JP3214199B2 - 光磁気ディスク - Google Patents

光磁気ディスク

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JP3214199B2
JP3214199B2 JP30776693A JP30776693A JP3214199B2 JP 3214199 B2 JP3214199 B2 JP 3214199B2 JP 30776693 A JP30776693 A JP 30776693A JP 30776693 A JP30776693 A JP 30776693A JP 3214199 B2 JP3214199 B2 JP 3214199B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動記録方式に使用して
好適な光磁気ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方式は、磁性薄膜を部分的に
キュリー点または温度補償点を越えて昇温し、この部分
の保磁力を消滅させて外部から印加される記録磁界の方
向に磁化の向きを反転することを基本原理とするもの
で、光ファイルシステムやコンピュータの外部記憶装
置、あるいは音響、映像情報の記録装置等において実用
化されつつある。
【0003】この光磁気記録方式に用いられる光磁気デ
ィスクとしては、ポリカーボネート等からなる透明基板
の一主面に、膜面と垂直方向に磁化容易軸を有し、且つ
磁気光学効果の大きな記録磁性層(例えば希土類−遷移
金属合金非晶質薄膜)や反射層,誘電体層を積層するこ
とにより記録部を形成し、さらにこの記録部の腐食を防
止するために、記録部上に紫外線硬化樹脂等よりなる保
護層を覆う如く形成したものが知られている。
【0004】ところで、光磁気記録方式には、大きく分
けて光変調方式と磁界変調方式があるが、このうち磁界
変調方式は、オーバーライト可能であることから注目さ
れており、たとえば汎用タイプである直径64mm程度
の小型光磁気ディスク(いわゆるレコーダブルミニディ
スク)の記録方式として採用が検討されている。
【0005】上記磁界変調方式は、印加磁界を高速で反
転することにより磁性薄膜に情報を書き込むものであっ
て、磁界の印加は通常磁界発生手段を有する磁気ヘッド
によって行われる。以下に、上記磁界変調記録方式を図
8を参照しながら説明する。
【0006】図8は、筐体状のカートリッジ21内に収
納された光磁気ディスク22に磁界変調記録方式で記録
を行う場合を示している。光磁気ディスク22が収納さ
れたカートリッジ21には、光磁気ディスク22のディ
スク面の一部を外部に臨ませるための窓部23が上面,
下面にそれぞれ位置を対応させて設けられており、光磁
気ディスク22への記録はこの窓部23を介して行われ
る。
【0007】すなわち、光磁気ディスク22に記録を行
うには、光磁気ディスク22を回転駆動させ、磁界変調
用磁気ヘッド24によって窓部23を介して保護層側か
ら磁界を印加すると同時に、光学ピックアップ装置25
によって基板側からレーザ光を照射する。そして、磁気
ヘッド24の磁場方向を信号パターンに対応させて上向
き,下向きと高速で反転させる。
【0008】記録磁性層においてレーザ光スポットに対
応する部分は、昇温して保磁力が消滅する。さらにこの
保磁力が消滅した部分は光磁気ディスク22の回転によ
ってレーザスポットから外れることで降温し、徐々に保
磁力が回復する。この保磁力が回復する段階で、記録磁
性層は磁気ヘッド24によって印加されている磁場の向
きに磁化され記録ピットが形成されることになる(垂直
磁気記録)。そして、このような過程が光磁気ディスク
22の回転と光学ヘッド25,磁気ヘッド24のディス
ク径方向への移動によって位置を変え順次繰り返される
ことによって、信号記録部の膜面全面に信号パターンに
対応したピットパターンが形成される。
【0009】一方、信号パターンを再生するには、光学
