JPH1135824A - 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 - Google Patents

室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物

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JPH1135824A
JPH1135824A JP9191698A JP19169897A JPH1135824A JP H1135824 A JPH1135824 A JP H1135824A JP 9191698 A JP9191698 A JP 9191698A JP 19169897 A JP19169897 A JP 19169897A JP H1135824 A JPH1135824 A JP H1135824A
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JP
Japan
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silicon
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functional
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JP9191698A
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Kazuhisa Ono
和久 小野
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Momentive Performance Materials Japan LLC
Original Assignee
Toshiba Silicone Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 深部硬化性および接着性を低下させることな
く、硬化の途中に適度な作業時間を付与するように、表
面硬化性を調節された室温硬化性ポリオルガノシロキサ
ン組成物を提供する。 【解決手段】 (A)ケイ素官能性ポリジオルガノシロ
キサン、または該(A)と架橋剤との組合せを含む室温
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物において、(B)
スズ原子に置換または非置換のアリールオキシ基が直接
結合している有機スズ化合物を含むことを特徴とする室
温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室温硬化性ポリオ
ルガノシロキサン組成物に関し、さらに詳しくは、湿気
の存在しない密封条件下では安定であり、空気中の水分
と接触することにより、室温で硬化してゴム状弾性体を
生成するポリオルガノシロキサン組成物に関する。特に
本発明は、深部硬化性および接着性を低下させることな
く、表面硬化性(乾燥性)を調節された室温硬化性ポリ
オルガノシロキサン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】室温で硬化してゴム状弾性体を生成する
ポリオルガノシロキサン組成物の中で、空気中の水分と
接触することによって硬化反応が生起するタイプのもの
は、縮合反応型の室温硬化性液状シリコーンゴム(RT
Vシリコーンゴム)として知られており、接着性に優れ
ているため、電気・電子工業や自動車工業などにおける
弾性接着剤およびコーティング材など、また建築用シー
リング材などとして広く用いられている。このような組
成物は、一般に分子末端が水酸基で封鎖された水酸基末
端ポリジオルガノシロキサンをベースポリマーとし、分
子中に平均2個を越える加水分解性基を有する架橋剤、
および必要に応じて触媒や接着性向上剤などを配合した
ものであり、架橋剤の種類に応じて、硬化の際にアルコ
ール、アセトン、カルボン酸、有機アミン、アミド、有
機ヒドロキシルアミン、オキシム化合物などを放出す
る。また、一部の脱アルコール型のように、あらかじめ
分子末端のケイ素原子に加水分解性基であるアルコキシ
基の結合した末端反応性ポリオルガノシロキサンをベー
スポリマーとして用いたものもあり、硬化性および保存
安定性、作業性などに優れた組成物が見出されている。
【0003】また、各々の架橋剤および末端のケイ素原
子に結合した加水分解反応性基の種類により、種々の特
色が現れる。脱酢酸型のような脱カルボン酸型は、硬化
性に優れ、特にガラスなどに対して優れた接着性を示す
反面、硬化の際に酢酸のようなカルボン酸を放出するた
め、刺激臭が強いうえ、金属や大理石などを侵すという
問題がある。脱アミン型は、同様に硬化の際に放出する
アミンに臭気と毒性があり、脱ヒドロキシルアミン型、
脱アミド型は低モジュラスの硬化物が得られるが硬化が
遅い。脱アセトン型は速乾性であるが黄変を起こしやす
い。脱オキシム型は、接着性などの特性に優れ、汎用的
に使用されているが、銅系金属に対して腐食性を示す。
脱アルコール型において、ベースポリマーとして末端水
酸基封鎖型のポリジオルガノシロキサンを用いたもの
は、臭気や腐食性の問題はないが、硬化が遅く、保存性
が悪い。ただし、末端加水分解性基(アルコキシ基)型
のポリジオルガノシロキサンをベースポリマーとして用
いたものは、保存性がよく、しかも速乾性であるなどの
特徴を有している。
【0004】このように、硬化反応にあずかる反応性基
(加水分解性基)によって種々の特徴と問題点がある
が、一般に、硬化性に優れたものは表面の硬化も速いの
で作業性に劣り、作業性に優れたものは硬化性が悪い傾
向があって、そのバランスは難しい。すなわち、エノキ
シ基、アセトキシ基、ケトキシマト基およびポリジオル
ガノシロキサン末端のアルコキシ基などを反応基として
有する、広く実用されているものは、その反応性(加水
分解性)の高さのゆえに空気中にさらすことによって硬
化が始まり、短時間で表面に薄皮を形成してしまう。そ
のため、ヘラ仕上げなどの作業を行う前の時間が十分に
とれないなどの問題を生ずる。それに対して、硬化の遅
