JPH1135685A - 硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents

硬化性組成物及びその硬化物

Info

Publication number
JPH1135685A
JPH1135685A JP19986597A JP19986597A JPH1135685A JP H1135685 A JPH1135685 A JP H1135685A JP 19986597 A JP19986597 A JP 19986597A JP 19986597 A JP19986597 A JP 19986597A JP H1135685 A JPH1135685 A JP H1135685A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
gel
curable composition
water
composition according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19986597A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruo Katsumata
晴雄 勝俣
Takeshi Sawai
毅 沢井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP19986597A priority Critical patent/JPH1135685A/ja
Publication of JPH1135685A publication Critical patent/JPH1135685A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silicon Polymers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間安定な硬化性組成物を得る。 【解決手段】 一般式:(R1O)n−Si−R2 4-n (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル
基、アミノアルキル基、アルケニル基、アリール基、ア
ラルキル基、アシル基、アシルオキシアルキル基、エポ
キシアルキル基、アルキルポリオキシアルキレン基であ
り、nは3または4である。)で示されるアルコキシシ
ラン化合物の1種以上により得られたゲルを分散してな
る硬化性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硬化性組成物及びそ
の製造方法に関する。さらに詳細には、鉄、ステンレ
ス、アルミニウム及びその他の金属、プラスチックス、
ガラス、木材、セメント及びその他の製品、また天然及
び合成シリカ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、
炭酸カルシウム、磁性粉、金属粉等の粉体、グラスファ
イバー、金属線等の線状物等の表面に適用する、高硬度
で、耐擦傷性、透明性、耐熱性、耐候性、耐溶剤性、耐
酸性、密着性等に優れた硬化性組成物及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来技術】近年、有機・無機双方の特性を兼ね備えた
塗膜、特にケイ素含有塗膜が様々な分野で注目されてお
り、例えばシリル基含有共重合体によるケイ素成分含有
コーティングの他、各種アルコキシシラン等の加水分解
縮合可能基を有するケイ素化合物を樹脂成分に配合した
組成物を塗布する方法、等が提案されている。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】しかし、通常、ケイ素
含有樹脂は、ケイ素含有モノマーとアクリルモノマー等
の樹脂モノマーとを共重合して得られるが、ケイ素含有
モノマーの添加量は重合液の白濁又は保存安定性等の問
題から限界がある。現実には、樹脂成分中のケイ素の含
有量を10重量%(SiO2として)以上を示す製品は
存在せず、一層の硬度や耐擦傷性、耐熱性の向上が求め
られている。
【0004】その解決策として、アルコキシシランを特
定条件下に加水分解縮合して得られた加水分解縮合物
と、特定有機化合物との縮合反応物を含有する液状の組
成物を塗布、硬化する方法が提案されている。この方法
は、得られた硬化物は透明かつ優れた特性を有するもの
であり、また、この液状の組成物は貯蔵安定性に優れ、
長期間高性能を保持するものである等、優れた提案であ
るが、酸化チタン等の顔料を添加しエナメル化すると、
数日間の内に全体がゲル化してしまうという難点があっ
た。
【0005】また、上記アルコキシシランの加水分解縮
合反応液を、特定の主鎖と架橋剤とからなる樹脂系に混
合し、特定の条件下樹脂系の架橋を行わせる一方で、テ
トラアルコキシシラン加水分解縮合物を自己縮合させ硬
化物を得る方法が提案されているが、この場合も、酸化
チタン等の顔料を添加しエナメル化すると、数日間の内
に全体がゲル化してしまうという難点は解消されていな
い。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、ケ
イ素含有量が高く、高硬度、高耐擦傷性、高耐熱性の塗
膜を形成し、かつ、保存安定性の優れた硬化性組成物を
得るべく鋭意検討した結果、一般式:(R1O)n−S
i−R2 4-n (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル
基、アミノアルキル基、アルケニル基、アリール基、ア
ラルキル基、アシル基、アシルオキシアルキル基、エポ
キシアルキル基、アルキルポリオキシアルキレン基であ
り、nは3または4である。)で示されるアルコキシシ
ラン化合物により得られたゲルを分散状態で含有する硬
化性組成物は、驚くべきことに、高硬度、高耐擦傷性、
高耐熱性の塗膜を与え、かつ、保存安定性に優れている
ことを見いだし、本発明に到達した。
【0007】尚、ここで言う分散状態とは、前記のアル
コキシシラン化合物から調製した、溶媒、水分及び/又
は後述する反応性有機化合物、架橋性樹脂化合物等を含
んだゲルが沈降もしくは凝集することなく、硬化組成物
中に外観上均一に分散している状態を言う。これによ
