JPH1137141A - ローラ用軸受部材構造 - Google Patents

ローラ用軸受部材構造

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JPH1137141A
JPH1137141A JP19003497A JP19003497A JPH1137141A JP H1137141 A JPH1137141 A JP H1137141A JP 19003497 A JP19003497 A JP 19003497A JP 19003497 A JP19003497 A JP 19003497A JP H1137141 A JPH1137141 A JP H1137141A
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JP
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bearing
resin
block body
roller
hole
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JP19003497A
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English (en)
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Kazuo Ichikawa
和夫 市川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性が高く製造コストを抑えることがで
きる軸受。 【解決手段】 樹脂成形によって形成された軸受本体1
2の貫通孔32には、筒体14が圧入される。筒体は、
硬く摺動性の高いフッ素充填材入り樹脂を用いて円筒状
に形成されている。この筒体には突条22が形成されて
おり、この突条が軸受本体の内周面に形成されている係
合溝34は入り込むことにより軸受本体からの筒体の抜
け止めとなっている。また、軸受本体と筒体の間には、
スプリングピン38が打ち込まれ、このスプリングピン
が軸受本体に対する筒体の廻り止めとされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光材料処理装置
において感光材料の搬送及び処理用として用いられるロ
ーラなどを軸支するローラ用軸受部材構造に関する。特
に感光材料の処理液等に浸漬されて用いられるローラ用
軸受部材構造に関する。
【0002】
【従来の技術】画像露光されたハロゲン化銀感光材料、
感光性平版印刷版等の感光材料は、感光材料処理装置に
よって、現像、水洗等の処理液処理が行われた後、乾燥
処理が施される。このような感光材料処理装置では、ブ
ラシローラによって感光材料をブラッシング処理し、搬
送ローラによって感光材料を搬送する搬送路が形成され
ている。これらのローラは、現像槽、水洗槽等の処理液
槽内に配置された側板に軸受を介して回転可能に支持さ
れており、駆動手段の駆動力が伝達されることによって
回転して感光材料に搬送力を付与しながら処理液中を搬
送すると共に処理するようになっている。
【0003】このような感光材料処理装置に用いられる
ローラの回転軸は、耐薬品性、耐腐食性等を考慮してス
テンレス鋼等が用いられている。一方、このローラを軸
支するための軸受は、加工コスト等を考慮して例えば、
ナイロン等の樹脂を用いた樹脂成形品となっている。
【0004】一方、感光材料を処理する処理液中には、
感光材料の処理によって感光層の成分が含まれている。
この処理液中に含まれる感光層の成分としては、ハロゲ
ン化銀感光材料の場合は、ゼラチン、水溶性ポリマー
等、感光性平版印刷版の場合は、シリケート等がある。
これらの感光層の成分は、回転するローラの回転軸と軸
受の間に入り込むと、回転軸が回転したときに研磨材と
なって回転軸の周面ないし軸受の内周面を削ってしまう
ことがある。このために、ローラの回転軸にはステンレ
ス鋼が用いられ、このローラの回転軸を支持する軸受に
は、耐摩耗性が高く加工が容易なナイロン等の樹脂が用
いられている。
