JP2003141790A - 光学的記録媒体 - Google Patents

光学的記録媒体

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JP2003141790A
JP2003141790A JP2001337933A JP2001337933A JP2003141790A JP 2003141790 A JP2003141790 A JP 2003141790A JP 2001337933 A JP2001337933 A JP 2001337933A JP 2001337933 A JP2001337933 A JP 2001337933A JP 2003141790 A JP2003141790 A JP 2003141790A
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Japan
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optical recording
protective film
film
curable resin
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JP2001337933A
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English (en)
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Yoshiki Goto
良樹 後藤
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一な厚さを有する平坦な保護膜、および保
護膜の上に形成された摺動膜を有する光磁気記録媒体で
あって、安定的に繰り返し走行させることができる、実
用性の高い光磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 基板の上に形成された誘電膜、記録膜、
反射膜、保護膜および摺動膜を有する光磁気記録媒体の
保護膜を、特定のシリコーンを流展剤として添加した紫
外線硬化樹脂を反射膜の表面に塗布し、紫外線を照射し
て硬化して形成することにより、厚さが一定で平滑な保
護膜を有し、したがって記録ヘッドと接触しても支持ア
ームを損傷しない、安定した走行性および低摩擦特性を
示すディスク型の光磁気記録媒体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、映像・音響分野で
利用される、情報信号を記録するための光学的記録媒
体、特に光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、DVD、CD−R、光磁気記録媒
体およびHDのようなディスク型記録媒体が、多くの情
報を記録し得る高密度記録媒体として使用されている。
中でも、光磁気記録媒体は、小型で汎用性が高いため
に、パーソナルユースのメディアとして注目され、その
一部はすでに商品化されている。
【0003】一般的な光磁気記録媒体は、基板の一方の
面に、磁化反転をする記録層、記録層を挟む2つの誘電
膜、反射膜、保護膜、および摺動膜が積層されて構成さ
れている。この光磁気記録媒体への信号の記録は、磁界
変調を行う磁気ヘッドを媒体の摺動膜側に位置させ、基
板側からレーザー光を照射して実施する。
【0004】基板は、光学的に透明なガラスまたはプラ
スチック等から成る。誘電膜は窒化シラン等で形成され
る。記録膜はTbFeCo等のアモルファス合金膜で形
成される。反射膜はアルミニウム等で形成される。保護
膜および摺動膜は、磁気ヘッドとの接触安定性、走行性
および防湿性を確保するために、磁気ヘッド側のディス
ク表面に構成される。保護膜および摺動膜はそれぞれ、
各種の樹脂、セラミックまたは無機物質で形成される。
【0005】保護膜および摺動膜に対しては、密着性、
機械的強度、平坦性、平滑性、耐摩擦・摩耗性および防
湿性等の種々の性質が実用上、要求される。さらに、記
録膜の磁化反転に及ぼす影響を小さくするため、それら
の厚さは小さいことが望ましい。これらの要求を満たす
べく、光磁気記録媒体の保護膜に関して種々の改良が試
みられている。
【0006】例えば、特開平11−345441号公報
および特開平07−307042号公報には、それぞれ
光磁気記録媒体の保護膜の改良を目的とした樹脂組成物
が開示されている。また、特開平11−49900号公
報には、摺動部材に使用される潤滑性樹脂組成物が開示
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】光磁気記録媒体への信
号の記録は、高速回転状態にある媒体に、磁気ヘッドお
よびレーザービームを使用して磁界反転の記録ピットを
形成して実施し、記録した信号の再生は、高速回転状態
にある媒体にレーザービームを照射して行う。光磁気記
録媒体の記録・再生時において媒体を安定的に高速回転
させるために、光磁気記録媒体には極めて安定した走行
性が要求される。良好な走行性を確保するためには、適
切な厚さの摺動膜を保護膜の上に均一に形成する必要が
ある。
【0008】また、光磁気記録媒体に安定的に記録を実
施するためには、磁気ヘッドと記録膜との間の距離を一
定にすることが好ましい。そのため、記録領域におい
て、記録膜の上に位置する保護膜は一定の厚さを有す
る、即ち平坦であることが望ましい。保護膜の厚さが一
定でなく、例えば他の部分よりも厚い部分が存在する
と、その部分にて磁気ヘッドが光磁気記録媒体に接触し
たときに、大きな力が作用して磁気ヘッドアームが損傷
することがある。したがって、保護膜の厚さが一定であ
る領域が広いほど、媒体において安定的に記録できる領
域の面積はそれだけ大きくなる。保護膜の厚さが媒体の
表面全体にわたって平坦であれば、媒体の表面全体を有
効な記録領域として利用することができる。
