JPH11349812A - ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法

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JPH11349812A
JPH11349812A JP16192998A JP16192998A JPH11349812A JP H11349812 A JPH11349812 A JP H11349812A JP 16192998 A JP16192998 A JP 16192998A JP 16192998 A JP16192998 A JP 16192998A JP H11349812 A JPH11349812 A JP H11349812A
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carbon
carbon atoms
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度かつ低粘度のポリイミド前駆体溶液の
提供及びこのようなポリイミド前駆体溶液を容易に得る
ことができる製造方法の提供、並びにこのポリイミド前
駆体溶液から得られる良好な物性を有するポリイミド塗
膜の提供とその製造方法の提供。 【解決手段】 溶媒中に、特定の構造式を有するジアミ
ン1モルを溶解した後、特定の構造式を有するテトラカ
ルボン酸及び/又はそのエステル0.95〜1.05モ
ル加えることのよって得られ、このジアミンとこのテト
ラカルボン酸及び/又はそのエステルからなる塩を溶質
として溶媒に溶解してなるポリイミド前駆体溶液、この
ポリイミド前駆体溶液を基材上に塗工し、加熱してイミ
ド化して得られるポリイミド塗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド前駆体
溶液及びその製造方法、さらにはポリイミド前駆体溶液
から得られるポリイミド塗膜及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは、エレクトロニクス分野へ
の応用に有用なものであり、半導体デバイス上への絶縁
フィルムや保護コーティングとして用いられている。特
に全芳香族ポリイミドは、その優れた耐熱性、機械的特
性、電気的特性から、フレキシブル回路基板や集積回路
等において高密度化、多機能化等に大きく貢献してい
る。このように、微細な回路の層間絶縁膜や保護膜を形
成させる場合、従来よりポリイミド前駆体溶液が用いら
れてきた。このポリイミド前駆体溶液としては、下記一
般式に示すポリアミド酸からなる溶液が知られている。
【0003】
【化6】
【0004】これらポリアミド酸の溶液は、溶媒中で芳
香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応
させることにより製造されるもので、例えば特公昭36
−10999号公報、特開昭62−275165号公
報、特開昭64−5057号公報、特公平2−3814
9号公報、特公平2−38150号公報、特開平1−2
99871号公報、特開昭58−122920号公報、
特公平1−34454号公報、特開昭58−18562
4号公報、Journal of Polymer Science, Macromolecul
ar Reviews Vol.11 P.199 (1976)、米国特許第4238
528号、特公平3−4588号公報、特公平7−30
247号公報、特開平7−41556号公報、特開平7
−62095号公報、特開平7−133349号公報、
特開平7−149896号公報、特開平6−20701
4号公報、特公平7−17870号公報、特公平7−1
7871号公報、IBM Technical Disclosure Bulletin
Vol.20 No.6 P.2041 (1977)等には、溶媒として非プロ
トン性極性溶媒を用いるものや、特開平6−1915号
公報には、溶媒として水溶性エーテル系化合物、水溶性
アルコール系化合物、水溶性ケトン系化合物及び水から
選ばれる混合溶媒を用いるものなど、種々の溶液が開示
されている。
【0005】また、ポリイミド前駆体溶液における溶質
としてのポリイミド前駆体としてはポリアミド酸以外に
も種々のポリマーが知られている。例えば、Macromolec
ulesVol.22 P.4477 (1989) やPolyimides and Other Hi
gh Temperature Polymers.P.45 (1991)には、下記一般
式に示すポリアミド酸エステルが開示されており、
【0006】
【化7】
【0007】Macromolecules Vol.24 P.3475 (1991) に
は、下記一般式に示すポリアミド酸トリメチルシリルエ
ステルが開示されており、
【0008】
【化8】
【0009】Journal of Polymer Science Part B Vol.