ヘッド25により透明基板側から記録時よりも低いパワ
ーでレーザ光を照射し、記録磁性層のカー効果によって
偏光面が回転した反射光を光学ヘッド25に内蔵された
検光子と受光部で検出し、電気信号に変換する。カー効
果による偏光面の回転角は記録磁性層の磁化の向きによ
って異なるので、これにより記録磁性層に磁化反転とし
て形成されたピットパターンから電気信号として原信号
パターンが再生されることになる。
【0010】ここで、このように高速反転磁界を印加す
る磁界変調用の磁気ヘッド24では、諸々の制約から非
常に小さな磁界しか発生できず、磁気ヘッド24をなる
べく記録磁性層と近接させなければならない。
【0011】そこで、このような磁界変調方式において
は、磁気ヘッド24を光磁気ディスクのディスク面に対
して直接接触させ、摺動させながら記録を行う摺動記録
方式の採用が検討されている。
【0012】この摺動記録方式を採用すれば、上記高速
反転磁界を印加する磁気ヘッドであっても記録磁性層に
対して十分な磁力が印加できる。しかも、ディスク面に
対してヘッドが浮上する方式では、ディスク面とヘッド
間の距離を常に一定に保つための複雑なサーボ機構が必
要であるが、摺動記録方式では、このようなサーボ機構
が不要である。したがって、装置の簡素化、小型化,低
消費電力化に有利となる。
【0013】ところで、摺動記録方式では、磁気ヘッド
は、保護層表面を直接摺動することとなる。したがっ
て、摺動記録方式で使用する光磁気ディスクには、保護
層がヘッドの摺動に耐え得ることが重要な要件となって
くる。
【0014】ところが、このような点から従来の光磁気
ディスクを見ると、従来の光磁気ディスクにおいて保護
層として形成されている紫外線硬化樹脂層は、ヘッドに
対する動摩擦係数が高い。このため、このまま摺動記録
方式に使用するには不適当であり、紫外線硬化樹脂層上
にさらに潤滑剤を塗布して潤滑剤層を設けるか、あるい
は紫外線硬化樹脂層に潤滑剤を内添して摺動性能を付加
することが必要である。例えば、潤滑剤としては、磁気
ディスク等の他の記録メディアにおいても多用されてい
るシリコンオイルの採用がまず考えられる。
【0015】ここで、紫外線硬化樹脂層上にシリコンオ
イルを塗布する場合には、光磁気ディスクの通常の製造
工程に加えて、潤滑剤を塗布するための塗布工程が別に
必要となる。このため、製造工程が煩雑化し、好ましく
ない。また、紫外線硬化樹脂層表面に塗布されたシリコ
ンオイルは、例えばディスク面に付着した埃をアルコー
ル布で拭き取る際に一緒に拭き取られ、保護層に保持さ
せておくのが難しい。
【0016】一方、紫外線硬化樹脂層に直接シリコンオ
イルを内添する場合では、紫外線硬化樹脂を塗布する前
に樹脂に予めシリコンオイルを添加しておけば良いの
で、従来と変わらない製造工程数で済む。またディスク
面を拭き取った際にも、それによって損失するシリコン
オイル量は極僅かであり、表面にシリコンオイルを塗布
した場合程の摺動性劣化は生じない。
【0017】これら点から、シリコンオイルを保護層に
内添させて摺動性能を付加する方が、シリコンオイルを
保護層表面に塗布するよりも好ましいと言える。
【0018】しかし、アクリル基を有するモノマーある
いはオリゴマーの混合物である,紫外線硬化樹脂と、潤
滑剤として汎用されているシリコンオイルとは相溶性が
低く、容易に混合することができない。例えば、両者を
無理に混合,攪拌してディスク上にスピンコートする
と、表面張力の分布が大きいことから、いわゆるゆずは
だ(柑橘類の表面のような凹凸がある状態)が塗布面に
生じ、実用に耐えないものとなる。
【0019】また、シリコンオイルは、種類によって潤
滑効果が異なるとともに、紫外線硬化樹脂層に内添した
ときに、内添量と潤滑効果とが単純な比例関係になら
ず、紫外線硬化樹脂層の摺動性能を制御するのが難しい
といった問題もある。
【0020】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、製造工程を煩雑化させる