【0009】このように、光磁気記録媒体の特性を向上
させるためには、良好な走行性を確保するとともに、保
護膜の平坦性を向上させることが望ましいといえる。さ
らに、光磁気記録媒体の保護膜に対しては、記録膜の保
護という観点から、耐摩耗性および耐湿性等を有するこ
と、ならびに大量生産の観点から、経済的かつ効率的に
形成し得ること等が要求される。
【0010】光学的記録媒体の保護膜が満たすべき条件
をまとめると次のようになる。 1)均一に成膜ができ、平坦性が確保されること。 2)表面を均一に仕上げることができること。 3)耐摩耗性にすぐれ、磁気ヘッド材およびスライダー
と摺動しても摩損が少ないこと。 4)広い温度範囲および湿度範囲において特性変化を生
じないこと。 5)安価であり、量産性にすぐれること。
【0011】しかし、上記で挙げた引用文献に開示され
た光磁気記録媒体はいずれも、媒体の走行性および保護
膜の平坦性の点でなお不十分なものである。
【0012】例えば、特開平11−345441号公報
に記載の保護膜用組成物は、2種の潤滑剤を予め添加し
たUV樹脂であり、これを用いて膜を形成する場合、そ
の平坦性を制御することが困難であり、また、これを用
いて保護膜を形成した光学的記録媒体はその走行性が十
分でない。特開平07−307042号公報に記載の保
護コート用樹脂組成物は、保護膜を構成するウレタンア
クリレートを改良して熱収縮率を制御しているに過ぎ
ず、保護膜の平坦性および光磁気記録媒体の走行性を向
上させることを目的としたものではない。特開平11−
49900号公報に記載の樹脂組成物は潤滑剤を予め添
加したオレフィン樹脂であるから、これで光学的記録媒
体の保護膜を形成しても、特開平11−345441号
公報に記載のものと同様の問題を有する。このように、
上記で引用した公報に開示された樹脂組成物で保護膜を
形成した光磁気記録媒体はいずれも、保護膜の平坦性お
よび長期間にわたる安定した走行性が十分に確保された
ものではない。
【0013】本発明は、かかる実情に鑑みてなされたも
のであり、上記1)〜5)の条件を満たす保護膜が形成
された、安定した走行性を有する光学的記録媒体、特に
光磁気記録媒体を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定のシ
リコーンを添加した紫外線硬化樹脂で保護膜を形成する
ことにより、上記課題が解決されることを見出した。以
下に、そのような保護膜を有する本発明の光学的記録媒
体を説明する。
【0015】第1の要旨において本発明は、保護膜およ
びその上に形成された摺動膜を含む光学的記録媒体であ
って、保護膜が、下記の化学式(1)に示すポリエーテ
ル変性シリコーンを添加剤として含有する紫外線硬化樹
脂の硬化物から成ることを特徴とする光学的記録媒体を
提供する。
【化4】 (式中、R1は−Si(CH33であり、POAはオキ
シアルキレン基を含むエーテル変性基であり、m+n=
1000〜10000である。)
【0016】化学式(1)で示されるポリエーテル変性
シリコーンは、紫外線硬化樹脂に添加されて、流展剤
(レベリング剤)として作用する。したがって、化学式
(1)で示されるポリエーテル変性シリコーンを含有す
る紫外線硬化樹脂を使用すれば、硬化後の表面が平坦な
膜(即ち、一定の膜厚を有する膜)を形成することがで
きる。
【0017】化学式(1)で示されるポリエーテル変性
シリコーンは、POAがEO/POのモル比が50/5
0〜0/100であるポリオキシアルキレン基を含むエ
ーテル変性基であることが好ましい。ここでEOはオキ
シエチレンを示し、POはオキシエチレン以外のオキシ
アルキレンを示し、EO/POのモル比とは(オキシエ
チレン)/(オキシエチレン以外のオキシアルキレン)
のモル比を意味する。EO/POのモル比がこの範囲内
にあるポリエーテル変性シリコーンは、紫外線硬化樹脂
との相溶性が良好である。また、そのようなポリエーテ
ル変性シリコーンを含有する紫外線硬化樹脂は、成膜時
のハンドリング性が良い。
【0018】化学式(1)で示されるポリエーテル変性
シリコーンの添加量は、樹脂全体(添加剤を含む)を基
準として、0.1〜0.005wt%であることが好ま
しい。0.005wt%未満であると、平坦な保護膜を
形成することができない。0.1wt%を越えると、保
護膜の上に摺動膜を形成することが困難となり、その結
果、媒体の走行性が低下する。
【0019】より好ましい添加量は、0.05〜0.0
2wt%である。ポリエーテル変性シリコーンの添加量
がこの範囲内にある紫外線硬化樹脂を用いれば、種々の
条件にて平坦な保護膜を形成することができる。また、
ポリエーテル変性シリコーンの添加量がこの範囲内にあ
る紫外線硬化樹脂は、容易に調製できる。
【0020】本発明は、第2の要旨において、保護膜お
よびその上に形成された摺動膜を含む光学的記録媒体で
あって、保護膜が、下記の化学式(2)に示すストレー
トシリコーンを添加剤として含有する紫外線硬化樹脂の
硬化物から成ることを特徴とする光学的記録媒体を提供
する。
【化5】 (式中、R1は−Si(CH33であり、R2およびR3
はそれぞれ、アルキル基、フェニル基またはアラルキル
基であり、m+n=1000〜10000である。)
【0021】化学式(2)で示されるストレートシリコ
ーンも、化学式(1)で示されるポリエーテル変性シリ
コーンと同様、流展剤(レベリング剤)として作用し、
保護膜の平坦性を向上させる。さらに、化学式(2)で
示されるストレートシリコーンを含有する紫外線硬化樹
脂で保護膜を形成すると、媒体の走行性も向上すること
が判った。それは、化学式(2)で示されるストレート
シリコーンが、紫外線硬化樹脂の硬化後、一部表面に露
出し、露出したストレートシリコーンが摺動特性を向上
させるためであると考えられる。また、化学式(2)で
示されるストレートシリコーンは、摺動膜との相溶性が
良好であるから、媒体を走行させている間に摺動膜中に
浸出して潤滑剤として補給されると考えられる。そのた
