JPH113549A - 光磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

光磁気ディスクの製造方法

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JPH113549A
JPH113549A JP15411397A JP15411397A JPH113549A JP H113549 A JPH113549 A JP H113549A JP 15411397 A JP15411397 A JP 15411397A JP 15411397 A JP15411397 A JP 15411397A JP H113549 A JPH113549 A JP H113549A
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JP
Japan
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magneto
curable resin
lubricant
ultraviolet
film
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JP15411397A
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English (en)
Inventor
Yoshikazu Anezaki
芳和 姉崎
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑剤が内添された紫外線硬化型樹脂を塗布
して形成される保護膜の潤滑性能を十分に引き出す。 【解決手段】 基板1の一主面1a側に光磁気記録膜
3、反射膜5を積層形成し、この上に予め潤滑剤が内添
された紫外線硬化型樹脂を塗布し、3秒〜10秒放置し
た後、紫外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化さ
せて保護膜7を形成する。なお、上記潤滑剤が、ポリエ
ーテル変性ポリシロキサンであることが好ましい。ま
た、上記潤滑剤が、主鎖重合度をm、側鎖数をnとした
ときに、25≦m≦250、20≦m/n≦40なる条
件を満たすポリジメチルシロキサン系化合物であること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動記録方式に使
用して好適な光磁気ディスクの製造方法に関する。詳し
くは保護膜形成工程の条件を規定して潤滑性能が十分に
引き出された光磁気ディスクの製造を可能とする光磁気
ディスクの製造方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方式は、磁性薄膜を部分的に
キュリー点または温度補償点を越えて昇温し、この部分
の保磁力を消滅させて外部から印加される記録磁界の方
向に磁化の向きを反転することを基本原理とするもの
で、光ファイルシステムやコンピュータの外部記憶装
置、あるいは音響、映像情報の記録装置等において実用
化されている。
【0003】この光磁気記録方式に用いられる光磁気デ
ィスクとしては、ポリカーボネート等からなる透明基板
の一主面に、膜面と垂直方向に磁化容易軸を有し、且つ
磁気光学効果の大きな光磁気記録膜(例えば希土類−遷
移金属合金非晶質薄膜)や反射膜,誘電体膜を積層する
ことにより記録部を形成し、さらにこの記録部の腐食を
防止するために、記録部上に紫外線硬化型樹脂等よりな
る保護膜を覆う如く形成したものが知られている。
【0004】ところで、光磁気記録方式には、大きく分
けて光変調方式と磁界変調方式があるが、このうち磁界
変調方式は、オーバーライト可能であることから注目さ
れており、例えば直径64mm程度の小型光磁気ディス
クの記録方式として採用が検討されている。
【0005】上記磁界変調方式は、印加磁界を高速で反
