JPH11354140A - 高強度薄膜電解質 - Google Patents

高強度薄膜電解質

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JPH11354140A
JPH11354140A JP10162316A JP16231698A JPH11354140A JP H11354140 A JPH11354140 A JP H11354140A JP 10162316 A JP10162316 A JP 10162316A JP 16231698 A JP16231698 A JP 16231698A JP H11354140 A JPH11354140 A JP H11354140A
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electrolyte
membrane
strength
electrolyte membrane
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JP10162316A
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Masaya Kawakado
昌弥 川角
Atsushi Kamiya
厚志 神谷
Takumi Taniguchi
拓未 谷口
Tomo Morimoto
友 森本
Norio Sato
紀夫 佐藤
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度と低膜抵抗を同時に満足するプロトン
伝導性の高強度薄膜電解質を提供すること。また、プロ
トン伝導性の高強度薄膜電解質を安価な手法で実現する
方法を提供すること。 【解決手段】 プロトン伝導性を有する電解質膜、特
に、強酸基もしくはその前駆体を有するイオン交換容量
(前駆体の場合は官能基量)5ミリ当量/g〜0.2ミ
リ当量/gのフッ素樹脂からなる電解質膜を、ガラス転
移温度近傍から融点以下の温度で2軸延伸処理すること
により、膜厚50μm以下、膜強度8N以上、膜抵抗
0.07Ωcm以下のプロトン伝導性の高強度薄膜電
解質を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度薄膜電解質
に関し、さらに詳しくは、固体高分子型燃料電池に用い
られる固体高分子電解質膜として好適な高強度薄膜電解
質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体高分子型燃料電池は、電解質として
固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という)
を用いる燃料電池であり、出力密度が高いこと、構造が
単純であること、動作温度が比較的低いこと、静粛性が
あること、等の特徴を有していることから、従来から宇
宙開発用あるいは軍用の電源として用いられている。ま
た、燃料電池は、水素を燃料として用いた場合、本質的
には窒素酸化物及び炭酸ガスを排出しないことから、近
年では、自動車用の低公害動力源としても注目されてい
る。
【0003】固体高分子型燃料電池10は、図2に示す
ように、厚さ50〜200μmの電解質膜12の両面に
電極14、16を接合した構造が基本構造になってい
る。電解質膜12としては、一般に、ナフィオン(登録
商標、デュポン社製)の商品名で知られるパーフルオロ
スルホン酸膜が代表的である。
【0004】パーフルオロスルホン酸膜は、電解質基と
してスルホン酸基を有するパーフルオロビニルエーテル
とテトラフルオロエチレンとの共重合体であり、高いプ
ロトン伝導性を有し、しかも耐酸化性に優れていること
から、固体高分子型燃料電池用の電解質膜として賞用さ
れているものである。
【0005】また、電極14、16は、一般に、白金等
を担持させたカーボン粒子と、パーフルオロスルホン酸
ポリマーの溶液との混合物をカーボンペーパーあるいは
カーボンクロスの片面に塗布し、その塗布した面を電解
質膜12に圧着したものである。そのため、電極14、
16は、白金等を担持させたカーボン粒子と電解質から
なる多孔質、かつ疎水性の触媒層14a、16aと、カ
