JP3799454B2 - 焼成炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、陶磁器材料やファインセラミックス材料などで形成された被焼成体をマイクロ波によって焼成して焼成体を製造する焼成炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の焼成炉としては、本発明者らが先に次のようなものを提案している。すなわち、発熱層と該発熱層の外側を包囲する断熱層とからなる隔壁により区画された焼成室を備え、その焼成室内に配置される被焼成体に対してマイクロ波を照射して被焼成体を焼成するというものである。前記発熱層は被焼成体とほぼ等価なマイクロ波吸収特性を有する材料から形成され、前記断熱層は断熱性及びマイクロ波透過性を有する材料から形成されている。
【0003】
この焼成炉によれば、発熱層と被焼成体のマイクロ波による発熱量がほぼ等しくなるため、被焼成体と発熱層の内側表面の間に熱平衡が成立する。このため、放射冷却によって被焼成体に熱勾配が発生するのを抑制することができ、前記熱勾配に起因する熱歪みを抑制することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記焼成炉では、例えばファインセラミックス材料で形成された被焼成体を焼成した場合など比較的高温度で焼成を行なったときに、焼成体に大きな熱歪みが発生して割れが生じることがあった。これは、焼成温度が上昇するにつれて断熱層の熱伝導率が大きくなるために、発熱層の熱エネルギーが断熱層を介し外部へ失われやすくなって、その結果、被焼成体と発熱層の内側表面の間の熱平衡が崩れることに起因すると考えられる。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、比較的高温度で焼成を行なう場合でも焼成体の熱歪みを抑制することができる焼成炉を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、マイクロ波によって自己発熱する発熱層と該発熱層の外側を包囲する断熱性及びマイクロ波透過性を有する断熱層とを含む隔壁により区画された焼成室を備え、その焼成室内に配置される被焼成体に対してマイクロ波を照射して被焼成体を焼成する焼成炉であって、前記隔壁の外側を包囲するように加熱源が設けられ、前記加熱源が、前記発熱層とは別に設けられたマイクロ波によって自己発熱する他の発熱層であることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の焼成炉において、前記加熱源の他の発熱層を、前記隔壁の断熱層に対しクリアランスをもって設け、該クリアランスが、加熱媒体の流路であることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の焼成炉において、前記隔壁の断熱層に厚さ方向に貫通する貫通孔を設けたことを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における焼成炉を示す概略平断面図である。同図に示す焼成炉は、陶磁器材料又はファインセラミックス材料を所定形状に成形してなる被焼成体10を焼成して焼成体を製造するためのものである。
【0012】
焼成炉は、密閉容器よりなるチャンバ11を備えている。チャンバ11の内面は、マイクロ波を反射する材料で形成されている。前記マイクロ波を反射する材料の具体例としては、ステンレス鋼などの金属が挙げられるが、反射効率が向上することからチャンバ11の内面には銅メッキを施すことが望ましい。
【0013】
チャンバ11には、マイクロ波発生手段としてのマイクロ波発振器12が導波管13を介して接続されている。そして、マイクロ波発振器12から出力されるマイクロ波は、導波管13を経由してチャンバ11内に入射されるようになっている。マイクロ波の周波数は0.9〜100GHzが好ましく、0.9〜10GHzがより好ましく、特に2.45GHzが好ましい。周波数が0.9GHz未満では、波長が長くなりすぎるとともにマイクロ波の吸収率が低下するため好ましくない。逆に100GHzを超える場合には、高価なマイクロ波発振器12が必要となるため好ましくない。マイクロ波発振器12から出力されるマイクロ波を2.45GHzとした場合には、マイクロ波発振器12を比較的小型で低価格なもので済ますことができる。本実施形態の場合、2.45GHzのマイクロ波を出力するマイクロ波発振器12(出力1.5kW)が6台(図1では4台のみ示す。)使用されている。
【0014】
チャンバ11の内部には主隔壁14によって区画された焼成室15がある。図2は、その焼成室15を示す概略平断面図である。焼成室15の容積は、0.3〜0.6m3が好ましい。
【0015】
前記主隔壁14は、発熱層14aと該発熱層14aの外側を包囲する断熱層14bからなる二層構造になっている。発熱層14aは、マイクロ波によって自己発熱する材料で形成されている。前記マイクロ波によって自己発熱する材料の具体例としては、ムライト系材料、窒化ケイ素系材料、アルミナなど、被焼成体10とほぼ等価なマイクロ波吸収特性を有する材料が挙げられる。一方、断熱層14bは、断熱性及びマイクロ波透過性を有する材料で形成されている。前記断熱性及びマイクロ波透過性を有する材料の具体例としては、アルミナファイバー、発泡アルミナ、レンガなどが挙げられる。
