JPH11350096A - 表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 - Google Patents
表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法Info
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- JPH11350096A JPH11350096A JP15413298A JP15413298A JPH11350096A JP H11350096 A JPH11350096 A JP H11350096A JP 15413298 A JP15413298 A JP 15413298A JP 15413298 A JP15413298 A JP 15413298A JP H11350096 A JPH11350096 A JP H11350096A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 生産性を低下させることなく、かつ、既存の
製造設備に対して大規模な改造を必要とせずに、表面外
観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造する。 【解決手段】 メッキ槽内の溶融亜鉛浴に鋼板を連続的
に通板・浸漬して溶融メッキを行った後、前記鋼板を加
熱してメッキ層を合金化する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
の製造方法において、溶融亜鉛浴温度をT(℃)、下式
で定義される境界Al濃度をCzとした場合、溶融亜鉛浴温
度T(℃)を435〜500℃の範囲内にするとともに、浴中A
l濃度をCz±0.01wt%の範囲内に保持する。但し、Cz=-
0.0015*T+0.76(wt%)。ドロスがζ相とδ1相間の相変態
を繰り返す過程で微細化される。
製造設備に対して大規模な改造を必要とせずに、表面外
観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造する。 【解決手段】 メッキ槽内の溶融亜鉛浴に鋼板を連続的
に通板・浸漬して溶融メッキを行った後、前記鋼板を加
熱してメッキ層を合金化する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
の製造方法において、溶融亜鉛浴温度をT(℃)、下式
で定義される境界Al濃度をCzとした場合、溶融亜鉛浴温
度T(℃)を435〜500℃の範囲内にするとともに、浴中A
l濃度をCz±0.01wt%の範囲内に保持する。但し、Cz=-
0.0015*T+0.76(wt%)。ドロスがζ相とδ1相間の相変態
を繰り返す過程で微細化される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面外観に優れた
合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法に関するものであ
る。
合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛メッキ鋼板はプレス成形
性、耐食性、溶接性など種々の特性に優れているため
に、巾広く使用されている。最近では、合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板は、冷延鋼板や電気メッキ鋼板に代わり、自
動車車体の外板用途など、美麗な表面外観を必要とされ
る用途に使用されるようになった。
性、耐食性、溶接性など種々の特性に優れているため
に、巾広く使用されている。最近では、合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板は、冷延鋼板や電気メッキ鋼板に代わり、自
動車車体の外板用途など、美麗な表面外観を必要とされ
る用途に使用されるようになった。
【0003】しかしながら、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
は、冷延鋼板や電気メッキ鋼板と比較し、美麗な表面外
観を得ることが困難である。その一因として、溶融亜鉛
メッキ鋼板の製造ラインにおいて不可避的に発生するド
ロスと呼ばれる金属間化合物が付着することがある。
は、冷延鋼板や電気メッキ鋼板と比較し、美麗な表面外
観を得ることが困難である。その一因として、溶融亜鉛
メッキ鋼板の製造ラインにおいて不可避的に発生するド
ロスと呼ばれる金属間化合物が付着することがある。
【0004】通常、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造す
る場合、被メッキ鋼板をメッキ槽内の溶融亜鉛浴に浸漬
し、浴中のシンクロールによって方向転換させてメッキ
槽から引き上げ、ワイピング装置によって所定のメッキ
