JPH11347941A - R−Fe−B系永久磁石の表面処理被膜剥離方法 - Google Patents

R−Fe−B系永久磁石の表面処理被膜剥離方法

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JPH11347941A
JPH11347941A JP17411698A JP17411698A JPH11347941A JP H11347941 A JPH11347941 A JP H11347941A JP 17411698 A JP17411698 A JP 17411698A JP 17411698 A JP17411698 A JP 17411698A JP H11347941 A JPH11347941 A JP H11347941A
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steel shot
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Kiyoshi Matsubayashi
潔 松林
Shunzo Matsushima
俊藏 松島
Satoru Ueda
覚 上田
Atsushi Tajima
淳 田嶋
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ASAKO KK
KANSAI IND
KANSAI KOGYO KK
SGS KK
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ASAKO KK
KANSAI IND
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特殊な溶剤や廃液処理が不要で、製品同士が
密着した部分の完全剥離が可能であり、さらに、リサイ
クルによる製品の質を低下させることなく、短時間でか
つ安価にしてR−Fe−B系永久磁石の表面処理被膜を
剥離することができる方法の提供。 【解決手段】 タンブリングブラスト機またはエプロン
ブラスト機を用いて、表面処理されたR−Fe−B系永
久磁石をブラスト機内のドラム部内に挿入し、該ドラム
部を回転させながらスチールショットを噴射することに
よって、特殊な溶剤などを使用することなく、R−Fe
−B系永久磁石の表面処理被膜を完全に剥離することが
可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、R−Fe−B系
永久磁石表面に被覆された各種めっき、塗装などの表面
処理被膜を、短時間でかつ完全に剥離する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】R−Fe−B系永久磁石は、NdやPr
を中心とする資源的に豊富な軽希土類を用いてB、Fe
を主成分とし、高価なSmやCoを必須とせず、従来の
希土類コバルト磁石の磁気特性を大幅に超える新規な高
性能永久磁石として提案され、現在、家電用機器、OA
機器、電装品等に広く活用されている。
【0003】近年、環境問題あるいは製造のコストダウ
ン化に対応するために、R−Fe−B系永久磁石の再利
用化が強く要望されている。
【0004】ところで、R−Fe−B系永久磁石は、大
気中で安定な酸化物を生成し易い希土類元素及び鉄を主
成分とする組織を有するため、そのまま使用すると、磁
石表面が次第に酸化して酸化物を生成し、その酸化物の
脱落によって周辺機器を汚染したり、また、磁気特性が
劣化するなどの問題を有する。そのため、通常は、R−
Fe−B系磁石表面にめっきや塗装などの表面処理を被
覆した状態で用いられている。従って、R−Fe−B系
磁石のリサイクルに際しては、それら表面処理被膜を剥
離する必要がある。
【0005】従来、R−Fe−B系永久磁石からめっき
や塗装などの表面処理被膜を剥離する方法として、特殊
な剥離液に浸漬する方法や電解法などが知られている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】しかし、従来の方法によれば、表面処理被
膜を含んだ剥離後の廃液処理に多大なコストがかかる
上、例えば、酸処理を行なった場合は、処理後のR−F
e−B系永久磁石表面が著しく酸化するため、新たに酸
化物を除去する工程が必要となる。また、製品同士が密
着した部分を剥離することが困難であるなどの問題があ
る。
【0007】この発明は、特殊な溶剤や廃液処理が不要
で、製品同士が密着した部分の完全剥離が可能であり、
さらに、リサイクルによる製品の質を低下させることな
く、短時間でかつ安価にしてR−Fe−B系永久磁石の
表面処理被膜を剥離することができる方法の提供を目的
とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】発明者らは、上記の問題点について種々研
究した結果、通常、スケール落としに使用されているタ
ンブリングブラスト機またはエプロンブラスト機を用い
