JPH1135036A - 開缶性に優れた金属板製易開缶蓋及びその製造方法 - Google Patents

開缶性に優れた金属板製易開缶蓋及びその製造方法

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JPH1135036A
JPH1135036A JP18989597A JP18989597A JPH1135036A JP H1135036 A JPH1135036 A JP H1135036A JP 18989597 A JP18989597 A JP 18989597A JP 18989597 A JP18989597 A JP 18989597A JP H1135036 A JPH1135036 A JP H1135036A
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Hiroshi Nishida
浩 西田
Teruaki Isaki
輝明 伊崎
Hidekuni Murakami
英邦 村上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂フイルムを金属板にラミネートして得ら
れる素材を使用して、尖鋭刃を使用しない押圧加工をし
た後、押戻し成形を行い、開口部の金属板が破断された
構造を有する金属板製易開缶蓋及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 開口片縁部を構成する断面形状がS字形
状である切断案内溝の、開口片縁部全長の一部もしくは
全部において、前記切断案内溝の前記S字形状の少なく
とも一方の頂点が破断された構造であることを特徴とす
る開缶性に優れた金属板製易開缶蓋およびその製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板やアルミニウ
ム板などの金属板、あるいはこれらの金属板に錫メッキ
やクロメート皮膜や塗装などの表面処理皮膜と樹脂ラミ
ネートを施した表面処理金属板に、開缶を容易にする開
口案内溝を設けた易開缶性蓋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】飲料缶、一般食缶などに使用される易開
缶性蓋(イージーオープンエンド)は、塗装されたアル
ミニウム板あるいは鋼板を素材とし、基本蓋形状に打抜
き後平らな下型にのせ、先尖断面のスコアー加工刃を開
口輪郭形状に突設した上型を押圧して、該素材に断面形
状がV字形状の溝を開口形状に形成し、図4に示すよう
に開口案内溝を形成していた。また、一方で、特開平6
−115548号公報、特開平6−115546号公
報、特開平6−122438号公報に提案されているよ
うに、上下金型の肩半径にて金属板を押圧加工すること
によって板を薄肉化し、その後さらに押戻し加工を施す
ことでV字形の腰折部を形成して開口案内溝とする製造
技術が開発された。
【0003】ラミネート金属板や塗装金属板に先尖形状
のスコア加工刃を用いてスコア加工を施すと、樹脂被膜
が疵付きあるいは破断され金属面が露出する、あるいは
特に金属板に鋼板を使用した場合には先尖形状のスコア
加工刃の寿命等の問題が生じる。このため、後者の押圧
加工及び押戻し加工が開発された。ところがこの押圧加
工及び押戻し加工では開缶性が実用上不安定である。
【0004】また 押しボタン型易開缶蓋は、塗装ある
いは熱可塑性樹脂積層鋼板を素材とし、基本的な蓋形状
に打抜き後、開缶時に開口片が本体側に固着されるよう
に一部切断しない部分を残し、開口部分が剪断加工され
る。このとき、開口片は開口部よりわずかに径が大きく
なるように、かつ缶内面側に切り出される。開口片の径
が開口部より大きく、かつ缶内面側にあることによっ
て、缶内圧力によって、開缶しないようにするためであ
る。この様な開口部を大小2個成形する。その後、切断
された開口部と開口片は、密閉性、内容物に対する耐食
