JPH09240709A - 開缶性に優れた熱可塑性樹脂積層金属板製易開缶性蓋 - Google Patents

開缶性に優れた熱可塑性樹脂積層金属板製易開缶性蓋

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JPH09240709A
JPH09240709A JP9974396A JP9974396A JPH09240709A JP H09240709 A JPH09240709 A JP H09240709A JP 9974396 A JP9974396 A JP 9974396A JP 9974396 A JP9974396 A JP 9974396A JP H09240709 A JPH09240709 A JP H09240709A
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JP9974396A
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Hiroshi Nishida
浩 西田
Teruaki Isaki
輝明 伊崎
Hiroshi Ito
弘 伊東
Shinji Tanimoto
進治 谷本
Masaaki Yano
正明 矢野
Tetsuo Takeshita
哲郎 竹下
Koji Manabe
晃治 真鍋
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、特定された樹脂皮膜特性を有する
金属板を、押圧加工により切断案内溝を形成させ、内外
面の補修塗装の不要な、開缶性の優れた易開缶性蓋を得
ることを目的とする。 【解決手段】 少なくとも缶内面に相当する片面に特定
の厚さ、破断延びを有する飽和ポリエステル系樹脂皮膜
を有する金属板を開口片形状を構成する切断案内溝形成
用上下金型の肩部にて押圧加工した後、押戻し成形を行
い、加工最薄部が曲戻し加工の少なくともいずれか一方
の頂点となる断面形状を有し、かつ、加工最薄部が特定
の金属板厚みを有することを特徴とする開缶性に優れた
熱可塑性樹脂積層金属板製易開缶性蓋。また、さらに、
缶外面に相当する樹脂皮膜が厚さ10〜100μポリア
ミド樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂積層金属
板製易開缶性蓋であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板やアルミニウ
ム板などの金属板、あるいはこれらの金属板に錫メッキ
やクロメート皮膜や塗装などの表面処理皮膜と樹脂ラミ
ネートを施した表面処理金属板に、開缶を容易にする開
口案内溝を設けた易開缶性蓋の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】飲料缶、一般食缶などに使用される易開
缶性蓋(イージーオープンエンド)は、てこの原理を応
用した取っ手を付設したものと、取っ手が無く人間が指
の力で直接押し破り開缶するものの2つに大別できる。
取っ手を付設したものは、容器蓋の一部またはほぼ全部
の開口片を把手で引きちぎり、缶本体と分離するテアー
オフ方式と、缶本体に付着させて残すステイオンタブ方
式がある。両方式とも、塗装されたアルミニウム板ある
いは鋼板を素材とし、基本蓋形状に打抜き後平らな下型
にのせ、先尖断面のスコアー加工刃を開口輪郭形状に突
設した上型を押圧して、該素材に開口形状の開口案内溝
を形成していた。開缶性を容易にするためには開口案内
溝深さが加工前板厚の1/2〜2/3程度までに達する
スコア加工刃の押圧が必要であったが、開口案内溝の深
さが、浅過ぎる場合には開缶性不良、また深すぎる場合
には強度不足を呈し外部からの小さな衝撃で開缶する運
搬上の問題があった。
【0003】易開缶性蓋用素材は開缶性などの要求から
極薄手化の中で、スコア加工具も相当の精度が要求され
工具を著しく短寿命化する問題から特開昭55−704
34号公報や特開昭57−175034号公報のように
「開口片と周辺部との間に、薄肉の上向きの連片を形成
し、ついで開口片を押下げることにより、連片をその中
間部から腰折れさせて開口案内溝を形成する缶の引きち