【0005】近年、感光材料や処理液の改良と共に、感
光材料処理装置の改良によって感光材料を短時間で処理
する迅速処理が可能となっている。感光材料の迅速処理
では、感光材料の搬送路長(パス長)を変えずに、感光
材料の搬送速度を高める方法などが用いられている。こ
れによって、従来の構造を変えることなく感光材料の迅
速処理が可能となる。
【0006】ところで、感光材料の搬送速度を高めるた
めには、ローラの回転速度を上げる必要がある。このと
き、従来のナイロン等の樹脂によって成形した軸受とス
テンレス鋼の回転軸との間で従来は生じていなかった摩
耗が発生し、感光材料の搬送不良や、それに伴って感応
材料の表面を損傷させるなどの問題が生じる。
【0007】ここで、処理液中に含まれる感光層の成分
が、軸受と回転軸の間に入り込んで生じる摩耗を防止す
るためには、回転軸のみでなく、軸受も金属を用いて耐
摩耗性を向上させると言う方法が考えられる。しかし、
回転軸と軸受の双方に金属を用いた場合、軸受の加工コ
ストが高くなると供に、軸受と回転軸との間に感光材料
の搬送不良の原因となる所謂かじりが生じてしまう。
【0008】これに対して、硬くかつ摺動性の高い樹脂
として、フッ素樹脂系充填材入りの樹脂があり、このよ
うな樹脂を用いることにより、処理液中の感光層の成分
による磨耗を抑えることができると共に、金属同士を用
いたときに生じるかじりも防止することができる。
【0009】しかしながら、フッ素樹脂系充填材入りの
樹脂などのように、硬く摺動性の高い樹脂を用いて軸受
を製作する場合、このような樹脂は、材料費が高くなる
と共に金属と同様に機械加工によって一つ一つ製作しな
ければならず、加工コストが高くなる。また、感光材料
処理装置では、多数のローラを用いており、それぞれの
ローラの軸受としてこのような軸受を用いることは、感
光材料処理装置の製品コストの大幅な上昇を招いてしま
う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実に鑑
みてなされたものであり、製造コストを抑えて耐摩耗性
を向上させたローラ用軸受部材構造を提案することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
ローラの回転軸を軸支するローラ用軸受部材構造であっ
て、前記ローラの回転軸が挿通される円孔が設けられて
いるブロック体が、ロックウェル硬度が20以上、摩擦
係数が0.20以下の樹脂によって形成され、前記樹脂
とは異なる樹脂によって形成された軸受本体の軸心部に
設けられ前記ブロック体の外形に応じた形状の貫通孔へ
前記ブロック体が嵌合されて成ることを特徴とする。
【0012】この発明によれば、軸受部材を、軸受本体
を樹脂によって形成すると共に、ローラの回転軸が挿通
される円孔が形成されたブロック体を硬く摺動性が高い
樹脂によって作成して、このブロック体の外形に応じた
形に軸受本体の軸心部に形成された貫通孔にブロック体
を嵌合させた二重構造としている。
【0013】ローラの回転軸と接触するブロック体に
は、ロックウェル硬度が20以上の硬い樹脂を用いてい
るので耐摩耗性を向上でき、例えば処理液中に含まれる
感光層の成分が回転軸と筒状体の間に入り込んでも、磨
耗によって劣化するのを抑えることができる。
【0014】また、耐摩耗性の高い樹脂は、一般に高価
であり加工が難しいが、このような樹脂をブロック状に
加工するだけの簡単な作業で済み、また、使用量も少な
いので、低コストで耐摩耗性の高い軸受部材が得られ
る。
【0015】ブロック体として用いる樹脂の摩擦係数
は、ローラを回転駆動させるための駆動源に大きな負荷
をかけないように、低いほど好ましいが、摩擦係数が
0. 2以下であれば良い。なお、摩擦係数は、ASTM
(American Society for Testingand Materials: アメ
リカ材料試験協会)D1894に基づいた数値を用いて
いる。
【0016】請求項2に係る発明は、前記ブロック体を
形成する樹脂がフッ素樹脂系充填材入り樹脂であること
を特徴とする。
【0017】この発明によれば、ブロック体に耐摩耗性
の高いフッ素樹脂系充填材入り樹脂を用いている。この