転することにより磁性薄膜(光磁気記録膜)に情報を書
き込むものであって、磁界の印加は通常磁界発生手段を
有する磁気ヘッドによって行われる。
【0006】この場合、高速反転磁界を印加する磁気ヘ
ッドでは、諸々の制約から非常に小さな磁界しか発生で
きず、磁気ヘッドをなるべく光磁気記録膜と近接させな
ければならない。
【0007】そこで、このような磁界変調方式において
は、磁気ヘッドを磁気ディスクのディスク面に対して直
接接触させ、摺動させながら記録を行う摺動記録方式の
採用が検討されている。この摺動記録方式を採用すれ
ば、上記高速反転磁界を印加する磁気ヘッドであっても
光磁気記録膜に対して十分な磁力が印加できる。しか
も、ディスク面に対してヘッドが浮上する方式では、デ
ィスク面とヘッド間の距離を常に一定に保つための複雑
なサーボ機構が必要であるが、摺動記録方式では、この
ようなサーボ機構が不要である。従って、装置の簡易
化、小型化、低消費電力化にも有利となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、摺動記録方
式では、磁気ヘッドは光磁気ディスクの保護膜側に配置
され、該保護膜表面を直接摺動することとなる。従っ
て、摺動記録方式で使用する光磁気ディスクには、保護
膜が磁気ヘッドの摺動に耐え得ることが重要な要件とな
ってくる。
【0009】ところが、このような点から従来の光磁気
ディスクを見ると、従来の光磁気ディスクにおいて保護
膜を形成している紫外線硬化型樹脂よりなる膜は、磁気
ヘッドに対する摩擦力が大きい。このため、このまま摺
動記録方式に使用するには不適当であり、保護膜上にシ
リコンオイル等の潤滑剤を塗布して保護膜表面の摩擦係
数を低下させて磁気ヘッドに対する摩擦力を低下させる
ようにしている。しかし、この方法では、潤滑剤を塗布
する工程が新たに必要となること、塗布された潤滑剤は
使用及び保存により次第に減少し、結果的には摩擦係数
が増加していくといった不都合が生じる。
【0010】そこで、予め紫外線硬化型樹脂中にシリコ
ンオイルの誘導体等の潤滑剤を内添しておき、これを塗
布して保護膜を形成する方法が提案されている。このよ
うに内添しておけば、使用及び保存による摩擦係数の変
化が抑えられる。
【0011】しかしながら、潤滑剤が内添される紫外線
硬化型樹脂を塗布して保護膜を形成する場合、その潤滑
性能を制御することが困難であった。
【0012】そこで本発明は、このような従来の実状に
鑑みて提案されたものであり、潤滑剤が内添された紫外
線硬化型樹脂を塗布して形成される保護膜の潤滑性能を
十分に引き出す光磁気ディスクの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等が鋭意検討した結果、潤滑剤が内添され
た紫外線硬化型樹脂を塗布し、これを硬化して形成する
保護膜における表面の摩擦特性、すなわち潤滑性能は、
紫外線硬化型樹脂を塗布した後、硬化させるまでに潤滑
剤がどの程度の割合で保護膜表面にしみ出してきている
かによって略々決定されることを見出した。
【0014】すなわち、本発明の光磁気ディスクの製造
方法は、基板の一主面側に光磁気記録膜、反射膜を積層
形成し、この上に予め潤滑剤が内添された紫外線硬化型
樹脂を塗布し、3秒〜10秒放置した後、紫外線を照射
して上記紫外線硬化型樹脂を硬化させて保護膜を形成す
ることを特徴とするものである。
【0015】このとき、上記潤滑剤が、下記化2に示さ
れるポリエーテル変性ポリシロキサンであることが好ま
しい。
【0016】
【化2】
【0017】また、上記潤滑剤が、主鎖重合度をm、側
鎖数をnとしたときに、25≦m≦250、20≦m/
n≦40なる条件を満たすポリジメチルシロキサン系化
合物であることが好ましい。
【0018】本発明の光磁気ディスクの製造方法におい
ては、基板の一主面側に光磁気記録膜、反射膜を積層形
成し、この上に予め潤滑剤が内添された紫外線硬化型樹
