JPH1141791A - 回線選択地絡保護継電装置 - Google Patents

回線選択地絡保護継電装置

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JPH1141791A
JPH1141791A JP19403997A JP19403997A JPH1141791A JP H1141791 A JPH1141791 A JP H1141791A JP 19403997 A JP19403997 A JP 19403997A JP 19403997 A JP19403997 A JP 19403997A JP H1141791 A JPH1141791 A JP H1141791A
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JP
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JP19403997A
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Masayuki Yoshida
正幸 吉田
Toru Hoshina
徹 保科
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Toshiba Corp
Toshiba System Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba System Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】平行3回線以上でかつ各回線の線路インピーダ
ンスが異なる電力系統においても、地絡事故発生時の事
故点を正確に判別し、経済面および事故発生時の損害を
著しく軽減すること。 【解決手段】平行3回線以上を保護対象とする電力系統
における各回線の零相電流を取り込む零相電流取込手段
と、零相電流取込手段により取り込まれた各回線の零相
電流に対して、自回線の零相電流値から、他の全回線の
零相電流値の和を回線数で除した値を減じる演算を行な
う演算手段と、演算手段による演算値を所定値と比較し
て、当該演算値が所定値以上であるか否かにより事故回
線を判別する事故判別手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平行3回線以上で
かつ各回線の線路インピーダンスが異なる電力系統にお
いても適用でき、経済面および事故発生時の損害を著し
く軽減できるようにした回線選択地絡保護継電装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電力系統を保護する保護継電
装置の一つとして、電力系統を地絡事故から保護する地
絡保護継電装置が用いられている。この地絡保護継電装
置としては、種々の保護方式のものがあるが、その一つ
として、最近では、保護対象である平行2回線の電力系
統における各回線の零相電流の差分から事故回線を判別
して、その事故回線の選択しゃ断を行なう回線選択地絡
保護継電装置が用いられてきている。
【0003】以下、この種の従来の回線選択地絡保護継
電装置の保護方式について、図10、および図11を用
いて説明する。図10、および図11において、保護対
象である電力系統は、電源側母線B1と負荷側母線B2
との間が、1号,2号の各回線1L,2L(平行2回
線)により連系された構成となっている。
【0004】一方、1号,2号の各回線1L,2Lに
は、各回線1L,2Lを流れる電流をそれぞれ抽出する
変流器CT1,CT2が設けられている。また、1号回
線1Lの変流器CT1および2号回線2Lの変流器CT
2の2次回路は、回線選択地絡保護継電装置10内で差
動に接続されている。
【0005】さらに、回線選択地絡保護継電装置10で
は、変流器CT1により抽出された1号回線1Lの零相
電流と、変流器CT21により抽出された2号回線2L
の零相電流との差分から事故回線を判別して、その事故
回線1Lまたは2Lの選択しゃ断を行なうようになって
いる。
【0006】すなわち、(1号回線1L零相電流−2号
回線2L零相電流)>所定値の場合には、図示しない1
号回線1L側のしゃ断器をしゃ断し、また(2号回線2
L零相電流−1号回線1L零相電流)>所定値の場合に
は、図示しない2号回線2L側のしゃ断器をしゃ断する
ようになっている。
【0007】次に、かかる点について、より具体的に説
明する。回線選択地絡保護継電装置10の動作の条件
は、1号,2号の各回線1L,2Lを流れる零相電流の
値に差があり、かつこの零相電流値の差分が所定値を超
えた場合である。
【0008】すなわち、電力系統に事故がない平常時
は、1号,2号の各回線1L,2Lに零相電流が発生し
ないため、各回線1L,2Lの零相電流値の差分が生じ
ず、回線選択地絡保護継電装置10は不動作のままであ
る。
【0009】一方、例えば図10における1号回線1L
の中間点付近のF9地点で地絡事故(内部事故)が発生
すると、I1L,I2Lの事故電流が事故点に向かって
流れる。
【0010】この場合、流れ込む経路が事故電流I2L
の方が3倍程度長く、線路のインピーダンスもI2Lの
流れるルートの方が、I1Lのルートの3倍となる。こ
のため、I1L>>I2Lとなり、回線選択地絡保護継電
装置10が動作して、1号回線1L側のしゃ断器をしゃ
断する。
【0011】また、例えば図11における1号,2号の
各回線1L,2L外部のF10地点で地絡事故(外部事
故)が発生すると、事故電流は1号,2号の各回線1
L,2Lに等しく分流して、I1L=I2Lとなり、回
線選択地絡保護継電装置10は不動作のままである。
【0012】ところで、上述したような従来の回線選択
地絡保護継電装置10を適用するに当たっての前提条件
としては、その動作原理上、保護対象である電力系統の
構成が平行2回線の系統であることが必要であり、平行
3回線以上の系統については考慮されていない。
【0013】また、1号,2号の各回線1L,2Lで線
路長(線路インピーダンス)が異なる系統では、外部事
故時に事故電流I1L,I2Lに差分が生じて、回線選
択地絡保護継電装置10が誤動作する可能性があるた
め、適用することができない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現状の
電力系統は、平行2回線の系統が一般的であるが、場所
によっては、平行4回線の系統や、回線毎に線路インピ
ーダンスが異なるケース等も見られる。
【0015】その結果、このような特殊な電力系統にお
いては、従来の回線選択地絡保護継電装置では、前述し
