JP4312425B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気記録再生装置に適用される光磁気ディスク、光磁気テープ、光磁気カード等の光磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、書き換え可能な光記録媒体として、光磁気記録媒体が実用化されている。このような光磁気記録媒体では、半導体レーザから出射され光磁気記録媒体上に集光される光ビームのビーム径に対して、記録用磁区である記録ビット径及び記録ビット間隔が小さくなってくると、再生特性が劣化してくるという欠点が生じている。これは、目的とする記録ビット上に集光される光ビームのビーム径内に隣接する記録ビットが入るために、個々の記録ビットを分離して再生することができなくなることが原因である。
【0003】
上記の欠点を解消するために、特開平6−150418号公報においては、室温において面内磁化状態であり、温度上昇と共に垂直磁化状態となる再生層と記録層との間に非磁性中間層を設け、再生層と記録層とが静磁結合した構造とする光磁気記録媒体が開示されている。この光磁気記録媒体によれば、面内磁化状態にある部分の記録磁区情報がマスクされるため、集光された光ビームのビーム径内に隣接する記録ビットが入った場合においても、個々の記録ビットを分離して再生することが可能となることが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開平6−150418号公報では、さらに小さい記録ビット径及びさらに記録ビット間隔で記録再生を行った場合、再生層に存在する磁化から発生する漏洩磁界が記録層へ達し、記録・消去に大きな磁界を必要とする問題点があることが確認された。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためにされたものであり、その目的は、さらに小さい記録ビット径及びさらに小さい記録ビット間隔で記録を行った場合においても再生可能な光磁気記録媒体を得ると共に、小さな磁界でも記録消去可能な光磁気記録媒体を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る光磁気記録媒体は、基板上に、第1の透明誘電体層と、室温において面内磁化状態であり温度上昇に伴い垂直磁化状態となる再生層と、第2の透明誘電体層と、金属膜層と、垂直磁化膜からなる記録層と、保護層とが順次積層されてなることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る光磁気記録媒体は、上記構成に加えて、前記第2の透明誘電体層の膜厚と金属膜層の膜厚との合計が6nmないし40nmであることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
参考の形態1〕
本発明の第1の参考形態について図1に基づいて説明すれば以下の通りである。なお本願の参考形態では、光磁気記録媒体として光磁気ディスクを適用した場合について説明する。
【0009】
参考形態に係る光磁気ディスクは図1に示すように、基板1、第1の透明誘電体層2、再生層3、金属膜層4、記録層5、保護層6、オーバーコート層7がこの順に積層され、ディスク本体8を形成している。このような光磁気ディスクでは、その記録方式としてキュリー温度記録方式が用いられており、半導体レーザから出射される光ビーム9が対物レンズ10により再生層3に絞り込まれ、極カー効果として知られている光磁気効果によって情報が記録再生されるようになっている。極カー効果とは、入射表面に垂直な磁化の向きにより、反射光の偏光面の回転の向きが逆方向になる現象である。
【0010】
基板1は、例えばポリカーボネート等の透明な基材からなり、ディスク状に形成される。再生層3は、希土類遷移金属合金からなる磁性膜からなり、その磁気特性は、室温において面内磁化状態であり、温度上昇にともない垂直磁化状態となるように組成調整され、膜厚は5〜30nmの範囲に設定されている。金属膜層4は、単一金属または2種類以上の合金で形成される金属膜からなり、膜厚は6〜40nmに設定されている。記録層5は、希土類遷移金属合金からなる垂直磁化膜からなり、膜厚は20〜80nmの範囲に設定されている。
【0011】
参考形態においては、再生層3と記録層5とが静磁結合しており、再生層3の磁化方向は、記録層5の磁化から発生する漏洩磁界と同じ方向、すなわち記録層5の磁化と同じ方向を向こうとする。しかし、再生層3の面内磁化状態にある部分、すなわち温度上昇していない部分は極カー効果を示さないため、再生層3の垂直磁化状態にある部分、すなわち再生のためのレーザ光照射により温度上昇した部分のみの情報を再生することが可能となり、光ビームスポットよりも小さなピッチで記録された記録磁区を再生することが可能となる。
【0012】
第1の透明誘電体層2の膜厚は、入射するレーザ光に対して良好な干渉効果が実現し、媒体のカー回転角が増大すべく設定する必要があり、波長をλ、第1の透明誘電体層2の屈折率をnとした場合、第1の透明誘電体層2の膜厚は、(λ/4n)程度に設定する。例えば、レーザ光の波長を680nmとした場合、第1の透明誘電体層2の膜厚は、40〜100nm程度に設定すれば良い。
【0013】
〔実施の形態
