JPH113777A - 高周波加熱装置 - Google Patents

高周波加熱装置

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JPH113777A
JPH113777A JP15334597A JP15334597A JPH113777A JP H113777 A JPH113777 A JP H113777A JP 15334597 A JP15334597 A JP 15334597A JP 15334597 A JP15334597 A JP 15334597A JP H113777 A JPH113777 A JP H113777A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は高周波発熱体を有する載置部を備え
た高周波加熱装置に関するものであり、載置部の温度を
高周波的視点から制御して被加熱物を効果的に加熱する
ものである。 【解決手段】 載置部10はその底面に高周波発熱体1
4を配し、載置部10の底面を実質的な終端面とする空
胴共振室20、空胴共振室20に供給する高周波を発生
する高周波発生手段21、空気を送風する送風手段3
1、載置部10の温度を検出する温度検出手段30、制
御手段34とを備え、高周波発生手段21の高周波負荷
を高周波発熱体14に限定し、高周波発生手段21およ
び送風手段31を制御して載置部10の温度を最適に制
御して被加熱物11を効果的に加熱する装置を提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波を吸収して
発熱する高周波発熱体を備えた高周波加熱装置に関し、
特に高周波発熱体の発生熱を利用して被加熱物を加熱す
る装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子レンジに代表される高周波加熱装置
は、被加熱物である食材に対して高周波エネルギを利用
して食材自身を自己発熱させる機能を有する。いわゆる
電波を利用することから、熱源から離れた位置に設けた
食材を加熱することができる。
【0003】電波は陶器やガラスは透過できるが金属は
透過できず、その金属面で反射するので金属容器内の被
加熱物を電波で加熱するには、たとえば金属容器の上方
に開口部がある場合は、その開口部から金属容器内に電
波を供給させる必要がある。
【0004】しかし、従来の電子レンジは、金属容器に
入った被加熱物を加熱することは想定していない。背の
低い金属容器であれば被加熱物を高周波加熱できる場合
があるが、一般的には金属容器内の被加熱物を高周波加
熱することは困難である。
【0005】一方、被加熱物を直接加熱する方法とし
て、被加熱物を載置する載置台を高周波加熱する技術が
ある。これを利用すれば、被加熱物はもとより、金属容
器内に入っている被加熱物を加熱することが可能とな
る。
【0006】これに対する先行技術の一つとして、特開
平1−204386号公報がある。この公報によれば、
被加熱物を載置する載置台は高誘電損失を有しマイクロ
波を吸収して発熱するマイクロ波吸収発熱体とこの下面
に一体に形成した耐熱、非熱伝導性のマイクロ波透過材
料とから構成され、供給するマイクロ波により載置台を
発熱させて載置台に載せられた食品の裏面に焦げ目をつ
けることを可能にしている。
【0007】しかしながら、このような構成の載置台で
は、載置台の発熱量を制御することはできないので、食
品の加熱状態を所望の状態にすることが困難である。な
ぜならば、被加熱物に吸収される高周波エネルギと載置
台のマイクロ波吸収発熱体に吸収される高周波エネルギ
との分配量を制御することができないためである。
【0008】また、食品加熱において、輻射熱を必要と
しない食品もあり、そのような食品に対しての加熱にお
いてもマイクロ波吸収発熱体にマイクロ波エネルギが消
費されるので食品が消費できるマイクロ波エネルギが削
減されることに伴い調理時間が長くなったり、食品の種
類によっては調理が不十分になったりする不具合を有し
ている。
【0009】一方、この課題の解消を図るために応用さ
れる先行技術の一つとして、特開昭52−111046
号公報がある。この公報によれば、加熱室の底面に設け
た高周波励振手段と、加熱室内へ着脱自在に設けること
ができるとともに被加熱物を載置する金属製受皿とを備
え、金属製受皿の底面に高周波発熱体を設けた構成とし
ている。
【0010】この構成によれば、金属製受皿が加熱室を
二分する。そして、加熱室を形成する底面壁を含む壁面
と金属製受皿とがつくる空間に供給される高周波のほと