た適用上の前提条件が成立しないため、地絡事故発生時
の事故点を正確に識別することが困難である。
【0016】そこで、かかる場合の対策として、例えば
高価な伝送設備を必要とするPCM電流差動継電装置を
適用するか、あるいは距離継電装置に頼る等の方法を採
ってはいる。
【0017】しかしながら、このような特殊な電力系統
にも適用可能である回線選択地絡保護継電装置を開発す
ることによって、高精度な保護が比較的簡素な設備で実
現することができれば、電力系統の保護に関する経済的
なメリットが極めて大きいことから、最近ではかかる回
線選択地絡保護継電装置の出現が強く要望されてきてい
る。
【0018】本発明の目的は、平行3回線以上でかつ各
回線の線路インピーダンスが異なる電力系統において
も、地絡事故発生時の事故点を正確に判別することがで
き、経済面および事故発生時の損害を著しく軽減するこ
とが可能な回線選択地絡保護継電装置を提供することに
ある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、平行3回線以上を保護対象とする電力系統におけ
る事故回線を判別して、当該事故回線の選択しゃ断を行
なう回線選択地絡保護継電装置において、請求項1の発
明では、電力系統における各回線の零相電流を取り込む
零相電流取込手段と、零相電流取込手段により取り込ま
れた各回線の零相電流に対して、自回線の零相電流値か
ら、他の全回線の零相電流値の和を回線数で除した値を
減じる演算を行なう演算手段と、演算手段による演算値
を所定値と比較して、当該演算値が所定値以上であるか
否かにより事故回線を判別する事故判別手段とを備えて
いる。
【0020】従って、請求項1の発明の回線選択地絡保
護継電装置においては、平行3回線以上の系統からそれ
ぞれ零相電流を取り込み、この取り込んだ零相電流に対
して、自回線の零相電流値から、他の全回線の零相電流
値の和を回線数で除した値を減じる演算を行ない、この
演算結果を所定値と比較することによって事故回線判別
を行なうことにより、自回線に事故が発生した場合に
は、自回線の零相電流値の方が他回線の零相電流値より
も必ず大きくなるため、演算結果は所定値以上になり、
当該回線のしゃ断器をしゃ断することができる。
【0021】また、自回線以外に事故が発生した場合に
は、自回線の零相電流値よりも他回線の零相電流値の方
が大きいか、もしくは等しくなるため、演算結果は所定
値以下となり、当該回線のしゃ断器はしゃ断されない
(不動作になる)。
【0022】前述した自回線事故と自回線以外の事故の
ケースは、前者が1号回線の事故発生時の1号回線側の
演算を示したもので、後者が1号回線の事故発生時の1
号回線以外の回線の演算を示したものである。
【0023】以上により、平行3回線以上の電力系統に
も、地絡事故発生時の事故点を正確に判別することがで
き、経済面および事故発生時の損害を著しく軽減しつ
つ、精度の高い回線選択地絡保護継電装置を適用するこ
とが可能となる。
【0024】また、請求項2の発明では、電力系統にお
ける各回線の零相電流を取り込む零相電流取込手段と、
電力系統における各回線毎の線路インピーダンス比を整
定入力する線路インピーダンス比整定入力手段と、零相
電流取込手段により取り込まれた各回線の零相電流に、
線路インピーダンス比整定入力手段により整定入力され
た各回線毎の線路インピーダンス比を乗じ、かつ当該乗
じた後の値を用いてその自回線の値から、他の全回線の
値の和を回線数で除した値を減じる演算を行なう演算手
段と、演算手段による演算値を所定値と比較して、当該
演算値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別
する事故判別手段とを備えている。
【0025】従って、請求項2の発明の回線選択地絡保
護継電装置においては、電力系統の回線毎の線路インピ
ーダンス比を整定入力し、取り込んだ各回線の零相電流
に回線毎の線路インピーダンス比を乗じ、この乗じた後
の値を用いて、自回線から他の全回線の和を回線数で除
した値を減じる演算を行ない、この演算結果を所定値と
比較することによって事故回線判別を行なうことによ
り、自回線に事故が発生した場合には、自回線の零相電
流値の方が他回線の零相電流値よりも必ず大きくなるた
め、演算結果は所定値以上になり、当該回線のしゃ断器
をしゃ断することができる。
【0026】また、自回線以外に事故が発生した場合に
は、自回線の零相電流値よりも他回線の零相電流値の方
が大きいか、もしくは等しくなるため、演算結果は所定
値以下となり、当該回線のしゃ断器はしゃ断されない
(不動作になる)。
【0027】前述した自回線事故と自回線以外の事故の
ケースは、前者が1号回線の事故発生時の1号回線側の
演算を示したもので、後者が1号回線の事故発生時の1
号回線以外の回線の演算を示したものである。
【0028】以上により、平行3回線以上の電力系統に
も、地絡事故発生時の事故点を正確に判別することがで
き、経済面および事故発生時の損害を著しく軽減しつ
つ、精度の高い回線選択地絡保護継電装置を適用するこ
とが可能となる。
【0029】さらに、請求項3の発明では、電力系統に
おける各回線の零相電流を取り込む零相電流取込手段
と、電力系統における平常時の自回線の零相電流値を平
常時の他回線の零相電流値で除して、各回線毎の線路イ
ンピーダンス比を求める線路インピーダンス比算出手段
と、零相電流取込手段により取り込まれた各回線の零相
電流に、線路インピーダンス比算出手段により算出され
た各回線毎の線路インピーダンス比を乗じ、かつ当該乗
じた後の値を用いてその自回線の値から、他の全回線の
値の和を回線数で除した値を減じる演算を行なう演算手
段と、演算手段による演算値を所定値と比較して、当該
演算値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別
する事故判別手段とを備えている。
【0030】従って、請求項3の発明の回線選択地絡保
護継電装置においては、電力系統における平常時の自回
線の零相電流値を平常時の他回線の零相電流値で除し
て、各回線毎の線路インピーダンス比を求め、取り込ん
だ各回線の零相電流に各回線毎の線路インピーダンス比
を乗じ、この乗じた後の値を用いて、自回線から他の全
回線の和を回線数で除した値を減じる演算を行ない、こ
の演算結果を所定値と比較することによって事故回線判
別を行なうことにより、自回線に事故が発生した場合に
は、自回線の零相電流値の方が他回線の零相電流値より
も必ず大きくなるため、演算結果は所定値以上になり、
当該回線のしゃ断器をしゃ断することができる。
【0031】また、自回線以外に事故が発生した場合に