いものは、作業性は良好であるが、硬化までの時間がか
かりすぎるため、十分な強度が発現するまで長時間静置
する必要があり、そのうえ未硬化表面へのゴミやほこり
の付着などの問題がある。また、硬化の遅いものは、硬
化後の表面が粘着性を帯びたり、ポリオルガノシロキサ
ンがブリードすることもある。このように、硬化性とヘ
ラ仕上げなどの作業性とを同時に満足させることは、長
年の課題であった。
【0005】このことは、未硬化の組成物を単一の湿密
性容器に収容して保存し、空気中の水分と接触させて硬
化させるタイプの液状シリコーンゴムの硬化機構および
硬化触媒による場合に、特に問題になる。硬化触媒とし
て最も広く用いられている化合物としては、カルボン酸
スズ、ジアキルスズジカルボキシレート、ジアルキルス
ズジメトキシド、酸化ジアルキルスズのようなスズ化合
物が例示される。これらのうち、カルボン酸スズは、硬
化時間、特に表面乾燥時間が長く、ジアルキルスズジカ
ルボキシレートやジアルキルスズジメトキシドは、表面
硬化が速くて、皮張り現象のために作業性が劣る。ま
た、酸化ジアルキルスズは、ポリオルガノシロキサンへ
の溶解性が悪い。
【0006】ジアルキルスズジカルボキシレートとアル
コキシシラン類またはケイ酸アルキルとの反応生成物を
触媒として用いることが多数開示されている(米国特許
第3186963号明細書、ベルギー特許第84230
5号公報など参照)。しかしながら、このような触媒を
用いる系もまた、硬化速度が速い反面、作業性が劣る。
ジオルガノスズビス(β−ジケトン)やβ−ジカルボニ
ル構造を有する5配位スズ(IV)モノキレート化合物を
触媒として用いることも開示されている(米国特許第4
517337号明細書、同第4554310号明細書、
特開平1−22887公報参照)。しかしながら、これ
らもやはり速硬性による作業性の制約があるほか、カル
ボニル基に起因する変色があり、特に接着性向上剤とし
てアミノ基含有シランを配合する場合に、それが顕著で
ある。
【0007】本発明者は、さきに、深部硬化性および接
着性を低下させることなく、硬化の途中に適度の作業時
間を与えるために表面硬化性を調節する系として、触媒
にスズ含有有機化合物を用い、これに亜鉛または鉛を有
する有機化合物を併用する系(特開平9−87519号
公報)、および鉄またはニッケルを有する有機化合物を
併用する系(特開平9−87520号公報)を提案して
いる。これらの金属原子含有有機化合物の併用によっ
て、硬化性と作業性を両立させることが可能になった
が、前者の系は、環境への影響や作業環境を考慮すると
その用途が限定され、後者の系は組成物が着色するの
で、半透明または白色のゴム状弾性体を目的とする用途
には適さない。そこで、硬化性に優れ、作業性にも優れ
ながら、さらに組成物に優れた接着性を与え、着色のよ
うな問題がなく、各種の用途に広く適用できる系が望ま
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、空気
との接触面から深部への硬化性および接着性を低下させ
ることなく、硬化の途中に適度な作業時間を付与するよ
うに、表面硬化性(乾燥性)が調節された室温硬化性ポ
リオルガノシロキサン組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、縮合触媒であ
るスズ含有有機化合物として、スズ原子に置換または非
置換のアリールオキシ基が直接結合している有機スズ化
合物を用いることにより、硬化の途中における表面の被
膜形成を遅延させる作用があることを見出して、本発明
を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の室温硬化性ポリオルガ
ノシロキサン組成物は、(A1)分子中にケイ素官能基
として平均2個を越える数の加水分解性基を有するケイ
素官能性ポリジオルガノシロキサン;または(A2)分
子中に2個以上のケイ素官能基を有するケイ素官能性ポ
リジオルガノシロキサンおよび架橋剤を含む室温硬化性
ポリオルガノシロキサン組成物において、(A1)また
は(A2)である(A)100重量部に対して、(B)
スズ原子に置換または非置換のアリールオキシ基が直接
結合している有機スズ化合物 0.01〜10重量部を
含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明においてベースポリマーと
して用いられる(A)ケイ素官能性ポリジオルガノシロ
キサンは、上記のようなケイ素官能基を有する(A1)
または(A2)である。(A1)成分は、それ自体が、
(B)成分の触媒作用によって架橋反応を起こして硬化
する。(A2)成分は、該(A2)成分と架橋剤を組み
合わせて用いることにより、(B)成分の触媒作用によ
って(A2)成分と架橋剤とが架橋反応を起こして硬化
する。いずれの場合も、反応は加水分解反応とそれに続
く縮合反応であり、空気中の水分の存在で反応が進行す
る。
【0012】本発明に用いられる(A)成分は、代表的
には、下記の一般式:
【化1】 (式中、R4 はたがいに同一でも異なっていてもよい置
換または非置換の1価の炭化水素基を表し;R5 は−Z
SiR6 3-pp を表し、Zは酸素および/または2価の
炭化水素基を表し、R6 はたがいに同一でも異なってい
てもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、
Xは水酸基または加水分解性基を表し、pは1〜3の数
であり;nは該(A)成分の25℃における粘度を20
〜1,000,000cPにする数である)で示される、
実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンであり、そ
の末端基R5 は、ケイ素官能性基Xを少なくとも1個有
するケイ素官能性シロキシ単位である。すなわち、該
(A)成分は、分子の両末端に、上記のケイ素官能性基
Xをそれぞれ少なくとも1個有する。
【0013】R4 は、たがいに同一でも異なっていても
よい置換または非置換の1価の炭化水素基である。R4
としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルのようなア
ルキル基;ビニル、アリルのようなアルケニル基;フェ