んどを閉じ込めることを可能にできる。従って、加熱室
内に給電される高周波エネルギ量を制御することで高周
波発熱体の発熱量を制御できる可能性を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、加熱室
の上下方向の中間において高周波発熱体を底面に設けた
金属製受皿を着脱自在させる構成であり、被加熱物を高
周波加熱する場合には、この金属製受皿を取り外す必要
があり、使い勝手に課題を有していた。
【0012】本発明は、高周波を吸収して発熱する高周
波発熱体を備えた載置台の温度を高周波的視点から制御
して被加熱物を効果的に加熱させることを基本課題とし
ている。
【0013】また、高周波加熱装置の被加熱物を収納す
る加熱室内に装着でき、高周波加熱時はもとより、輻射
加熱や対流加熱時にも常用できる載置台を提供し、金属
容器に入った被加熱物の加熱ができる高周波加熱装置を
提供することを応用課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、被加熱物を載置する載置部と、前記載置部
を実質的な終端とする空胴共振室と、前記載置部と一体
的に構成するとともに前記空胴共振室内に介在させ高周
波を吸収して発熱する通気性を有する高周波発熱体と、
前記空胴共振室に供給する高周波を発生する高周波発生
手段と、前記空胴共振室内に空気を送風する送風手段と
を備えたものである。
【0015】本発明によれば、載置部を実質的な終端と
する空胴共振室内に高周波発熱体を介在させているの
で、空胴共振室内での高周波負荷を高周波発熱体に限定
させることができる。これにより、空胴共振室に供給す
る高周波エネルギを制御することで高周波発熱体の発熱
量を制御でき、さらには載置部の温度制御を可能にし、
被加熱物単体あるいは金属容器に入った被加熱物を効果
的に加熱させることができる。
【0016】また、空胴共振室に送風した空気を通気性
を有する高周波発熱体に通流させることで、熱流を載置
部周辺に通流排出し被加熱物周辺の雰囲気温度を高める
ことにより輻射熱あるいは対流熱による被加熱物の加熱
を促進できる。さらには、空気の通流により高周波発熱
体および載置部をすばやく冷却させることができ、装置
使用後の後片付けをスピーディーに行なうことができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、被加熱物を載置する載
置部と、前記載置部を実質的な終端とする空胴共振室
と、前記載置部と一体的に構成するとともに前記空胴共
振室内に介在させ高周波を吸収して発熱する通気性を有
する高周波発熱体と、前記空胴共振室に供給する高周波
を発生する高周波発生手段と、前記空胴共振室内に空気
を送風する送風手段とを備えたものである。これによ
り、載置部を実質的な終端とする空胴共振室内に高周波
発熱体を介在させているので、空胴共振室内での高周波
負荷を高周波発熱体に限定させることができる。従っ
て、空胴共振室に供給する高周波エネルギを制御するこ
とで高周波発熱体の発熱量を制御でき、さらには載置部
の温度制御を可能にし、被加熱物単体あるいは金属容器
に入った被加熱物を効果的に加熱させることができる。
【0018】また、空胴共振室に送風した空気を通気性
を有する高周波発熱体に通流させることで、熱流を載置
部周辺に通流排出し被加熱物周辺の雰囲気温度を高める
ことにより輻射熱あるいは対流熱による被加熱物の加熱
を促進できる。さらには、空気の通流により高周波発熱
体および載置部をすばやく冷却させることができ、装置
使用後の後片付けをスピーディーに行なうことができ
る。
【0019】また、高周波発生手段は、高周波発熱体と
熱的に分離した構成としている。これにより、載置部か
らの熱伝達を断ち切り高周波発生手段の熱的破損を防止
できる。
【0020】また、高周波発熱体は、空胴共振室内に生
じさせる共振モードに対応させた配置構成としている。
これにより、高周波発熱体の容積を限定して高周波エネ
ルギの集中化を図り、高周波発熱体の発熱立ち上がりを
早くできる。
【0021】また、空胴共振室は円筒管形状とし、円筒
管中心軸上に設けた駆動軸を介して載置部を回転駆動す
る載置部駆動手段とを備えたものである。これにより、
空胴共振室内の電界分布を乱すことなく高周波発熱体を
有する載置部を回転させることができる。
【0022】さらにまた、高周波発熱体は、ハニカム構
造体としている。これにより、通気性を備えるとともに
小さい熱容量の発熱部を構成でき、発熱の立ち上がりあ
るいは冷却をすばやく行なうことができる。
【0023】また、高周波発熱体は、高比誘電率の部材
を含有する構成としている。これにより、高周波発熱体