8 P.29 (1970) 、Journal of PolymerScience Part B V
ol.8 P.559(1970)、日本化学会誌 Vol.1972 P.1992、Jo
urnalof Polymer Science Polymer Chemistry Edition
Vol.13 P.365 (1975)には、下記式に示すポリアミド酸
ビス(ジエチルアミド)が開示されている。
【0010】
【化9】
【0011】上述したこれらポリイミド前駆体はいずれ
も高重合度のポリマーの溶液である。これらポリマー溶
液からポリイミド塗膜を得る際は、一般的にはこのポリ
マー溶液を銅、ガラス等の基材上にコーティングし、加
熱することにより溶媒の除去及びイミド化を行いポリイ
ミド塗膜を得る。
【0012】しかしながら、この高重合度のポリマー溶
液をコーティングする場合には、その重合度故に塗工可
能な溶液の粘度とするためには、溶質濃度を低くしなけ
ればならないという問題があった。また、生産性を高め
るために、溶質濃度を高めると溶液の粘度が高くなり、
塗工できなくなってしまうという問題もあり、またたと
え塗工できたとしても、機械的、熱的特性に優れた塗膜
やフィルムが得られないという問題があった。さらに、
ポリマー溶液は長期の保存に耐え難く、その重合度を維
持しつつ長期間保存することは極めて困難であった。
【0013】
【本発明が解決しようとする課題】上記状況に鑑み、本
発明の課題は、高濃度かつ低粘度のポリイミド前駆体溶
液及びその製造方法、それから得られる良好な物性を有
するポリイミド塗膜及びその製造方法を提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、特定のモノマーを組み合
わせれば、重合体でなくともそれらモノマーを含む溶液
から、良好な物性を有するポリイミド塗膜が得られるこ
とを見い出した。すなわち、後述する一般式(1)に示
すジアミンと一般式(2)に示すテトラカルボン酸及び
/又はそのエステルとからなるモノマーの塩を含有する
ポリイミド前駆体溶液は、モノマーの塩を高濃度で溶解
しているいるにもかかわらず、低粘度を示し、しかも、
この溶液からは高強度のポリイミド塗膜が得られるとの
知見を得、これらの知見に基づいて、本発明に到達した
ものである。かかる知見は、従来、ポリイミド前駆体溶
液を構成するポリイミド前駆体が高重合度のものしか知
られていなかったことに鑑みれば全く驚くべき知見であ
る。
【0015】すなわち、本発明の要旨は、第1に、下記
一般式(1)に示すジアミンと下記一般式(2)に示す
テトラカルボン酸及び/又はそのエステルからなる塩が
溶質として溶媒中に溶解していることを特徴とするポリ
イミド前駆体溶液である。
【0016】第2に、溶媒中に下記一般式(1)に示す
ジアミンを溶解した後、このジアミン1モルに対し下記
一般式(2)に示すテトラカルボン酸及び/又はそのエ
ステルを0.95〜1.05モル加えることを特徴とす
るポリイミド前駆体溶液の製造方法である。
【0017】
【化10】
【0018】一般式(1)中、Rは少なくとも1つの炭
素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、4つのカルボ
ニル基はこの残基中異なった炭素原子に直接連結してお
り、4つのうちの2つずつは対をなし、炭素6員環内の
隣接する炭素原子に結合しており、R’は少なくとも1
つの炭素6員環を持つ2価の芳香族残基を示し、R''は
炭素数1から5までのアルキル基である。一般式(2)
中、R''' は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の
芳香族残基を示し、4つのカルボニル基はこの残基中異
なった炭素原子に直接連結しており、4つのうちの2つ
ずつは対をなし、炭素6員環内の隣接する炭素原子に結
合しており、R''''は水素もしくは、炭素数1から5ま
でのアルキル基である。
【0019】第3に、前記ポリイミド前駆体溶液から得
られるポリイミド塗膜である。第4に、前記ポリイミド
前駆体溶液を基材上に塗工し、加熱してイミド化するこ
とを特徴とするポリイミド塗膜の製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。まず、本発明で用いる用語について説明する。
【0021】(1)塩 アミノ基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合
物とを溶媒中で混合して得られる複合体をいい、アミノ
基とカルボキシル基とはいかなる状態の結合(イオン結
合もしくは非イオン結合)をしていても良い。
【0022】(2)ポリイミド ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構
造を有する有機ポリマーをいう。そして、この有機ポリ
マーは、耐熱性を示す。
【0023】(3)ポリイミド前駆体 加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる
有機化合物をいう。ここで、閉環とはイミド環構造が形
成されることをいう。
【0024】(4)ポリイミド溶液 ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。こ
こで溶媒とは、25℃で液状の化合物をいう。
【0025】(5)粘度 (株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計
(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定
したものである。
【0026】(6)溶質濃度 溶液中に占めるポリイミド前駆体の重量割合を百分率で
表した数値である。
【0027】(7)ポリイミド塗膜 例えば銅、アルミニウム、ガラス等の基材上に形成され