ニル、トリル、キシリルのようなアリール基;2−フェ
ニルエチル、2−フェニルプロピルのようなアラルキル
基が例示され;さらにこれらの炭化水素基の水素原子の
一部が他の原子または基で置換されたもの、すなわちク
ロロメチル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルのようなハロゲン化アルキル基;3−シ
アノプロピルのようなシアノアルキル基などの置換炭化
水素基が例示される。これらのうち、合成が容易で、
(A)成分が分子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組
成物に良好な押出し性を与えることと、硬化後の組成物
に良好な物理的性質を与えることから、全有機基の85
%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべ
ての有機基がメチル基であることが特に好ましい。一
方、特に耐熱性、耐放射線性、耐寒性または透明性を付
与する場合は、R4 の一部として必要量のフェニル基
を;耐油性、耐溶剤性を付与する場合は、R4 の一部と
して3,3,3−トリフルオロプロピル基や3−シアノ
プロピル基を;また塗装適性を有する表面を付与する場
合は、R4 の一部として長鎖アルキル基やアラルキル基
を、それぞれメチル基と併用するなど、目的に応じて任
意に選択できる。
【0014】末端基R5 のケイ素原子に結合するR6
は、たがいに同一でも異なっていてもよく、またR4
同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価の
炭化水素基であり、R4 と同様なものが例示される。合
成が容易で、Xの反応性が優れていることから、メチル
基またはビニル基が好ましい。またZは、たがいに同一
でも異なっていてもよく、酸素原子;ならびにメチレ
ン、エチレン、トリメチレンのようなアルキレン基;フ
ェニレン基などの2価の炭化水素基が例示され、合成の
容易なことから、酸素原子およびエチレン基が好まし
く、酸素原子が特に好ましい。
【0015】Xは末端基R5 に少なくとも1個存在する
ケイ素官能性基、すなわち水酸基または加水分解性基で
ある。Xとしては、水酸基のほか;メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、ブトキシのようなアルコキシ基;2−
メトキシエトキシ、2−エトキシエトキシのような置換
アルコキシ基;イソプロペノキシのようなエノキシ基;
アセトキシ、オクタノイルオキシのようなアシロキシ
基;ジメチルケトキシマト、メチルエチルケトキシマ
ト、ジエチルケトキシマト、メチルブチルケトキシマ
ト、エチルブチルケトキシマトのようなケトキシマト
基;アセトアミド、N−メチルアセトアミドのようなア
ミド基;N´,N´−ジエチル−N−メチルウレイドの
ようなウレイド基;ジメチルアミノ、メチルエチルアミ
ノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノのようなアミ
ノ基;メチルエチルアミノキシ、ジエチルアミノキシ、
エチルブチルアミノキシのようなアミノキシ基などの加
水分解性基が例示され、たがいに同一でも異なっていて
もよい。合成の容易さ、硬化前の組成物の物性、保存中
の安定性、硬化性、経済性および広範囲の用途に用いら
れることから、水酸基、アルコキシ基、イソプロペノキ
シ基、アセトキシ基またはメチルエチルケトキシマト基
が好ましい。
【0016】末端基R5 におけるケイ素官能基Xの数p
は、1〜3である。そのうち、架橋剤を配合する室温硬
化性ポリオルガノシロキサン組成物に用いる(A2)成
分としては、合成が容易で、各種の架橋剤と組み合わせ
て用いられることから、Xが水酸基で、pが1のものが
好ましい。このようなケイ素官能性ポリジオルガノシロ
キサンは、たとえば、オクタメチルシクロテトラシロキ
サンのような環状ジオルガノシロキサン低量体を、水の
存在下に酸性触媒またはアルカリ性触媒によって開環重
合または開環共重合させることにより、得られた直鎖状
ポリジオルガノシロキサンの末端基に、ケイ素原子に結
合する水酸基を導入できる。
【0017】Xが加水分解性基のものは、たとえば、上
述のようにして得られた、末端に水酸基を有するポリジ
オルガノシロキサンに、2個以上の任意の加水分解性基
を有するシランを縮合させることによって、合成でき
る。この場合、該シランの加水分解性基はこの縮合反応
によって1個が消費されるので、反応によって得られた
ポリジオルガノシロキサンの末端基R5 におけるXの数
pは、用いられた加水分解性基含有シランが有していた
Xの数よりも1個少ない。
【0018】また、硬化前の組成物に適度の押出し性を
付与するとともに、硬化後のゴム状弾性体に優れた機械
的性質を与えるために、(A)成分のnは、通常、該
(A)の25℃における粘度が20〜1,000,00
0cPになるように選択される。該粘度が20cP未満では
硬化後のゴム弾性体の伸びが十分でなく、一方、1,0
00,000cPを越えると均一な組成物が得にくく、押
出し作業性も低下する。特に好ましい粘度は、硬化前お
よび硬化後の組成物に要求される性質を調和させること
から、500〜200,000cPの範囲である。
【0019】架橋剤を用いない室温硬化性ポリオルガノ
シロキサン組成物においては、上記の(A)成分のう
ち、(A1)成分、すなわちXが加水分解性基であり、
pが平均1を越える数(すなわち、分子中に平均2を越
える数のXを有する)のものをベースポリマーとして用
いる。この場合、(A1)成分中の該Xの加水分解反応
と、引続く縮合反応により、架橋剤がなくても架橋構造
が形成され、硬化してゴム状弾性体を生ずる。好ましい
Xはメトキシのようなアルコキシ基;アセトキシのよう
なアシロキシ基;およびメチルエチルケトキシマトのよ
うなケトキシマト基であり、メトキシ基が特に好まし
い。pは2〜3が好ましい。このようなベースポリマー
を用いることは、硬化前の組成物を安定化させるととも
に、優れた硬化性を与えるために好ましい。
【0020】架橋剤を用いる室温硬化性ポリオルガノシ
ロキサン組成物においては、(A)成分として、(A
2)成分を、架橋剤と組み合わせて用いることにより、