本発明の第1の実施形態について図2に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0014】
本実施形態に係る光磁気ディスクは、図2に示すように、基板1、第1の透明誘電体層2、再生層3、第2の透明誘電体層11、金属膜層4、記録層5、保護層6、オーバーコート層7がこの順に積層され、ディスク本体8を形成している。本実施形態における記録再生動作については、参考形態1と同様である。
【0015】
本実施形態においては、再生層3に接して第2の透明誘電体層11を設けることにより、熱感度が改善され、再生レーザ光の低出力化及びより大きな再生信号を得ることを可能としている。
【0016】
参考の形態2および実施の形態
本発明の第2の参考形態およびの実施形態について図3及び図4に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0017】
参考形態に係る光磁気ディスクは図3に示すように、基板1、第1の透明誘電体層2、再生層3、金属膜層4、記録層5、記録補助層12、保護層6、オーバーコート層7がこの順にて積層され、ディスク本体8を形成している。また、本実施形態に係る光磁気ディスクは図4に示すように、基板1、第1の透明誘電体層2、再生層3、第2の透明誘電体層11、金属膜層4、記録層5、記録補助層12、保護層6、オーバーコート層7がこの順にて積層され、ディスク本体8を形成している。本参考形態および実施形態における記録再生動作については、参考形態1と同様である。
【0018】
本実施形態においては、記録層5と保護層6との間に記録層5のキュリー温度よりも高いキュリー温度を有する記録補助層12を形成することにより、記録動作の改善を行うことを可能としている。
【0019】
【実施例】
参考例1〕
本発明の第1の参考形態の光磁気ディスクの形成方法について説明する。
【0020】
まず、Alターゲットと、GdFeCo合金ターゲットと、TbDyFeCoターゲットとをそれぞれ備えたスパッタ装置内に、プリグルーブ及びプリピットを有しディスク状に形成されたポリカーボネート製の基板1を基板ホルダーに配置する。スパッタ装置内を1×10-6Torrまで真空排気した後、アルゴンと窒素の混合ガスを導入し、Alターゲットに電力を供給して、ガス圧4×10-3Torrの条件で、基板1にAlNからなる第1の透明誘電体層2を膜厚80nmで形成する。
【0021】
次に、再度スパッタ装置内を1×10-6Torrまで真空排気した後、アルゴンガスを導入し、GdFeCo合金ターゲットに電力を供給して、ガス圧4×10-3Torrとし、上記第1の透明誘電体層2上にGd0.31( Fe0.78Co0.22)0.69からなる再生層3を膜厚20nmで形成する。その再生層3は、室温において面内磁化状態であり、120℃の温度で垂直磁化状態となる特性を有し、補償温度が300℃、キュリー温度が360℃である。
【0022】
次に、アルゴンガスを導入し、Alターゲットに電力を供給して、ガス圧3×10-3Torrの条件で、再生層3上にAlからなる金属膜層4を膜厚20nmで形成する。
【0023】
次に、再度スパッタ装置内を1×10-6Torrまで真空排気した後、アルゴンガスを導入し、TbDyFeCo合金ターゲットに電力を供給して、ガス圧4×10-3Torrとし、上記金属膜層4上に(Tb0.75Dy0.25)0.30 ( Fe0.72Co0.28)0.70 からなる記録層5を膜厚40nmで形成する。その記録層5は、25℃に補償温度を有し、キュリー温度が275℃である。
【0024】
次に、アルゴンと窒素の混合ガスを導入し、Alターゲットに電力を供給して、ガス圧4×10-3Torrの条件で、記録層5上にAlNからなる保護層6を形成する。保護層6の膜厚は、記録層5を酸化等の腐食から保護することが可能であればよく、5nm以上であることが望ましい。本参考例においては、保護層6の膜厚を20nmとした。
【0025】
次に、上記保護層6上に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂をスピンコートにより塗布して、紫外線を照射するか、あるいは加熱するかによってオーバーコート層7を形成する。
【0026】
上記ディスクについて、波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアップにより測定したCNR(信号対雑音比)のCNRのマーク長依存性を図5に示す。比較のため、現在市販されている光磁気ディスクのCNRのマーク長依存性も併せて同図に記載する。なお、現在市販されている光磁気ディスクの媒体構成は、図6に示すように、(基板91/第1の誘電体層92/記録層93/第2の誘電体層94/反射層95/オーバーコート層96)となっている。
【0027】
本発明に関するCNRの測定は、波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアップで行っており、市販光磁気ディスクにマーク長0.3μm、マークピッチ0.6μmにて普通に記録された記録磁区列の場合、複数の記録磁区が光ビームスポットの中に入り、個々の記録磁区を分離して再生することができなくなる。そのため、市販光磁気ディスクにおいて、マーク長0.3μmでのCNRはゼロとなっている。
【0028】
