JPH1140334A - 誘導加熱用コイルの断熱板 - Google Patents

誘導加熱用コイルの断熱板

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JPH1140334A
JPH1140334A JP20716697A JP20716697A JPH1140334A JP H1140334 A JPH1140334 A JP H1140334A JP 20716697 A JP20716697 A JP 20716697A JP 20716697 A JP20716697 A JP 20716697A JP H1140334 A JPH1140334 A JP H1140334A
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heat insulating
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heated
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善久 森本
Tetsuo Yagawa
哲雄 矢川
Hirotoshi Domoto
博俊 道本
Kenji Imae
憲司 井前
Sadao Kawanishi
貞夫 川西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デスケーリング水を浴びたり、スケールの付
着による断熱板の断熱性能の劣化を防止すると共に、加
熱効率を向上する。 【解決手段】 搬送される金属製被加熱材を誘導加熱す
る誘導加熱用コイルを、被加熱材の輻射熱から保護する
非水冷式の断熱板であって、被加熱材に対面する耐熱性
および防水性に優れたチタン酸アルミニウム等の耐熱材
料の小片材の集合体で構成された耐熱層1と、加熱用コ
イルに接触する断熱性に優れた断熱材料の断熱層2とを
積層して多層構造としたことによって、全体の厚みを従
来の1/2以下に薄くできると共に、加熱用コイルと断
熱板との間隙を小さくでき、加熱効率を向上できる。ま
た、急熱、急冷の応力が耐熱層の微細な亀裂に吸収され
て破損しないため、被加熱材からの輻射熱が耐熱層で遮
蔽されて断熱層2の熱的な劣化を抑制でき、コイルの熱
劣化を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製被加熱材を
誘導加熱する誘導加熱用コイルを、被加熱材からの輻射
熱および冷却水・蒸気ならびに被加熱材の表面に生成す
るスケールと呼ばれる酸化物等から遮蔽するための断熱
板に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料を誘導加熱する誘導加熱装置
は、誘導加熱用コイルに交番電流を印加し、発生する交
番磁束によって金属材料に渦電流を生じさせ、ジュール
熱により金属材料を加熱するものである。したがって、
誘導加熱された金属材料は、1000℃近くの高温に昇
温される。
【0003】一方、誘導加熱用コイルには、数百〜数千
ボルトの高電圧が印加されるため、通常、コイル表面は
絶縁材料で被覆され、必要に応じて冷却水あるいは冷風
等によって冷却されている。誘導加熱用コイルの絶縁被
覆には、一般にエポキシ樹脂等のF種絶縁材が用いられ
ているため、150℃程度が耐え得る上限温度であり、
被加熱材からの高温の輻射熱を直接受けることには、耐
えることができない。
【0004】誘導加熱用コイルの断熱板としては、図8
に示すとおり、同一平面または実質的に同一の平面上に
配置され、かつ冷却流体が循環できるようになっている
非磁性金属製の1本または複数のチューブ81で構成さ
れた熱交換器を有し、上記チューブ81の中の任意の2
本のチューブまたはそのチューブ要素の間が1箇所のみ
でしか電気的に結合されていない電磁誘導装置の電極保
護装置(特開平1−313882号公報)、図9に示す
とおり、搬送される金属製薄板状の被加熱材91を内側
に内張り材92を備えた加熱コイル93内を通過せしめ
て加熱する誘導加熱装置において、前記内張り材92は
加熱コイル93に固定された電気絶縁性が良好な第1部
材94と、この第1部材94の内側に設けられ、耐熱性
と耐摩耗性を有する第2部材95との少なくとも2種類
で構成すると共に、前記第2部材95は小片材95aの
集合体にて構成した誘導加熱用コイル装置(特開平2−
155193号公報)、図10に示すとおり、誘導加熱
用コイル101を覆うようにセメントでモールドしたカ
バー102の上部に耐高温用織物103と耐高温絶縁性
部材104とを重ねて取付けた誘導加熱用コイルの断熱
材において、耐高温用織物103の上部、または耐高温
用織物103と耐高温絶縁性部材104との間および耐
高温絶縁性部材104と上記カバー102との間に、含
有固形物質としてアルミナとシリコンを90%以上含有
した高耐火塗料105を1.0〜3.0mmまたは0.