ーボンペーパー等からなる多孔質の拡散層14b、16
bの2層からなっている。
【0006】このような構造を有する固体高分子型燃料
電池10の電極14、16に負荷を接続した状態で、電
極14(燃料極)側及び電極16(空気極)側に、それ
ぞれ、改質ガス等の水素を含むガス及び空気等の酸素を
含むガスを流すと、供給ガスが拡散層14b、16bを
通って、触媒層14a、16aに達する。そして、燃料
極14側の触媒層14aで発生した水素イオンが電解質
膜12中の電解質基を介して空気極16側に移動し、触
媒層16bにおいて酸素と反応して水が生成することに
より、電気エネルギーが外部に取り出されるものであ
る。
【0007】ところで、強酸基を有するパーフルオロ系
電解質膜は、上述したように、耐酸化性、導電性ともに
良好なため、優れた膜であるが、導電性を発現するには
水を必要とする。また、電池内部の反応を効率よく進行
させるためには、電解質/触媒/反応ガスが共存する三
相界面を十分に確保する必要がある。そのため、電解質
膜を燃料電池システムに組み込んだ場合には、電解質膜
の適切な水管理が必須である。
【0008】すなわち、電解質膜のドライアップを避け
るためには、両極の適切な加湿が必要であり、通常は、
供給ガスの加湿で対処している。また、空気極側で水が
結露して三相界面が閉塞する「フラッディング」を防止
するためには、空気極側の過剰水分を排除する必要があ
り、通常は、空気流量を上げることにより空気利用率を
低くし、過剰水分を揮発させることで対処している。し
かしながら、このような水管理はエネルギーロスが大き
く、固体高分子型燃料電池システムの発電効率を下げる
結果となっていた。
【0009】そこで、従来から、このような水管理を容
易化するためには、電解質膜の薄膜化が有効であること
が指摘されていた。電解質膜を薄膜化すると、膜厚方向
の水の濃度勾配が大きくなるので、空気極側にかたより
がちな水を燃料極側に濃度勾配を利用して逆拡散させる
ことができる。これにより水分布の均質化が図れるわけ
である。
【00010】このような、単に薄膜化された未補強か
つ未延伸のパーフルオロスルホン酸膜をそのまま電解質
膜として使用する場合には、膜抵抗0.07Ωcm
下を維持しながら、膜厚が50ミクロン未満、特に顕著
には30ミクロン未満にしようとすると、電解質膜の強
度が不足する。そのため、電極との接合体作製時に電解
質膜にピンホールが生成するなど,歩留まり良く電極接
合体を作製することができないという問題がある。
【0011】そこで、電解質膜を薄膜化するためには、
燃料電池開発センター発行の「PEFCのすべて(p1
1−18)」で指摘されているように、膜の高強度化が
必須である。
【0012】この高強度化法として、特開平8−162
132号公報には、四フッ化エチレン膜を延伸処理した
多孔質膜に電解質膜溶液を含浸させ、溶媒を蒸発させて
作製した電解質膜が開示されている。また、特開昭58
−201823号公報には、電解質材料に補強材として
フィブリルを添加し、低温延伸プロセスにより薄膜化し
た、膜厚50〜300μmの電解質膜が開示されてい
る。また、狙いは高強度化ではないものの、特開昭59
−43033号公報には、弱酸と強酸からなる電解質膜
を延伸することにより薄膜化した、食塩電解用電解質膜
が開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の電解質膜は、いずれも膜抵抗0.07Ωcm以下を
維持しながら、膜厚50μm以下、膜強度8N以上を実
現することができなかった。
【0014】即ち、特開平8−162132号公報に開
示されているように、多孔性フッ素樹脂により補強され
た電解質膜によれば、上述したような電解質膜の強度不
足の問題をかなり解決することができる。しかしなが
ら、プロセスが煩雑であるため原理上コストアップは避
けられない。また、複合化補強膜であり導電率が低下す
る傾向にあり,強度と膜抵抗を必ずしも高次元で両立で
きていないという問題がある。
【0015】また、特開昭58−201823号に開示
されているように、フィブリルを用いた補強膜では、フ
ィブリルが存在するために粘性が上昇し、通常の押出し
製膜プロセスが適用できない。そのため、50μm以下
の薄膜を作製できないという問題がある。また、同公報