ことなく、保護層の摺動性能を改善することでき、磁気
ヘッド摺動方式に適用して好適な光磁気ディスクを提供
することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の光磁気ディスクは、透明基板上に記録磁
性層,保護層が積層されてなる光磁気ディスクにおい
て、上記保護層は、紫外線硬化樹脂よりなり、且つ主鎖
重合度をm,側鎖数をnとしたときに、25≦m≦25
0,20≦m/n≦40なる条件を満たすポリジメチル
シロキサン系潤滑剤が1〜2重量%なる割合で内添され
ていることを特徴とするものである。
【0022】また、上記保護層表面のx線光電子分光法
で観測される電子のエネルギースペクトルにおけるSi
の2p準位に対応したピーク面積強度をI0 、純度9
9.99%以上のAuのx線光電子分光法で観測される
電子のエネルギースペクトルにおけるAuの4f7/2
準位及び4f5/2準位に対応したピークの面積強度を
1 としたときに、I0 /I1 が0.018以上である
ことを特徴とするものである。
【0023】本発明の光磁気ディスクは、該光磁気ディ
スクを挟んで光学ピックアップと磁気ヘッドとが対向配
置され、前記光磁気ディスクに対して磁気ヘッドを摺動
させながら信号記録を行う摺動記録方式に使用されるも
のである。
【0024】この光磁気ディスクは、基板の一主面に記
録磁性層を積層し、さらにこの記録磁性層の表面を保護
層で覆ってなるものであり、この保護層が磁気ヘッドに
よって摺動される。
【0025】基板は、厚さ数mm程度の円板状の透明基
板であって、その材質としては、アクリル樹脂,ポリカ
ーボネート樹脂,ポリオレフィン樹脂,エポキシ樹脂等
のプラスチック材料の他、ガラス等も使用される。
【0026】上記記録磁性層は、膜面に垂直な方向に磁
化容易方向を有する非晶質の磁性薄膜であって、磁気光
学特性に優れることは勿論、室温にて大きな保磁力を持
ち、且つ200℃近辺にキュリー点を持つことが望まし
い。このような条件に叶った記録材料としては、希土類
−遷移金属合金非晶質薄膜等が挙げられ、なかでもTb
FeCo系非晶質薄膜が好適である。この記録磁性層に
は、耐蝕性を向上させる目的で、Cr等の添加元素が添
加されていてもよい。
【0027】上記保護層は、記録磁性層を外部からの衝
撃から保護するとともに大気中の水や酸素から隔離する
ために設けられる。
【0028】ここで、本発明では、磁気ヘッドをディス
ク面に対して摺動させながら記録を行うため、摺動によ
る摩耗の抑制や磁気ヘッドの走行性の確保を図ることを
目的として、保護層を紫外線硬化樹脂により構成すると
ともに該保護層に一般式化1で示されるポリジメチルシ
ロキサンを潤滑剤として内添させる。なお、ポリジメチ
ルシロキサンに導入する側鎖Rは、紫外線硬化樹脂との
親和性が高い側鎖、例えばポリエーテル基,メチルスチ
リル基,高級脂肪酸エステル,高級アルコキシ基等であ
る。
【0029】
【化1】
【0030】そして、さらに、ポリジメチルシロキサン
の紫外線硬化樹脂に対する溶解度を上げ、その潤滑性能
を効率良く発揮せしめるために、ポリジメチルシロキサ
ンの主鎖重合度m,側鎖数(側鎖Rが導入されたモノマ
ーの構成数)nを、25≦m≦250,20≦m/n≦
40なる条件を満たすように規制することとする。
【0031】主鎖重合度mが25未満のポリジメチルシ
ロキサンは、潤滑性が不足し、主鎖重合度が250を越
えるポリジメチルシロキサンは、紫外線硬化樹脂に対す
る溶解度が不十分であり、内添量が制限され、いずれに
しても保護層表面の摩擦係数を十分に低減させることが
できない。
【0032】また、側鎖数nと主鎖重合度mの比m/n
は、ポリジメチルシロキサンの紫外線硬化樹脂に対する
溶解度とともに保護層への分布状態に反映する。
【0033】このm/nが比較的大きいポリジメチルシ
ロキサン,すなわち主鎖重合度mに比べて側鎖数nが小
さいポリジメチルシロキサンは、内添したときに保護層
の表面近傍に存在し易く、磁気ヘッドに対する摩擦係数