め、記録媒体の走行性が長期間にわたって低下しないと
考えられる。
【0022】化学式(2)において、R2およびR3はそ
れぞれ、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基で
ある。R2およびR3は互いに異なっていてよく、あるい
は同じであってよい。
【0023】化学式(2)で示されるストレートシリコ
ーンの添加量は、樹脂全体(添加剤を含む)を基準とし
て、0.1〜0.001wt%であることが好ましい。
より好ましい添加量は、0.05〜0.01wtであ
る。ストレートシリコーンの添加量をこれらの範囲とす
ることが好ましい理由は、化学式(1)で示されるポリ
エーテル変性シリコーンに関連して先に説明した通りで
ある。
【0024】本発明は、第3の要旨において、保護膜お
よびその上に形成された摺動膜を含む光学的記録媒体で
あって、保護膜が、下記の化学式(3)に示す両末端変
性シリコーンを添加剤として含有する紫外線硬化樹脂か
ら成ることを特徴とする光学的記録媒体を提供する。
【化6】 (式中、R4およびR5はそれぞれ、炭素数12〜24の
アルキル基、または1もしくは複数の−OH基および/
もしくはフッ素基で置換された炭素数12〜24のアル
キル基を含む基であり、kは10〜1000である。)
【0025】第3の要旨において提供される光学的記録
媒体は、保護膜を構成する紫外線硬化樹脂が両末端変性
シリコーンを含有することを特徴とする。両末端変性シ
リコーンは、上記化学式(1)および(2)で示される
シリコーンとは異なり、末端基のみが変性しているシリ
コーンである。この両末端変性シリコーンもまた、樹脂
への溶解性が優れており、流展剤(レベリング剤)とし
て作用して保護膜の平坦性を向上させる。両末端変性シ
リコーンは、末端基のみが変性しているために、化学式
(1)および(2)で示されるシリコーンよりも樹脂と
の相溶性が良好で、保護膜形成時のハンドリング性に優
れる。
【0026】さらに、両末端変性シリコーンを含有する
紫外線硬化樹脂で保護膜を形成すると、媒体表面の強度
が向上する傾向にあることが判った。これは、この両末
端変性シリコーンはkが10〜1000であって分子量
が小さいために、紫外線硬化樹脂が硬化するときに、樹
脂構造そのものを変化させることなく架橋構造に入り込
むことによると考えられる。紫外線硬化樹脂の硬化後、
架橋構造に組み込まれた両末端変性シリコーンの末端基
は、保護膜の強化に寄与すると考えられる。その結果、
媒体表面の強度(例えば耐擦過性)が向上すると考えら
れる。一方、変性していない骨格部分は、化学式(2)
で示されるストレートシリコーンと同様に、一部表面に
露出して摺動特性を向上させると考えられる。
【0027】化学式(3)において、R4およびR5はそ
れぞれ、炭素数12〜24のアルキル基、または1もし
くは複数の−OH基および/もしくはフッ素基で置換さ
れた炭素数12〜24のアルキル基を含む基である。R
4およびR5はそれぞれ異なっていてよく、あるいは同じ
であってよい。R4およびR5はそれぞれ、末端でエステ
ル結合を形成する基であってよい。
【0028】化学式(3)で示される両末端変性シリコ
ーンの添加量は、樹脂全体(添加剤を含む)を基準とし
て、0.5〜0.1wt%であることが好ましい。添加
量がこの範囲内にあると、強固な保護膜を形成すること
が可能となる。
【0029】さらに、本発明は、第4の要旨において、
保護膜およびその上に形成された摺動膜を含む光学的記
録媒体であって、保護膜が、両末端変性シリコーンであ
るポリ(ジメチルシロキサン−コ−ダイマー酸)−ビス
パーフルオロドデシルターミネイティドを添加剤として
含有する紫外線硬化樹脂から成ることを特徴とする光学
的記録媒体を提供する。
【0030】ポリ(ジメチルシロキサン−コ−ダイマー
酸)−ビスパーフルオロドデシルターミネイティドは、
基本骨格中にダイマー酸に由来するエステル結合を含
み、両末端にパーフルオロドデシル基が結合した化合物
である。この化合物は、両末端変性シリコーンとして分
類される。ポリ(ジメチルシロキサン−コ−ダイマー
酸)−ビスパーフルオロドデシルターミネイティドもま
た、化学式(3)で示される化合物と同様に、保護膜の
平坦性および強度の向上に寄与する。ポリ(ジメチルシ
ロキサン−コ−ダイマー酸)−ビスパーフルオロドデシ
ルターミネイティドの添加量もまた、樹脂全体(添加剤
を含む)を基準として、0.5〜0.1wt%であるこ
とが好ましい。
【0031】本発明の光学的記録媒体は、上述のように
保護膜が特定のシリコーンを含む紫外線硬化樹脂の硬化
物であることを特徴とする。したがって、摺動膜を構成
する材料は、特に限定されず、光学的記録媒体の摺動膜
の材料として使用されているものから任意に選択され
る。本発明の光学的記録媒体において、摺動膜は、動粘
度が300〜800mm2/s(300〜800cS
t)であるポリジメチルシリコーンから成るものである
ことが好ましい。そのようなポリジメチルシリコーンか
ら成る摺動膜は、良好な走行性を記録媒体に付与する。
また、そのようなポリジメチルシリコーンから成る摺動
膜は、自己修復性を有するので、周囲の温度変化および
湿度変化に対する耐性が高い。
【0032】保護膜を形成する紫外線硬化樹脂は、上述
の特定のシリコーンを含み、紫外線の照射によって硬化
する樹脂であれば、特に限定されない。したがって、紫
外線硬化樹脂は、光学的記録媒体の保護膜を構成する紫
外線硬化樹脂として使用されているものから任意に選択
される。本発明において、保護膜は、紫外線の照射によ
り硬化する樹脂成分としてアクリル酸エステル化合物を
含み、かつ25℃での粘度が100mPa・s(100
cP)以下である紫外線硬化樹脂に、紫外線を照射して
硬化したものであることが好ましい。ここでの粘度は、
シリコーンを添加した後の紫外線硬化樹脂の粘度であ
る。このような樹脂は、成膜の容易さ、膜厚の均一性確
保、硬化後の膜の硬度および接着性の点で好ましく使用
される。
【0033】本発明は、光学的記録媒体のいずれにも適