フッ素樹脂系充填材入り樹脂には、ロックウェル硬度が
70、摩擦係数が0. 04〜0.16のベアリーFL3
700(NTNルーロン社製の商品名)等がある。
【0018】なお、本発明のブロック体に適用可能な樹
脂としては、フッ素樹脂系充填材入り樹脂に限らず、超
高分子ポリエチレン等の硬度が高く、摩擦係数が低い樹
脂であれば適用することができる。
【0019】請求項3に係る発明は、前記軸受本体及び
前記ブロック体を形成する樹脂のそれぞれが耐腐食性の
樹脂であることを特徴とする。
【0020】この発明によれば、軸受本体とブロック体
のそれぞれを耐腐食性が高い樹脂によって形成し、これ
によって軸受本体に耐腐食性が得られるようにしてい
る。
【0021】例えば、樹脂には、感光材料を処理する処
理液中の成分等によって腐食や変質等が生じることがあ
る。これに対して、軸受本体と共にブロック体にも耐腐
食性の樹脂を用いることにより、感光材料を搬送するロ
ーラや、感光材料の表面をブラッシングするブラシロー
ラ等の回転軸の支持に用いても、長期に渡って安定して
感光材料の搬送や処理を行うことができる。
【0022】請求項4に係る発明は、前記ブロック体が
が前記軸受本体の軸心部の貫通孔へ圧入されていること
を特徴とする。
【0023】この発明によれば、ブロック体を軸受本体
の貫通孔へ圧入している。ブロック体を軸受本体へ圧入
することにより、軸受本体からの抜け防止や、軸受本体
とブロック体との相対回転を抑えることができる(廻り
止め)。
【0024】請求項5に係る発明は、前記ブロック体の
外周面に凹部ないし凸部を形成すると共に、前記軸受本
体の貫通孔の内周面に前記凹部に対応する凸部ないし前
記凸部に対応する凹部が形成されていることを特徴とす
る。
【0025】この発明によれば、軸受本体の貫通孔の内
周面とブロック体の外周面との間に形成した凹凸によっ
て、軸受本体からのブロック体の抜け止めを施してい
る。
【0026】ブロック体を軸受本体へ圧入するのではな
く、ブロック体を軸受本体にインサート成形するなどし
て一体に成形する方法もあるが、いずれの場合でも軸受
を処理液等の液中に配置した場合、軸受に用いられる樹
脂は、少なからず水分を含んで膨張する。このとき軸受
本体を形成する樹脂の膨張量(膨潤率)に比べて、ブロ
ック体を形成する樹脂の膨張量(膨張率)が小さいと、
軸受本体へブロック体を圧入したときも、インサート成
形等によって一体に成形したときにも、ブロック体と軸
受本体が剥がれてしまい、軸受本体からブロック体が抜
け出してしまう恐れがある。
【0027】これに対して、軸受本体の貫通孔の内周面
と、ブロック体の外周面の間に対応して凹凸などの簡単
な構造の抜け止め手段を設けることにより、軸受本体か
らのブロック体の抜けを確実に防止することができる。
また、この凹凸に廻り止め機能を合わせ持たすことがで
きる。
【0028】請求項6に係る発明は、前記ブロック体が
筒状に形成され、前記軸受本体の貫通孔の内周面と、該
貫通孔内に圧入された前記ブロック体の外周面との間
に、廻り止めピンが圧入されていることを特徴とする。
【0029】この発明によれば、軸受本体の内周面と円
筒状のブロック体(筒状体)の外周面との境界部に軸受
本体の軸心方向に廻り止めピンを圧入ないし打ち込む。
【0030】筒状体が軸受本体と剥がれたときなどで
は、軸受本体からの筒状体の抜けのみならず、軸受本体
に対して筒状体が相対回転してしまう。このとき、廻り
止めピンを圧入ないし打ち込み、軸受本体の内周面及び
筒状体の外周面に廻り止めピンを食い込ませたり、廻り
止めピンを軸受本体の内周面と筒状体の外周面へ押し付
けることにより、軸受本体と筒状体の間で相対回転が生
じてしまうのを確実に防止することができる。
【0031】なお、軸受本体とブロック体に使用する樹
脂の組み合わせは、樹脂の吸水率(膨潤率)を考慮して
選定することが好ましい。すなわち、吸水率の差が小さ
いか略同じ樹脂では、液中での膨潤量(例えば伸びな
ど)が略同じとなり、軸受本体とブロック体との剥がれ
やこれに伴う抜け等が生じ難くなる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら本発明