り、塗膜化した際に凹凸等の無い均一塗膜を形成するこ
とができる。
【0008】すなわち、本発明は、一般式:(R1O)n
−Si−R2 4-n (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル
基、アミノアルキル基、アルケニル基、アリール基、ア
ラルキル基、アシル基、アシルオキシアルキル基、エポ
キシアルキル基、アルキルポリオキシアルキレン基であ
り、nは3または4である。)で示されるアルコキシシ
ラン化合物の1種以上により得られたゲルを分散させて
なる硬化性組成物、及びこれを硬化してなる硬化物に存
する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明で用いる出発原料は、一般式:(R1O)n
−Si−R2 4-n(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル
基であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基、アル
コキシアルキル基、アミノアルキル基、アルケニル基、
アリール基、アラルキル基、アシル基、アシルオキシア
ルキル基、エポキシアルキル基、アルキルポリオキシア
ルキレン基であり、nは3または4である。)で示され
るアルコキシシラン化合物を1種以上を用いる。
【0010】ここでR2のアルキル基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、
オクチル基、デシル基等が挙げられ、直鎖又は分岐状の
何れでも良い。シクロアルキル基としては、例えばシク
ロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が
挙げられる。
【0011】アルコキシアルキル基としては、例えばメ
トキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基
等が挙げられる。アミノアルキル基としては、アミノエ
チル基、アミノプロピル基、アミノブチル基等が挙げら
れる。アルケニル基としては、例えばビニル基、1−プ
ロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−
ブテニル基等が挙げられる。
【0012】アリール基としては、例えばフェニル基、
トリル基、キシリル基等が挙げられる。アラルキル基と
しては、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられ
る。アルキルポリオキシアルキレン基としては、CH3
−(OCH2CH2)n−、C 25−(OCH2CH2)n
−、CH3−(OCH2CHCH3)n−、C25−(OC
2CHCH3)n−等が挙げられる。
【0013】アシル基としては、例えばアセチル基、プ
ロピオニル基等が挙げられる。アシルオキシアルキル基
としては、例えばアクリロイルオキシプロピル基、メタ
クリロイルオキシプロピル基等が挙げられる。エポキシ
基としては、グリシドキシプロピル基、(3・4−エポ
キシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられる。
【0014】また、これらのアルコキシシラン化合物の
1種以上を用いて、これらに水を加え部分加水分解縮合
して得られる液状低縮合物として使用しても良い。この
液状低縮合物の調製は、出発原料であるアルコキシシラ
ン化合物の有するアルコキシ基に対して0.6当量未満
の水を加えて部分加水分解縮合することが、増粘又はゲ
ル化しない貯蔵安定性良好な液状低縮合物を得られるこ
とから最も好ましい。
【0015】更に、前記の一般式で示されるアルコキシ
シラン化合物であって、n=1又は2のアルコキシシラ
ン化合物は、単独で用いた場合はゲル化することが困難
であるが、本発明に記載のn=3又は4のアルコキシシ
ラン化合物と併用することでゲル調整が可能となること
から、これらn=1又は2のアルコキシシラン化合物と
n=3又は4のアルコキシシラン化合物をゲル化し得る
混合組成で用いることも可能である。
【0016】これらのアルコキシシラン化合物のうち、
テトラメトキシシラン及び/又はその液状低縮合物を使
用することが、反応速度の面や得られる塗膜物性の面で
優れることから特に望ましい。テトラメトキシシランの
製法としては、四塩化ケイ素とメタノールとの反応、金
属ケイ素及びメタノールの反応等が公知であり、また、
その液状低縮合物は、例えば特開平7−48454号公
報等で公知の、テトラメトキシシランの部分加水分解・
縮合反応により得ることができる。
【0017】硬化性組成物の製造過程や使用時の装置、
または塗膜を形成する基材等の面で腐食等の問題がある
場合や、塗膜の使用用途で特に不純物を除去する必要の
ある場合は、塩酸の副生がないこと、および、原料を精
製することにより容易に不純物を除去できることから、
ケイ素及びメタノールを反応させることにより得られる
テトラメトキシシランを用いることが望ましい。
【0018】更に、テトラメトキシシランは有害性が高
く取り扱いに注意を要するため、これを部分加水分解縮
合した液状低縮合物を用いることが、より好ましい。本
発明の硬化性組成物は、一般式:(R1O)n−Si−R
2 4-n ・・・(I) (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル
基、アミノアルキル基、アルケニル基、アリール基、ア
ラルキル基、アシル基、アシルオキシアルキル基、エポ
キシアルキル基、アルキルポリオキシアルキレン基であ
り、nは3または4である。)で示されるアルコキシシ
ラン化合物のうちの1種以上により得られたゲルを分散
させてなることを特徴とする。すなわち、本発明に於い
ては先ず、前述の一般式で示されるアルコキシシラン化
合物からゲルを調製する。ゲルの調製方法は、アルコキ
シシラン化合物をゲル化できる手段であれば特に限定さ
れない。例えば、アルコキシシラン化合物の有するアル
コキシ基と反応し得る、後述する反応性有機化合物又は
架橋性樹脂化合物の様にヒドロキシル基及び/又はカル
ボキシル基等の官能基を2以上有するものと反応させて
ゲルを調製する方法が挙げられる。
【0019】又は、アルコキシシラン化合物に水を加
え、加水分解縮合反応させることによりゲルを調製する