用することができる。本発明は、特に、ディスク形状の
光磁気記録媒体に適用することが好ましい。本発明を適
用した光磁気記録媒体は、摩擦係数が低い、ならびに損
傷しにくいといった優れた特性を有する。
【0034】また、本発明によれば、平坦な保護膜が表
面全体に形成された光磁気記録媒体が得られる。したが
って、本発明の光磁気記録媒体には、磁気ヘッドを用い
た信号の記録をスムーズに行うことができ、記録中、磁
気ヘッドアームが損傷を受けることもない。さらに、本
発明の光磁気記録媒体は、保護膜によって耐久性が向上
され、周囲の温度および湿度が変化しても特性が劣化し
にくい。このように本発明によれば、高品質および高耐
久性の光学的記録媒体を得ることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の光学的記録媒体は、保護
膜が、特定のシリコーンを添加剤として含有する紫外線
硬化樹脂の硬化物で形成されていることを特徴とする。
以下に、本発明で用いるシリコーンを説明する。
【0036】本発明で使用される第1のシリコーンとし
て、下記の化学式(1)で示されるポリエーテル変性シ
リコーンが挙げられる。
【化7】
【0037】化学式(1)中、R1は−Si(CH33
である。mおよびnは、m+nが1000〜10000
となるように選択される。
【0038】化学式(1)中、POAはオキシアルキレ
ン基を含むエーテル変性基であり、末端はHである。P
OAに含まれるオキシアルキレン基の炭素数は、より好
ましくは10以下であり、最も好ましくは5以下であ
る。そのようなオキシアルキレン基は、例えば、オキシ
エチレン基またはオキシ(イソ)プロピレン基である。
POAは、炭素数の異なる2種またはそれ以上のオキシ
アルキレンの共重合体であってよい。そのような共重合
体は、オキシエチレンとオキシ(イソ)プロピレンの共
重合体である。また、POAはオキシアリーレン基(−
O−Ar−)を含んでよい。
【0039】POAは、前述のとおり、EO/POのモ
ル比が50/50〜0/100であるポリオキシアルキ
レンを含む基であることが好ましい。
【0040】上記化学式(1)で示されるポリエーテル
変性シリコーンは、例えば、東芝シリコーン(株)から
入手できるTSF451である。
【0041】本発明で使用される第2のシリコーンとし
て、下記の化学式(2)で示されるストレートシリコー
ンが挙げられる。
【化8】
【0042】化学式(2)中、R1は−Si(CH33
である。mおよびnは、m+nが1000〜10000
となるように選択される。
【0043】化学式(2)中、R2およびR3はそれぞ
れ、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基であ
る。R2およびR3は、互いに異なっていてよく、あるい
は同じであってよい。R2およびR3はそれぞれ、炭素数
1〜3のアルキル基、および炭素数1〜3のアルキル基
の水素1原子がアリール基で置換されたアラルキル基か
ら選択することが好ましい。R2/R3の組み合わせの例
として、メチル/フェニル、フェニル/フェニルおよび
エチル/メチルフェニルが挙げられる。
【0044】化学式(2)で示されるストレートシリコ
ーンは、コストおよび入手が容易であるという利点を有
する。しかし、その添加量が増加すると、保護膜の上に
形成される摺動膜に含まれる成分を場合により凝固さ
せ、摺動膜の摺動特性を低下させることがある。したが
って、その添加量は、摺動膜の材料をも考慮して、精密
に制御する必要がある。化学式(2)で示されるストレ
ートシリコーンを適正な添加量で紫外線硬化樹脂に添加
すると、保護膜の平坦性を向上させるとともに、実用に
十分に適した摺動特性を光学的記録媒体に付与できる。
【0045】化学式(2)で示されるストレートシリコ
ーンは、例えば、和光純薬(株)から入手できるFlu
id200である。
【0046】本発明で使用される第3のシリコーンとし
て、下記の化学式(3)で示される両末端変性シリコー
ンが挙げられる。
【化9】
【0047】化学式(3)中、R4およびR5は、炭素数
12〜24のアルキル基を含む基である。アルキル基は
1もしくは複数−OH基を有するもの、1もしくは複数
のフッ素基を有するもの、または1もしくは複数のOH
基および1もしくは複数のフッ素基を有するものであっ
てよい。R4およびR5は、末端でエステル結合(Si−
OCOCq2q)を形成する基であってよい。R4および
5は互いに異なっていてよく、あるいは同じであって
よい。化学式(3)で示される化合物としては、具体的
には、ポリ(ジメチルシロキサン)−ジステアレートタ
ーミネイティド、およびポリ(ジメチルシロキサン)−
ビス(12−ヒドロキシステアレート)ターミネイティ
ドがある。
【0048】式(3)において、kは10〜1000で
ある。化学式(3)で示されるシリコーンは、例えば、
アルドリッチジャパン社から入手できる製品番号432
97である。
【0049】本発明で使用される第4のシリコーンとし
て、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−ダイマー酸)−ビ
ス(パーフルオロドデシル)ターミネイティドが挙げら
れる。ポリ(ジメチルシロキサン−コ−ダイマー酸)−
ビス(パーフルオロドデシル)ターミネイティドは、こ
の製品名でアルドリッチジャパン社から入手でき、この
化合物に付与されている同社の製品番号は43490−
6である。
【0050】本発明の光学的記録媒体を構成する保護膜
は、上記の化学式(1)〜(3)のいずれか1つの式で
示されるシリコーンまたはポリ(ジメチルシロキサン−
コ−ダイマー酸)−ビスパーフルオロドデシルターミネ
イティドを添加した紫外線硬化樹脂の硬化物から成る。
保護膜は、シリコーンを添加した紫外線硬化樹脂を適当
な方法で塗布し、紫外線を照射して硬化させることによ
り形成する。塗布方法は、例えばスピンコート法であ
る。
