32mm、底部21に相当する高さ約15mm以下
の部分の肉厚が0.42mmとなっている。
【0034】また、比較例2(図10示、仕切り板23
を使用する従来の製造方法)で加熱されたプリフォーム
1を延伸ブロー成形して得られたペットボトル18で
は、肩部19に相当する高さ約230〜255mmの部
分の肉厚が0.28〜0.32mmと薄く、前記比較例
1で得られたペットボトル18に対してより大きく延伸
されていることが明らかであり、胴部20に相当する部
分のうち高さ約120〜230mmの部分の肉厚が0.
32〜0.34mm、底部21に相当する高さ約15m
m以下の部分の肉厚が0.46mmと、前記比較例1で
得られたペットボトル18より厚くなっていることが明
らかである。しかし、比較例2の製造方法では、仕切り
板23の赤外線ランプ11a側に熱が籠もるため、赤外
線ランプ11aの寿命が短くなり交換頻度が高くなる。
また、仕切り板23もまた、前記熱により変形し易く、
交換頻度が高くなる。
【0035】これに対して、本発明に従う実施例1(図
4示)の製造方法で加熱されたプリフォーム1を延伸ブ
ロー成形して得られたペットボトル18は、肩部19に
相当する高さ約230〜255mmの部分の肉厚が0.
28〜0.31mmと薄く、前記比較例1で得られたペ
ットボトル18に対してより大きく延伸されていること
が明らかであり、胴部20に相当する部分のうち高さ約
120〜230mmの部分の肉厚が0.32〜0.36
mm、底部21に相当する高さ約15mm以下の部分の
肉厚が0.46mmであって、前記比較例1で得られた
ペットボトル18より厚くなっていることが明らかであ
る。
【0036】実施例1で得られたペットボトル18は、
全体として前記比較例2で得られたペットボトル18と
同様の傾向を示しているが、胴部20に相当する部分の
うち高さ約120〜230mmの部分の肉厚がより厚く
なっている。また、図4示の赤外線加熱装置9によれ
ば、仕切り板23を使用しないので、赤外線ランプ11
aを長期間に亘って交換することなく使用することがで
きる。
【0037】また、図9示の比較例1の赤外線加熱装置
9によりプリフォーム1を加熱して、ペットボトル18
を製造するときには、所定時間、例えば12時間毎に得
られたペットボトル18の各部の肉厚を測定し、各部の
肉厚が適正な範囲となるように、各赤外線ランプ11
a,11b,…,11jの出力を微調整することが行わ
れる。
【0038】しかし、図4示の実施例1の製造方法によ
るときには、各赤外線ランプ11a,11b,…,11
jの出力は、最初に設定すれば、その後の調整は全く必
要が無く、出力調整が極めて容易である。
【0039】次に、本実施形態の第2の態様は、図6示
のように、上半部に赤外線の放射を妨げるセラミック被
覆層25の備えられた2個の赤外線ランプ11a,11
bを、プリフォーム1のテーパー部8に対向して設けた
赤外線加熱装置9を用いるものであり、図7示のペット
ボトル26の製造に用いられる。
【0040】図6示の赤外線加熱装置9によれば、赤外
線ランプ11a,11bからの赤外線24a,24b
は、セラミック被覆層25が設けられている上半部には
放射されないので、プリフォーム1の胴部6には当たら
ず、テーパー部8にのみ照射される。この結果、赤外線
ランプ11a,11bによりテーパー部8のみを加熱す
ることができる。
【0041】ペットボトル26は、容量1リットルの炭
酸飲料用容器であって、耐圧性を付与するために半球状
に膨出形成されている(図示せず)底部21に、自立性
を付与するために5個の脚部27が形成されている。
【0042】ペットボトル26を製造するときには、赤
外線加熱装置9によるプリフォーム1の加熱に際し、各
赤外線ランプ11a,11b,…,11jを、赤外線ラ
ンプ11aと、赤外線ランプ11bと、赤外線ランプ1
1cと、赤外線ランプ11d,11eと、赤外線ランプ
11f,11gと、赤外線ランプ11h,11i,11
jとの6グループに分け、各グループの赤外線ランプの
出力を同一にして制御することが行われている。
【0043】次に、図6(実施例2)に示す赤外線加熱
装置9により加熱されたプリフォーム1を延伸ブロー成
形して得られたペットボトル26の各部の肉厚を図7に
示す。また、図9(比較例3)に示す赤外線加熱装置9
により前記従来の製造方法で加熱されたプリフォーム1
を延伸ブロー成形して得られたペットボトル26の各部
の肉厚を図7に併せて示す。
【0044】尚、図6及び図9の各赤外線加熱装置9で
は、各赤外線ランプ11a,11b,…,11jの出力