これに対して、本発明の光磁気ディスクは、レーザ照射に伴い温度上昇し、再生層3が垂直磁化状態となった部分のみを再生することが可能であるため、マーク長0.3μmの場合においても、40.5dBのCNRが得られている。
【0029】
従来、本発明のように再生層3と記録層5とが静磁結合した構成の光磁気記録媒体においては、再生層3と記録層5の間に形成される非磁性中間層、すなわち本発明における金属膜層4は、特開平6−150418号公報に記載されているように、5nmと薄く形成されている。これは、記録層から発生する漏洩磁界が記録層から離れるにつれて小さくなるため、再生層が記録層から発生する漏洩磁界と十分静磁結合するように、再生層と記録層との間隔を小さく、すなわち非磁性中間層を薄く形成するためである。しかし、本実施例では図5に示すように、金属膜層4(非磁性中間層)を20nmと厚くした場合においても良好な超解像再生特性を得ることができる。
【0030】
次に表1は、参考例1における再生層3と記録層5の膜厚を変えて、マーク長0.45μmでのCNRを測定した結果を示すものである。
【0031】
【表1】
Figure 0004312425
【0032】
表1において、再生層3の膜厚を3nmとした場合、再生層3が存在しない場合よりもCNRが低くなっており、再生特性の改善が確認されなかった。これは、再生層3が薄くなり過ぎたために、室温において面内磁化状態であり温度上昇とともに垂直磁化状態となるべき再生層3の磁気特性が良好に実現されなかったことによる。良好なCNRを得るためには、再生層3の膜厚が5nm以上必要である。また、再生層3の膜厚が35nm以上になると消去磁界が急激に上昇し、40kA/m以上の消去磁界が必要となるため、消去磁界発生装置の大型化、消費電力の増大を招くこととなる。現在の光磁気ディスクドライブにおいて、現実的な消去磁界を実現するためには、再生層膜厚を30nm以下とする必要がある。
【0033】
次に、再生層3の膜厚を20nmとし、記録層5の膜厚を10nmとした場合には、まったく再生信号が得られなかった。これは、再生層3の磁化方向が記録層5から発生する漏洩磁界により決定されるため、記録層5の膜厚が薄くなり記録層5から発生する漏洩磁界が小さくなった場合、記録情報の再生を行うことができないためである。表1から分かるように、本発明の構成においては、記録層5の膜厚を20nm以上とする必要がある。また、再生特性(CNR)のみから判断すると、記録層5の膜厚に上限は存在しないが、記録層5が厚くなり過ぎると大きな消去磁界が必要となる。31kA/mより大きな消去磁界を発生させるためには、大型の磁界発生装置が必要となり、光磁気記録再生装置の大型化を招くことになる。したがって実用的な消去磁界(31kA/m以下)を実現するためには、記録層5の膜厚を80nm以下とする必要がある。
【0034】
次に表2は、参考例1における金属膜層4の膜厚を変えて、マーク長0.45μmでのCNR及び消去磁界を測定した結果を示すものである。
【0035】
【表2】
Figure 0004312425
【0036】
表2から分かるように、金属膜層4の膜厚が5nm以下になると、消去磁界が急激に大きくなる。これは、金属膜層4の膜厚が薄くなり、再生層3と記録層5とが近づくにつれて、再生層3から発生する漏洩磁界が記録層5に及ぼす影響が大きくなり、消去磁界が増大するためである。金属膜層4の膜厚が8nm以上になると、再生層3から発生する漏洩磁界は記録特性に全く影響を及ぼさず、消去磁界は記録層5の記録特性のみにより決定されることとなり、20kA/mと一定の値を示す。
【0037】
消去磁界の増大は、光磁気ディスクドライブにおける磁界発生装置の大型化、消費電力の増大を招くことになる。現在の光磁気ディスクドライブにおいて、現実的な消去磁界の大きさは31kA/m以下であり、したがって金属膜層4の膜厚としては、6nm以上が必要であることがわかる。
【0038】
また、再生時においては、記録層5から発生する漏洩磁界により再生層3の磁化方向が決定されるため、金属膜層4の膜厚が50nmと厚くなると、記録層5から発生する漏洩磁界が十分に再生層3へと届かなくなり、CNRの劣化が発生することになる。良好な信号品質、すなわち高いCNRを得るためには、金属膜層4の膜厚を40nm以下とする必要がある。
【0039】
参考例2〕
次に、参考例1の構成において、記録層5の組成のみを変えて光磁気ディスクを作製し、その記録再生特性を調べた。各ディスクの記録層5の組成、補償温度、キュリー温度を表3に示し、記録層5の保磁力Hcと磁化Mの温度依存性を図7及び図8に示す。
【0040】
【表3】
Figure 0004312425
【0041】
上記ディスクA2〜D2について、参考例1と同様に波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアップにより、マーク長0.45μmでの最適再生条件におけるCNRを測定した結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
Figure 0004312425
【0043】
ディスクA2〜D2の再生特性を比較すると、ディスクA2〜C2は良好なCNRが得られているのに対して、ディスクD2は20dBのCNRしか得られなかった。これは、各ディスクの磁気特性(図7、図8)から理解される結果である。