性の確保及び外面錆の発生防止のため、内面側は熱可塑
性樹脂によるシールによって開口片と開口部の接着補修
が、また、外面側は補修塗装が必要とされる。開缶時
は、小さな力で押すことにより開缶できる小径の開口部
を先に開缶した後、大径の開口部を開口させる。内容物
の流し出しには大径の開口部を利用し、小径の開口部は
空気穴として利用される。押しボタン型易開缶蓋の場合
にも、剪断加工に伴う工具寿命の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】実用化されている易開
缶蓋の開口案内溝の成形は、先鋭断面のスコア加工刃を
使用している。また、押しボタン型においても、開口片
の切断は鋭角な剪断刃を使用しており、工具寿命の点に
問題がある。また、リサイクルに関して、金属缶におい
ても、缶胴と缶蓋が同一素材より形成された、いわゆ
る”モノメタル缶”がリサイクルに適した商品といえる
が、これに対して、現在の易開缶蓋は殆どがアルミニウ
ム製である。一方、缶胴および易開缶蓋を除く缶蓋は殆
どが鋼板製である。このため、開缶性に優れ、耐食性の
優れた、鋼板製易開缶蓋を、生産性良く製造可能な方策
の出現が熱望されている所である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、 (1)開口片縁部を構成する断面形状がS字形状である
切断案内溝の、開口片縁部全長の一部もしくは全部にお
いて、前記切断案内溝の前記S字形状の少なくとも一方
の頂点が破断された構造であること特徴とする開缶性に
優れた金属板製易開缶蓋。 (2)少なくとも缶内面側の金属板表面上に樹脂皮膜を
有し、開口片縁部を構成する断面形状がS字形状である
切断案内溝の、開口片縁部全長の一部もしくは全部にお
いて、前記切断案内溝の前記S字形状の少なくとも一方
の頂点が破断された構造であること特徴とする開缶性に
優れた金属板製易開缶蓋。
【0007】(3)金属板を、開口片縁部を構成する切
断案内溝形成用上下金型の肩部にて押圧加工した後、押
戻し成形を行い、切断案内溝の断面形状をS字形状とす
るとともに、前記切断案内溝の開口片縁部全長の一部も
しくは全部において前記S字形状の少なくとも一方の頂
点を破断すること特徴とする開缶性に優れた金属板製易
開缶蓋の製造方法。 (4)少なくとも缶内面に相当する金属板表面上に樹脂
皮膜を有する金属板を、開口片縁部を構成する切断案内
溝形成用上下金型の肩部にて押圧加工した後、押戻し成
形を行い、切断案内溝の断面形状をS字形状とするとと
もに前記切断案内溝の開口片縁部全長の一部もしくは全
部において前記S字形状の少なくとも一方の頂点を破断
すること特徴とする開缶性に優れた金属板製易開缶蓋の
製造方法。
【0008】(5)樹脂皮膜が熱可塑性飽和ポリエステ
ル系樹脂で厚みが10〜100μであることを特徴とす
る前記(2)または(4)に記載の開缶性に優れた金属
板製易開缶蓋またはその製造方法。 (6)樹脂皮膜が熱可塑性飽和ポリエステル系樹脂で厚
み10〜100μ、破断延び150%以上であることを
特徴とする前記(2)または(4)に記載の開缶性に優
れた金属板製易開缶蓋またはその製造方法。
【0009】(7)缶外面に相当する金属板表面上に厚
さ10〜100μのポリアミド樹脂皮膜を有することを
特徴とする前記(2)、(4)、(5)または(6)に
記載の開缶性に優れた金属板製易開缶蓋またはその製造
方法。 (8)切断案内溝のS字形状の少なくとも一方の頂点が
破断された部分が、開口片縁部全長の40%以下の長さ
であることを特徴とする前記(1)〜(7)に記載の開
缶性に優れた金属板製易開缶蓋またはその製造方法。
【0010】(9)易開缶蓋が、取っ手付きで缶蓋の一
部または全部を缶本体と分離し開缶する構造、取っ手付
きで缶蓋の一部または全部を缶体に残し開缶する構造の
いずれかであることを特徴とする前記(1)〜(8)に
記載の開缶性に優れた金属板製易開缶蓋またはその製造
方法。 (10)易開缶蓋が、取っ手なしで缶蓋の1か所または