には膜抵抗は開示されていないものの,食塩電解用であ
るため(1)弱酸を含むこと,(2)導電性のない補強
剤を含んでいること,(3)膜厚が厚いこと,の3点か
ら本発明の目的とする燃料電池用電解質膜としては膜抵
抗は高すぎるものと考えられる。
【0016】さらに、特開昭59−43033号公報に
開示されているように、弱酸と強酸からなる電解質膜の
延伸処理により得られる薄膜は、食塩電解を目的として
いるため,弱酸を有しており,本発明の目的とする燃料
電池用電解質膜としては膜抵抗は高すぎるものと考えら
れる。すなわち、上記従来技術に示したように,単純に
薄膜化しても膜強度が不足してしまい,また補強材を加
えると膜抵抗が増大してしまうため,高強度と低膜抵抗
とを同時に満足する薄膜電解質が得られなかった。
【0017】本発明が解決しようとする課題は、高強度
と低膜抵抗を同時に満足するプロトン伝導性の高強度薄
膜電解質を提供することにある。また、本発明が解決し
ようとする他の課題は、プロトン伝導性の高強度薄膜電
解質を安価な手法で実現する方法を提供することにあ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係るプロトン伝導性の高強度薄膜電解質は、
膜厚50μm以下、膜強度8N以上、膜抵抗0.07Ω
cm以下であることを要旨とするものである。
【0019】ここで、プロトン伝導性を有する高強度薄
膜電解質の基材となる固体高分子電解質としては、プロ
トンと交換する電解質基を有する種々の高分子材料を用
いることができるが、強酸基もしくはその前駆体を有す
るイオン交換容量(前駆体の場合は官能基量)0.2〜
5ミリ当量/gのフッ素樹脂が特に好適である。
【0020】また、前記高強度薄膜電解質は、その膜厚
が50μm以下である必要がある。高強度薄膜電解質の
膜厚が50μmを超えると、膜厚方向の水の濃度勾配が
小さくなり、空気極側にかたよりがちな水を燃料極側に
濃度勾配を利用して逆拡散させることが困難となるため
である。
【0021】また、前記高強度薄膜電解質は、その膜抵
抗が0.07Ωcm以下であることが必要である。膜
抵抗が0.07Ωcmを超えると、燃料電池の内部抵
抗が大きくなり、燃料電池の発電効率が低下するためで
ある。なお、ここでの「膜抵抗」とは、水温25℃、水
中の条件下で測定される高強度薄膜電解質の面積当たり
の電気抵抗を意味する。
【0022】また、前記高強度薄膜電解質膜は、膜強度
が8N以上である必要がある。膜強度が8N未満である
と、電解質膜の両面に電極を接合する際に電解質膜にピ
ンホールが発生し、歩留が低下するためである。なお、
ここでの「膜強度」とは、膜幅1cmの試料を、温度2
5℃、相対湿度25%の条件下において引張試験を行っ
た場合における歪10%から100%までの最大引張荷
重を意味する。
【0023】さらに、本発明に係る高強度薄膜電解質
は、上述したようなイオン交換容量0.2〜5ミリ当量
/gの高分子電解質材料からなる電解質膜を、ガラス転
移温度近傍から融点以下の温度で延伸処理することによ
り、容易に得ることができる。延伸処理により、分子鎖
が引き延ばされて高度に配向すると共に、電解質膜が延
伸処理前に比してさらに薄膜化されるので、電解質膜の
強度を高めると同時に、膜抵抗を低下させることが可能
となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明に係るプロトン伝導性を有する高強
度薄膜電解質の基材となる固体高分子電解質としては、
プロトンと交換する電解質基を有する種々の高分子材料
を用いることができる。
【0025】例えば、パーフルオロスルホン酸、パーフ
ルオロホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニ
ルベンジルホスホン酸、ポリトリフルオロスチレンスル
ホン酸、などの単独重合体や共重合体、また、エチレン
−テトラフルオロエチレン共重合体やポリテトラフルオ
ロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフ
ルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、エチレ