【0044】
本発明の光磁気記録媒体における再生層3の磁化方向は、記録層5から発生する漏洩磁界により決定されるため、記録層5から発生する漏洩磁界が小さくなった場合、記録情報の再生を行うことができなくなる。記録層5から発生する漏洩磁界は記録層5の磁化の大きさに比例するものであり、したがって再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度、すなわち100℃〜150℃の温度において、記録層5が十分大きな磁化を有し、十分大きな漏洩磁界を発生させている必要がある。
【0045】
図8から分かるように、ディスクA2〜C2の場合、記録層5の補償温度は、再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜150℃)から離れているため、記録層5は十分大きな磁化を有し、十分大きな漏洩磁界を発生させることが可能である。しかし、ディスクD2の場合、記録層5の補償温度が再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜150℃)に近接しており、磁化が小さく、再生に必要な漏洩磁界を発生させることができなくなってしまう。
【0046】
このような理由から、記録層5の磁気特性としては、補償温度が50℃以下である(ディスクB2、C2)か、または記録層5が室温からそのキュリー温度Twcまで、常に遷移金属副格子モーメントが希土類金属副格子モーメントより大きい(ディスクA2)ことが必要である。
【0047】
参考例3〕
次に、参考例1の構成において、再生層3の組成のみを変えて光磁気ディスクを作製し、その記録再生特性を調べた。各ディスクの再生層3の組成、補償温度、キュリー温度を表5に示し、再生層3の保磁力Hcと磁化Mの温度依存性を図9及び図10に示す。
【0048】
【表5】
Figure 0004312425
【0049】
上記ディスクA3〜E3について、参考例1と同様に波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアップにより、マーク長0.45μmでの最適再生条件におけるCNRを測定した結果を表6に示す。
【0050】
【表6】
Figure 0004312425
【0051】
ディスクA3〜E3の再生特性を比較すると、ディスクA3〜D3は良好なCNRが得られているのに対して、ディスクE3は30dBのCNRしか得られなかった。これは、各ディスクの磁気特性(図9、図10)から理解される結果である。
【0052】
本発明の光磁気記録媒体における再生層3の磁化方向は、記録層5から発生する漏洩磁界により決定されるため、再生層3の磁化が小さくなると、記録層5から発生する漏洩磁界と再生層3との静磁結合が弱くなり、記録情報の再生を行うことができなくなる。したがって、再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度、すなわち100℃〜150℃の温度において、再生層3が十分大きな磁化を有し、記録層5から発生する漏洩磁界と十分に静磁結合する必要がある。
【0053】
図10から分かるように、ディスクA3〜D3の場合、再生層3の補償温度は再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜150℃)から離れており、再生層3は十分大きな磁化を有し、記録層5から発生する漏洩磁界と十分に静磁結合することが可能である。しかし、ディスクE3の場合、再生層3の補償温度が再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜150℃)に近接しており、再生層3の磁化が小さく、十分な静磁結合を実現することができなくなってしまう。
【0054】
さらに、ディスクE3の場合、記録層5のキュリー温度(275℃)においてディスクA3〜D3に比べて大きな磁化を有することになり、再生層3から発生する漏洩磁界が記録消去特性に影響を与えることとなり、表6に示すように大きな消去磁界が必要となる。
【0055】
以上のような理由から再生層3の磁気特性としては、室温で面内磁化状態であり、温度上昇に伴い垂直磁化状態になるとともに、補償温度が180℃以上である(ディスクB3〜D3)か、またはそのキュリー温度Trcまで、常に希土類金属副格子モーメントが遷移金属副格子モーメントより大きい(ディスクA3)ことが必要である。
【0056】
〔実施例
本発明の第1の実施形態の光磁気ディスクの形成方法について説明する。本実施形態の光磁気ディスクの形成方法は、第2の透明誘電体層11を形成する以外は参考形態1と同様である。
【0057】
基板1上に、第1の透明誘電体層2、再生層3を形成後、スパッタ装置内を1×10-6Torrまで真空排気し、アルゴンと窒素ガス雰囲気中、ガス圧4×10-3Torrで、Alターゲットに電力を供給して、再生層3上にAlNからなる上記第2の透明誘電体層11を膜厚20nmで形成する。その後、膜厚5nmの金属膜層4、記録層5、保護層6、オーバーコート層7を作製することにより形成する。
【0058】
実施例1における第2の透明誘電体層11と金属膜層4の膜厚を変えて、マーク長0.45μmでのCNRと消去磁界を測定した結果を表7に示す。なお、波長680nmの半導体レーザを用いて測定を行った。