の実施の形態を説明する。
【0033】図1乃至図3には、本発明を適用した軸受
10が示されている。図1及び図2(A)乃至図2
(C)に示されるように、この軸受10は、軸受本体1
2とブロック体である筒体14によって形成されてい
る。図3に示されるように、この軸受10は、ローラ1
6の軸線方向に沿った両端に突設されている回転軸18
が筒体14内へ挿通される。ローラ16は、感光材料を
処理する現像液や水洗水等に漬けて使用しても、腐蝕等
が生じることがないように回転軸18にステンレス等の
耐腐食性の高い金属を用いている。
【0034】図1及び図2(A)乃至図2(C)に示さ
れるように、筒体14は、軸心部にローラ16の回転軸
18が挿通される円孔20が形成された円筒ブロック状
となっている。この円孔20の内周面は、回転軸18と
の間の摩擦抵抗の低減を図るために、研磨されて滑らか
に仕上げられている(例えば表面粗さが6.3S)。
【0035】筒体14の円孔20の内径は、直径15mm
の回転軸18に対して、例えば15 +0.1mm 〜15+0.2
Nmm の誤差範囲となるように仕上げられている。
【0036】また、筒体14の外周面には、半径方向の
外方に突出する突条22が円周に沿って形成されてい
る。この突条22は、後述する軸受本体12からの抜け
防止手段の一例として形成するものであり、突条22の
突出高さは、例えば外形寸法19.1-0mm〜19.1
-0.0cmm の筒体14に対して、突条22部分の外形寸法
が19.5+0mm〜19.5+0.3mmとなっている。
【0037】筒体14としては、硬く、摺動性の高い樹
脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、
例えばフッ素樹脂系充填材入りの樹脂であるベアリーF
L3700(NTNルーロン社製の商品名)などがあ
る。
【0038】このベアリーFL3700は、ロックウェ
ル硬度が70と極めて硬く、また、ASTM D189
4に基づいた測定法による摩擦係数が0.04〜0.1
6と、摺動性が高い樹脂である。
【0039】なお、筒体14を形成する樹脂としては、
これに限らず、フッ素樹脂系充填材入りの種々の樹脂を
用いることができる。このような樹脂は硬く、摺動性が
高いために削れ難く、また摩擦抵抗が小さく、ローラ1
6の回転軸18を円滑に回転させることができる。ま
た、筒体14として適用可能な樹脂は、フッ素樹脂系充
填材入り樹脂に限らず、超高分子ポリエチレン等の硬
く、摺動性の高い樹脂であれば適用が可能とである。
【0040】筒体14に用いる超高分子ポリエチレンと
しては、ロックウェル硬度が40、摩擦係数が0.08
である、SaxinニューライトNL−NSB(作新工
業(株)社製の商品名)などが挙げられる。
【0041】筒体14を形成する樹脂の摩擦係数は、低
いことが好ましいが、ローラ16を軸支する軸受として
用いられる樹脂の摩擦係数である0. 2以下が確保され
るものであれば良く、これによって、ローラ16を回転
させるときの駆動源の負荷が、筒体14を有する軸受1
0を用いたために大きくなってしまうのを防止すること
ができる。
【0042】このような軸受10を、感光材料を処理す
る感光材料処理装置に設けるときには、感光材料の処理
に使用する現像液等の処理液に対する耐腐食性(耐薬品
性)が高いことが必要であり、耐薬品性を考慮して筒体
14を製造する樹脂を選定することが必要である。
【0043】筒体14に用いられるこのような樹脂は、
射出成形等の一般的な樹脂の成形加工によって製造する
ことが困難であったり、成形コストが高くなってしまう
ことがある。これに対して、略円筒状の簡単な形状であ
るため、例えば樹脂のブロック状の塊から、機械の切削
加工によって容易に製造することができ、比較的低コス
トで得られる。
【0044】軸受本体12は、矩形ブロック状の基部2
4にフランジ部26が樹脂成形によって形成されてい
る。フランジ部26は、フランジ28と溝部30が形成
されている。また、基部24は、図示しないラック側板
に設けられた矩形孔等へ挿入されるようになっており、
これによって、軸受10がそのラック側板に装着され
る。