付着量に調整した後に、合金化処理を行う。このような
製造設備において、被メッキ鋼板や浴中機器から溶出し
たFeと、溶融亜鉛浴中のZnやAlとの化学反応によってFe
−Zn系および/またはFe−Al系の金属間化合物が生成す
ることが避けられない。通常、これらの浴中に生成した
金属間化合物をドロスと称している。
る場合、被メッキ鋼板をメッキ槽内の溶融亜鉛浴に浸漬
し、浴中のシンクロールによって方向転換させてメッキ
槽から引き上げ、ワイピング装置によって所定のメッキ
付着量に調整した後に、合金化処理を行う。このような
製造設備において、被メッキ鋼板や浴中機器から溶出し
たFeと、溶融亜鉛浴中のZnやAlとの化学反応によってFe
−Zn系および/またはFe−Al系の金属間化合物が生成す
ることが避けられない。通常、これらの浴中に生成した
金属間化合物をドロスと称している。
【0005】生成したドロスは、溶融亜鉛浴が静かな状
態であれば、溶融亜鉛との比重差によってメッキ槽底部
に沈降し堆積するか、もしくは浴面に浮上する。しかし
ながら、溶融亜鉛浴は被メッキ鋼板の通過やシンクロー
ルなどの浴中ロールの回転により常に撹拌されているの
で、一部のドロスは溶融亜鉛浴中を浮遊し被メッキ鋼板
に付着する。付着したドロスは、調質圧延時やプレス加
工時に押しつぶされ、ドロス欠陥と呼ばれる点状の欠陥
の原因となる。
態であれば、溶融亜鉛との比重差によってメッキ槽底部
に沈降し堆積するか、もしくは浴面に浮上する。しかし
ながら、溶融亜鉛浴は被メッキ鋼板の通過やシンクロー
ルなどの浴中ロールの回転により常に撹拌されているの
で、一部のドロスは溶融亜鉛浴中を浮遊し被メッキ鋼板
に付着する。付着したドロスは、調質圧延時やプレス加
工時に押しつぶされ、ドロス欠陥と呼ばれる点状の欠陥
の原因となる。
【0006】そこで、このようなドロス欠陥防止を目的
に、操業を停止することなく溶融亜鉛浴中からドロスを
除去する手段として、ドロスを含む溶融亜鉛浴をメッキ
槽から取り出してサブポットに送り、サブポット内で溶
融亜鉛浴を清浄化した後、メッキ槽に戻す技術が数多く
提案されている。
に、操業を停止することなく溶融亜鉛浴中からドロスを
除去する手段として、ドロスを含む溶融亜鉛浴をメッキ
槽から取り出してサブポットに送り、サブポット内で溶
融亜鉛浴を清浄化した後、メッキ槽に戻す技術が数多く
提案されている。
【0007】これらの従来技術の中で、例えば特開平5-
98405号公報では、より効率的にドロス除去を行う方法
として、溶融亜鉛浴中の球相当径50μm以上のドロスを
サブポット内で沈降分離した後にメッキ槽に戻し、除去
することが困難な球相当径50μm以下のドロスを鋼板に
付着させて除去し、合金化処理や調質圧延により消滅さ
せ無害化するする方法を提案している。
98405号公報では、より効率的にドロス除去を行う方法
として、溶融亜鉛浴中の球相当径50μm以上のドロスを
サブポット内で沈降分離した後にメッキ槽に戻し、除去
することが困難な球相当径50μm以下のドロスを鋼板に
付着させて除去し、合金化処理や調質圧延により消滅さ
せ無害化するする方法を提案している。
【0008】また、特開平3-211262号公報では、被メッ
キ鋼板に、該鋼板とZn、Alが反応してできた微小な直径
50μm以下のFe−Zn合金および/またはFe−Al合金のド
ロスを付着させたまま引き出し、ついで合金化処理ある
いは調質圧延によって付着したドロスを消滅させ無害化
する溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法、および、メッキ槽
内に被メッキ鋼板の周囲にカバーを備えた溶融亜鉛メッ
キ鋼板の製造装置を提案している。
キ鋼板に、該鋼板とZn、Alが反応してできた微小な直径
50μm以下のFe−Zn合金および/またはFe−Al合金のド
ロスを付着させたまま引き出し、ついで合金化処理ある
いは調質圧延によって付着したドロスを消滅させ無害化
する溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法、および、メッキ槽
内に被メッキ鋼板の周囲にカバーを備えた溶融亜鉛メッ
キ鋼板の製造装置を提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平5-98405号公報に代表される従来技術では、溶
融亜鉛浴からドロスを除去するために、溶融亜鉛浴をく
み出すポンプやサブポットの新設など設備の大規模な改
造を必要とするため、多額の設備投資を必要とする。ま
た、既存の製造ラインに設置する場合は設置スペースの
問題が生じる。あるいは、装置の保守、点検等に労力を
必要とし、必ずしも生産性の改善につながらない。
た特開平5-98405号公報に代表される従来技術では、溶
融亜鉛浴からドロスを除去するために、溶融亜鉛浴をく
み出すポンプやサブポットの新設など設備の大規模な改
造を必要とするため、多額の設備投資を必要とする。ま