方法が挙げられる。この場合、アルコキシシラン化合物
の有するアルコキシ基に対して0.6当量以上の水を加
えれば加水分解・縮合反応が促進され、塗膜の硬度低下
等の塗膜特性に問題を生ずることがないので好ましい。
また、アルコキシシラン化合物を液状低縮合物として用
いる場合は、液状低縮合物合成時に加えた水との合計量
が、出発物であるアルコキシシラン化合物の有するアル
コキシ基に対して0.6当量以上となる様に、更に水を
加えてゲルを調製すればよい。なお、ここで「当量」と
は、以下の反応式に示す様に、(R1O)n−Si−R2
4-n + n/2H2O → SiOn/22 4-n + nR1
Hアルコキシ基が完全に加水分解縮合反応し得る理論当
量を言う。以下同様である。
【0020】以上に延べた方法のうち、前者であるアル
コキシシラン化合物の有するアルコキシ基と反応し得
る、反応性有機化合物又は架橋性樹脂化合物と反応させ
る方法と、後者である水を加えて加水分解縮合反応させ
る方法とを併用してゲルを調製することも勿論差し支え
ない。本発明においては、こうして化学式(I)で示さ
れるアルコキシシラン化合物のアルコキシ基と反応性有
機化合物又は架橋性樹脂化合物と反応させる方法の場合
には、エステル交換反応によりSi−O−C結合で架橋
し網目構造体となりゲル化が進行すると考えられる。ま
た、化学式(I)のアルコキシシラン化合物に水を加え
て加水分解縮合反応させる方法の場合は、加水分解によ
りシラノール基を生成し、次いでシラノール基同士脱水
縮合、またはシラノール基と未反応のアルコキシ基との
脱アルコール縮合反応により、Si−O−Si結合(シ
ロキサン結合)で架橋し網目構造体となりゲル化すると
考えられる。これらのゲルは一般に、内部に多量の溶
媒、および未反応の反応性有機化合物又は架橋性樹脂化
合物、更には水分を含んだ、ゼリーあるいはプリン様の
状態を呈している。
【0021】内部に含まれる溶媒や未反応水分を除いた
ゲル中の不揮発分は、ゲル調製時のアルコキシシラン化
合物の種類、溶媒量、反応性有機化合物又は架橋性樹脂
化合物の種類・量、水量、触媒種類・量等の条件により
異なるが、概ね80重量%以下である。良好な分散性及
び均一塗膜の生成の面からは70重量%以下とすること
が好ましい。一方、ゲル調製時の溶媒使用量を増やせば
不揮発分は減少するが、溶媒使用量があまりに多いとゲ
ル化が困難なため、ゲル中の不揮発分の下限は概ね0.
5重量%とするのが好適である。工業的に実用性のある
時間内でゲル化させるには、不揮発分が1重量%以上と
することが好ましい。
【0022】ゲル調製時に水を用いる場合は、添加する
水の量は特に制限されず、場合によっては、大過剰の水
を用い、溶媒兼用とすることもできる。しかし、水の量
がアルコキシ基の0.60当量に満たない場合は、加水
分解・縮合反応が不十分となりゲル状となり難く、ま
た、ゲル状となっても塗膜の硬度、あるいは耐溶剤性の
低下等の塗膜特性に問題を生じ易いことから、水の量は
0.6当量以上とすることが好ましい。水の量を、アル
コキシ基の量の0.6当量以上とすると、加水分解・縮
合反応が促進され、塗膜の硬度低下等の塗膜特性に問題
を生ずることがなくなる。さらに、1.0当量以上とし
た場合には、加水分解反応により生成するシラノール基
が十分に多く、縮合反応によりゲルを生成した後も未反
応シラノール基が多量残存しているため、硬化性組成物
とした後、硬化が容易に進行し、極めて高硬度かつ耐熱
性の優れた塗膜が得られる。
【0023】一方、溶媒兼用として大過剰の水を使用す
る場合、水の量がアルコキシ基に対し50当量を越える
と、ゲル化するまでに長時間を必要とすると共に、多量
の水分を含むため非常に柔らかなゲルとなる。こうなる
と、後述するゲルの分散時に非水系有機溶媒を用いる場
合、分散性及び貯蔵安定性に問題を生じることがあるた
め、水の量は出来れば50当量以下が好ましい。
【0024】尚、前述した様にアルコキシシラン化合物
の液状低縮合物を用いる場合は、液状低縮合物合成時に
加えた水との合計量が、出発物であるアルコキシシラン
化合物の有するアルコキシ基に対して0.6当量以上と
なる様に、更に水を加えてゲルを調製することが好まし
い。アルコキシシラン化合物の加水分解によるゲル調製
に際しては、撹拌しながら20℃前後の室温から60℃
程度に保つことにより2相系での加水分解縮合反応を進
行させることができる。これに伴い親水性のシラノール
基およびメタノールが生成し次第に均一な溶液となるの
で、この均一な溶液をゲル化するまで静置することで均
一なゲルが得られる。
【0025】また、この加水分解縮合反応時に有機溶媒
を用いても良い。用いることのできる有機溶媒として
は、アルコール類、あるいはグリコール誘導体、炭化水
素類、エステル類、ケトン類、エーテル類等が挙げら
れ、これら単独または2種以上の混合物として使用す
る。アルコール類としてはメタノール、エタノール、n
プロパノール、イソプロパノール、nブタノール、イソ
ブタノール、オクタノール、またグリコール誘導体とし
てはエチレングリコール、プロピレングリコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、エチレングリコールモノnプロ
ピルエーテル、エチレングリコールモノnブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエ
チルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテー
ト、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテー
ト等が挙げられる。
【0026】炭化水素類としてはベンゼン、トルエン、
キシレン等が使用でき、エステル類としては酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸nブチル、酢酸イソブチル、アセ
ト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が使用できる。アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
アセチルアセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジ
ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の
エーテル類も使用できる。
【0027】有機溶媒を用いる場合の配合量は、アルコ
キシシラン化合物100重量部に対し10〜10,00
0重量部、好ましくは25〜5,000重量部、更に好
ましくは50〜500重量部がよい。10重量部以下で
は得られたゲルが硬く成り過ぎてしまい、硬化性組成物
とする場合のゲル分散が困難となる。また、10,00
0重量部以上を越えるとゲル化が困難となる。
【0028】又、加水分解縮合反応に際しては、必要に
応じて硬化触媒の存在下で行うことができる。触媒とし
ては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機
酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マレイン
酸、安息香酸、フタル酸、パラトルエンスルホン酸、な
どの有機酸、水酸化ナトリウム、水酸カリウム、水酸化
カルシウム、アンモニア等の無機塩基、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、N,N ジメチルアニリン、ピリジ
ン、ピコリン等の有機塩基、有機金属、金属アルコキシ
ド、たとえばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ
ジオクトエート、ジブチルスズジアセテート等の有機ス
ズ化合物、アルミニウムトリス(アセチルアセトネー
ト)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネー
ト)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチ
ルアセトネート)、ジルコニウムテトラキス(アセチル
アセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス
(アセチルアセトネート)及びジルコニウムビス(イソ
プロプキシ)ビス(アセチルアセトネート)等の金属キ
レート化合物、ホウ素ブトキシド、ホウ酸等のホウ素化
合物があるが、得られる塗膜の硬度、可とう性等の性質
が優れている点、有機酸、金属キレート化合物、金属ア
ルコキシド、ホウ素化合物のうち1種または2種以上を
用いるのが好ましい。
【0029】尚、望ましい触媒の種類は用いる溶媒及び
塗膜の施される基材の種類、及び用途により適時選択す
ることができる。例えば、触媒として塩酸、硝酸等の鉱
酸を用いた場合、反応速度が大きく熟成に要する時間が
短縮でき、かつ、塗膜化して得られる塗膜の硬度は優れ
たものとなるが、特に腐食しやすい基材に対しては、避
けた方がよいこともある。これに対し例えばマレイン酸
は腐食等の畏れが少なく、熟成時間が比較的短時間です
み、得られる塗膜の硬度等の特性が特に優れており望ま
しい。
【0030】また、基材が酸性物質を嫌うものでは、前
述した金属キレート化合物や金属アルコキシド等の中性
触媒を用いても、充分な硬度を有する塗膜を得ることが
出来る。これら触媒成分の添加量は、触媒としての機能
を発揮し得る量であれば特に制限されるものではない
が、通常、アルコキシシラン化合物100重量部に対
し、0.1〜10重量部程度の範囲から選択され、好ま
しくは0.5〜5重量部である。
【0031】これらの成分の配合方法は、特に制限され
ず、例えば触媒成分を予め水に溶解させたものを用いた
り、撹拌しながら配合する等の手段により一層均一な配
合物とすることが好ましい。尚、水その他溶媒により分
解されやすい触媒を用いる場合は、これをアルコキシシ
ラン化合物と配合しておき、水その他溶媒とを、使用に
際して配合することが好ましい。また、更には触媒成分
を使用に際して後述する、その他の有機化合物又は粉体
等に添加したものを用いることもできる。
【0032】ゲルの調製は、均一液となった加水分解縮
合液を室温で放置するだけでもよいが、加熱することに
よりゲル調製の時間を短縮することができる。加熱温度
は、用いる溶媒や触媒の種類、および、量により、室温
から溶媒の沸点まで、または場合により、溶媒の沸点以
上の温度まで適宜設定することができる。例えば溶媒と
してエタノールを用いた場合は、70℃で数時間〜2日
間程度でゲルが得られ、水溶媒の場合には、室温で、1
時間程度でゲルが得られる。
【0033】本発明の硬化性組成物は、このようにして
得られたゲルを分散状態で含有することを特徴としてい
る。例えば、以下のようにしてゲルを分散状態とするこ
とができる。分散装置としては、一般に塗料等の顔料分
散に使用されているローラーミル、ペイントシェイカ
ー、ポットミル、ディスパー、ビーズミル等の装置を用
いて、通常の顔料分散塗料並みの分散を行えばよい。ま
た、ゲルの分散を容易にするために、前もって網式粉砕
機、コーミル式粉砕機、双ローラー式粉砕機等を用いて
粒径が数十ミリ以下に粗粉砕したゲルを、前記の分散装
置で分散することも有効である。
【0034】ゲル分散は、溶媒中で行うのが一般的であ
り、使用する溶媒はゲル調製時に用いた溶媒と同じもの
でよい。また、後述する反応性有機化合物の含有する溶
媒もしくは、主鎖と架橋剤から成る架橋性樹脂系の溶媒
を用いることも可能である。更に、これらに顔料、粉体
及び塗膜の性状を改善する各種の添加剤を添加して分散
しても良い。
【0035】本発明のゲルが分散された硬化性組成物と
しては、ゲル単独、または、ゲルと反応し得る官能基を
2以上有する有機化合物とゲルとの組み合わせ、あるい
は、主鎖と架橋剤とから成る架橋性の樹脂系とゲルとの
組み合わせが挙げられ、更に、これらに顔料、粉体及び
塗膜の性状を改善する各種の添加剤を含有することも可
能である。これらは、ゲル分散時に添加してゲルと一緒
に分散させても良く、また、ゲルと溶媒を分散させた後
に添加しても良い。本発明のゲルとこれらの成分の組み
合わせは、得られる硬化性組成物の塗膜特性とこれを用
いる用途によって適時選択すれば良い。
【0036】ゲル単独で溶媒に分散させることにより粘
稠な液状物とすることができ、適宜溶媒の量を選択する
ことにより、硬度や耐熱性、透明性の低下を招く粘度調
整剤を添加することなく、各種のコーティングに適用す
ることができる粘度に調整することができる。また、こ
