JPH11350154A - 耐候性に優れる表面処理鋼材 - Google Patents
耐候性に優れる表面処理鋼材Info
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- JPH11350154A JPH11350154A JP15409398A JP15409398A JPH11350154A JP H11350154 A JPH11350154 A JP H11350154A JP 15409398 A JP15409398 A JP 15409398A JP 15409398 A JP15409398 A JP 15409398A JP H11350154 A JPH11350154 A JP H11350154A
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Abstract
一かつ安定的に形成可能な耐候性に優れる表面処理鋼材
を提供する。 【解決手段】 α-FeOOHと樹脂とからなる単層の塗膜で
表面を覆われた鋼材である。α-FeOOHにはMoが含まれ
る。α-FeOOHにはさらにCr,Cu,P,Ni,V,Wから選
ばれる1種または2種以上が含まれる。前記塗膜は必要
に応じてその表面を樹脂被膜で覆われる。α-FeOOHの原
料としてはα-FeOOHゾルが好ましい。
Description
面処理鋼材に関する。
加することにより、大気中での耐食性を向上させること
ができる。これらの低合金鋼は耐候性鋼と呼ばれるが、
屋外において数年で対腐食保護性を有する錆(以下、安
定錆という)を形成し、この安定錆形成後には塗装等の
耐食処理作業が不要になる所謂メインテナンスフリー鋼
である。
数年かかるため、それまでの期間中に赤錆や黄錆等の浮
き錆や流れ錆を生じてしまい、外観的にも好ましくな
く、周囲の環境汚染にもなるという問題を残している。
この問題の解決手段として、例えば特開平1−142088号
公報には、鋼材を予めFeイオンと、P, Cu, Cr, Mnイオ
ンの1種または2種以上とをある量だけ含有する酸性水
溶液で処理して皮膜を形成させ、続いてリン酸塩皮膜を
形成させる耐候性鋼の表面処理方法が提案されている。
しかし、この方法は、リン酸塩皮膜形成に先立つ前処理
が複雑であり、しかも、この前処理を溶接部に施すこと
は容易でないため、建築構造物への適用が困難である。
酸塩皮膜を形成させた上で塗装を施すことが従来行われ
ているが、塗装により安定錆の形成が遅くなり、また塗
膜自体が劣化して外観を著しく損ねる等の問題がある。
また、特開平6−93467 号公報には、鋼表面がCr,Cu,
P,Niの1種または2種以上をある量以上含有するα-F
eOOHで覆われている耐候性に優れた鋼材が開示され、こ
の鋼材を得るための錆層形成方法として、一つには鋼材
表面あるいはその錆層に、Cr(III) イオンおよび/また
はCu(II)イオンをある量だけ含む水溶液あるいは該水溶
液とFe, P, Niイオンの1種または2種以上をある量だ
け含む水溶液との混合水溶液を塗布し、形成された錆層
にOH- を供給しpH7超の環境とする方法、また一つには
鋼材表面あるいはその錆層に、Cr(III) イオンおよび/
またはCu(II)イオンをある量だけ含む水溶液あるいは該
水溶液とFe, P, Niイオンの1種または2種以上をある
量だけ含む水溶液との混合水溶液にα-FeOOH粉末をある
量混合してなる溶液を塗布する方法が開示されている。
形成され、耐食性が不十分であることに加え、流れ錆や
点錆による外観不良が起こる問題があった。また、特開
平6−322549号公報には、自由な彩色が可能でかつ長期
の耐候性を有する鋼材として、下層にα-FeOOH被膜、上
層に有機樹脂被膜が被覆された表面処理鋼材が開示さ
れ、下層のα-FeOOH被膜形成方法の例として、(a) サン
ドブラスト→Cr,Cu 処理→アルカリ処理→水洗→乾燥、
および(b) 工業地帯での屋外暴露20年→ワイヤブラシケ
レン→水洗→温風乾燥、が示されている。
膜の密着性、およびα-FeOOH被膜と有機樹脂被膜の密着
性の少なくともいずれかが不安定であり、施工時または
施工後の暴露中に部分的な剥離や塗膜浮き上がりが発生
する場合があった。
に鑑み、本発明は、美観毀損や環境汚染を伴わず安定錆