た、既存の製造ラインに設置する場合は設置スペースの
問題が生じる。あるいは、装置の保守、点検等に労力を
必要とし、必ずしも生産性の改善につながらない。
【0010】また、特開平3-211262号公報では、付着し
た直径50μm以下のドロスを、合金化処理時間中のFe、
Al、Znの拡散により消滅させるために、合金化処理条件
に制約が生じパウダリング性など表面品質以外の品質の
劣化が懸念される。調質圧延により無害化させる場合も
同様に調質圧延条件に制約が生じる。
た直径50μm以下のドロスを、合金化処理時間中のFe、
Al、Znの拡散により消滅させるために、合金化処理条件
に制約が生じパウダリング性など表面品質以外の品質の
劣化が懸念される。調質圧延により無害化させる場合も
同様に調質圧延条件に制約が生じる。
【0011】また、付着するドロスを直径50μm以下の
大きさに制限するには、前記したメッキ槽内のカバーや
特開平5-98405号公報に提案されているようなサブポッ
トなどの亜鉛浴清浄化装置などが必要であり、設備投資
と保守作業の労力が必要である。
大きさに制限するには、前記したメッキ槽内のカバーや
特開平5-98405号公報に提案されているようなサブポッ
トなどの亜鉛浴清浄化装置などが必要であり、設備投資
と保守作業の労力が必要である。
【0012】本発明は、生産性を低下させることなく、
かつ、既存の製造設備に対して大規模な改造を必要とせ
ずに表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造
する方法を提供することを目的とするものである。
かつ、既存の製造設備に対して大規模な改造を必要とせ
ずに表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造
する方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段は、メッキ槽内の溶融亜鉛浴に鋼板を連続的に
通板・浸漬して溶融メッキを行った後、前記鋼板を加熱
してメッキ層を合金化する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の
製造方法において、溶融亜鉛浴温度をT(℃)、下式で
定義される境界Al濃度をCzとした場合、溶融亜鉛浴温度
T(℃)を435〜500℃の範囲内にするとともに、浴中Al
濃度をCz±0.01wt%の範囲内に保持することを特徴とす
る表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方
法である。 但し、Cz=-0.0015*T+0.76(wt%)
めの手段は、メッキ槽内の溶融亜鉛浴に鋼板を連続的に
通板・浸漬して溶融メッキを行った後、前記鋼板を加熱
してメッキ層を合金化する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の
製造方法において、溶融亜鉛浴温度をT(℃)、下式で
定義される境界Al濃度をCzとした場合、溶融亜鉛浴温度
T(℃)を435〜500℃の範囲内にするとともに、浴中Al
濃度をCz±0.01wt%の範囲内に保持することを特徴とす
る表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方
法である。 但し、Cz=-0.0015*T+0.76(wt%)
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
浴中のドロスを完全に除去した後、清浄な浴で操業を開
始し溶融亜鉛メッキ鋼板の製造を続けると、次第に鋼板
や浴中機器からFeが供給され、ドロスが発生する。ドロ
スは最初は微細でも次第に成長し、一定以上の直径のド
ロスが鋼板に付着すると、点状の表面欠陥が発生する。
例えば、特開平3-211262号公報では直径50μm以上のド
ロスが付着した溶融メッキ鋼板は合金化処理後、表面欠
陥が発生するとしている。
浴中のドロスを完全に除去した後、清浄な浴で操業を開
始し溶融亜鉛メッキ鋼板の製造を続けると、次第に鋼板
や浴中機器からFeが供給され、ドロスが発生する。ドロ
スは最初は微細でも次第に成長し、一定以上の直径のド
ロスが鋼板に付着すると、点状の表面欠陥が発生する。
例えば、特開平3-211262号公報では直径50μm以上のド
ロスが付着した溶融メッキ鋼板は合金化処理後、表面欠
陥が発生するとしている。
【0015】ここで、ドロスの組成は浴中Al濃度と密接
な関係に有ることが知られている。例えば、465℃に保
持した溶融亜鉛浴において、浴中Al濃度が約0.14%以上
では生成するドロスはFe−Al系のものであるのに対し、
これより低い浴中Al濃度では、生成するドロスはFe−Zn
系のδ1相のドロスが発生する。さらに浴中Al濃度を下
げるとFe−Zn系のζ相のドロスが発生する。即ち、浴中
において平衡なドロス相は、浴の保持温度と浴中Al濃度
によって決定される。いずれのドロス相が安定な領域に