のゲルが単独で溶媒に分散した液を各種基材に塗布し高
温でキュアすることにより、分散溶媒、および、ゲルに
取り込まれていた溶媒が蒸発するとともに、ゲル中の残
存していたシラノール基同士が脱水縮合、またはシラノ
ール基とアルコキシ基とが脱アルコール縮合反応するこ
とにより、シリカ質の高硬度の塗膜が得られる。
【0037】次にゲルと反応しうる官能基を2以上有す
る有機化合物(以下反応性有機化合物と言う)との組み
合わせの場合は、ゲルが一種の架橋剤のように作用し硬
化塗膜を与える。
【0038】このような反応性有機化合物としては、例
えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ア
ルコキシ基、トリアルコキシシリル基等を2以上有する
ものが挙げられ、具体的には、例えば (I)シランカップリング剤(一般にはRSiX3 :X
は加水分解性基、Rは官能基) (II)アルキルアルコキシシリコーン類 (III)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、ウレタン樹脂等であって、上記の如き基やエポキシ
構造を2以上有するポリマー類 (IV)エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4ブタンジオール、グリセリン、カテコール、レゾ
ルシン等の多価アルコール等が挙げられる。より具体的
には、例えば(I)のシランカップラーとしては、
【0039】
【化1】 等のメタクリレート系、
【0040】
【化2】
【0041】等のエポキシ系、
【0042】
【化3】H2NC36Si(OC253 、H2NC24
NHC36Si(OCH33 、H2NCONHC36
i(OC253 、等のアミン系、
【0043】
【化4】CH2=CHSi(OC253 、 CH2=CHSi(OC253 、 CH2=CHSi(OC24OCH33 、 等のビニル系、
【0044】
【化5】HS−C36Si(OCH33 、HS−C3
6Si(OC253 、HS−C36Si(OC24
CH33 、のメルカプト系、等が挙げられる。
【0045】これらはいずれも好適に用いることができ
るが、コーティングを施す基材の種類又は目的とする膜
特性等により適時、選択することが出来る。例えば、粉
体の表面処理を目的とした場合、その粉体に用いるマト
リックスとの親和性を考慮し、適応するシランカップラ
ーを選択すれば良い。又、コーティングを施す基材との
親和性の良いシランカップラーを選択し基材との密着性
を向上することも可能である。また、(II)のアルキル
アルコキシシリコーン類としては、
【0046】
【化6】(CH3O)3Si−{ OSi(CH3)2 }n −{ OSi(OCH3)
2 }m − OCH3 n,m=1〜10 等が挙げられる。
【0047】アクリル樹脂(a)
【0048】
【化7】
【0049】(b)上記(a)構造にγーMTS(γー
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)及び/又
はビニルトリメトキシシランを付加したもの エポキシ樹脂
【0050】
【化8】
【0051】ポリエステル樹脂
【0052】
【化9】
【0053】ポリウレタン樹脂
【0054】
【化10】
【0055】これらは反応性有機化合物の例示であり、
本発明で用いることのできる反応性有機化合物はこれら
に限られるものではなく、本発明の趣旨で述べたよう
に、上述したアルコキシシラン化合物を加水分解縮合し
て得られるゲルの有するシラノール基及び/又はアルコ
キシ基と縮合反応し得る官能基を2以上有するものであ
れば、いずれも用いることができる。
【0056】又、上記の反応性有機化合物は、目的に応
じて2種以上を併用することもできる。例えば、エポキ
シ樹脂とエポキシ系シランカップラー、アクリル樹脂と
アクリル系シランカップラー、ポリエステル樹脂とエポ
キシ系シランカップラー等、樹脂成分とシランカップラ
ーとを併用することにより、基材との密着性が向上し、
又樹脂成分と本発明のゲルとの相溶性が更に向上し得ら
れるコーティング膜の特性がより優れたものとなる等、
目的に応じ適時選択することができる。
【0057】反応性有機化合物とゲルの混合割合は任意
であり、求める塗膜の性能により、調整できる。すなわ
ち、ゲルの比率を大きくすると、硬度が高く、緻密で、
耐熱性の高い塗膜が得られる傾向にあり、一方、反応性
有機化合物の比率を大きくすると、可撓性に富み、クラ
ックの入りにくい塗膜が得られる傾向にあることから、
硬度、耐熱性と可撓性とのバランスを考慮して反応性有
機化合物とゲルとの混合比率を決定すればよい。
【0058】次に、主鎖と架橋剤とから成る架橋性の樹
脂系と本発明のゲルとの組み合わせにおいては、硬化は
主に樹脂系において成されるものと考えられる。ゲル中
のシラノール基、アルコキシ基も一部硬化に関与してい
ると考えられるが、大部分は、自身で縮合反応を起こ
し、微少なシリカ粒子を形成し、塗膜の硬度と耐熱性を
向上させることが考えられる。
【0059】ここで、架橋性の樹脂系としては、例え
ば、ポリオール/イソシアネート硬化剤系、ポリオール
/ブロックイソシアネート硬化剤系、ポリオール/メラ
ミン硬化剤系などが挙げられる。ポリオール樹脂として
は、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール
樹脂、含フッ素ポリオール樹脂、シリコーンポリオール
樹脂、またはこれらの組み合わせが用いられる。
【0060】イソシアネート硬化剤としては、エチレン
ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネ
ート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11
−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメ
チルヘキサンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネ
ートメチルカプロエート、ビス(2−イソシアネートエ
チル)フマレート、ビス(2−イソシアネートエチル)
カーボネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジ
イソシアネートヘキサノエート、イソホロンジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメ
リックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−
トリレンジイソシアネート、2,6’−トリレンジイソ
シアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロ
ヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピ
リデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等の
単量体もしくは2量体以上の多量体及びそれらの混合
物、またはこれらのポリイソシアネート類とプロパンジ
オール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチ
レングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール等の多価アルコール化合物や水との反応によ
り生成される化合物で、2個以上のイソシアネート基を
有する化合物等が挙げられる。 ブロックイソシアネー
ト硬化剤としては、前述のイソシアネート硬化剤として
挙げたものを、一般に使用されるアルコール類、フェノ
ール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレ
ン化合物等のブロック化剤を用いて、ブロックイソシア
ネートにしたものが挙げられる。
【0061】メラミン硬化剤としては、メラミン、尿
素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログア
ナミンまたはスピログアナミン等のアミノ基含有化合物
とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒド、またはグリオキサール等のアルデヒド類とを
公知の方法で反応させた縮合物、又はこれらの縮合物を
アルコール類で少なくとも一部をエーテル化させたもの
等が挙げられる。
【0062】本発明のゲルが分散された硬化性組成物の
調製に際しては、必要に応じて、溶媒、分散媒、硬化触
媒、各種の顔料、粉体、その他レベリング剤、消泡剤、
たれ止め剤、粘性調整剤等の常用の添加剤を配合するこ
とができる。例えば後述する成膜に際し、特にスプレー
法、ディップ法による場合、塗工条件、膜厚等に応じた
粘度、不揮発性分含有量を有するコーティング液を調整
するため、これら溶媒又は分散媒の添加を行うことがで
きる。溶媒としては反応性有機化合物または架橋性樹脂
系を溶解するものが好適であるが、必ずしも溶解する必
要はなく、分散状態であっても差し支えなく、例えばア
ルコール類、或いはグリコール誘導体、炭化水素類、エ
ステル類、ケトン類、エーテル類を1種、又は2種以上
混合して使用できる。具体的には、ゲル調整時の溶媒と
して例示した各種溶媒が挙げられる。
【0063】本発明のゲルと反応性有機化合物、また
は、架橋性樹脂系、および溶媒、分散媒、硬化触媒、顔
料、粉体、各種添加剤との混合は、常用の方法が採用で
きるが、顔料存在下にゲルを添加し分散混合すること
が、均一分散の点から最も好ましい。こうして得られた
本発明のゲルが分散された硬化性組成物をポリマー、金
属、セラミック等の基材や線材にディップ法、スプレー
法や、ロールコーターやカーテンフローコーター等の装
置により塗布したり、粉体と混合して造膜する。造膜に
際しては、例えば硬化性組成物を塗布した後、室温で1
〜10分程度放置することにより脱溶剤を行った後、加
熱して脱水縮合反応による液中の各成分間の架橋反応ま
たは自己縮合を進行させ、膜を硬化させる。
【0064】硬化には、ゲルからの脱溶媒、および、反
応性有機化合物と反応、または、架橋系樹脂の硬化に必
要な温度に加熱すればよい。通常50〜300℃程度の
温度で架橋を進行させることができるが、実用的には8
0〜230℃程度でよい。硬化に要する時間は用いる触
媒にもよるが、通常は、150℃程度まで昇温すれば数
10秒から数10分で充分な硬度を有するコーティング
膜を得ることができる。
【0065】本発明のゲルが分散された硬化性組成物
は、反応性に富んだシラノール基を多数含有していなが
ら保存安定性に優れている。すなわち、あらかじめアル
コキシシラン化合物をゲル化させたものを分散させるこ
とにより、驚くべきことに、例えばアルコキシシラン化
合物の加水分解液を用いた場合に比較して硬化性組成物
は大幅に貯蔵安定性が向上するのである。勿論塗膜等の
硬化物の諸特性は維持されているのである。本発明の硬
化性組成物の保存安定性の良い理由は完全には明らかで
はないが、本発明者らは、次のように考える。
【0066】すなわち、原料のアルコキシシラン化合物
及び/又はその液状低縮合物に存在するアルコキシ基が
加水分解によりシラノール基を生成し、これとアルコキ
シ基との縮合反応によりSi−O−Si結合(シロキサ
ン結合)を生成するが、縮合が進行するとシロキサン結
合の網目構造体を形成する。この際、溶媒と未反応のシ
ラノール基やアルコキシ基と溶媒との親和性が高いため
相分離を起こさず、これら官能基は溶媒和した状態にあ
るものと考えられる。更に、反応性有機化合物と配合し
た系では、部分的にゲルと反応性有機化合物が反応する
ことにより、Si−O−Cの結合を有して安定化してい
ると考えられる。従って、網目構造体は比較的粗な状態
にあり、内部に多量の溶媒を含んだ、全体が一様に半固
化したゼリーあるいはプリン様の状態を呈している。
【0067】この場合、未反応のシラノール基、アルコ
キシ基は高反応性ながらも上述のように溶媒和されたま
まであり、かつ、半固体状態であるため、ブロックさ
れ、かつ、固定された状態にあると推測される。従っ
て、反応に必要な官能基間の衝突が充分には起こらず、
このため安定な液状態を保つものと考えられる。なお、
アルコール性ゲルを水中に分散しても、溶媒の交換は起
こらず、安定状態を保っている点から、この溶媒和は比
較的強固なものと思われる。従って、硬化には、この溶
媒和のエネルギー以上のエネルギーを与えて、ゲルから
の溶媒溜去が必要となる。このため、本発明の硬化性組