1〜1.0mm塗布した誘導加熱用発振コイルの断熱材
(特開平5−335068号公報)、図11に示すとお
り、環状鉄芯の空隙を挟んで対向する磁極にインダクタ
を取付け、前記インダクタに交流電流を通電して前記環
状鉄芯を励磁すると共に、板状の被加熱材を搬送して前
記空隙を通過する前記被加熱材の側辺部を電磁誘導によ
り加熱する電磁誘導加熱装置の前記磁極と前記インダク
タを前記被加熱材から熱的、化学的、機械的に保護する
断熱部材において、炭化珪素繊維の織布111を積層す
ると共に、前記織布111の積層方向にも織布112を
形成した立体織物にポリカルボシラン変成溶液と炭化珪
素粉とを配合したスラリを含浸し、加熱、加圧して所定
の形状に成形した断熱部材(特開平8−25565号公
報)が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平1−313
882号公報に開示の電磁誘導装置の電極保護装置は、
交番電流を通電することにより発生する交番磁界の電磁
力による電磁振動や、被加熱材が誘導加熱装置本体に衝
突した時等の衝撃力、または周辺の機械装置から間接的
に受ける振動によって、銅管等に機械的なストレスを受
ける。また、交番磁束の影響によって銅管に生じる逆起
電力により該銅管と他の金属材料との間で電気的スパー
クが発生し、電気腐食が発生する。さらに、外部から水
蒸気が侵入して銅管が腐食する。特開平1−31388
2号公報に開示の電極保護装置は、これらの要因が重な
りあって、銅管の亀裂やピンホールの発生、あるいは銅
管に接続したホースに亀裂等が発生し、水漏れ等の事故
に至るという欠点を有している。
【0006】また、特開平2−155193号公報に開
示の誘導加熱用コイル装置の断熱部材は、断熱性を有す
る板材は1層のみであり、耐摩耗性に優れた材料が使用
されている。耐摩耗性を有する断熱材としては、セラミ
ックスの固形物があるが、セラミッククロス等の織布と
比較して熱伝導率が2〜10倍大きいため、断熱性を確
保するには断熱板の厚さを大きくする必要があり、発振
コイルと被加熱材の間の間隙も大きくなり、交流磁界の
一部で被加熱材を貫通しない漏れ磁束が増加し、力率の
悪化、加熱効率の低下を生じる。また、特開平2−15
5193号公報に開示の断熱部材は、断熱性と耐摩耗性
に優れた第2部材の熱応力を軽減するため、第2部材を
小片材の集合体で構成し、第2部材の厚み方向に貫通す
るボルトで固定している。しかし、誘導加熱装置では、
電磁振動が大きいため、通常は破損し難い金属製のボル
トが使用されるが、第2部材の厚み方向に貫通したボル
トで固定すると、ボルトを通して被加熱材からの輻射熱
が第2部材の裏面に伝導し、特に小片材を小さくして数
を増加させるほど、固定のためのボルト数も増加し、第
2部材全体の断熱性が低下するため、小片材の大きさが
制限され、小片材の大きさは150mm×150mm程
度以下に小さくできず、熱応力によりクラックの発生が
避けられない。また、この断熱部材は、小片材の面積が
大きいため、被加熱材との接触等で小片材が破損する
と、破損部分の面積も大きくなり、断熱性が極端に低下
するため、破損後直ちに取替え補修する必要がある。
【0007】さらに、特開平5−335068号公報に
開示の断熱材は、耐高温用織物へのスケールの侵入を防
止するために高耐火塗料を塗布しているが、強度がない
ため耐久性に問題があり、剥がれ落ち易く、効果が長続
きしないという欠点を有している。
【0008】さらにまた、特開平8−25565号公報
に開示の断熱部材は、被加熱材からの高温の輻射熱に耐
えられるが、断熱部材が被加熱材のスケール除去のため
のデスケーリング水を浴びたり、スケールの付着によっ