浴温度、浴中Al濃度を維持して操業を行っても、時間と
ともにドロスは増加、粗大化し、ドロス欠陥の原因とな
る。
な関係に有ることが知られている。例えば、465℃に保
持した溶融亜鉛浴において、浴中Al濃度が約0.14%以上
では生成するドロスはFe−Al系のものであるのに対し、
これより低い浴中Al濃度では、生成するドロスはFe−Zn
系のδ1相のドロスが発生する。さらに浴中Al濃度を下
げるとFe−Zn系のζ相のドロスが発生する。即ち、浴中
において平衡なドロス相は、浴の保持温度と浴中Al濃度
によって決定される。いずれのドロス相が安定な領域に
浴温度、浴中Al濃度を維持して操業を行っても、時間と
ともにドロスは増加、粗大化し、ドロス欠陥の原因とな
る。
【0016】また、既にドロスが存在する浴の浴中Al濃
度を大きく変化させた場合でも上記の変化が生じ、浴中
のドロスは浴組成や温度に応じて安定な相へと変化す
る。
度を大きく変化させた場合でも上記の変化が生じ、浴中
のドロスは浴組成や温度に応じて安定な相へと変化す
る。
【0017】本発明者らは、浴組成とドロスの関係につ
いて鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
いて鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
【0018】δ1相のドロスが存在する亜鉛浴のAl濃度
を低下させて、ζ相が安定な組成へと変化させると浴中
のドロスはζ相へと変化する。この際に、ζ相のドロス
は、δ1相のドロスの表面で核生成し浴方向へと成長す
る。また、一つのδ1相のドロスから複数のζ相のドロ
スが発生する。即ち、浴条件を変更して安定なドロス相
を変え、ドロス相の変化が生じる時、一つのドロスは複
数のドロス粒子に分割される。逆方向に浴組成を変化さ
せても同様の現象が再び生じる。
を低下させて、ζ相が安定な組成へと変化させると浴中
のドロスはζ相へと変化する。この際に、ζ相のドロス
は、δ1相のドロスの表面で核生成し浴方向へと成長す
る。また、一つのδ1相のドロスから複数のζ相のドロ
スが発生する。即ち、浴条件を変更して安定なドロス相
を変え、ドロス相の変化が生じる時、一つのドロスは複
数のドロス粒子に分割される。逆方向に浴組成を変化さ
せても同様の現象が再び生じる。
【0019】このような変化が生じる溶融亜鉛浴温度T
(℃)と浴中Al濃度の関係は、下式で表され、今後この
浴中Al濃度Czを境界Al濃度と呼ぶ。 Cz=-0.0015*T+0.76(wt%)
(℃)と浴中Al濃度の関係は、下式で表され、今後この
浴中Al濃度Czを境界Al濃度と呼ぶ。 Cz=-0.0015*T+0.76(wt%)
【0020】なお、溶融亜鉛浴温度T(℃)が500℃を
越えると、ζ相の包晶温度を越え、ζ相とδ1相間の相
変態が起こらなくなるので、溶融亜鉛浴温度T(℃)は
500℃以下にする必要がある。また、溶融亜鉛浴温度T
(℃)が430℃を下回ると、溶融亜鉛が凝固しやすくな
り、メッキ作業が困難になるので、溶融亜鉛浴温度T
(℃)は430℃以上にする必要がある。
越えると、ζ相の包晶温度を越え、ζ相とδ1相間の相
変態が起こらなくなるので、溶融亜鉛浴温度T(℃)は
500℃以下にする必要がある。また、溶融亜鉛浴温度T
(℃)が430℃を下回ると、溶融亜鉛が凝固しやすくな
り、メッキ作業が困難になるので、溶融亜鉛浴温度T
(℃)は430℃以上にする必要がある。
【0021】浴中Al濃度を、境界Al濃度Czを越えた組成
で保持し操業を行うと、δ1相安定の領域となって、時
間の経過とともにδ1相のドロスが成長する。一方、境
界Al濃度Czを下回って操業を行うと、ζ相安定の領域と
なって、時間の経過とともにζ相のドロスが成長する。
例えば、Al濃度がCz以上で、δ1相のドロスを含む亜鉛
浴のAl濃度を、境界Al濃度Czを越えてCz以下に変化させ
ると、浴中に存在するドロスは浴中Al濃度によって決定
される安定な相、即ちζ相へ変化する過程において微細
化する。
で保持し操業を行うと、δ1相安定の領域となって、時
間の経過とともにδ1相のドロスが成長する。一方、境
界Al濃度Czを下回って操業を行うと、ζ相安定の領域と
なって、時間の経過とともにζ相のドロスが成長する。
例えば、Al濃度がCz以上で、δ1相のドロスを含む亜鉛
浴のAl濃度を、境界Al濃度Czを越えてCz以下に変化させ
ると、浴中に存在するドロスは浴中Al濃度によって決定
される安定な相、即ちζ相へ変化する過程において微細
化する。
【0022】しかしながら、ドロス対策のために浴組成
を大きく変動させることは、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
を安定して製造する点から問題が大きい。例えば、浴組
成を急速に変更することは難しく、特にAl濃度を低下さ
せることは困難である。