脂を塗布し、3秒〜10秒放置した後、紫外線を照射し
て上記紫外線硬化型樹脂を硬化させて保護膜を形成する
ようにしており、放置時間を3秒以上としていることか
ら、紫外線硬化型樹脂中に内添される潤滑剤が塗布され
た紫外線硬化型樹脂の表面に十分しみ出し、十分な潤滑
性能を有する保護膜が形成され、放置時間を10秒以下
としていることから、しみ出した潤滑剤が紫外線硬化型
樹脂の硬化を妨げることがなく、生産性を損なうことも
ない。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】本例の光磁気ディスクの製造方法において
は、先ず、図1に示すように、基板1の一主面1a側
に、この種の光磁気ディスクの製造方法において一般的
な手法により、光磁気記録膜3、反射膜5を積層形成す
る。なお、このとき、基板1と光磁気記録膜3の間に第
1の誘電体膜2、光磁気記録膜3と反射膜5の間に第2
の誘電体膜4をこの種の光磁気ディスクの製造方法にお
いて一般的な手法により形成することが好ましい。この
ようにして、第1の誘電体膜2、光磁気記録膜3、第2
の誘電体膜4、反射膜5よりなる記録部6が形成される
こととなる。
【0021】上記基板1としては、厚さ4mm程度の円
板状の透明基板が挙げられ、その材質としては、アクリ
ル樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリオレフィン樹脂,
エポキシ樹脂等のプラスチック材料の他、ガラス等が使
用可能である。
【0022】また、上記光磁気記録膜3は、膜面に垂直
な方向に磁化容易方向を有する非晶質の磁性薄膜であっ
て、磁気光学特性に優れることは勿論、室温にて大きな
保磁力を持ち、且つ200℃近辺にキュリー点を持つ記
録材料よりなることが望ましい。このような条件に叶っ
た記録材料としては、希土類−遷移金属合金非晶質薄膜
等が挙げられ、なかでもTbFeCo系非晶質薄膜が好
適である。この記録磁性層5には、耐蝕性を向上させる
目的で、Cr等の添加元素が添加されていてもよい。
【0023】さらに、反射膜5は、下層となる第2の誘
電体膜4との境界でレーザ光を70%以上反射する高反
射率の膜により構成することが好ましく、非磁性金属の
蒸着膜が好適である。また、この反射膜5は、熱的良導
体であることが望ましく、入手の容易さや成膜の容易さ
等を考慮すると、アルミニウムが適している。
【0024】さらにまた、第1の誘電体膜2及び第2の
誘電体膜4としては、酸化物や窒化物等よりなる膜が使
用可能であるが、誘電体中の酸素が光磁気記録膜3に悪
影響を及ぼす虞れがあることから窒化物がより好まし
く、酸素および水分を透過せず且つ使用レーザ光を十分
に透過し得る物質として窒化ケイ素あるいは窒化アルミ
ニウム等が好適である。
【0025】次に、上記記録部6上に保護膜を形成する
べく、潤滑剤が内添された紫外線硬化型樹脂を塗布す
る。塗布方法としては、この種の光磁気ディスクの製造
方法において一般的なスピンコート法が挙げられる。
【0026】上記紫外線硬化型樹脂としては、通常、光
磁気ディスクの保護膜として使用されているものであれ
ばいずれでも良く、防水性に優れることからアクリル系
紫外線硬化型樹脂が適している。
【0027】上記潤滑剤としては、下記化3に示される
ようなポリエーテル変性ポリシロキサンが挙げられる。
【0028】
【化3】
【0029】このポリエーテル変性ポリシロキサンは、
化学的に不活性である、流動点(融点)が低い(融点:
<−40℃)、熱分解温度が高い(熱分解温度:>20
0℃)、粘度別に多品種ある、粘度温度依存性が非常に
小さいといった潤滑剤として適した特性を有するととも
に、樹脂との相溶性にも優れるため、樹脂へ内添するの
に適している。
【0030】したがって、このようなポリエーテル変性
ポリシロキサンを内添した紫外線硬化型樹脂を塗布して
保護膜を形成すれば、保護膜に摺動性能が付加されて磁
気ヘッドに対する摩擦力が大幅に低減し、潤滑性能が大