て断熱材に表面から剥離等の劣化が生じ、断熱性が低下
して断熱部材裏面の温度が上昇し、発振コイルの絶縁物
に損傷を与えることがあるため、頻繁に断熱材を取替え
るか、断熱材の厚みを大きくする必要がある。断熱材の
厚みを大きくした場合は、発振コイルと被加熱材の間の
間隙も大きくなり、交流磁界の一部で被加熱材を貫通し
ない漏れ磁束が増加し、力率の悪化、加熱効率の低下を
生じる。
【0009】本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解
消し、被加熱材のスケール除去のためのデスケーリング
水を浴びたり、スケールの付着によって断熱性能の劣化
を生じることなく、加熱用コイルと被加熱材との間の間
隙を小さくすることが可能な誘導加熱用コイルの断熱板
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の誘導
加熱用コイルの断熱板は、搬送される被加熱材を誘導加
熱する誘導加熱用コイルを、被加熱材の輻射熱から保護
する非水冷式の断熱板であって、被加熱材に対面する耐
熱性および防水性に優れた耐熱材料の耐熱層と、発振コ
イルに接触する断熱性に優れた断熱材料の断熱層とを積
層して多層構造としている。このように、断熱板を被加
熱材に対面する耐熱性および防水性に優れた耐熱材料の
耐熱層と、発振コイルに接触する断熱性に優れた断熱材
料の断熱層とを積層して多層構造としたことによって、
被加熱材のスケール除去のためのデスケーリング水を浴
びたり、スケールが付着するのは耐熱性および防水性に
優れた耐熱材料の耐熱層であるため、加熱用コイルに接
触する断熱材料の断熱層のデスケーリング水やスケール
の付着による劣化が防止されて取替え周期を延長できる
と共に、断熱板の厚みを従来の1/2以下に薄くでき、
加熱用コイルと被加熱材との間の間隙を小さくでき、加
熱効率を向上させることができる。
【0011】本発明の請求項2の誘導加熱用コイルの断
熱板は、耐熱性および防水性に優れた耐熱材料として、
耐熱温度が720℃以上で、かつ防水性を有する材料を
用いることとしている。このように、耐熱材料として耐
熱温度が720℃以上で、かつ防水性を有する材料を用
いることによって、電磁誘導加熱装置を鋼材の熱間圧延
で使用し、被加熱材を鋼のA1変態点である720℃以
上で圧延しても、被加熱材からの輻射熱が耐熱層で遮蔽
されて断熱層の熱的な劣化を抑制することができ、取替
え周期を延長することができる。
【0012】本発明の請求項3の誘導加熱用コイルの断
熱板は、耐熱性および防水性に優れた耐熱材料として、
チタン酸アルミニウムを用いることとしている。このよ
うに、耐熱材料にチタン酸アルミニウムを用いることに
よって、チタン酸アルミニウムの熱膨張率は0.08%
(1000℃)であり、一般的な耐熱材であるアルミナ
セラミックの熱膨張率0.81%(1000℃)と比較
するとかなり小さく、結晶構造が微小なクラックを内蔵
しているため、急熱、急冷の応力はこの微細な亀裂に吸
収され、他のセラミックのように破損しない。これによ
り被加熱材からの輻射熱は、耐熱層で遮蔽されて断熱層
の熱的な劣化を抑制でき、取替え周期を延長することが
できる。
【0013】本発明の請求項4の誘導加熱用コイルの断
熱板は、被加熱材に対面する耐熱層を小片材の集合体で
構成することとしている。このように、被加熱材に対面
する耐熱層を小片材の集合体で構成することによって、
熱膨張が吸収されて熱応力によるクラックの発生を抑制
することができる。
【0014】本発明の請求項5の誘導加熱用コイルの断
熱板は、耐熱層を構成する各小片材に断熱板の表面と平
行に貫通孔を穿孔し、貫通孔に心棒を通して固定するこ