は、自回線の零相電流値よりも他回線の零相電流値の方
が大きいか、もしくは等しくなるため、演算結果は所定
値以下となり、当該回線のしゃ断器はしゃ断されない
(不動作になる)。
【0032】前述した自回線事故と自回線以外の事故の
ケースは、前者が1号回線の事故発生時の1号回線側の
演算を示したもので、後者が1号回線の事故発生時の1
号回線以外の回線の演算を示したものである。
【0033】以上により、平行3回線以上の電力系統に
も、地絡事故発生時の事故点を正確に判別することがで
き、経済面および事故発生時の損害を著しく軽減しつ
つ、精度の高い回線選択地絡保護継電装置を適用するこ
とが可能となる。
【0034】さらにまた、請求項4の発明では、電力系
統における各回線の零相電流を取り込む零相電流取込手
段と、電力系統における各回線毎の線路インピーダンス
値を整定入力する線路インピーダンス値整定入力手段
と、線路インピーダンス値整定入力手段により整定入力
された各回線毎の線路インピーダンス値から、各回線毎
の線路インピーダンス比を求める線路インピーダンス比
算出手段と、零相電流取込手段により取り込まれた各回
線の零相電流に、線路インピーダンス比算出手段により
算出された各回線毎の線路インピーダンス比を乗じ、か
つ当該乗じた後の値を用いてその自回線の値から、他の
全回線の値の和を回線数で除した値を減じる演算を行な
う演算手段と、演算手段による演算値を所定値と比較し
て、当該演算値が所定値以上であるか否かにより事故回
線を判別する事故判別手段とを備えている。
【0035】従って、請求項4の発明の回線選択地絡保
護継電装置においては、電力系統の各回線毎の線路イン
ピーダンス値を整定入力し、この整定値より各回線毎の
線路インピーダンス比を求め、取り込んだ各回線の零相
電流に各回線毎の線路インピーダンスの比を乗じ、この
乗じた後の値を用いて、自回線から他の全回線の和を回
線数で除した値を減じる演算を行ない、この演算結果を
所定値と比較することによって事故回線判別を行なうこ
とにより、自回線に事故が発生した場合には、自回線の
零相電流値の方が他回線の零相電流値よりも必ず大きく
なるため、演算結果は所定値以上になり、当該回線のし
ゃ断器をしゃ断することができる。
【0036】また、自回線以外に事故が発生した場合に
は、自回線の零相電流値よりも他回線の零相電流値の方
が大きいか、もしくは等しくなるため、演算結果は所定
値以下となり、当該回線のしゃ断器はしゃ断されない
(不動作になる)。
【0037】前述した自回線事故と自回線以外の事故の
ケースは、前者が1号回線の事故発生時の1号回線側の
演算を示したもので、後者が1号回線の事故発生時の1
号回線以外の回線の演算を示したものである。
【0038】以上により、平行3回線以上の電力系統に
も、地絡事故発生時の事故点を正確に判別することがで
き、経済面および事故発生時の損害を著しく軽減しつ
つ、精度の高い回線選択地絡保護継電装置を適用するこ
とが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 (第1の実施の形態:請求項1に対応)図1は、本実施
の形態による回線選択地絡保護継電装置を適用するため
の電力系統の構成例を示す概要図である。
【0040】図1において、保護対象である電力系統
は、電源側母線B1と負荷側母線B2との間が、1号,
2号,3号,4号の各回線1L,2L,3L,4L(本
例では、平行4回線)により連系された構成となってい
る。
【0041】一方、1号,2号,3号,4号の各回線1
L,2L,3L,4Lには、各回線1L,2L,3L,
4Lを流れる電流I1L,I2L,I3L,I4Lをそ
れぞれ抽出する変流器CT1,CT2,CT3,CT4
が設けられている。
【0042】また、1号回線1Lの変流器CT1、2号
回線2Lの変流器CT2、3号回線3Lの変流器CT
3、および4号回線4Lの変流器CT4の2次回路は、
回線選択地絡保護継電装置20にそれぞれ接続されてい
る。
【0043】なお、Vは電源電圧を示している。図2
は、上記回線選択地絡保護継電装置20のハードウェア
構成例を示すブロック図である。
【0044】図2において、回線選択地絡保護継電装置
20は、入力変換器1と、入力部2と、処理部3と、出
力部4と、整定部5とから構成されている。入力変換器
1は、上記各変流器CT1,CT2,CT3,CT4、
および図示しない計器用変圧器によりそれぞれ抽出され
た電力系統の各回線1L,2L,3L,4Lの電流、お
よび電圧を取り込むものである。
【0045】入力部2は、入力変換器1により取り込ま
れた電流、電圧に対して、ノイズの除去、一定時間毎の
サンプリング、A/D変換等の前段処理を行なって出力
するものである。
【0046】整定部5は、リレー演算に必要な各種の値
を整定するためのものである。処理部3は、入力部2に
より前段処理された入力に対して、ソフトウエアにより
種々の演算処理を行ない、系統事故の検出を行なうもの
である。
【0047】すなわち、本例では、電力系統における各
回線1L,2L,3L,4Lの零相電流に対して、自回
線の零相電流値から、他の全回線の零相電流値の和を回
線数で除した値を減じる演算を行ない、さらにこの演算
値を整定部5により整定された所定値と比較して、演算
値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別する
事故判別を行なう。
【0048】出力部4は、処理部3による演算処理の結
果、事故点を回線内部であると判定した場合に、その回
線側のしゃ断器の引き外し指令(トリップ指令)等を出
力するものである。
【0049】次に、以上のように構成した本実施の形態
の回線選択地絡保護継電装置20の作用について、図3
に示すフロー図を用いて説明する。図3において、入力
変換器1で取り込まれたn回線(本例では4回線)分の
零相電流を、それぞれIIL,I2L,I3L,……,
InLとする。
【0050】処理部3では、整定部5により整定された
所定値を基に、1号回線1Lについての演算を、 I1L−((I2L+I3L+……+InL)/(n−
1))>所定値 なる演算式にて行ない、m号回線(m<n)についての
演算を、 ImL−((I1L+I2L+……+Im−1L+Im
+1L+……+InL)/(n−1))>所定値 なる演算式にて行なう。
【0051】そして、この演算結果が所定値よりも大き
くなって、不等式が成立した場合には、動作判定(回線
内部の事故と判定)を行ない、不等式が成立しなかった
場合には、不動作判定(回線内部以外の事故と判定)を
行なう。
【0052】次に、上述の演算式による判定例を、図1
において平行4回線系統の1号回線1Lの中間点のF1