【0051】紫外線硬化樹脂は「バインダ材」とも呼ぶ
ことができる。紫外線硬化樹脂は、添加されるシリコー
ンとの相溶性の良いものであることが好ましい。前述の
ように、紫外線硬化樹脂は、アクリル酸エステル樹脂で
あることが好ましい。本発明において使用される紫外線
硬化樹脂は、例えば、日本化薬(株)から入手できるM
D450である。本発明においては、光学的記録媒体の
他の構成要素に悪影響を及ぼさないかぎりにおいて、紫
外線硬化樹脂に代えて、例えばエポキシ等の熱硬化性樹
脂を使用してよい。
【0052】紫外線硬化樹脂は、上述の特定のシリコー
ンを添加した状態の粘度が25℃にて100mPa・s
以下であることが好ましい。その理由は先に述べたとお
りである。粘度は、JIS K7117に従って測定さ
れる。粘度測定計として、例えば、東機産業(株)製の
BL型粘度計を使用できる。粘度は、シリコーンの種類
および添加量によって変化する。したがって、化学式
(1)〜(3)における、m、n、POA、R2、R3
4およびR5の選択に際しては、それらが紫外線硬化樹
脂の粘度に与える影響をも考慮することが望ましい。
【0053】上記特定のシリコーンを添加した紫外線硬
化樹脂、特にアクリル系の紫外線硬化樹脂から成る保護
膜は、先に列挙した保護膜が満たすべき1)〜5)の条
件をすべて満たす。このような保護膜は従来の光学的記
録媒体では見られなかったものであり、本発明によって
初めて実現されたものである。
【0054】次に、上述の保護膜を含む本発明の光学的
記録媒体を、図面を参照して説明する。図1は、本発明
を適用したディスク型の光磁気記録媒体10を模式的に
示す断面図である。図1において、符号1で示す要素
は、厚さが1mm程度のディスク形状の基板である。基
板は透明基板であれば、その材料は特に限定されない。
基板1は、例えばガラスまたはプラスチック等で形成さ
れる。
【0055】符号2で示す要素は誘電膜である。誘電膜
2は記録膜3を挟むように形成される。誘電膜2は、例
えば、厚さ0.2μm程度の窒化シラン膜である。誘電
膜2は、スパッタ等の方法で形成される。
【0056】符号3で示す要素は光磁気記録膜である。
光磁気膜3は、磁化反転を示す材料の合金で形成され、
例えばTbFeCoで形成される。
【0057】符号4で示す要素は反射膜であり、一般に
アルミニウムで形成される。反射膜は、スパッタ等の方
法で形成される。
【0058】符号5で示す要素は保護膜である。保護膜
を形成する材料および形成方法は先に説明したとおりで
ある。保護膜の厚さは、5〜10μm程度である。
【0059】符号6で示す要素は摺動膜である。摺動膜
は、潤滑性を示す任意の材料で形成することができる。
本発明の光学的記録媒体において、摺動膜6は特に動粘
度が300〜800mm2/s(300〜800cS
t)であるポリジメチルシリコーンから成ることが好ま
しい。ポリジメチルシリコーンから成る摺動膜は、その
下に位置する保護膜がアクリル系樹脂である場合には、
樹脂との親和性が大きいため、保護膜に良好に密着し、
剥離しにくい。したがって、そのような摺動膜を有する
光学的記録媒体は、繰り返し走行させた場合でも走行性
が低下せず、良好な走行耐久性を示す。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。下記の実施例において作製したサンプルはいずれ
も、直径2インチのディスク形状ポリカーボネート基材
の上に、SiONから成る誘電膜、TbFeCoから成
る記録膜、およびAlから成る反射膜が図1に示すよう
に形成され、反射膜の上に保護膜が形成された構造を有
する。したがって、下記の実施例の各サンプルの作製方
法の説明において、「保護膜を形成した」というとき
は、基材上に誘電膜、記録膜および反射膜を形成した光
磁気記録媒体用の構造物の反射膜の上に保護膜を形成し
たことを意味する。
【0061】(実施例1)この実施例では、流展剤とし
て、化学式(1)で示されるポリエーテル変性シリコー
ンを用意した。流展剤は、エーテル変性基を構成するポ
リオキシアルキレン基およびEO/PO比がそれぞれ異
なるものを5種類用意した。いずれのポリエーテル変性
シリコーンも、m+nは5000であった。表1に各サ
ンプルの作製に使用したシリコーンのエーテル変性基中
に含まれるオキシアルキレンおよびEO/PO比を示
す。
【0062】
【表1】
【0063】各シリコーンをそれぞれ流展剤として、樹
脂全体に占める流展剤の割合が0.03wt%となるよ
うにアクリル系紫外線硬化樹脂に添加して、保護膜用の
塗布液を5種類調製した。この塗布液を用いて、回転型
塗布機でスピンコート法により保護膜を形成し、サンプ
ルを作製した。保護膜の形成条件は、回転数3800r
pm、回転時間3.5sec、試料注入量470マイク
ロリッターとした。
【0064】保護膜の平坦性を評価するために、サンプ
ルNo.1〜5の光磁気記録媒体の厚さおよび比較例と
して市販のMDの厚さを、触針式ラフネス計を用いて径
方向に沿って測定した。さらに、保護膜を形成する前の
光磁気記録媒体(即ち、図1において反射膜までが形成
されたもの)の厚さを同様にして測定した。各サンプル
の保護膜の平坦性は、最内周の厚さを1としたときの径
方向の各点における厚さの相対比を求めることにより評
価した。評価の結果を図2に示す。
【0065】図2に示すように、保護膜を形成する前の
光磁気記録媒体は径方向でほぼ一定の厚さを有する。ま
た、市販のMD(比較例)の厚さは、ディスクの外周に
近づくほど大きくなっている。これらの結果より、市販
のMDの保護膜は、平坦でなく、塗布液の流動により内
周から外周にかけて傾斜を有するものであることが判っ
た。
【0066】これに対し、本発明品に相当するサンプル
No.1〜5は、いずれも内周と外周で厚さの差は小さ
く、径方向に沿って厚さが一定である平坦な保護膜が形
成されたものであることが判った。これは、ポリエーテ
ル変性シリコーンの添加により、塗布液の表面張力が低
下したためであると考えられる。特に、サンプルNo.