内を伝搬する高周波の伝搬速度を遅くでき、伝搬する高
周波から高周波エネルギを効果的に吸収することができ
る。
【0024】また、ハニカム構造体の貫通部に高比誘電
率の部材を付加した構成としている。これにより、高周
波を吸収して発熱する部材からの熱負荷を大きくでき、
高周波の供給停止に伴う高周波発熱体の著しい温度低下
を抑制することができる。
【0025】また、高周波発熱体は、板状構造とし、板
の厚さを使用する高周波の実効波長の略1/4としたも
のである。これにより、高周波発熱体の形状を大きくし
熱容量を増すことなく高い高周波電界領域に高周波発熱
体を必ず存在させることができるので、発熱を促進させ
ることができる。
【0026】さらにまた、載置部の温度を検出する温度
検知手段を備えている。そして、温度検知手段の出力信
号に基づいて、高周波発生手段の動作を制御する制御手
段を備えている。これにより、載置部の温度を所望の温
度に制御でき、被加熱物を効果的に加熱することができ
る。
【0027】また、温度検出手段の出力信号に基づい
て、送風手段の動作を制御する制御手段を備えている。
これにより、高周波発熱体への空気の通流を制御して被
加熱物周辺へ高温の熱流を通流して被加熱物周辺の温度
を高め被加熱物を包み込んだ状態で加熱することができ
るので、被加熱物の加熱も効果的に行なうことができ
る。また、高周波供給時における載置部の温度のすばや
い低下、あるいは高周波発生手段の冷却、装置使用後に
おける載置部のすばやい冷却をさせることで装置の使い
勝手を高めることができる。
【0028】また、温度検出手段の出力信号に基づい
て、載置部駆動手段の動作を制御する制御手段を備えた
ものである。
【0029】また、制御手段は、温度検出手段の出力信
号が既定の温度信号レベルを超過すると、載置部駆動手
段を動作させることとしている。これにより、載置部の
温度が所望になったことを目視でき被加熱物を載置する
タイミングを知らしめることができる。また、装置使用
後において載置部温度が高い場合には、載置部回転によ
る目視効果により、やけど防止を図ることができる。
【0030】以下、本発明の実施例について図面を用い
て説明する。本発明の高周波発熱体に用いられる高周波
を吸収して発熱する部材としては、従来より周知の様々
な材料が用いられる。たとえば、フェライト、ペロブス
カイト構造の組成を主成分とする磁器半導体、炭化珪
素、カーボンブラック、木炭などの粉末あるいは焼結物
であり、粉末の粒径あるいは焼結物の気孔率は特に限定
されないが、好ましくは、発熱部材が絶縁体として作用
するようにし、焼成に対しては助結材を選択する。
【0031】高比誘電率の部材の比誘電率は、高周波発
熱体の板厚さにより適宜選択することができる。たとえ
ば使用する高周波帯を電子レンジに用いられる2450
MHz帯とした時には、その空間伝搬波長は約12cmであ
り、高比誘電率部材中を伝搬する時の実効伝搬波長がそ
の比誘電率の平方根の逆数に比例することを考慮すると
実用的な構造寸法が得られる比誘電率の値として400
0以下の材料、好ましくは5以上、2000以下を用い
ることができる。
【0032】この周波数帯で使用する高比誘電率の部材
としては、たとえば、酸化チタン、ペロブスカイト構造
の組成を主成分とする誘電体、助結材に酸化ベリウムを
用いた炭化珪素があげられる。
【0033】なお、非常に大きな熱容量を呈する高周波
発熱体とする場合は、上記した比誘電率の値より小さい
値の部材、たとえばアルミナ、窒化アルミ、ムライト、
コージェライトなども選択できる。さらに、高周波発熱
体のコンパクト化を視点とし薄型形状の発熱体構成を採
りたい場合は、比誘電率が200以上の部材、たとえば
ペロブスカイト構造の組成を主成分とする誘電体(Sr
TiO3↓,PbTiO3↓,PbZrO3↓,Pb
(Zr1↓−↓x↓Tix↓)O3↓など)を選択する
ことができる。
【0034】(実施例1)図1は本発明の実施例1の高
周波加熱装置の構成図、図2は図1に用いた高周波発熱
体の部分拡大構成図、図3は図1に用いた空胴共振室内
に生じさせた高周波電界分布図、図4は図1の装置を載
置部上方からみた時の概略構成図である。
【0035】図1において、10は載置部でありその上
面には被加熱物11を載置する。載置部10の底面の略
中央部には駆動軸12と連結する連結部13を設け、載
置部10の底面の周辺には高周波を吸収して発熱する高
周波発熱体14の一端面と面接合する凸面群15を円周
方向に周期的配設している。載置部10の底部周辺には
円筒形状の側壁面16を設け、この側壁面16の載置部
10との付け根周辺には通気孔17を円周方向に周期配