ぎり式開口片の形成方法」の如き、工具寿命の延長対策
が講じられている。
【0004】また、従来の開口案内溝の加工によって、
有機皮膜層に欠陥が発生し、金属面が露出することから
内容物に対する耐食性の確保あるいは外面錆の発生防止
のため補修塗装を施して製品化に供されているが、その
補修塗装も本塗装作業と同様に煩雑な焼付工程を長時間
行われなければならず、しかも塗料中に含まれる多量の
溶剤が排出されるため、公害面から排出溶剤を特別な焼
却炉で焼却しなければならないという問題点を有してい
る。さらに、塗装焼付けにおける加熱、溶剤の焼却は二
酸化炭素を排出させるために、地球環境に負荷をかける
問題があった。
【0005】最近、特開平6−115548号公報,特
開平6−115546号公報,特開平6−122438
号公報に提案されるように上記の問題を解決すべく、補
修塗装しないことを目的にして、樹脂ラミネート金属板
を上下金型の肩半径にて押圧加工し、開口案内溝を形成
する易開缶性蓋の製造技術が開発されているが、開缶性
が不十分であるという問題点がある。また、取っ手無し
型は、押しボタン型に代表され、成形された開口片を人
が直接指で押すことによって、開口片の周辺部が押し破
られて開口部が作り出されるものである。
【0006】従来技術としての取っ手無し型の押しボタ
ン型易開缶蓋の代表例としては、塗装あるいは熱可塑性
樹脂積層鋼板を素材とし、基本的な蓋形状に打抜き後、
開缶時に開口片が本体側に固着されるように一部切断し
ない部分を残し、開口部分が切断される。このとき、開
口片は開口部よりわずかに径が大きくなるように、かつ
缶内面側に切り出される。開口片の径が開口部より大き
く、かつ缶内面側にあることによって、缶内圧力によっ
て、開缶しないようにするためである。この様な開口部
を大小2個成形する。
【0007】その後、切断された開口部と開口片は、密
閉性、内容物に対する耐食性の確保及び外面錆の発生防
止のため、内面側は熱可塑性樹脂によるシールによって
開口片と開口部の接着補修が、また、外面側は補修塗装
が必要とされる。開缶時は、小さな力で押すことにより
開缶できる小径の開口部を先に開缶した後、大径の開口
部を開口させる。内容物の流し出しには大径の開口部を
利用し、小径の開口部は空気穴として利用される。押し
ボタン型は、欧州で鋼板製のものが実用化されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、従来の
易開缶蓋は、開口案内溝を成形後に補修塗装の必要があ
る。さらに、従来の取っ手無し型の易開缶蓋は、製造途
中で一度、開口片と開口部を切断するため、シール接着
及び補修塗装を行う必要がある。塗装を行うことは、焼
付け工程が煩雑であるばかりでなく、焼付けのため長時
間の加熱が必要であり、焼付け工程中で塗料中に含まれ
る多量の溶剤が排出されるため、公害面から排出溶剤を
特別な焼却炉で焼却しなければならないという問題点を
有している。さらに、塗装焼付けにおける加熱、溶剤の
焼却は、二酸化炭素を排出させるために、地球環境上か
らも懸念がある。
【0009】また、リサイクルに関して、金属缶におい
ても、缶胴と缶蓋が同一素材より形成された、いわゆ
る”モノメタル缶”がリサイクルに適した商品といえる
が、これに対して、現在の易開缶蓋はほとんどがアルミ
ニウム製である。一方、缶胴および易開缶蓋を除く缶蓋
はほとんどが鋼板製である。このため、開缶性に優れ、
内外面の補修塗装不要な、耐食性の優れた、鋼板製易開
缶蓋を、生産性良く製造可能な方策の出現が熱望されて
いる所である。
【0010】上述した樹脂ラミネート金属板を上下金型
の肩半径にて押圧加工し、開口案内溝を形成する易開缶
蓋は上記課題の解決を狙ったものである。さらに、この
押圧成形によって得られる易開缶性蓋の開缶性改善を目
的に、特願平7−33248号に提案されるように押圧
加工部を押戻し加工によって開口案内溝の断面形状をS
字形状にすることが提案されているが、実用上、まだ安
定した開缶性に難点がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、 (1)少なくとも缶内面に相当する片面に厚さ10〜1
00μm、破断伸び150%以上の飽和ポリエステル系