地点に事故があった場合で、1号回線1Lおよび2号回
線2Lの場合について、より具体的に説明する。
【0053】かかるケースでの演算式を、各回線毎に示
すと以下のようになる。 1号回線:I1L−((I2L+I3L+I4L)/
3)>所定値 2号回線:I2L−((I1L+I3L+I4L)/
3)>所定値 3号回線:I3L−((I1L+I2L+I4L)/
3)>所定値 4号回線:I4L−((I1L+I2L+I3L)/
3)>所定値 1号回線1Lの事故電流I1Lは、電源電圧VをF1地
点までの線路インピーダンスZ/2で除した値である2
V/Zとなる(大地のインピーダンスは無視する)。
【0054】また、2号,3号,4号の各回線2L,3
L,4Lの事故電流I2L,I3L,I4Lは、いずれ
もF1地点までの経路が自回線分の線路インピーダンス
Zと、共通に流れ込む部分のZ/2であるため、2号,
3号,4号の各回線2L,3L,4Lのトータルの線路
インピーダンスは、 (Z/3)+(Z/2)=5Z/6 となる。
【0055】これより、各回線の線路インピーダンス
は、上述の値の3倍の5Z/2となることから、電流値
は2V/5Z、すなわちI1Lの1/5の値となる。こ
のため、1号回線1L側の事故を判定する式を、 I1L−((I2L+I3L+I4L)/3)>所定値 とすれば、 I2L+I3L+I4L=3I1L/5 であるため、結果は I1L−(I1L/5)=4I1L/5 となり、所定値を上述の結果以下としておくことによ
り、正動作判定となる。
【0056】また、2号回線2Lの演算は、上述した演
算式と各回線の電流値を用いると、結果が−8V/15
Zの負数となり、所定値以下であるため、不動作判定と
なる。
【0057】一方、F2地点の外部事故の場合には、1
号,2号,3号,4号の各回線1L,2L,3L,4L
の零相電流IIL,I2L,I3L,I4L共、事故点
F2地点までの線路インピーダンスがZであるため、 I1L=I2L=I3L=I4L となる。
【0058】この場合、上述の演算を行なうと、 I1L−((I2L+I3L+I4L)/3)=I1L
−I1L=0 と、結果は必ず零となり、差分は発生せずに正不動作判
定となる。
【0059】また、3回線および4回線以上の系統で
も、 I1L−((I2L+I3L・・・InL)/(n−
1)) なる演算を行なうことにより、同様に動作判定を行なう
ことができる。
【0060】なお、以上の例は、1号回線1L側の事故
を検出する場合の例について述べたが、他の回線側の事
故についても、同様の判定式を用いることにより、それ
ぞれの回線の事故を検出することが可能である。
【0061】上述したように、本実施の形態の回線選択
地絡保護継電装置20では、平行4回線の系統からそれ
ぞれ零相電流を取り込み、この取り込んだ零相電流に対
して、自回線の零相電流値から、他の全回線の零相電流
値の和を回線数(n=4)で除した値を減じる演算を行
ない、この演算結果を所定値と比較することによって事
故回線判別を行なうようにしたものである。
【0062】従って、前述した従来型の平行2回線でか
つ保護対象回線の線路インピーダンスが等しいことを前
提として製作されている回線選択地絡保護継電装置では
適用不可能である、多回線でかつ各回線の線路インピー
ダンスが異なる電力系統においても、地絡事故発生時の
事故点を正確に判別することができる精度の高い回線選
択地絡保護継電装置20の適用が可能となり、経済面お
よび事故発生時の損害を著しく軽減することができる。
【0063】(第2の実施の形態:請求項2に対応)図
4は、本実施の形態による回線選択地絡保護継電装置を
適用するための電力系統の構成例を示す概要図であり、
図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0064】図4において、Z1L,Z2Lは1号,2
号の各回線1L,2Lの線路インピーダンス(aΩ)、
Z3L,Z4Lは3号,4号の各回線3L,4Lの線路
インピーダンス(bΩ)をそれぞれ示している。
【0065】また、本実施の形態の回線選択地絡保護継
電装置30のハードウェア構成は、前述した図2の場合
と同様に、入力変換器1と、入力部2と、処理部3と、
出力部4と、整定部5とから構成されており、処理部3
におけるソフトウエアによる演算処理の内容のみが異な
る。
【0066】すなわち、処理部3は、本例では、電力系
統における各回線1L,2L,3L,4Lの零相電流
に、整定部5により整定された電力系統における各回線
1L,2L,3L,4L毎の線路インピーダンス比を乗
じ、かつこの乗じた後の値を用いてその自回線の値か
ら、他の全回線の値の和を回線数で除した値を減じる演
算を行ない、さらにこの演算値を整定部5により整定さ
れた所定値と比較して、演算値が所定値以上であるか否
かにより事故回線を判別する事故判別手段を行なう。
【0067】次に、以上のように構成した本実施の形態
の回線選択地絡保護継電装置20の作用について、図5
に示すフロー図を用いて説明する。図5において、入力
変換器1で取り込まれたn回線(本例では4回線)分の
零相電流を、それぞれI1L,I2L,I3L,……,
InLとする。
【0068】また、他回線の線路インピーダンスを自回
線の線路インピーダンスで除した値である、各回線1
L,2L,3L,……,nL毎の線路インピーダンス比
K1L,K2L,……,KnLをあらかじめ計算し、整
定部5により整定入力しておく。
【0069】処理部3では、整定部5により整定された
所定値を基に、1号回線1Lについての演算を、 I1L−((K2L*I2L+K3L*I3L+……+
KnL*InL)/(n−1))>所定値 なる演算式にて行ない、m号回線(m<n)についての
演算を、 ImL−((K1L*I1L+K2L*I2L+……+
Km−IL*Im−1L+Km+1L*Im+1L+…
…+KnL*InL)/(n−1))>所定値 なる演算式にて行なう。
【0070】そして、この演算結果が所定値より大きく
なって、不等式が成立した場合には、動作判定(回線内
部の事故と判定)を行ない、不等式が成立しなかった場
合には、不動作判定(回線内部以外の事故と判定)を行
なう。
【0071】次に、上述の演算式による判定例を、図4
において平行4回線系統の1号回線1Lの中間点のF3
地点に事故があった場合で、1号回線1Lおよび2号回
線2Lの場合について、より具体的に説明する。
【0072】かかるケースでの演算式を、各回線毎に示
すと以下のようになる。 1号回線:I1L−((K2L*I2L+K3L*I3
L+K4L*I4L)/3)>所定値 2号回線:I2L−((K1L*I1L+K3L*I3
L+K4L*I4L)/3)>所定値 3号回線:I3L−((K1L*I1L+K2L*I2