成物中には反応性の高い官能基が多量に存在するにも関
わらず液状態での安定性が高く、硬化には一般に加熱が
必要となる。
【0068】
【実施例】以下、実施例により、更に本発明を詳細に説
明する。なお%は特にことわりのない限り重量%を示
す。 実施例1 〔テトラメトキシシラン・オリゴマーの合成〕攪拌機と
還流用コンデンサー及び温度計を付けた500mlの四
つ口丸底フラスコに、テトラメトキシシラン234gと
メタノール74gを加えて混合した後、0.05%塩酸
22.2gを加え、内温65℃で2時間、還流しながら
加水分解反応を行った。この時の添加水量は、テトラメ
トキシシランのメトキシ基に対して0.4倍当量であ
る。
【0069】次いでコンデンサーを留出管に取り替え、
内温度が130℃になるまで昇温し、メタノールを留出
させた。このようにして部分加水分解物を得た(加水分
解率40%)。ガスクロマト分析から重合度2〜8のオ
リゴマーが確認され、標準物質としてポリスチレンを用
いたGPC分析から重量平均分子量は550であった。
【0070】得られた部分加水分解縮合物(以下、「テ
トラメトキシシラン・オリゴマー」という)中のモノマ
ー量は5%であった。引き続き130℃に加熱したフラ
スコにテトラメトキシシラン・オリゴマーを入れ、気化
したモノマーを不活性ガスと共に系外に排出しながら、
150℃まで昇温し、3時間保持した。こうして得られ
たモノマー除去後のテトラメトキシシラン・オリゴマー
中のモノマー量は0.2%であった。
【0071】〔ゲルの調製〕このようにして得られるテ
トラメトキシシラン・オリゴマー100gにエチルカル
ビトール220gを添加し、次いでアルミニウムアセチ
ルアセトナート1.0g及び脱塩水21.1gを添加し
た。水の添加量はテトラメトキシシラン・オリゴマーの
有するメトキシ基の0.57モル倍である。この時の水
の添加量は、テトラメトキシシラン・オリゴマー合成時
に添加した水と合計すると、出発原料であるテトラメチ
キシシランのメトキシ基に対して1.08倍当量とな
る。この液を室温で2時間放置後、70℃で2日間加熱
し、ゲルを得た。
【0072】〔硬化性組成物の調製〕上記の〔ゲルの調
製〕で得られたゲル38.0gを、ポリエステルポリオ
ール樹脂(TA22−293J:日立化成ポリマー社
製、不揮発分50%)30.4g、ブロックイソシアネ
ート(BL3175:住友バイエルウレタン社製、不揮
発分75%)19.0g、ジブチルスズジラウレート
O.O4g、およびジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル35.4gとを乳鉢を用いて十分に混合した。こ
れに酸化チタン(CR97:石原産業製)41.8gを
添加して乳鉢にて混合し、その後3本ロールで再度混合
し、硬化性組成物(エナメル)を得た。
【0073】〔塗膜の作成〕上記のエナメルを調整後直
ちに、あらかじめキシレンで洗浄・脱脂し更にアセトン
で清浄化したブリキ板(JIS G 3303(STP
E);0.3×50×150mm)に、バーコーター#
50にて塗工した。風乾後、170℃で20分間キュア
し、硬化塗膜を得た。得られた塗膜の物性は表1に示し
た。
【0074】〔エナメルの保存安定性〕上記のエナメル
を調製後30日間室温で保存した後、前記と同様に塗工
・キュアして硬化塗膜を得た。得られた塗膜の鉛筆硬度
は表1に示したが、保存前に塗工した場合とほぼ同等で
あった。
【0075】〔比較例〕上記〔ゲルの調製〕の項で用い
た原料をそのまま用いて混合後、室温で2日間熟成し、
透明な熟成液を得た。実施例1で用いたゲルの代わりに
上記の熟成液を、ポリエステルポリオール樹脂、ブロッ
クイソシアネート、触媒、および希釈溶媒(それぞれ実
施例と同種類・同量)と混合し、次いで酸化チタン(実
施例1と同種類・同量)を添加し、3本ロールで混合し
てエナメルを得た。このエナメルを調製後直ちに用い、
実施例1と同様にして硬化塗膜を得た。得られた塗膜の
物性は表1に示した。このエナメルは、室温保存3日後
に全体がゲル化した。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】本発明により、長期間安定な硬化性組成
物を得ることができる。又、本発明により、各種基板、
粉粒体、線状物等の基材に適用でき、耐汚染性、耐熱
性、耐擦傷性、耐候性、耐酸性、耐薬品性等に優れた特
性を有し、高硬度且つ曲げ加工性に優れたクラック発生
の無い膜厚の厚いコーティング膜を得ることができる。
また、各種粉体表面をガラス質膜でコーティングし、か
つ各種シランカップラーを併用することが可能であるこ
とからFRP、人造大理石等の各種マトリックスとフィ
ラーとの密着性に顕著な効果を発現できる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:(R1O)n−Si−R2 4-n
    ・・(I) (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、R2
    アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル
    基、アミノアルキル基、アルケニル基、アリール基、ア
    ラルキル基、アシル基、アシルオキシアルキル基、エポ
    キシアルキル基、アルキルポリオキシアルキレン基であ
    り、nは3または4である。)で示されるアルコキシシ
    ラン化合物のうちの1種以上により得られたゲルを分散
    させてなる硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示されるアルコキシシラ
    ン化合物のうちの1種以上に水を加えて得られたゲルを
    分散させてなる請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で示されるアルコキシシラ
    ン化合物の1種以上に、該アルコキシシラン化合物の有
    するアルコキシ基に対して0.6当量以上の水を加えて
    得られたゲルを分散させてなる請求項2記載の硬化性組
    成物。
  4. 【請求項4】 一般式(I)で示されるアルコキシシラ
    ン化合物の1種以上に、該アルコキシシラン化合物の有
    するアルコキシ基に対して0.6当量未満の水を加え部