【0045】この軸受本体12は、基部24の中心がフ
ランジ部26の軸心に一致するように形成されており、
また、フランジ28が基部24の周囲から半径方向の外
方へ突出している。これによって、軸受10をラック側
板に装着したときにフランジ28がラック側板の表面に
当接するようになっている。
【0046】軸受本体12には、軸心部に筒体14が圧
入される貫通孔32が形成されている。この貫通孔32
は基部24とフランジ部26を貫通しており、基部24
側の貫通孔32の内周面には、前記した筒体14の突条
22に対応する係合溝34がリング状に形成されてい
る。
【0047】軸受本体12の貫通孔34の内径は、例え
ば前記した筒体14の外径と同径(19.1-0mm〜1
9.1-0.0cmm とされている。また、係合溝34部分の
内径は、19.5mmとされている。
【0048】このような軸受本体12は、感光材料処理
装置に用いられる現像液等の処理液に対する耐腐食性
(耐薬品性)の高い樹脂を用いている。このような樹脂
としては、ナイロンがあるが、これに限らず、ABS樹
脂、PP(ポリプロピレン)や、デルリン(デュポンジ
ャパンリミテッド社製の商品名)、ポム(ポリプラスチ
ック社製の商品名)等の耐薬品性の高い一般的樹脂を用
いることができる。
【0049】また、軸受本体12に用いる樹脂を選定す
るときには、吸水率(膨潤率)を考慮することがより好
ましい。すなわち、軸受本体12を形成するための樹脂
の吸水率と筒体14を形成する樹脂の吸水率の差が小さ
いか略同じ樹脂を用いることが好ましく、これによっ
て、軸受10を液中に配置したときの軸受本体12と筒
体14の膨潤量が略等しくなるので、抜け等の発生を防
止することができる。
【0050】図1に示されるように、軸受10は、軸受
本体12の貫通孔32内に筒体14を圧入して組付けら
れる。このとき、図2(B)に示されるように、軸受本
体12の貫通孔32に形成している係合溝34内に筒体
14の外周面に突設されている突条22が入り込むよう
にしている。これによって、係合溝34と突条22が係
合して、軸受本体12と筒体14の軸線方向に沿った相
対移動(抜け)が防止される。
【0051】なお、本実施の形態では、筒体14に凸部
となる突条22を形成し、軸受本体14に凹部となる係
合溝34を形成したが、筒体14に溝を形成し、軸受本
体12にこの溝に対応する凸部を形成しても良い。ま
た、本実施の形態では、突条22を筒体14の円周方向
にそって連続して形成したが、ブロック状の凸部を複数
個所に形成するものであっても良い。
【0052】一方、貫通孔32へ筒体14が圧入される
と、軸受本体12と筒体14の間、すなわち、軸受本体
12の貫通孔32の内面と、筒体14の外周面との境界
に間に、廻り止め手段としてスプリングピン38が打ち
込まれる。このスプリングピン38は、複数個所に打ち
込まれる。例えば、図2(B)に示されるように、軸受
10では、軸受10の軸心を中心に円周方向に120°
ずつずらして3個所に打ち込まれる。なお、スプリング
ピン38の数及び打ち込み位置は、これに限るものでは
なく任意に設定することができる。
【0053】スプリングピン38は、軸受10へ打ち込
まれることにより、軸受本体12の内周面と筒体14の
外周面をそれぞれ削って入り込むことにより、軸受本体
12と筒体14のそれぞれと係合する。これによって、
軸受本体12と筒体14は、軸心を中心とした回転方向
に沿った相対移動が防止される(廻り止め)。
【0054】図3に示されるように、このように形成さ
れた軸受10を対で配置されるローラ16のそれぞれに
取付けるときには、それぞれのローラ16の回転軸18
が筒体14の円孔20内に挿通されるようにする。この
とき、軸受10の基部24は、現像液、定着液等の液中
に配置される図示しないラック側板に設けられている取
付け孔に挿入されて装着される。また、それぞれのロー
ラ16の回転軸18が挿通されている軸受10の溝部3
0にコイルばね40等の付勢手段を巻きかけることによ
り、コイルばね40の付勢力によって軸受10が互いに
接近する方向へ付勢され、離間しないように保持され
る。このときのコイルばね40の付勢力によって、一対