L+K4L*I4L)/3)>所定値 4号回線:I4L−((K1L*I1L+K2L*I2
L+K3L*I3L)/3)>所定値 1号,2号の各回線1L,2Lの線路インピーダンスZ
1L,Z2LをaΩ、3号,4号の各回線3L,4Lの
線路インピーダンスZ3L,Z4LをbΩとした場合、
1号,2号,3号,4号の各回線1L,2L,3L,4
Lの補正係数を、以下のように整定する。
【0073】 1号回線補正係数K1L=a/a 2号回線補正係数K2L=a/a 3号回線補正係数K3L=b/a 4号回線補正係数K4L=b/a 1号回線1Lの中間点のF3地点に事故があった場合に
ついて説明すると、1号回線1Lの事故電流I1Lは、
電源電圧VをF3地点までの線路インピーダンスa/2
で除した値である2V/aとなる(大地のインピーダン
スは無視する)。
【0074】また、2号,3号,4号の各回線2L,3
L,4Lの事故電流I2L,I3L,I4Lは、回線に
より異なるが、各回線2L,3L,4Lのトータルの線
路インピーダンスは、 (a(2a+3b))/(2(2a+b)) となり、各回線2L,3L,4Lのトータルの事故電流
は、 (2V(2a+b))/(a(2a+3b)) となるため、回線毎の電流値を求めると、 I2L=2V/(a(2a+3b))、 I3L=I4L=2V/(2a+3b) となる。
【0075】ここで、上述の補正係数を使用して、1号
回線1Lの演算を行なうと、結果は (4V(a+b))/(a(2a+3b)) となり、所定値を演算結果以下としておくことにより、
正動作判定となる。
【0076】また、2号回線2Lの演算は、上述した演
算式と各回線の電流値を用いると、結果が−(4V(a
+b))/(3a(2a+3b))の負数となり、所定
値以下であるため、不動作判定となる。
【0077】一方、F4地点の外部事故の場合には、1
号,2号,3号,4号の各回線1L,2L,3L,4L
の零相電流IIL,I2L,I3L,I4Lが、 I1L=I2L=V/a I3L=I4L=V/b となり、各回線1L,2L,3L,4Lの零相電流が補
正係数によって補正されるため、演算結果は零となり、
差分は発生せずに正不動作判定となる。
【0078】また、3回線および4回線以上の系統で
も、 I1L−(((K2L*I2L)+(K3L*I3L)
+……+(KnL*InL))/(n−1))) なる演算を行なうことにより、同様に動作判定を行なう
ことができる。
【0079】なお、以上の例は、1号回線1L側の事故
を検出する場合の例について述べたが、他の回線側の事
故についても、同様の判定式を用いることにより、それ
ぞれの回線の事故を検出することが可能である。
【0080】上述したように、本実施の形態の回線選択
地絡保護継電装置20では、平行4回線の系統における
各回線毎の線路インピーダンス比を整定入力し、取り込
んだ各回線の零相電流に各回線毎の線路インピーダンス
比を乗じ、この乗じた後の値を用いて、自回線から他の
全回線の和を回線数(n=4)で除した値を減じる演算
を行ない、この演算結果を所定値と比較することによっ
て事故回線判別を行なうようにしたものである。
【0081】従って、前述した従来型の平行2回線でか
つ保護対象回線の線路インピーダンスが等しいことを前
提として製作されている回線選択地絡保護継電装置では
適用不可能である、多回線でかつ各回線の線路インピー
ダンスが異なる電力系統においても、地絡事故発生時の
事故点を正確に判別することができる精度の高い回線選
択地絡保護継電装置20の適用が可能となり、経済面お
よび事故発生時の損害を著しく軽減することができる。
【0082】(第3の実施の形態:請求項3に対応)図
6は、本実施の形態による回線選択地絡保護継電装置を
適用するための電力系統の構成例を示す概要図であり、
図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0083】図6において、Z1L,Z2Lは1号,2
号の各回線1L,2Lの線路インピーダンス(aΩ)、
Z3L,Z4Lは3号,4号の各回線3L,4Lの線路
インピーダンス(bΩ)をそれぞれ示している。
【0084】また、本実施の形態の回線選択地絡保護継
電装置40のハードウェア構成は、前述した図2の場合
と同様に、入力変換器1と、入力部2と、処理部3と、
出力部4と、整定部5とから構成されており、処理部3
におけるソフトウエアによる演算処理の内容のみが異な
る。
【0085】すなわち、処理部3は、本例では、電力系
統における平常時の自回線の零相電流値を平常時の他回
線の零相電流値で除して、各回線1L,2L,3L,4
L毎の線路インピーダンス比を求め、電力系統における
各回線1L,2L,3L,4Lの零相電流に、上記算出
された電力系統における各回線1L,2L,3L,4L
毎の線路インピーダンス比を乗じ、かつこの乗じた後の
値を用いてその自回線の値から、他の全回線の値の和を
回線数で除した値を減じる演算を行ない、さらにこの演
算値を整定部5により整定された所定値と比較して、演
算値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別す
る事故判別手段を行なう。
【0086】次に、以上のように構成した本実施の形態
の回線選択地絡保護継電装置20の作用について、図7
に示すフロー図を用いて説明する。図7において、入力
変換器1で取り込まれたn回線(本例では4回線)分の
零相電流を、それぞれI1L,I2L,I3L,……,
InLとする。
【0087】また、平常時の自回線の零相電流値に対し
て他回線の零相電流値を除することで、各回線1L,2
L,3L,……,nL毎の線路インピーダンス比nK1
L′,nK2L′,……,nKnL′を算出する。
【0088】処理部3では、整定部5により整定された
所定値を基に、1号回線1Lについての演算を、 I1L−((1K2L)*I2L+1K3L′*I3L
+……+1KnL′*InL)/(n−1))>所定値 なる演算式にて行ない、m号回線(m<n)についての
演算を、 ImL−((mK1L′*I1L+mK2L′*I2L
+……+mKm−IL′*Im−IL′+mKm+1
L′*Im+1L+……+mKnL′*InL)/(n
−1))>所定値 なる演算式にて行なう。
【0089】そして、この演算結果が所定値より大きく
なって、不等式が成立した場合には、動作判定(回線内
部の事故と判定)を行ない、不等式が成立しなかった場
合には、不動作判定(回線内部以外の事故と判定)を行
なう。
【0090】次に、上述の演算式による判定例を、図6
において平行4回線系統の1号回線の中間点のF5地点
に事故があった場合で、1号回線1Lおよび2号回線2