て、表面処理されたR−Fe−B系永久磁石をブラスト
機内のドラム部内に挿入し、該ドラム部を回転させなが
らスチールショットを噴射することによって、特殊な溶
剤などを使用することなく、R−Fe−B系永久磁石の
表面処理被膜を完全に剥離することが可能であることを
知見した。
【0009】また、さらに効率よく短時間で剥離可能な
条件について種々検討した結果、上記の方法において、
ブラスト機内のドラム部の回転数、スチールショットの
粒度、硬度、R−Fe−B系永久磁石に対するスチール
ショットの投射角度、投射速度の最適条件を知見し、こ
の発明を完成した。
【0010】すなわち、この発明は、磁石表面に表面処
理被膜を有するR−Fe−B系永久磁石を、タンブリン
グブラスト機のタンブラー型ドラム部またはエプロンブ
ラスト機のエプロン型ドラム部に挿入し、該ドラム部を
回転させながらR−Fe−B系永久磁石にスチールショ
ットを噴射することによって、磁石表面の表面処理被膜
を剥離することを特徴とするR−Fe−B系永久磁石の
表面処理被膜剥離方法である。
【0011】また、この発明は、上記方法において、ド
ラム部の回転数が2〜15rpmであること、スチール
ショットの平均粒度が0.18mm〜0.50mmであ
ること、スチールショットの平均硬度が40〜50HRC
であること、R−Fe−B系永久磁石に対するスチール
ショットの投射角度が40°〜90°、投射速度が50
m/sec〜80m/secであることを併せて提案す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明においては、対象とする
表面処理被膜を有するR−Fe−B系永久磁石の大き
さ、形状は問わず、あらゆるものを対象とすることがで
き、また、表面処理被膜も、電解めっき膜、無電解めっ
き膜、樹脂被膜、クロメート処理被膜などあらゆる被膜
を剥離することが可能であるが、特に、従来剥離が困難
であった、小物・薄物のめっき品が好適である。
【0013】この発明において、ブラスト機には、例え
ば、図1に示す構成からなるタンブリングブラスト機
や、図2に示すエプロンブラスト機を用いることができ
る。以下、その構造と使用方法を説明する。
【0014】図1に示すタンブリングブラスト機1は、
その機体内部に、回転および/または振動可能なタンブ
ラー型のドラム部2が配置され、機体外部に該ドラムに
スチールショットを噴射するための噴射装置3が配置さ
れた構成からなる。機体内部のドラム部2は、開口部4
を噴射装置3に向けるように所定角度θをもってモータ
5に軸支されており、壁面には無数の小さな孔が開けら
れている。
【0015】また、図2に示すエプロンブラスト機11
は、その機体内部に、モータに連結された3本の駆動軸
15が配置され、該駆動軸にゴム製ベルトが所要のたわ
みをもって掛けられており、該たわみ部がエプロン状を
なして、エプロン型ドラム部を構成し、これがタンブリ
ングブラスト機のドラム部2に相当するが、以下エプロ
ン部12という。機体外部には、該エプロン部12にス
チールショットを噴射するための噴射装置13が、エプ
ロン部12に対して所定角度θをもって配置されてい
る。また、エプロン部に無数の小さな孔が開けられてい
る。
【0016】以下に、使用方法を簡単に説明する。な
お、上記の如く、タンブリングブラスト機とエプロンブ
ラスト機とはドラム部の形状等がタンブラー型とエプロ
ン型が異なるものの、基本的にワークを回転させながら
ショットを噴射する点は共通するため、以下はタンブリ
ングブラスト機を例にとって説明する。
【0017】まず、ドラム部2に、磁石表面に表面処理
被膜を有するR−Fe−B系永久磁石からなるワーク6
を一定量挿入する。挿入量はドラム部2の大きさ、ワー
ク6の形状、ワーク6の大きさ等によって適宜調整す
る。そして、ワーク6の量に応じてドラム部2の角度を
調整する。
【0018】次に、ドラム部2をモータ5によって所定
の回転速度で回転させるとともに、噴射装置3からスチ
ールショットを所定角度で噴射し、ドラム部2内のワー
ク6に当接させる。その際、スチールショットとワーク
から剥離した表面処理被膜は、ドラム部2の壁面に設け
られた孔よりドラム部2外部へ放出され、機体内部の底
部7にたまり、最後に回収される。
【0019】その結果、ドラム部2内部には表面処理が
剥離されたワーク6及びドラム部壁面に設けられた孔を
通らなかった表面処理被膜が残ることとなる。
【0020】上記の方法において、表面処理被膜を有す
るR−Fe−B系永久磁石から表面処理被膜のみを効率
よく短時間で剥離するするためには、ドラム部の回転数
を2〜15rpmにすることが好ましい。2rpm未満
または15rpmを超えると表面処理被膜の剥離が完全
にできなくなるためである。さらに好ましい回転数は3
〜5rpmである。
【0021】また、スチールショットの平均粒度及び平
均硬度も重要であり、平均粒度が0.18mm未満また
は0.50mmを超えると剥離能力が低下するため0.