を大きく変動させることは、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
を安定して製造する点から問題が大きい。例えば、浴組
成を急速に変更することは難しく、特にAl濃度を低下さ
せることは困難である。
【0023】そこでさらに検討を進めた結果、浴中Al濃
度を浴温に応じて決定されるCz±0.01wt%の範囲内に保
持することによって、安定した浴条件で溶融亜鉛メッキ
鋼板を連続して製造しつつ、ドロスの成長を抑制するこ
とが可能であり、また、抑制効果がより高いことが判明
した。
度を浴温に応じて決定されるCz±0.01wt%の範囲内に保
持することによって、安定した浴条件で溶融亜鉛メッキ
鋼板を連続して製造しつつ、ドロスの成長を抑制するこ
とが可能であり、また、抑制効果がより高いことが判明
した。
【0024】実操業では、浴条件を一定に保つ努力を行
っても、実際は局所的な温度や浴組成の不均一は避けら
れない。例えば、亜鉛浴の供給は、メッキ槽内でZnイン
ゴット、もしくはZn合金インゴットを溶解することで行
われるので、インゴット周囲では浴組成が異なる。ま
た、浴面付近や前記インゴット周囲では当然ながら亜鉛
浴は冷却され浴温が低下する。一方で、浴温維持のため
に設けられている加熱装置によって、部分的に浴温が高
い領域が存在する。さらに被メッキ鋼板の周囲の亜鉛浴
は、被メッキ鋼板と亜鉛浴の温度差によって加熱あるい
は冷却されている。
っても、実際は局所的な温度や浴組成の不均一は避けら
れない。例えば、亜鉛浴の供給は、メッキ槽内でZnイン
ゴット、もしくはZn合金インゴットを溶解することで行
われるので、インゴット周囲では浴組成が異なる。ま
た、浴面付近や前記インゴット周囲では当然ながら亜鉛
浴は冷却され浴温が低下する。一方で、浴温維持のため
に設けられている加熱装置によって、部分的に浴温が高
い領域が存在する。さらに被メッキ鋼板の周囲の亜鉛浴
は、被メッキ鋼板と亜鉛浴の温度差によって加熱あるい
は冷却されている。
【0025】このように、メッキ槽中の大部分は温度、
組成が均一であるが、局所的に亜鉛浴の組成、温度が異
なる部分が不可避的に存在する。したがって、浴中Al濃
度がCzに近いドロスを含む亜鉛浴が、前述の浴組成、浴
温が異なる領域に達した時、浴組成がCzを超えたり、あ
るいは温度によってCzが変化することによって、安定な
ドロス相が変化しドロスの相変態に伴う微細化が起こ
る。またこの浴がメッキ槽の大部分と同じ温度、浴組成
に回復する際に、再びドロスの相変態に伴うドロスの微
細化が起こり、連続的にドロスの微細化が行われるの
で、その結果としてメッキ槽全体ではドロスの成長が抑
制されるためである。
組成が均一であるが、局所的に亜鉛浴の組成、温度が異
なる部分が不可避的に存在する。したがって、浴中Al濃
度がCzに近いドロスを含む亜鉛浴が、前述の浴組成、浴
温が異なる領域に達した時、浴組成がCzを超えたり、あ
るいは温度によってCzが変化することによって、安定な
ドロス相が変化しドロスの相変態に伴う微細化が起こ
る。またこの浴がメッキ槽の大部分と同じ温度、浴組成
に回復する際に、再びドロスの相変態に伴うドロスの微
細化が起こり、連続的にドロスの微細化が行われるの
で、その結果としてメッキ槽全体ではドロスの成長が抑
制されるためである。
【0026】本発明者らは、メッキ槽内の浴温、浴組成
の不可避な不均一部分を利用してドロスの成長を抑制す
るには、メッキ槽中の大部分を占める均一な部分の浴組
成を、Cz±0.01wt%の範囲内に管理することによってな
されることを知見した。すなわち、通常操業管理で測定
している浴組成を、同様に測定している浴温によって決
定されるCz±0.01wt%の範囲内に管理することによって
なされることを知見した。
の不可避な不均一部分を利用してドロスの成長を抑制す
るには、メッキ槽中の大部分を占める均一な部分の浴組
成を、Cz±0.01wt%の範囲内に管理することによってな
されることを知見した。すなわち、通常操業管理で測定
している浴組成を、同様に測定している浴温によって決
定されるCz±0.01wt%の範囲内に管理することによって
なされることを知見した。
【0027】この方法ではメッキ槽中の大部分の浴温、
浴組成は変動しないので、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を
製造する点で安定性が高い。また、メッキ後の鋼板にド
ロスが付着しても微細なので、さらに合金化処理を施し
て製造される合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の表面外観を損
なうことがない。
浴組成は変動しないので、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を
製造する点で安定性が高い。また、メッキ後の鋼板にド
ロスが付着しても微細なので、さらに合金化処理を施し