【0059】
【表7】
Figure 0004312425
【0060】
表7より、第2の透明誘電体層11と金属膜層4の合計膜厚が4nmと薄いときには、参考例1の場合と同様に消去磁界が大きくなった。これは、第2の透明誘電体層11と金属膜層4の合計膜厚が薄くなり、再生層3と記録層5とが近づくにつれて、再生層3から発生する漏洩磁界が記録層5に及ぼす影響が大きくなり、消去磁界が増大したためである。第2の透明誘電体層11と金属膜層4との合計膜厚が10nm以上の場合は、再生層3から発生する漏洩磁界は記録特性に全く影響を及ぼさず、消去磁界は記録層5の記録特性のみにより決定されることとなり、20kA/mと一定の値を示す。
【0061】
消去磁界の増大は、光磁気ディスクドライブにおける磁界発生装置の大型化、消費電力の増大を招くことになる。現在の光磁気ディスクドライブにおいて、現実的な消去磁界の大きさは31kA/m以下であり、第2の透明誘電体層11と金属膜層4との合計膜厚としては、6nm以上必要であることが分かる。
【0062】
また、再生時においては、記録層5から発生する漏洩磁界により再生層3の磁化方向が決定されるため、第2の透明誘電体層11と金属膜層4の合計膜厚が50nmと厚くなると、記録層5から発生する漏洩磁界が十分に再生層3へと届かなくなり、CNRの劣化が発生することになる。良好な信号品質、すなわち高いCNRを得るためには、第2の透明誘電体層11と金属膜層4の合計膜厚を40nm以下とする必要がある。
【0063】
また、参考例1と比較すると、金属膜層4の膜厚が同じ場合、第2の透明誘電体層11を設けることによってさらにCNRが高くなり、再生レーザパワーが少なくなった。これは、第2の透明誘電体層11を設けたことにより、熱感度が改善されたためと考えられる。
【0064】
〔実施例
次に実施例の構成において、記録層5の組成のみを変えて光磁気ディスクを作製し、その記録再生特性を調べた。なお、記録層5の組成は参考例2と同様に変えた。各ディスクの記録層5の組成、補償温度、キュリー温度を表3に、記録層5の保磁力Hcと磁化Mの温度依存性を図7、図8に示す。
【0065】
上記ディスクF2〜I2について、参考例1と同様に波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアップにより、0.45μmでの最適再生条件におけるCNRを測定した結果を表8に示す。
【0066】
【表8】
Figure 0004312425
【0067】
ディスクF2〜I2の再生特性を比較すると、ディスクF2〜H2は良好なCNRが得られているのに対して、ディスクI2は20.5dBのCNRしか得られなかった。これは、各ディスクの磁気特性(図7、図8)から理解される結果である。
【0068】
本発明の光磁気記録媒体における再生層3の磁化方向は、記録層5から発生する漏洩磁界により決定されるため、記録層5から発生する漏洩磁界が小さくなった場合、記録情報の再生を行うことができなくなる。記録層5から発生する漏洩磁界は、記録層5の磁化の大きさに比例するものであり、したがって再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度、すなわち100℃〜150℃の温度において、記録層5が十分大きな磁化を有し、十分大きな漏洩磁界を発生させている必要がある。
【0069】
図8から分かるように、ディスクF2〜H2の場合、記録層5の補償温度は再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜150℃)から離れており、記録層5は十分大きな磁化を有し、十分大きな漏洩磁界を発生させることが可能である。しかし、ディスクI2の場合、記録層5の補償温度は再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜150℃)に近接しており、磁化が小さく、再生に必要な漏洩磁界を発生させることができなくなってしまう。
【0070】
このような理由から、記録層5の磁気特性としては、補償温度が50℃以下である(ディスクG2、H2)か、または記録層5が室温からそのキュリー温度Twcまで、常に遷移金属副格子モーメントが希土類金属副格子モーメントより大きい(ディスクF2)ことが必要である。
【0071】
〔実施例
次に、実施例1の構成において、再生層3の組成のみを参考例2と同様に変えて光磁気ディスクを作製し、その記録再生特性を調べた。各ディスクの再生層3の組成、補償温度、キュリー温度は表5に、再生層3の保磁力Hcと磁化Mの温度依存性は図9、図10に示す。
【0072】
上記ディスクF3〜J3について、参考例1と同様に波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアップにより、マーク長0.45μmでの最適再生条件におけるCNRを測定した結果を表9に示す。
【0073】
【表9】
Figure 0004312425
【0074】
ディスクF3〜J3の再生特性を比較すると、ディスクF3〜I3は良好なCNRが得られているのに対して、ディスクJ3は30dBのCNRしか得られなかった。これは、各ディスクの磁気特性(図9、図10)から理解される結果である。
【0075】