【0016】
図1に示すように、主隔壁14は、補助隔壁16によって外側を包囲されている。補助隔壁16は、主隔壁14と同様、発熱層16aと該発熱層16aの外側を包囲する断熱層16bからなる二層構造になっている。発熱層16aはマイクロ波によって自己発熱する材料で形成され、断熱層16bは断熱性及びマイクロ波透過性を有する材料で形成されている。補助隔壁16の発熱層16aを構成するマイクロ波によって自己発熱する材料並びに断熱層16bを構成する断熱性及びマイクロ波透過性を有する材料の具体例はそれぞれ、主隔壁14の発熱層14a及び断熱層14bのそれと同じである。なお、補助隔壁16は、主隔壁14に対し所定のクリアランスCをもって設けられている。
【0017】
また焼成炉は、チャンバ11内に入射されたマイクロ波を攪拌するためのマイクロ波攪拌手段を備えている。マイクロ波攪拌手段は、チャンバ11の内面に内側に向かって延設された回転軸17と、回転軸17に支持された攪拌羽根18と、攪拌羽根18を回転軸17を中心にして積極回転させる駆動モータ19とから構成されている。
【0018】
次に、上記の焼成炉を使用した焼成体の製造方法について説明する。
焼成体を製造する場合には、陶磁器材料又はファインセラミックス材料を所定形状に成形して被焼成体10を作製し、その被焼成体10を焼成室15内に配置する。そして、マイクロ波発振器12を作動させて、マイクロ波をチャンバ11に入射させる。チャンバ11に入射したマイクロ波は、断熱層14b,16bを透過して発熱層14a,16a及び被焼成体10に吸収されて熱エネルギーに変換され、その結果、被焼成体10が加熱焼成される。
【0019】
本実施形態によって得られる効果について、以下に記載する。
・ 補助隔壁16を省いて焼成炉を構成した場合(従来の焼成炉の場合)、比較的高温度で焼成を行なったときに特に、発熱層14aの熱エネルギーが断熱層14bを介し外部に失われやすいために、被焼成体10と発熱層14aの内側表面の間の熱平行が崩れやすくなる。しかし、本実施形態の焼成炉によれば、主隔壁14の外側を包囲するように設けられた補助隔壁16の発熱層16aがマイクロ波によって自己発熱することによって、発熱層14aから外部へ向かう熱流束が抑制され、その結果、発熱層14aの熱損失が抑制される。このため、被焼成体10と発熱層14aの内側表面の間の熱平衡の崩れに起因する焼成体の熱歪みを抑制することができる。従って、陶磁器材料で形成された被焼成体10を焼成するときのような焼成温度が比較的低い場合はもちろん、ファインセラミックス材料で形成された被焼成体10を焼成するときのような焼成温度が比較的高い場合であっても、焼成体の熱歪みを抑制することができる。
【0020】
・ 本実施形態では、主隔壁14の熱損失を抑えるべく主隔壁14の断熱層14bの厚みを増大させるのでなく、発熱層16aを含む補助隔壁16を主隔壁14の外側に包囲させることによって、焼成体の熱歪みの抑制を実現している。このため、断熱層14bの厚みを増大させることなく焼成体の熱歪みを抑制することができ、断熱層14bの厚みの増大に伴う炉の大型化・高コスト化のおそれがない。
【0021】
・ 補助隔壁16の発熱層16aは、その外側を断熱層16bによって包囲されているので、マイクロ波による発熱層16aの自己発熱に基づく主隔壁14の熱損失抑制効果をより確実に発揮させることができ、ひいては焼成体の熱歪みの抑制効果を向上させることができる。
【0022】
・ 主隔壁14と補助隔壁16の間に設けたクリアランスCは、特に1000℃以下の低温域に設けた場合には、主隔壁14と補助隔壁16の間を断熱するように働くため、主隔壁14の熱損失をさらに抑制することができ、ひいては焼成体における熱歪みの抑制効果を向上させることができる。
【0023】
・ 攪拌羽根18等から構成されるマイクロ波攪拌手段の働きでマイクロ波の反射方向が時間的に変化される結果、チャンバ11内におけるマイクロ波の電界分布は一様に近い状態となる。このため、焼成ムラを抑制して均一に焼成することが可能である。
【0024】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態について図3を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態の構成と同一又は相当する構成については同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0025】
図3は、本実施形態における焼成炉を示す概略平断面図である。同図に示すように、本実施形態では、第1実施形態における補助隔壁16が省略され、それに代わって、電熱ヒータ20(加熱源)が主隔壁14の外側に設けられている。
【0026】
この焼成炉を使用して焼成体を製造する場合には、マイクロ波発振器12を作動させると同時に電熱ヒータ20も作動させるようにする。