2と4は、内周と外周で厚さの差が殆ど無かった。これ
は、保護膜の形成条件が、サンプルNo.2および4の
作製に使用した塗布液を塗布するのに最適な条件であっ
たためであると考えられる。
【0067】次に、ポリエーテル変性シリコーンの好ま
しい添加量を調べた。サンプルNo.2で用いたポリエ
ーテル変性シリコーンをアクリル系紫外線硬化樹脂に添
加して調製した保護膜用の塗布液を9種類用意した。各
塗布液のポリエーテル変性シリコーンの添加量は、0〜
0.2wt%の範囲内でそれぞれ異なる。各塗布液を用
いて保護膜を形成し、9種類のサンプルを作製した。得
られた各サンプルの最外周および最内周の厚さを測定
し、最内周の厚さに対する最外周の厚さの比を求めるこ
とにより、保護膜の平坦性を評価した。評価結果を図3
に示す。
【0068】評価結果より、ポリエーテル変性シリコー
ンを0.005wt%添加するだけで、保護膜の平坦性
は向上し、添加量を増すほど平坦性は向上することが判
った。しかし、シリコーンの添加量は、保護膜と保護膜
の上に形成される摺動膜との相互作用をも考慮して決定
する必要がある。即ち、シリコーンの添加量は、摺動膜
の形成に悪影響を及ぼさない範囲内で保護膜の平坦性を
向上させる量とすべきである。そこで、各サンプルの保
護膜の上に摺動膜を形成し、各サンプルの摺動膜の厚さ
を測定し、ポリエーテル変性シリコーンの添加量と摺動
膜の厚さとの関係を調べた。
【0069】摺動膜は、動粘度400mm2/sのポリ
ジメチルシリコーンをヘプタンで希釈した溶液を塗布し
て形成した。摺動膜の厚さは、FT−IRにより、摺動
膜を構成する物質に特徴的なスペクトルの吸光度(Ab
s)から求めた。得られた結果を図3に示す。図3にお
いて、各サンプルの摺動膜の厚さは、ポリエーテル変性
シリコーンの添加量が0であるときの厚さ(吸光度)を
1としたときの相対値で示している。図3より、ポリエ
ーテル変性シリコーンの添加量を増すほど、摺動膜の厚
さは減少し、添加量が0.1wt%以上になると極端に
低下することがわかる。摺動膜の厚さがこのように小さ
くなると、回転モードにて磁気ヘッドで記録する際、走
行性の低下につながり好ましくない。
【0070】この結果より、摺動膜の性能(即ち、走行
性)を大幅に低下させることなく、保護膜の平坦性を向
上させるポリエーテル変性シリコーンの添加量は、0.