2か所以上に設けた開口片を、その開口片の一部を缶本
体に残し、または缶本体と分離し開缶する構造であるこ
とを特徴とする前記(1)〜(9)に記載の開缶性に優
れた金属板製易開缶蓋またはその製造方法。 (11)金属板が鋼板、表面処理鋼板、アルミニウム
板、アルミニウム合金板のいずれかであることを特徴と
する前記(1)〜(10)に記載の開缶性に優れた金属
板製易開缶蓋またはその製造方法にある。
【0011】以下に本発明を詳細に説明する。先ず、加
工方法及び形状について説明する。開口部を形成するに
あたり、従来技術による尖鋭刃の押圧方式或いは剪断加
工では、尖鋭刃あるいは剪断刃の寿命問題から好ましく
ない。そこで、図1に示すように、切断案内溝3を形成
する加工方法として、開口片2の形状寸法にほぼ対応す
る位置に凸の滑らかな曲面を有する肩部分を有する上下
金型を用い、金属板を押圧加工成形する。なお、図1
(A)はステイオンタブ型の例であり、図1(B)はフ
ルオープン型の場合を示し、また、図1(C)はタブ無
し型の場合である。
【0012】図2に示すようになだらかに板厚変化した
薄肉部を形成した後、押戻し加工を行い、図3(A)及
び図3(B)に示すように押圧加工成形部分をS字形状
に加工する。この押戻し加工で薄肉化された部分の金属
板を破断する。開口部の金属板を破断した構造とした理
由は開缶性の確保のためである。特開平6−11554
8号公報、特開平6−115546号公報および特開平
6−122438号公報に提案される構造では加工工具
の寿命延長のため、加工部がなだらかな形状をしている
ため、応力集中が起こり難いため、最初の破断が起こり
にくい。内圧缶の場合、耐圧強度が必要とされるため非
内圧缶に比べて厚みの厚い金属板が使用される。このた
め特に鋼板を適用した場合に顕著に開缶性が低下する。
【0013】開缶性が低下している理由は、最初の破断
が起こりにくいことにある。最初の破断が起こると、破
断の伝播により開缶が進行する。予め開口部の金属板を
破断した構造とし、その破断する場所は最初の破断が起
こる場所とする必要がある。易開缶蓋の落下強度の確保
からは、破断する長さは開口片の長さの40%以下にす
ることが望ましい。さらに、好ましくは20%以下にす
ることが望ましい。即ち、破断する長さは開口片の長さ
の40%超では、落下強度が低下し、缶を落とした弾み
で開口部から内容物がこぼれることになるためである。
また、破断長さが長いほど、補修塗装を行なう場合の塗
装面積も広くなり、塗料量の増量・作業性の低下を招
く。
【0014】押圧加工成形後の押戻し加工で金属板を破
断するに当たっては、破断すべき部分の板厚を押圧加工
成形時に予め薄くしておくことが簡便な方法である。さ
らに、破断すべき部分の板厚のみを押圧加工成形時に薄
くすることは、押圧加工成形金型の形状を調整すること
で行なうことが簡便な方法である。これにより破断長さ
を制御することが可能である。押戻加工され破断されて
いない部分の金属板の厚みは、開缶性の確保と落下強度
の確保の両者から、即ち、金属板の厚みが厚いと開缶性
が低下し、薄いと落下強度が低下することから、鋼板の
場合には30〜120μm、アルミニウム板の場合に
は、50〜150μmの範囲とすることが望ましい。
【0015】破断部の補修塗装に関してはポリエステル
系、アクリル系、フェノール系等の公知の塗料を用いて
行なうことが可能である。これらの一連の加工工程にお
いて、本発明の方法によれば、互いに凸の滑らかな曲面
を有する肩部分による押出しあるいは押戻し等のプレス
加工を基本とした加工であるため、尖鋭刃の押圧方式に
見られる工具寿命の問題はほとんど無く、優れた生産性
が保障され、易開缶蓋が得られる。
【0016】本発明に使用される鋼板は、通常、板厚t
O :0.080〜0.280mmの範囲にあり、硬度
(HR30T)46〜68、伸び:10〜60%程度の機械
的性質を有するものが使用される。この鋼板の表面に、