本実施形態の焼成炉によれば、主隔壁14の外側に設けられた電熱ヒータ20から発せられる熱によって、発熱層14aから外部へ向かう熱流束が抑制され、その結果、発熱層14aの熱損失が抑制される。このため、被焼成体10と発熱層14aの内側表面の間の熱平衡の崩れに起因する焼成体の熱歪みを抑制することができる。
【0027】
また、電熱ヒータ20の発熱量は、通電量を調節することによって自在に調節できるので、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて電熱ヒータ20の発熱量の最適化を図ることで、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一とし、より確実に焼成体の熱歪みを抑制することができる。
【0028】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記第1実施形態において、補助隔壁16を複数備えた構成としてもよい。そして、主隔壁14を補助隔壁16で二重、三重、あるいはそれ以上に包囲するように構成してもよい。このように構成すれば、焼成に際しての主隔壁14の熱損失をさらに抑制することができ、焼成体の熱歪みをさらに抑制することができる。また、二重、三重と補助隔壁16の数を増やすほど、より高い焼成温度の場合にも対応することができる。
【0029】
・ 前記第1実施形態において、補助隔壁16の断熱層16bを省いて構成してもよい。
・ 前記第1実施形態の補助隔壁16の構成を次のように変更してもよい。すなわち、断熱層16bの外側に発熱層16aが位置したり、断熱層16bの中間部に中間層として発熱層16aが位置したりしてもよい。
【0030】
・ 前記第1実施形態において、クリアランスCを省いて構成してもよい。すなわち、補助隔壁16を主隔壁14に接するようにして設けてもよい。
・ 前記第1実施形態において、主隔壁14と補助隔壁16の間のクリアランスCを加熱媒体の流路として利用するようにしてもよい。すなわち、クリアランスCに加熱媒体を出入りさせることができるように補助隔壁16に導入口と導出口を形成し、クリアランスCに加熱媒体を流通させるようにしてもよい。加熱媒体の例としては、加熱空気などの加熱ガスが好ましい。なお、クリアランスCを加熱媒体の流路として利用する場合には、補助隔壁16の発熱層16aを省いてもよい。
【0031】
このように構成すれば、クリアランスCを流通する加熱媒体から発せられる熱によって、発熱層14aから外部へ向かう熱流束が抑制され、その結果、発熱層14aの熱損失が抑制される。このため、被焼成体10と発熱層14aの内側表面の間の熱平衡の崩れに起因する焼成体の熱歪みを抑制することができる。
【0032】
また、クリアランスCを流通する加熱媒体から発せられる熱エネルギーの量は、加熱媒体の温度や流量を調節することによって自在に調節することができる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて加熱媒体の温度や流量の最適化を図ることで、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一とし、より確実に焼成体の熱歪みを抑制することができる。
【0033】
・ 前記第1実施形態において、主隔壁14の断熱層14bに厚さ方向に貫通する貫通孔を設けるようにしてもよい。このように構成すれば、補助隔壁16の発熱層16aから発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて補助隔壁16の発熱層16aを適切なものに置き換えることによって主隔壁14の発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一にすることで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。
【0034】
また、主隔壁14と補助隔壁16の間のクリアランスCを加熱媒体の流路として利用した場合においては、加熱媒体から発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて加熱媒体の温度や流量を調節することによって主隔壁14の発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一にすることで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。
【0035】
・ 前記第1実施形態において、主隔壁14に厚さ方向に貫通する貫通孔(焼成室15に向かって開口する通孔)を設けるようにしてもよい。このように構成すれば、補助隔壁16の発熱層16aから発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて補助隔壁16の発熱層16aを適切なものに置き換えることによって主隔壁14の発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一にすることで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。
【0036】