を効果的に低減するが、紫外線硬化樹脂に対する溶解度
が低く内添量が制限される。
【0034】これに対して、m/nが比較的小さいポリ
ジメチルシロキサン,すなわち主鎖重合度mに比べて側
鎖数nが大きいポリジメチルシロキサンは、紫外線硬化
樹脂に良く溶解するが、保護層の表面近傍に存在できる
量が少ないことから多量に内添しても期待する程の摺動
性能が得られない。
【0035】本発明で設定したm/nの範囲はこれらの
兼ね合いから設定されたものであり、主鎖重合度が25
〜250であって、且つm/nが20〜40の範囲にあ
るポリジメチルシロキサンは、紫外線硬化樹脂に対する
溶解度、保護層内での分布状態がともに適正であり、1
〜2重量%と少量の添加で保護層の摩擦係数を効果的に
低減できる。
【0036】以上のように、主鎖重合度m,主鎖重合度
mと側鎖数nの比m/nが上記範囲であるポリジメチル
シロキサンを保護層に内添すると、保護層の摩擦係数が
効果的に低減し、摺動性能が改善される。
【0037】ここで、このようなポリジメチルシロキサ
ンによって保護層の摺動性能を的確に制御するには、紫
外線硬化樹脂に混合する際のポリジメチルシロキサンの
濃度よりも、むしろ保護層とした状態での、表面のX線
光電子分光分析(ESCA:Electron Spe
ctroscopy for Chemical An
alysis)で観測される電子のエネルギースペクト
ルにおけるSiの2p準位に対応したスペクトルのピー
ク面積強度I0 を指標とすることが望ましい。これは、
保護層において、ESCAで観測される電子のエネルギ
ースペクトルにおいてSiの2p準位に対応したピーク
面積強度I0 は、保護層の深さ数nm範囲に存在するジ
メチルポリシロキサンの量を反映し、一方、保護層に内
添したポリジメチルシロキサンが摺動性能に有効に寄与
するのは、丁度ESCAの検出範囲である深さ数nm範
囲に存在する場合であるからである。
【0038】すなわち、ESCAとは、物質の光電効果
を利用してそれを構成する原子の同定,結合状態を検知
する方法である。
【0039】図1に示すように、ある物質にエネルギー
幅の狭いX線(例えばMgKα線,AlKα線)を照射
すると、光電効果によって電子eが叩き出される。この
叩き出された電子eの運動エネルギーをEk,照射X線
のエネルギーをhνとすると、電子の結合エネルギーE
bはこれらの関数として以下の式で表される。 Eb=hν−Ek−φ hν:照射X線のエネルギー Ek:叩き出された電子の運動エネルギー Eb:電子の結合エネルギー φ:仕事関数
【0040】この電子の結合エネルギーEbは各原子固
有のものであり、これによって原子の同定,結合エネル
ギーが検知できることになる。
【0041】本発明では、このESCAを保護層の表面
に対して行ったときに得られる電子のエネルギースペク
トルにおいて、Siの2p準位に対応したピーク面積強
度をI0 、純度99.99%以上のAuにESCAを行
ったときに得られる電子のエエルギースペクトルにおい
て、Auの4f7/2準位及び4f5/2準位に対応し
たピークの面積強度をI1 としたときに、I0 /I1
0.018以上と規制する。
【0042】ここで、このESCAを保護層の表面に対
して行った場合では、電子の脱出深さは表面から数nm
が限度であるため、このとき観測される電子のエネルギ
ーは全て、保護層の深さ数nm範囲に存在する原子にの
み由来することになる。
【0043】したがって、本発明で規制するところの、
電子のエネルギースペクトルのうちSiの2p準位に対
応したピークは、保護層の深さ数nm範囲の表面近傍に
存在するSi原子に由来し、そのピーク面積強度I0
この表面近傍に存在するSi量を反映することになる。
【0044】一方、紫外線硬化樹脂にポリジメチルシロ
キサンが内添されてなる保護層において、Siは紫外線
硬化樹脂には含まれておらず、ポリジメチルシロキサン
の主鎖のみに存在する。
【0045】つまり、表面近傍に存在するSi量を反映
するI0 は、保護層の表面近傍に存在するポリジメチル