ン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などのフッ素
樹脂にスチレンやトリフルオロスチレンをグラフト重合
し、スルホン化やメチルホスホン化したグラフト共重合
体、あるいはポリスルホンスルホン酸膜、ポリエーテル
エーテルケトンスルホン酸膜、ポリパラフェニレン誘導
体スルホン酸膜、などのいわゆる炭化水素系膜などが挙
げられる。
【0026】中でも、次の化1の式に示したパーフルオ
ロスルホン酸やパーフルオロホスホン酸に代表される、
強酸基もしくはその前駆体を有するフッ素樹脂が特に好
適である。
【0027】
【化1】
【0028】但し、化1の式において、「A」は、−S
F、−SOH、−P(O)(OR)、−P(O)(O
H)などの強酸基、もしくはその前駆体を意味し、
「R」は、アルキル基などを意味する。
【0029】フッ素樹脂は、周知のように、C−F間結
合が強いために、耐酸化性に優れている。そのため、こ
れを固体高分子型燃料電池用の電解質膜として用いる
と、過酸化物ラジカルによる酸化反応が起きにくくな
り、耐久性の高い固体高分子型燃料電池を得ることがで
きる。
【0030】但し、強酸基のイオン交換容量、もしくは
前駆体の官能基量は、0.2〜5ミリ当量/gの範囲に
あることが必要である。イオン交換容量もしくは官能基
量が0.2ミリ当量/g未満である場合には、膜抵抗の
低い電解質薄膜が得られないためである。また、イオン
交換容量もしくは官能基量が5ミリ当量/gを超える
と、膜が液状化もしくはゲル化し、膜強度の高い電解質
膜が得られないためである。
【0031】また、膜強度8N以上、膜抵抗0.07Ω
cm以下の高強度薄膜電解質は、上述したようなイオ
ン交換容量もしくは官能基量を有する高分子電解質材料
からなる厚さ1000〜5μmの電解質膜を、ガラス転
移温度近傍から融点以下の温度において、50μm以下
の膜厚となるように延伸処理することにより容易に得る
ことができる。
【0032】延伸処理により膜強度の高い薄膜電解質が
得られるのは、分子鎖が引き延ばされて高度に配向する
と共に、結晶性も高まるためと考えられる。また、延伸
処理により、膜抵抗の小さい薄膜電解質が得られるの
は、電解質膜が薄膜化されるためである。これにより、
高強度と低膜抵抗を同時に満足するプロトン伝導性の高
強度薄膜電解質を安価に得ることが可能となる。
【0033】なお、電解質膜の延伸方法については、特
に限定されるものではなく、1軸の延伸処理でも良く、
あるいは2軸以上の多軸延伸処理でも良いが、X軸方
向、及びX軸と直角なY軸方向に延伸する2軸延伸処理
が特に望ましい。2軸延伸処理によれば、強度の異方性
が少ない高強度薄膜電解質が得られ、しかも連続製造プ
ロセスに適合しやすいので、高強度薄膜電解質を安価に
製造できるという利点がある。
【0034】また、延伸倍率は、延伸処理前の電解質膜
の膜厚、高強度薄膜電解質に要求される特性等に応じ
て、適宜選択すればよい。また、延伸後、治具に固定し
た状態、あるいはフリーの状態で熱処理してもかまわな
い。熱処理条件も要求特性に応じて適宜選択すれば良
い。
【0035】(実施例1)パーフルオロ系スルホン酸モ
ノマと四フッ化エチレンの市販の共重合体膜(デュポン
社製ナフィオン膜112、イオン交換容量0.91ミリ
当量/g、膜厚59μm)を,延伸温度120、14
0、160、及び180℃で,柴山科学器械製作所
(株)製の2軸延伸処理装置を用いて2軸(X軸とそれ
と直角のY軸方向)延伸処理した。延伸倍率は,各軸と
も40%とした。得られた高強度薄膜電解質の膜厚は、
それぞれ、25、28、30、及び32μmであった。
【0036】得られた各高強度薄膜電解質から、膜幅1
cmのサンプルを切り出し、恒温恒湿槽付きの引張試験
機(島津製作所製オートグラフ AGS−D形)を用
い、温度25℃、相対湿度25%の条件下において引張
試験を行った。そして、歪10%から100%までの最
大引張荷重を測定し、これを膜強度とした。また、得ら
れた各高強度薄膜電解質について、水中、水温25℃の
条件下において、二端子交流法(10kHz)により電
気抵抗を測定し、これを膜抵抗とした。
【0037】さらに、得られた高強度薄膜電解質に白金
担持カーボン(60%Pt/C(バルカン))と電解質