本発明の光磁気記録媒体における再生層3の磁化方向は、記録層5から発生する漏洩磁界により決定されるため、再生層3の磁化が小さくなると、記録層5から発生する漏洩磁界と再生層3との静磁結合が弱くなり、記録情報の再生を行うことができなくなる。したがって再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度、すなわち100℃〜150℃の温度において、再生層3が十分大きな磁化を有し、記録層5から発生する漏洩磁界と十分に静磁結合する必要がある。
【0076】
図10から分かるように、ディスクF3〜I3の場合、再生層3の補償温度は再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜150℃)から離れており、再生層3は十分大きな磁化を有し、記録層5から発生する漏洩磁界と十分に静磁結合することが可能である。しかし、ディスクJ3の場合、再生層3の補償温度が再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜150℃)に近接しているため、再生層3の磁化が小さく、十分な静磁結合を実現することができなくなってしまう。
【0077】
さらに、ディスクJ3の場合、記録層5のキュリー温度(275℃)においてディスクF3〜I3に比べて大きな磁化を有することになり、再生層3から発生する漏洩磁界が記録消去特性に影響を与えるため、表9に示すように、大きな消去磁界が必要となる。以上のような理由から再生層3の磁気特性としては、室温で面内磁化状態であり、温度上昇に伴い垂直磁化状態になるとともに、補償温度が180℃以上である(ディスクG3〜I3)か、またはそのキュリー温度Trcまで、常に希土類金属副格子モーメントが遷移金属副格子モーメントより大きい(ディスクF3)ことが必要である。
【0078】
〔実施例
参考形態および第2の実施形態の光磁気ディスクの形成方法について説明する。第参考形態および第2の実施形態の光磁気ディスクの形成方法は、記録補助層12を付加して設ける以外は、参考形態1、実施形態と同じ方法である。
【0079】
図3に示す光磁気記録媒体は、第1の透明誘電体層2、再生層3、金属膜層4、記録層5を形成し、スパッタ装置内を1×10-6Torrまで真空排気した後、アルゴンガスを導入し、記録補助層12用のGdFeCo合金ターゲットに電力を供給して、ガス圧4×10-3Torrとし、上記記録層5上にGd0.24(Fe0.83Co0.17)0.76 からなる記録補助層12を膜厚20nmで形成し、保護層6、オーバーコート層7を形成することにより作製される。上記記録補助層12は、25℃以下に補償温度を有し、キュリー温度が290℃である。本実施例においては、図3記載の光磁気ディスクをディスクA6として記述する。
【0080】
次に、図4に示す光磁気記録媒体は、第1の透明誘電体層2、再生層3、第2の透明誘電体層11、金属膜層4、記録層5を形成し、スパッタ装置内を1×10-6Torrまで真空排気した後、アルゴンガスを導入し、記録補助層12用のGdFeCo合金ターゲットに電力を供給して、ガス圧4×10-3Torrとし、上記記録層5上にGd0.24(Fe0.83Co0.17)0.76 からなる記録補助層12を膜厚20nmで形成し、保護層6、オーバーコート層7を形成することにより作製される。上記記録補助層12は、図3に示す構成における記録補助層12同様、25℃以下に補償温度を有し、キュリー温度は290℃である。本実施例においては、図4記載の光磁気ディスクをディスクB6として記述する。
【0081】
上記ディスクA6、B6について、波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアップにより、マーク長0.45μmでの最適再生条件において測定したCNRと記録磁区を消去するのに必要な磁界(消去磁界)を表10に示す。比較のため、参考形態1のディスクB2の特性を併せて同表に記載する。
【0082】
【表10】
Figure 0004312425
【0083】
表10から、参考形態1のディスクB2の場合、20.0kA/mの消去磁界が必要であったのに対して、参考の形態2および実施の形態2に係るディスクA6及びディスクB6の場合、7.5kA/mの消去磁界で消去可能であることが確認された。この結果は、記録層5のキュリー温度(275℃)よりも記録補助層12のキュリー温度(290℃)の方が高く、記録層5(TbDyFeCo)よりも磁化反転が容易な記録補助層12(GdFeCo)が消去動作を主導することにより、消去磁界の低減が実現したことを意味している。次に、表11は、ディスクA6における再生層3、記録補助層12、記録層5の膜厚を変えて、マーク長0.45μmでのCNRを測定した結果を示すものである。
【0084】
【表11】
Figure 0004312425
【0085】
表11において、再生層3の膜厚を3nmとした場合、CNRが低く再生特性の改善が確認されなかった。これは、再生層3が薄くなり過ぎたために、室温において面内磁化状態であり温度上昇とともに垂直磁化状態となるべき再生層3の磁気特性が良好に実現されなかったことによる。CNRを改善するためには、再生層3の膜厚が5nm以上必要である。また、再生層3の膜厚が35nm以上になると消去磁界が急激に上昇し、36.5kA/m以上の消去磁界が必要となり、消去磁界発生装置の大型化・消費電力の増大を招く。現在の光磁気ディスクドライブにおいて現実的な消去磁界を実現するためには、再生層膜厚を30nm以下とする必要がある。