シロキサン量を反映することになり、これをAuのピー
ク面積強度I1 で補正したI0 /I1 が0.018以上
である保護層は、表面にポリジメチルシロキサンを多く
有しており、この表面に存在するポリジメチルシロキサ
ンによって一定以上の潤滑性能が付与されていることに
なる。
【0046】但し、ポリジメチルシロキサンの内添量を
ESCAでのSiの2p準位の対応するピーク面積強度
0 を指標にして調整するに際しては、紫外線硬化樹脂
に対するポリジメチルシロキサンの濃度が2重量%以下
となるように量設定することが望ましい。ポリジメチル
シロキサンの濃度が2重量%を越えると、保護層の摺動
性能がポリジメチルシロキサン濃度の増大に伴って劣化
変化を示すようになる。また紫外線硬化樹脂の硬化が困
難になり、保護層が不十分な硬さで形成される。
【0047】以上のようなシリコンオイルが内添される
紫外線硬化樹脂としては、通常、光磁気ディスクの保護
層材料として使用されているものであればいずれもで良
く、防水性に優れることからアクリル系紫外線硬化樹脂
が適している。
【0048】また、以上が本発明の光磁気ディスクの基
本的な構成であるが、本発明の光磁気ディスクにおいて
は、記録磁性層とともに誘電体層,反射層等を設け、た
とえば図2に示すように、基板1上に第1の誘電体層
2,記録磁性層3,第2の誘電体層4,反射層5の4層
よりなる記録部6を設け、該記録部6上に保護層7を覆
ってなる構成としてもよい。
【0049】上記誘電体層2,4としては、酸化物や窒
化物等が使用可能であるが、誘電体2,4中の酸素が記
録磁性層3に悪影響を及ぼす虞れがあることが窒化物が
より好ましく,酸素および水分を透過せず、且つ使用レ
ーザ光を十分に透過し得る物質として窒化珪素あるいは
窒化アルミニウム等が好適である。
【0050】また、反射層5は、前記誘電体層4との境
界でレーザ光を70%以上反射する高反射率の膜により
構成することが好ましく、非磁性金属の蒸着膜が好適で
ある。また、この反射層5は、熱的良導体であるこのが
望ましく、入手の容易さや成膜の容易さ等を考慮する
と、アルミニウムが適している。
【0051】
【作用】光磁気ディスクにおいて、紫外線硬化樹脂より
なる保護層に、主鎖重合度をm,側鎖数をnとしたとき
に、25≦m≦250,20≦m/n≦40なる条件を
満たすポリジメチルシロキサン系潤滑剤を内添すると、
このような分子構成のポリジメチルシロキサン系潤滑剤
は、紫外線硬化樹脂に良く溶解し、且つ紫外線硬化樹脂
層の特に表面近傍に存在し易いので、保護層表面の摺動
性能が効果的に改善される。
【0052】特に、上記ポリジメチルシロキサン系潤滑
剤を、保護層表面のx線光電子分光法で観測される電子
のエネルギースペクトルにおけるSiの2p準位に対応
したピーク面積強度をI0 、純度99.99%以上のA
uのx線光電子分光法で観測される電子のエネルギース
ペクトルにおけるAuの4f7/2準位及び4f5/2
準位に対応したピークの面積強度をI1 としたときに、
0 /I1 が0.018以上となるように内添すると、
常にある一定以上の摺動性能が獲得される。
【0053】
【実施例】本発明の好適な実施例について実験結果に基
づいて説明する。
【0054】実験例1 本実験例では、側鎖にポリエーテル基を有するポリジメ
チルシロキサン(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキ
サン)を保護層に内添させ、このポリジメチルシロキサ
ンの主鎖重合度,側鎖数を変化させながら保護層と磁気
ヘッド間の摩擦力を測定した。
【0055】上記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキ
サンの分子構造を、一般式化2に示す。
【0056】
【化2】
【0057】まず、紫外線硬化樹脂に、主鎖重合度mの
異なる各種ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを
2重量%なる割合で溶解し、保護層塗料を調整した。な
お、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの側鎖数
は、いずれも溶解性を考慮して平均主鎖重合度mと側鎖
数nの比m/n(置換指数)が25となるように調整し
てある。そして、この保護層塗料を、ポリカーボネート
基板上にスピンコート法によって塗布,UV硬化してサ
ンプルディスクを作製した。
【0058】そして、このサンプルディスクに対して、
評価用ダミーヘッド(材質:ユニチカ社製,商品名ポリ
アクリレイトAX1500、ディスク摺動面:曲率半径
5mm)を、ヘッド荷重20mNで40000パス走行
させ、40000パス目の摩擦係数を測定した。なお、
摩擦係数の測定は、図3に示す摩擦係数測定装置を用い
て行った。
【0059】測定に使用した摩擦係数測定装置は、図3
に示すように、スピンドルモータ31,評価用ダミーヘ
ッド32,荷重変換器33,ブリッジボックス34,ス
トレインアンプ35,A/Dコンバータ36,パーソナ
ルコンピュータ37よりなるものである。この摩擦係数
測定装置では、ディスク38をスピンドルモータ31に
チャッキングして回転させると、評価用ダミーヘッド3
2がディスク38表面を所定のヘッド荷重で走行する。
このとき評価用ダミーヘッド32とディスク38の間に
生じる摩擦力は、ヘッドマウントを通じて荷重変換器3
3に伝えられて相当する電気信号となり、温度補償機能
を有するブリッジボックス34,ストレインアンプ3
5,A/Dコンバータ36を経てコンピュータ37で記
録される。
【0060】ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
の主鎖重合度と保護層とヘッドの間に40000パス目
に生じた摩擦力の関係を図4に示す。
【0061】図4からわかるように、保護層とヘッド間
に生じる摩擦力は、潤滑剤として添加したポリジメチル
シロキサンの主鎖重合度に依存して変化する。すなわ
ち、ポリジメチルシロキサンの主鎖重合度が比較的小さ
い範囲では、摩擦力は主鎖重合度の増大に伴って減少
し、50近辺を境に主鎖重合度の増大に伴って増大する
ようになる。
【0062】ここで、摺動記録方式に適用できる光磁気
ディスクとしては、40000パス目の摩擦力が6mN
未満のものである。これ以上の摩擦力になると、摺動音
が発生し、保護層表面に摺動傷が発生する。また400
00パス目を基準とするのは、40000パス目で摺動
音,摺動傷が発生しない場合には200万パスの走行を
行っても摺動音,摺動傷が発生しないからである。
【0063】このような点から図4を見ると、4000
0パス目の摩擦力を6mN未満に抑えるには、ポリジメ
チルシロキサンの主鎖重合度は25〜250が適当であ
ることがわかる。
【0064】次に、側鎖数の異なる各種ポリジメチルシ
ロキサンを2重量%なる割合で溶解し、保護層塗料を調
整した。なお、ポリジメチルシロキサンの主鎖重合度
は、平均70に調整してある。そして、この保護層塗料
を、ポリカーボネート基板上にスピンコート法によって
塗布,UV硬化してサンプルディスクを作製した。
【0065】そして、このサンプルディスクに対して、
上述と同様の条件にて評価用ダミーヘッドを40000
パス走行させ、40000パス目の摩擦力を測定した。
【0066】平均主鎖重合度mと側鎖数nの比m/n
(置換指数)と、保護層とヘッドの間に40000パス
目に生じた摩擦力の関係を図5に示す。
【0067】図5からわかるように、保護層と磁気ヘッ
ドの間に生じる摩擦力は、潤滑剤として内添したポリジ
メチルシロキサンの置換指数の増大に伴って低減する。
そして、置換指数が20以上になることにより、摩擦係
数が摺動記録方式で要求される6mN未満になる。しか
し、置換指数が40を越えて増大すると、今度は紫外線
硬化樹脂にポリジメチルシロキサンが溶解しなくなり、
保護層表面が実用に耐えない状態になる。
【0068】したがって、摺動記録方式に使用する光磁