樹脂皮膜を有する鋼板を、開口片形状を構成する切断案
内溝形成用上下金型の肩部にて押圧加工した後、押戻し
成形を行い、加工最薄部が曲戻し加工の少なくともいず
れか一方の頂点となる断面形状を有し、かつ、加工最薄
部の鋼板厚みが15〜105μmであることを特徴とす
る開缶性に優れた熱可塑性樹脂積層金属板製易開缶性
蓋。
【0012】(2)少なくとも缶内面に相当する片面に
厚さ10〜100μm、破断伸び100%以上の飽和ポ
リエステル系樹脂皮膜を有するアルミニウム板を、開口
片形状を構成する切断案内溝形成用上下金型の肩部にて
押圧加工した後、押戻し成形を行い、加工最薄部が曲戻
し加工の少なくともいずれか一方の頂点となる断面形状
を有し、かつ、加工最薄部のアルミニウム板厚みが40
〜200μmであることを特徴とする開缶性に優れた熱
可塑性樹脂積層金属板製易開缶性蓋。
【0013】(3)缶外面に相当する樹脂被膜が厚さ1
0〜100μmのポリアミド樹脂であることを特徴とす
る前記(1)又は(2)記載の開缶性に優れた熱可塑性
樹脂積層金属板製易開缶性蓋。 (4)易開缶性蓋が、取っ手付きで缶蓋の一部または全
部を缶本体と分離し開缶する方式、取っ手付きで缶蓋の
一部または全部を缶体に残し開缶する方式のいずれかで
あることを特徴とする前記(1),(2)又は(3)記
載の開缶性に優れた熱可塑性樹脂積層金属板製易開缶性
蓋。
【0014】(5)易開缶性蓋が、取っ手なしで缶蓋の
1か所または2か所以上に設けた開口片を、その開口片
の1部を缶本体に残し、または缶本体と分離し開缶する
方式であることを特徴とする前記(1),(2)又は
(3)記載の開缶性に優れた熱可塑性樹脂積層金属板製
易開缶性蓋である。さらに、本発明の特徴を述べると、
押圧加工部を押戻し加工して得られる開口案内溝の断面
形状をS字形状として、そのS字形状の少なくともいず
れか一方の頂点が加工最薄部となる形状であるところで
ある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される鋼板は、通常、板厚t0 :0.08
0〜0.260mmの範囲にあり、硬度(HR30T)46
〜68、伸び:10〜60%程度の機械的性質を有する
ものが使用される。この鋼板の表面に、Sn,Cr,N
i,Al,Znの1種または2種以上の金属のめっきを
行い、クロメート処理皮膜の上に、製蓋加工後の補修塗
装を不要にするために密着性・加工性・耐食性に優れる
樹脂皮膜が積層される。
【0016】具体的に用いられる鋼板としては、付着量
0.5〜3.0g/m2 の錫めっき後化成処理を施した
錫めっき鋼板、付着量0.3〜2.0g/m2 のニッケ
ルめっき後化成処理を施したニッケルめっき鋼板、Sn
及びNi付着量として各々0.5〜2.0g/m2
0.01〜0.5g/m2 をNi、Snの順にめっき後
化成処理を施したSn/Niめっき鋼板、金属Cr付着
量50〜200mg/m 2 、酸化Cr5〜30mg/m
2 (クロム換算)の通常TFS(Tin Free S
teel)と呼ばれているクロム・クロメート処理鋼板
などがある。
【0017】また、本発明に使用されるアルミニウム板
は、通常、板厚to:0.18〜0.32mmの範囲に
ある。また、合金組成としては、5052,5082,
5182,5352,5349,5017系であり、調
質はH19が使用される。このアルミニウム板にクロメ
ート処理、ジルコメート処理あるいはリン酸−クロム酸
系の化成処理を施した表面処理金属板も使用することが
できる。上述の金属板の少なくとも缶内面側の積層樹脂
は、厚み10〜100μ飽和ポリエステル系樹脂皮膜で
ある。この樹脂皮膜は、押圧成形による切断案内溝の加
工時に、密着性よく素地に追随し皮膜自体も優れた加工
性を有することにより、加工後も素地を完全に被覆して
おり、従来必要であった補修塗装を不要とする重要な存
在である。
【0018】本発明での飽和ポリエステル系樹脂とは、
ジカルボン酸とジオールの縮重合で得られる線状熱可塑
性ポリエステルであり、ポリエチレンテレフタレートで
代表されるものである。ジカルボン酸成分としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セ