18mm〜0.50mmが好ましい。最も好ましくは
0.3mm〜0.45mmである。
【0022】また、平均硬度は、40HRC未満では剥離
能力が低下し、50HRCを超えるとR−Fe−B系永久
磁石そのものまで加工される恐れがあるため、40〜5
0HRCが好ましい。最も好ましくは44〜47HRCであ
る。
【0023】上記の点を考慮すると、C、Si、Mn、
P、Sを微量に含有する焼戻マルテンサイト組織を有す
るスチールショットを粒度調整したものが好適である。
【0024】さらに、R−Fe−B系永久磁石に対する
スチールショットの噴射角度、噴射速度も重要であっ
て、噴射角度が40°未満または90°を超えると十分
な剥離ができないため、40°〜90°が好ましい。ま
た、噴射速度が50m/sec未満ないしは80m/s
ecを超えると同様に十分な剥離ができないため、50
m/sec〜80m/secが好ましい。
【0025】また、この発明において、タンブリングブ
ラスト機またはエプロンブラスト機の機体内部の雰囲気
は、不活性ガスなどの無酸素雰囲気であることが望まし
い。これは、剥離後のR−Fe−B系永久磁石の表面は
非常に活性な状態にあり、すぐに酸素と反応して磁石表
面に酸化物を形成するので、新たに酸化物を除去する工
程が必要となるためである。なお、その他の条件につい
ては、タンブリングブラスト機またはエプロンブラスト
を用いたスケール落としなどに用いられる公知の条件を
用いることができる。
【0026】
【実施例】実施例1 図1に示すタンブリングブラスト機を用いて、寸法が外
径35mm、内径25mm、厚み0.8mmからなる、
表面に電解Niめっき被膜を有するリング状R−Fe−
B系永久磁石の表面処理被膜の剥離テストを行なった。
【0027】処理条件は以下の通りである。 ドラム部回転数=3.6rpm、 スチールショットの平均粒度=0.353μm、 スチールショットの平均硬度=46.2HRC、 スチールショットの噴射角度=60°、 スチールショットの噴射速度=73m/sec、 R−Fe−B系永久磁石の処理量=5kg、 処理時間=2分。
【0028】また、スチールショットには、C 0.9
3、Si 0.79、Mn 0.84、P 0.02
1、S 0.027、残部Feからなる組成の焼戻マル
テンサイト組織を有するものを用いた。剥離後の評価方
法は、処理後のR−Fe−B系永久磁石から任意に10
個サンプリングしたものの外観検査で評価した。その結
果を表1に示す。
【0029】実施例2 図2に示すエプロンブラスト機を用いて、実施例1と同
じ表面に電解Niめっき被膜を有するリング状R−Fe
−B系永久磁石の表面処理被膜の剥離テストを行なっ
た。また、スチールショットの組成、剥離後の評価方法
も実施例1と同様にした。その結果を表1に示す。
【0030】処理条件は以下の通りである。 エプロン部回転数=10.4rpm、 スチールショットの平均粒度=0.353μm、 スチールショットの平均硬度=46.2HRC、 スチールショットの噴射角度=60°、 スチールショットの噴射速度=73m/sec、 R−Fe−B系永久磁石の処理量=5kg、処理時間=
5分。
【0031】比較例1 実施例1と同じ、表面に電解Niめっき被膜を有するリ
ング状R−Fe−B系永久磁石5kgをバレル内に挿入
し、メチルアルコールと硝酸を2:1で混合した電解研
磨液に浸漬して、バレルを回転させながら20Vの直流
電流を2分間通電する電解研磨処理を施した。その結果
を実施例1と共に表1に示す。評価方法は実施例1と同
様である。
【0032】
【表1】
【0033】実施例3 ドラム部回転数を表2に示すように変化させる以外は、
実施例1と全く同じ条件で剥離テストを行なった。
(3.8rpmは実施例1の結果) 剥離後の評価方法としては、処理後のR−Fe−B系永
久磁石から任意に10個サンプリングし、10個全部に
ついて完全に表面処理被膜が剥離されているものは○
印、1〜5個に少しでも表面処理被膜が残っている場合
は△印、6個以上に少しでも表面処理被膜が残っている
場合は×印を付した。結果を表2に示す。
【0034】実施例4 スチールショットの平均粒度を表2に示すように変化さ
せる以外は、実施例1と全く同じ条件で剥離テストを行
なった。(0.35μmは実施例1の結果)測定結果を
表2に示す。なお、評価方法は、実施例2と同様であ
る。
【0035】実施例5 スチールショットの平均硬度を表2に示すように変化さ