    分加水分解縮合して低縮合物とし、この低縮合物に更に
    水を加え、低縮合物合成時に加えた水と低縮合物に更に
    加えられた水との合計量が、出発物であるアルコキシシ
    ラン化合物の有するアルコキシ基に対して0.6当量以
    上として得られたゲルを分散させてなる請求項3記載の
    硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 ゲル生成までにアルコキシシラン化合物
    の有するアルコキシ基に対して1.0当量以上の水を加
    えてなることを特徴とする請求項3又は4記載の硬化性
    組成物。
  6. 【請求項6】 アルコキシシラン化合物がテトラメトキ
    シシランであることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 ゲルを溶剤に分散させてなる請求項1〜
    6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 【請求項8】 ゲルに有機化合物を配合及び/又は反応
    させてなる請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成
    物。
  9. 【請求項9】 粉体及び/又は顔料成分を配合してなる
    請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. 【請求項10】 ゲル中の不揮発分が1〜70重量%で
    ある請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の液
    状組成物が硬化してなる硬化物。
JP19986597A 1997-07-25 1997-07-25 硬化性組成物及びその硬化物 Pending JPH1135685A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19986597A JPH1135685A (ja) 1997-07-25 1997-07-25 硬化性組成物及びその硬化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19986597A JPH1135685A (ja) 1997-07-25 1997-07-25 硬化性組成物及びその硬化物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1135685A true JPH1135685A (ja) 1999-02-09

Family

ID=16414937

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19986597A Pending JPH1135685A (ja) 1997-07-25 1997-07-25 硬化性組成物及びその硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1135685A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273944A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Inax Corp 防汚樹脂製品及びその製造方法
JP2016023246A (ja) * 2014-07-22 2016-02-08 東洋紡株式会社 硬化性樹脂組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273944A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Inax Corp 防汚樹脂製品及びその製造方法
JP2016023246A (ja) * 2014-07-22 2016-02-08 東洋紡株式会社 硬化性樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5780530A (en) Thermosetting resin composition
JP3482569B2 (ja) 塗料用樹脂組成物、及び耐汚染性に優れた塗膜の形成方法
JPH1067844A (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP4883269B2 (ja) 硬化性ポリメチルシロキサン樹脂の製造方法
JPH07278497A (ja) 被覆用塗料組成物
JP3610627B2 (ja) コーティング液及びその製造方法、並びにコーティング膜
JP3721544B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JPH0786183B2 (ja) 被覆用塗料組成物
JPH1088010A (ja) 硬化性樹脂組成物
JPH10251516A (ja) シランオリゴマー組成物
JP3881076B2 (ja) シリケート化合物及びこれを含有する液状組成物
JPH1135685A (ja) 硬化性組成物及びその硬化物
JPH09110984A (ja) シリケート硬化物及びその製造方法
JPH1067945A (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JPH10245505A (ja) 耐雨垂れ汚染性塗膜、塗料組成物、塗膜形成方法及び塗装物
JP4352568B2 (ja) 無機質塗装品
JP4060781B2 (ja) シリケート化合物の変性方法
JPH09169847A (ja) ポリアルコキシポリシロキサン及びその製造方法並びにこれを用いた硬化性組成物
JPH09165451A (ja) シリケートオリゴマー及びその製造方法、並びにこれを用いた硬化性組成物
JP4374807B2 (ja) 親水性塗膜及び親水性塗膜の塗装方法
JPH0649412A (ja) コーティング組成物
JP3023392B2 (ja) 塗装物品およびその製造方法
JPH093402A (ja) コーティング用組成物
JP5116914B2 (ja) 有機溶剤型塗料用樹脂組成物の製造方法
JP3193832B2 (ja) コーティング用組成物及びその製造方法