(ナフィオン溶液)とを塗布したカーボンクロス(E−
TEK社製)からなる電極(0.6mgPt/cm
を重ね合わせ、120℃(昇温3分、保持10分)、5
0kg/cmの条件下でホットプレスを行い、電極接
合体を作製した。得られた電極接合体について、リーク
試験及び電池評価試験を行った。
【0038】なお、リーク試験は、得られた電極接合体
を用いてセルを作製し、セルの片側にのみ圧力をかけ、
圧力メータの指示値の変動量からリークの有無を判断し
た。そして、膜のリーク試験をおこなった時に、短時間
で圧力メータの指示値が急減した場合は,膜に孔があい
て破壊したとして「破壊あり」と評価し、圧力メータの
指示値に変動がなかった場合は「破壊なし」と評価し
た。
【0039】また,電池評価試験は、アノード条件を
「水素、加湿温度=85℃、圧力=1.5atm、水素
過剰率2.0」とし、カソード条件を「空気、無加湿、
圧力=1.5atm、空気過剰率=1.5、セル温度=
80℃」として実際に発電(電流密度1.0A/c
)を行い、15分間、発電電圧が高い状態で安定に
維持されている場合を「安定」と評価し、電圧が途中で
低下もしくは変動し、安定して発電できなくなった場合
を「不安定」と評価した。
【0040】(比較例1)電解質膜として膜厚59μm
のナフィオン112を用い、未延伸の状態で、膜強度及
び膜抵抗を測定した。また、電解質膜として未延伸のナ
フィオン112をそのまま用いて電極接合体を作製し、
リーク試験及び電池評価試験を行った。なお、測定条
件、電極接合体の作製条件、及び評価試験条件は、実施
例1と同一とした。
【0041】(比較例2)膜厚が28μmである以外は
ナフィオン112と同一の特性を有するナフィオン11
1を電解質膜として用い、未延伸の状態で、膜強度及び
膜抵抗を測定した。また、電解質膜として未延伸のナフ
ィオン111をそのまま用いて電極接合体を作製し、リ
ーク試験及び電池評価を行った。なお、測定条件、電極
接合体の作製条件、及び評価試験条件は、実施例1と同
一とした。
【0042】(比較例3)四フッ化エチレン膜を延伸処
理することにより、四フッ化エチレンからなる多孔質膜
を作製した。次に、この多孔質膜に、パーフルオロスル
ホン酸を溶媒に溶解させた電解質溶液を含浸させ、溶媒
を除去することにより、パーフルオロスルホン酸を多孔
質フッ素樹脂で補強した厚さ23μmの電解質膜(以
下、これを「補強膜」という)を得た。
【0043】得られた補強膜について、未延伸の状態
で、膜強度及び膜抵抗を測定した。また、未延伸の補強
膜をそのまま用いて電極接合体を作製し、リーク試験及
び電池評価を行った。なお、測定条件、電極接合体の作
製条件、及び評価試験条件は、実施例1と同一とした。
【0044】実施例1及び比較例1〜3で得られた各電
解質膜の膜強度、及び膜抵抗の測定結果を図1に示す。
また、実施例1及び比較例1〜3で得られた電極接合体
のリーク試験結果及び電池評価試験結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】実施例1で得られた高強度薄膜電解質は、
膜厚が30μm前後と薄いにもかかわらず、いずれも8
N以上の充分な強度を有していた。そのため、電極接合
体作製時に膜が壊れることがなく,リークが発生するよ
うなことはなかった。また、実施例1で得られた高強度
薄膜電解質は、いずれも0.07Ωcm以下の低い膜
抵抗を示した。膜厚の薄さと低膜抵抗のため、電池とし
て評価したときにおいても,空気利用率の高い(空気過
剰率の低い)条件で安定した発電性能を示した。
【0047】一方、比較例1で用いた膜厚59μmの未
延伸のナフィオン112は、膜強度が約7Nではあった
が、膜厚が厚いことにより、電極接合時に膜が壊れるこ
とはなかった。また、膜抵抗も約0.07Ωcmであ
り、固体高分子型燃料電池用の電解質膜としては十分な
値であった。しかしながら、空気利用率の高い条件では
安定した電池性能が得られなかった。これは膜厚が50
μm以上と厚いため、アノード側への水の逆拡散がおこ
りにくく、水がカソード側で結露してフラッディングを
起こしたためではないかと考えられる。
【0048】また、比較例2で用いた未延伸のナフィオ
ン111は、膜厚がナフィオン112の半分であるため