Lの場合について、より具体的に説明する。
【0091】かかるケースでの演算式を、各回線毎に示
すと以下のようになる。 1号回線:I1L−((1K2L′*I2L+1K3
L′*I3L+1K4L′*I4L)/3)>所定値 2号回線:I2L−((2K1L′*I1L+2K3
L′*I3L+2K4L′*I4L)/3)>所定値 3号回線:I3L−((3K1L′*I1L+3K2
L′*I2L+3K4L′*I4L)/3)>所定値 4号回線:I4L−((4K1L′*I1L+4K2
L′*I2L+4K3L′*I3L)/3)>所定値 1号,2号の各回線1L,2Lの線路インピーダンスZ
1L,Z2LをaΩ、3号,4号の各回線3L,4Lの
線路インピーダンスZ3L,Z4LをbΩとし、平常時
の1号回線1Lの潮流値I1LをcA、平常時の2号回
線2Lの潮流値I2LをdA、平常時の3号回線3Lの
潮流値I3LをeA、平常時の4号回線4Lの潮流値I
4LをfAとした時、自回線の潮流値を他回線の潮流値
で除することで、以下に示すような補正係数を自動設定
する。
【0092】(1号回線演算用) 1号回線補正係数IK1L′=c/c 2号回線補正係数1K2L′=c/d 3号回線補正係数1K3L′=c/e 4号回線補正係数1K4L′=c/f (2号回線演算用) 1号回線補正係数2K1L′=d/c 2号回線補正係数2K2L′=d/d 3号回線補正係数2K3L′=d/e 4号回線補正係数2K4L′=d/f ここで、平常時に各回線1L,2L,3L,4Lに流れ
る潮流値は、線路インピーダンスに比例するため、上述
の補正係数は、線路インピーダンス値a,bを用いて、
以下のように考えられる。
【0093】 IK1L′=c/c=a/a 1K2L′=c/d=a/a 1K3L′=c/e=b/a 1K4L′=c/f=b/a 2K1L′=d/c=a/a 2K2L′=d/d=a/a 2K3L′=d/e=b/a 2K4L′=d/f=b/a 1号回線1Lの中間点のF5地点に事故があった場合に
ついて説明すると、1号回線1Lの事故電流I1Lは、
電源電圧VをF5地点までの線路インピーダンスa/2
で除した値である2V/aとなる(大地のインピーダン
スは無視する)。
【0094】また、2号,3号,4号の各回線2L,3
L,4Lの事故電流I2L,I3L,I4Lは、回線に
より異なるが、各回線2L,3L,4Lのトータルの線
路インピーダンスは、 (a(2a+3b))/(2(2a+b))Z/3) となり、各回線2L,3L,4Lのトータルの事故電流
は、 (2V(2a+b))/(a(2a+3b)) となるため、回線毎の電流値を求めると、 I2L=2Vb/(a(2a+3b)) I3L=I4L=2V/(2a+3b) となる。
【0095】ここで、上述の補正係数を使用して、1号
回線1Lの演算を行なうと、結果は (4V(a+b))/(a(2a+3b)) となり、所定値を演算結果以下としておくことにより、
正動作判定となる。
【0096】また、2号回線2Lの演算は、上述した演
算式と各回線の電流値を用いると、結果が−(4V(a
+b))/(3a(2a+3b))の負数となり、所定
値以下であるため、不動作判定となる。
【0097】一方、F6地点の外部事故の場合には、1
号,2号,3号,4号の各回線1L,2L,3L,4L
の零相電流IIL,I2L,I3L,I4Lが、 I1L=I2L=V/a I3L=I4L=V/b となり、各回線1L,2L,3L,4Lの零相電流が補
正係数によって補正されるため、演算結果は零となり、
差分は発生せずに正不動作判定となる。
【0098】また、3回線および4回線以上の系統で
も、 I1L−(((nK2L′*I2L)+(nK3L′*
I3L)+……+(nKnL′*InL))/(n−
1))) の演算を行なうことにより、同様に動作判定を行なうこ
とができる。
【0099】なお、以上の例は、1号回線1L側の事故
を検出する場合の例について述べたが、他の回線側の事
故についても、同様の判定式を用いることにより、それ
ぞれの回線の事故を検出することが可能である。
【0100】上述したように、本実施の形態の回線選択
地絡保護継電装置20では、電力系統における平常時の
自回線の零相電流値を平常時の他回線の零相電流値で除
して、各回線毎の線路インピーダンス比を求め、取り込
んだ各回線の零相電流に各回線毎の線路インピーダンス
比を乗じ、この乗じた後の値を用いて、自回線から他の
全回線の和を回線数で除した値を減じる演算を行ない、
この演算結果を所定値と比較することによって事故回線
判別を行なうようにしたものである。
【0101】従って、前述した従来型の平行2回線でか
つ保護対象回線の線路インピーダンスが等しいことを前
提として製作されている回線選択地絡保護継電装置では
適用不可能である、多回線でかつ各回線の線路インピー
ダンスが異なる電力系統においても、地絡事故発生時の
事故点を正確に判別することができる精度の高い回線選
択地絡保護継電装置20の適用が可能となり、経済面お
よび事故発生時の損害を著しく軽減することができる。
【0102】(第4の実施の形態:請求項4に対応)図
8は、本実施の形態による回線選択地絡保護継電装置を
適用するための電力系統の構成例を示す概要図であり、
図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0103】図8において、Z1L,Z2Lは1号,2
号の各回線1L,2Lの線路インピーダンス(aΩ)、
Z3L,Z4Lは3号,4号の各回線3L,4Lの線路
インピーダンス(bΩ)をそれぞれ示している。
【0104】また、本実施の形態の回線選択地絡保護継
電装置40のハードウェア構成は、前述した図2の場合
と同様に、入力変換器1と、入力部2と、処理部3と、
出力部4と、整定部5とから構成されており、処理部3
におけるソフトウエアによる演算処理の内容のみが異な
る。
【0105】すなわち、処理部3は、本例では、整定部
5により整定された電力系統における各回線1L,2
L,3L,4L毎の線路インピーダンス値から、各回線
毎の線路インピーダンス比を求め、電力系統における各
回線1L,2L,3L,4Lの零相電流に、上記算出さ
れた電力系統における各回線1L,2L,3L,4L毎
の線路インピーダンス比を乗じ、かつこの乗じた後の値
を用いてその自回線の値から、他の全回線の値の和を回
線数で除した値を減じる演算を行ない、さらにこの演算
値を整定部5により整定された所定値と比較して、演算
値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別する
事故判別手段を行なう。
【0106】次に、以上のように構成した本実施の形態
の回線選択地絡保護継電装置20の作用について、図9