ととしている。このように、耐熱層を構成する各小片材
に穿孔した断熱板の表面と平行な貫通孔に心棒を通して
固定したことによって、従来の小片材1個当たりボルト
が1本以上必要であったが、本発明では心棒1本に対し
てボルトは最低1組あればよく、心棒1本で多数の小片
材を固定することができる。したがって、本発明では、
1個当たりの小片材の面積を小さくして小片材の分割数
を増やしても、小片材の数に対するボルトの数が少なく
なり、ボルトを介して断熱板裏面に伝わる熱量を抑制す
ることができる。また、本発明では、1個当たりの小片
材の面積を小さくできるので、被加熱材と断熱板との接
触等により小片材が破損しても、破損部分の面積が小さ
く、断熱性が大きく低下せず、小片材の交換補修をしな
くても、耐熱コンクリートの塗布等の簡易な補修で対応
することができる。
【0015】本発明の請求項6の誘導加熱用コイルの断
熱板は、搬送される被加熱材を誘導加熱する誘導加熱用
コイルを、被加熱材の輻射熱から保護する非水冷式の断
熱板において、断熱板を複数の小片材に分割し、該分割
した各小片材に断熱板の表面と平行に貫通孔を穿孔し、
貫通孔に心棒を通して固定することとしている。このよ
うに、各小片材に断熱板の表面と平行に穿孔した貫通孔
に心棒を通して固定することによって、心棒1本に対し
てボルトは最低1組あればよく、心棒1本で多数の小片
材を固定することができる。したがって、本発明では、
1個当たりの小片材の面積を小さくして小片材の分割数
を増やしても、小片材の数に対するボルトの数が少なく
なり、ボルトを介して断熱板裏面に伝わる熱量を抑制す
ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】誘導加熱装置による被加熱材の加
熱においては、図7に示すとおり、加熱用コイルと被加
熱材とのエアギャップ(間隙)が大きくなると、加熱効
率が低下するので、加熱用コイルと被加熱材との距離を
できるだけ短くするのが得策である。本発明の誘導加熱
用コイルの断熱板は、1000℃の被加熱材の輻射熱に
対しても断熱板裏面温度が150℃以下となるように、
十分な断熱性を有して加熱用コイルを保護でき、かつ、
断熱板の厚さを可能な限り薄く構成する。
【0017】本発明の請求項1〜3の誘導加熱用コイル
の断熱板は、図1に示すとおり、図示しない被加熱材に
対面する耐熱性および防水性に優れた耐熱材料の耐熱層
1と、図示しない加熱用コイルに接触する断熱性に優れ
た断熱材料の断熱層2からなり、異なる特性を有する耐
熱層1と断熱層2とを積層した多層構造からなる。ま
た、本発明の請求項4の誘導加熱用コイルの断熱板は、
図2に示すとおり、耐熱層1を多数の小片材11で構成
してなる。なお、加熱用コイルに接触する断熱層2と図
示しない加熱用コイルとの間に絶縁層12を積層するこ
ともできる。
【0018】耐熱層1を多数の小片材11で構成した場
合は、図3に示すとおり、例えば、縦10mm、横10
mm、長さ30mmの各小片材11に断熱板の表面と平
行な貫通孔13を穿孔し、貫通孔13に耐腐食性と耐熱
性に優れたタングステン、Al−Cr合金等の心棒14
を通し、多数の小片材11を固定ピン15によって断熱
層2に固定する。これによって、従来の特開平2−15
5193号公報に開示の小片材の面積(150mm×1
50mm)に比較し、小片材11の面積を1/75に小
さくでき、熱応力によるクラックの発生が抑制され、か
つ小片材11破損時にも簡易な補修によって断熱性を確
保することができる。
【0019】本発明で耐熱層1に用いる耐熱性および防
水性に優れた耐熱材料しては、耐熱温度が少なくとも7
20℃以上で、かつ防水性を有する材料であって、具体
的には、チタン酸アルミニウム、高アルミナ質、粘土