に、膜抵抗は0.05Ωcmの低い値を示した。その
ため、空気利用率の高い条件下においても、安定した電
池性能を示した。しかしながら、膜強度は4.5Nまで
低下しており、また、電極接合体を作製した後のリーク
試験において、一部の膜にガスもれが発生する場合があ
った。これは、膜強度が不足しているため、電極との接
合体作製時に膜が破壊し、ピンホールが生成したものと
考えられる。
【0049】さらに、比較例3で作製した多孔性フッ素
樹脂による補強膜は,プロトン伝導性を有しない四フッ
化エチレン膜を含んでいるために、その膜抵抗は0.0
7Ωcmを若干超えたが、膜厚が23μmと薄いの
で、空気利用率の高い条件下においても、安定した電池
性能を示した。しかしながら、膜強度が約7Nと若干低
いため、極一部の膜にリークが発生する場合があり,電
極接合体の歩留まりの点ではまだ不十分であった。
【0050】以上、本発明の実施の形態について詳細に
説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しないで種々の改変
が可能である。
【0051】例えば、上記実施の形態では、電解質膜と
してパーフルオロスルホン酸膜を用いた例について説明
したが、電解質膜として他の高分子電解質、例えば、エ
チレン−テトラフルオロエチレン共重合体やポリテトラ
フルオロエチレンなどのフッ素ポリマーにスチレンやト
リフルオロエチレンなどの他のモノマーをグラフト重合
させた種々のグラフト共重合体からなる膜をスルホン化
した膜、ポリスルホンスルホン酸膜やポリエーテルケト
ンスルホン酸膜などを用いても良く、これにより上記実
施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】また、上記実施の形態では、本発明に係る
高強度薄膜電解質を固体高分子型燃料電池の電解質膜と
して応用した例について説明したが、本発明に係る高強
度薄膜電解質の用途は、これに限定されるものではな
く、酸素濃縮器、ガスセンサ、湿度センサに用いられる
電解質膜、あるいは、水電解、ハロゲン化水素酸電解、
食塩電解用の電解質膜としても使用できる。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明に係る高強度薄膜電
解質は、所定のイオン交換容量もしくは官能基量を有す
るプロトン伝導性の高分子電解質膜を延伸処理すること
により得られるものであるので、膜厚が薄いにもかかわ
らず、高強度と低膜抵抗を同時に満足させることができ
るという効果がある。また、高分子電解質膜を延伸処理
するだけでよいので、所望の特性を有する高強度薄膜電
解質を安価に製造することができるという効果がある。
【0054】そのため、これを例えば、固体高分子型燃
料電池の電解質膜として用いれば、電解質膜の水管理が
容易な電極接合体を高い歩留りで製造することができる
と共に、高価な高分子電解質膜の電池当たりの使用量が
少なくなり、これにより発電効率の高い燃料電池を低コ
ストで製造することが可能となるものであり、産業上そ
の効果の極めて大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分子電解質膜の強度と膜抵抗の関係を示す図
である。
【図2】固体高分子型燃料電池の概略構成図である。
【符号の説明】
10 固体高分子型燃料電池 12 固体高分子電解質膜(電解質膜) 14 電極(燃料極) 16 電極(空気極) 14a、16a 触媒層 14b、16b 拡散層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 拓未 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 森本 友 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐藤 紀夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜厚50μm以下、膜強度8N以上、膜
    抵抗0.07Ωcm 以下であるプロトン伝導性の高強
    度薄膜電解質。
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