架橋構造を形成させる。(A2)成分としては、Xが水
酸基であるか、pが1(すなわち、分子中に水酸基およ
び/または上記と同様の加水分解性基である2個のXを
有する)のものを用いることができる。
【0021】架橋剤としては、水および硬化触媒(B)
の存在下に(A2)中のケイ素官能性基Xと反応し、組
成物を硬化させるためのケイ素官能性基を有するケイ素
化合物および/またはその部分加水分解縮合物が用いら
れる。該ケイ素化合物は、下記の一般式: R7 4-qSiYq (式中、R7 はたがいに同一でも異なっていてもよい置
換または非置換の1価の炭化水素化を表し;Yは加水分
解性基を表し;qは平均2を越え、4以下の数である)
で示される。R7 としては、(A)成分のケイ素原子に
直接結合した有機基R4 と同様な基を例示することがで
き、入手のしやすさと、優れた架橋反応速度が得られる
ことから、メチル基またはビニル基が好ましい。また、
加水分解性基Yとしては、(A)成分の末端基に存在す
るXとして、水酸基とともに挙げられたのと同様のもの
が例示される。
【0022】このような架橋剤の例としては、テトラメ
トキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニ
ルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラ
ンおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなアルコキ
シ基含有化合物;テトラキス(2−エトキシエトキシ)
シラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラ
ン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メ
チルトリス(2−エトキシエトキシ)シランおよびそれ
らの部分加水分解縮合物のような置換アルコキシ基含有
化合物;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルト
リイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノ
キシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチ
ルビニルジイソプロペノキシシランおよびそれらの部分
加水分解縮合物のようなエノキシ基含有化合物;メチル
トリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、
ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシ
シラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジ−tert−ブト
キシジアセトキシシランおよびそれらの部分加水分解縮
合物のようなアセトキシ基含有化合物;テトラキス(ジ
メチルケトキシマト)シラン、メチルトリス(ジメチル
ケトキシマト)シラン、テトラキス(メチルエチルケト
キシマト)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキ
シマト)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシ
マト)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシ
マト)シラン、メチルトリス(ジエチルケトキシマト)
シラン、テトラキス(メチルブチルケトキシマト)シラ
ン、メチルトリス(エチルブチルケトキシマト)シラ
ン、テトラキス(エチルブチルケトキシマト)シラン、
ジメチルビス(ジメチルケトキシマト)シラン、ジメチ
ルビス(メチルエチルケトキシマト)シラン、メチルビ
ニルビス(メチルエチルケトキシマト)シラン、ジフェ
ニルビス(ジエチルケトキシマト)シラン、メチルビス
(メチルエチルケトキシマト)メトキシシラン、メチル
ビス(メチルエチルケトキシマト)エトキシシラン、メ
チルビス(メチルエチルケトキシマト)イソプロポキシ
シランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなケト
キシマト基含有化合物などが例示される。これらのう
ち、qが2であるシランは、qが3または4であるシラ
ンと併用される。
【0023】これらのうち、合成が容易で、組成物の保
存安定性を損なうことなく、しかも大きな架橋反応速
度、したがって大きな硬化速度を与えることを考慮する
と、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチル
トリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イ
ソプロペノキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、テトラキス(メチル
エチルケトキシマト)シラン、メチルトリス(メチルエ
チルケトキシマト)シラン、ビニルトリス(メチルエチ
ルケトキシマト)シラン、およびそれらの部分加水分解
縮合物を用いることが好ましい。
【0024】架橋剤の配合量は、(A2)成分100重
量部に対して、通常、0.5〜25重量部であり、好ま
しくは3〜10重量部である。0.5重量部未満では架
橋が十分に行われず、硬度の低い硬化物しか得られない
ばかりでなく、架橋剤を配合した組成物の保存安定性が
悪い。一方、25重量部を越えて配合すると、保存中に
その一部が系より分離し、硬化の際に著しい収縮を生
じ、得られたゴム状弾性体の物性が低下する。
【0025】なお、(A)成分として、前述の(A1)
であるXが加水分解性基で、pが平均1を越えるものを
用いる場合は、前述のように、基本的には架橋剤がなく
ても硬化が可能であるが、このような場合においても、
組成物の硬化性と、硬化して得られるゴム状弾性体の機
械的性質とをバランスよく具現するために、上記の架橋
剤を併用することが好ましく、加水分解性基YがXと同
じである架橋剤を併用することがより好ましい。この場
合の架橋剤の配合量は、(A1)成分100重量部に対