に示すフロー図を用いて説明する。図9において、入力
変換器1で取り込まれたn回線(本例では4回線)分の
零相電流を、それぞれI1L,I2L,I3L,……,
InLとする。
【0107】また、各回線1L,2L,3L,……,n
L毎の線路インピーダンス値を、整定部5により整定入
力しておく。さらに、整定部5により整定された他回線
の線路インピーダンス値を、1号回線1Lの値で除し
て、各回線1L,2L,3L,……,nL毎の線路イン
ピーダンス比K1L”,K2L”,……,KnL”を算
出する。
【0108】処理部3では、整定部5により整定された
所定値を基に、1号回線1Lについての演算を、 I1L−((K2L”*I2L+K3L”*I3L+…
…+KnL”*InL)/(n−1))>所定値 にて行ない、m号回線(m<n)についての演算を、 ImL−((K1L”*I1L+K2L”*I2L+…
…+Km−IL”*Im−IL”+Km+1L”*Im
+1L+……+KnL”*InL)/(n−1))>所
定値 なる演算式にて行なう。
【0109】そして、この演算結果が所定値よりも大き
くなって、不等式が成立した場合には、動作判定(回線
内部の事故と判定)を行ない、不等式が成立しなかった
場合には、不動作判定(回線内部以外の事故と判定)を
行なう。
【0110】次に、上述の演算式による判定例を、図8
において平行4回線系統の1号回線1Lの中間点のF5
地点に事故があった場合で、1号回線1Lおよび2号回
線2Lの場合について、より具体的に説明する。
【0111】かかるケースでの演算式を、各回線毎に示
すと以下のようになる。 1号回線:I1L−((K2L”*I2L+K3L”*
I3L+K4L”*I4L)/3)>所定値 2号回線:I2L−((K1L”*I1L+K3L”*
I3L+K4L″*I4L)/3)>所定値 3号回線:I3L−((K1L”*I1L+K2L”*
I2L+K4L”*I4L)/3)>所定値 4号回線:I4L−((K1L”*I1L+K2L”*
I2L+K3L”*I3L)/3)>所定値 1号,2号の各回線1L,2Lの線路インピーダンスZ
1L,Z2LをaΩ、3号,4号の各回線3L,4Lの
線路インピーダンスZ3L,Z4LをbΩとした場合、
自回線の線路インピーダンスで他回線の線路インピーダ
ンスを除することにより、1号,2号,3号,4号の各
回線1L,2L,3L,4Lの補正係数を、以下のよう
に計算する。
【0112】 1号回線補正係数K1L”=a/a 2号回線補正係数K2L”=a/a 3号回線補正係数K3L”=b/a 4号回線補正係数K4L”=b/a 1号回線1Lの中間点のF7地点に事故があった場合に
ついて説明すると、1号回線1Lの事故電流I1Lは、
電源電圧VをF7地点までの線路インピーダンスa/2
で除した値である2V/aとなる(大地のインピーダン
スは無視する)。
【0113】また、2号,3号,4号の各回線2L,3
L,4Lの事故電流I2L、I3L、I4Lは、回線に
より異なるが、各回線2L,3L,4Lのトータルの線
路インピーダンスは、 (a(2a+3b))/(2(2a+b))Z/3) となり、各回線2L,3L,4Lのトータルの事故電流
は、 (2V(2a+b))/(a(2a+3b)) となるため、回線毎の電流値を求めると、 I2L=2Vb/(a(2a+3b)) I3L=I4L=2V/(2a+3b) となる。
【0114】ここで、上述の補正係数を使用して、以下
のような演算を行なうと、結果は (4V(a+b))/(a(2a+3b)) となり、所定値を演算結果以下としておくことにより、
正動作判定となる。
【0115】また、2号回線2Lの演算は、上述した演
算式と各回線の電流値を用いると、結果が−(4V(a
+b))/(3a(2a+3b))の負数となり、所定
値以下であるため、不動作判定となる。
【0116】一方、F8地点の外部事故の場合には、1
号,2号,3号,4号の各回線1L,2L,3L,4L
の零相電流IIL,I2L,I3L,I4Lが、 I1L=I2L=V/a I3L=I4L=V/b となり、各回線1L,2L,3L,4Lの零相電流が補
正係数によって補正されるため、演算結果は零となり、
差分は発生せずに正不動作判定となる。
【0117】また、3回線および4回線以上の系統で
も、 I1L−(((K2L”*I2L)+(K3L″*I3
L)+……+(KnL”′*InL))/(n−
1))) なる演算を行なうことにより、同様に動作判定を行なう
ことができる。
【0118】なお、以上の例は、1号回線1L側の事故
を検出する場合の例について述べたが、他の回線側の事
故についても、同様の判定式を用いることにより、それ
ぞれの回線の事故を検出することが可能である。
【0119】上述したように、本実施の形態の回線選択
地絡保護継電装置20では、平行4回線の系統における
各回線毎の線路インピーダンス値を整定入力し、この整
定値より各回線毎の線路インピーダンス比を求め、取り
込んだ各回線の零相電流に各回線毎の線路インピーダン
スの比を乗じ、この乗じた後の値を用いて、自回線から
他の全回線の和を回線数(n=4)で除した値を減じる
演算を行ない、この演算結果を所定値と比較することに
よって事故回線判別を行なうようにしたものである。
【0120】従って、前述した従来型の平行2回線でか
つ保護対象回線の線路インピーダンスが等しいことを前
提として製作されている回線選択地絡保護継電装置では
適用不可能である、多回線でかつ各回線の線路インピー
ダンスが異なる電力系統においても、地絡事故発生時の
事故点を正確に判別することができる精度の高い回線選
択地絡保護継電装置20の適用が可能となり、経済面お
よび事故発生時の損害を著しく軽減することができる。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の回線選択
地絡保護継電装置によれば、平行3回線以上の系統から
それぞれ零相電流を取り込み、この取り込んだ自回線の
零相電流値から、他の全回線の零相電流値の和を回線数
で除した値を減じる演算を行ない、演算値を所定値と比
較して事故回線を判別する方式を種々用いるようにして
いるので、従来型の平行2回線かつ保護対象回線の線路
インピーダンスが等しいことを前提として製作されてい
る装置では適用不可能であった、平行3回線以上でかつ
各回線の線路インピーダンスが異なる電力系統において
も、地絡事故発生時の事故点を正確に判別することがで
き、経済面および事故発生時の損害を著しく軽減するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による回線選択地絡
保護継電装置を適用するための電力系統の構成例を示す