また、主隔壁14と補助隔壁16の間のクリアランスCを加熱媒体の流路として利用した場合においては、加熱媒体から発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて加熱媒体の温度や流量を調節することによって主隔壁14の発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一にすることで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。
【0037】
しかも、このように構成した場合には、補助隔壁16の発熱層16aから発せられる熱あるいは加熱媒体から発せられる熱によって、主隔壁14の発熱層14aがその外側表面からだけでなく前記貫通孔の内周面からも加熱されることになるので、発熱層14aの温度制御が容易ともなる。
【0038】
・ 前記第2実施形態において、主隔壁14の断熱層14bに厚さ方向に貫通する貫通孔を設けるようにしてもよい。このように構成すれば、電熱ヒータ20から発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて電熱ヒータ20への通電量を調節することによって主隔壁14の発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一にすることで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。
【0039】
・ 前記第2実施形態において、主隔壁14に厚さ方向に貫通する貫通孔(焼成室15に向かって開口する通孔)を設けるようにしてもよい。このように構成すれば、電熱ヒータ20から発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて電熱ヒータ20への通電量を調節することによって主隔壁14の発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一にすることで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。しかも、このように構成した場合には、電熱ヒータ20から発せられる熱によって、主隔壁14の発熱層14aがその外側表面からだけでなく前記貫通孔の内周面からも加熱されることになるので、発熱層14aの温度制御が容易ともなる。
【0040】
・ 前記第2実施形態において、電熱ヒータ20を、主隔壁14の発熱層14aと断熱層14bの間に設けるように変更してもよい。このように構成すれば、電熱ヒータ20から発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて電熱ヒータ20への通電量を調節することによって主隔壁14の発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一にすることで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。
【0041】
・ 主隔壁14の発熱層14aと断熱層14bの間にクリアランスを設けるようにし、そのクリアランスを加熱媒体の流路として用いてもよい。このように構成すれば、加熱媒体から発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて加熱媒体の温度や流量を調節することによって発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一することで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。
【0042】
・ 主隔壁14の発熱層14aと断熱層14bの間にクリアランスを設けるようにし、そのクリアランスを加熱媒体の流路として用いるとともに、前記発熱層14aに厚さ方向に貫通する貫通孔(焼成室15に向かって開口する通孔)を設けるようにしてもよい。このように構成すれば、加熱媒体から発せられる熱によって主隔壁14の発熱層14aが加熱されることで、発熱層14aのマイクロ波吸収特性、すなわち発熱量が変化するようになる。従って、被焼成体10の材質や焼成温度等に応じて加熱媒体の温度や流量を調節することによって主隔壁14の発熱層14aの発熱量を調節し、発熱層14aの内側表面温度と被焼成体10の温度を実質的に同一にすることで、多様な被焼成体の焼成にも対応することができる。しかも、このように構成した場合には、加熱媒体から発せられる熱によって、主隔壁14の発熱層14aがその外側表面からだけでなく前記貫通孔の内周面からも加熱されることになるので、発熱層14aの温度制御が容易ともなる。
【0043】
・ 前記両実施形態ではそれぞれのマイクロ波発振器12から出力されるマイクロ波の周波数がいずれも同じ(2.45GHz)であったが、複数あるマイクロ波発振器12のうち一部の発振器12から出力されるマイクロ波の周波数がそれ以外の発振器12から出力されるマイクロ波の周波数と異なってもよい。このように構成すればチャンバ11内での定在波の発生を抑制することができ、焼成ムラを抑制してより均一に焼成することができる。