気ディスクに内添するポリジメチルシロキサンの置換指
数は20〜40が適当であることがわかる。
【0069】実験例2 本実験例では、保護層のESCAで観測される電子のエ
ネルギースペクトルにおいてSiの2p準位に対応する
ピーク面積強度I0 と、保護層と磁気ヘッド間の摩擦力
の関係を検討した。
【0070】まず、紫外線硬化樹脂に、ポリエーテル変
性ポリジメチルシロキサンを各種濃度で溶解し、保護層
塗料を調整した。この保護層塗料を、ポリカーボネート
基板上にスピンコート法にて塗布,UV硬化してサンプ
ルディスクを作製した。
【0071】このサンプルディスクについて、保護層表
面にESCAを行って電子のエネルギースペクトルを観
測し、Siの2p準位に対応するピークの面積強度I0
を求めた。なお、このとき純度99.99%のAuにE
SCAを行ったときに観測される電子のエネルギースペ
クトルのAuの4f7/2準位及び4f5/2準位に対
応するピークの面積強度I1 は、1025000Cou
nts/eV・secであった。
【0072】 使用装置:ULVAC−PHI ESCA5400MC X線:MgKα(15kV,400W) 分析径:1.1mmφ パス エネルギー:35.75eV 測定真空度:10-6Pa台 光電子脱出角:45° 試料とX線源との距離:1cm
【0073】なお、Siの2p準位に対応するピーク面
積強度を求めるに際しては、Si2pピークトップから
±3eVをピーク面積範囲とし、バックグランドを直線
的に差し引いた。
【0074】また、Auの4f7/2準位及び4f5/
2準位に対応するピーク面積強度を求めるに際しては、
4f7/2ピークトップから−3eV〜+7eVを面積
範囲とし、この場合にもバックグランドを直線的に差し
引いた。
【0075】また、さらにサンプルディスクについて
は、実験例1と同様な条件にて評価用ダミーヘッドを4
0000パス走行させ、40000パス目の摩擦力を測
定した。
【0076】紫外線硬化樹脂に内添したポリエーテル変
性ポリジメチルシロキサンの濃度と摩擦力の関係、及び
紫外線硬化樹脂に内添したポリエーテル変性ポリジメチ
ルシロキサンの濃度と保護層表面のESCAで求められ
たSiのピーク面積強度I0の関係を図6に併せて示
す。
【0077】図6において、まず、紫外線硬化樹脂に内
添したポリジメチルシロキサンの濃度と摩擦力の関係を
見ると、摩擦力は、2重量%以下の範囲ではポリジメチ
ルシロキサンの濃度の増大に伴って減少するが、2重量
%で飽和し、それ以上の濃度範囲ではポリジメチルシロ
キサンの濃度の増大に伴って僅かに増大する傾向が見ら
れる。
【0078】次に、紫外線硬化樹脂に内添したポリジメ
チルシロキサンの濃度と保護層表面のSiのピーク面積
強度I0 の関係を見ると、このピーク面積強度I0 も摩
擦力と同様な傾向の変化を示し、2重量%以下の範囲で
はポリジメチルシロキサンの濃度に伴って減少するが、
それ以上の濃度範囲ではポリジメチルシロキサンの濃度
の増大に伴って増大する。
【0079】このことから、保護層表面のSiのピーク
面積強度I0 と摩擦力とは良い相関を有することが示唆
される。
【0080】さらに、このことを裏付けるため、紫外線
硬化樹脂に、主鎖重合度の異なるポリエーテル変性ポリ
ジメチルシロキサンを2重量%なる濃度で溶解し、保護
層塗料を調整した。この保護層塗料を、ポリカーボネー
ト基板上にスピンコート法にて塗布,UV硬化してサン
プルディスクを作製した。
【0081】そして、このサンプルディスクについて、
上述と同様にして保護層にESCAを行ってSiのピー
ク面積強度I0 を求め、また評価用ダミーヘッドを40
000パス走行させて40000パス目の摩擦力を測定
した。摩擦力と保護層表面のSiのピーク面積強度I0
の関係を図7に示す。
【0082】図7から、摩擦力と保護層表面のSiのピ
ーク面積強度I0 は非常に良好な相関関係を示すことが
明らかである。このことから、ポリジメチルシロキサン
が内添された保護層において、ESCAで求められるS