層を均一かつ安定的に形成可能な耐候性に優れる表面処
理鋼材を提供することを目的とする。
を達成すべく鋭意考究・実験を重ねた結果、Moを添加し
たα-FeOOH溶液に樹脂を添加して鋼材表面に塗布するこ
とにより、該表面全域でほぼ均一なα-FeOOH層を形成す
ることができ、そのことによって耐候性および塗膜密着
性が向上し、さらにα-FeOOH溶液にMoを添加すると、耐
候性が飛躍的に向上するという知見を得るに至り、この
知見に基づきさらに検討を加えて本発明を完成した。
の塗膜で表面を覆われた耐候性に優れる表面処理鋼材で
ある。本発明では、α-FeOOH中にMoが含まれ、あるいは
さらに、α-FeOOHにCr,Cu,P,Ni,V,Wから選ばれ
る1種または2種以上が含まれることが好ましい。Moの
α-FeOOH内含有量は0.10wt%以上であることが好まし
い。また、Cr,Cu,P,Ni,V,Wから選ばれる1種ま
たは2種以上のα-FeOOH内合計含有量は0.10wt%以上で
あることが好ましい。
被膜で覆われていることが好ましい。また、本発明で
は、α-FeOOHの原料がα-FeOOHゾルであることが好まし
い。
定であれば、錆の相変態や溶解を伴う電気化学反応が抑
制される。さらに、化学的に安定な錆が物理的にも緻密
であれば割れや空隙等の構造的欠陥が生成しにくく、大
気中の酸素や水さらには塩素イオンなどの腐食物質の侵
入を防ぐことにもなり、結果として大気腐食環境を遮断
しやすくなり、浮き錆や流れ錆などの根本的原因である
Feイオンの流出を軽減することができる。
その表面が通常の大気腐食環境中で安定な最終化合物で
あるα-FeOOHと樹脂とからなる塗膜(人工錆層と称す
る)で覆われており、α-FeOOHの粒または結晶間の隙間
を樹脂が埋める構造をなし、かかる構造により、良好な
耐候性が備わると共に、鋼材地鉄との密着性に優れ、ま
た上層に塗装を施す場合には該上層塗膜との密着性にも
優れる。
材では、α-FeOOH錆中にMoが共析し、さらに優れた耐候
性が発揮される。Mo添加の効果については、Moがα-FeO
OHのFeと一部置き換わった形態になり、あるいは、単純
にα-FeOOHとMo系イオンが混在し腐食因子が浸透してき
た時にMoイオンにより安定した化合物が生成され該化合
物がα-FeOOH中に分散して、錆層を自然環境の変化に対
してより安定なものとすることが推察され、例えば、Mo
系イオンによるClイオンやSO4 イオンなどの腐食因子の
遮蔽(透過抑制)効果などによる鋼表面での腐食抑制効
果が考えられる。
%未満では耐候性改善効果が小さいため、0.10wt%以上
含有させることが好ましい。上限については、効果とコ
ストの兼ね合いから15wt%程度以下とするのがよい。ま
た、Moを含むα-FeOOH中に、第2添加元素(Cr,Cu,
P,Ni,V,W)の1種または2種以上が合計で0.10wt
%以上含まれると耐候性改善効果がさらに大きくなる。
これら第2添加元素には、錆中に共析して錆をさらに緻
密化し、構造的遮蔽効果を助長する作用があると考えら
れる。なお、効果とコストとの兼ね合いから第2添加元
素の含有量は15wt%程度以下とするのがよい。
満であると耐候性向上効果が小さくなり、一方、95超で
あると樹脂が不足して密着性改善効果が小さくなるた
め、人工錆層のα-FeOOH重量比は0.10〜95とするのが望
ましい。人工錆層に含まれる樹脂の種類は特に限定され
るものではなく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル
樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹
脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などを1
種あるいは2種以上組み合わせたものを充当できる。な
お、密着性およびα-FeOOH均一分散の面からは、ブチラ
ール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂
が好適である。
以下同じ)が1.0 μm未満であると、部分的に覆い残し
が生じる可能性が高くなり、場所によって耐候性に格差
が生じることが懸念されるため、人工錆層の膜厚は1.0