たポリイミドの膜をいう。これらポリイミド塗膜のなか
で基材と密着したまま使用されるものをポリイミド被覆
物といい、基材から剥離して使用されるものをポリイミ
ドフィルムという。
【0028】さらに本発明について説明する。本発明の
ポリイミド前駆体溶液は、一般式(1)に示すジアミン
と一般式(2)に示すテトラカルボン酸及び/又はその
エステルとからなる塩が溶質として溶媒中に溶解してい
る。一般式(1)に示すジアミンにおいて、Rは少なく
とも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、
4つのカルボニル基はこの残基中異なった炭素原子に直
接連結しており、4つのうちの2つずつは対をなし、炭
素6員環内の隣接する炭素原子に結合している。Rの具
体例としては次のようなものが挙げられる。
【0029】
【化11】
【0030】特にRとしては、次のものが好ましい。
【0031】
【化12】
【0032】R' は少なくとも1つの炭素6員環を持つ
2価の芳香族残基を示す。R' の具体例としては次のよ
うなものが挙げられる。
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】特に、R' としては次のものが好ましい。
【0036】
【化15】
【0037】R''は炭素数1から5までのアルキル基で
あり、その具体例としては次のものが挙げられる。
【0038】
【化16】
【0039】特に、R''としては次のものが好ましい。
【0040】
【化17】
【0041】一般式(2)に示すテトラカルボン酸及び
/又はそのエステルにおいて、R''' は少なくとも1つ
の炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、4つのカ
ルボニル基はこの残基中異なった炭素原子に直接連結し
ており、4つのうちの2つずつは対をなし、炭素6員環
内の隣接する炭素原子に結合しており、R''''は水素も
しくは、炭素数1から5までのアルキル基である。
R''' の具体例としては前記Rとして示したものが挙げ
られ、一般式(1)に示すジアミンと一般式(2)に示
すテトラカルボン酸とからなる塩において、R及び
R''' として同一のものが用いられていても異なって用
いられてもよい。特にR''' としては、次のものが好ま
しい。
【0042】
【化18】
【0043】R''''の具体例としては次のようなものが
挙げられ、
【0044】
【化19】
【0045】特にR''''としては次のものが好ましい。
【0046】
【化20】
【0047】本発明のポリイミド前駆体溶液において、
溶媒としては一般式(1)に示すジアミンと一般式
(2)に示すテトラカルボン酸及び/又はそのエステル
からなる塩を溶かす溶媒であればいかなる溶媒も用いる
ことができる。
【0048】例えば、非プロトン性極性溶媒として、N
−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、ヘキサメチルフォスフォラアミド等が挙げられ、エ
ーテル系化合物として、2−メトキシエタノール、2−
エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エトキ
シエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブ
トキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコー
ル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリ
エチレングリコール、トリエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ
−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノー
ル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエー
テル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメ
トキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げら
れ、水溶性アルコール系化合物として、メタノール、エ
タノール、1−プロパノール、2−プロパノール、te
rt−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2
−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブ
テン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタ
ンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジアセ
トンアルコール等が挙げられる。
【0049】上記各溶媒は単独で、もしくは二種以上を
混合して用いてることができる。このうち特に好ましい
例としては、単独溶媒としてN、N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−メトキシエ
タノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられ、混合溶
媒としては、N−メチルピロリドンとジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドンとメタ
ノール、N−メチルピロリドンと2―メトキシエタノー
ル等の組み合わせがあげられる。
【0050】本発明におけるポリイミド前駆体溶液のポ
リイミド前駆体の濃度は、30重量%以上が好ましい。