のローラ16によって感光材料を挟持しながら搬送する
ときの挟持力が得られるようにしている。
【0055】このようにしてラック側板に取付けられた
ローラ16は、図示しない駆動手段の駆動力が一方の回
転軸18に伝達されることにより一体で回転し、液中に
送り込まれた感光材料等の被搬送物を挟持しながら搬送
する。
【0056】ところで、感光材料を処理する現像液等の
処理液には、感光材料の処理によって、感光材料の感光
層の成分が含まれることになる。処理液中の感光層の成
分は、処理液中に配置されている軸受10の筒体14と
ローラ16の回転軸18の間の隙間にも入り込む。この
とき、ローラ16が回転することにより、筒体14の内
周面に摺動しながら回転軸18が回転する。
【0057】このとき、回転軸18の外周面と筒体14
の内周面(円孔の内周面)との間に入り込んだ感光層の
成分は、回転軸18及び筒体14に対して研磨材として
作用する。回転軸18は、ステンレスを用いているの
で、この感光層の成分が研磨材となって外周面が削られ
てしまうことがない。
【0058】一方、筒体14は、金属と同様に硬く削れ
難い樹脂によって形成されているため、この筒体14も
ローラ16の回転軸18と同様に内周面が感光層の成分
によって削られてしまうことがない。
【0059】これによって、処理液中の感光層の成分が
研磨材となって軸受を研磨してしまうことによって生じ
る軸受の交換等のメンテナンスを頻繁に行わなくても、
感光材料の搬送不良等が生じることがない。すなわち、
長期に渡って感光材料等の被搬送物の安定した搬送が可
能となる。
【0060】このような筒体14を形成する樹脂は、研
磨材として作用する恐れのある感光層成分より硬ければ
良く、ロックウェル硬度が20以上であれば、感光層の
成分によって削られてしまうことがないために、所望の
耐久性が得られる。すなわち、筒体14としては、耐摩
耗性及び摺動性を考慮したときには、ロックウェル硬度
が20以上で、摩擦係数が0.2以下の樹脂であれば良
く、これによって、長期に渡って被搬送物を安定して搬
送するための軸受10が得られる。
【0061】一方、軸受10は、軸受本体12と筒体1
4を樹脂によって形成しているため、液中に配置したと
きに膨潤し、それぞれ軸線方向及び半径方向に沿って伸
びが生じる。このとき、軸形本体12を形成する樹脂と
筒体14を形成する樹脂の吸水率が略同じになるように
選択することにより、軸受本体12に圧入している筒体
14との間に緩みが生じるのを防止することができる。
これによって、軸受本体12からの筒体14の抜けや軸
受本体12に対する筒体14の廻りを防止することがで
き、ローラ16を安定した状態で支持することができ
る。
【0062】したがって、軸受10によって軸支される
ローラ16による感光材料等の被搬送物の安定した搬送
が可能となり、被搬送物に損傷等を生じさせることがな
い。
【0063】これに対して、軸受10によって支持する
ローラ16による安定した搬送性を確保するためには、
筒体14に用いた樹脂によって軸受10全体を一体に成
形する方法がある。しかし、ローラ16の回転軸18に
よる軸受の磨耗を考慮して、筒体14を形成しているフ
ッ素樹脂系充填材入りの樹脂で軸受を成形しようとして
も、このフッ素樹脂系充填材入り樹脂は高価でありまた
加工も容易ではない。すなわち、筒体14には、一般的
な樹脂を使用することが困難であり、また、ブロック状
の樹脂から筒体14と軸受本体12を一体で機械加工す
ると、外形形状が複雑となるため加工コストが高くなっ
てしまう。
【0064】このような材料コスト及び加工コストの高
い樹脂によって製作した多数の軸受を感光材料処理装置
に取付けると、感光材料処理装置の製品コストを大きく
上昇させてしまうことになる。
【0065】これに対して、本実施の形態に適用した軸
受10では、高価な樹脂を筒体14のみに使用すること
により、材料費の上昇を抑えると共に、この筒体14を
加工が容易な円筒形状とすることにより加工コストの上
昇を抑えている。したがって、長期に渡って感光材料の
安定した搬送性を確保することができる感光材料処理装
置の製造コストの上昇も抑えることができる。
【0066】なお、以上説明した本実施の形態は本発明