【0086】
次に、再生層3の膜厚を20nmとし、記録補助層12の膜厚を5nm、記録層5の膜厚を5nmとした場合、まったく再生信号が得られなかった。再生層3の磁化方向は、記録補助層12と記録層5から発生する漏洩磁界により決定されるため、記録補助層12と記録層5のトータル膜厚が薄くなり、発生する漏洩磁界が小さくなった場合、記録情報の再生を行うことができなくなる。表11から分かるように本発明の構成においては、記録補助層12の膜厚を10nm、記録層5の膜厚を10nm、すなわち記録補助層12と記録層5のトータル膜厚を20nm以上とする必要がある。また、参考形態1、実施形態においては、消去磁界の増大から記録補助層12と記録層5のトータル膜厚を80nm以下としたが、参考形態においては、記録補助層12が記録動作を主導しているため、記録補助層12と記録層5のトータル膜厚の上限は存在しない。しかし、記録補助層12と記録層5のトータル膜厚が厚くなりすぎた場合、記録を行う際に大きなレーザ光強度が必要となるため、トータル膜厚は200nm以下とすることが望ましい。
【0087】
次に、表12は、ディスクA6の構成において金属膜層4の膜厚を変えて、マーク長0.45μmでのCNR・消去磁界を測定した結果を示すものである。
【0088】
【表12】
Figure 0004312425
【0089】
表12からわかるように、金属膜層4の膜厚が5nm以下になると消去磁界が急激に大きくなる。これは、金属膜層4の膜厚が薄くなり、再生層3と記録層5及び記録補助層12とが近づくにつれて、再生層3から発生する漏洩磁界が記録層5と記録補助層12に及ぼす影響が大きくなり、消去磁界が増大するためである。金属膜層4の膜厚が8nm以上の場合は、再生層3から発生する漏洩磁界は記録特性に全く影響を及ぼさず、消去磁界は記録層5の記録特性のみにより決定されることとなり、7.5kA/mと一定の値を示す。
【0090】
消去磁界の増大は、光磁気ディスクドライブにおける磁界発生装置の大型化、消費電力の増大を招くことになる。現在の光磁気ディスクドライブにおいて、現実的な消去磁界の大きさは31kA/m以下であり、したがって金属膜層4の膜厚としては、6nm以上必要であることがわかる。
【0091】
また、再生時においては、記録層5及び記録補助層12から発生する漏洩磁界により再生層3の磁化方向が決定されるため、金属膜層4の膜厚が50nmと厚くなると、記録層5及び記録補助層12から発生する漏洩磁界が十分に再生層3へと届かなくなり、CNRの劣化が発生することになる。良好な信号品質、すなわち高いCNRを得るためには、金属膜層4の膜厚を40nm以下とする必要がある。
【0092】
参考
次に、実施例のディスクA6の構成において、記録補助層12の組成のみを変えて光磁気ディスクを作製し、その記録再生特性を調べた。各ディスクの記録補助層12の組成、補償温度、キュリー温度を表13に示す。
【0093】
【表13】
Figure 0004312425
【0094】
上記ディスクA7〜E7について、実施例と同様に波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアップにより、マーク長0.45μmでの最適再生条件におけるCNR、記録磁区を消去するのに必要な磁界(消去磁界)及び記録磁区を形成するのに必要な磁界(記録磁界)を測定した結果を表14に示す。
【0095】
【表14】
Figure 0004312425
【0096】
ディスクA7〜E7の再生特性を比較すると、ディスクA7からディスクE7へと徐々にCNRが低くなっていることがわかる。これは、記録補助層12の補償温度が徐々に上昇し漏洩磁界が徐々に小さくなるため、CNRも徐々に低下するためである。しかし、記録補助層12に隣接して記録層5が存在し、十分な大きさの漏洩磁界を発生させているため、CNRの低下は小さく抑えられている。
【0097】
次に、消去磁界は、記録補助層12の補償温度が高くなるにつれて小さくなるため、記録補助層12の補償温度は高いほど望ましいことになる。しかしこの時、記録磁界も記録補助層12の補償温度の上昇とともに大きくなり、ディスクE7の場合45kA/mもの記録磁界が必要であり、非実用的であることがわかる。
【0098】
以上の理由から、記録補助層12は、その補償温度が50℃以下(ディスクC7、ディスクD7)であるか、または室温からそのキュリー温度まで、常に遷移金属副格子モーメントが希土類金属副格子モーメントより大きいこと(ディスクA7、ディスクB7)が必要である。
【0099】
以上の実施例において、本発明では、透明誘電体層、金属膜層、再生層、記録層、記録補助層としてそれぞれ、AlN、Al、GdFeCo、TbDyFeCo、GdFeCoについて説明したが、これに限られるものではない。
【0100】