設している。高周波発熱体14は、板状構造のハニカム
構造体とし高比誘電率の部材18を含有させている。1
9は高周波発熱体14を支持固定する支持部である。
【0036】20は空胴共振室であり、21は高周波発
生手段、22は高周波発生手段21が発生する高周波を
伝送する直線状の導波管、23は空胴共振室20内に高
周波を放射する開孔からなる給電手段24を有する環状
導波管である。空胴共振室20は円筒管形状から構成し
ており、円筒管の一端は載置部10の底面を実質的な終
端面とし、円筒管の側面は載置部10の側壁面16と環
状導波管23の内側壁面25から形成し、円筒管形状の
一方の端面は底板26で形成している。
【0037】載置部10の側壁面16の外側周囲には高
周波遮断部27を設けている。この高周波遮断部27
は、断面がコの字状の凹部の底面にインピーダンス変換
部28を周期的に配設している。また、高周波遮断部2
7の開口部であり載置部10の側壁面16に対面する領
域は、耐熱性樹脂部材29で覆っている。
【0038】30は載置部10の表面温度を検出する温
度検出手段である赤外線センサである。31は送風手段
であり、直線状の導波管22内に空気を送風する。32
は高周波発生手段21の駆動電源、33は載置部駆動手
段であるモータであり駆動軸12を回転駆動して載置部
10を回転させる。
【0039】34は制御手段であり、温度検出手段であ
る赤外線センサ30が検出する載置部10の温度情報を
取り込む。また、手動情報入力手段(図示していない)
からの情報あるいは上述の温度情報に基づいて駆動電源
32、載置部駆動手段であるモータ33および送風手段
31に対して制御信号を出力し、それぞれを所望の動作
状態に設定する。
【0040】次に図2について説明する。図2は、図1
に用いた高周波発熱体の部分拡大構成図である。
【0041】高周波発熱体14は、図2に示すようにハ
ニカム構造体としている。このハニカム構造の基体35
は高周波を吸収して発熱する耐火耐熱の部材、たとえば
炭化珪素を主体の組成とした絶縁性を備える部材の焼結
体で構成している。基体35の貫通孔群36には互い違
いに高比誘電率からなる部材18、たとえば酸化チタン
粉末、を充填している。また充填物を基体35に保持さ
せるために貫通孔群36の両端は、無機結合材37にて
封止している。
【0042】板状構造の高周波発熱体14はハニカム構
造体の貫通孔方向を板の厚み方向として載置部10の底
面に配設している。
【0043】高周波発熱体14は図2に示したハニカム
構造体からなる直方体形状の小ブロックとし、お互いを
無機結合材にて接合組み立てして高周波発熱体の全体を
構成している。また、このように構成した高周波発熱体
14を一体的に載置部10の底面の凸部群15に接合組
立した後、支持部材19にて固定支持させている。
【0044】高周波発熱体の形状構造として、高周波加
熱装置として代表される電子レンジにおいて使用される
2450MHz帯の場合の1実施例を以下に示す。
【0045】高周波発熱体14のハニカム構造は貫通孔
群36の密度が200セル/平方インチ、基体35の壁
厚さは0.4mmである。小ブロックの発熱体としての外
形形状は、33mm角、厚さ(図1中tで示す)8.8mm
とした板状構造としている。高比誘電率の充填部材18
は、粉末の酸化チタンを使用した。この充填部材を充填
した状態での高周波発熱体の2450MHz帯における実
効比誘電率は、約12であった。高周波発熱体の厚さt
は、この比誘電率に基づき、2450MHz帯の高周波の
実効波長に対して略1/4の長さになるように構成して
いる。
【0046】次に図3について説明をする。図3は図1
の空胴共振室に生じる高周波電界分布図を示している。
【0047】図3において、高周波発生手段21が発生
した高周波は直線状の導波管22と環状の導波管23と
を伝送して空胴共振室20に伝搬する。各導波管22、
23内および空胴共振室20内に生じる電気力線を矢印
付き実線にて示す。空胴共振室20を形成するとともに
環状導波管23の形成壁面である内側壁面25には、略
対向する位置に給電手段24a,24bを配設してい
る。また、直線状導波管22と環状導波管23との接続
位置を起点として給電手段24a,24bのそれぞれに
至る物理的寸法は、環状導波管23内を伝搬する高周波
の実効波長の略1/2の長さ分だけ異ならしている。
【0048】なお、38は載置部10を回転させる駆動
軸を貫通させる穴である。次に図4について説明する。
図4は図1の装置を載置部上方からみた時の概略構成図
を示し、特に載置部10の底面への高周波発熱体14の
配設構成および送風手段31から送風される空気の通流