の一例を示すものであり、本発明の構成を限定するもの
ではない。特に軸受10の外形を形成する軸受本体14
の外形形状は、任意の形状とすることができる。
【0067】また、本実施の形態では、抜け止めとして
筒体14の外周面に突条22を形成し、軸受本体12の
貫通孔32に係合溝34を形成すると共に、廻り止めと
してスプリングピン38を打ち込んだが、抜け止め及び
及び廻り止めはこれに限るものではない。例えば、図
4、図5(A)及び図5(B)に示されるように、突条
22に換えて外周面の所定の位置に複数の凸部56を形
成した筒体54を用いると共に、係合溝34に換えて凸
部56に対応する位置に凹部58を形成した軸受本体5
2を用いても良い。
【0068】図4に示すように、筒体54と軸受本体5
2を用いた軸受50は、軸受本体52の凹部58に筒体
54の凸部56が対応するようにして、筒体54を軸受
本体52の貫通孔32へ圧入する。軸受本体52の貫通
孔32へ圧入された筒体54の凸部56が凹部58内へ
入り込むことにより、筒体54と軸受本体52とが係合
し、図5(A)に示されるように、軸受本体52からの
筒体54の抜け止めがなされると共に、図5(B)に示
されうように、筒体54の軸受本体52に対する廻り止
めがなされる。
【0069】このような凸部56と凹部58は、例えば
3組の凸部56と凹部58を形成するときには、軸受本
体52は又は筒体54の軸心を中心にして120°ずつ
ずらして配置することが好ましいが、これに限らず任意
の位置に配置しても良い。また、凸部56と凹部58
は、少なくとも1組設ければ良い。また、逆に、軸受本
体52に凸部を設け、筒体54にこの凸部に対応する凹
部を設けるようにしても良い。
【0070】これによって、スプリングピン38を打ち
込み作業が不要となり、製作作業の簡略化を図ることが
できる。
【0071】また、本実施の形態ではブロック体として
円筒状の筒体14、54を用いたが、本発明が適用され
るブロック体の形状は、これに限るものではない。例え
ば図6に示されるように、直方体形状のブロック体64
にローラ16の回転軸18が挿通される貫通孔20を形
成したものであってもよい。
【0072】この場合、ブロック体64と共に軸受60
を形成する軸受本体62には、ブロック体64の外形形
状に応じた貫通孔として矩形孔66を形成すれば良い。
これによって、軸受本体62の矩形孔66へブロック体
64を圧入することにより、廻り止めが施された軸受6
0が得られる。
【0073】このように軸受60では、ブロック体64
の外周面に突条22や凸部56等のような凸部を形成
し、このブロック体64の凸部の位置及び形状に応じ
て、軸受本体62の矩形孔66の内周面に係合溝34や
凹部58等のような凹部を形成すれば、軸受本体62か
らのブロック体64の抜け止めを図ることができる。
【0074】また、ブロック体としては、ブロック体6
4のように圧入方向の手前側から見た形状が矩形(4角
形)に限らず、五角形等の多角形状にすることができ
る。すなわち、ブロック体としては、回転軸18が挿通
される円孔として貫通孔20が形成された任意の形状の
筒体を用いることができ、このブロック体の外形にあわ
せて軸受本体に貫通孔を形成すれば良い。
【0075】なお、本発明を適用した軸受10は、フィ
ルム、ペーパ、印刷版等の感光材料を処理する感光材料
処理装置において、感光材料の搬送に用いられるローラ
16に限らず、種々の被搬送物を搬送するローラの支持
に用いることができる。また、ブラシローラ等の感光材
料を処理するローラの支持に用いることができる。すな
わち、被搬送物を搬送処理するローラを備えた種々の装
置において、ローラを軸支する軸受として用いることが
できる。
【0076】
【発明の効果】以上説明した如く本発明によれば、耐摩
耗性及び摺動性が高い樹脂によって回転軸が挿通される
ブロック体を形成し、このブロック体を軸受本体に嵌入
させた二重構造としている。これによって、軸受部材を
形成するときの耐研磨性を向上させるために用いる高価
な樹脂の使用量を少なくすることができると共に、この
樹脂が用いられるブロック体を加工が容易な形状とする