概要図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による回線選択地絡
保護継電装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
【図3】同第1の実施の形態の回線選択地絡保護継電装
置における作用を説明するためのフロー図。
【図4】本発明の第2の実施の形態による回線選択地絡
保護継電装置を適用するための電力系統の構成例を示す
概要図。
【図5】同第2の実施の形態の回線選択地絡保護継電装
置における作用を説明するためのフロー図。
【図6】本発明の第3の実施の形態による回線選択地絡
保護継電装置を適用するための電力系統の構成例を示す
概要図。
【図7】同第3の実施の形態の回線選択地絡保護継電装
置における作用を説明するためのフロー図。
【図8】本発明の第4の実施の形態による回線選択地絡
保護継電装置を適用するための電力系統の構成例を示す
概要図。
【図9】同第4の実施の形態の回線選択地絡保護継電装
置における作用を説明するためのフロー図。
【図10】従来の回線選択地絡保護継電装置の保護方式
の一例を説明するための概要図。
【図11】従来の回線選択地絡保護継電装置の保護方式
の一例を説明するための概要図。
【符号の説明】
1…入力変換器、 2…入力部、 3…処理部、 4…出力部、 5…整定部、 20,30,40,50…回線選択地絡保護継電装置、 B1…電源側母線、 B2…負荷側母線、 1L,2L,3L,4L…1号,2号,3号,4号の各
回線、 CT1,CT2,CT3,CT4…変流器。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平行3回線以上を保護対象とする電力系
    統における事故回線を判別して、当該事故回線の選択し
    ゃ断を行なう回線選択地絡保護継電装置において、 前記電力系統における各回線の零相電流を取り込む零相
    電流取込手段と、 前記零相電流取込手段により取り込まれた各回線の零相
    電流に対して、自回線の零相電流値から、他の全回線の
    零相電流値の和を回線数で除した値を減じる演算を行な
    う演算手段と、 前記演算手段による演算値を所定値と比較して、当該演
    算値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別す
    る事故判別手段と、 を備えて成ることを特徴とする回線選択地絡保護継電装
    置。
  2. 【請求項2】 平行3回線以上を保護対象とする電力系
    統における事故回線を判別して、当該事故回線の選択し
    ゃ断を行なう回線選択地絡保護継電装置において、 前記電力系統における各回線の零相電流を取り込む零相
    電流取込手段と、 前記電力系統における各回線毎の線路インピーダンス比
    を整定入力する線路インピーダンス比整定入力手段と、 前記零相電流取込手段により取り込まれた各回線の零相
    電流に、前記線路インピーダンス比整定入力手段により
    整定入力された各回線毎の線路インピーダンス比を乗
    じ、かつ当該乗じた後の値を用いてその自回線の値か
    ら、他の全回線の値の和を回線数で除した値を減じる演
    算を行なう演算手段と、 前記演算手段による演算値を所定値と比較して、当該演
    算値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別す
    る事故判別手段と、 を備えて成ることを特徴とする回線選択地絡保護継電装
    置。
  3. 【請求項3】 平行3回線以上を保護対象とする電力系
    統における事故回線を判別して、当該事故回線の選択し
    ゃ断を行なう回線選択地絡保護継電装置において、 前記電力系統における各回線の零相電流を取り込む零相
    電流取込手段と、 前記電力系統における平常時の自回線の零相電流値を平
    常時の他回線の零相電流値で除して、前記各回線毎の線
    路インピーダンス比を求める線路インピーダンス比算出
    手段と、 前記零相電流取込手段により取り込まれた各回線の零相
    電流に、前記線路インピーダンス比算出手段により算出
    された各回線毎の線路インピーダンス比を乗じ、かつ当
    該乗じた後の値を用いてその自回線の値から、他の全回
    線の値の和を回線数で除した値を減じる演算を行なう演
    算手段と、 前記演算手段による演算値を所定値と比較して、当該演
    算値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別す
    る事故判別手段と、 を備えて成ることを特徴とする回線選択地絡保護継電装
    置。
  4. 【請求項4】 平行3回線以上を保護対象とする電力系
    統における事故回線を判別して、当該事故回線の選択し
    ゃ断を行なう回線選択地絡保護継電装置において、 前記電力系統における各回線の零相電流を取り込む零相
    電流取込手段と、 前記電力系統における各回線毎の線路インピーダンス値
    を整定入力する線路インピーダンス値整定入力手段と、 前記線路インピーダンス値整定入力手段により整定入力
    された各回線毎の線路インピーダンス値から、前記各回
    線毎の線路インピーダンス比を求める線路インピーダン
    ス比算出手段と、 前記零相電流取込手段により取り込まれた各回線の零相
    電流に、前記線路インピーダンス比算出手段により算出
    された各回線毎の線路インピーダンス比を乗じ、かつ当
    該乗じた後の値を用いてその自回線の値から、他の全回
    線の値の和を回線数で除した値を減じる演算を行なう演
    算手段と、 前記演算手段による演算値を所定値と比較して、当該演
    算値が所定値以上であるか否かにより事故回線を判別す
    る事故判別手段と、 を備えて成ることを特徴とする回線選択地絡保護継電装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006333647A (ja) * 2005-05-27 2006-12-07 Denso Corp 車載用高電圧モータ装置用コモンモードノイズキャンセル回路装置

Cited By (2)

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JP4663404B2 (ja) * 2005-05-27 2011-04-06 株式会社デンソー 車載用高電圧モータ装置用コモンモードノイズキャンセル回路装置

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