して、通常、0.1〜25重量部であり、好ましくは
0.3〜10重量部である。25重量部を越えて配合す
ると、さきに述べたような現象を生ずる。
【0026】本発明において、さきに具体例を列挙した
ような、R7 として1価の炭化水素基を有するケイ素官
能性化合物のほか、置換された1価の炭化水素基を有す
る、炭素官能性の同様な化合物を、架橋剤の一部または
全部として用いてもよい。このようなR7 としては、置
換もしくは非置換のアミノ基、エポキシ基、イソシアナ
ト基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基またはハ
ロゲン原子で置換されたアルキル基やフェニル基が例示
され、このような置換アルキル基としては、置換メチ
ル、3−置換プロピル、4−置換ブチルが例示される
が、合成が容易で、安定なことから、3−置換プロピル
基が好ましい。
【0027】このようなR7 を有する化合物としては、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリアセトア
ミドシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)
−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル
−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニ
ル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−
ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランのよ
うな置換または非置換のアミノ基含有シラン;3−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、3,4−エポキシ
シクロヘキシルエチルトリメトキシシランのようなエポ
キシ基含有シラン;3−イソシアナトプロピルトリメト
キシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキ
シシランのようなイソシアナト基含有シラン;3−アク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプ
ロピルメチルジメトキシシランのような(メタ)アクリ
ロキシ基含有シラン;3−メルカプトプロピルトリメト
キシシランのようなメルカプト基含有シラン;および3
−クロロプロピルトリメトキシシランのようなハロゲン
原子含有シランが例示される。このような置換炭化水素
基含有シランや前記のビニル基含有シランは、炭素官能
性シランであって、これらを配合することにより、組成
物が硬化する際の各種基材への接着性を向上させること
ができる。これらのうち、組成物の硬化性および接着性
を向上させる効果や、その発現性の速いことから、置換
または非置換のアミノアルキル基含有シランを用いるこ
とが好ましい。
【0028】このような炭素官能性シランの配合量は、
前記の架橋剤のうち、(A)成分100重量部に対して
0.05〜25重量部が好ましく、0.1〜10重量部
がさらに好ましい。0.05重量部未満では接着性の向
上効果が少なく、またその発現が遅い。また25重量部
を越えて配合すると、前記のような問題点のほか、保存
安定性と作業性が悪くなり、また黄変現象を生ずる。
【0029】本発明に用いられる(B)成分のスズ原子
に置換または非置換のアリールオキシ基が直接結合して
いる有機スズ化合物(以下、単にアリールオキシ基含有
有機スズ化合物という)は、スズ原子に少なくとも1個
のアリールオキシ基が直接結合しており、かつ、スズ原
子に結合した有機基を有する化合物である。該(B)成
分は、本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成
物において特徴的な成分であり、(A)成分自体に含有
されるXどうし、および/または(A)成分のXと架橋
剤のYとを、水分の存在下に反応させて架橋構造を形成
させ、ゴム状弾性体を得るための硬化触媒である。
【0030】合成が容易で、上記の硬化触媒として優れ
た硬化速度を与え、しかも表面の硬化を抑制して適度の
作業性を与えることから、(B)成分としては、一般
式: R1 aSn(OR2)b3 c (I) (式中、R1 はたがいに同一でも異なっていてもよい置
換または非置換の1価の炭化水素基を表し;R2 はたが
いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換のア
リール基を表し;R3 はたがいに同一でも異なっていて
もよい置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換または
非置換の1価のカルボン酸残基および/または−OSn
1 d(OR2)e 基を表し;aおよびbはそれぞれ独立し
て1〜3の整数、cは0〜2の整数であって、a+b+
cは4であり;dおよびeはそれぞれ独立して1または
2であって、d+eは3である)で示されるアリールオ
キシ基含有有機スズ化合物が好ましい。
【0031】R1 の置換または非置換の1価の炭化水素
基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペン
チル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシ
ルのようなアルキル基;ビニル、アリル、ブテニルのよ
うなアルケニル基;ベンジルのようなアラルキル基;フ
ェニルのようなアリール基;およびヒドロキシメチル、
クロロメチルのような置換炭化水素基が例示され、触媒
能および安全に取扱いうることから、炭素数4〜8のア
ルキル基が好ましく、ブチル基が最も好ましい。OR2
としては、フェノキシ、2−トリルオキシ、3−トリル
オキシ、4−トリルオキシ、2−tert−ブチルオキシ、
2,6−ジ−tert−ブチルオキシ、2−フェニルフェノ
キシ、3−フェニルフェノキシ、4−フェニルフェノキ
シ、1−ナフチルオキシのようなアリールオキシ基、お
よび2−クロロフェノキシ、4−クロロフェノキシ、2
−メトキシカルボニルフェノキシのような置換アリール