幅に向上することになる。
【0031】上記ポリエーテル変性ポリシロキサンとし
ては、化3中のR1 のエーテル鎖がエチレンオキサイド
及び/又はプロピレンオキサイドからなるものが好まし
く、特にプロピレンオキサイドのみの変性が好ましい。
【0032】また、上記潤滑剤としては、主鎖重合度を
m、側鎖数をnとしたときに、25≦m≦250、20
≦m/n≦40なる条件を満たすポリジメチルシロキサ
ン系化合物も挙げられる。このポリジメチルシロキサン
は下記化4に示すような一般式に示される構造を有する
ものであり、導入する側鎖Rは、紫外線硬化型樹脂との
親和性が高い側鎖、例えばポリエーテル基,メチルスチ
リル基,高級脂肪酸エステル,高級アルコキシ基等であ
る。
【0033】
【化4】
【0034】そして、上記のように主鎖重合度や側鎖数
(側鎖Rが導入されたモノマーの構成数)を規定する
と、ポリジメチルシロキサンの紫外線硬化型樹脂に対す
る溶解度が上がり、その潤滑性能を効率良く発揮させる
ことが可能となる。
【0035】主鎖重合度mが25未満のポリジメチルシ
ロキサンは、潤滑性が不足し、主鎖重合度が250を越
えるポリジメチルシロキサンは、紫外線硬化型樹脂に対
する溶解度が不十分であり、内添量が制限され、いずれ
にしても保護膜表面の摩擦係数を十分に低減させて潤滑
性能を向上させることができない。
【0036】また、側鎖数nと主鎖重合度mの比m/n
は、ポリジメチルシロキサンの紫外線硬化型樹脂に対す
る溶解度とともに保護層への分布状態に反映する。
【0037】このm/nが比較的大きいポリジメチルシ
ロキサン,すなわち主鎖重合度mに比べて側鎖数nが小
さいポリジメチルシロキサンは、内添したときに保護膜
の表面近傍に存在し易く、磁気ヘッドに対する摩擦係数
を効果的に低減し、潤滑性能を向上するが、紫外線硬化
型樹脂に対する溶解度が低く内添量が制限される。
【0038】これに対して、m/nが比較的小さいポリ
ジメチルシロキサン,すなわち主鎖重合度mに比べて側
鎖数nが大きいポリジメチルシロキサンは、紫外線硬化
型樹脂に良く溶解するが、保護膜の表面近傍に存在でき
る量が少ないことから多量に内添しても期待する程の摺
動性能が得られない。
【0039】したがって、主鎖重合度が25〜250で
あって、且つm/nが20〜40の範囲にあるポリジメ
チルシロキサンは、紫外線硬化型樹脂に対する溶解度、
保護膜内での分布状態がともに適正である。
【0040】なお、上記潤滑剤としては、上述したよう
なものの他、この種の光磁気ディスクに使用されるもの
で、紫外線硬化型樹脂に対して溶解性を有するものであ
れば使用可能である。
【0041】記録部上に塗布された潤滑剤が内添されて
いる紫外線硬化型樹脂を3秒〜10秒放置した後に、当
該紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して硬化させ、保護
膜を形成する。このとき、紫外線硬化型樹脂中に含まれ
る潤滑剤が表面にしみ出してくる。
【0042】特に、潤滑剤として上述したようなポリエ
ーテル変性ポリシロキサンやポリジメチルシロキサン系
化合物を使用した場合には、これらの基本構造が紫外線
硬化型樹脂に対して溶解しにくいものを親和性の高い側
鎖で紫外線硬化型樹脂に対して溶解しやすいものとして
いる構造であることから、この潤滑剤が内添された紫外
線硬化型樹脂を極端に薄く塗布すると、溶解しにくい性
質が少し強く現れ出し、潤滑剤が表面近傍に集まりやす
く、潤滑剤が表面にしみ出しやすくなるものと思われ
る。なお、上記保護膜の膜厚は、強度の確保,装置構成
の点から10μm程度とされることが好ましい。
【0043】上述のような光磁気ディスクの製造方法に
おいては、基板1の一主面1a側に光磁気記録膜3、反
射膜5を積層形成し、この上に予め潤滑剤が内添された
紫外線硬化型樹脂を塗布し、3秒〜10秒放置した後、
紫外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化させて保