35重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさら
に好ましい。30重量%未満では、塗工の際の生産性を
高める効果が薄くなることがある。また、ポリイミド前
駆体溶液の粘度は、100ポイズ以下が好ましく、85
ポイズ以下がより好ましく、60ポイズ以下がさらに好
ましい。100ポイズを超えると塗工が困難になること
がある。
【0051】本発明におけるポリイミド前駆体溶液は、
溶媒中に一般式(1)に示すジアミンを溶解した後、こ
のジアミン1モルに対し一般式(2)に示すテトラカル
ボン酸及び/又はそのエステルを0.95〜1.05モ
ル加えることによって製造することができる。ここで
は、好ましい例として、溶媒として非プロトン性極性化
合物を用いた方法について述べる。
【0052】まず、一般式(1)に示すジアミンを、非
プロトン性極性化合物中に溶解させた後、得られたジア
ミン溶液に一般式(2)に示す芳香族テトラカルボン酸
及び/又はそのエステルを添加する。反応温度は、−3
0〜60℃が好ましく、−20〜40℃がより好まし
い。一般式(2)に示す芳香族テトラカルボン酸及び/
又はそのエステルの添加割合は、0.95〜1.05モ
ル、好ましくは0.97〜1.03モルである。R'''
を骨格とする芳香族テトラカルボン酸及び/又はそのエ
ステルの添加割合が、0.95〜1.05モルの範囲外
では目的とする塩が得られにくくなる傾向にある。
【0053】一般式(1)に示すジアミンを合成する際
には、公知の如何なる合成法を用いてもかまわない。縮
合剤を用いる方法や、酸塩化物を用いる方法、混酸無水
物を用いる方法など広く有機合成に用いられる方法が挙
げられる。また、ジアミンを単離する必要が無い系、例
えば、縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミドを
用いてジアミンを合成した場合には、反応後はジシクロ
ヘキシルカルボジイミドは不溶化して析出するので、こ
れを除去して、得られたジアミン溶液をそのまま用いて
もかまわない。溶媒として、混合溶媒を用いる場合は、
個々の溶媒に別々のモノマーを溶解又は懸濁させてお
き、それらを混合し、撹拌下、所定の温度と時間で反応
させることにより、目的とするポリイミド前駆体溶液が
得られる。また、一般式(2)に示すテトラカルボン酸
及び/又はそのエステルを添加する方法は、前記ジアミ
ン溶液に撹拌下、個体のままか、もしくは溶液にして添
加する。
【0054】さらに、本発明のポリイミド前駆体溶液に
は、必要に応じて例えば、有機シラン、顔料、導電性の
カーボンブラック及び金属粒子のような充填剤、摩滅
剤、誘電体、潤滑剤等の他公知の添加物を本発明の効果
を損なわない範囲で添加することができる。また、他の
重合体や例えば水不溶性のエーテル類、アルコール類、
ケトン類、エステル、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素
類等の溶媒を本発明の効果を損なわない範囲で添加する
ことができる。
【0055】また、ポリイミド前駆体溶液からポリイミ
ドフィルムを成形するには、スリット状ノズルから押し
出したり、バーコーター等により基材上に塗工し、乾燥
して溶媒を除去し、これをイミド化した後、ポリイミド
塗膜を形成させ、基材から剥離して製造することができ
る。ポリイミド被覆物を得るには、ポリイミド前駆体溶
液を従来公知のスピンコート法、スプレイコート法、浸
漬法等の方法により基材上に塗工し、乾燥して溶媒を除
去した後、イミド化して、ポリイミド塗膜を形成させ
る。
【0056】このように、本発明のポリイミド前駆体溶
液、それから得られるポリイミド塗膜(ポリイミドフィ
ルム又はポリイミド被覆物)は、例えば、耐熱絶縁テー
プ、耐熱粘着テープ、高密度磁気記録ベース、コンデン
サー、FPC用のフィルム等の製造に用いられる。ま
た、例えば、フッ素樹脂やグラファイト等を充填した摺
動部材、ガラス繊維や炭素繊維で強化した構造部材、小
型コイルのボビン、スリーブ、端末絶縁用チューブ等の
成形材や成形品の製造に用いられる。また、パワートラ
ンジスターの絶縁スペーサ、磁気ヘッドスペーサ、パワ
ーリレーのスペーサ、トランスのスペーサ等の積層材の
製造に用いられる。また、電線・ケーブル絶縁被膜用、
太陽電池、低温貯蔵タンク、宇宙断熱材、集積回路、ス
ロットライナー等のエナメルコーティング材の製造に用
いられる。また、限外ろ過膜、逆浸透膜、ガス分離膜の
製造に用いられる。また、耐熱性を有する糸、織物、不
織布等の製造にも用いられる。
【0057】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が本発明はこれらの実施例により限定されるものではな
い。なお、実施例においてBAA−BPADE/PPD
とは、下記式で示されるジアミンであり、
【0058】
【化21】
【0059】BAA−BPADE/ODAとは、下記式
で示されるジアミンである。
【0060】
【化22】
【0061】いずれのジアミンも原料であるビフェニル
テトラカルボン酸ジメチルエステルとパラフェニレンジ
アミンもしくはオキシジアニリンとをジシクロヘキシル
カルボジイミドにより合成し、NMRにより生成の確認
を行った。
【0062】実施例1 BAA−BPADE/PPD18.85g(35.0m
mol)を、N−メチルピロリドン58.3gに溶解し
8℃に保った。これにビフェニルテトラカルボン酸ジメ
チルエステル12.54g(35.0mmol)を徐々
に加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な緑黄
色透明な溶液が得られた(固形分濃度35重量%)。こ
の溶液の粘度を測定したところ、10.2ポイズであっ
た。さらにこの溶液をフィルムアプリケーターを用い
て、ガラス板上に30μmの厚さで流延し、窒素雰囲気