方向を示す。
【0049】高周波発熱体14は、直方体形状の小ブロ
ックを連結した構成からなる。図4においては、小ブロ
ックを12個連結させた構成としている。この小ブロッ
クの配設構成は図3に示した強く高周波加熱される領域
39と載置部10の回転に伴う状態変化とを考慮して決
定している。なお図4において、高周波発熱体14の中
央部13は載置部10を回転駆動させる駆動軸12を介
在させるために小ブロックを配さず中空としている。
【0050】次に動作と作用を説明する。制御手段34
の出力制御信号に基づいて、駆動電源32からの電力供
給を受けて高周波発生手段21が動作し高周波を発生す
る。
【0051】この高周波は直線導波管22内を伝搬し
て、環状導波管23に至ると二つの方向に分配される。
分配された高周波は、図3中の電気力線で示したように
互いの関係が逆位相にて環状導波管23内を伝搬する。
給電手段24a,24bへ至る物理寸法を上述した寸法
差としたことにより、給電手段24a,24bから放射
される高周波は同じ位相となる。円筒管状の空胴共振室
20は二つの給電手段から放射される同じ位相の高周波
により、空胴共振室20内に図示した電気力線を生じさ
せている。この結果図3中の円状の破線39にて示す領
域が強く高周波加熱される。
【0052】また、図示したように空胴共振室20内に
生じさせる電気力線を規定させたことにより空胴共振室
20の中央部に駆動軸38を配設した場合でも上記の電
気力線分布を維持させることができる。
【0053】また、空胴共振室20内に生じさせた電気
力線分布を強く維持させるために空胴共振室20内をこ
の電気力線分布を生じる共振モードにて共振させてい
る。この共振を実現させるために、円筒管形状の空胴共
振室20において、底板26から載置部10の底面に至
る長さを規定している。
【0054】円筒管形状の空胴共振室20の円筒管軸方
向の長さを規定することに当たって高周波発熱体14の
高周波的作用を考慮している。
【0055】載置部10の底面には高周波発熱体14と
面接合する凸面群15を設けている。
【0056】この凸面群15を設けていない載置部10
の底面は、高周波発熱体14の一端面との間にすきまが
形成される。このすきまは後述する空気の通気路として
用いる。
【0057】この周期配設した凸面群15を有する載置
部10の底面を空胴共振室20の実質的な終端面として
いる。この載置部10の底面構成と高周波発熱体14と
の高周波的作用により、図3に示した強く高周波加熱さ
れる領域39に該当した高周波発熱体14の領域では、
高周波発熱体14内を遅く伝搬する高周波から高周波エ
ネルギを効果的に吸収してすばやい発熱が行われる。
【0058】また、載置部10の底面に設けた凸面群1
5からの高周波発熱体14の板厚さtを高周波の実効波
長の略1/4の長さにしたので、空胴共振室20の円筒
管軸方向においても高周波電界の強い領域に高周波発熱
体14を存在させることができ、高周波エネルギによる
発熱をより促進させることができる。
【0059】高周波発熱体14は載置部10と面接合し
ているので、高周波発熱体14の発熱は載置部10に伝
熱し載置部10の温度が上昇していく。
【0060】この状態下において、載置部10の温度上
昇の進行を赤外線センサ30を用いて把握する。図4に
示した高周波発熱体14の小ブロック配置と図3に示し
た強く高周波加熱される領域39とは、回転する載置部
10にあってはその停止状態に応じて最良の状態から若
干位置ずれした状態になる場合がある。制御手段34
は、空胴共振室20に生じる強い高周波加熱領域の分布
に対する載置部10の停止位置状態を載置部10の温度
上昇具合を把握することで判断できる。制御手段34
は、温度上昇が緩やかな場合載置部10を回転させるた
めに載置部駆動手段33を動作させる制御信号を出力す
ることができる。
【0061】また、制御手段34は、載置部10の温度
情報に基づいて、その温度が既定の温度信号レベルを超
過したと判定すると載置部駆動手段33を動作させる制
御信号を出力する。これにより、載置部10が被加熱物
を加熱するのに十分な温度に達したことを載置部10を
回転させるという目視情報により報知させることができ
る。また、この制御方法は被加熱物に応じた方法の一つ
として、高周波発熱体14しいては載置部10をすばや
く所望の温度に立ち上げることに対応する制御方法であ
り、所望温度域に到達するまでは載置部10の回転を停
止させることを示すものである。
【0062】一方、送風手段31から供給される空気流
40は図4に示すように直線状導波管21、環状導波管
23(空気流40a,40b,40c)を経て給電手段