【0044】
・ 前記両実施形態ではマイクロ波発振器12から出力されるマイクロ波の周波数が常に一定(2.45GHz)で不変であったが、発振器12から出力されるマイクロ波の周波数を時間的に変化させてもよい。このように構成した場合も定在波の発生を抑制することができ、焼成ムラを抑制してより均一に焼成することができる。
【0045】
・ 陶磁器材料又はファインセラミックス材料を所定形状に成形してなる成形体を素焼きしたもの、成形体に施釉をしたもの、あるいは成形体を素焼きしてさらに施釉したものを被焼成体10として用いるようにしてもよい。
【0046】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
純度99.5%のアルミナで形成された被焼成体10(重量580g)を図1に示す第1実施形態の焼成炉を使って焼成した。ただし、本例においては、純度95%のアルミナで発熱層14aを形成し、金属酸化物を添加したムライトで発熱層16aを形成し、アルミナファイバーボードで断熱層14b,16bを形成した。発熱層14a,16aの厚さは2mm、断熱層14b,16bの厚さは40mmである。
【0047】
(比較例1)
補助隔壁16が取り払われた第1実施形態の焼成炉を使って、実施例1と同様にして被焼成体10を焼成した。
【0048】
(比較例2)
補助隔壁16が取り払われた第1実施形態の焼成炉を使って、純度99.5%のアルミナで形成された被焼成体10(重量50g)を焼成した。ただし、本例においては、純度95%のアルミナで発熱層14aを形成し、アルミナファイバーボードで断熱層14bを形成した。発熱層14aの厚さは2mm、断熱層14bの厚さは200mmである。
【0049】
上記各例で得られた焼成体について観察したところ、実施例1及び比較例2で得られた焼成体にはいずれも熱歪みが認められなかったが、比較例1で得られた焼成体には熱歪みが認められた。以上の結果から、補助隔壁16がない場合には主隔壁14の断熱層14bを厚くしないと熱歪みを抑制することができないが、補助隔壁16を設けた場合には主隔壁14の断熱層14bを厚くすることなく熱歪みを抑制できることが示された。
【0050】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記他の発熱層の外側に、同他の発熱層の外側を包囲する断熱性及びマイクロ波透過性を有する断熱層が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の焼成炉。このように構成すれば、他の発熱層による隔壁の熱損失抑制効果をより確実に発揮させることができ、ひいては焼成体の熱歪みの抑制効果を向上させることができる。
【0051】
・ 前記隔壁の発熱層を、前記被焼成体とほぼ等価なマイクロ波吸収特性を有する材料で形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の焼成体の製造方法。このように構成すれば、被焼成体と発熱層の内側表面の間に熱平衡を容易に成立させることができる。
【0052】
・ 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の焼成炉を用いて被焼成体を焼成し焼成体を製造する焼成体の製造方法。
【0053】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
各請求項に記載の発明によれば、隔壁の外側を包囲するように設けられた加熱源から発せられる熱によって、発熱層から外部へ向かう熱流束が抑制され、発熱層の熱損失が抑制されることから、被焼成体と発熱層の内側表面の間の熱平衡の崩れに起因する焼成体の熱歪みを抑制することができる。従って、比較的高温度で焼成を行なう場合でも焼成体の熱歪みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態における焼成炉を示す概略平断面図。
【図2】 焼成室を示す概略平断面図。
【図3】 第2実施形態における焼成炉を示す概略平断面図。
【符号の説明】
10…被焼成体、14…隔壁としての主隔壁、14a…発熱層、14b…断熱層、15…焼成室、16a…加熱源としての発熱層、20…加熱源としての電熱ヒータ。
Claims (3)
- マイクロ波によって自己発熱する発熱層と該発熱層の外側を包囲する断熱性及びマイクロ波透過性を有する断熱層とを含む隔壁により区画された焼成室を備え、その焼成室内に配置される被焼成体に対してマイクロ波を照射して被焼成体を焼成する焼成炉であって、
前記隔壁の外側を包囲するように加熱源が設けられ、前記加熱源が、前記発熱層とは別に設けられたマイクロ波によって自己発熱する他の発熱層であることを特徴とする焼成炉。 - 前記加熱源の他の発熱層を、前記隔壁の断熱層に対しクリアランスをもって設け、該クリアランスが、加熱媒体の流路であることを特徴とする請求項1に記載の焼成炉。
- 前記隔壁の断熱層に厚さ方向に貫通する貫通孔を設けたことを特徴とする請求項2に記載の焼成炉。
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