オキシ基が例示され、本発明の目的である組成物の表面
付近の硬化速度を制御する効果から、2−フェニルフェ
ノキシおよび1−ナフチルオキシのように、酸素原子に
対してオルト位に他の芳香環または縮合環の部分が存在
するアリールオキシ基が好ましく、2−フェニルフェノ
キシ基が最も好ましい。
【0032】アリールオキシ基含有有機スズ化合物とし
ては、4価のスズ原子にR1 とOR2 がそれぞれ1〜3
個の範囲で任意に結合しうるが、触媒能および安全に取
扱いうることから、スズ原子に2個のR1 と1個または
2個のOR2 が結合していることが好ましい。
【0033】また、アリールオキシ基含有有機スズ化合
物のスズ原子には、2個までの範囲でR3 が結合してい
てもよい。R3 としては、メトキシ、エトキシ、プロポ
キシ、ブトキシのようなアルコキシ基;2−メトキシエ
トキシのような置換アルコキシ基;アセトキシ、プロパ
ノイルオキシ、オクタノイルオキシ、ラウロイルオキ
シ、オレイルオキシのような1価のカルボン酸残基;お
よび3−クロロプロパノイルオキシのような置換カルボ
ン酸残基が例示される。さらに、R3 の少なくとも一部
が、−OSnR1 d(OR2)e 基(式中、R1 、R2 は前
述のとおり)であってもよい。この基においては、存在
する4価のスズ原子にR1 とOR2 がそれぞれ1個また
は2個の範囲で任意に結合しうる。
【0034】アリールオキシ基含有有機スズ化合物とし
ては、ジブチルジフェノキシスズ、ジブチルビス(2−
tert−ブチルフェノキシ)スズ、ジブチルビス(2,6
−ジ−tert−ブチルフェノキシ)スズ、ジブチルビス
(2−トリルオキシ)スズ、ジブチルビス(2−フェニ
ルフェノキシ)スズ、ジブチルビス(4−フェニルフェ
ノキシ)スズ、ジブチルメトキシフェノキシスズ、ジブ
チルエトキシフェノキシスズ、ジブチルアセトキシフェ
ノキシスズ、ジブチルメトキシ(1−ナフチルオキシ)
スズのようなアリールオキシ基含有ブチル系スタンナン
化合物;ビス(ジブチルフェノキシスタンニル)オキシ
ド、ビス〔ジブチルビス(2−フェニルフェノキシ)ス
タンニル〕オキシドのようなアリールオキシ基含有ブチ
ル系スタノキサン化合物;およびこれらのR1 のブチル
基の少なくとも一部を、ヘキシル基および/またはオク
チル基に置き換えた化合物が例示され、合成が容易なこ
とからジブチルジフェノキシスズが好ましいが、本発明
の目的である組成物の表面付近の硬化速度を制御する効
果においては、ジブチルビス(2−フェニルフェノキ
シ)スズおよびジブチルメトキシ(1−ナフチルオキ
シ)スズが好ましい。
【0035】このようなアリール基含有有機スズ化合物
は、たとえば、ジブチルスズジクロリドのようなオルガ
ノスズクロリド類、ジブチルスズメトキシドのようなオ
ルガノスズ低級アルコキシド類、またはジブチルスズジ
アセテートのようなオルガノスズアシレート類を、ナト
リウムフェノキシドのようなアルカリ金属アリールオキ
シドと反応させることによって合成される。また、その
うちのオルガノスタノキサン化合物は、たとえば上記の
オルガノスズ低級アルコキシド類を用いる反応で、スズ
原子に結合した1個のアルコキシ基が残ったアリールオ
キシ基含有スタンナン化合物を得て、そのアルコキシ基
を加水分解、縮合させることによって合成される。
【0036】(B)成分の配合量は、(A)成分100
重量部あたり0.01〜10重量部、好ましくは0.0
5〜5重量部の範囲である。0.01重量部未満では、
硬化触媒として十分に作用せず、硬化に長い時間がかか
るばかりでなく、特に空気との接触面から遠いゴム層の
深部における硬化が不十分となり、逆に10重量部を越
える場合には、その配合量に見合う効果がなく、無意味
であるばかりか、経済的に不利益であり、また保存安定
性が悪くなるからである。
【0037】本発明の組成物に、硬化前の段階で適度の
流動性を与え、硬化して得られるゴム状弾性体に、たと
えばシーリング材、接着剤、現場成形ガスケットなどと
して用いる場合に要求される高い機械的強度を付与する
ために、無機質充填剤を添加することが好ましい。この
ような無機質充填剤としては、煙霧質シリカ、焼成シリ
カ、沈殿シリカ、煙霧質酸化チタン、およびこれらの表
面をオルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン
類、ヘキサメチルジシラザンなどで疎水化したもののよ
うな補強性充填剤;およびけいそう土、粉砕シリカ、ア
ルミノケイ酸、炭酸カルシウム、有機酸表面処理炭酸カ
ルシウム、マグネシア、アルミナのような非補強性充填
剤が例示され、押出し作業性と、硬化して得られるゴム
状弾性体に必要な物性に応じて選択される。これらの充
填剤の添加量は、組成物の使用目的や充填剤の種類によ
っても異なるが、(A)100重量部に対して1〜50
0重量部の範囲が好ましく、5〜150重量部がより好
ましい。1重量部未満では十分な機械的強度が得られ
ず、500重量部を越えると、硬くなって十分なゴム弾
性が得られない。
【0038】さらに、本発明の組成物には、目的に応じ
て、顔料、チクソトロピー性付与剤、押出し作業性を改
良するための粘度調整剤、紫外線防止剤、防カビ剤、耐
熱向上剤、前述の炭素官能性シラン以外の接着向上剤、
難燃化剤、表面樹脂化防止剤など、各種の添加剤を加え
てもよい。
【0039】本発明の組成物は、すべての構成成分、お
よび必要に応じて配合される各種の添加剤を、湿気を遮
断した状態で混合することによって調製できる。得られ
た組成物は、単一の非透湿性密閉容器中にそのまま保存
し、使用時に該容器より押出しなどの方法によって放出
し、空気中の水分にさらすことによって硬化させる、い
わゆる1包装型室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成
物として用いることができる。
【0040】また、本発明の組成物をこのような1包装
型として保存する場合であって、(A)成分の加水分解
性基Xがアルコキシ基であるか、架橋剤のYがアルコキ
シ基である場合、その保存安定性を向上させるために、
アルコールスカベンジャー(捕捉剤)を配合しても差支
えない。アルコールスカベンジャーとしては、アルコー
ルと反応可能な基を有するものはすべて使用可能である