質、ジルコニア、ムライト、コージェライト等を挙げる
ことができる。なお、耐熱温度が720℃未満の材料で
は、誘導加熱装置を鋼材の熱間圧延で使用する場合、被
加熱材を鋼のA1変態点以上で圧延するため、被加熱材
の輻射熱によって耐熱層が劣化し、断熱層の劣化を誘起
してコイルの絶縁物に損傷を与えることとなる。
【0020】本発明で耐熱層1として特に好ましい材質
のチタン酸アルミニウムは、熱膨張率は0.08%(1
000℃)であり、一般的な断熱材であるアルミナセラ
ミックの熱膨張率0.81%(1000℃)と比較する
とかなり小さいため、熱応力が発生し難い。熱間圧延で
は、約1000℃の被加熱材が1コイル当たり1〜2分
間程度の所定時間で順次圧延され、圧延間に誘導加熱装
置はデスケーリング水等を浴び冷却される。そこで、耐
熱性を評価するため、ヒートサイクルテストを実施し
た。ヒートサイクルテストは、1000℃に加熱された
炉内で試験用小片材を5分間加熱した後、約20℃の水
中で急冷することを繰り返した。その結果、アルミナセ
ラミックの試験用小片材は、3回で亀裂が発生したのに
対し、チタン酸アルミニウムの試験用小片材は、100
回繰り返しても亀裂が発生せず、強度的に劣化しなかっ
た。
【0021】本発明の誘導加熱用コイルの断熱板の断熱
層に用いる断熱性に優れた材料としては、セラミックク
ロスとセラミックボードを積層したもの、アルミナクロ
ス、シリカクロス、セラミッククロス単体等を挙げるこ
とができる。
【0022】本発明において被加熱材に対面する耐熱層
の各小片材の固定に用いる心棒としては、耐腐食性と耐
熱性に優れたタングステン、モリブデン、白金、Cr−
Al合金、Ni−Cr合金、Fe−Cr合金、FeCr
Al合金等を用いることができる。
【0023】
【実施例】図4〜図5に示すとおり、断熱板41は、図
示しない誘導加熱用コイルと被加熱材との距離をできる
だけ短くして、加熱効率を向上させるべく、断熱板41
の厚みを25mm以下とし、かつ、約1000℃の被加
熱材の輻射熱に対しても断熱板裏面温度が150℃以下
となるよう、断熱層42としてセラミッククロスとセラ
ミックボードを積層した厚さ10mmのものを用いた。
また、被加熱材と対面する耐熱層43としては、縦10
mm、横10mm、長さ30mmのチタン酸アルミニウ
ムの小片材44の長手方向に断熱板の表面と平行な貫通
孔45を穿孔し、耐腐食性、耐熱性に優れたCr−Al
合金の心棒を通して断熱層42の表面全体に固定した。
また、断熱層42と耐熱層43を誘導加熱装置本体に支
えるため、断熱層42の加熱用コイル面側に厚さ5mm
のエポキシ樹脂板46を配置し、断熱層42と耐熱層4
3を保持する構造とした。
【0024】本断熱板41は、図6に示すとおり、断熱
性能を確認のため、加熱コイル61により被加熱材と同
じ1000℃に保持した電熱炉62の蓋に本発明の厚さ
25mmの断熱板41を使用し、断熱板41のエポキシ
樹脂板46裏に熱電対63を設置して断熱板41の裏面
温度を測定したところ、150℃以下であった。この結
果から、本発明の断熱板41は、断熱板裏面に設置され
ている誘導加熱装置の加熱用コイルを、被加熱材の輻射
熱から保護できることが確認できた。
【0025】また、本発明の断熱板は、900℃以上の
被加熱材を誘導加熱する実機装置に適用し、断熱板の裏
面温度を測定したところ、150℃以下であった。
【0026】
【発明の効果】本発明の請求項1の誘導加熱用コイルの
断熱板は、被加熱材に対面する耐熱性および防水性に優
れた耐熱材料の耐熱層と、加熱用コイルに接触する断熱
性に優れた断熱材料の断熱層を積層した多層構造とした
ことによって、全体の厚みを25mm以下まで薄くで