μm以上であることが望ましい。なお、表面凹凸による
不均一を勘案すれば、さらに好ましいのは3μm以上で
ある。他方、人工錆層は、その膜厚が厚ければ厚いほど
流れ錆抑制効果が大きいのであるが、コストとの兼ね合
いからその膜厚は50μm程度、より好ましくは30μm程
度以下とするのがよい。
eOOH粉末、より好ましくはα-FeOOHゾル(コロイドα-F
eOOH)をMoまたはMo+第2添加元素と共に水または有機
溶媒に加えて溶液とし、該溶液に樹脂を混ぜたものを刷
毛塗り、スプレー、コーター等により鋼材表面に塗布・
成膜する。ゾルの方が好ましいとしたのは、この方が粉
末よりも耐候性改善効果が大きいという実験事実に基づ
く。そうなる理由は、一つにはゾルの方が溶液中でより
均一に分散して成膜後の人工錆層中でも均一分散するた
めと考えられ、また一つには、ゾル自体が微細であって
成膜後の人工錆層が緻密化するためと考えられる。
もよいが、β-FeOOHやγ-FeOOH及びFe2O3 やFeO, Fe3O4
などの鉄化合物が不純物として含まれていてもよい。た
だし不純物の含有量は合計で30wt%未満であることが望
ましい。不純物含有量が30wt%以上では耐候性改善効果
が弱まる。また、前記人工錆層の表面は樹脂被膜(上層
膜)で覆われていることが好ましい。これにより、人工
錆層が上層膜で保護されて、流れ錆の発生がさらに抑制
される。本発明では人工錆層中に樹脂が含まれるので、
上層膜との密着性が従来よりも強固である。また、上層
膜をなす樹脂に顔料を添加し、自由に彩色して周囲の景
観に応じた色調の鋼材とすることができる。
ないが、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アル
キド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などを1種または
2種以上組合せて使用し、単層あるいは複層に成膜すれ
ばよい。なお、紫外線等で変色しにくいという面では、
アクリル樹脂、フッ素樹脂、ブチラール樹脂、シリコン
樹脂が好適である。
タン、カーボンブラック、チタンイエロー、フタロシア
ニングリーン、フタロシアニンブルーなどの着色顔料、
タルク、マイカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの
体質顔料、クロム酸亜鉛、酸化クロムなどの防錆顔料、
無公害の防錆顔料であるリン酸亜鉛、モリブデン酸亜
鉛、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミ
ニウムなどが使用できる。その他、チキソ剤、分散剤、
酸化防止剤等の慣用添加剤を加えることもできる。
に満たないと、流れ錆発生抑制効果が弱く、色彩効果も
弱いため、上層膜を設ける場合にはその膜厚を3μm以
上とするのが好ましい。なお、下地(人工錆層)の表面
凹凸による不均一を勘案すれば、より好ましいのは5μ
m以上である。また、上層膜厚は厚ければ厚いほど上記
効果が大きいが、効果とコストとの兼ね合いから50μm
程度以下、より好ましくは20μm程度以下とするのがよ
い。
×70mm×3mmの試験片を採取し、これら試験片に対し、
表面をショットブラストで清浄化し、残存油分をアルコ
ールで除去後、表2に本発明の実施例および比較例とし
て示した各種条件で表面処理を施して各種塗膜を形成
し、海岸地帯(飛来塩分量 0.2mg/dm2/day)にて150日
間の大気暴露試験を行い、錆発生状況(流れ錆発生状況
及び赤錆等発生による外観変化)観察ならびに腐食減量
測定により耐候性を調査した。また、塗膜の密着性につ
いては、塗膜形成後の試験片を50mm×20mmに剪断後その
非調査面側を研削して2mm厚のサンプルとし、このサン
プルに万力およびペンチで両端45度ねじり・ねじり戻し
試験を施した後、調査面(非研削面)にセロハンテープ
による剥離試験を行って調査した。
準に則って整理し、同表に示す。表2より、本発明要件
を備えた実施例では、流れ錆発生がなく、腐食減量も少
なく、塗膜密着性も良好で、総合評価がどれも3以上で
あり、うち、α-FeOOH含有層にMo量を10.00 wt%と最も
多く添加しかつPを5.00wt%と最も多く添加した実施例
4、ならびに人工錆層+上層膜の複層塗膜とした実施例