バチン酸、アゼライン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸などの単独または混合物であ
り、ジオール成分としては、エチレングリコール、ブタ
ンジオール、デカンジオール、ヘキサンジオール、シク
ロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの単
独あるいは混合物である。2種以上のジカルボン酸成分
やジオール成分による共重合体やジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールなどの他のモノマーやポリ
マーとの共重合体であっても良い。
【0019】さらに、本発明で使用される金属板樹脂皮
膜に、必要に応じ、可塑剤・酸化防止剤・熱安定剤・無
機粒子・顔料・有機滑剤などの添加剤を配合することが
行われる。また、易開缶蓋を缶本体へ巻締める場合に、
樹脂皮膜が削り取られ、作業性、外観上の問題となるこ
とがある。巻締性から外面の樹脂皮膜はポリアミド樹脂
が望ましい。本発明でのポリアミド樹脂とは、ナイロン
6,ナイロン12,ナイロン5,ナイロン11などの単
独あるいは混合物である。
【0020】本発明に用いるラミネート金属板の樹脂皮
膜の厚みを10〜100μとした理由は、後述する押圧
加工によって金属板とともに樹脂皮膜も薄く成形される
ことから、10μ未満では特に加工部での樹脂皮膜のバ
リアー性(耐食性、耐錆性)が確保されないためであ
り、100μ超では、樹脂皮膜のバリアー性に対して効
果が飽和し、経済的に不利を招くためである。性能の安
定性・経済性等を考慮した場合16〜80μ範囲のもの
が特に有効である。
【0021】次に、樹脂皮膜の破断延びを限定した理由
について述べる。破断伸びの限定値以下では後述の押圧
成形あるいは押戻成形によって皮膜が破断し、多数の欠
陥を生じるためである。金属板が鋼板である場合、破断
伸び150%以上、アルミニウムである場合には、破断
伸び100%以上と異なる理由は、十分な開缶性を得る
ための押圧成形での加工量の差によるものである。すな
わち、鋼板の場合の方が十分な開缶性を得るために必要
な押圧成形での加工量が大きい。このため、欠陥を生じ
ることなく加工に追随するには、被膜に必要とされる破
断伸び値が鋼板の場合には大きくなる。なお、積層樹脂
被膜の伸び特性は、素地より樹脂被膜を剥離し、JIS
C2318に準じた方法で測定される。
【0022】次に、加工方法及び形状について説明す
る。開口部を形成するにあたり、従来技術による尖鋭刃
の押圧方式或いは剪断加工では、樹脂皮膜を破断させ成
形後の補修塗装を必要とするため好ましくない。金属板
及び樹脂皮膜を破断させることなく、切断案内溝3を形
成する加工方法として、開口片2の形状寸法にほぼ対応
する位置に凸の滑らかな曲面を有する肩部分を有する上
下金型を用い、上述の樹脂被覆された金属板を押圧加工
成形する。図3に示すように、なだらかに板厚変化した
薄肉部を形成した後、押戻し加工を行い、図4A及び図
4Bに示すように押圧加工成形部分をS字形状に加工
し、押圧加工で成形された最薄部4がS字の頂点5とな
るように押戻加工する。押戻加工後の加工最薄部4の鋼
板厚みを15〜105μmとするが、鋼板厚みの調整は
主として押圧加工によって調整できる。
【0023】取っ手無し型である押しボタン型の場合に
は、押圧加工に続く押戻加工で、開口片部を蓋外面側に
凸状ボタンになるように加工する。ここで、発明者等
は、最薄部4がS字の頂点5の位置に来ることが良好な
開缶性を得ることの重要なポイントであることを見出し
たものである。上述の形状とすることで、開缶性を改善
できる理由は以下のように考えている。これまでの検討
で、押圧加工押戻し加工によって形成されたS字形状の
開口案内溝を有する易開缶蓋の開缶の破断は、S字の頂
点部分を起点から発生していることを見出した。これ
は、開缶の応力が頂点部に集中するためと推定される。
従って、開缶応力が集中し、実際に破断の起点となる頂
点部を加工最薄部とすることにより開缶性が改善したも
のと推定される。
【0024】なお、ここで言うところの頂点について説
明する。図5に示すように押戻加工で形成された湾曲部
の最も深い点をA点,B点とする。ついで線分A−Bに