護膜7を形成するようにしており、放置時間を3秒以上
としていることから、紫外線硬化型樹脂中に内添される
潤滑剤が塗布された紫外線硬化型樹脂の表面に十分しみ
出し、十分な潤滑性能を有する保護膜7が形成され、放
置時間を10秒以下としていることから、しみ出した潤
滑剤が紫外線硬化型樹脂の硬化を妨げることがなく、生
産性を損なうこともない。
【0044】なお、このような光磁気ディスク8に情報
を記録する場合には、図2に示すように、上記光磁気デ
ィスク8を挟んで光学ヘッド9が基板1側、磁気ヘッド
10が保護膜7側に配されるように対向配置し、当該光
磁気ディスク8に対して磁気ヘッド10を摺動させなが
ら信号記録を行う、いわゆる摺動記録方式により情報の
記録を行う。なお、図2中においては、光磁気ディスク
8の誘電体膜、反射膜の図示を省略する。
【0045】より具体的には、図3に示すように、上記
光磁気ディスク8は、記録再生装置に対して装填と排出
が自由に行えるカートリッジ11に図中矢印M1 で示す
ように回転可能に内装され、情報信号の記録時には、カ
ートリッジ11に開かれた窓12(光磁気記録膜及びそ
の保護膜が形成されているディスク面側の窓)から、こ
のディスク面上に板ばね及びジンバルばね等から構成さ
れる支持部材13を介して磁界変調記録用磁気ヘッド1
0が配され、記録用磁界がこの磁気ヘッド10より印加
される。
【0046】更に、カートリッジ11は、上記光磁気デ
ィスク8を挟んで上記磁気ヘッド10と反対側の面にも
窓を持ち、この窓と対向するように光学ヘッド9が配さ
れている。この光学ヘッド9は、記録時には、先の記録
用磁気ヘッド10による図中矢印Bで示すような印加磁
場中に置かれている光磁気ディスク8の光磁気記録膜上
に図中矢印Lで示すようなレーザ光を照射し、その部分
aを昇温する。光磁気ディスク8の回転に伴い、照射箇
所aは速やかに降温し、印加磁場方向に対応した磁化方
向(垂直磁気記録)を持つ記録ピットが記録磁性層に形
成される。更に、光学ヘッド9は、再生時には、照射パ
ワーを記録時よりも低くして照射し、カー効果により、
上記方法によって記録されたバイナリデータを読み取る
ことにも使用される。
【0047】
【実施例】次に、本発明の効果を確認するべく、以下に
示すような実験を行った。
【0048】実験例1 本実験例においては、潤滑剤を内添した紫外線硬化型樹
脂を塗布した後の放置時間と紫外線硬化型樹脂膜表面近
傍の潤滑剤量の関係を調査した。
【0049】すなわち、先ず、潤滑剤として下記化5に
示すようなポリジメチルシロキサン誘導体を用意し、こ
れを紫外線硬化型樹脂中に2重量%の割合で溶解させ
た。上記ポリジメチルシロキサン誘導体においては、ポ
リエーテル基を分子内に有することから、紫外線硬化型
樹脂に対する溶解性が生じ内添が可能となる。なお、上
記ポリジメチルシロキサン誘導体は、紫外線硬化型樹脂
中に完全に溶解するため、潤滑剤を内添した状態で紫外
線硬化型樹脂を保存している間に潤滑剤が分離したりす
ることがなく、実際の製造現場においても保護膜を安定
して形成することが可能である。
【0050】
【化5】
【0051】次に、この紫外線硬化型樹脂を一主面側に
少なくとも光磁気記録膜と反射膜が形成される基板の上
記一主面側にスピンコートにより塗布した。続いて、こ
の基板上に塗布された紫外線硬化型樹脂を所定時間放置
した後、紫外線を照射して硬化させ、厚さ10(μm)
〜15(μm)程度の保護膜を形成し、各光磁気ディス
クサンプルを用意した。
【0052】そして、これら光磁気ディスクサンプルの
保護膜表面の潤滑剤量を調査した。上記保護膜表面の潤
滑剤量は、X線光電子分光分析(Electron S
pectroscopy for Chemical
Analysis、以下、ESCAと称する。)により
表面のSi量を測定することにより調査可能であり、こ
の手法により行った。すなわち、紫外線硬化型樹脂はS