下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で
5時間加熱イミド化を行った。得られたポリイミド塗膜
をガラス板上から剥離して、ポリイミドフィルムを得
た。このポリイミドフィルムの厚さは、10μmであ
り、引っ張り強度は29.8kg/mm2 であった。
【0063】実施例2 BAA−BPADE/ODA25.29g(35.0m
mol)を、N,N−ジメチルホルムアミド70.3g
に溶解し、8℃に保った。これにビフェニルテトラカル
ボン酸ジメチルエステル12.54g(35.0mmo
l)を徐々に加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、
均一な黄色透明な溶液が得られた(固形分濃度40重量
%)。この溶液の粘度を測定したところ、6.6ポイズ
であった。さらにこの溶液をフィルムアプリケーターを
用いて、ガラス板上に50μmの厚さで流延し、窒素雰
囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300
℃で5時間加熱イミド化を行った。得られたポリイミド
塗膜をガラス板上から剥離して、ポリイミドフィルムを
得た。このポリイミドフィルムの厚さは、19μmであ
り、引っ張り強度は14.5kg/mm2 であった。
【0064】
【発明の効果】本発明のポリイミド前駆体溶液は、高濃
度かつ低粘度のポリイミド前駆体溶液であり、このよう
なポリイミド前駆体溶液が本発明の製造方法によれば容
易に製造することができる。またこのポリイミド前駆体
溶液からは良好な物性を有するポリイミド塗膜(ポリイ
ミドフィルム又はポリイミド被覆物)を容易に得ること
ができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)に示すジアミンと下記
    一般式(2)に示すテトラカルボン酸及び/又はそのエ
    ステルからなる塩が溶質として溶媒中に溶解しているこ
    とを特徴とするポリイミド前駆体溶液。 【化1】 〔一般式(1)中、Rは少なくとも1つの炭素6員環を
    含む4価の芳香族残基を示し、4つのカルボニル基はこ
    の残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つの
    うちの2つずつは対をなし、炭素6員環内の隣接する炭
    素原子に結合しており、R’は少なくとも1つの炭素6
    員環を持つ2価の芳香族残基を示し、R''は炭素数1か
    ら5までのアルキル基である。一般式(2)中、R'''
    は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基
    を示し、4つのカルボニル基はこの残基中異なった炭素
    原子に直接連結しており、4つのうちの2つずつは対を
    なし、炭素6員環内の隣接する炭素原子に結合してお
    り、R''''は水素もしくは、炭素数1から5までのアル
    キル基である。〕
  2. 【請求項2】 一般式(1)、(2)において、R及び
    R''' が次のものであることを特徴とする請求項1記載
    のポリイミド前駆体溶液。 【化2】
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R' が次のもの
    から選ばれる1種又は2種のものであることを特徴とす
    る請求項1記載のポリイミド前駆体溶液。 【化3】
  4. 【請求項4】 一般式(1)、(2)において、R、
    R' 、R''、R''' 、R''''がそれぞれ次のもであるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体溶液。 【化4】
  5. 【請求項5】 溶質濃度が30重量%以上であり、かつ
    粘度が100ポイズ以下であることを特徴とする請求項
    1記載のポリイミド前駆体溶液。
  6. 【請求項6】 溶媒中に、下記一般式(1)に示すジア
    ミン1モルを溶解した後、下記一般式(2)に示すテト
    ラカルボン酸及び/又はそのエステル0.95〜1.0
    5モル加えることを特徴とする請求項1記載のポリイミ
    ド前駆体溶液の製造方法。 【化5】 〔一般式(1)中、Rは少なくとも1つの炭素6員環を
    含む4価の芳香族残基を示し、4つのカルボニル基はこ
    の残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つの
    うちの2つずつは対をなし、炭素6員環内の隣接する炭
    素原子に結合しており、R’は少なくとも1つの炭素6
    員環を持つ2価の芳香族残基を示し、R''は炭素数1か
    ら5までのアルキル基である。一般式(2)中、R'''
    は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基
    を示し、4つのカルボニル基はこの残基中異なった炭素
    原子に直接連結しており、4つのうちの2つずつは対を
    なし、炭素6員環内の隣接する炭素原子に結合してお
    り、R''''は水素もしくは、炭素数1から5までのアル
    キル基である。〕
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリイミド前駆体溶液か
    ら得られるポリイミド塗膜。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のポリイミド前駆体溶液を
    基材上に塗工し、加熱してイミド化することを特徴とす
    るポリイミド塗膜の製造方法。
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