24a,24b(空気流40b,40c)より空胴共振
室20内に導かれ、図1に示したように高周波発熱体1
4内(空気流40d,40e)を通気して空胴共振室2
0外(空気流41)へ通流する。
【0063】送風手段31を動作させることにより、高
周波発熱体14内を通流して高温になった空気を載置部
10の外周周辺に通気させることができる。これによ
り、載置部10および被加熱物11の周辺の雰囲気温度
を高温にすることができ、被加熱物11の加熱を促進で
きる。
【0064】またさらに、空気を通気させ高周波発熱体
14を冷却させることができる。これにより、載置部1
0の温度をすばやく低下させることができる。これは、
特に装置使用後の後片づけの際に大きな利便性を有させ
ることができる。
【0065】載置部10を回転駆動する構成としたこと
により、載置部10からの熱伝達は回転軸12のみであ
り、高周波発生手段21を高周波発熱体14から熱的に
分離して高周波発生手段の熱的破損を防止できる。ま
た、送風手段31を動作させることで、熱伝達をさらに
抑制できる。
【0066】また制御手段34は赤外線センサ30の信
号に基づいて載置部10の温度を所望の温度帯に維持さ
せるために駆動電源32の動作を制御して高周波発生手
段21に供給する電力を制御したり、送風手段31の送
風量を制御をする。
【0067】この制御により、載置部10の温度を被加
熱物の加熱に最適な温度に維持させることができる。
【0068】また載置部10の温度を所望の温度に上昇
させたり下降させたりすることは上述した制御を用いて
すばやく実行させることができる。
【0069】また高周波発熱体14に高比誘電率の部材
18を付加したことにより、高周波を吸収して発熱する
部材からみた熱負荷を大きくでき、高周波の供給停止に
伴う高周波発熱体14の著しい温度低下を抑制し、載置
部10の温度を所望の温度に維持する制御を容易にでき
る。
【0070】なお、空胴共振室20に生じさせる共振モ
ードは上記実施例に限定されるものではなく、例えば載
置部の外形をコンパクトにしたい場合には強い高周波加
熱領域が4個所生じる共振モードを選択できる。この共
振モードを選択した場合には、それに対応して高周波発
熱体の構成および載置部への配置を最適な状態に変更す
る。
【0071】(実施例2)図5は本発明の実施例2の高
周波加熱装置の構成図である。図1と相違する点は、載
置部10を限定した空間42に収納したことである。
【0072】図5において、43は空間42に供給する
高周波を発生する高周波発生手段、44は高周波発生手
段43が発生した高周波を伝送する導波管、45は空間
42を形成する金属壁面に設け空間42内に高周波を放
射する開孔、46は高周波発生手段43を駆動する駆動
電源であり制御手段34が出力する信号によってその動
作を制御している。また載置部10の温度を検出する赤
外線センサ30は、空間42を形成する壁面に設けた視
野穴47を介して載置部10の周縁をセンサが温度検出
する視野として配設している。
【0073】また空間42を形成する底壁面48は、略
円形の凹部を形成しこの凹部内の周辺には高周波遮断部
27を周期配設している。載置部10は、この高周波遮
断部27と同心状に組込まれ、駆動軸12を介して回転
する構成としている。
【0074】なお、高周波発生手段43を冷却する冷却
ファン、開孔45を遮蔽する低誘電損失で耐熱性の板、
空間42を形成する壁面に配した給排気穴、あるいは装
置本体筐体などは図示していないが付帯される。
【0075】次に動作、作用について説明する。実施例
2の構成においては、被加熱物自体を高周波加熱させる
ことができる。この場合、高周波発生手段43を動作さ
せ、高周波発生手段43が発生する高周波により被加熱
物を加熱する。この際において、載置部10と底壁面4
8とのすきま領域には高周波遮断部27の存在により高
周波的に極めて小さいインピーダンス領域が形成され
る。この高周波的作用により空間42内に放射された高
周波は載置部10と底壁面48とのすきまを伝搬しな
い。そして載置部10は、空間42を形成する金属壁面
の一つとして作用する。従って高周波発生手段43の動
作中に生じる載置部10の温度上昇は被加熱物11から
の熱伝達が支配的であり載置部10は実質的な発熱をし
ない。
【0076】また、被加熱物の加熱方法によっては、高
周波発生手段21を動作させて載置部10の温度を実質
的に高めることができる。高周波発生手段43、21の
動作制御は、一方のみの動作を時間的に組み合わせた
り、同時動作させたりすることができる。載置部10の
温度は、高周波発生手段21が発生する高周波により制