iを含まないため、この原子からのシグナル量は内添さ
れた潤滑剤の量に比例することとなる。さらに、ESC
Aの検出能力は被測定物の表面から30オングストロー
ム程度の深さまでに限られるので、ESCAによれば保
護膜表面近傍に存在する潤滑剤の量を反映することとな
る。
【0053】結果を図4に示す。図4中、横軸は塗布後
放置時間を示し、縦軸はSiシグナルの相対強度を示
す。
【0054】図4の結果から、塗布後の放置時間が長く
なるにつれ、Siシグナルの相対強度が向上しているこ
とがわかった。この結果は、紫外線硬化型樹脂を塗布し
た直後においては、内添された潤滑剤がしみ出しておら
ず、時間が経つにつれて潤滑剤がしみ出し、ある程度の
時間が経つとしみ出し量の増加が緩やかとなる現象を裏
付けるものである。なお、この現象は、潤滑剤が内添さ
れた紫外線硬化型樹脂を薄く塗布すると、溶解系の界面
がその体積に比して非常に大きくなり、潤滑剤が保存時
とは異なった状態で存在することとなることから、溶解
しにくい性質が少し強く現れ出し、潤滑剤が表面近傍に
集まりやすく、潤滑剤の若干量が界面(表面)近傍に集
まって安定するためと思われる。
【0055】実験例2 本実験例においては、保護膜表面付近の潤滑剤量と摩擦
力の関係を調査した。
【0056】すなわち、実験例1と同様にして紫外線硬
化型樹脂を塗布した後に所定時間放置して各光磁気ディ
スクサンプルを用意し、これらサンプルの保護膜表面近
傍における潤滑剤量を示すSiシグナルの相対強度を実
験例1で述べたようにして調査した。
【0057】また、これらサンプルの保護膜表面の摩擦
力を図5に示すような摩擦力測定器により調査した。上
記摩擦力測定器は、図5に示すように、スピンドルモー
ターにより回転するディスクテーブル21、プラスチッ
クヘッド22、荷重変換器23、温度補償機能を有する
ブリッジボックス24及びストレインアンプ25、A/
Dコンバータ26、パーソナルコンピュータ27よりな
るものである。上記摩擦力測定器においては、ディスク
をチャッキングして載置したディスクテーブル21を図
中矢印M2 で示すように回転させるとディスクとプラス
チックヘッド22の間で生じる摩擦力によって図中矢印
3 で示すように荷重変換器23に荷重がかかる。この
荷重は電気信号に変換されてブリッジボックス24、ス
トレインアンプ25、A/Dコンバータ26を経て、パ
ーソナルコンピュータ27に入力される。
【0058】本実験例においては、上記のような摩擦力
測定器のプラスチックヘッド22としてユニチカ社製
ポリアリレイトAX1500よりなり、表面が曲率5
(mm)の球面となされる評価用ダミーヘッドを使用
し、ヘッド荷重を20(mN)として摩擦力を測定する
こととした。
【0059】結果を図6に示す。図6中横軸はSiシグ
ナルの相対強度を示し、図6中縦軸は摩擦力を示す。
【0060】図6の結果から、Siシグナルの相対強度
が大きい程、すなわち保護膜表面側における潤滑剤量が
多い程、摩擦力が低下することがわかった。
【0061】すなわち、実験例1及び実験例2の結果か
ら、光磁気ディスクの記録再生装置の消費電力をできる
だけ抑え、振動音等の発生を抑えるべく、摩擦力を8
(mN)以下として、十分な潤滑性能を得るためには、
潤滑剤が内添される紫外線硬化型樹脂を塗布した後、硬
化するまで放置する時間は3秒以上とする必要があるこ
とが確認された。
【0062】実験例1及び実験例2の結果から、放置時
間を長くする程、摩擦力を抑え、潤滑性能を向上するこ
とが可能となる傾向が見られるものの、潤滑剤が内添さ
れる紫外線硬化型樹脂を塗布して10秒より長く放置し
た後、硬化させるようにすると、塗布された紫外線硬化
型樹脂の表面近傍の潤滑剤が当該紫外線硬化型樹脂の硬
化を妨げてしまい、保護膜表面の硬さが低下することが
確認されている。保護膜表面の硬さが低いと、初期にお
いてはある程度良好な摩擦力が確保されるものの、例え
ば100万回以上の摺動においては、スクラッチ傷等が