1〜0.005wt%であるといえる。さらに、平坦性
および走行耐久性の両特性を考慮すると、ポリエーテル
変性シリコーンの添加量は0.05〜0.02wt%で
あることが最も好ましいといえる。
【0071】好ましい添加量の範囲は、以下の実施例2
および3で使用したシリコーンについても上記方法と同
様の方法で確認した。各シリコーンについて、先に挙げ
た好ましい添加量の範囲はその結果に基づく。
【0072】この実施例より、流展剤としてポリエーテ
ル変性シリコーンを添加したアクリル系紫外線硬化樹脂
で保護膜を形成することにより、摺動膜の摺動特性を維
持しながら、膜の平坦性を向上させた、優れた記録再生
特性を有する光磁気記録媒体が得られることが判った。
【0073】(実施例2)この実施例では、流展剤とし
て、化学式(2)で示されるポリエーテル変性シリコー
ンを用意した。流展剤は、化学式(2)において、
2、R3およびm+nの組み合わせがそれぞれ異なるも
のを4種類用意した。表2に各サンプルの作製に使用し
たシリコーンのR2、R3およびm+nを示す。
【0074】
【表2】
【0075】各シリコーンをそれぞれ流展剤として、樹
脂全体に占める流展剤の割合が0.02wt%となるよ
うにアクリル系紫外線硬化樹脂に添加して、保護膜用の
塗布液を4種類調製した。この塗布液を用いて、回転型
塗布機でスピンコート法により保護膜を形成し、サンプ
ルを作製した。保護膜の形成条件は実施例1と同様にし
た。さらに、比較のために、シリコーンを添加せずにア
クリル系紫外線硬化樹脂を用いて保護膜を形成したサン
プルを用意した。
【0076】各サンプルで使用した保護膜用の塗布液の
表面張力(mN/m)を表面張力計(協和界面科学
(株)製)のCBVP−3)を使用して求めた。
【0077】各サンプルで形成した保護膜の厚さの均一
性を評価するために、保護膜を形成した後、ディスクの
径方向に沿って厚さを測定した。径方向で厚さの均一性
が最も良いものを○とし、最も悪いものを×とし、中間
のものを△とした。
【0078】また、シリコーンの添加が保護膜の耐摩耗
性に及ぼす影響を調べるために、鉛筆硬度試験(JIS
K5400)で表面硬度を測定した。さらに、走行耐
久性を評価するために、ピン・ディスク型試験を用い
て、端子2mm¢のSUJ2の鋼球を押しつけ、荷重1
0gf、回転速度1800rpmで各サンプルを繰り返
し走行させ、走行変動が生じるまでの走行回数を測定し
た。各サンプルおよび比較サンプル(比較例)の評価結
果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】サンプルNo.7〜10はいずれも、保護
膜の厚さが比較例のそれよりも均一であり、平坦な保護
膜が形成されていることが判った。このことから、塗布
により保護膜を形成する場合には、塗布液の表面張力を
低減させることによって、膜の平坦性を確保できること
がわかった。
【0081】サンプルNo.7〜10で形成した保護膜
の硬度と、比較例の保護膜の硬度はほぼ同等であった。
また、サンプルNo.7〜10の走行耐久性は、比較例
の走行耐久性と同等またはそれ以上であった。これらの
ことから、シリコーンの添加が、保護膜の表面硬度およ
び走行耐久性に実質的に影響を及ぼさないことがわかっ
た。サンプルNo.8〜10は走行耐久性が比較例のも
のよりも良く、このことは添加したシリコーンが走行耐
久性(即ち、摺動特性)の向上にも寄与していることを
示唆している。
【0082】(実施例3)この実施例では、流展剤とし
て、化学式(3)で示される両末端変性シリコーンであ
る、ポリ(ジメチルシロキサン)−ジステアレートター
ミネティドおよびポリ(ジメチルシロキサン)−ビス
(12−ヒドロキシステアレート)タ−ミネイティドを
用意した。いずれも重合度(k)は550であった。さ
らにポリ(ジメチルシロキサン)−コ−ダイマー酸−ビ
ス(パーフルオロドデシル)ターミネイティド)を用意
した。
【0083】各シリコーンをそれぞれ流展剤として、樹
脂全体に占める流展剤の割合がそれぞれ0.2wt%と
なるようにアクリル系紫外線硬化樹脂に添加して、保護
膜用の塗布液を3種類調製した。この塗布液を用いて、
回転型塗布機でスピンコート法により保護膜を形成し、
サンプルを作製した。サンプルは、各塗布液について保
護膜形成時の条件を変えて3種類作製し、計9種類作製
した。各塗布液について採用した保護膜形成時の条件
は、塗布回転数がそれぞれ1)3000rpm、2)4
500rpm、3)6000rpmであって、その他は
実施例1と同様である。
【0084】得られた各サンプルの最外周および最内周
の厚さを測定し、最内周の厚さに対する最外周の厚さの
比を求めた。いずれのサンプルも、最内周の厚さに対す
る最外周の厚さの比は1.1以下であり、平坦性は確保
されていた。
【0085】次に、両末端変性シリコーンを添加した紫
外線硬化樹脂から成る保護膜の上に形成される摺動膜の
摺動特性を調べた。ポリ(ジメチルシロキサン)−ジス
テアレートターミネティド(サンプルNo.11)、ポ
リ(ジメチルシロキサン)−ビス(12−ヒドロキシス
テアレート)ターミネイティド(サンプルNo.1
2)、およびポリ(ジメチルシロキサン)−コ−ダイマ
ー酸−ビス(パーフルオロドデシル)ターミネイティド
(サンプルNo.13)をそれぞれ流展剤としてアクリ
ル系紫外線硬化樹脂に添加して調製した塗布液(添加量
0.2wt%)を、塗布回転数を3000rpmにし
て、スピンコート法で塗布して保護膜を形成した。さら
に、保護膜の上に、ポリジメチルシリコーンをヘプタン
で希釈した溶液を塗布して摺動膜を形成した。比較のた
めに、シリコーンを添加せずにアクリル系紫外線硬化樹
脂を用いて保護膜を形成し、その上に摺動膜を形成した
サンプル(比較例)を用意した。
【0086】各サンプルの摺動膜の厚さを上記実施例1
と同様にFT−IRによってAbs(λ=1100c
m-1)で比較した。走行性を評価するために、表4に示
すように温度・湿度条件を変化させて100万回走行さ
せ、走行させた後のサンプルの表面を光学顕微鏡で観察
して損傷の程度を比較した。また、各温度・湿度条件に
おける初期の摩擦力を、回転型試験機に付設の歪みゲー
ジで検出し、比較サンプル(比較例)の値を1としたと
きの相対値として求めた。評価結果を表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】表4に示すように、サンプルNo.11〜
13の摩擦力はいずれも比較例のそれよりも小さく、そ
の値は100万回走行させた後もほとんど変化しなかっ
た。また、比較例はいずれの条件下でも損傷の度合いが
大きかったのに対し、サンプルNo.11〜13は、低
温高湿下および高温低湿下の両方において損傷が少な
く、軽微な傷が形成されたにすぎなかった。この結果よ
り、両末端変性シリコーンを流展剤として添加すると、