Sn,Cr,Ni,Al,Znの1種または2種以上の
金属めっきを行い、クロメート処理した鋼板が望まし
い。具体的に用いられる鋼板としては、付着量0.5〜
3.0g/m2 の錫めっき後化成処理を施した錫めっき
鋼板、付着量0.3〜2.0g/m2 のニッケルめっき
後化成処理を施したニッケルめっき鋼板、Sn及びNi
付着量として各々0.5〜2.0g/m2 、0.01〜
0.5g/m2 をNi,Snの順にめっき後化成処理を
施したSn/Niめっき鋼板、金属Cr付着量50〜2
00mg/m 2 、酸化Cr5〜30mg/m2 (クロム
換算)の通常TFS(Tin Free Steel)
と呼ばれているクロム・クロメート処理鋼板などがあ
る。
【0017】また、本発明に使用されるアルミニウム板
は、通常、板厚tO :0.18〜0.32mmの範囲に
ある。また、合金組成としては、5052,5082,
5182,5352,5349,5017系であり、調
質はH19が望ましい。このアルミニウム板にクロメー
ト処理、ジルコメート処理あるいはリン酸−クロム酸系
の化成処理を施した表面処理金属板も使用することがで
きる。
【0018】上述の金属板として樹脂積層板を使用する
場合には少なくとも缶内面側の積層樹脂は、厚み10〜
100μ飽和ポリエステル系樹脂皮膜であることが望ま
しい。開口部の金属板を破断した部分は耐食性の面から
の必要性に応じて補修塗装を行なうことが望ましい。破
断していない部分については、塗料コストあるいは作業
性の面から補修塗装を省略すべきである。そのために
は、樹脂皮膜は、押圧成形加工時に、密着性よく素地に
追随し皮膜自体も優れた加工性を有することにより、少
なくとも金属板が破断していない部分においては加工後
も素地を完全に被覆し、補修塗装を最小限に留めるため
の重要なものとなる。
【0019】本発明での飽和ポリエステル系樹脂とは、
ジカルボン酸とジオールの縮重合で得られる線状熱可塑
性ポリエステルであり、ポリエチレンテレフタレートで
代表されるものである。ジカルボン酸成分としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セ
バチン酸、アゼライン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸などの単独または混合物であ
り、ジオール成分としては、エチレングリコール、ブタ
ンジオール、デカンジオール、ヘキサンジオール、シク
ロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの単
独あるいは混合物である。2種以上のジカルボン酸成分
やジオール成分による共重合体やジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールなどの他のモノマーやポリ
マーとの共重合体であっても良い。
【0020】さらに、本発明で使用される金属板樹脂皮
膜に、必要に応じ、可塑剤・酸化防止剤・熱安定剤・無
機粒子・顔料・有機滑剤などの添加剤を配合することが
行われる。また、易開缶蓋を缶本体へ巻締める場合に、
樹脂皮膜が削り取られ、作業性、外観上の問題となるこ
とがある。巻締性から外面の樹脂皮膜はポリアミド樹脂
が望ましい。本発明でのポリアミド樹脂とは、ナイロン
6、ナイロン12、ナイロン5、ナイロン11などの単
独あるいは混合物である。
【0021】本発明に用いるラミネート金属板の樹脂皮
膜の厚みは、内面、外面とも、10〜100μが望まし
い。前述の押圧加工によって金属板とともに樹脂皮膜も
薄く成形されることから、10μ未満では特に加工部で
の樹脂皮膜のバリアー性(耐食性、耐錆性)が確保され
ないためであり、100μ超では、樹脂皮膜のバリアー
性に対して効果が飽和し、経済的に不利を招くためであ
る。性能の安定性・経済性等を考慮した場合16〜60
μ範囲のものが特に有効である。
【0022】次に、樹脂皮膜の破断延び限定した理由に
ついて述べる。破断伸びの限定値以下では後述の押圧成