iのピーク面積強度I0 は、その摺動性能を制御する上
で的確な指標となることがわかった。
【0083】そして、40000パス目での摩擦力を摺
動記録用光磁気ディスクに要求される6mN未満に抑え
るには、ESCAによって求められるSi強度が180
00Counts/eV・sec以上であればよいこと
がわかる。
【0084】なお、ESCAで求められるSiのピーク
面積強度I0 は、ESCAの検出深さが数nm程度であ
ることから、この深さ範囲の表面の極近傍に存在するポ
リジメチルシロキサン量を反映しているものと考えられ
る。したがって、ポリジメチルシロキサンは、その主鎖
重合度によって表面近傍に存在する量が異なり、この表
面近傍に存在するポリジメチルシロキサンが特に有効に
保護層の摩擦力を低減することが推測される。
【0085】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、透明基板上に記録磁性層,保護層が積層されて
なる光磁気ディスクにおいて、上記保護層を、紫外線硬
化樹脂により構成し、且つ主鎖重合度をm,側鎖数をn
としたときに、25≦m≦250,20≦m/n≦40
なる条件を満たすポリジメチルシロキサン系潤滑剤を内
添するので、製造工程を煩雑化させることなく、保護層
に摺動性能を付加することでき、磁気ヘッド摺動方式に
適用して好適な光磁気ディスクを得ることが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線光電子分光法の原理を示す模式図である。
【図2】本発明の光磁気ディスクの一構成例を示す要部
概略断面図である。
【図3】光磁気ディスクの保護層と磁気ヘッドの摩擦力
を測定するのに用いた摩擦係数測定装置の構成を示す模
式図である。
【図4】ポリジメチルシロキサンの主鎖重合度と、保護
層と磁気ヘッドの間の摩擦力の関係を示す特性図であ
る。
【図5】ポリジメチルシロキサンの置換指数と、保護層
と磁気ヘッドの間の摩擦力の関係を示す特性図である。
【図6】ポリジメチルシロキサンの内添量とESCAで
求められるSi強度の関係及びポリジメチルシロキサン
の内添量と磁気ヘッドとの摩擦力の関係を併せて示す特
性図である。
【図7】磁気ヘッドとの摩擦力とESCAで求められる
Si強度の関係を示す特性図である。
【図8】カートリッジ内に収納された光磁気ディスクに
対して磁界変調記録方式で記録を行う様子を示す概略斜
視図である。
【符号の説明】
1・・・基板 2,4・・・誘電体層 3・・・記録磁性層 5・・・反射層 7・・・保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−78365(JP,A) 特開 平5−128611(JP,A) 特開 平7−134842(JP,A) 特開 平6−180882(JP,A) 特開 平7−66267(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に記録磁性層,保護層が積層
    されてなる光磁気ディスクにおいて、 上記保護層は、紫外線硬化樹脂よりなり、且つ主鎖重合
    度をm,側鎖数をnとしたときに、 25≦m≦250 20≦m/n≦40 なる条件を満たすポリジメチルシロキサン系潤滑剤が内
    添されていることを特徴とする光磁気ディスク。
  2. 【請求項2】 上記保護層表面のx線光電子分光法で観
    測される電子のエネルギースペクトルにおけるSiの2
    p準位に対応したピーク面積強度をI0 、純度99.9
    9%以上のAuのx線光電子分光法で観測される電子の
    エネルギースペクトルにおけるAuの4f7/2準位及
    び4f5/2準位に対応したピークの面積強度をI1
    したときに、I0 /I1 が0.018以上であることを
    特徴とする請求項1記載の光磁気ディスク。
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