て製造される合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の表面外観を損
なうことがない。
【0028】本発明では、浴中Al濃度を境界Al濃度Cz±
0.01wt%の範囲内に保持することによってドロスの粗大
化を抑制することによってなされるので、合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板の下地鋼板になんら制限はない。また、製
造時のメッキ槽への侵入板温、亜鉛浴温度、メッキ付着
量等のメッキ条件、合金化処理温度、合金化処理時間、
合金化処理装置の種類等の合金化処理条件になんら制限
はない。合金化処理はメッキに引き続いて行うことが有
利だが、別の設備で行ってもよい。
0.01wt%の範囲内に保持することによってドロスの粗大
化を抑制することによってなされるので、合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板の下地鋼板になんら制限はない。また、製
造時のメッキ槽への侵入板温、亜鉛浴温度、メッキ付着
量等のメッキ条件、合金化処理温度、合金化処理時間、
合金化処理装置の種類等の合金化処理条件になんら制限
はない。合金化処理はメッキに引き続いて行うことが有
利だが、別の設備で行ってもよい。
【0029】なお、本発明は、ドロスの粗大化を抑制
し、浴中のドロスを微細なままに維持することによって
優れた表面外観を得るという効果を発揮するものであ
り、ドロスの発生量を削減するものではない。実際に有
害な浴中のドロスは、ある一定のサイズを越えたもので
あるので、例えば50μm以下の微細なドロスが浴中に大
量に存在しても無害である。
し、浴中のドロスを微細なままに維持することによって
優れた表面外観を得るという効果を発揮するものであ
り、ドロスの発生量を削減するものではない。実際に有
害な浴中のドロスは、ある一定のサイズを越えたもので
あるので、例えば50μm以下の微細なドロスが浴中に大
量に存在しても無害である。
【0030】
【実施例】(実施例1)CGLにおいて、平均粒径が100μ
mのドロスを含む亜鉛浴を460℃に保持し、合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板を継続して製造し、亜鉛浴に含まれるド
ロス粒子径の経時変化を調査した。この間、メッキ槽で
は、亜鉛浴の供給、浴温維持のための加熱、浴面での冷
却などの不可避の要因によって、局所的な浴温、浴組成
の変動が生じている。調査結果を図1に示す。
mのドロスを含む亜鉛浴を460℃に保持し、合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板を継続して製造し、亜鉛浴に含まれるド
ロス粒子径の経時変化を調査した。この間、メッキ槽で
は、亜鉛浴の供給、浴温維持のための加熱、浴面での冷
却などの不可避の要因によって、局所的な浴温、浴組成
の変動が生じている。調査結果を図1に示す。
【0031】Al濃度を境界濃度Cz、すなわち0.07wt%か
ら±0.01wt%を越える範囲で保持した浴では時間ととも
にドロスが粗大化していた。一方、Al濃度を境界濃度Cz
±0.01wt%の範囲内に保持した浴では、メッキ中に起こ
る浴温や浴組成の不可避な変動によってドロスが微細化
されていた。
ら±0.01wt%を越える範囲で保持した浴では時間ととも
にドロスが粗大化していた。一方、Al濃度を境界濃度Cz
±0.01wt%の範囲内に保持した浴では、メッキ中に起こ
る浴温や浴組成の不可避な変動によってドロスが微細化
されていた。
【0032】前記微細化された亜鉛浴で鋼板にメッキす
ると、優れた表面外観の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得
られる。
ると、優れた表面外観の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得
られる。
【0033】(実施例2)CGLにおいて、予め浴中にド
ロスのない溶融亜鉛めっき浴を準備し、浴中Al濃度を種
々の組成に調整して、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を継続
して製造し、1週間後、採取した亜鉛浴に含まれるドロ
スの平均粒子径を調査した。前記の実験を保持温度を変
えて3水準行った。メッキ槽では、亜鉛浴の供給、浴温
の維持のための加熱、浴面での冷却などの不可避の要因
によって、局所的な浴温、浴組成の変動が生じている。
調査結果を図2に示す。
ロスのない溶融亜鉛めっき浴を準備し、浴中Al濃度を種
々の組成に調整して、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を継続
して製造し、1週間後、採取した亜鉛浴に含まれるドロ
スの平均粒子径を調査した。前記の実験を保持温度を変
えて3水準行った。メッキ槽では、亜鉛浴の供給、浴温