形あるいは押戻成形によって、金属板が破断されていな
いところでも多数の欠陥を生じるためである。樹脂積層
板の樹脂皮膜の破断伸びは150%以上が望ましい。破
断伸び値が低い場合には前述の押圧成形あるいは押戻成
形によって、金属板が破断されていないところでも多数
の欠陥を生じるためである。なお、積層樹脂皮膜の伸び
特性は、素地より樹脂皮膜を剥離し、JIS C231
8に準じた方法で測定される。
【0023】
【実施例】本発明の実施例を比較例と共に説明する。使
用した表面処理鋼板を表1に示す。表面処理鋼板上に積
層された樹脂フィルムの厚み・破断延びを表2に示す。
さらに、樹脂フィルムを被覆した金属板を上述した押出
しあるいは押戻し等のプレス加工を基本とした加工を行
い、さらに破断部のみを補修塗装行い、易開缶蓋を作成
した。作成した易開缶蓋のタイプ、加工後の最薄部の厚
み、断面形状(図3参照)及び評価結果を表2に示す。
使用したアルミニウム板を表3に示す。表面処理鋼板上
に積層された樹脂フィルムの厚み・破断延びを表4に示
す。さらに、樹脂フィルムを被覆した金属板を上述した
押出しあるいは押戻し等のプレス加工を基本とした加工
により易開缶蓋を作成した。作成した易開缶蓋のタイ
プ、加工後の最薄部の厚み、断面形状(図3参照)及び
評価結果を表4に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】図3は、切断案内線部分の断面形状を示し
たものであり、(A)及び(B)が本発明の実施例であ
り、(C)及び(D)は比較例である。(A)は缶内面
側のS字の頂点に破断部分を有するもの、(B)は缶外
内面側のS字の頂点に破断部分を有するものである。
(C)及び(D)は破断部分を有さないものである。評
価としては、皮膜の健全性、巻締性、開缶性及び落下強
度を調査した。なお、内面皮膜の健全性は通電テストで
評価した。外面の耐錆性は水道水浸漬試験により、実用
性の可否を目視観察により判断した。巻締性は易開缶蓋
を缶体に巻締めた時の、易開缶蓋の外面皮膜の毛羽立ち
の状態を目視で観察した。開缶性は、問題無く全開する
ことができるか否か、さらに、開缶力を測定して開缶性
の良否を判断した。落下強度は内容物を充填した易開缶
蓋付きの缶を作成し、60cmの高さから垂直に5回落
下させ、落下衝撃による易開缶蓋からの内容物の漏れの
状況をn数50で観察し、評価した。なお、◎、○、
△、×の評価は表5のように行った。
【0029】
【表5】
【0030】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明の易開缶性蓋
は、樹脂フィルムを金属板にラミネートして得られる素
材を使用して、尖鋭刃を使用しない押圧加工をした後、
押戻し成形を行い、開口部の金属板が破断された構造を
有する金属板製易開缶性蓋及びその製造方法であり、従
来技術の大きな問題であった加工用工具寿命の問題等を
全く皆無にすることが出来る。さらに、ステール製易開
缶蓋が実用化されれば、”モノメタル缶”化が可能にな
ることより、近年の地球環境問題に対応するリサイクル
に適した商品を市場に提供することが可能である。もと
より、鋼板そのものは経済性に優れた存在であり、缶胴
と缶蓋共に鋼板製とすることにより、経済性により優
れ、資源としての再利用を行いやすい商品となることが
期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により形成された易簡易性蓋の図、
【図2】押圧加工による切断案内溝の断面図、
【図3】本発明の押戻加工後の切断案内溝の断面図(破
断部、非破断部)、
【図4】従来の尖鋭刃の押圧方式による断面V字型の切
断案内溝である。
【符号の説明】
1 蓋本体 2 開口片 3 切断案内線 4 加工最薄部 5 押戻し加工の頂点 6 破断部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開口片縁部を構成する断面形状がS字形