き、加熱効率を向上できると共に、1000℃の被加熱
材からの輻射熱の影響によるコイルの熱劣化を防止でき
る。また、デスケーリング水やスケールによる断熱板の
劣化を防止することができる。
【0027】本発明の請求項2の誘導加熱用コイルの断
熱板は、耐熱材料として耐熱温度が720℃以上で撥水
性を有する材料を用いることによって、電磁誘導加熱装
置を鋼材の熱間圧延で使用し、被加熱材を鋼のA1変態
点である720℃以上で圧延しても、被加熱材からの輻
射熱が耐熱層で遮蔽されて断熱層の熱的な劣化を抑制す
ることができ、取替え周期を延長することができる。
【0028】本発明の請求項3の誘導加熱用コイルの断
熱板は、耐熱材料としてチタン酸アルミニウムを用いる
ことによって、チタン酸アルミニウムの熱膨張率は0.
08%(1000℃)であり、一般的な断熱材であるア
ルミナセラミックの熱膨張率0.81%(1000℃)
と比較するとかなり小さいため、熱応力が発生し難く、
加熱、冷却が繰り返されても、亀裂の発生や強度的な劣
化がなく、被加熱材からの輻射熱が耐熱層で遮蔽されて
断熱層の熱的な劣化を抑制でき、取替え周期を延長する
ことができる。
【0029】本発明の請求項4の誘導加熱用コイルの断
熱板は、被加熱材に対面する耐熱層を小片材の集合体で
構成することによって、熱膨張が吸収されて熱応力によ
るクラックの発生を抑制することができる。
【0030】本発明の請求項5の誘導加熱用コイルの断
熱板は、耐熱層の小片材に穿孔した断熱板の表面と平行
な貫通孔に心棒を通して固定したことによって、従来の
小片材1個当たりボルトが1本以上必要であったが、本
発明では心棒1本に対してボルトは最低1本あればよ
く、心棒1本で多数の小片材を固定することができる。
したがって、本発明では、1個当たりの小片材の面積を
小さくして小片材の分割数を増やしても、小片材の数に
対するボルトの数が少なくなり、ボルトを介して断熱板
裏面に伝わる熱量を抑制することができる。また、本発
明では、1個当たりの小片材の面積を小さくできるの
で、被加熱材と断熱板との接触等により小片材が破損し
ても、破損部分の面積が小さく、断熱性が大きく低下せ
ず、小片材の交換補修をしなくても、耐熱コンクリート
の塗布等の簡易な補修で対応することができる。
【0031】本発明の請求項6の誘導加熱用コイルの断
熱板は、断熱板を複数の小片材に分割し、各小片材に断
熱板の表面と平行に穿孔した貫通孔に心棒を通して固定
することによって、心棒1本に対してボルトは最低1本
あればよく、心棒1本で多数の小片材を固定することが
できる。したがって、本発明では、1個当たりの小片材
の面積を小さくして小片材の分割数を増やしても、小片
材の数に対するボルトの数が少なくなり、ボルトを介し
て断熱板裏面に伝わる熱量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1の断熱板の斜視図である。
【図2】本発明の請求項4の断熱板の斜視図である。
【図3】本発明の請求項4の断熱板の耐熱層を構成する
各小片材の固定方法の説明図で、(a)図は小片材の貫
通孔に心棒を通して状態の斜視図、(b)図は各小片材
を断熱層に固定した状態の側面図である。
【図4】実施例における本発明の請求項4の断熱板の概
略側面図である。
【図5】実施例における本発明の請求項4の断熱板の耐
熱層を構成する小片材の斜視図である。
【図6】実施例における本発明の請求項4の断熱板の断
熱性能の確認試験の説明図である。
【図7】断熱板厚みを含むエアギャップと加熱効率との
関係を示すグラフである。
【図8】特開平1−313882号公報に開示の保護装
置を備えた誘導電極の概略図である。
【図9】特開平2−155193号公報に開示の誘導加