発生し易いことが確認されている。すなわち、潤滑剤が
内添される紫外線硬化型樹脂を塗布した後、硬化するま
で放置する時間は10秒以下とする必要があることも確
認された。
【0063】従って本発明の光磁気ディスクの製造方法
のように、予め潤滑剤が内添された紫外線硬化型樹脂を
塗布し、紫外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化
させて保護膜を形成する際に、紫外線硬化型樹脂を塗布
した後、硬化させるまで所定の時間放置するようにし、
放置時間を3秒以上とすれば、紫外線硬化型樹脂中に内
添される潤滑剤が塗布された紫外線硬化型樹脂の表面に
十分しみ出し、十分な潤滑性能を有する保護膜が形成さ
れ、放置時間を10秒以下とすれば、しみ出した潤滑剤
が紫外線硬化型樹脂の硬化を妨げることがなく、生産性
を損なうこともないことが確認された。
【0064】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の光磁気ディスクの製造方法においては、基板の一主
面側に光磁気記録膜、反射膜を積層形成し、この上に予
め潤滑剤が内添された紫外線硬化型樹脂を塗布し、3秒
〜10秒放置した後、紫外線を照射して上記紫外線硬化
型樹脂を硬化させて保護膜を形成するようにしており、
放置時間を3秒以上としていることから、紫外線硬化型
樹脂中に内添される潤滑剤が塗布された紫外線硬化型樹
脂の表面に十分しみ出し、十分な潤滑性能を有する保護
膜が形成され、放置時間を10秒以下としていることか
ら、しみ出した潤滑剤が紫外線硬化型樹脂の硬化を妨げ
ることがなく、生産性を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】光磁気ディスクの構造を示す要部概略断面図で
ある。
【図2】光磁気ディスクに情報の記録を行う様子を模式
的に示す断面図である。
【図3】光磁気ディスクに情報の記録を行う様子を示す
斜視図である。
【図4】塗布後放置時間とSiシグナルの相対強度の関
係を示す特性図である。
【図5】摩擦力測定器を示す要部概略平面図である。
【図6】Siシグナルの相対強度と摩擦力の関係を示す
特性図である。
【符号の説明】
1 基板、1a 一主面、3 光磁気記録膜、5 反射
膜、7 保護膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の一主面側に光磁気記録膜、反射膜
    を積層形成し、この上に紫外線硬化型樹脂を塗布した
    後、紫外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化させ
    て保護膜を形成する光磁気ディスクの製造方法におい
    て、 紫外線硬化型樹脂中に潤滑剤を内添しておき、上記紫外
    線硬化型樹脂を塗布して3秒〜10秒放置した後に、紫
    外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化させること
    を特徴とする光磁気ディスクの製造方法。
  2. 【請求項2】 潤滑剤が、下記化1に示されるポリエー
    テル変性ポリシロキサンであることを特徴とする請求項
    1記載の光磁気ディスクの製造方法。 【化1】
  3. 【請求項3】 潤滑剤が、主鎖重合度をm、側鎖数をn
    としたときに、 25≦m≦250 20≦m/n≦40 なる条件を満たすポリジメチルシロキサン系化合物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の光磁気ディスクの製
    造方法。
JP15411397A 1997-06-11 1997-06-11 光磁気ディスクの製造方法 Withdrawn JPH113549A (ja)

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