御できるので被加熱物を所望の加熱状態にさせることが
できる。たとえば、被熱物底面への焦げ目つけ、被加熱
物を保温状態に維持することができる。
【0077】また、高周波発生手段21と送風手段31
を動作させて、空間42内を高温にさせることができ
る。これにより、被加熱物をいわゆるオーブン加熱させ
ることができる。
【0078】この種の装置の特徴は、載置部10を空間
42を形成する壁面として作用させたことにあり、被加
熱物を高周波加熱しているときに高周波発熱体14は発
熱しない。従って、載置部10は空間42内に常用配設
できる。
【0079】また、金属性容器に入った被加熱物を載置
部10に載置した場合でも載置部10からの伝熱により
被加熱物を間接的に加熱することができ、利便性の高い
装置を提供することができる。
【0080】(実施例3)図6は本発明の実施例3の高
周波加熱装置の配設構成図である。図において、図1お
よび図5と相違する点は、天板49の下方に装置を格納
した構成にある。
【0081】図6において、天板49は載置部50の外
形より大きい径の凹状絞り加工をしている。載置部50
は、この凹状絞り部に収納し、天板49と略フラットな
状態に組み立てられている。赤外線センサ30は、凹部
絞り部の下方に配置し載置部50の周縁底面を温度検出
する視野として配置している。
【0082】次に動作と作用について説明する。載置部
50の温度制御は上述した実施例と同様である。また、
送風手段31を動作させて得られる高温の空気流は天板
50の凹状絞り部と載置部50とのすきまを介して天板
49上に通気する。
【0083】この構成の特徴は、ドロップイン型の加熱
装置を提供できることであり、載置部50を回転可能な
構成としているので、加熱中であることを目視的に報知
できる利便性を提供できる。また、載置部50への電力
供給線の接続がないので、載置部50を取り外して水洗
いなどの清掃を容易に行なうことができる。
【0084】
【発明の効果】以上のように本発明によれば以下の効果
を有する。
【0085】載置部を実質的な終端とする空胴共振室内
に高周波発熱体を介在させているので、空胴共振室内で
の高周波負荷を高周波発熱体に限定させることができ
る。従って、空胴共振室に供給する高周波エネルギを制
御することで高周波発熱体の発熱量を制御でき、さらに
は載置部の温度制御を可能にし、被加熱物単体あるいは
金属容器に入った被加熱物を効果的に加熱させることが
できる。
【0086】また、空胴共振室に送風した空気を通気性
を有する高周波発熱体に通流させることで、熱流を載置
部周辺に通流排出し被加熱物周辺の雰囲気温度を高める
ことにより輻射熱あるいは対流熱による被加熱物の加熱
を促進できる。さらには、空気の通流により高周波発熱
体および載置部をすばやく冷却させることができ、装置
使用後の後片付けをスピーディーに行なうことができ
る。
【0087】また、高周波発生手段は、高周波発熱体と
熱的に分離した構成としているので、載置部からの熱伝
達を断ち切り高周波発生手段の熱的破損を防止できる。
【0088】また、高周波発熱体は、空胴共振室内に生
じさせる共振モードに対応させた配置構成としているの
で高周波発熱体の容積を限定して高周波エネルギの集中
化を図り、高周波発熱体の発熱立ち上がりを早くでき
る。
【0089】また、空胴共振室は円筒管形状とし、円筒
管中心軸上に設けた駆動軸を介して載置部を回転駆動す
る載置部駆動手段とを備えた構成により、空胴共振室内
の電界分布を乱すことなく高周波発熱体を有する載置部
を回転させることができる。
【0090】また、高周波発熱体をハニカム構造体とし
たことにより、通気性を備えるとともに小さい熱容量の
発熱部を構成でき、発熱の立ち上がりあるいは冷却をす
ばやく行なうことができる。
【0091】また、高周波発熱体に高比誘電率の部材を
含有させた構成により、高周波発熱体内を伝搬する高周
波の伝搬速度を遅くでき、伝搬する高周波から高周波エ
ネルギを効果的に吸収することができる。
【0092】また、ハニカム構造体の貫通部に高比誘電
率の部材を付加した構成により、高周波を吸収して発熱
する部材からの熱負荷を大きくでき、高周波の供給停止
に伴う高周波発熱体の著しい温度低下を抑制することが
でき、載置部の温度制御を容易に行なうことができる。
【0093】また、高周波発熱体は、板状構造とし、板
の厚さを使用する高周波の実効波長の略1/4としたこ
とにより、高周波発熱体の形状を大きくし熱容量を増す
ことなく高い高周波電界領域に高周波発熱体を必ず存在
させることができるので、発熱を促進させることができ
る。
【0094】また、載置部の温度を検出する温度検知手