透明誘電体層としては他に、SiN、SiAlN、TaO2 等の屈折率の高い透明膜を使用することが可能である。金属膜層としては他に、Au、Ti、Ag、Cu等、及び、AlNi、AlTi等の合金からなる高反射率を示す金属膜を使用することが可能である。再生層としては、室温で面内磁化状態であり、温度上昇とともに垂直磁化状態となればよく、希土類金属としてGdを主成分としたGdDyFeCo、GdTbFe、GdTbFeCo等の磁性膜を使用することが可能である。記録層としては、希土類金属としてDyまたはTbを主成分としたDyFeCo、TbFeCo、GdTbFeCo等の磁性膜を使用することが可能である。記録補助層としては、希土類金属としてGdを主成分としたGdDyFeCo、GdTbFe、GdTbFeCo等の磁性膜を使用することが可能である。
【0101】
また、本発明に係る光磁気記録媒体は、上記構成に加えて、前記再生層の補償温度T rcomp は、前記再生層の面内磁化状態から垂直磁化状態に変化する温度よりも少なくとも30℃高いか、キュリー温度T rc まで常に前記再生層の希土類金属副格子モーメントが遷移金属副格子モーメントよりも大きく、前記記録層の償温度T wcomp が50℃以下であるか、室温からキュリー温度T wc まで常に前記記録層の遷移金属副格子モーメントが希土類金属副格子モーメントよりも大きくてもよい。
【0102】
また、本発明に係る光磁気記録媒体は、上記構成に加えて、前記再生層の面内磁化状態から垂直磁化状態に変化する温度は100℃ないし150℃であってもよい。
【0103】
また、本発明に係る光磁気記録媒体は、上記構成に加えて、前記記録層と前記保護層との間に、前記記録層のキュリー温度よりも高いキュリー温度を有する記録補助層を有し、前記記録層と記録補助層との合計膜厚が30nm以上であってもよい。
【0104】
また、本発明に係る光磁気記録媒体は、上記構成に加えて、前記記録補助層の補償温度T icomp が50℃以下であるか、室温からキュリー温度T ic まで常に前記記録補助層の遷移金属副格子モーメントが希土類金属副格子モーメントよりも大きくてもよい。
【0105】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光磁気記録媒体は、基板上に、第1の透明誘電体層と、室温において面内磁化状態であり温度上昇に伴い垂直磁化状態となる再生層と、第2の透明誘電体層と、金属膜層と、垂直磁化膜からなる記録層と、保護層とが順次積層されてなる構成である。
【0106】
また、本発明の光磁気記録媒体は、上記構成に加えて、前記第2の透明誘電体層の膜厚と金属膜層の膜厚との合計が6nmないし40nmである構成である。
【0107】
本発明によれば、記録層から発生する漏洩磁界の大きさの温度依存性が再生特性に対して最適化され、小さい記録ビット径及びさらに小さい記録ビット間隔で記録再生を行った場合においても、十分な信号品質を得ることが可能になるという効果を奏する。
【0108】
また、記録を行う際に再生層から発生する漏洩磁界が小さくなり、小さな消去磁界で消去可能な光磁気記録媒体を得ることが可能となるという効果を奏する。
【0109】
また、熱感度が改善され、再生レーザ光の低出力化及びより大きな再生信号を得ることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の参考形態に係る光磁気ディスクの膜構成を示す図である。
【図2】 本発明の第の実施形態に係る光磁気ディスクの膜構成を示す図である。
【図3】 本発明の第参考形態に係る光磁気ディスクの膜構成を示す図である。
【図4】 本発明の第の実施形態に係る光磁気ディスクの膜構成を示す図である。
【図5】 本発明に係る光磁気ディスクと従来の光磁気ディスクとの再生特性の比較を示す図である。
【図6】 従来の光磁気ディスクの膜構成を示す図である。
【図7】 本発明に係る光磁気ディスクの記録層の磁気特性を示す図である。
【図8】 本発明に係る光磁気ディスクの記録層の別の磁気特性を示す図である。
【図9】 本発明に係る光磁気ディスクの再生層の磁気特性を示す図である。
【図10】 本発明に係る光磁気ディスクの再生層の別の磁気特性を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第1の透明誘電体層
3 再生層
4 金属膜層
5 記録層
6 保護層
7 オーバーコート層
8 ディスク本体
9 光ビーム
10 対物レンズ
11 第2の透明誘電体層
12 記録補助層

Claims (2)

  1. 基板上に、第1の透明誘電体層と、室温において面内磁化状態であり温度上昇に伴い垂直磁化状態となる再生層と、第2の透明誘電体層と、金属膜層と、垂直磁化膜からなる記録層と、保護層とが順次積層されてなり、
    前記第2の透明誘電体層の膜厚と金属膜層の膜厚との合計が6nmないし40nmであることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 前記再生層がGdFeCo、GdDyFeCo、GdTbFe、GdTbFeCoのいずれかであり、
    前記記録層がTbDyFeCo、DyFeCo、TbFeCo、GdTbFeCoのいずれかであり、
    前記第1および第2の透明誘電体層はAlN、SiN、SiAlN、TaO のいずれかであり、
    前記金属膜層は、Al、Au、Ti、Ag、Cu、及びAlNi、AlTiのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の光磁気記録媒体。
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