強度の大きい保護膜が形成されて媒体表面に傷がつきに
くく、かつ温度および湿度変化に対して優れた耐性を示
す記録媒体が得られることが判る。これらの結果より、
本発明に相当するサンプルNo.11〜13はいずれ
も、保護膜の平坦性と優れた実用性とを兼備する記録媒
体として利用できることが判った。このことは、他の条
件で保護膜を形成したサンプルについても確認された。
【0089】
【発明の効果】本発明の光学的記録媒体は、保護膜が、
特定のシリコーンを流展剤として添加した紫外線硬化樹
脂の硬化物から成ることを特徴とする。この特徴によ
り、下記の効果を奏する保護膜を有する光学的記録媒体
が得られる。 1)流展剤の添加によって、保護膜の平坦化が改良され
る。 2)添加量を適正化することによって、従来の光学的記
録媒体と同等の走行性が確保される。 3)繰り返し走行させても、劣化が少なく、低摩擦特性
を示し、ロングライフ化が期待され得る。 4)広い温度および湿度範囲で特性が変化しない。 5)量産性に優れ、低コストである。
【0090】本発明の光学的記録媒体はまた、保護膜の
上に摺動膜を有することを特徴とする。この摺動膜は走
行性を光学的記録媒体に付与する。したがって、本発明
の光学的記録媒体は、保護膜および摺動膜によって、優
れた走行性、記録安定性および耐久性等が付与されたも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光磁気記録媒体の一例を模式的に示
す断面図である。
【図2】 実施例1で作製した各サンプルの保護膜の平
坦性を示すグラフである。
【図3】 ポリエーテル変性シリコーンの添加量と、保
護膜の平坦性および摺動膜の厚さとの関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1...基板、2...誘電膜、3...光磁気記録膜、4...反
射膜、5...保護膜、6...摺動膜、10...光磁気記録
媒体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83:12 C08L 83:04 83:04 83:08 83:08)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保護膜およびその上に形成された摺動膜
    を含む光学的記録媒体であって、保護膜が、下記の化学
    式(1)に示すポリエーテル変性シリコーンを添加剤と
    して含有する紫外線硬化樹脂の硬化物から成ることを特
    徴とする光学的記録媒体。 【化1】 (式中、R1は−Si(CH33であり、POAはオキ
    シアルキレン基を含むエーテル変性基であり、m+n=
    1000〜10000である。)
  2. 【請求項2】 POAが、EO/POのモル比が50/
    50〜0/100であるポリオキシアルキレン基を含む
    エーテル変性基である請求項1に記載の光学的記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記紫外線硬化樹脂が前記添加剤を0.
    1〜0.005wt%含有する請求項1に記載の光学的
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記紫外線硬化樹脂が前記添加剤を0.
    05〜0.02wt%含有する請求項1に記載の光学的
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 保護膜およびその上に形成された摺動膜
    を含む光学的記録媒体であって、保護膜が、下記の化学
    式(2)に示すストレートシリコーンを添加剤として含
    有する紫外線硬化樹脂の硬化物から成ることを特徴とす
    る光学的記録媒体。 【化2】 (式中、R1は−Si(CH33であり、R2およびR3
    はそれぞれ、アルキル基、フェニル基またはアラルキル
    基であり、m+n=1000〜10000である。)
  6. 【請求項6】 R2およびR3がそれぞれ、炭素数1〜3
    のアルキル基または炭素数1〜3のアルキル基の水素1
    原子がアリール基で置換されたアラルキル基である請求
    項5に記載の光学的記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記紫外線硬化樹脂が前記添加剤を0.
    1〜0.001wt%含有する請求項5に記載の光学的
    記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記紫外線硬化樹脂が前記添加剤を0.
    05〜0.01wt%含有する請求項5に記載の光学的
    記録媒体。
  9. 【請求項9】 保護膜およびその上に形成された摺動膜
    を含む光学的記録媒体であって、保護膜が、下記の化学
    式(3)に示す両末端変性シリコーンを添加剤として含
    有する紫外線硬化樹脂から成ることを特徴とする光学的
    記録媒体。 【化3】 (式中、R4およびR5はそれぞれ、炭素数12〜24の
    アルキル基、または1もしくは複数の−OH基および/
    もしくはフッ素基で置換された炭素数12〜24のアル
    キル基を含む基であり、kは10〜1000である。)
  10. 【請求項10】 保護膜およびその上に形成された摺動
    膜を含む光学的記録媒体であって、保護膜が、両末端変
    性シリコーンであるポリ(ジメチルシロキサン−コ−ダ
    イマー酸)−ビスパーフルオロドデシルターミネイティ
    ドを添加剤として含有する紫外線硬化樹脂から成ること
    を特徴とする光学的記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記紫外線硬化樹脂が前記添加剤を
    0.5〜0.1wt%含有する請求項9または請求項1
    0に記載の光学的記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記摺動膜が、動粘度が300〜80
    0mm2/sであるポリジメチルシリコーンから成る請
    求項1、請求項5、請求項9、または請求項10に記載
    の光学的記録媒体。
  13. 【請求項13】 前記添加剤を含有する前記紫外線硬化
    樹脂が、アクリル酸エステル化合物を含み、25℃での
    粘度が100mPa・s以下である請求項1、請求項
    5、請求項9、または請求項10に記載の光学的記録媒
    体。
  14. 【請求項14】 光磁気記録媒体である請求項1、請求
    項5、請求項9、または請求項10に記載の光学的記録
    媒体。
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