が、ヘキサメチルジシラザンのようなケイ素−窒素結合
を有する化合物が好ましい。アルコールスカベンジャー
の添加量は、(A)成分100重量部に対して、通常、
0.5〜30重量部であり、好ましくは1〜15重量部
である。0.5重量部未満では、上記のようなケイ素官
能性基を有するものを含む組成物の保存安定性の向上効
果が得られず、30重量部を越えて用いても、それに見
合う効果がないばかりか、硬化して得られたゴム状弾性
体の物性や耐熱性が低下し、また加熱による黄変が著し
い。
【0041】また、本発明の組成物において、(A)成
分、架橋剤および(B)成分の組合せのうち少なくとも
一種を別の容器に保存しておき、使用直前に混合して押
出すことによって硬化させる、いわゆる2包装型室温硬
化性ポリオルガノシロキサン組成物として用いることも
できる。このような包装形態においては、たとえば
(A)成分を一方の容器に、架橋剤および(B)成分を
他方の容器に保存してもよく、(A)成分と架橋剤を一
方の容器に、(B)成分を他方の容器に保存してもよ
い。また、充填剤その他の必要に応じて配合される成分
は、任意に、その一方または両方の容器の成分に混合し
てもよい。
【0042】(A)成分、またはそれを他の成分ととも
に含有する混合物に(B)成分を配合する場合、(B)
成分の種類と配合量によっては、(A)成分中に完全に
溶解しない場合がある。この場合、(A)成分と(B)
成分の共通の溶媒に(B)成分を溶解させて混合するこ
とにより、(A)成分中に均質に混合することができ
る。このような溶媒としては、脱水したトルエン、キシ
レンのような炭化水素系溶媒が例示される。溶液中の
(B)成分の濃度は任意であるが、10〜60%程度で
よい。この溶媒は、混合後、減圧下に撹拌することによ
って揮発させてもよく、用途によってはそのまま存在さ
せても差支えない。
【0043】
【発明の効果】本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキ
サン組成物は、硬化の途上に適度な作業時間を有するた
め、ヘラ仕上げなどによる表面への影響が少なく、作業
性に優れている。そのうえ、硬化性、接着性および保存
安定性に優れている。また、本発明において特徴的なこ
とは、(B)成分が特に硬化後の組成物の色調に影響を
与えることがないので、他の成分の選択によっては、半
透明のゴム状弾性体が得られることである。
【0044】したがって、本発明の組成物は、建築用シ
ーリング材、工業用接着・シール材などとして有用であ
る。特に、建築現場でシリコーンシーリング材として本
発明の組成物を用いると、多量に塗布した後に、まとめ
て表面を仕上げることが可能となり、作業効率上、きわ
めて有効である。
【0045】
【実施例】以下に、実施例および比較例によって、本発
明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に
よって限定されるものではない。なお、実施例中、部は
すべて重量部を表し、粘度などの物性値はすべて25
℃、相対湿度60%(以下、60%RHという)におけ
る値である。
【0046】以下の実施例および比較例において調製
し、密封して保存した組成物について、次のような評価
を行った。
【0047】(a)指触乾燥時間:組成物を20℃、6
0%RHの雰囲気中に押出して、指で表面に接触して乾
燥状態にあることを確認するに至る時間を測定した。
【0048】(b)物理的性質:組成物を厚さ2mmのシ
ート上に押出し、25℃、60%RHで168時間放置
し、空気中の湿気により硬化させて、その物理的性質を
JISK 6301により測定した。
【0049】(c)引張りせん断接着強さ:JIS K 6850
の方法により、銅、アルミニウム、アクリル樹脂および
ポリカーボネートをそれぞれ被着体とし、その表面に組
成物を押出して、硬化後、引張りせん断接着強さを測定
し、接着状態を観察した。なお、一部の組成物について
は、硬化途上における引張りせん断強さの測定と、接着
状態および硬化状態の観察を行って、硬化性を比較し
た。
【0050】(d)深部硬化性:組成物を内径12mmの
円筒に充填し、20℃、60%RHの雰囲気下に24時
間、96時間および168時間それぞれ放置した後、表
面からの硬化部分の厚みを測定することにより、深部硬
化性を評価した。
【0051】(e)保存安定性:湿気を遮断した容器に
組成物を入れて、70℃に5日間加熱した後、指触乾燥
時間を20℃、60%RHの雰囲気下で測定した。ま
た、厚さ2mmのシート状に押出し、25℃、60%RH
で168時間放置し、空気中の湿気により硬化させて、
その物理的性質をJIS K 6301により測定した。
【0052】実施例1〜5、比較例1〜5 粘度20,000cPのα,ω−ビス(メチルジメトキシ
シリル)ポリジメチルシロキサン100部に、比表面積
200m2/gの煙霧質シリカ15部を添加し、均一に混合
してベースコンパウンドB−1を得た。一方、メチルト
リメトキシシラン12部、N−(2−アミノエチル)−
3−アミノプロピルトリメトキシシラン10部およびヘ
キサメチルジシランザン30部を均一に混合して、架橋
剤混合物C−1を得た。
【0053】上記のようにして調製したベースコンパウ
ンドB−1の100部に、架橋剤混合物C−1を5.2
部と、表1に示すアリールオキシ基含有有機スズ化合物
とを加え、湿気を遮断した状態で均一になるまで混合
し、脱泡して、実施例1〜5の組成物を調製した。実施
例に用いたアリールオキシ基含有有機スズ化合物は、ジ
ブチルジフェノキシスズ、ジブチルビス(2−フェニル
フェノキシ)スズおよびジブチルメトキシ(1−ナフチ
ルオキシ)スズであって、下記の分子式で示される。
【化2】 また、表1に示す、アリールオキシ基を含有しないスズ
化合物を配合した比較例1〜5の組成物を調製した。な
お、実施例4、5および比較例5においては、有機スズ
化合物をそれぞれ50%トルエン溶液として加え、混合
後、減圧で脱泡する際にトルエンを揮発させた。
【0054】このようにして得られた各組成物につい
て、前記の方法により、指触乾燥時間、物理的性質、引
張りせん断接着強さおよび深部硬化性の評価を行った。
それらの結果を表1にまとめて示す。
【0055】
【表1】