ことができ、耐摩耗性の高い軸受部材の製造コストが上
昇するのを抑えることができる優れた効果が得られる。
また、処理液中の含有物による磨耗が抑えられるので耐
久性の向上を図ることができる。さらに、軸受を液中に
配置したときに生じる吸水率の差によって抜けや廻りが
生じてしまうのを確実に防止し、長期にわたって軸支す
るローラ等によって感光材料等の被搬送物の安定した搬
送処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に適用した軸受を構成する軸受本
体と筒体を示す概略斜視図である。
【図2】(A)は軸受の一部を軸線方向に沿って切断し
た要部断面図、(B)は軸受を軸線方向に沿って見た概
略平面図、(C)は筒体の一部を軸線方向に沿って切断
した要部断面図である。
【図3】軸受の使用例を示す軸受とローラの要部斜視図
である。
【図4】本実施の形態に適用した軸受の他の一例を示す
軸受本体とブロック体である筒体を示す概略斜視図であ
る。
【図5】(A)は図4に示す軸受の一部を軸線方向に沿
って切断した要部断面図、(B)は図4に示す軸受を軸
線方向に沿って見た概略平面図である。
【図6】本実施の形態に適用した軸受の他の一例を示す
軸受本体とブロック体を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 軸受 12 軸受本体 14 筒体(ブロック体) 16 ローラ 18 回転軸 20 円孔 22 突条(凸部) 32 貫通孔 34 係合溝(凹部) 38 スプリングピン(廻り止めピン)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ローラの回転軸を軸支するローラ用軸受
    部材構造であって、前記ローラの回転軸が挿通される円
    孔が設けられているブロック体が、ロックウェル硬度が
    20以上、摩擦係数が0.20以下の樹脂によって形成
    され、前記樹脂とは異なる樹脂によって形成された軸受
    本体の軸心部に設けられ前記ブロック体の外形に応じた
    形状の貫通孔へ前記ブロック体が嵌合されて成ることを
    特徴とするローラ用軸受部材構造。
  2. 【請求項2】 前記ブロック体を形成する樹脂がフッ素
    樹脂系充填材入り樹脂であることを特徴とする請求項1
    に記載のローラ用軸受部材構造。
  3. 【請求項3】 前記軸受本体及び前記ブロック体を形成
    する樹脂のそれぞれが耐腐食性の樹脂であることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載のローラ用軸受部材
    構造。
  4. 【請求項4】 前記ブロック体が前記軸受本体の軸心部
    の貫通孔へ圧入されていることを特徴とする請求項1乃
    至請求項3の何れかに記載のローラ用軸受部材構造。
  5. 【請求項5】 前記ブロック体の外周面に凹部ないし凸
    部を形成すると共に、前記軸受本体の貫通孔の内周面に
    前記凹部に対応する凸部ないし前記凸部に対応する凹部
    が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項
    4の何れかに記載のローラ用軸受部材構造。
  6. 【請求項6】 前記ブロック体が筒状に形成され、前記
    軸受本体の貫通孔の内周面と、該貫通孔内に圧入された
    前記ブロック体の外周面との間に、廻り止めピンが圧入
    されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何
    れかに記載のローラ用軸受部材構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101952266B1 (ko) * 2017-11-15 2019-02-27 주식회사 용진 익스팬더 롤러
KR20200062486A (ko) * 2018-11-27 2020-06-04 한국가스공사 Lng펌프용 임펠러의 마모링 어셈블리

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