ついて、A点あるいはB点から線分A−Bの長さの30
%の位置をそれぞれA1,B1とする。このA1点を通
る線分A−Bの垂線をa1,このB1点を通る線分A−
Bの垂線をb1とする。垂線a1よりA点側あるいは、
垂線b1よりB点側の曲げ加工を受けた部分を頂点と呼
ぶ。
【0025】押戻加工後の加工最薄部4の金属板厚みを
限定した理由について述べる。金属板が鋼板の場合、1
5〜105μmとした理由は、15μm未満では、易開
缶蓋としての落下強度が確保されないため、実用上使用
できないためであり、105μm超では、最薄部4がS
字の頂点5となっても開缶性が確保出来ないためであ
る。取っ手付き型の代表である図2Aに示すようなステ
イオンタブ型やパーシャルのプルオフ型の場合には押戻
加工後の加工最薄部4の鋼板厚みを35〜65μmとす
るのが好ましい。
【0026】図2Bに示すようなプルオフ型のフルオー
プンエンドの場合には形状の面から開缶性が向上するこ
とから押戻加工後の加工最薄部4の鋼板厚みを40〜1
00μmとするのが好ましい。また、てこを利用する取
っ手付き型に比べ取っ手無し型の場合は開缶性の点から
押戻加工後の加工最薄部4の鋼板厚みを25〜50μm
とするのが好ましい。
【0027】金属板がアルミニウム板の場合も加工最薄
部4の金属板厚みを限定した理由は上述の鋼板と同じで
あり、アルミニウム板の場合40〜200μmとする。
取っ手付き型の代表である図2Aに示すようなステイオ
ンタブ型やパーシャルのプルオフ型の場合には押戻加工
後の加工最薄部4の鋼板厚みを75〜125μmとする
のが好ましい。図2Bに示すようなプルオフ型のフルオ
ープンエンドの場合には形状の面から開缶性が向上する
ことから押戻加工後の加工最薄部4の鋼板厚みを90〜
190μmとするのが好ましい。また、てこを利用する
取っ手付き型に比べ、取っ手無し型の場合は開缶性の点
から押戻加工後の加工最薄部4の鋼板厚みを30〜90
μmとするのが好ましい。
【0028】これらの一連の加工工程において、前記特
性を有する樹脂皮膜は素地と共に均一に伸ばされ、全く
加工欠陥が発生しないため、加工後の補修塗装の必要は
なく、良好な耐食性を保障することができる。また、本
発明の方法によれば、互いに凸の滑らかな曲面を有する
肩部分による押出しあるいは押戻し等のプレス加工を基
本とした加工であるため、尖鋭刃の押圧方式に見られる
工具寿命の問題は皆無であり、優れた生産性が保障さ
れ、易開缶蓋が得られる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)本発明の実施例を比較例と共に説明する。
使用した表面処理鋼板を表1に示す。表面処理鋼板上に
積層された樹脂フィルムの厚み・破断延びを表2及び表
3に示す。さらに、樹脂フィルムを被覆した金属板を上
述した押出しあるいは押戻し等のプレス加工を基本とし
た加工により易開缶蓋を作成した。作成した易開缶蓋の
タイプ、加工後の最薄部の厚み、断面形状(図3,図4
A,図4B,図6参照)及び評価結果を表2及び表3に
示す。使用したアルミニウム板を表4に示す。表面処理
鋼板上に積層された樹脂フィルムの厚み・破断延びを表
5に示す。さらに、樹脂フィルムを被覆した金属板を上
述した押出しあるいは押戻し等のプレス加工を基本とし
た加工により易開缶蓋を作成した。作成した易開缶蓋の
タイプ、加工後の最薄部の厚み、断面形状(図3,図4
A,図4B,図6参照)及び評価結果を表5に示す。
【0030】評価としては、皮膜の健全性、巻締性、開
缶性及び落下強度を調査した。なお、皮膜の健全性は通
電テストで評価した。巻締性は易開缶蓋を缶体に巻締め
た時の、易開缶蓋の外面皮膜の毛羽立ちの状態を目視で
観察した。開缶性は、問題無く全開することができるか
否か、さらに、開缶力を測定して開缶性の良否を判断し
た。落下強度は内容物を充填した易開缶蓋付きの缶を作
成し、60cmの高さから垂直に5回落下させ、落下衝
撃による易開缶蓋からの内容物の漏れの状況を観察し、
評価した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明の易開缶性蓋
は、樹脂フィルムを金属板にラミネートして得られる素
材を使用して、尖鋭刃を使用しない押圧加工を行い、次