の維持のための加熱、浴面での冷却などの不可避の要因
によって、局所的な浴温、浴組成の変動が生じている。
調査結果を図2に示す。
【0034】Al濃度を境界濃度Cz±0.01wt%から外れた
領域で保持した浴と比較し、Al濃度を境界濃度Cz±0.01
wt%の範囲内に保持した浴では、メッキ槽で不可避に起
こる局所的な浴温や浴組成の変動によって、ドロスが微
細であり、粗大化が抑制されていた。
領域で保持した浴と比較し、Al濃度を境界濃度Cz±0.01
wt%の範囲内に保持した浴では、メッキ槽で不可避に起
こる局所的な浴温や浴組成の変動によって、ドロスが微
細であり、粗大化が抑制されていた。
【0035】前記微細化された亜鉛浴で鋼板にメッキす
ると、優れた表面外観の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得
られる。
ると、優れた表面外観の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得
られる。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
既存の製造設備を改造しないでドロスの粗大化を抑制を
できるので、ドロス処理のために生産性を落とすことな
く、優れた表面外観を有する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
を製造することができる。
既存の製造設備を改造しないでドロスの粗大化を抑制を
できるので、ドロス処理のために生産性を落とすことな
く、優れた表面外観を有する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
を製造することができる。
【図1】ドロス粒子径の経時変化を示す図。
【図2】浴中Al濃度、浴温度とドロス粒子径の関係を示
す図。
す図。
Claims (1)
- 【請求項1】 メッキ槽内の溶融亜鉛浴に鋼板を連続的
に通板・浸漬して溶融メッキを行った後、前記鋼板を加
熱してメッキ層を合金化する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
の製造方法において、溶融亜鉛浴温度をT(℃)、下式
で定義される境界Al濃度をCzとした場合、溶融亜鉛浴温
度T(℃)を435〜500℃の範囲内にするとともに、浴中A
l濃度をCz±0.01wt%の範囲内に保持することを特徴と
する表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造
方法。 但し、Cz=-0.0015*T+0.76(wt%)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15413298A JP3385970B2 (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15413298A JP3385970B2 (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11350096A true JPH11350096A (ja) | 1999-12-21 |
JP3385970B2 JP3385970B2 (ja) | 2003-03-10 |
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ID=15577604
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---|---|---|---|
JP15413298A Expired - Fee Related JP3385970B2 (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3385970B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR20210032506A (ko) | 2018-07-30 | 2021-03-24 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 용융 아연 도금 처리 방법, 그 용융 아연 도금 처리 방법을 사용한 합금화 용융 아연 도금 강판의 제조 방법, 그 용융 아연 도금 처리 방법을 사용한 용융 아연 도금 강판의 제조 방법, 합금화 용융 아연 도금 강판 및 용융 아연 도금 강판 |
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-
1998
- 1998-06-03 JP JP15413298A patent/JP3385970B2/ja not_active Expired - Fee Related
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