熱装置を示すもので、(a)図は一部を断面で示す正面
図、(b)図は(a)図のA−A矢視図、(c)図は
(b)図のB−B矢視図である。
【図10】特開平5−335068号公報に開示の断熱
材を模式的に示す斜視図である。
【図11】特開平8−25565号公報に開示の断熱部
材の斜視図である。
【符号の説明】
1、43 耐熱層 2、42 断熱層 11、44、95a 小片材 12 絶縁層 13、45 貫通孔 14 心棒 15 固定ピン 41 断熱板 46 エポキシ樹脂板 61、93、101 加熱コイル 62 電熱炉 63 熱電対 81 チューブ 91 被加熱材 92 内張り材 94 第1部材 95 第2部材 102 カバー 103 耐高温用織物 104 耐高温絶縁性部材 105 高耐火塗料 111、112 織布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢川 哲雄 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内 (72)発明者 道本 博俊 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内 (72)発明者 井前 憲司 大阪府高槻市富田町1丁目7番12号 井前 工業株式会社内 (72)発明者 川西 貞夫 大阪府高槻市富田町1丁目7番12号 井前 工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 搬送される金属製被加熱材を誘導加熱す
    る誘導加熱用コイルを、被加熱材の輻射熱から保護する
    非水冷式の断熱板であって、被加熱材に対面する耐熱性
    および防水性に優れた耐熱材料の耐熱層と、加熱用コイ
    ルに接触する断熱性に優れた断熱材料の断熱層とを積層
    して多層構造としたことを特徴とする誘導加熱用コイル
    の断熱板。
  2. 【請求項2】 耐熱性および防水性に優れた耐熱材料と
    して、耐熱温度が720℃以上で、かつ防水性を有する
    材料を用いることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱
    用コイルの断熱板。
  3. 【請求項3】 耐熱性および防水性に優れた耐熱材料と
    して、チタン酸アルミニウムを用いることを特徴とする
    請求項1、2記載の誘導加熱用コイルの断熱板。
  4. 【請求項4】 被加熱材に対面する耐熱性および防水性
    に優れた耐熱材料の耐熱層を、小片材の集合体で構成し
    たことを特徴とする請求項1〜3記載の誘導加熱用コイ
    ルの断熱板。
  5. 【請求項5】 耐熱層を構成する各小片材に断熱板の表
    面と平行に貫通孔を穿孔し、貫通孔に心棒を通して固定
    することを特徴とする請求項4記載の誘導加熱用コイル
    の断熱板。
  6. 【請求項6】 搬送される金属製被加熱材を誘導加熱す
    る誘導加熱用コイルを、被加熱材の輻射熱から保護する
    非水冷式の断熱板において、断熱板を複数の小片材に分
    割し、該分割した各小片材に断熱板の表面と平行に貫通
    孔を穿孔し、貫通孔に心棒を通して固定することを特徴
    とする誘導加熱用コイルの断熱板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009130772A1 (ja) * 2008-04-24 2009-10-29 東芝三菱電機産業システム株式会社 誘導加熱装置の劣化診断装置
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