を表2のようにして加熱を行った。
【0045】
【表2】
【0046】図7から、本発明に従う図6示の製造方法
(実施例2)で加熱されたプリフォーム1を延伸ブロー
成形して得られたペットボトル26では、図9示の従来
の製造方法(比較例3)で加熱されたプリフォーム1を
延伸ブロー成形して得られたペットボトル26に比較し
て、肩部19に相当する高さ約160〜230mmの部
分の肉厚が薄く、より大きく延伸されていることが明ら
かであり、底部21に相当する高さ約50mm以下の部
分の肉厚が厚くなっていることが明らかである。
【0047】また、図9示の従来の製造方法では図7示
の肉厚のペットボトル26を得るために赤外線ランプ1
1aの出力を略最大の99%としているために、赤外線
ランプ11aの出力の選択幅が小さく、ペットボトル2
6の各部の肉厚を適正な範囲に制御できなくなることが
あるのに対し、図6示の本実施例の製造方法では表3に
示す様に、赤外線ランプ11aの出力を下げると共に、
赤外線ランプ11cの出力を上げることができ、赤外線
ランプ11aの出力の選択幅が広がるので、出力調整を
容易に行うことができる。
【0048】図6示の本実施例の製造方法で、赤外線ラ
ンプ11aの出力を下げてその選択幅を広げることがで
きる理由としては、赤外線ランプ11a,11bの上半
部にセラミック被覆層25を設け、赤外線ランプ11
a,11bからの赤外線24a,24bが上方に放射さ
れない様にした結果、従来とは逆に、赤外線ランプ11
cから放射される赤外線24cが赤外線24a,24b
に重複し、プリフォーム1のテーパー部8の加熱に寄与
するためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリフォーム及び該プリフォームの延伸ブロー
成形により得られるペットボトルの一例を示す正面図。
【図2】プリフォームを加熱する赤外線加熱装置の一構
成例を示す斜視図。
【図3】プリフォームを延伸ブロー成形する金型の一構
成例を示す説明的断面図。
【図4】本発明の第1の態様に対応する図2の要部断面
図。
【図5】図4示の赤外線加熱装置により加熱されたプリ
フォームの延伸ブロー成形により得られたペットボトル
の各部の肉厚を該ペットボトルと対比させて示すグラ
フ。
【図6】本発明の第2の態様に対応する図2の要部断面
図。
【図7】図6示の赤外線加熱装置により加熱されたプリ
フォームの延伸ブロー成形により得られたペットボトル
の各部の肉厚を該ペットボトルと対比させて示すグラ
フ。
【図8】ペットボトルの延伸ブロー成形過程を示す説明
図。
【図9】従来の製造方法の一態様を示す図2の要部断面
図。
【図10】従来の製造方法の他の態様を示す図2の要部
断面図。
【符号の説明】
1…プリフォーム、 2…外周部、 3…ねじ部、 4
…口部、 5…サポートリング、 6…胴部、 7…底
部、 8…接続部、 11a,11b,…,11j…赤
外線ランプ、 15a,15b…金型、 16a,16
b…内面、 18,26…ポリエチレンテレフタレート
製容器、 25…被覆層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周部にねじ部が形成された口部と該口部
    の下方に形成されたサポートリングと該サポートリング
    の下方に連接された円筒状の胴部と底部とを備えるポリ
    エチレンテレフタレート樹脂製プリフォームを、該プリ
    フォームの長さ方向に沿って該プリフォームに対向して
    配設された複数の赤外線ランプにより加熱し、加熱され
    たプリフォームを所定の金型内で延伸ブロー成形するこ
    とにより、該プリフォームの胴部及び底部を該金型の内
    面形状に沿って成形するポリエチレンテレフタレート樹
    脂製容器の製造方法において、 上半部に赤外線の放射を妨げる被覆層を備える赤外線ラ
    ンプを前記プリフォームの胴部とサポートリングとを接
    続する接続部分に対向して設け、該赤外線ランプにより
    該接続部分のみを加熱することを特徴とするポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂製容器の製造方法。
  2. 【請求項2】前記被覆層を備える赤外線ランプを前記プ
    リフォームの接続部分に対向させて複数設けることを特
    徴とする請求項1記載のポリエチレンテレフタレート樹
    脂製容器の製造方法。
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