せる以外は、実施例1と全く同じ条件で剥離テストを行
なった。(46.2HRCは実施例1の結果)測定結果を
表2に示す。なお、評価方法は、実施例2と同様であ
る。
【0036】
【表2】
【0037】実施例6 スチールショットの噴射角度を表3に示すように変化さ
せる以外は、実施例1と全く同じ条件で剥離テストを行
なった。(60°は実施例1の結果)測定結果を表3に
示す。評価方法は、実施例2と同様である。なお、90
°以上は装置の構造上テストを行なうことができなかっ
た。
【0038】実施例7 スチールショットの噴射速度を表3に示すように変化さ
せる以外は、実施例1と全く同じ条件で剥離テストを行
なった。(73m/secは実施例1の結果)測定結果
を表3に示す。なお、評価方法は、実施例2と同様であ
る。なお、90m/secでは、被膜は完全に剥離され
ていたが、磁石素材の研磨量が著しかった。
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】この発明によれば、製品同士が密着した
部分の完全剥離が可能であり、リサイクルによる製品の
質を低下させることなく、短時間でかつ安価にしてR−
Fe−B系永久磁石の表面処理被膜を剥離することがで
きる。また、特殊な溶剤や廃液処理が不要なため、安全
であると共に産業廃棄物を出すことが無くなり、さら
に、Niなどの資源の再利用にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンブリングブラスト機の一例を示す断面説明
図である。
【図2】エプロンブラスト機の一例を示す断面説明図で
ある。
【符号の説明】
1 タンブリングブラスト機 2 ドラム部 3,13 噴射装置 4 開口部 5 モータ 6 ワーク 7 底部 11 エプロンブラスト機 12 エプロン部 15 駆動軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松島 俊藏 大阪府三島郡島本町江川2丁目15−17 株 式会社エス・ジー・エス内 (72)発明者 上田 覚 大阪府三島郡島本町江川2丁目15−17 株 式会社エス・ジー・エス内 (72)発明者 田嶋 淳 大阪府大阪市平野区西脇1丁目2番20号 株式会社アサコ内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁石表面に表面処理被膜を有するR−F
    e−B系永久磁石を、タンブリングブラスト機またはエ
    プロンブラスト機のドラム部に挿入し、該ドラム部を回
    転させながらR−Fe−B系永久磁石にスチールショッ
    トを噴射することによって、磁石表面の表面処理被膜を
    剥離することを特徴とするR−Fe−B系永久磁石の表
    面処理被膜剥離方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、ドラム部の回転数
    が2〜15rpmであるR−Fe−B系永久磁石の表面
    処理被膜剥離方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、スチールショット
    の平均粒度が0.18mm〜0.50mmであるR−F
    e−B系永久磁石の表面処理被膜剥離方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、スチールショット
    の平均硬度が40〜50HRCであるR−Fe−B系永久
    磁石の表面処理被膜剥離方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、R−Fe−B系永
    久磁石に対するスチールショットの噴射角度が40°〜
    90°であるR−Fe−B系永久磁石の表面処理被膜剥
    離方法。
  6. 【請求項6】 請求項1において、スチールショット
    の噴射速度が50m/sec〜80m/secであるR
    −Fe−B系永久磁石の表面処理被膜剥離方法。
JP17411698A 1998-06-05 1998-06-05 R−Fe−B系永久磁石の表面処理被膜剥離方法 Pending JPH11347941A (ja)

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