6〜8では総合評価が5に達した。これに対し本発明要
件のどれか1つでも欠く比較例1〜4では、総合評価が
2以下であった。
中で極めて長期にわたり十分な耐候性を持続し得る鋼材
が実現し、この鋼材を建築構造物に適用することで、メ
インテナンス省略あるいはメインテナンス回数削減が図
れるばかりか、この鋼材は塗膜密着性に優れるため、施
工中の塗装作業で発生しがちなタッチアップによる塗膜
剥離がなくなり、その良好な耐候性を鋼材全面で均質に
確保できるという優れた効果を奏する。
Claims (7)
- 【請求項1】 α-FeOOHと樹脂とからなる単層の塗膜で
表面を覆われた耐候性に優れる表面処理鋼材。 - 【請求項2】 α-FeOOH中にMoが含まれる請求項1記載
の鋼材。 - 【請求項3】 α-FeOOHにCr,Cu,P,Ni,V,Wから
選ばれる1種または2種以上が含まれる請求項2に記載
の鋼材。 - 【請求項4】 α-FeOOHと樹脂とからなる単層の塗膜で
表面を覆われ、α-FeOOH中にMoが0.10wt%以上含まれる
請求項2または3に記載の鋼材。 - 【請求項5】 α-FeOOHにCr,Cu,P,Ni,V,Wから
選ばれる1種または2種以上が合計で0.10wt%以上含ま
れる請求項3または4に記載の鋼材。 - 【請求項6】 前記塗膜の表面が樹脂被膜で覆われた請
求項1〜5のいずれかに記載の鋼材。 - 【請求項7】 α-FeOOHの原料がα-FeOOHゾルである請
求項1〜6のいずれかに記載の鋼材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15409398A JP3744205B2 (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 耐候性に優れる表面処理鋼材 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP15409398A JP3744205B2 (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 耐候性に優れる表面処理鋼材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11350154A true JPH11350154A (ja) | 1999-12-21 |
JP3744205B2 JP3744205B2 (ja) | 2006-02-08 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP15409398A Expired - Fee Related JP3744205B2 (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 耐候性に優れる表面処理鋼材 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3744205B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017002117A (ja) * | 2015-06-04 | 2017-01-05 | クスノキ化学株式会社 | 防錆下塗り塗料、および防錆下塗り塗料を用いた補修塗装施工方法 |
CN110093599A (zh) * | 2019-05-15 | 2019-08-06 | 北京创氪材料科技有限公司 | 促进耐候钢锈层形成的稳定剂及耐候钢锈层的制备方法 |
-
1998
- 1998-06-03 JP JP15409398A patent/JP3744205B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110093599A (zh) * | 2019-05-15 | 2019-08-06 | 北京创氪材料科技有限公司 | 促进耐候钢锈层形成的稳定剂及耐候钢锈层的制备方法 |
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JP3744205B2 (ja) | 2006-02-08 |
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