段の出力信号に基づいて、高周波発生手段の動作を制御
する制御手段を備えているので、載置部の温度を所望の
温度に制御でき、被加熱物を効果的に加熱することがで
きる。
【0095】また、温度検出手段の出力信号に基づい
て、送風手段の動作を制御する制御手段を備えているの
で、高周波発熱体への空気の通流を制御して被加熱物周
辺へ高温の熱流を通流して被加熱物周辺の温度を高め被
加熱物を包み込んだ状態で加熱することができるので、
被加熱物の加熱も効果的に行なうことができる。また、
高周波供給時における載置部の温度のすばやい低下、あ
るいは高周波発生手段の冷却、装置使用後における載置
部のすばやい冷却をさせることで装置の使い勝手を高め
ることができる。
【0096】さらにまた、温度検出手段の出力信号に基
づいて、載置部駆動手段の動作を制御する制御手段を備
え、温度検出手段の出力信号が既定の温度信号レベルを
超過すると、載置部駆動手段を動作させることとしてい
るので、載置部の温度が所望になったことを目視でき被
加熱物を載置するタイミングを知らしめることができ
る。また、装置使用後において載置部温度が高い場合に
は、載置部回転による目視効果により、やけど防止を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の高周波加熱装置の構成図
【図2】同高周波加熱装置の高周波発熱体の部分拡大構
成図
【図3】同高周波加熱装置の空胴共振室内の高周波電界
分布図
【図4】同高周波加熱装置の載置部上方からみた概略構
成図
【図5】本発明の実施例2の高周波加熱装置の構成図
【図6】本発明の実施例3の高周波加熱装置の構成図
【符号の説明】
10、50 載置部 11 被加熱物 12 駆動軸 13 高周波発熱体 18 高比誘電率部材 20 空胴共振室 21 高周波発生手段 30 赤外線センサ(温度検出手段) 31 送風手段 33 載置部駆動手段 34 制御手段 35 ハニカム構造の基体 36 ハニカム構造体の貫通部 39 強い高周波加熱領域(共振モード) t 高周波発熱体の板厚さ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加熱物を載置する載置部と、前記載置部
    を実質的な終端とする空胴共振室と、前記載置部と一体
    的に構成するとともに前記空胴共振室内に介在させ高周
    波を吸収して発熱する通気性を有する高周波発熱体と、
    前記空胴共振室に供給する高周波を発生する高周波発生
    手段と、前記空胴共振室内に空気を送風する送風手段と
    を備えた高周波加熱装置。
  2. 【請求項2】高周波発生手段は、高周波発熱体と熱的に
    分離した構成とした請求項1記載の高周波加熱装置。
  3. 【請求項3】高周波発熱体は、空胴共振室内に生じさせ
    る共振モードに対応させた配置構成とした請求項1記載
    の高周波加熱装置。
  4. 【請求項4】空胴共振室は円筒管形状とし、円筒管中心
    軸上に設けた駆動軸を介して載置部を回転駆動する載置
    部駆動手段とを備えた請求項1記載の高周波加熱装置。
  5. 【請求項5】高周波発熱体は、ハニカム構造体からなる
    請求項1記載の高周波加熱装置。
  6. 【請求項6】高周波発熱体は、高比誘電率の部材を含有
    する構成とした請求項1記載の高周波加熱装置。
  7. 【請求項7】ハニカム構造体の貫通部に高比誘電率の部
    材を付加した請求項5記載の高周波加熱装置。
  8. 【請求項8】高周波発熱体は、板状構造とし、板の厚さ
    を使用する高周波の実効波長の略1/4とした請求項1
    記載の高周波加熱装置。
  9. 【請求項9】載置部の温度を検出する温度検出手段を備
    えた請求項1記載の高周波加熱装置。
  10. 【請求項10】温度検出手段の出力信号に基づいて、高
    周波発生手段の動作を制御する制御手段を備えた請求項
    9記載の高周波加熱装置。
  11. 【請求項11】温度検出手段の出力信号に基づいて、送
    風手段の動作を制御する制御手段を備えた請求項9記載
    の高周波加熱装置。
  12. 【請求項12】温度検出手段の出力信号に基づいて、載
    置部駆動手段の動作を制御する制御手段を備えた請求項
    9記載の高周波加熱装置。
  13. 【請求項13】制御手段は、温度検出手段の出力信号が
    既定の温度信号レベルを超過すると、載置部駆動手段を
    動作させることとした請求項12記載の高周波加熱装
    置。
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