いで最薄部を曲げ戻しの頂点となるように再加工を行っ
たものである。本発明の易開缶性蓋は、製造工程におい
て、一切塗装を行うこと無くして得られ、従来技術の大
きな問題であった加工用工具寿命の問題、耐食性面での
不安等を全く皆無にすることが出来る。
【0037】さらに、スチール製易開缶蓋が実用化され
れば、”モノメタル缶”化が可能になることより、近年
の地球環境問題に対応するリサイクルに適した商品を市
場に提供することが可能である。もとより、鋼板そのも
のは経済性に優れた存在であり、缶胴と缶蓋共に鋼板製
とすることにより、経済性により優れ、資源としての再
利用を行いやすい商品となることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の尖鋭刃の押圧方式による断面V字型の切
断案内溝、
【図2】本発明により形成された易開缶性蓋の図、
【図3】押圧加工による切断案内溝の断面図、
【図4】本発明の押戻加工後の切断案内溝の断面図、
【図5】本発明での押戻し加工の頂点の説明図、
【図6】比較例の押戻加工後の切断案内溝の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 蓋本体 2 開口片 3 切断案内線 4 加工最薄部 5 押戻し加工の頂点
フロントページの続き (72)発明者 谷本 進治 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 矢野 正明 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 竹下 哲郎 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 真鍋 晃治 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも缶内面に相当する片面に厚さ
    10〜100μm、破断伸び150%以上の飽和ポリエ
    ステル系樹脂皮膜を有する鋼板を、開口片形状を構成す
    る切断案内溝形成用上下金型の肩部にて押圧加工した
    後、押戻し成形を行い、加工最薄部が曲戻し加工の少な
    くともいずれか一方の頂点となる断面形状を有し、か
    つ、加工最薄部の鋼板厚みが15〜105μmであるこ
    とを特徴とする開缶性に優れた熱可塑性樹脂積層金属板
    製易開缶性蓋。
  2. 【請求項2】 少なくとも缶内面に相当する片面に厚さ
    10〜100μm、破断伸び100%以上の飽和ポリエ
    ステル系樹脂皮膜を有するアルミニウム板を、開口片形
    状を構成する切断案内溝形成用上下金型の肩部にて押圧
    加工した後、押戻し成形を行い、加工最薄部が曲戻し加
    工の少なくともいずれか一方の頂点となる断面形状を有
    し、かつ、加工最薄部のアルミニウム板厚みが40〜2
    00μmであることを特徴とする開缶性に優れた熱可塑
    性樹脂積層金属板製易開缶性蓋。
  3. 【請求項3】 缶外面に相当する樹脂被膜が厚さ10〜
    100μmのポリアミド樹脂であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の開缶性に優れた熱可塑性樹脂積層金
    属板製易開缶性蓋。
  4. 【請求項4】 易開缶性蓋が、取っ手付きで缶蓋の一部
    または全部を缶本体と分離し開缶する方式、取っ手付き
    で缶蓋の一部または全部を缶体に残し開缶する方式のい
    ずれかであることを特徴とする請求項1,2又は3記載
    の開缶性に優れた熱可塑性樹脂積層金属板製易開缶性
    蓋。
  5. 【請求項5】 易開缶性蓋が、取っ手なしで缶蓋の1か
    所または2か所以上に設けた開口片を、その開口片の1
    部を缶本体に残し、または缶本体と分離し開缶する方式
    であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の開缶
    性に優れた熱可塑性樹脂積層金属板製易開缶性蓋。
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