    状である切断案内溝の、開口片縁部全長の一部もしくは
    全部において、前記切断案内溝の前記S字形状の少なく
    とも一方の頂点が破断された構造であること特徴とする
    開缶性に優れた金属板製易開缶蓋。
  2. 【請求項2】 少なくとも缶内面側の金属板表面上に樹
    脂皮膜を有し、開口片縁部を構成する断面形状がS字形
    状である切断案内溝の、開口片縁部全長の一部もしくは
    全部において、前記切断案内溝の前記S字形状の少なく
    とも一方の頂点が破断された構造であること特徴とする
    開缶性に優れた金属板製易開缶蓋。
  3. 【請求項3】 金属板を、開口片縁部を構成する切断案
    内溝形成用上下金型の肩部にて押圧加工した後、押戻し
    成形を行い、切断案内溝の断面形状をS字形状とすると
    ともに、前記切断案内溝の開口片縁部全長の一部もしく
    は全部において前記S字形状の少なくとも一方の頂点を
    破断すること特徴とする開缶性に優れた金属板製易開缶
    蓋の製造方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも缶内面に相当する金属板表面
    上に樹脂皮膜を有する金属板を、開口片縁部を構成する
    切断案内溝形成用上下金型の肩部にて押圧加工した後、
    押戻し成形を行い、切断案内溝の断面形状をS字形状と
    するとともに、前記切断案内溝の開口片縁部全長の一部
    もしくは全部において前記S字形状の少なくとも一方の
    頂点を破断すること特徴とする開缶性に優れた金属板製
    易開缶蓋の製造方法。
  5. 【請求項5】 樹脂皮膜が熱可塑性飽和ポリエステル系
    樹脂で厚みが10〜100μであることを特徴とする請
    求項2または請求項4に記載の開缶性に優れた金属板製
    易開缶蓋またはその製造方法。
  6. 【請求項6】 樹脂皮膜が熱可塑性飽和ポリエステル系
    樹脂で厚み10〜100μ、破断延び150%以上であ
    ることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の開
    缶性に優れた金属板製易開缶蓋またはその製造方法。
  7. 【請求項7】 缶外面に相当する金属板表面上に厚さ1
    0〜100μのポリアミド樹脂皮膜を有することを特徴
    とする請求項2、請求項4、請求項5または請求項6に
    記載の開缶性に優れた金属板製易開缶蓋またはその製造
    方法。
  8. 【請求項8】 切断案内溝のS字形状の少なくとも一方
    の頂点が破断された部分が、開口片縁部全長の40%以
    下の長さであることを特徴とする請求項1〜請求項7に
    記載の開缶性に優れた金属板製易開缶蓋またはその製造
    方法。
  9. 【請求項9】 易開缶蓋が、取っ手付きで缶蓋の一部ま
    たは全部を缶本体と分離し開缶する構造、取っ手付きで
    缶蓋の一部または全部を缶体に残し開缶する構造のいず
    れかであることを特徴とする請求項1〜請求項8に記載
    の開缶性に優れた金属板製易開缶蓋またはその製造方
    法。
  10. 【請求項10】 易開缶蓋が、取っ手なしで缶蓋の1か
    所または2か所以上に設けた開口片を、その開口片の一
    部を缶本体に残し、または缶本体と分離し開缶する構造
    であることを特徴とする請求項1〜請求項9に記載の開
    缶性に優れた金属板製易開缶蓋またはその製造方法。
  11. 【請求項11】 金属板が鋼板、表面処理鋼板、アルミ
    ニウム板、アルミニウム合金板のいずれかであることを
    特徴とする請求項1〜請求項10に記載の開缶性に優れ
    た金属板製易開缶蓋またはその製造方法。
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