【0056】実施例6〜9、比較例6〜8 粘度20,000cPのα,ω−ジヒドロキシポリジメチ
ルシロキサン100部に、比表面積200m2/gの煙霧質
シリカ14部を添加し、均一に混合してベースコンパウ
ンドB−2を得た。一方、メチルトリス(メチルエチル
ケトキシマト)シラン140部とN−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン10部と
を均一に混合して、架橋剤混合物C−2を得た。
【0057】上記のようにして調製したベースコンパウ
ンドB−2の100部に、架橋剤混合物C−2を8部
と、表2に示すアリールオキシ基含有有機スズ化合物と
を加え、湿気を遮断した状態で均一になるまで混合し、
脱泡して、実施例6〜9の組成物を調製した。また、ア
リールオキシ基を含有しない有機スズ化合物を配合した
比較例6〜8の組成物を調製した。なお、実施例9にお
いては、実施例4と同様に、ジブチルビス(2−フェニ
ルフェノキシ)スズは、50%トルエン溶液として加
え、脱泡の際にトルエンを除去した。
【0058】これらの組成物について、指触乾燥時間、
物理的性質、引張りせん断接着強さおよび深部硬化性の
評価を行った。その結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】比較例9、10、および硬化性の比較 メチルトリメトキシシラン12部、N−(2−アミノエ
チル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン5部、
ヘキサメチルジシラザン30部およびジブチルスズジラ
ウレート3部を均一に混合して、架橋剤混合物C−3を
得た。また、メチルトリメトキシシラン12部、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン10部、ヘキサメチルジシラザン30部および
ジブチルスズジラウレート1.5部を均一に混合して、
架橋剤混合物C−4を得た。
【0061】前記のベースコンパウンドB−1の100
部に、架橋剤混合物C−3を5部加え、湿気を遮断した
状態で均一になるまで混合し、脱泡して、比較例9の組
成物を得た。同様に、ベースコンパウンドB−1の10
0部に、架橋剤混合物C−4を5.35部加え、湿気を
遮断した状態で均一になるまで混合し、脱泡して、比較
例10の組成物を得た。得られた両組成物ならびに実施
例1、4、比較例1および5の各組成物について、指触
乾燥時間を20℃、60%RHの雰囲気下で測定した。
また、JIS K 6850の方法により、アルミニウムを被着体
として、20℃、60%RHの雰囲気下に24時間、9
6時間、168時間それぞれ放置した後、引張りせん断
接着強さを測定し、接着状態および硬化状態を観察し
た。それらの結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】(B)成分の代わりにアリールオキシ基を
含有しない有機スズ化合物を配合した、比較例1〜3お
よび5〜8の組成物の指触乾燥時間が短いのに対して、
(B)成分を配合した、本発明による実施例1〜9の組
成物は、表1〜3から明らかなように、いずれも優れた
作業性をもたらす10〜15分という長い指触乾燥時間
を示し、しかも比較例1の組成物と同等またはそれ以上
の深部硬化性、物理的性質、接着性および保存安定性を
示した。一方、比較例4の組成物は、指触乾燥時間が長
すぎるばかりか、その硬化性および硬化物の物性も劣
り、また比較例9および10の組成物も硬化性が悪く、
十分な接着性を発現しなかった。また、比較例3および
7の組成物は、着色が著しく、しかも加熱後に変色して
いた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A1)分子中にケイ素官能基として平
    均2個を越える数の加水分解性基を有するケイ素官能性
    ポリジオルガノシロキサン;または(A2)分子中に2
    個以上のケイ素官能基を有するケイ素官能性ポリジオル
    ガノシロキサンおよび架橋剤を含む室温硬化性ポリオル
    ガノシロキサン組成物において、 (A1)または(A2)である(A)100重量部に対
    して、 (B)スズ原子に置換または非置換のアリールオキシ基
    が直接結合している有機スズ化合物 0.01〜10重
    量部を含むことを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシ
    ロキサン組成物。
  2. 【請求項2】 (B)が、一般式: R1 aSn(OR2)b3 c (I) (式中、R1 はたがいに同一でも異なっていてもよい置
    換または非置換の1価の炭化水素基を表し;R2 はたが
    いに同一でも異なっていてもよい置換または非置換のア
    リール基を表し;R3 はたがいに同一でも異なっていて
    もよい置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換または
    非置換の1価のカルボン酸残基および/または−OSn
    1 d(OR2)e 基を表し;aおよびbはそれぞれ独立し
    て1〜3の整数、cは0〜2の整数であって、a+b+
    cは4であり;dおよびeはそれぞれ独立して1または
    2であって、d+eは3である)で示されるアリールオ
    キシ基含有有機スズ化合物である、請求項1記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】 (B)のアリールオキシ基が、2−フェ
    ニルフェノキシ基である、請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】 架橋剤の少なくとも一部として、炭素官
    能性シランを0.05〜25重量部含む、請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 炭素官能性シランが、炭素原子に結合し
    たアミノ基を有する化合物である、請求項4記載の組成
    物。
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